ネットショップ担当者フォーラム

「手間をかけたい買物」「効率的な買物」を割り切る消費者が7割、イマドキの買物事情

7 years 9ヶ月 ago

生活者の消費実態やトレンドを研究する博報堂買物研究所が実施した「買物選択調査」によると、買い物をする際に「手間をかけたい買物」と「効率を重視する買物」を意図的に分けている生活者が約7割にのぼった。

買い物に関する情報が溢れ、店舗やECなど購入場所が多様化している中、「商品を選ぶのは面倒だから、誰かに任せたい」と考える消費者が増えているという。

こうした潮流は、「失敗しない保証が欲しい」「買物の労力に新たな意義・価値を見 出したい」「直感的に選びたい」といった新たな欲求を生みだし、買物の現場を変えていくと指摘している。 

20~60代の生活者1000人に対し、家電や食品、日用品、情報機器、金融商品、ファッション、化粧品、教育・学習教材など27カテゴリーに対する買い物の意識を聞いた。その結果、「手間をかけたい買物と効率を重視する買物を意図的に分けている」と答えた割合は71.8%だった。

博報堂買物研究所が実施した「買物選択調査」

「任せたい・面倒な買い物」のカテゴリー(15項目)

  • 生活家電
  • 娯楽家電
  • 情報機器
  • 有料スマホアプリ
  • 金融商品
  • 教育・学習教材
  • 旅行・交通
  • 有料定額配信サービス
  • ファッション系定額サービス
  • 外食
  • 医薬品・サプリ
  • 洗剤
  • ボディ・ヘアケア品
  • 化粧品
  • 加工食品

「自分で選びたい買い物」のカテゴリ(12項目)

  • 生鮮食品
  • 菓子・デザート
  • アルコール飲料
  • 調味料
  • 清涼飲料
  • オーラルケア品
  • 家具・雑貨
  • ファッション
  • 書籍・音楽・動画
  • 映画・ライブ・スポーツ観戦
  • 自動車
  • 住宅

博報堂買物研究所は、商品選びを任せたいと考える生活者が増えている理由として、買い物に関する情報が爆発的に増えた結果、「何をいつどこで買うのが正しいのか」を判断することが難しくなり、買い物をすることにストレスを感じる場合があると指摘。

特にSNSなどを多用する20代の若者を中心に、こうした生活者が増えているという。

博報堂買物研究所が実施した「買物選択調査」

「買物ストレス」の時代に突入したという

こうした消費者は、EC・フリマアプリ、定額サービス、セレクトショップなどで時間もお金も効率的に利用する、SNSやECサイトなどネットを駆使して信頼する人やサイトを参考に買い物をする――こんな消費行動を起こしているとした。

今後は「買い物をお膳立てしてほしい(あらかじめ選択肢を提示してほしい)」「失敗しない保証がほしい(失敗しない安心基準を提示してほしい)」「買い物の労力に新たな意義・価値を見出したい」といった新たな欲求が発生し、買い物の現場に変化が生じると提言。

 

調査概要

  • 調査地域:全国
  • 調査時期:2017年12月22~24日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:20~69歳の男女(各性年代100sずつ)
  • サンプル数(有効回収数):20歳~69歳の男女1000人 ※今回使用データは性年代(10歳刻み)で人口構成比(2015 年国勢調査ベース)に合わせウェイトバック 
  • 調査機関:エム・アール・エス広告調査株式会社 

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

コンタクトセンターの会話ログを活用して広告を配信、トランスコスモス

7 years 9ヶ月 ago

トランスコスモスは2月26日、コンタクトセンターに蓄積された消費者との会話ログを活用した新たな広告配信サービスを開始すると発表した。

ユーザーのWebサイト上の行動履歴やSNSから収集したオーディエンスデータと、コンタクトセンターに寄せられた電話やWeb、SNS、チャットなどの会話ログを統合し、広告配信に活用する。

コンタクトセンタープラットフォーム「Contact-Link(コンタクトリンク)」と、多様なチャネルで収集したコミュニケーションデータをクラウド上で統合・分析できるデータマネジメントプラットフォーム「DECode(デコード)」の連携で実現した。

トランスコスモスが提供するコンタクトセンターに蓄積された消費者との会話ログを活用した新たな広告配信サービス

新たな広告配信サービスのイメージ

「Contact-Link」に蓄積されている電話やWebサイト、SMSなどにおける顧客との会話ログと、LINEやFacebook、Twitterなどのチャネルから収集したオーディエンスデータを「DECode」内で1つのマーケティングデータとして蓄積することが可能になった。

会話ログを含むマーケティングデータを使い、「DECode」経由で各種アドプラットフォームに広告を出稿する。

今後は、さまざまなチャネルからアクセスしてきた顧客の電話番号やCookieの情報、コールデータを統合し、顧客ごとに最適化した広告配信データを作成するとしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ゴルフ用品に特化したライブコマース「Gridge LIVE」、ギークスがスタート

7 years 9ヶ月 ago

メディア運営などを手がけるギークスは2月21日、ゴルフ情報サイト「Gridge(グリッジ)」でゴルフ用品に特化したライブコマース「Gridge LIVE」を開始したと発表した。

プロゴルファーやインフルエンサーがライブ動画でゴルフ用品を紹介。ユーザーは動画を視聴しながらチャットで商品について質問し、購入を検討できる。初回配信は2月15日に実施した。

ゴルフ情報サイト「Gridge(グリッジ)」でゴルフ用品に特化したライブコマース「Gridge LIVE」

ライブコマース「Gridge LIVE」

「Gridge」は主に若手ゴルファーや女性ゴルファーを対象とした情報サイト。400人以上の一般ゴルファーが記事を投稿しているほか、Gridge編集部による編集記事を配信している。

2017年12月にEC機能を実装。記事でゴルフ用品などを紹介し、漠然とした購入意欲を持つユーザーの買い物を促進している。

ECはゴルフ関連の加賀スポーツとの協業で実現。商品調達・受注・配送・問い合わせ対応といった業務を加賀スポーツが担い、ギークスはECサイトシステムの運用保守・撮影や記事作成などを手がける。

「Gridge」が公開されたのは2016年4月。現在はWebとアプリで展開している。

ギークスによると「Gridge」の月間利用者数は約40万人。読者の年齢のボリュームゾーンは 25~44 歳で、女性読者は約12万人いる。スマホからのアクセスが約90%。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

相談件数が5年前の20倍! フリマサービスのトラブルが急増中【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

7 years 9ヶ月 ago

Webのサービスが伸びているときって、多少の問題があってもそのままで、鈍化してきたところでやっと品質面に……というイメージがあります。経営する側とすればそうなのかもしれませんし、サービス自体がなくなってしまうのも困るのはわかりますが……ね。

フリマ業界に自浄作用を期待したいのですが……

相談急増!フリマサービスでのトラブルにご注意 ─個人同士の取引であることを十分理解しましょう | 国民生活センター─
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180222_1.pdf

まとめると、

  • フリマサービスの2017年度の相談件数(3,330件)はすでに2012年度(173件)の20倍近くに増加
  • 「商品が届かない」「壊れた商品・偽物が届いた」などの相談が多い
  • 未成年者が酒類など、年齢確認の必要な商品を購入しているケースや、禁止されている行為を持ちかけられてトラブルに巻き込まれるケースも
PIO-NETにみる、フリマサービス関連の相談件数の推移(PIO-NETとは、国民生活センターと全国の消費生活センターなどに寄せられた相談情報を蓄積しているデータベースのこと)
出典:国民生活センター(編集部でキャプチャ)

購入者と出品者の間で「商品が届かない」「確かに送った」や「偽物だ」「偽物ではない」等、双方の主張が食い違い、トラブルに発展しています。また、相手に連絡をしても返信がない場合も目立ちます。

購入者や出品者として利用する消費者はともにプロではないため、当事者間で解決を図ろうとしても解決できず、なかには当事者間のやり取りがエスカレートした結果、相手から脅迫めいたメッセージが届いたというケースもあります。

フリマアプリを利用した架空取引や、未成年者が電子タバコを買うケースなど、フリマアプリの成長に伴ってトラブルも急増しています。年間3,300件ということは1日に10件ぐらいの相談が来ているということですよね。ガチャの時のように、そろそろ業界自体が問題になってきそうな……。

関連記事

伸びしろしか見えないAmazonの広告商品

シリーズ:AMS運用最前線 第1回 ─Amazon Marketing Service(AMS)の始め方 | Unyoo.jp
http://unyoo.jp/2018/02/amazon-marketing-service-vol1/

まとめると、

  • Amazon Marketing Service(以下AMS)とは、クリック課金広告で、セルフサービス形式の運用型広告
  • 費用対効果については他社の検索連動型広告、ディスプレイ広告と比較して、CVRやROASが平均して数倍~数十倍高い事例もある
  • 広告商品はスポンサープロダクト広告、ヘッドライン検索広告、商品ディスプレイ広告がある

検索結果に自然に表示される(ネイティブアドである)点や検索キーワードとの関連性の高さからROAS(広告費用対効果)が非常に高く、注力すべき広告商品です。AMSを初めて利用される方はスポンサープロダクト広告から開始することをおすすめします。

プラットフォームとしてのAmazonの存在感がどんどん増していますね。買いたい人が集まっていますし、技術力もありますので、あっという間に広がりそうな予感です。先行者利益があると思いますので、気になる人はお早めに。

写真がメインのInstagramでもユーザーとのコミュニケーションを

Instagramは新たな顧客接点を生むSNS。拡散を狙う“インスタ映え”商品の開発事例 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5169

Instagramの画像でECサイトのCVRを高めるビジュアルマーケティングとは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5135

まとめると、

  • SNSユーザーが撮影した「消費者目線の商品写真」は、他の消費者に共感されやすい
  • スマホサイトの場合、サイト全体のデザインよりも、写真やバナーの素材そのものがCVRに影響しやすい
  • 投稿者に掲載許可を取る行為そのものが、顧客との関係強化に役立つことがある

コンテンツをECサイトに利用することは、「ロイヤルティの高い顧客と直接コミュニケーションを図るチャンスと捉えることができる」(井上氏)と強調。そして、「ロイヤルティが高い顧客とのコミュニケーションを起点に、口コミを広げていくこともできるのではないか」と述べ、ビジュアルマーケティングから、アンバサダーマーケティングへとつながっていく可能性があることも示した。

Instagramの画像でECサイトのCVRを高めるビジュアルマーケティングとは

ここは見逃している人が多いのでは? Instagramを単なる媒体と考えている限りは効果は出ません。ユーザーとの距離感を縮めるための手段として考えれば、インスタ映えする写真がなくたってやれることが増えるはずです。

EC全般

直近1年間にECで衣料品を購入した人は5割(マイボイスコム調査)| ECzine
https://eczine.jp/news/detail/5447
2018年に10兆円を超える通販・EC市場、ネット販売が拡大をけん引[富士経済調査] | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5175
【シニアのネット活用】EC利用回数は月1回以下、ネット利用率は全体平均で6割 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5183

統計記事を3つ。EC市場はPCの伸びが止まってスマホが伸びていることに注目

AIにより製品が人を見つける時代へ――Facebookの小売担当が描く「人ベースのマーケティング」とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5452
ECサイトにコミュニケーション型AI、会話を通じて顧客ごとに商品提案 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5179

今は使えないかな~と思っていても、あっという間にAI依存になるはず。

LINEがネット通販サイトと実店舗の商品価格比較サービスを開始! | 売れる!ネットショップの教科書
https://urerunet.shop/1billionyen/choka180220
LINE Pay、支払い時に「LINEポイント」を利用可能に | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/5445

LINE関連。実店舗との比較は便利そうなんですが、結局ポイントなどを総合的に比較することになりそう。

あなたのECサイトに「買う理由」はありますか? 競合との差別化を実現する4つの方法 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5178

売り方の前に買ってもらう理由。これを作らずにマーケティングをやっても意味がありません。

粗利が増加した成功例から探る "欲しい"粗利単価帯の受注を増やす方法 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5430

こちらもマーケティングの前にやっておきたいこと。商売の基本から考えましょう。

ヤマト運輸の配送データAPIは使ってますか? 荷物の「配送」「受取」でECサイトの顧客満足やCXを向上する方法 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5155

ECにテクノロジーは必須。APIを使って自社独自のサービスを作るところも増えそうです。

今週の名言

あらゆるウェブサービスって、悪い人を排除する仕組みが組み込まれてるんです。これを認証、確認してくださいとか。全体的に見れば、悪い人なんてごく一部ですよね。いい人が圧倒的に多いのに、その仕組みをするなんて、すごいイケてないというか、もったいない

原点は残高2万円台の預金通帳。10年10個のビジネス生むCASH光本氏のアイデア源 | BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-162084

ネットショップをやっているとクレームやトラブルが多いので、どうしても悪人排除の思考になりますが、それによって良い人が逃げてしまっていることがあるのでは?

