ネットショップ担当者フォーラム

ソーシャルログインとは? ECサイトにもたらす超基本のメリット3つをおさらい | ソーシャルログインとは? ECオーナーが知っておきたい基本

7 years 9ヶ月 ago

ソーシャルログイン(ソーシャルサインイン)とは、ユーザーが利用している既存のSNSアカウントを利用して、Webサイトやサービスにログインできる機能です。

ソーシャルログインは、今も進化を続けています。スマートフォンシフトが進むなかで、ソーシャルログインはユーザーの利便性を高めるUXの側面だけでなく、企業のOne to Oneマーケティングの起点になる非常に重要な接点の1つとなりました。

LINEの参入で注目を集めるソーシャルログイン

ソーシャルログイン機能は当初、FacebookやTwitterから始まりました。その後、GoogleやYahoo! JAPANが加わり、2017年にはLINEが本格的に参入して注目を集めています。

一般的なWebサービスは、会員登録時にIDとパスワード(PW)を設定して登録しますが(メールアドレスがそのままIDになるケースが多い)、ソーシャルログインに対応したWebサービスであれば、すでに使い慣れているSNSアカウントを使ってログインできます。

新しくWebサービスやアプリの利用登録をするときに、次のような登録画面を見たことはないでしょうか。

ソーシャルログインを利用したサイトのログイン画面

ユーザーは、わずらわしい会員登録の手間を省き、簡単にサービスを利用できて、新しくIDやPWを覚える必要もありません。ユーザー視点で見れば、この手軽さが一番のメリットだと言えるでしょう。

ECサイトでは、「情報入力する手間が省けるサイト」が支持される傾向があります。ユーザーは個人情報の入力に抵抗がありますし、登録するID/PWをやみくもに増やしたくありません。

ソーシャルログインでユーザーが得られるメリット

改めてソーシャルログインのメリットを整理しましょう。ユーザーへのメリットは非常にわかりやすく、次の3点。導入することでサイトの利便性を高めることができます。

  1. 会員登録時に登録フォームの情報を埋めてくれる
  2. 再ログイン時に使い慣れたID/PWでログインできる
  3. 二段階認証を利用できる

1. 会員登録時に登録フォームの情報を埋めてくれる

ソーシャルログインに対応したサイトであれば、各SNSプロバイダから取得できる情報で登録フォームの内容を埋めることができるので、ユーザーは会員登録作業のほとんどをタップ操作で進めることができます。

タップ操作で簡単に会員登録を進められる

スマートフォンシフトが進み、ユーザーが利用するデバイスの画面は小さくなりました。PCよりも小さくなった画面上で、PC感覚で会員登録フォームに個人情報を入力させることは、ユーザーにとって苦痛でしかありません。

スマホの小さな画面では、PCと比べてフォームの入力に手間がかかります。

会員登録フォームでは必要最低限の情報を取得するにとどめ、企業はユーザーとの接点を持つことに注力するべきです。タップ操作だけで進められるようにしたり、入力項目を少なくしたりするなど、ユーザーのストレスを減らすことができれば、登録完了にたどり着く確率が高くなります。それが、ソーシャルログインで実現できるのです。

ただし、取得できる情報はSNSプロバイダごとに差があります。次の図を登録フォームの必須項目を決める判断材料に活用ください。

ソーシャルログインで取得できる情報はSNSプロバイダによって異なる(2018年1月末、フィードフォース調べ)

2. 再ログイン時に使い慣れたID/PWでログインできる

ソーシャルログインには、ID/PWの管理が楽になるというメリットもあります。

世の中には数えきれないくらいのWebサービスやアプリが存在し、生活者1人当たりが利用するWebサービスの数は増えつつあるため、それぞれのID/PWを覚えることは年々、難しくなっています。

「1Password」のようなPW管理アプリを利用したり、PWをブラウザ上に保存することで覚えないという方法もありますが、前者はまだまだ一般的ではなく、後者の場合は端末やブラウザが変わるとPWがまったくわからなくなってしまいます。

毎週のように利用するサイトならPWを思い出せそうなものですが、年に数回といったサイトもあります。

  • 頻繁に訪問するサイト(週1回)
  • たまに訪問するサイト(月1回)
  • まれに訪問するサイト(年数回)

ID/PWがすべて同じであれば、訪問周期は関係ないでしょう(セキュリティ的には望ましくありません)。しかし、少しでも違うPWで管理していた場合は、週1回の訪問では数サイトを覚えるのが限界です。月1回の訪問になると、恐らくPWを思い出せないケースが出てくるはずです。

特に最近は、セキュリティレベルが厳しい複雑なPW設定をデフォルトとするサイトも増えています。訪問するたびにPWを再設定するといった経験はないでしょうか。

8文字以上で英大文字と英小文字と数字が必要。これに記号が加わると……

ソーシャルログインに対応したサイトなら、使い慣れているSNSプラットフォームのアカウントでログインできます。訪問するたびにPWを思い出すなど、無駄な時間を過ごすこともなく、簡単にログインできるのです。

3. 二段階認証を利用できる

二段階(二要素)認証とは、「ID/PW」に別の要素を加えた、2つの要素で認証を行うことです。具体的には、次の3つの要素のうち2つを組み合わせた認証の仕組みをいい、セキュリティを強化できます。

  • ユーザー本人だけが知り得る要素(ID/PWなど)
  • ユーザー本人だけが所有する物(キャッシュカードなど)
  • ユーザー本人の特性(指紋、顔認証など)