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

Yahoo! JAPANの検索データから見えた意外な「卒業」「新生活」シーズンの消費トレンドと消費行動 | ヤフーの検索ニーズから学ぶ「トレンド研究所」

7 years 9ヶ月 ago

受験シーズンが終盤に差し掛かり、多くの受験生が3月には「卒業」を迎え、「新生活」を始める人が増える時期となりました。今回は「卒業式」「新生活」のそれぞれのイベントで発生する消費ニーズをYahoo!検索のキーワードから探ってみます。

検索数上昇は1月から、ピークは3月

Yahoo!検索において、「卒業式」「新生活」というキーワードはいずれも正月明けに増え始めます。そう、受験シーズン前に関心が高くなり始めるのです。つまり、1月中にはECサイトに商品が並んでいる状態を作っておくのが得策です(来年以降はぜひ対策をしてください)。

この検索傾向は、関連商材を扱うネット通販事業者はもちろん、関連キーワードで流入を増やしたいと考えているEC事業者は必ずチェックしておきましょう。「卒業特集」「入学特集」「新生活特集」の企画を組んで誘導を強化するのに役立ちます

早目に商品を登録することで、「検索流入」「特集ページからの流入」による、集客チャンスが広がるのです。

Yahoo! JAPANの検索データから見えた意外な「卒業」「新生活」シーズンの消費トレンドと消費行動、「卒業式」の関連検索
「卒業式」は1月中旬から急上昇

「卒業式」の関連検索。最速、最多キーワードは?

まず「卒業式」と一緒に検索されるキーワード(関連検索ワード)を見てみましょう。

最も早い時期から検索され始め、最も多く検索されるキーワード……実は、毎年同じなのです。

Yahoo! JAPANの検索データから見えた意外な「卒業」「新生活」シーズンの消費トレンドと消費行動。毎年、最も多く検索される複合キーワード
毎年、最も多く検索される複合キーワード

主役であるはずの「子ども」ではなく、「母の服」が第1位の常連。私も同じ母として思わず笑ってしまいました。そして弁護を1つ。母はこれまで子育てに頑張ったのです、許して!

こんな風に人々の隠れた本音が見えてしまうのも、検索データの面白いところ。レディースファッションを取り扱っている事業者さんは、関連商品の準備(キーワード選定、商品ページ作りなど)を早めに準備してください。

「卒業式」を検索したユーザーの検索行動

次に、「卒業式」を検索したユーザーが、その前後24時間で検索する傾向の高いキーワードを抽出してみました。

「レピピアルマリオ」「ピンクラテ」「ラブトキシック」――。まるでおまじないのような“カタカナワード”。何を指すかご存じですか?

これらは、おもに女子児童が卒業式で着用する服、いわゆる「卒服」を売り出している、今、大人気のティーンファッションブランドの名前なのです。

また、小学校の卒業式といえば、「袴」を着る女の子も増えています。「袴」といえば大学生のイメージでしたが、最新の検索データを見ると「小学生」が、「大学生」よりも2倍近く多い状態でした。

検索データで発見、通年商品の需要の山

「卒業式」を検索するユーザーは、「パールネックレス」も検索しています。これは、前述した母親向けの商品ですね。

「パールネックレス」は季節感に左右されないアクセサリーのようにも思えますが、検索数は1月、2月、3月が最も多く、検索データから需要の山があることが発見できました

「パールネックレス」を取り扱う事業者さんは、たとえば、次のような施策はいかがでしょうか?

  • パーティードレスではなく、スーツやワンピースとのコーディネート写真を追加
  • 「卒業式におすすめ」「入学式におすすめ」といったキーワードの追加登録でSEO対策
  • セール企画
  • インターネット広告を通常より多めに出稿
Yahoo! JAPANの検索データから見えた意外な「卒業」「新生活」シーズンの消費トレンドと消費行動 「パールネックレス」の検索ボリューム
「パールネックレス」は1~3月に検索ボリュームが多くなる

「新生活」の関連検索。最速、最多キーワードとは?

進路によっては、春から一人暮らしを始める学生や新社会人が増えるため、いわゆる「新生活」に必要な商品の需要が高まります。

まとまった商品の購入、かつ高額商品も多いため、関連商品を販売している事業者さんは「何が必要とされているか」、最新の情報が気になることでしょう。

「新生活」と一緒に検索されるキーワード(関連検索ワード)を見てみましょう。

1位の「家電セット」は、予想通りといったところでしょうか? EC事業者の皆さんは、次点に注目ください。消費者は、「必要なもの」を確認している状態であることがわかるんです。

Yahoo! JAPANの検索データから見えた意外な「卒業」「新生活」シーズンの消費トレンドと消費行動。新生活関連ワードランキング
新生活関連ワードランキング

御社のECサイト内で、新生活で必要な「必要なもの」リストを作成することで、検索流入の増加も期待できますし、同時に「合わせ買い商品」を提案することもできるようになります。

「セット」「応援」といったキーワードへの関心も高いことから、セット割引、新生活応援クーポンなども企画すれば、購買率が高まりそうです。

「新生活」を検索したユーザーの検索行動

検索行動でのニーズを探るため、「新生活」を検索したユーザーが、その前後に検索する消費に関するキーワードを抽出してみました。

  • インテリア
  • 家具
  • 部屋コーディネート
  • 冷蔵後 一人暮らし
  • 一人暮らし 必要なもの

家電に関しては「セット」、インテリアはコーディネート例などから暮らす部屋や好みに合う商品を探す傾向がありそうです。

参考までに「家電セット」と検索したユーザーは、その前後に「ベッド」「ソファ」「カーテン」を検索する傾向が高いようです。

まとめ

季節行事系の消費に共通する傾向として、イベント当日の2か月ほど前から検索数の上昇が目立ってきます。同時に、事業者さんも、関連商品への誘導を強化する傾向があります。

季節商品を取り扱う場合は登録を早めに行い、集客と売上アップのチャンスを拡大しましょう

内田 愛子

Yahoo! JAPAN

内田 愛子

ショッピングカンパニー営業本部
エリア・オンライン部オンラインコミュニケーション

ヤフー入社後、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」に関わる事業に従事。2015年7月から、Yahoo! JAPANが持つ膨大なビッグデータを分析し、「Yahoo!ショッピング」の出店者向けに、ヒット商品や売れ筋カテゴリ予測などお伝えする「トレンド予報」の執筆を担当。

内田 愛子

KDDIグループのECモール「Wowma!」2017年度振り返り&2018年度の戦略まとめ | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

7 years 9ヶ月 ago

KDDIが通信サービスに次ぐ収益の柱に据える「Wowma!(ワウマ)」。KDDIグループに運営主体が移った2017年度の振り返り、そして、「飛躍」と位置付ける2018年度の戦略をまとめた。

「Wowma!」を「au」に次ぐ中核事業にする

「Wowma!」を「au」に次ぐ中核事業にする。KDDIは4月に社長が交代し、経営体制が変わる(田中孝司社長が代表取締役会長に就任し、後任に高橋誠副社長が昇格)。相応の変化が求められており、KDDIは通信事業からライフデザイン企業に変革する。これを加速していく。

2月23日に「Wowma!」を運営するKDDIコマースフォワードが開いた戦略共有会。登壇したKDDIの村元伸弥氏(ライフデザイン事業本部 コマースビジネス部 部長)は、グループ方針をこう力強く宣言した。

KDDIのau経済圏の最大化構想
KDDIのau経済圏の最大化構想(画像は編集部がKDDIのサイトからキャプチャ)

ECなどのオンラインコンテンツから、オフラインのコンビニなどにおける実店舗決済、金融など、auの顧客基盤上でさまざまなサービスが流通する「au経済圏」を2019年3月期には2兆円超まで拡大する方針のKDDI。

au経済圏の流通総額
au経済圏の流通総額(画像は編集部がKDDIのサイトからキャプチャ)

村元氏は「社内の議論で『au』というワード以上に、『Wowma!』が飛び交っている。お客さまと接触する頻度を高めなければ、サービスの流通は増えない。ではどうする? その接触頻度を高めることができるのは、コマースだ」と説明。

KDDIとして「Wowma!」を全力でサポートすると話し、「先頭を走っているライバル企業に負けない、いつか追い抜くサービスに育てあげたい」(村元氏)と宣言した。

KDDIの村元伸弥氏(ライフデザイン事業本部 コマースビジネス部 部長)
KDDIの村元伸弥氏(ライフデザイン事業本部 コマースビジネス部 部長)

2017年度振り返り

流通額など実績

2017年(2017年1~12月)の流通額は前年比132%。2017年12月の出店店舗数は前年同月比370%、商品数は同160%。

KDDIコマースフォワードの八津川博史社長は「主要モールと比べると、商品数、店舗数が足りない。ただ、伸び出していることは実感している」と振り返る。

2017年度の「Wowma!」実績
流通額などの実績(2017年度)

2017年度は「やってみよう」をスローガンに、「集客」「サービス」「出店プラン」を重点的に強化した。それぞれの重点施策の振り返りを見てみよう。

KDDIコマースフォワードの八津川博史社長
八津川社長

集客

2017年9月まではシステムを中心とした足回り、組織作りに注力したと言う八津川社長。テレビCMを使ったマスプロモーションを、2017年後半に数億円を投じて実施した。対象は全国で期間は3週間。8パターンのクリエイティブを用意し、地域をわけて出稿。期間内におけるアプリのダウンロード数は20万ダウンロードを突破した。「ほぼ新しいお客さまだった」(八津川社長)

24時間限定のお得な日替わりアイテムを紹介する「日替わりセール」は、テレビCMの受け皿として本格スタート。テレビCMによってPV数、ユニークユーザー数ともに大幅に拡大。CM終了後もテレビCM期間中と同等の数字を維持しているという。八津川社長はこう言う。

システムやMDにパワーをかけている。パワーをかけると、売り場は魅力的に映り、サービスにお客さまがしっかりつく。新たな発見だった。直接プロモーションをかけなくても、積み上がっていくことを実感できた。(八津川社長)

「au」ユーザーにデータ通信料をプレゼントする企画、毎月3の付く日に「au」ユーザーがお得に買い物できるようにさまざまな特典をプレゼントする「三太郎の日」は出店者からも好評だった。

いわゆる「au」ユーザーを対象に集客を強化したこうした施策は、「売り上げが一気に伸びた」と出店者は口をそろえる。八津川社長は「(アクセスが集中して)システム一時的に止まったこともあった。ただ、『au』ユーザーにきちんとメリットをぶつければ、商品購入につながることがわかった」と振り返る。