代表的な手法に「ワンタイムパスワード」があります。これは、本人だけが所持する認証デバイス(セキュリティトークン)に届くパスワードを利用するものです。

トークンに届いたパスワードを使ってログインする
dcdp/Thinkstock

最近は、トークンではなくスマホアプリでワンタイムパスワードを発行するサイトもあります。認証アプリとしては、「Google Authenticator」や「Authy」などが有名です。

Amazonの二段階認証の設定画面。SMSや認証アプリでパスワードを受け取れる

最近ではGoogleやFacebookのように、スマートフォンに届く通知に対し「はい」をタッチするだけのものもあり、利便性も損ないません。

Facebook(左)とGoogle(右)からスマホに届いたログイン通知

ソーシャルログインで企業が得られるメリット

ソーシャルログインの導入で企業が得られるメリットは、ユーザーが得られるメリットを逆の視点から見たものになります。

ソーシャルログインで企業が得られるメリット
  1. 会員登録時に登録フォームの情報を埋めてくれる
  2. 再ログイン時に使い慣れたID/PWでログインできる
  3. 二段階認証を提供できる

上記の3つから企業には下記のようなメリットをもたらします。

  • 会員登録時の離脱率が減る
  • 詳しいユーザー情報を得られる(SNSプロバイダによる)
  • 再訪率が上がる
  • PW再発行やログインできないという問い合わせが減る
  • セキュリティ対策へのコストが減らせる

特に「会員登録時の離脱率が減る」「再訪率が上がる」という点はニーズが高いです。EC企業からのニーズも同様ですが、自社のサービス/商品がどのプラットフォームと相性が良いか(どのSNSアカウントでログインしているのか)、判断材料にもなることも支持されています。

実際、弊社のソーシャルログインサービスを利用する企業のなかには、新規会員登録率が38%上がった例や、ソーシャルログインで登録したユーザーの再訪率が70%を超えるといった事例もあります。

◇◇◇

今回は昨年までの一般的なソーシャルログインについてまとめました。次回は今年に入って大きく変わったソーシャルログインのトレンドと、ソーシャルログインの新しい活用方法について紹介します。

岡田 風早

株式会社フィードフォース

岡田 風早(おかだ かざはや)
株式会社フィードフォース
ソーシャルPLUSプロダクトマネージャー 兼 カスタマーサクセスチーム

ソーシャルログイン/ID連携ASPサービス「ソーシャルPLUS」のプロダクトマネージャーとして2015年フィードフォースに入社。その後、カスタマーサクセスチームの立ち上げに携わり、「ソーシャルPLUS」プロダクトマネージャーを兼任している。LINE社とLINEログインにおけるパートナー契約を中心になって進め、ビジネスコネクトパートナーや大手代理店と連携して、企業のLINEによるOne to Oneコミュニケーション実現の設計に数多く携わる。

岡田 風早

ローソンが店頭受取&決済の生鮮食品EC「ローソン フレッシュ ピック」をスタート

7 years 9ヶ月 ago

ローソンは3月6日、生鮮食料品の注文をネットで受け、コンビニ店頭で決済と商品の受け渡しを行う新たなサービス「ローソン フレッシュ ピック」を始めた。

野菜や果物、調味料など約500種類を販売。消費者は午前8時までに予約すると、当日午後6時以降に店舗で商品を受け取ることができる。

当初は東京・世田谷区と渋谷区、神奈川県川崎市、横浜市の一部地域(約200店舗)でサービスを提供。今後はエリアを首都圏に拡大し、全国展開を検討する。

「ローソン フレッシュ ピック」はローソン型ラストワンマイルと名付けている

野菜や果物、豆腐や納豆などの食品、調味料のほか、食材と調味料などがセットになったオイシックスドット大地のKit Oisix(ミールキット)も販売している。成城石井などスーパーや専門店の商品も含まれている。

商品の一例の参考価格(税込)はレタス1個193円、国産豚細切れ200グラムで298円、「旨味が効いた海鮮八宝菜キット」は832円。

「ローソン フレッシュ ピック」の利用条件は1回あたりの購入金額1000円以上。

午前8時までの注文は、午前9時にEC物流センターで商品をピックアップし、昼頃に出荷、指定店舗に商品を納品し、午後6時以降に商品を店頭で受け渡す。

ローソンの「ローソン フレッシュ ピック」の流れ

サービスの流れ

既存のコンビニの店舗網と物流網を活用しているため、新たな物流の構築は行わないという。

生鮮食品のECは競争が激化している。アマゾンジャパンは2017年4月、生鮮食品などを注文から最短4時間で配送する「Amazonフレッシュ(アマゾンフレッシュ)」をスタート。

セブン&アイホールディングスとアスクルは2017年11月、生鮮食料品のECサービス「IYフレッシュ」を共同で立ち上げた。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

英会話教育のEC会社に有利誤認で措置命令、消費者庁

7 years 9ヶ月 ago

不当な二重価格をWebサイトに表示していたとして、消費者庁は3月2日、英会話教材を販売するSPRINGに対して再発防止策を求める措置命令を出した。

景品表示法の有利誤認(実際のものよりも著しく有利であると消費者を誤認させること)に該当すると判断した。

消費者庁によると、SPRINGはキャンペーン期間中に限り通常価格2万9800円の商品を1万9800円で販売しているとWebサイトに表示し、英会話教材「7+English」を販売していた。しかし、実際はキャンペーン期間に関係なく、Webサイトを初めて訪問した消費者に1万9800円以下で販売していた。

消費者の閲覧履歴からサイト訪問回数を特定し、閲覧初日から5日目以降にサイトを閲覧した場合に限り、実際の販売価格(2万9800円)が表示される仕組みだったという。

消費者庁は英会話教材を販売するSPRINGに対して再発防止策を求める措置命令を出した。

有利誤認に該当すると判断された表示例

消費者庁による措置命令は以下の3点。

  • 実際よりも安い価格であるかのように表示し、景品表示法に違反していたことを一般消費者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講じ、役員と従業員に周知徹底すること
  • 今後、同様の表示を行わないこと

景品表示法とは?

不当表示や不当景品から消費者の利益を保護するための法律が「景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」。景品表示法は、商品・サービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制。また、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限している。

不当表示は大きく分けて3つの種類がある。

  • 優良誤認表示(商品・サービスの品質、規格、その他の内容についての不当表示)
  • 有利誤認表示(商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示)
  • その他 誤認される恐れのある表示(一般消費者に誤認される恐れがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示)

SPRINGのケースは有利誤認にあたる。商品・サービスの価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は不当表示となる。

優良誤認を招く不当表示の例

優良誤認を招く不当表示の例(消費者庁の資料を編集部がキャプチャ)

消費者庁では、各種資料をまとめた景品表示法用コーナー、「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック(PDFが開きます)などで、景品表示法に関するさまざまな情報を提供している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「ネットを見てからお店に行く」が増加中。ナノ・ユニバースが見つけたオムニチャネルの「2周目」【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

7 years 9ヶ月 ago

ナノ・ユニバースさんはオムニチャネルの1周目は終わっていて、すでに2周目に入っているようです。2周目とは店舗のショールーム化が終わって、ECを見てからお店に来る人が増えている状況のことです。ユーザーの動きはこちらが考えている以上に早いです。

お客さんをコントロールしないことがオムニチャネルのポイント

[対談]ナノ・ユニバース越智さんが話す、試行錯誤の末に辿り着いた「オムニチャネルの答え」とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/5437

まとめると、

  • ナノ・ユニバースにとってのZOZOTOWNは、自分たちでリーチできないお客さんを広く取ってきてくれるディベロッパーのような場。自社ECは超優良顧客のポテンシャルをもったお客さんに、しっかりサービスを提供する場
  • 顔写真を登録すると1%、クレジットカードの情報を登録するさらに1%というように、個人情報の登録数に応じてポイント還元率を上げている
  • 店舗の売り上げが自社ECの影響を受けた時期を経て、現在は「ECを見てからお店に来る」というお客さんが増えているEC担当者の役割は商品画像のビジュアルを良くして「店舗で見てみたい」と思ってもらえるようにアシストすること

欲しいものがあった時にECで買う人もいれば、試着をしたい人もいる。でもそれって、僕がコントロールできる話ではないですよね。例えばさっきのようにお店の前を通りかかった時にプッシュ通知を送ることで商品を思い出してもらうなど、店舗とECサイトの合間をアシストすることが僕らに出来ることなんじゃないかなと思っています

オムニチャネルで店舗とECで売上を取り合うという段階は通り越して、すでに2周目に入っているというナノ・ユニバースさん。ユーザー側もECサイトを見て店舗に来る人が増えているようです。次にやることは店舗とECの隙間にあるタイミング。まさにシームレスですね。

読まないのはもったいない! ツイートの拡散に必要なのはコレだった!

口コミ拡散のためにはコンテンツが1番、では2番は何に? jigen_1さんが語るツイートが拡散する仕組みとは | Marketeer
https://marketeer.jp/jigen_1_second/

まとめると、

  • 口コミの拡散に1番必要なのはコンテンツ。2番目はフォロワーの行動分析
  • フォロワーには①フォロー数が少ない人、②ツイート数が多い人、③インタレストグラフ(興味・関心)でつながっている人の3種類ある。拡散してくれるのは①と②
  • インフルエンサーとはリツイートしてくれる人。インフルエンサーをフォロワーで評価するのは間違い

まずはプロモアカウント(フォロワーを獲得するための広告配信)をやるべきです。プロモアカウントであれば、キーワードターゲティングなどで質の高いフォロワーを獲得できますし、そうして獲得したフォロワーの中から第1パターン、第2パターンに当てはまるフォロワーをフォローバックしていくことでフォローを外されないようにできます。

SNSは数だけ追っても何の意味もないですよね。発信するだけなんてもっと意味がないです。拡散したくなるようなネタを作って、拡散してくれる人を見つけていくことからスタート。記事の内容はとても役立つものばかりなのですが、いきなりここから始めないようにしましょうね。

ローカルビジネスにはGoogleマイビジネスが必須!

Googleマイビジネスのリスティングを最適化する方法 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2018/02/26/28384

ローカルビジネスのホームページにはBASE使うの最高じゃね? | F's Garage
https://f-shin.net/fsgarage/6236

ローカルビジネス(カフェなど)のホームページがほとんど意味ないのでは...という話 | note(shogo@エントワコミュニティ)
https://note.mu/seeekone/n/n189a6c87884d

まとめると、

  • Googleマイビジネスのプロフィール欄には、潜在顧客に自分の企業を見つけてもらいやすくするのに役立つデータが盛り込まれる
  • 営業日、営業時間、イベント、住所、電話番号など、店舗に必要な情報を登録できる
  • オンラインレビューは、検索順位や消費者の信頼だけでなく、クリックスルー率にも影響を及ぼす