「Wowma!」が行った主な集客施策
2017年度の主な集客施策

サービス

2017年9月にアプリをフルリニューアルし、ネイティブアプリに作り変えた。八津川社長によると、アプリは「1年前と比べるとポジティブな数字が出ている」。

アプリを使った購入者は2018年1月末までに1.5倍に拡大(2017年1月比)するなど、アプリ経由の成果が上がっている。

「Wowma!」アプリの利用状況
「Wowma!」アプリの利用状況

「検索エンジンを賢くし、検索結果の精度をあげるのはECの生命線」(八津川社長)と考え、KDDIグループのSupershipが提供しているサイト内検索ソリューションを導入。コンバージョン率(CVR)は従前比で2.2倍クリック率(CTR)は2倍に改善した。

「Wowma!」の主な2017年度サービス施策
「Wowma!」の主な2017年度サービス施策

出店プラン

「Wowma!」のスタート時に、新たな出店プランをリリース。成約手数料を実質的に値下げした。従来と比べ手数料にかかるコスト負担が軽減される設計で、売れば売るほど手数料が軽減される仕組みになっている。

従来の成約手数料は決済手数料と合わせて9~11%。新プランでは決済手数料込みの成約手数料体系で、最低4.5%からに設定した。

「Wowma!」の出店プラン
「Wowma!」の出店プラン

2018年度方針

2018年のテーマは「飛躍」。八津川社長は「KDDIからは(4月以降の)新社長の下、総力をあげてサポートいただける。飛躍できるサービスを一緒に作っていく」と話した。飛躍するためのポイントは以下の3点。

  • Wow! managerの進化
  • ユーザーベースの拡大
  • サービスレベルの向上
「Wowma!」が掲げる2018年度の施策
「Wowma!」が掲げる2018年度の施策

「Wow! manager」の進化(店舗側)

2017年10月、店舗運営の効率を高める新管理システム「Wow! manager(ワウ マネージャー)」の提供を開始した。商品・在庫・受注などに関する各種API(自社システムとの連携)、画像管理、出荷時自動売上請求といったバックヤード業務に関する機能をメインに搭載しているが、「3月以降に、集客・販促機能を載せていく」(八津川社長)。

「Wow! manager」の進化が飛躍のポイント
「Wow! manager」への移行をKDDIコマースフォワードは勧めている

2018年度下期以降、「Wow!なイノベーションを提供できるようにする」と八津川社長は宣言した。

「Wow! manager」を進化させるためのコンセプト
「Wow! manager」進化のコンセプト

「Wow! manager」の開発計画も公表した。2018年4~6月期(1Q)までに「あって当たり前の機能」(八津川社長)を搭載。1Qからは「Wowma!」が攻めるための機能を開発し、2Q以降は「イノベーティブに関する機能」(八津川社長)を搭載していくという。

本来、ECモールになければ困る、あって当たり前の機能をまずは搭載していく。一方で、「Wowma!」ならではの機能も開発する。(八津川社長)

八津川社長が例に出したのがデータの分析。データ分析に強い人材の採用が難しくなっていることを踏まえ、「データ分析機能をモールで提供し、正しく、効率・効果的に商売できる環境を整える。たとえば、メルマガのマイクロセグメントの配信、クーポンの大幅な改善のための分析ができるようにする。そうすれば、効果の高いクーポンをより効果的に届けることができるようになる」

「Wow! manager」の開発計画
赤は「あって当たり前の機能」(八津川社長)。緑は攻めるために開発する機能で、青はイノベーティブに関する機能という

なお、出店プランでは2018年以降も、月会費ゼロ円で出店できる料金体系を継続する方針。

「Wowma!」の出店プラン
月会費ゼロ円キャンペーンを継続する(2017年4月から1年間の月会費無料キャンペーンを展開している)

ユーザーベースの拡大

「Wowma!」は、auユーザーだけをターゲットにしているのであれば、(サービス名称を)auショッピングとかauモールにすればいい。「Wowma!」は、全ユーザーをターゲットにしているが、まだリーチできていないお客さまが多い。課題は認知度だ。

ユーザーベースの拡大
八津川社長は認知度を課題にあげる

Web、SNSの活用、テレビなどを通じて接点を拡大してきたが、「来期はそれを最大化する」(八津川社長)と言う。

テレビは正直、採算という観点で見ると悪い。だが、認知度は一気に上がるテレビCMを打ちながら、Webによるクロスメディアでアプローチすることが重要。ディー・エヌ・エー時代、ゲームを展開する上でテレビCMはとても有効だった。リアルも含めて“Wow”な仕込みをしていく。(八津川社長)

「Wowma!」の課題はユーザー接点と認知度の向上
ユーザー接点の強化と認知度の向上施策

新しいユーザー層へのリーチ策を積極的に進める。ファッションフェスタ「TOKYO GIRLS COLLECTION(TGC)」と提携し、TGC公式通販サイト「SELECT STORE by TGC」の提供を「Wowma!」内で展開することに合意。

イベント企画・運営のAATJと提携し、「肉フェス」「餃子フェス」の公式通販サイトを、2018年4月下旬以降に「Wowma!」内で提供を開始する。

「Wowma!」は新たなユーザー層へのリーチも強化
新たなユーザー層へのリーチも強化する

KDDIグループ企業、グループ内サービスとの連携を進め、オープン接点を拡大する。KDDIグループには、ビッグローブ、ママ向けNo.1アプリ「mamari」、テレビショッピング最大手ジュピターショップチャンネル、LUXAなどさまざまな企業がある。「KDDI関連のコマースはWowma!でやっていく。グループのいろいろなサービスと連携し、『au』以外の顧客接点も作っていく」(八津川社長)とした。

「Wowma!」はオープン接点を拡大
KDDIグループの企業との連携を強化する
KDDIグループが展開するサービスとの連携強化
KDDIグループが展開するサービスとの連携強化イメージ

サービスレベルの向上(商品とユーザーのマッチング精度向上)

2018年6月にサイト内検索エンジンを全面刷新。KDDIグループのSupershipが持つ技術を活用して開発したオリジナルの検索エンジンに切り替え、消費者ごとの検索結果のチューニング、カテゴリによってパラメーターの重みづけを変えていくことが可能になった。

レコメンドやサイト内検索の精度向上につなげるほか、「グループが抱えるデータを活用し、消費者へのタッチポイントを、タイミング、ターゲットともに最適化する。そうすれば、見込み客の質とボリュームを増やすことができると考えている」(八津川社長)。

「Wowma!」は商品とユーザーのマッチングの精度向上に取り組む
商品とユーザーのマッチング精度向上に取り組む

2017年に刷新したアプリでは、「ライブ感を出していきたい」と八津川社長。ターゲットとしている消費者が使うアプリに対して、「マイクロセグメントする前提で、タイムラインで情報を届ける世界観を作っていきたい」(八津川社長)。

アプリを通じて店舗とユーザーの接点を強化する
アプリを通じて店舗とユーザーの接点を強化する

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

「節約を意識している」は9割以上、2019年の消費税10%控え「備えている」は15%

7 years 9ヶ月 ago

アサヒグループホールディングスが運営する情報サイト「青山ハッピー研究所」が実施した消費者の節約に関する意識調査によると、9割以上が「節約を意識している」と答えた。

「青山ハッピー研究所」のアンケートサイトで回答を募集し、20代以上の男女2432人から回答を得た。

現在、節約を意識して生活しているかを聞いたところ、「強く意識している」は32.5%、「まあまあ意識している」は59.2%。「強く」と「まあまあ」と合わせて91.7%が節約を意識している。

「あまり意識していない」は7.0%、「全く意識していない」は1.3%。

アサヒグループホールディンスグスによる消費意識調査

9割以上が「節約を意識している」と答えた

過去の調査と比較すると、「強く意識している」は2012年以降、30.5%、28.7%、32.7%、35.6%、35.0%、34.1%、32.5%と推移。最も高かった2015年からは3年連続で減少した。

逆に「全く意識していない」と回答した割合は、2012年以降、1.3%、0.8%、1.0%、1.2%、1.0%、0.6%、1.3%。

節約していることの1位は「節電」

節約を意識している人を対象に、現在実践していることを複数回答で聞いたところ、1位は「節電している」(71.7%)。

2位以下は「節水している」(53.7%)、「食費を抑えている(なるべく安いものを探す)」(52.4%)、「ファッション・衣類を買い控えている」(50.5%)、「外食費・飲み代を抑えている」(47.9%)、「旅行じ・レジャーを控えている」(47.9%)。

アサヒグループホールディンスグスによる消費意識調査[節約方法]

現在、節約していることについて

節約を意識している理由の上位は「老後の生活不安のため」(48.3%)、「長引く経済不況のため」(27.9%)、「無駄を排除した『シンプルな生活』を目指しているため」(25.3%)、「給与が減少したため」(18.6%)だった(複数回答)。

アサヒグループホールディンスグスによる消費意識調査[節約理由]

「節約」を意識しなければならない理由

2019年10月から食料品や新聞などを除き消費税率が10%に上がる予定であることを受け、15.7%が「来年に予定される消費税アップに備えて」を選んだ。

「青山ハッピー研究所」は、アサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所が運営する情報発信型ウェブサイト。衣食住や美など、生活に密着したテーマで情報を発信している。

調査概要

  • 調査対象:全国の20歳以上の男女
  • 有効回答数:2432人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2018年2月7日~2月13日

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

洗顔商材の魅力を伝える広告で、「メラニン」「美白」「透明感」「明るく」「白く」は使用できる? | 健康・美容業界の今を知る!

7 years 9ヶ月 ago

洗顔料は「洗浄し、汚れを落とす」ことが目的であるため、化粧水や美容液などとは違い「差別化しにくい」と言われています。最近ではメラニンへの効果や「美白」「透明感」「くすみ」「肌が明るく」「肌を白く」……など、さまざまな切り口で商品の魅力を伝える広告を目にします。

これらの標ぼうはOKなのでしょうか? どこまで標ぼうできるのか、整理してみましょう。

医薬品等適正広告基準を参照すると、化粧品としての洗顔料の効能効果は、

(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を洗浄する
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)

だけでなく、

(19)肌を整える
(20)肌のキメを整える
(21)皮膚をすこやかに保つ
(22)肌荒れを防ぐ
(23)肌をひきしめる
(24)皮膚にうるおいを与える
(26)皮膚の柔軟性を保つ
(29)肌を柔らげる
(30)肌にはりを与える
(32)肌を滑らかにする

なども、事実である事を前提に標ぼう可能と考えられます。

しかし、これだけでは他製品との差別化は難しいのが現実。なんとか訴求の強いワードで商品をアピールしたいところです。洗顔商材の広告でよく見受ける表現をどう考えるべきか、下記にまとめます。

① 「メラニン」……×

「メラニン」についてはシミ予防の暗示となるので、これだけでは「化粧品の効能効果からの逸脱」や「医薬品的な効能効果の暗示」などとして不可となる恐れがあります。

メラニンを含む古い角層を落とす(or 洗い流す)」といった表現も見かけますが、景品表示法の措置命令対象となった商品で使用されており、「合理的な根拠の認められない不当表示」と判断された事例があるので、避けた方が良いでしょう。

一方、「酸化」であれば使い方次第で可能と言えるでしょう。本来、「酸化」だけでは即不可となる可能性があるNGワードですが、「肌の酸化」への効果ではなく、「メイクや皮脂などの(皮膚の上で)酸化(した)汚れを落とす(or 洗い流す)」という文脈であれば使えそうです。

② 「美白」……×

医薬部外品でない限り、洗顔で美白は不可と言わざるを得ないでしょう。「白」という言葉を使うのであれば、「泡が白い」という所に落とし込む必要があります。

③ 「透明感」……○

「透明感」は通常、化粧水や美容液などでは不可となる恐れがありますが、洗顔商材については「物理的な汚れ落ち」の効果の範疇として使用できると考えます。

ただし、「透明感」だけが一人歩きし、「透明感」という効果が得られると解釈されてしまうと、効能効果の逸脱になる可能性がありますので、「透明感とは、汚れが落ちキメの整った肌印象のこと」と明記しておくと良いでしょう。