Googleマイビジネスのダッシュボードに定期的にログインして、自分のリスティングに誰も不要な変更を加えないようにすることが非常に重要な理由の1つに、これがある。もし誰かがオーナーの承認を必要とする変更を提案した場合は、変更が保留中であることを示す通知が表示される。

Googleマイビジネスのリスティングを最適化する方法

「ローカルビジネスでやるべきはGoogleマイビジネス」というのは私も同感です。「お店の売上を上げたいからネットショップを」となるのはその先の先。検索エンジンもどんどん賢くなっていますので、臨時休業やイベント情報などをちゃんと更新していきましょう。

EC全般

競合に"棚を明け渡す"と利益が増えるワケ | PRESIDENT Online
http://president.jp/articles/-/24477

“「いつか売れる」は「いつまでも売れない」とほぼ同義である”。これはものすごく納得。

洗顔商材の魅力を伝える広告で、「メラニン」「美白」「透明感」「明るく」「白く」は使用できる? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5144

メラニンは×、透明感は〇などパッと見だけはわからないので、記事に書いてある説明を読んでおきましょう。

アマゾン、フルフィルメント支援のFBA手数料と料金体系を改定へ(4/24~) | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5187

Amazon、取引メーカーに「協力金」要求か 物流費の上昇緩和で | ITmedia ビジネスオンライン
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/28/news083.html

経済誌では「Amazonジワリ値上げ」と書かれそうな話題。大家さんには逆らえません。

クロネコヤマトのネットショップ開業サービス「らくうるカート」|ヤマトフィナンシャル
https://www.yamatofinancial.jp/cart/

他のサービスとあまり変わらない印象。ヤマトさんだけのサービスがあれば……と思ってしまう。

どん底から再生したタオル業界の風雲児。今治から最高のタオルを届けるチーム「IKEUCHI」の裏側 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5076

バックヤードの人が接客意識を持っているところは強い。

読み込み速度改善が売上に与える影響と競合とのスピードを比較するツールをGoogleが公開 | 海外SEO情報ブログ
https://www.suzukikenichi.com/...

読み込み速度はますます重要になっています。特にスマホは要チェック。

楽天RMSにABテスト機能が実装!!ページ改善に活用してみよう | ネットショップ運営の気になる備忘録
http://peacepopo.net/blog-entry-252.html

いつの間にかこんな機能が。アクセスが多いページでお試しを。

「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイ、LINEショッピングに出店 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5204

ZOZOUSED、マーケットプレイス開始 コメ兵とゲオが出店 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/5476

ZOZO関連記事を2つ。それより、ZOZOSUITEはどこに行ってしまったんでしょうか……。

FutureShop2(フューチャーショップ2)動的リマーケティングとの連携について | 株式会社グランフェアズ
https://www.granfairs.com/blog/staff/fs-dynamic-remarketing

マーチャントセンターにはログインできないので注意。

今週の名言

みんなで話しているとすぐに検索する人がいるじゃないですか。ザビエルの首元にあるやつって面白いよねって話が出たとして、それはザビエルを深掘りする企画をやりたいわけではなくて、そこから話を広げたいだけなのに、検索して「アレは、なんとかですね!」って答えを出す博士君みたいな人がいる。そうやって正解を言われてしまうと話の腰を折りますよね。全くイノベーションじゃない。

デイリーポータルZの林編集長と閑談 「なんでそれやるの?と聞かれると僕らは消えていなくなります」 | ウェブ電通報
https://dentsu-ho.com/articles/5846

アイデアを出すときにはアイデアが出やすい環境やスタッフィングが重要です。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

【AI活用例】作業の効率化、ECサイトでの販促、顧客対応――見えてきた効果と課題とは | 通販新聞ダイジェスト

7 years 9ヶ月 ago

昨今、なにかと話題のAI(人工知能)。日常生活やビジネスの現場などさまざまなシーンでの実用化が進んでいる。そうした中、通販の領域ではどのような役割を果たしていくのだろうか。フルフィルメントの作業工程や、サイト上での売り方、あるいは顧客からの問い合わせなどで今、AIが通販のお助け役となりつつある。最新のAI活用事例を見ていく。

"音声採寸"で業務時間を短縮

「サイズ、L……着丈、66……肩幅、42……」――。

アパレル企業などの通販サイト向けにファッションアイテムのささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)を手がけているささげ屋。同社が今取り組んでいるのが、作業員の“声”による採寸データの入力だ。

AIを通販・ECの「ささげ」業務に活用
作業員が計測したサイズを声に出して言うと、その音声を認識し自動的に採寸データが登録される。キーボードでの入力に比べて作業時間を短縮できる

通常、衣料品や雑貨などのサイズを計測する際はキーボードで入力しており、繁忙期などは採寸と入力の担当を分けて2人体制で作業をこなすこともある。

この採寸業務を効率化するために同社が目をつけたのが、東芝デジタルソリューションズのコミュニケーションAI「リカイアス」だ。リカイアスは音声の合成や翻訳など複数の機能を持つが、その中に音声認識技術を使って作業記録を音声で入力できる「フィールドボイス」というサービスも提供している。

ささげ屋はこのサービスに注目した。同社の秋山宙士社長は「新しい技術を知ったことで、これまでなかった“音声採寸”というものに気づくことができた」と述べる。

ささげ屋が進めている“音声採寸”の中身はこうだ。

専用のアプリを立ち上げ、ヘッドセットを付けた作業員が商品のサイズを測り、メジャーを見たまま採寸情報を声に出す。するとその発話が自動的に認識され、アプリ画面上に採寸データが登録される。