④ 「くすみ」……○

化粧水や美容液などと同様、「過剰な期待や誤認を与えないよう化粧品の効能効果の範囲内」で「くすみ」の定義を注釈などで明記すれば標ぼう可能です。

洗顔商材の場合は「くすみとは古い角層や汚れなどのこと」と明記しましょう。

⑤ 「肌が明るく」or「肌が白く」……△

「肌が明るく」については「透明感」と同じく、「物理的な汚れ落ち」による効果と解釈できなくはないため、化粧水や美容液とは異なり、即不可となることはないと考えます。

ですが、「肌が明るくなる」「肌色が明るくなる」などといった、肌色の改善は明らかなNG表現です。できれば「肌印象が明るく」に留める方が良いでしょう。

一方、「肌が白く」については「いくら汚れを落としたからといっても、洗顔で肌の色が白くなることはありえない」という見解があるため、不可と言わざるを得ません。

⑥ 「毛穴への効果」「リセット」……△ 

「毛穴への効果」については化粧水や美容液などでは不可ですが、「毛穴汚れを洗浄する」的な意味であれば、標ぼうは可能です。「毛穴すっきり」「毛穴がクリア」といった表現も可能と判断できる範囲でしょう。

ただし、「広がった毛穴を引き締める」「毛穴を小さくする」など「毛穴の形状変化」を想起させる表現になると、化粧品の効能効果からの逸脱となるので、せめて「毛穴がキュッ」程度に留めた方が良いと考えます。

そして「リセット」は「初期状態に戻す/すべてを元に戻す」といった意味になるので、化粧品では「お肌を修復する」かのような印象を与える可能性があります。しかし、洗顔商材であれば「汚れを落とす」効果の範疇と考えられるので、「洗顔で汚れをリセット」などであれば使える範囲と言えるでしょう。

稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

稲留 万希子

アマゾン、フルフィルメント支援のFBA手数料と料金体系を改定へ(4/24~)

7 years 9ヶ月 ago

アマゾンジャパンは4月24日、物流代行サービス「フルフィルメント by Amazon (FBA)」の手数料や料金体系を改定する。

4月24日以降に出荷される荷物の「配送代行手数料」「FBA商品ラベル貼付サービス手数料」「購入者返品手数料」「納品不備受領作業手数料」と、5月1日以降の「在庫保管手数料」が対象。

保管やフルフィルメント、輸送、カスタマーサービスのコスト上昇を受け、料金体系変と手数料の改定を決めた。

「配送代行手数料」は現在、出荷作業手数料(個数あたり)と発送重量手数料(出荷あたり)にわかれているが、新料金では配送代行手数料(個数あたり)に統合する。また、メディアとメディア以外の料金の区分もなくす。

現行制度の手数料は、「標準」(0~2kg)は174~329円、「大型商品」は530~1258円。

新料金では、「標準」(重量0~2kg)は360円、「大型商品」は622~1398円となる。

FBA配送代行手数料の料金体系(4/24~)

FBA配送代行手数料の料金体系(4/24~、画像は編集部がキャプチャ)

「在庫保管手数料」は現在、8.126円×サイズ×保管日数で決まる。たとえば、サイズが縦11.4cm、横22.5cm、高さ35.5cmの商品を1か月間保管する場合の手数料は73.993円。

新料金プランでは、在庫保管手数料を計算する際の基準が変わる。現在は一律8.126円だが、5月1日以降、1~9月は7.8円、10~12月は9.0円へと変更する。

在庫保管手数料の料金体系(5/1~)

在庫保管手数料の料金体系(5/1~、画像は編集部がキャプチャ)

「FBA商品ラベル貼付サービス手数料」は、「小型・標準」は現行の19円から20円に、「大型商品」は現行の43円から50円に値上げする。

FBA商品ラベル貼付サービス手数料(4/24~)

FBA商品ラベル貼付サービス手数料(4/24~、画像は編集部がキャプチャ)

「納品不備受領作業手数料」は、作業内容や回数によって値下げになるものと値上げになるものがある。

納品不備受領作業手数料(4/24~)

納品不備受領作業手数料(4/24~、画像は編集部がキャプチャ)

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

低価格で食品・日用品を強化する西友、価格プログラム刷新し約500品目を平均7%値下げ

7 years 9ヶ月 ago

西友は2月22日、ネットスーパー「SEIYUドットコム」と実店舗338店において、食品や日用品などの販売価格を一定期間固定する価格プログラム「プライスロック」を刷新すると発表した。

対象商品を約1300品目追加し、合計で過去最多となる約3000品目の価格を2月22日から3か月間固定する。対象商品のうち約500品目の価格を平均約7%値下げした。

原料価格や物流費の高騰、昨秋の天候不順などで野菜や生鮮食品などが値上がりする中、約3000品目の食品や日用品の価格を据え置くことで販売を強化する。

西友が価格プログラムの「プライスロック」を刷新

価格変動の大きい生鮮食品を充実させ「生鮮強化」を宣言した

「プライスロック」は、西友が掲げるEDLP(Every Day Low Price 毎日低価格)戦略の下、低価格路線を追求する価格プログラム。2015年に導入し、これまで12回実施した。

今回のリニューアルで「プライスロック」の対象期間をこれまでの6か月から3か月に変更。「生鮮強化」を打ち出し、青果や水産、畜産の売れ筋商品であるバナナ、サーモン、アンガスビーフなどを追加した。

価格プログラムの「プライスロック」を展開する「SEIYU ドットコム」

「プライスロック」を展開する「SEIYU ドットコム」

西友の親会社であるウォルマートは2018年1月、楽天との戦略的提携を発表。楽天と西友は2018年7-9月期にネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」を立ち上げ、協働運営する。西友のネットスーパー「SEIYUドットコム」は「楽天西友ネットスーパー」へ移行する。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

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渡部 和章

ヤマトの配送データを利用して、自社顧客がもっと簡単に荷物を受け取れるようにする方法【今週のアクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

7 years 9ヶ月 ago

ヤマト運輸は昨年12月から「YBM For Developers」を開始しています。荷物の発送や受取をより便利にするためのサービスや機能を、API(Application Programming Interface/データを相互に活用する仕組み)で提供しています。

  1. ヤマト運輸の配送データAPIは使ってますか? 荷物の「配送」「受取」でECサイトの顧客満足やCXを向上する方法

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    オムニチャネル管理部の名称を「デジタル戦略部」へと変更し、デジタル戦略部などを統括するデジタル推進本部を新設

    2018/2/20
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  8. ストライプとソフトバンクがファッションECサイト、約600のブランドが参画

    試着後に返品できるサービス、チャットを活用したオンライン接客機能などが特徴

    2018/2/16
  9. 千趣会、通販事業の赤字は57億700万円/新世代に対応するECサイトとは?【今週のアクセスランキング】

    2018年2月9日~15日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?

    2018/2/16
  10. 2018年に10兆円を超える通販・EC市場、ネット販売が拡大をけん引[富士経済調査]

    EC市場における商品カテゴリー別の市場規模を見ると、「食品・産直品」「アパレル」「生活雑貨」などの成長が目立つ

    2018/2/21

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

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RIZAPグループに転じた元オルビス社長の髙谷氏、プロダクト戦略や成長戦略を語る。 | 通販新聞ダイジェスト

7 years 9ヶ月 ago

RIZAPグループ子会社の健康コーポレーションでは昨年10月、元オルビス社長の髙谷成夫氏が社長に就任した。豆乳クッキーダイエットや美顔器の通販で一世を風靡(ふうび)した同社だが、近年はプライベートジム「ライザップ」が急成長。M&Aを積極的に行っていることもあり、グループに占める同社の売り上げ比率は低下している。経験豊富な髙谷社長は、グループの祖業でもある同社をどう再成長させるのか。方策を聞いた。

RIZAPの新たなプロダクト戦略

RIZAPグループ子会社の健康コーポレーションでは2017年10月、元オルビス社長の髙谷成夫氏が就任した
健康コーポレーション社長の髙谷成夫氏

――RIZAPグループに参画したきっかけは。

「瀬戸健社長から『RIZAPグループで力を発揮してほしい』という誘いがあった。アグレッシブに挑戦したいという想いから入社を決めた」

――プライベートジム事業などを手掛ける子会社のRIZAPでは取締役を務めている。

「まず、RIZAPでは1月1日付で組織の再編成を実施した。5つの本部体制とし、私はプロダクト事業本部とマーケティング事業本部を統括している。プロダクトに関しては、これまでボディメイクのスタジオ事業として『ライザップ』が立ち上がり、成長してきたわけだが、プラスアルファーとしてプロダクトに関連する事業を第2の柱とするための事業本部だ」

――具体的には。

「ボディメイクに関していえば、低糖質の食事に加え、減量期・維持期を通してたんぱく質やビタミンなど必要なものはたくさんある。これをフードやサプリメントとして提供していく。これまでもやってきたことではあるが、CRMを強化し、減量期はもとより、その後の長い継続的な顧客との関係性を構築し、その中でプロダクト事業をスタジオ事業とほぼ同等の売り上げまで引き上げていく」

――販路は。

「対象としてはスタジオでトレーニングをする『ゲスト』とスタジオに来たことがない『非ゲスト』の2種類がある。ゲスト向けについては、減量やボディメイクだけでなく、健康をサポートする食品群を拡充する。販売チャネルとしてはスタジオやネット販売、さらには法人に向けた営業や直営店も視野に入れる。非ゲストは直営店やネット販売に加えて、コンビニエンスストアやGMSにもライザップブランドとして投入する」

「ボディメイクは健康に直結するので、健康領域への広がりと、さらには痩せることに付随してビューティー領域への広がりを考えている。そこへの商品の提供が成長戦略を考える上で重要になってくる。ゲスト向けについては、スタジオに来ているゲストのパーソナルデータやビッグデータも活かし、よりパーソナライズしたものにしていきたい。一方、非ゲスト向けに関しては、幅広い消費者に触れてもらうために、コンビニで手に取ってもらえる商品群の開発を強化していく」

――ビューティー領域とは、具体的にどんな商品なのか。

「従来のような化粧品だけではなく、ライザップのプログラムやパーソナルデータを組み合わせたものも考えている」

――マーケティングに関しては。

「ライザップではテレビCMの『ビフォアー・アフター』が成功モデルとなったわけだが、それをいかに進化させるかを考えている。また、テレビCMだけではなく、ソーシャルメディアも含めて、広い意味でのメディアマーケティングをどう組み立てるかも課題となる。ボディメイクからスタートしたライザップは領域を広げているわけだが、ブランド価値をさらに上げていく必要がある」

「近年、ライザップのCMに起用するタレントの選定は、健康維持に悩みが出て来る年齢層を中心にしてきた。ただ、ブランドとしての先進性を維持し続けるためには若い層は無視できない。今後もボディメイクから健康までをカバーしていくが、ペイドメディアだけでなく、ソーシャルメディアでのマーケティングも強化したい」

健康コーポレーションの課題と対策

――社長を務める健康コーポレーションの戦略は。

「現在リブランディングを進めている。コーポレートのブランドを作り直すほか、前提となる商品群についても、商品の刷新とマーケティングの変革も含めてリブランディングする。コーポレートブランドについては、新たに『健康を、日本を代表する価値にする』という企業理念を定めた。さらに、“KENKO MARK”という新しいブランドとそれにあわせたブランドロゴを作り、消費者に浸透させていく。商品については豆乳クッキーダイエットや美顔器、洗顔石けんなど、一つの時代を作ってきた自負はあるが、現状は競合と比較しさらなる強化が必要な状況なのは否めない」

――問題点はどこにあるのか。

商品力の課題は大きいだろう。これまで健康コーポレーションは『クッキーをダイエット商材にする』『高価な美顔器を安価に提供し、洗顔ジェルの継続性を高めることで収益化する』など、常識から少し外れた、驚きを与える商品を作っていたし、それが成功の要因でもあった。しかし、それが洗顔石けん『どろあわわ』以降は作れていない。改めて、健康コーポレーションとして、どうすれば驚きやわくわくするような商品やサービスに提供できるかを考えていく」

健康コーポレーションが運営する通販サイト
健康コーポレーションが運営する通販サイト

――定期購入が柱だ。

「ここ数年、定期購入顧客向けの施策よりも新規顧客の獲得を重視した割引のキャンペーンに注力してしまったという反省点がある。やはり、優良顧客をいかに作るかという、お客様を起点とするマーケティングの姿に立ち返るのがリブランディングの大きなテーマになる」

――割引施策をやめるということか。

継続して買ってくれている顧客に対し、どのようなメリットを与えられるかということだ。商品の作り方から情報の出し方、販売の仕方まで、何を軸に組み立て直すか。ダイレクトマーケティング的な、ストーリーのある商品を作り、継続性を高められるような仕組みを取り入れて価値づけしていく。定期購入者へのメリットを重視した施策とするため、これまでのやり方をゼロベースで見直していく」

――広告のクリエイティブに関しては。

「これからのメディアや情報の流通のあり方にあわせて、ストーリーとして価値を伝えられるクリエイティブを作れるかどうかが勝負だ。語れる商品を作りあげることが前提だが、『語り口』はメディアのあり方で変わってくる語れる商品を作りあげることが前提だが、『語り口』はメディアのあり方で変わってくる

――RIZAPグループ子会社である点は押し出さないのか。

「ライザップブランドと分けて展開しているのは、ターゲットや提供すべき価値が異なるからであり、そこは分けて考えたい。ただ、親和性の高い提供の仕方は、グループのシナジーも含めてありうるので検討したい」

――人材育成は。

「既存社員とのコミュニケーションを密に取るほか、経験者採用を強化している。当社は急成長中だからこそ、さまざまなことへ挑戦できる。マーケティングやプロダクト経験者は特に、これまでのスキルをすぐに活かすことができるポジションが多数ある。自分でやるべき仕事を探し実行していきたい方には、最高の環境でしょう」

通販新聞

【シニアのネット活用】EC利用回数は月1回以下、ネット利用率は全体平均で6割

7 years 9ヶ月 ago

60歳以上のインターネット利用率は、60代前半は約90%で、年齢が上がるにつれて低下し80代後半で10~20%になる――。

日本能率協会総合研究所は2月19日、60歳から90歳までの消費者を対象とした「高齢者ライフスタイル構造基本調査」(郵送調査)の一部を公表し、男女別・年齢別のインターネット利用率や、1か月あたりのネット通販利用回数の平均値などを明らかにした。

郵送調査を行い、2500人から回答を得た。

インターネット利用率の全体平均は約60%

「あなたはインターネットを利用していますか」という質問に対し、「自分ひとりで、ある程度利用している」または「利用しているが、誰かの手伝いが必要」と回答した比率の合計をインターネット利用率として算出した。

「60~64歳」は男女ともに約90%に達している。男性の「65~69歳」「70~74歳」は80%前後、「75~79歳」は約60%、「80~84歳」は約40%、「85~90歳」は約20%。

女性は「65~69歳」で約80%、「70~74歳」は約60%、「75~79歳」は約40%、「80~84歳」は約20%、「85~90歳」は約10%。

全体平均は約60%。同年代の男女を比べると、70歳以上の年代では男性の方がやや高い。

日本能率協会総合研究所が実施した「高齢者ライフスタイル構造基本調査」、シニアのネット利用率

シニア層のネット利用率

1か月あたりのEC利用回数は全年代で1回以下

1か月あたりのインターネット通信販売(EC)の利用頻度を、男女別・年齢別に調査した。

5歳ごとの年齢別、性別で平均値を算出したところ、男女ともにすべての年代で1回未満だった。 60代前半は女性が約0.8回、男性が約0.7回。女性の一部年代を除き年齢が上がるにつれて平均利用回数は低下している。

日本能率協会総合研究所が実施した「高齢者ライフスタイル構造基本調査」。シニアのネット通販利用率

シニアのネット通販利用率

「テレビCMやチラシで新商品探す」約3割

「高齢者ライフスタイル構造基本調査」では、新商品を探す方法について、テレビCMやチラシなどの広告で、新商品の情報をチェックしているか聞いた。

「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は約3割。年齢別でみると70代までは男女ともに3割程度だが、80代後半になると割合が大きく低下している。

日本能率協会総合研究所が実施した「高齢者ライフスタイル構造基本調査」、新商品情報を手に入れる方法

新商品情報をテレビCMやチラシといった広告でチェックする割合

調査概要

  • 調査期間:2017年12月6日~12月18日
  • 調査対象:日本能率協会総合研究所が保有する「高齢者6090リサーチモニター」(全国に居住する60歳から90歳までの男女)
  • 調査方法:郵送調査
  • 回答者数:2500人(配布数4000人、回答率62.5%)性別・年齢・エリアに基づき母集団人口構成比に準拠して回収

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ECサイトにコミュニケーション型AI、会話を通じて顧客ごとに商品提案

7 years 9ヶ月 ago

対話型の人工知能(AI)エンジンの開発を手がけるSELFは2月21日、ECサイトやアプリにコンシェルジュ型のIAを搭載できるサービス「SELF CMP(Communication Marketing Package)」の提供を開始したと発表した。

対話を通じてユーザーの興味・関心を推測した上で、最適な情報提供、商品を提案したりする。

「SELF CMP」は、ECサイトといったWebサイトやアプリなどにコードを1行追記することで、AIを搭載したキャラクターによる対話機能を実装できる。キャラクターがユーザーに質問を投げかけ、ユーザーが選んだ回答に基づきユーザーが求めている情報を推測する。

コンシェルジュ型のIAを搭載できるサービス「SELF CMP(Communication Marketing Package)」

「SELF CMP」の稼働イメージ

一般的なチャットボットは、ユーザーの投稿に対して一問一答で返答するものが多い。「SELF CMP」はAI側からユーザーに質問を投げかけ、ユーザーが選んだ回答に応じてAIが返答するため、スムーズに対話のキャッチボールが進むという。

ユーザーから聞き出した情報をシステム内部で一元管理し、商品開発などに生かすこともできる。

AIのキャラクターは企業ごとに変更できる。導入費用はサービスの要件に応じて個別に見積もりを行う。初期導入にかかる期間は2か月から。

SELFによると、SELFのAIエンジンはベネッセコーポレーションの「進研ゼミ中学講座ハイブリッドスタイル」に導入されている。自動コミュニケーションエンジンをキャラクターに導入し、生徒と積極的にコミュニケーションを図った結果、「レッスン消化率が約2倍」「端末起動率、レッスン消化率の向上」「会員契約残存率の向上」といった成果が表れたという。

SELFは、一般消費者向けにAIとコミュニケーションを取れるアプリ「SELF」を提供している。ダウンロード数は2月21日時点で50万DL(同社発表値)。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

チャットボットでリピート購入を促進、フォーム入力支援で離脱率改善・CVRを向上

7 years 9ヶ月 ago

リピート通販専門カート「たまごリピート」を提供するテモナは2月21日、Web接客ツール「qualva(クオルバ)」(開発・販売はPROFESSY)と連携し、「たまごリピート」のオプションサービスとして「チャットボット受注オプション Powered by qualva」を3月に開始すると発表した。

Webサイトを訪れた消費者に対し、チャットボットによる対話形式で接客を実施。ECサイトなどのフォーム入力をアシストすることで、サイト離脱率やコンバージョン率(CVR)の改善を後押しする。

「チャットボット受注オプション Powered by qualva」の利用イメージ

「チャットボット受注オプション Powered by qualva」の利用イメージ

「チャットボット受注オプション Powered by qualva」は、サービスやユーザーの属性に合わせ、接客のシナリオや返答内容を自由に設計できる。

また、消費者が離脱した項目や、広告効果測定結果などをダッシュボード上で可視化する。

PROFESSYの調査では、フォーム入力アシスト機能を使った場合よりも、「qualva」を導入した方がCVRの改善効果が高かった。

フォーム入力アシスト機能を使った場合よりも、「qualva」を導入した方がCVRの改善効果が高い

テモナは今後、「qualva」のAIによる音声案内機能をかわきりに、問い合わせ対応の自動化・効率化、コミュニケーションの多様化などを展開していく予定。

「たまごリピート」は顧客管理、受注、決済連携、出荷、ショッピングカート、ステップメール、分析といった、定期通販や頒布会に必要な機能を備えた通販システム。導入企業は約1000社、年間流通総額は約900億円(同社公表値)。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Instagramの画像でECサイトのCVRを高めるビジュアルマーケティングとは

7 years 9ヶ月 ago

Instagram(インスタグラム)などのSNS上に投稿された写真をECサイトのコンテンツとして活用し、アクセス数の増加やコンバージョン率(CVR)の向上を狙うEC事業者が増えている。ユーザーが投稿したコンテンツでECサイトの売り上げを伸ばすには、どんな施策を打てばいいのか。ecbeingの井上純氏(ソーシャル海外推進室 部長代理)が、海外のトレンドやクライアントの成功事例を交えて解説した。写真◎Lab

SNSのコンテンツをEC活用する動きは国内外で加速

SNS上の写真をECサイトに活用する手法は、4~5年前に先進的なブランドで始まり、今では多くの企業が実施している。これから日本でも、こうした動きが本格的に広がっていくと思う。(井上氏)

消費者がインターネット上に投稿したコンテンツは「User Generated Contents(UGC)」と呼ばれ、活用したサービスは口コミサイトやレシピサイトなどに多かった。

井上氏がこう指摘するように、近年はECサイトに使用するクリエイティブとして活用する動きが活発化。SNSユーザーが撮影した「消費者目線の商品写真」は、他の消費者に共感されやすいことなどから、事業者やプロが撮影・制作したクリエイティブよりも高いクリック率(CTR)やCVRを叩き出すケースも出てきている。

株式会社ecbeing ソーシャル海外推進室 部長代理 井上 純 氏
株式会社ecbeing ソーシャル海外推進室 部長代理 井上 純氏

また、既にブランド認知がある場合、たくさんの写真を短期間に、比較的安価に集めることができることも、SNS上のコンテンツを活用するメリットという。

海外企業の事例を紹介した井上氏によると、ファッションブランド「UrbanOutfitters」は、ユーザーが投稿したコーディネート写真をフォトギャラリーのように掲載するコンテンツページを常設。コンテンツページから商品詳細ページにリンクを貼り、コンテンツページを見てから商品詳細ページに移動するユーザーは約15%に上るなど、CVR向上に成果を上げているという。

このほか、「ナイキ」「クロックス」「ザ・ボディショップ」「ティンバーランド」「イヴ・サンローラン」といった世界的なブランドをはじめ、すでに1000ブランド以上の取り組みが本国のサイトで知られていると説明した。

UGCの活用事例と効果

TシャツのECサイト「グラニフ」

ECサイトにUGCを活用する場合、どのような施策が効果的なのか。井上氏は、ecbeingのクライアント事例をあげながら、具体的な方法と効果を説明した。

プリントTシャツなどを実店舗とオンラインショップで販売している「グラニフ」は、ユーザーが投稿したコーディネート写真を掲載するコンテンツページ「#graniph User Photo Collection」をECサイト内に開設している。

ハッシュタグ「#graniph」や「#graniphoto」を付けて投稿された写真を収集し、それらの写真をフォトギャラリーのように一覧で掲載。写真をクリックすると、商品詳細ページに移動するようにしている。

現在、グラニフのECサイトで商品を購入した顧客の約25%が、このコンテンツを閲覧しているという。また、コンテンツページを閲覧したユーザーのCVRや客単価は、閲覧していないユーザーと比べて高い数値を記録し、実績に大きな差が生まれている。

ECサイト内のコンテンツページ
ECサイト内のコンテンツページ(画像は編集部がキャプチャ)