アプリ内の着丈、身幅、肩幅、袖丈、原産国といった必要な項目はささげ屋が事前に設定しており、AIが作業員の声を認識して適切な項目に数字が登録されていく。

作業時間短縮で機会ロス低減へ

この音声採寸がささげの現場を大きく変えるポテンシャルを秘めている

メリットは時間の短縮。「トータルで考えて、話したほうが圧倒的に早い。現場の感覚では作業時間は半分くらいになりそう」と秋山社長。

ささげ業務を依頼しているアパレル企業や百貨店などからすると、作業時間が短くなるということは、画像を通販サイトに掲載するまでのリードタイム短縮を意味する。スピードがアップすることで、サイト上の訴求が早くなり販売機会の損失を低減できる

1商品あたりの作業時間を短縮できればささげ業務で扱える商品数も増えるため、アイテム数が多い通販サイトにとってインパクトはより大きくなると予想される。

顧客企業だけでなくささげの現場でも作業負荷の軽減のほかに、キーボードでの入力に比べて誤入力が減るのではないかと期待がかかる。

この仕組みは現在トライアルの段階だが、早ければあと1カ月程度で現場に正式導入する予定だ。ささげ屋は東芝デジタルソリューションズと共同で音声採寸の技術で特許を出願している。

音声採寸の導入を進めるささげ屋だが、現場での効率化だけでなく、見据える先にはビッグデータの活用がある

将来的に音声採寸アプリを様々な採寸業務の現場で活用することで、アパレル商材の採寸データがアプリを通じて蓄積される。そこからサイズ、色、素材などのトレンドが見えてくる

そのデータを解析してマーケティングに応用することを視野に入れる。「音声採寸はそのための入り口」(秋山社長)というわけだ。

ビジュアルから商品お薦め

通販サイトの商品詳細画面を閲覧していると、下部に「この商品を見ている人におすすめ」などと別の商品が提案される。レコメンデーションというもので、ネット販売ではすでにおなじみの手法だ。この部分にAIを取り入れ、新しい切り口でアプローチする動きがある。

レコメンデーションエンジンを手がけるサイジニアは昨年9月からビジュアルAIレコメンデーション「デクワス・ビジョン」の提供を始めた。ディープラーニングと呼ばれる技術を使いAIが自動的に画像を分類し、ユーザーが通販サイトで見ている商品とイメージが近いものを探し出す

ただ、AIがビジュアル的に近いと判断した商品の中には、人間の目から見て「おかしい」というケースもある。そこで同社では以前から取り組んでいるレコメンドエンジンを活用。過去の人間によるクリックデータを用いて、AIが導き出した結果を補正し、閲覧している商品のイメージに近いものを並べる

例えばユーザーがアパレルECサイトでスカートを見ているとする。デクワス・ビジョンでは、色や形状、柄といったビジュアルが近い商品群を並べて推奨する。これが従来の行動履歴型レコメンドであれば、同じスカートを見ていてもバッグやトップス、サンダルといったアイテムを提案する。過去にそのスカートを購入したユーザーがバッグやサンダルをクリックしていたデータが反映されるためだ。

「デクワス・ビジョン」は行動履歴型と異なり、デザインが近い商品画像を薦めるのが特徴
「デクワス・ビジョン」は行動履歴型と異なり、デザインが近い商品画像を薦める

サイジニアの吉井伸一郎社長は「黒のスカートの場合、行動履歴型はニットやカーディガンが表示されるが、デクワス・ビジョンは黒いスカートが並ぶ」と説明する。

その際のポイントは、名称が異なっていてもデザインが近いものが並ぶということだ。ブランドごとで商品の呼び方は変わるが、ユーザーが「プルオーバー」を閲覧していても「Tシャツ」も「カットソー」もデザインが近ければ掲載される。

メリットは他にもある。行動履歴型のレコメンデーションは過去の履歴が必要になるため、新着商品や短期間で売り切るような商材には向いていない。誰も商品をクリックしていなければお薦めできないからだ。

一方のデクワス・ビジョンであれば新着商品が入荷したその日からAIがレコメンドできる。ロングテール商品も同様で、埋もれた商品であってもAIは公平に類似性を見つける

このデクワス・ビジョン、導入先のアパレルECについてサイジニアが計測したところ、デクワス利用者のコンバージョン率は、利用していないユーザーに比べて1・63倍になったという。同社では「画像で訴求したことで、アパレル商材の売り上げアップにつながっている」(吉井社長)とみている。

チャットボットで新規狙う

AI活用の事例としてすでに導入が進んでいるのチャットボットだ。チャットでAIが自動的に回答するというものだが、通販の現場でも問い合わせなどで使われている。ただ、新規獲得や成約となると現状はAIだけでは限界があるようだ。

セコムの子会社でコールセンター業務を手がけるTMJでは昨年9月から、ベネッセコーポレーションが展開する進研ゼミ小学講座の新規顧客向け問い合わせ窓口にチャットサービスの提供を開始した。

「LINE」内の進研ゼミ公式アカウントで実施しており、AIによるチャットボットとオペレーターによる有人チャットを組み合わせている。オペレーターは午前9時から午後9時までだが、チャットボットは24時間365日問い合わせに応じる。合わせてフリーダイヤルでの入電に対してガイダンスで「LINE」を告知し、チャットボットへの誘導も行う。いずれもまずはチャットボットが問い合わせの入口になる。