ビーズ・アクセサリーパーツ販売の「パーツクラブ」

手作りアクセサリーの材料を実店舗とオンラインショップで販売している「パーツクラブ」は、顧客がInstagram上に投稿した商品を紹介するコンテンツページ「#パーツクラブファン」をECサイト内に常設している。

掲載された写真をクリックすると、関連商品の詳細ページに飛ぶ。Instagram上に投稿された写真をECサイトのコンテンツとして活用するためのクラウドサービス「visumo(ビジュモ)」を導入したところ、約1割ほどPVが増加しており、現在、「#パーツクラブファン」の一覧ページの閲覧者の約17%は、商品詳細ページへ移動しているという。

写真をクリックすると関連商品の詳細ページに飛ぶ
写真をクリックすると関連商品の詳細ページに飛ぶ

2社の取り組みを紹介した井上氏は、Instagram上の投稿写真をECサイトに掲載することで、ページビューやコンバージョン率の改善などにつながっていると説明。このことを踏まえ、「ユーザーが投稿した写真は、ECサイトの魅力的なコンテンツになる」(井上氏)と強調する。

ECは「ビジュアルマーケティング」の時代

ECサイトにInstagramのコンテンツを利用する企業が増えている背景には、「ECがスマホ中心に移行していることで、ECサイトにおける写真やバナーなどクリエイティブの重要性が高まっている」(井上氏)ことがある。

画面が小さいスマホサイトでは、ページのデザインや、文章による商品説明よりも、写真や動画の「見せ方」を軸にサイトを設計する必要があると井上氏は指摘する。

スマホサイトの場合、サイト全体のデザインよりも、写真やバナーの素材そのものがCVRに影響しやすいWebデザインという従来の考え方から脱却する必要があるのではないか。(井上氏)

井上氏は、写真や動画を中心としたEC戦略のコンセプトとして「ビジュアルマーケティング」を提唱する。商品ページには写真を多用し、写真だけでは伝えきれない情報は、動画で伝える――これからのECサイトには、こうした施策が求められると強調した。

ECサイトのUGC活用を効率化する方法は?

ecbeingは、Instagram上に投稿された写真をECサイトのコンテンツとして活用するためのクラウドサービス「visumo」を提供している。

「ビジュモ」を使えば、ハッシュタグを使ってInstagram上の写真を収集し、専用ツールで投稿者へ利用許可を申請することが可能。

掲載したい写真をピックアップし、表示させたいページにタグを貼ってCSSで表示の仕方を調整できる。さらに、写真と商品情報を紐づけて商品詳細ページにリンクを貼り、アクセスログなどを分析してCTRやCVRを計測することも可能だ。

visumoの機能
収集:ハッシュタグをキーにして、Instagram上の写真を検索し取り込む
許可申請:写真の2次利用の許可申請をツールからユーザーに案内が可能
掲載:掲載したい写真だけをピックアップしてコンテンツ化
表示:表示させたいページにタグをはるだけで掲載が可能
商品登録:写真と紐づける商品情報の登録が可能
リンク付け:対象写真に関連する商品のリンク付けが可能
カテゴライズ:コンテンツのカテゴライズにより様々な内容で表示が可能
投稿:フロントからユーザーが掲載したい写真の投稿が可能(近日公開予定)
写真の収集から利用申請、ECサイトへの表示、リンク付けなどを一元管理できる

事例にあがった「グラニフ」や「パーツクラブ」も、「visumo」を利用して成果を上げている。

写真や動画を中心とした「ビジュアルマーケティング」を実現するには、たくさんの写真やバナーが必要になる。また、動画などリッチコンテンツの制作も求められ、大量のクリエイティブを制作するにはコストがかさむ。

クリエイティブ制作に時間がかかると、スピード感を持ってPDCAを実行するのは難しい。

Instagram上の写真を、ECサイトやWebサイト、ブランドサイトに掲載していく一連の流れが1つのツール上で管理できる「ビジュモ」は、ビジュアルーケティングにおけるクリエイティブ制作の課題を解決できるのだ。

コンテンツ収集は顧客とのコミュニケーション

SNS上の写真を収集する方法は、ユーザーが自発的に投稿した写真を見つけて利用許諾を取る場合と、写真投稿キャンペーンなどを実施して意図的にSNS上に写真を増やす場合がある。どちらにせよ、ユーザーが投稿した写真をECサイトに掲載する際は、二次利用の許可をとる必要がある

ユーザーが自発的に投稿した写真を使う場合は、SNSを通じて投稿者にメッセージを送り、利用目的などを説明して許可を取ることが一般的。写真投稿キャンペーンを実施する場合には、あらかじめ利用目的などを明記しておくことが多い。

井上氏は、投稿者に掲載許可を取る行為そのものが、顧客との関係強化に役立つことがあると説明する。

商品写真やコーディネート写真などをSNS上に投稿するユーザーは、ブランドロイヤルティが高い場合が多い。そのため、自分の写真がブランドサイトなどに使われることを好意的に受け取ることも珍しくない。

コンテンツをECサイトに利用することは、「ロイヤルティの高い顧客と直接コミュニケーションを図るチャンスと捉えることができる」(井上氏)と強調。そして、「ロイヤルティが高い顧客とのコミュニケーションを起点に、口コミを広げていくこともできるのではないか」と述べ、ビジュアルマーケティングから、アンバサダーマーケティングへとつながっていく可能性があることも示した。

講演風景

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

あなたのECサイトに「買う理由」はありますか? 競合との差別化を実現する4つの方法 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

7 years 9ヶ月 ago

ECサイトでは、価格、カスタマーエクスペリエンス(CX)、商品のラインナップ、プロダクトの4つが大きな差別化要因になります。自社の強みを生かして、デジタル戦略の方向性を決めていきましょう。

すべてが普通レベル、勝ち残りは難しい

米国のオンライン通販市場では11万以上のEC事業者がひしめき合っています。

新しい取り組みや、提供しているサービスのリニューアルについて社内で検討するのも良いでしょう。ですが、最終的に消費者が知りたいこと、求めていることはそこではありません。

他のECサイトではなく、あなたのECサイトで買う理由を知りたいのです。そこで、他社とは異なる自社のECサイトにおける差別化要因が必要になってきます

他社と異なる自社の特徴は何ですか? 競争力を高める要素はありますか? これらを把握しない限り、暗闇の中で手探りをしている状況が続きます。

差別化要因は多くのケースで、価格カスタマーエクスペリエンス商品のラインナッププロダクトの4つに分類されます。1つの要素に特化する場合もあれば、バランス良く力を入れるケースもあります。

どんな場合でも、自社の立ち位置を正確に把握して、強みをさらに強調できるようなデジタル体験を提供することが重要です。すべてにおいて普通のレベルでは、現代のグローバルなデジタルマーケットで勝ち残っていくのは難しいのです。ですから、あなたのECサイトのユニークな部分に焦点を当てましょう。

もし自社の差別要因がわからない場合は、次の項目を確認してください。

① 価格

消費者10人のうち6人以上は、実店舗とオンラインで価格を比較し、最も安く売られているお店を選びます。オンライン通販を利用するユーザーにとって、価格はいまだに大きな購入決定の要因となります。

大手ECサイトの利用者が商品購入時にインターネット上で検索する情報の上位は「商品のスペック」「レビュー」「複数ショップの価格」
日本では、大手ECサイトの利用者が商品購入時にインターネット上で検索する情報の上位は「商品のスペック」「レビュー」「複数ショップの価格」だった(出典はニールセンデジタルが2017年に公表した調査レポート「PCユーザーのEコマースサイト利用状況」、画像は編集部が追加)

ですから、価格に競争力があるのであれば、それを打ち出していきましょう。多くの企業は、低価格での購入を目的に訪れている消費者に対し、ブランドエクスペリエンスや膨大なカタログを提供しようとしています。

価格という差別化要因を上手に活用している素晴らしい事例がWalmart Inc.(ウォルマート)です。「毎日安くする」というウォルマートの価格戦略が、現在の成功の基盤になっているのです。

商品のラインナップで勝負するなら、Amazon(アマゾン)やウォルマートを真似する必要はありません。特定のカテゴリーで競争すれば良いのです。

低価格で有名なウォルマートなどの大きな企業に対し、中小企業が価格で競争するのは難しいでしょう。しかし、価格が差別化要因なのであれば、デジタル戦略もそれに基づくものでなくてはいけません

「当社より安い価格で販売している商品を見つけたら、差額を倍にして返金します」といったうたい文句を使って価格を強調し、ECサイト全体で価格を訴求しましょう。

他には、年間の購入額に応じてインセンティブを支払うといった施策もできるでしょう。上位顧客は、他のECサイトよりも価格が高い商品があっても、最終的にお得な方を選ぶからです。

最も理想的な方法は、特定カテゴリーで豊富な商品ラインナップを実現し、それらを常に低価格で提供することです。成功するには、競争力のある価格を提示し、消費者に多くの選択肢を提供することが大切なのです。

② カスタマーエクスペリエンス

ほとんどの消費者は、実店舗や他のオンライン通販で、同じ(もしくは類似)製品を簡単に手にいれることができると知っています。しかし、一部の消費者にとっては、カスタマーエクスペリエンスが購入の意志決定の肝になります

米国の大型百貨店チェーンNordstrom(ノードストーム)は、顧客中心のカスタマーエクスペリエンスに特化しているユニークな企業の好例です。メールによるメッセージ戦略、店頭の販売員まで、徹底してカスタマーエクスペリエンスにこだわっています。

誕生日ボーナスといったさまざまな特典を用意したロイヤリティプログラムの提供を検討しましょう。顧客にはVIPになった気分になってもらうのです。店舗同様のカスタマーエクスペリエンスを、オンラインやモバイルアプリでも提供できるようにしましょう。

③ 商品のラインナップ

アマゾンが成功している1つの理由に、増え続けている圧倒的な商品ラインナップがあげられます(長年アマゾンで販売をしていなかったNikeでさえも、アマゾンで商品を販売するようになりました)。

幅広いラインナップがあれば、競合と差別化できます。しかし、全ての企業が「何でも売っているお店」になれるわけではありません。

ラインナップで勝負するのであれば、アマゾンやウォルマートを真似するのではなく、特定のカテゴリーで競争力を高めましょう。あるカテゴリーに関しては、他のどこよりもラインナップが充実しているとを消費者に訴求しましょう。

ラインナップが差別化要因であれば、スマホであれパソコンであれ、商品を簡単に探せるようにすることが重要です。

そして、短時間で商品を探したいと考えている消費者に、ワンストップで欲しい商品が手に入るというメッセージを明確に伝えるのです。どんなカテゴリーで戦うのかを注意深く選択し、利益を増やしてきましょう。

④ プロダクト

自社ECサイトのみで商品を販売しているブランドもあります。たとえば、メガネなどの通販サイト「Target Optical」で、メガネブランド「Warby Parkers」のメガネは販売されていません。

プロダクトを差別化要因にしている企業は、他のECサイトでは手に入らない特別感と一貫したブランディングを意識する必要があります

他のECサイトでは手に入らないプロダクトを提供するなら、アマゾンなどの第三者プラットフォームでの販売には注意しましょう。「Warby Parker」は自社ECサイトだけでプロダクトを販売しつつ、自社限定のユニークなサービスを用意しています。

たとえば、自宅での眼鏡試着、1人ひとりにカスタマイズしたお勧め商品を案内しています。そうすることによって、「Warby Parker」という唯一無二のブランドアイデンティティを確立し、競合他社と差別化しているのです。

◇◇◇

御社は自社ECサイトで最高のカスタマーエクスペリエンスを提供できていますか? それとも、ラインナップで勝負できそうですか?

自社の強みを決めて、デジタル戦略の方向性を決定しましょう

自社ブランドのコアを理解することで、市場のトレンドや新しいチャネルの登場に左右されることなく、カスタマージャーニーを作り上げることができるようになります。

競争力を保ち、今後数年にわたってEC業界で成功するのは、ユニークな自社の強みに集中し、その強みを差別化の武器として前進していけるブランドです

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

Internet RETAILER

ハウステンボスも中国向け越境ECに参入、国営中央テレビとタッグ

7 years 9ヶ月 ago

ハウステンボスは2月19日、中国向け越境ECを支援する新規事業を2018年4月に開始すると発表した。

CCTV(中国国営中央テレビ)グループが運営するインターネットモール「CCTVMALL 日本館」の広域特約代理店として、九州・沖縄地区の企業や個人事業主の出店を支援する。

また、ハウステンボスも「CCTVMALL 日本館」で中国向けに商品を販売。ハウステンボスが中国越境EC事業を手がけるのは初めて。

CCTVは中国の国営放送で、視聴者数は9億人を超えるとされる。「CCTVMALL」は、CCTVが2017年9月に開設したテレビショッピング型のECモール。「CCTVMALL 日本館」は中国で根強い支持を集める日本商材を集めたもの。

ハウステンボスは「CCTVMALL 日本館」の中に、九州や沖縄の商品を集めた「ハウステンボス九州館」を2018年4月に開設する。

「CCTVMALL 日本館」で九州・沖縄地区の商材を販売する

「ハウステンボス九州館」は「直接出店型」「出品型」「観光RP型」の契約形態がある。

  • 直接出店型
    「CCTVMALL 日本館」に直接出店し、本格的に事業を取り組みたい事業者向け。登録商品数100品以上。
  • テナント出品型
    商品を出品して販売する。本格展開前のテスト販売を行う事業者や、直接出店するほどの商品数がない事業者向け。登録商品数10品以上。
  • 観光PR型
    インバウンドの誘致を行う事業者、地方自治体、関係団体向け。動画でのPRなど各種要望に対応する。

ハウステンボスは3月中旬に、出店・出品希望者向けの合同説明会を開催する予定。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

CVR85%増とUX向上を実現したナノ・ユニバースがやったスマホ時代のECサイト改善策

7 years 9ヶ月 ago

アパレルセレクトショップのナノ・ユニバースは、2016年度のEC化率(全社売上高に占めるEC売上高の割合)が40%を超えるなど、EC事業へ積極投資している企業として注目されている。WEB戦略部・越智将平部長が、公式オンラインショップのサイト内検索エンジンを入れ替え、コンバージョン率(CVR)の大幅な改善に成功した事例、スマホEC時代を勝ち抜くための取り組み、今後のデジタル戦略などを語った。写真◎Lab

ナノ・ユニバースが取り組んだECサイト改善策

ナノ・ユニバースは全国に65店舗の実店舗を展開し、自社サイトのほかは「ZOZOTOWN」、「マガシーク」、「楽天市場」など合計8店舗のECサイトを運営している。

2005年のECサイト運営以来、EC売上高は右肩上がり。2013年からはITやECへ積極的に投資している。基幹システムを全面刷新した上で、2014年に実店舗とECの顧客IDを統合。さらに、店頭には公式アプリを立ち上げると会員の来店を検知するビーコンを設置するなど、ECと実店舗の連携にも力を注いでいる。

ここ数年、ナノ・ユニバースはITやECで積極的に先行投資を行い、失敗も繰り返しながら、EC事業を伸ばしてきた。全社売上高に占めるECの割合(EC化率)は40%を超えた。(越智部長)

WEB戦略部・越智将平部長
WEB戦略部・越智将平部長

「ゼロ件ヒット」をなくすため「goo Search Solution」を導入

EC事業に積極投資を続けるナノ・ユニバースが2017年に取り組み、大きな成果を得た施策の1つが、自社ECサイトのサイト内検索エンジンを入れ替えたこと。NTTレゾナントが提供している「goo Search Solution(グー・サーチ・ソリューション)」を2017年3月に導入した。

サイト内検索エンジンを入れ替えた理由の1つは、「フリーワード検索で使われるキーワードの『表記ゆれ』に対応するため」(越智部長)。

「表記ゆれ」とは、1つの意味の事象に対して、複数の単語が使われることを指す。たとえば、「ナノ・ユニバース」というブランド名は、カタカナ表記のほか、「nano universe」「NANO UNIVERSE」「nano unibarse(※スペル間違い)」「なのゆにばーす」といった単語のパターンが考えられる。

アパレルブランドは英語表記が多いため、フリーワード検索で間違ったスペルを入力するユーザーは少なくない。ナノ・ユニバースが従来使用していたサイト内検索エンジンは、こうした「表記ゆれ」に対応できていなかった。

そのため、「表記ゆれ」で来訪者が検索した商品は、実際のところはECサイトで販売していても、検索結果に表示されない「ゼロ件ヒット」が頻発していたという。

越智部長は、「ゼロ件ヒット」が表示される悪影響について、強い危機感を抱いていた。

「ゼロ件ヒット」が続くと、お客さまはECサイトから離脱してしまう。それ以上に問題なのは、品ぞろえが悪いサイトであると誤解されてしまう可能性があること。その結果、ブランドイメージに傷がつく。(越智部長)

ECサイトのCVRは85%向上

「goo Search Solution」は、膨大な単語の表記ゆれのパターンを蓄積したデータベースを持つ。NTTレゾナントが約20年間も運営しているポータルサイト「goo」で収集した検索履歴から、膨大な量の表記ゆれパターンを蓄積してきた。いわば、「表記ゆれの辞書」を持っているということだ。

また、企業が持つ検索ログを使い、「企業ごとに表記ゆれの辞書を作ることもできる」(NTTレゾナント スマートナビゲーション事業部の北岡恵子氏)。

ナノ・ユニバースは自社ECサイトに「goo Search Solution」を導入したことで、サイト内検索経由のCVRが導入前と比べて85%向上したという。

スマートナビゲーション事業部の北岡恵子氏
スマートナビゲーション事業部の北岡恵子氏

スマホサイトの検索性を改善する「タッチサジェスト」

ナノ・ユニバースはスマホサイトの検索の利便性改善にも注力している。スマホサイトのサイト内検索のユーザーインターフェースを改善するため、NTTレゾナントが開発したスマホ用の検索機能「タッチサジェスト」も導入した。

「タッチサジェスト」とは、ユーザーが入力した検索キーワードに応じて、絞り込み検索の条件を自動的に表示する機能。たとえば、検索窓に「トップス」と入力すると、「無地」「ホワイト」「コットン」「長袖」といった、関連性の高い絞り込み条件を検索窓の下に表示。ユーザーは表示された条件をタップするだけで絞り込み検索を行えるため、片手で操作でき、直感的に欲しい商品にたどり着ける

「タッチサジェスト」のイメージ
「タッチサジェスト」のイメージ

「タッチサジェスト」を導入した理由について越智部長は、「通勤電車の中で、つり革につかまっているときなど、片手でスマホを操作していても使いやすい検索機能にした」と説明する。

ナノ・ユニバースのEC売上高の8割以上はスマホ経由。画面が小さく、片手で操作することが多いスマホサイトでは、サイト内検索の使い勝手の良し悪しがCVRを大きく左右する。実際、ナノ・ユニバースは、「パソコンに比べて、スマホを使ったサイト内検索からの離脱率が高いことが悩みの種だった」(越智部長)と言う。

「タッチサジェスト」の導入後、スマホサイトの訪問者1人あたりの滞在時間が1.5倍に増加した。「検索しやすくなったことで、滞在時間が増えたと考えられる」(同)と分析している。

コンバージョン回z線 検索体験の向上サイト内検索をgooサーチに変更スマホの検索補助タッチサジェストを開発表記揺れに強くなり、検索経由CVR85%向上一人あたりPVが1.5倍アップ
ナノ・ユニバースが取り組んだサイト内検索に関連するCVR改善のためのアクションなど

AIが検索結果を自動最適化

「goo Search Solution」の特徴の1つとして、人工知能(AI)が検索ログを読み込んで検索結果を自動最適化する機能があげられる。ユーザーが入力した検索クエリやクリックした項目、購入まで至っているか否かといった情報をベースに、「検索エンジンが最適な検索結果を学習し、表示順位を決定する」(北岡氏)。

EC事業者が検索エンジンの表示結果をメンテナンスしなくても、「ユーザーが最もクリックしやすい検索結果」を自動で生成するため、運用の負担が軽いこともメリットとなる。

最適化した検索結果 ログ解析 貴社ECサイト検索ログ ユーザー行動ログ 何を検索したか 何をクリックしたか 何を購入したか
ユーザーの行動ログを分析し、最適な検索結果を学習する

ECサイトを「メディア化」する理由

ナノ・ユニバースは近年、ECサイトで掲載する画像の充実化、読み物コンテンツを頻繁に更新したりすることで、「ECサイトのメディア化」を進めている。

ECサイトのメディア化を進める理由は、アパレル製品を購入する前にインターネットで商品情報を検索する消費者が増え、ブランドイメージはある程度Web上の情報で決まってしまうと考えているためだ。

1枚1000円以下でも服が買える時代に、弊社のECサイトで1万円の服を買ってもらうためには、Webを通じて「ブランドの価値」をしっかりお客さまにアピールしなくてはならない。(越智部長)

越智部長が特に重視しているのは、ECサイトの写真のクオリティー。社内にコンテンツ制作部門を設置し、写真撮影チームは14人(カタログ用など含む)、Web制作チームは8人、動画チームは4人を配置するなど、コンテンツ制作に手厚い布陣を敷く。

ECサイトにおけるクオリティーの高い写真とは、どのようなものか。ナノ・ユニバースは客観的な基準で写真のクオリティーを判断できるように、サムネイルや商品写真ごとにクリック率やコンバージョン率を計測している。

さらに、写真を入れ替えながらクリック率(CTR)のABテストを行うなどして、PDCAを徹底。クリックされやすい写真の特徴を言語化して社内で共有し、「感性に頼らず、クリックされやすい写真を作るノウハウを社内に蓄積している」(越智部長)。

感覚と数値で写真を改善 画像差し替えによる効果検証
写真のCTRを計測し、画像を差し替えながらABテストを実施している

ECと実店舗が連動してロイヤルカスタマーを育成

越智部長は今後、「ECと実店舗を組み合わせてロイヤルカスタマーを増やしていく」と強調する。

ナノ・ユバースのロイヤルカスタマーの約90%は、実店舗で会員登録しているという。また、実店舗とECの両方を利用している会員の年間購入額は、顧客全体の平均と比べて約3.5倍。さらに、ナノ・ユニバースのWeb上のコンテンツを見てから来店する会員の店頭でのCVRは、Web上のコンテンツを見ずに来店した場合の約4倍に達するという。

こうした現状を踏まえ、ナノ・ユニバースは「ECサイト経由で実店舗に来店する会員」を増やすことを重視。2017年11月には公式アプリをリニューアルし、ECサイトで「お気に入り登録」した商品が店舗に入荷されるとプッシュ通知する機能を実装するなど、オンラインから実店舗へと誘導する仕組みを強化している。

また、WEB事業部では、ECサイトを閲覧してから実店舗に来店した会員の、購入金額や購入率を経営指標に設定しているという。

ファッションECは飽和が始まっており、今後はますます新規獲得が難しくなる。ロイヤルカスタマーを育てていくことが重要になっており、そのためにECと店舗の相乗効果を狙っていく。(越智部長)

講演風景

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

富士山頂からDM発送!? 静岡のお茶販売・ティーライフ流おもてなし術とは? | EC業界で活躍する女性の働き方に迫る“e-女”~Presented by売れるネット広告社~

7 years 9ヶ月 ago

こんにちは、売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオです。この連載ではeコマース業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談していきます。

2回目となる今回は、情報・バラエティ番組「ヒルナンデス!」で紹介された「メタボメ茶」など、お客さまの健康とキレイのためにこだわり抜いた商品を販売するティーライフ株式会社で、顧客開拓課の課長を務める鳥居麻理さんと対談します。

加藤公一レオ(以下加藤):本日はお越しいただきありがとうございます。よろしくお願いします!