ベネッセとの取り組みの目的は、ウェブ入会率の向上と、副次的な効果としてコールの削減だ。

これまでの状況では、チャットボットで課題を解決した割合は46%、残りの54%は有人チャットに移行するか離脱したケース。ただ、AIのチューニングにより直近の解決率は50%を超えてきているようだ。

「LINE」上の問い合わせの入口でAIが対応するTMJの事例
「LINE」上の問い合わせの入口でAIが対応する

さらに人が介在せずチャットボットだけで入会するケースもある。その意味ではコール削減には寄与している。では、入会率の向上はどうか。同社東日本事業本部BenesseCC事業部の宮川正雄氏によると「入会率を高めることについては限界を感じている」という。入会時には販売員の“最後の一押し”が大きいが、「それをロボットでやるのは難しい」(宮川氏)というのだ。

その一方で、顧客満足度については手ごたえを感じている。有人チャットを終えたユーザーにアンケートを行った結果、5段階評価のトップ1「大変満足」とトップ2「満足」を選択したのは98%にのぼり、トップ1だけでも80%以上ある。

今後は新規客だけでなく既存会員にまで範囲を拡大する予定だが、これまでの結果を踏まえ方針を変える。新規客は極力有人チャットに誘導して、ボット段階での離脱を防ぐ。一方、既存会員の住所やコースの変更といった手続きをチャットボットで対応する。このように新規と既存でチャットの使い方を明確に分けていく考えだ。

通販新聞

バーコード読取なしでレジ通過&決済、小売向けの商品画像認識技術をNECが開発

7 years 9ヶ月 ago

日本電気(NEC)は3月5日、スーパーやコンビニなどの小売店で、画像認識機能を使って決済する新たな技術を開発したと発表した。小売店での決済無人化に貢献する技術という。

NECグループは、この技術を搭載した画像認識POSレジのデモシステムを「リテールテックJAPAN2018」(2018年3月6日~9日、東京ビッグサイト)で公開。3月からNEC社内の小売店舗で、決済業務の無人化の実証実験を行う。

ディープラーニング技術と特徴点マッチング技術を使い、生鮮品や日用品、パッケージ品など多種多様な小売商品を認識。多数の商品を雑然と置いても、一括して個々の商品を認識する。

バーコードやRFIDを読み込まなくても、レジ台に商品を置くだけの簡易な操作で、商品を一括認識することが可能。

NECが開発した小売商品を画像認識する多種物体認識技術

画像認識する多種物体認識技術

小売店のレジでバーコードやRFID(情報を埋め込んだタグ)を商品ごとに読み込まなくても、レジ台に商品を置くだけで商品を認識するため、レジ業務の効率化や小売店での決済無人化に貢献する技術という。

近年、画像認識技術を用いてカメラから商品を認識し、小売店の決済を省力化・無人化する取り組みが進められている。だが、従来の画像認識技術では、生鮮品などの自然物、パッケージ品などの工業製品は特性が異なるため、多種多様な商品を一律に認識することは困難だったという。

また、これらの商品をまとめて正しく認識するには、商品を整然と並べる作業が発生し、利用者の負担となると考えられている。

自然物から工業製品までの多種多様な商品の認識、NECが開発

自然物から工業製品までの多種多様な商品の認識(画像はNECのHPから編集部がキャプチャ)

今回の技術は、バーコードやRFIDを必要とせずに、画像認識技術を用いてカメラから商品そのものを認識するアプローチを採用。簡単に操作でき、導入事業者の運用コストも抑えることができるという。

なお、海外では無人店舗の展開が進んでおり、Amazonがレジ係のいない実店舗「Amazon Go」をスタート。中国のZhongshan BingoBox technology Co.(中山市賓哥網絡科技)は無人店舗「BingoBox」をオープンし、セルフサービスで買い物ができるサービスを展開している。

「BingoBox」店内の商品には、消費者が何を購入したのかを識別できる無線ID(RFID)タグが付いている。消費者が製品を1つずつスキャンする必要はなく、電波で複数のタグを一気にスキャン。オンライン決済「Alipay(アリペイ)」、または「WeChat Pay」を使ってセルフレジで支払いする仕組みを採用している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

AIで通販用の梱包箱を自動選定、NTTロジスコが箱サイズ予測システムを4月提供へ

7 years 9ヶ月 ago

物流事業を手がけるNTTロジスコは3月1日、通販・ECの物流センター内業務を効率化するため、人工知能(AI)を活用して商品ごとに最適な梱包箱サイズを予測するシステムの開発に着手したと発表した。2018年4月のサービス開始をめざす。

開発中のシステムは、出荷実績データ(注文情報と使用した梱包箱のサイズ)をAIが学習し、出荷指示データの注文情報から最適な梱包箱のサイズを予測するという。

NTTロジスコは現在、物流センターに数千種類の商品を保管しており、商品の形状や大きさ、数量、注文商品の組み合わせなどに応じて、さまざまななサイズの梱包箱を使用している。

新システムを使うことで、あらかじめ最適な梱包箱サイズの情報が指定できるため、倉庫内で作業者が梱包箱を選定する工程がなくなり、生産性の向上が図れる。また、梱包箱のサイズダウンや緩衝材の削減が期待できる。

AIの開発はクラウドサービスを利用する。NTTロジスコの倉庫管理システム(WMS)と連携させることで、安価かつ短時間で開発するとしている。

NTTロジスコが人工知能(AI)を活用して商品ごとに最適な梱包箱サイズを予測するシステムの開発に着手

WMSとの連携イメージ

今後は地域別・サイズ別に最適な宅配サービスを選択できるようにする。

荷物の届け先住所と梱包箱サイズ情報を活用することで、各宅配サービスの地域・サイズ別の料金を比較し、最適な宅配サービスを選択。これにより最大約2割の配送コスト削減を見込んでいる。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「ZOZOUSED」でマーケットプレイス事業をスタート、コメ兵などが出店

7 years 9ヶ月 ago

スタートトゥデイグループが運営するリユース品販売サイト「ZOZOUSED」は3月1日、マーケットプレイス事業をスタートした。

リユースファッションへのニーズの高まりに対応する。

「ZOZOUSED」はファッションECサイト「ZOZOTOWN」内で展開するブランド古着のセレクトショップ。スタートトゥデイ子会社のクラウンジュエルが運営している。

マーケットプレイスにはコメ兵が運営する「KOMEHYO」と、ゲオが運営する「セカンドストリート」が出店した。オープン時の出品数は「KOMEHYO」が約2万点、「セカンドストリート」は約1000点。

スタートトゥデイグループが運営するリユース品販売サイト「ZOZOUSED」はマーケットプレイス事業をスタート

「KOMEHYO」「セカンドストリート」が出店

「ZOZOUSED」の取扱ブランド数は約8000種類、最大総掲載数は120万点を超えた。

クラウンジュエルは今後、「ZOZOUSED」の出店店舗数と品ぞろえを拡大する。採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」で測定した体型データを活用した「自分サイズ検索」など、サイトの利便性をさらに追及するとしている。

「ZOZOUSED」の年間購入者数は約720万人(2017年12月末時点)。2018年3月期第3四半期(2018年4~12月)の商品取扱高は、前年同期比22.7%増の113.7億円だった。

2018年3月期にける「ZOZOUSED」の取扱高計画は、前期比39.8%増の180億円。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

広告に頼らず売上・利益を伸ばす方法って!? リピート客を増やすメール接客の極意

7 years 9ヶ月 ago

少子高齢化、競争激化などECサイト運営を取り囲む環境が厳しくなる今後、新規獲得客からの再注文率(リピートオーダー)を増やすことが収益力を高める1つのカギとなる。スタッフの顔が見えないECだからこそ、メールのやり取りは顧客との関係性構築に重要な役割を果たす。スピーディーな返信や丁寧なメール接客がいかに大切なのか、そしてそれを実現する方法とは? 顧客満足度を高めて顧客生涯価値(LTV)を向上させるメール接客のポイントを、ラクスのカスタマーサービス・クラウド事業部・西山和人氏が解説する。

顧客をファンに変えるメール接客のポイント

西山氏はLTV向上に直結するメール接客のポイントとして、ECサイトの利用者を対象としたアンケートの結果などを踏まえ、「スピーディーに対応する」「丁寧に対応する」「品質を一定化する」の3点をあげる。

ラクスのカスタマーサービス・クラウド事業部・西山和人氏
ラクスのカスタマーサービス・クラウド事業部・西山和人氏

7割以上が満足する返信時間は「3時間以内」

「好印象を抱くメール対応」として1つ目に重要なポイントは「スピード対応」。しかも、顧客が満足するメール返信時間の水準は年々短くなっているという。

「満足するメール返信時間」は、2014年時点では「3時間以内」は58%だったが、2016年の調査では73%。より迅速な返信時間を求める傾向となっている。ECサイトに求める対応スピードが上がっている背景について、西山氏は次のように言う。

「アマゾンプライム」「あす楽」といった即日・翌日配送が当たり前になっていることと、スマホの普及でリアルタイム型のコミュニケーションに慣れてきている。メールの対応も同じくらいのスピード感を求められていると思う。

お客さまが満足するメール返信時間の水準
【アンケート対象】ネットショップを利用したことのある一般消費者500名
2014年
30分以内18%、1時間以内22%、3時間以内18%、半日以内25%、1日以内16%
2016年
30分以内43%、1時間以内22%、3時間以内8%、半日以内16%、1日以内11%
求められる水準は年々早くなっています
消費者が満足するメール返信時間は年々早くなっている

実際に大手ECモールが主催するアワードを受賞するような有力ECサイトは、どのくらいの速さでユーザーからのメールに対応しているのだろうか?

ラクスが2016年の「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」受賞ショップを対象に調査したところ、80%のECサイトが3時間以内に対応していた。しかも、2014年調査と比べると、対応速度は速くなっているという。

人気ショップのメール対応スピード
楽天市場ショップオブザイヤー2014受賞ショップ
30分以内22%、1時間以内12%、3時間以内28%、半日以内14%、1日以内15%、それ以上9%
楽天市場ショップオブザイヤー2016受賞ショップ
30分以内29%、1時間以内16%、3時間以内35%、半日以内8%、1日以内4%、それ以上10%
「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」受賞店舗は、メール対応スピードが速くなっている

顧客から高評価を得る丁寧なメール対応

メール接客における2つ目のポイントは「丁寧なメール対応」。返信メールの言葉遣いや表現が丁寧であることはもちろんだが、過去のやり取りを踏まえて顧客対応すると消費者からの評価が高くなるという。

では、「丁寧なメール」とは具体的にどのようなものか。フレックスが運営するパジャマやルームウエアのECサイト「パジャマ屋」のメールを参考に見てみよう。

まず「差出人名」は誰からのメールかが一目で分かるように店舗名を表示。注文後であれば「件名」には「ご注文ありがとうございました」記載する。つまり、送信元や件名を見ただけでメールの内容がわかり、「署名」には自社製品の特徴を表すPRも入れている。ここでのポイントは、電話、FAX、住所までしっかり署名していることだ。