鳥居麻理(以下鳥居):こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いします!

今回の“e-女”

ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん
1987年、静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部卒業後、ティーライフ株式会社に入社。入社以来Web漬けでリスティング、アフィリエイト、純広告などで新規顧客開拓を行い、初回注文から1年を通したCRMを担当。「1人でも多くの方に商品を愛用していただきたい!」という思いで、ティーライフとまだご縁をいただいていない方にどうしたら知ってもらえるか、好きになってもらえるかをひたすら考えている。2016年ダイエットアドバイザーの資格取得。2017年8月に顧客開拓部顧客開拓課課長に就任。

いかにお客様との関係性を築くかがネット通販の担当者としての腕の見せどころ

加藤:ネットショップ業界に入ったきっかけを教えてください。

鳥居:最初はネットショップ業界へ就職するとは思っていませんでした。私が働く上で重要だと感じていることは“誰と働くか”という点でした。就職活動中にティーライフの会社見学に行き「なんて温かい会社なんだ」と感銘を受け入社を決めました。ネットショップでお客さまとの接点を増やしていく社員のみなさんと一緒に働きたいと思ったんです。入社時は総務希望だったのですが、配属先は顧客開拓部門でとても驚きました(笑)。

顧客開拓部は希望部署ではなかったので不安でしたが、「通信販売の会社に入ったからには新規開拓が会社のエンジンだ!」という社長の言葉に感化され、今ではお客さまとティーライフの出会いを演出できる仕事にやりがいを感じています。

加藤:通販会社は、新規開拓をする部署が最も人気な部署なんですよね。そこに抜擢された鳥居さんは素晴らしいと思いますよ。入社して8年間、ずっと同じ部署なんですか?

鳥居:入社してから8年間、ずっとネット通販の新規開拓を担当しています。あとは、CRMも担当しているので、新規のお客さまを1年間サポートしています。メンバーは総勢7人です。少数精鋭でバリバリやった方がうまく連携も取れますし、チームワークがとても良いと感じています。

加藤: ネット通販部門に関しては、私の経験則上、少数精鋭の方が圧倒的に成績が良い傾向にあります。人数が増えすぎたチームはうまく機能しないと思っています。なぜかというと、広告・マーケティングの運用は1人か2人の責任者が、「すべての責任を取る」という自覚を持ってすべてを把握していないと難しいからです。

人が増えれば増えるほど連携は取りづらくなりますし、間違いなく効率が落ちます。1人ひとりがクライアントの目標を「自分事」として執着し、責任者として自覚を持って行動し続けるようにした方が、良い成果を導くことができます

鳥居:確かにそうですね。お互いに「あの人がやってくれるだろう」と頼りがちになってしまいますし、重要な判断も複数人いると意見がまとまらないケースが発生してしまいます。そうなるとどうしても動きは鈍くなるので、機会損失やトラブルが生じてしまうと思います。

ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん

加藤:鳥居さんが新規開拓に携わってきた中で感じる仕事の面白さ、難しさは何ですか?

鳥居:面白いのはお客さまの年齢、性別、嗜好を分析して企画を考えられることです。さらにお客さまの声を参考に試行錯誤を繰り返す一連の流れが面白いです。

加藤:仮説を立てて施策を打って、多くのお客さまが喜んでいただける答えを導き出せたときはとても嬉しいですよね。ただ、そこで重要なのはそこで満足せずに絶えずPDCR(Plan Do Check Replan)を回し続けて最適化を図り続けることだと思います。

鳥居:レオさんのおっしゃる通り、この業界にいれば常に突き当たる壁だと思いますが、答えはないんですよね。成果が芳しくない時はこれで合っているのだろうかと不安になりますし。常にお客さまが満足いただけるように工夫し続けることが大切だと感じています。この仕事の難しさは、答えがないということです。また、お客さまを取り巻く環境が変化すれば求められことも変わっていくので、それを常にキャッチアップしていかないと取り残されてしまいます

時には、お客さまに当社を知っていただき、関係性構築の時間を長くいただけないこともあり、すぐに別の商品に目移りされてしまうことがあります。そんな中で。いかにお客さまとの関係性を築いていけるかが、ネット通販の担当者としての腕の見せどころだと思っています。

ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん

「商品券セール」や「富士山頂からの暑中見舞い」で定期顧客の心をつかむ

加藤:ティーライフさんとは長いお付き合いになりますが、本当に愛社精神が強く社風もとても明るく前向きで、個人的に大好きな通販会社さんなんです。 御社の面白い取り組みや画期的な制度などあれば、教えてください。

鳥居:いくつかありますが、まず「商品券セール」という制度があります。これは、ご家庭で持て余している商品券や切手、未使用のハガキで当社商品を購入できる制度です。「お客さまが持っていて困っているものって何だろう?」ということを社内で考えたことがきっかけで始まりました。お客さまから使い道のない商品券や古い切手やハガキを送っていただいて、その分を商品購入額から割引できるようにしたんです。中には、段ボール1個分の年賀ハガキや大量の切手をいただくこともあります。

加藤:面白い! 確かに私の家にもタンスの肥やしになっている商品券がたくさんあります。私も商品券セール利用します! 他には何かありますか?

鳥居:優良顧客限定で「富士山頂からの暑中見舞い」をお送りしています。社長を含めた暑中見舞いメンバーで大量のお便りを持って富士山頂をめざします。富士山の頂上から送るお便りはとっても素敵なんです。お客さまからとても好評で、弊社の恒例行事になっています。私たちの会社は静岡県にあるので、そのアピールにもなっています。

富士山頂郵便局
富士宮口頂上にある富士山頂郵便局(開局するのは夏期のみ)。富士山と局舎をデザインしたオリジナルの消印が押される

鳥居:本当はすべてのお客さまにお送りしたいのですが、量が多くて富士山頂郵便局の方にご迷惑をかけてしまうので、いつもご利用いただいている優良顧客の方に限定してお送りしています。マーケティングという点では、お金も時間もかかる施策ですが、お客さまの喜びの声がとにかくすごいんです。

加藤:素晴らしいですね。今の日本のネット通販は、「また買ってくれる」と安易に考えているのか、定期顧客に引き上がったお客さまに対して何もしません。新規顧客の獲得にばかり気を取られ、定期顧客のフォローがおろそかになっているとLTV(顧客生涯価値)は上がりません。御社の取り組みは、定期顧客の心をつかむ最高のおもてなしだと思います。

主力は「ダイエットプーアール茶」と「メタボメ茶」。化粧品の新ブランドも展開

加藤:日本一のお茶どころと言えば静岡ですが、御社の商品について教えてください。

鳥居:当社の主力商品の中でも核となるのは「ダイエットプーアール茶」と「メタボメ茶」です。ダイエット茶として有名なプーアール茶を特別な蒸気殺菌技術によって美味しく飲みやすくしました。香ばしい黒豆をはじめ、プーアール茶やウーロン茶、杜仲茶(トチュウ)をブレンドした健康茶として人気です。健康とキレイを意識していただくために、飲みやすく続けやすいお茶をめざしています。

加藤:社内でもとても好評でみんな飲んでいますよ! 私も愛飲しています。みるみるとすっきり健康的な体になっていった社員もいましたね。美味しいお茶がダイエット効果もあるなんて本当にいい商品だと思います。 最近は、新しい商品を発売されたというニュースも聞きました。

鳥居:化粧品を出すことになりました。「teatea」という商品です。お客さまの声から開発したスキンケア商品で、お茶エキスを豊富に含んでいます。お茶から生まれたスキンケア商品なので、毎日飲むお茶のように自然と生活の一部に溶け込む化粧品をめざした新ブランドです。

加藤:そうなんですね。化粧品は中小企業にとってものすごく可能性がある世界だと思っています。なぜかというと、健康食品は効果が表れるまで時間がかかって即効性がないですよね。なので、面白く話題性のある商品を開発したところで、大手から類似商品を販売されてしまえば、たちまち市場を奪われてしまいます。

対して化粧品は効果が分かりやすいですし、お茶の名産・静岡県にある御社のように、強みを生かして差別化することができますし、健康のためのお茶、キレイになるためのお茶としてのブランドイメージがすでにあれば、他の化粧品メーカーさんは太刀打ちできないでしょう。

売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏

ユーザー環境が変化する中、お客さまに寄り添った親身なサービスをどう提供するかが課題

加藤:ここ数年だけでもEC市場、消費者は大きく変化したと思います。実際にネット通販の担当者として感じた変化について教えてください。 

鳥居:私が入社した8年前は、今とは違い広告へのネガイメージが少なかったので、「こうすれば買っていただけるだろう」という仮説が上手くはまっていました。しかし今は「広告は嫌い」「見たくない」「スキップする」という状況に変化しています。なのでお客様にとって、いかに有益な情報や商品をお届けできるかというところを意識しています

また、ここ数年のスマートフォンの普及により、顧客年齢層が高いティーライフでもスマートフォンの利用端末比率がPCを上回り、より見やすく、簡単に買い物ができるサイトが求められています

ティーライフはお客さまに寄り添った親身なサービスを売りにしている会社なので、AI(人工知能)などが日々進化している中、ティーライフらしい対面販売型の通信販売をどのように提供していけるか模索しています。

加藤:今のネットショップ業界について、どのように感じていますか?

鳥居:業界の動向の変容がすごく激しいと感じています。Googleのアルゴリズム変動もしかり、モバイルファーストインデックスなど、とにかく動きが早いですね。ただ、ユーザーを操作しているという気持ちではなく、何よりもお客さまの声を第一に考え、人間臭いところをもっと重要視していかないといけないと感じています。

加藤:確かに私もそう思います。世の中、デジタルだからこそアナログにすべきだと思っています。だから、意外と手書きのお手紙が効果的なんですよね。伝えたい思いをアナログに伝えていく。富士山から暑中見舞いをお送りするということもそうですが、伝えたい思いをどうやって伝えるかということはとても重要ですね。

鳥居:実はお客さまから手書きのお手紙をいただくことが多く、本当にありがたく思っています。そういった思いは必ず1人ひとりに思いを込めて対応しています。「お客さまのためになりたい」という思いを精一杯伝えています。

加藤:素晴らしい。最後にズバリ、今後チャレンジしたいことを教えてください。

鳥居:新規開拓をずっとやってきたからこそのお客さま目線を大切にして、商品開発に携わりたいです。お客さまの声をダイレクトに反映させて市場とギャップのない商品作りがしたいです。

加藤:お客さまの声を商品に反映させるということは新規開拓をしていた鳥居さんだからこそできることですし、通販会社に勤める醍醐味でもありますよね! 本日は鳥居さんらしいお客様を思いやる回答をいただけてとても素敵な対談になりました。ありがとうございました!

売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏、ティーライフ株式会社 鳥居麻理さん

対談を終えて

本日は、“e-女”鳥居さんと対談しました。彼女が新卒入社から8年間、ネット通販一筋で追求してきた「お客さまのためになりたい」という思いは、ネット通販担当者の鏡だと思います。なぜなら、ネット通販は、お客さまに合った商品を提供し常に思いやる相思相愛の関係性を築く必要があるからです。今後も鳥居さんに目が離せません。

加藤 公一 レオ

株式会社 売れるネット広告社 代表取締役社長

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。 西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。

その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社アサツーディ・ケイ(ADK)にて、 一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、 担当した全てのクライアント(広告主)のネット広告を大成功させる。

その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、 クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。

やずやベストパートナー賞 受賞。 Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞 受賞。 通販エキスパート検定1級。 「アドテック」「宣伝会議」「日経デジタルマーケティング」「通販新聞」など講演多数。

アドテック東京2012 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 アドテック九州2013 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 アドテック九州2014 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 「九州インターネット広告協会」の初代会長も務めた。

著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売り上げがアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ売れるネットショップ繁盛記(インプレス)』がある。

加藤 公一 レオ
確認済み
1 時間 14 分 ago
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