住所が記載されていると、お客さまは、この店舗はきちんとした安心できる店舗だと感じる。ぜひ入れた方がいい。(西山氏)

返信メールの好事例(パジャマ屋)
誰からのメールか一目でわかる
送信元や用件が件名だけでわかる
自社のPRも忘れずに
「パジャマ屋」の返信メール事例

「パジャマ屋」の返信メールの文章には、対応したスタッフの個人名を記載されている。名前を出すことによって、1対1でやり取りしているという印象を顧客に与えるようにするためだ。

次に重要なのは、個人名を記載した上で、「大切な贈り物をお選びいただき、とても嬉しく思います」と感謝の気持ち、感情の表現を入れていること。消費者はテンプレートによる対応を嫌がる。だが、ショップ側としては1日に何件もメールしなければならないので、テンプレートはどうしても必要になる。テンプレートを使う際、「感情表現のような1文を挿入するだけで、印象が大きく変わってくる」(西山氏)。

さらに、ユーザー1人ひとりに向けた、オリジナルのメッセージを記載することも重要だという。「店長の○○がお世話になっております。お買い上げいただいたことを申し伝えます」から始まり、「○○さまとのご友人とのことで……」といった文書など、顧客しか知り得ない情報を文章に盛り込むことで、1対1のコミュニケーションが成立している印象を与えることができるという。

返信メールの好事例(パジャマ屋)本文
園⼭直希様こんにちは。【パジャマ屋】スタッフ花島みきです。新緑の季節となりましたね。この度は、パジャマ屋【本店】をご利⽤いただきまして、誠にありがとうございます。⼤切な贈り物をパジャマ屋でお選びいただき、とても嬉しく思います。【当店からのメッセージ】------------------------------店⻑の熊坂がお世話になっております。ご丁寧にお書き込みいただきましてありがとうございました。ご注⽂がありましたことは熊坂に申し伝えました。鈴⽊⾼俊さまのご友⼈とのことで、早速ご注⽂いただきまして感激です♪どうぞ、今後もお気軽にご利⽤くださいませ♪最後になりますが、到着⽇は【5⽉17⽇(⾦)20-21時着】で⼿配いたしました。発送が完了しましたら再度メールにて【ヤマト配送番号】をお知らせいたします。合わせてご確認いただけましたら幸いです。ご両親様にお喜びいただけますように・・・
顧客しか知らない情報を文章に盛り込むことも好印象という

全スタッフが同じ品質で対応する

例文で見てきたような文面を、スタッフ全員が同じように作れるようにならなければ意味がない。しかし、新人のスタッフとベテランのスタッフでは、どうしても接客力に差が生じる。

それを防ぐためには社員教育がポイントとなるが、その際重要なのは、「文面の手本を新人スタッフに示し、先輩スタッフがどのように対応しているのか、新人スタッフがいつでも見る事ができる状態にする」(西山氏)ことだ。

さらに、新人スタッフがメールを送る前に、必ず誰かがダブルチェックをしてから、メールを送信するようにすると安心だ。そういったことを心がけて、新人スタッフが失礼なメール対応をしてクレームになってしまうといったことを防がなくてはならない。

重要経営指標は「CPA」と「LTV」

お客さま1人ひとりを大切にして、お客さま1人あたりがショップで使ってくれる金額を増やしていく必要がある。(西山氏)

このようにメール接客の目的を西山氏が説明する背景として、EC市場の競争激化に伴い、顧客1人を獲得するのに必要な金額を表す顧客獲得単価(CPA)が高騰していることがあげられる。

国内のBtoC-EC市場は拡大トレンドにあり、2016年の市場規模は前年比9.9%増の15兆1358億円(経済産業省公表)へと拡大した。一方、新規参入企業の増加などプレーヤーの増加によって競争が激しくなっており、CPAは高止まりが続く。

ここで重要になるのが、顧客1人が生涯、ECサイトに対していくらの売り上げ・利益をもたらすかを示す「LTV」だ。

LTVはユーザー1人あたりの平均購買単価と平均利用回数で算出することができる。LTVを高めるには、アップセルなどで顧客の平均購買単価を高めるか、リピート率を高めて平均利用回数を増やすことが必要となる。その際、メルマガなどを活用したCRMが重要な役割を果たす

メールを使ってお客さまのロイヤリティを向上させること、ファン化させることは、『購買単価』と『利用回数』を引き上げる施策になる」(西山氏)。また、リピーターの獲得コストはCPAの5分の1と言われていることに言及し、メールで顧客をファン化することは、費用対効果の点でもメリットがあると指摘した。

顧客のファン化に役立つメール対応システムは?

顧客ニーズの変化に伴い、メールでの問い合わせが増えるなか、ショップの人員は限られるため多くのスタッフを顧客対応に割くのは難しい。こうした環境で理想のメール対応を実現するのが、問い合わせ対応専用システム「メールディーラー」だ。

「メールディーラー」ではお問い合わせメールを、未対応の「新着」メール、「返信処理中」のメール、「対応完了」のメールという風に、状態毎に管理し、スタッフ全員で確認することが可能だ。1つのメールボックスを複数のスタッフが閲覧でき、同時に作業できるといった特徴がある。また、メール対応担当者ごとにメールを振りわけることができるので、二重返信が防げるほか、自分が対応しなければならない未対応メールだけをすぐに確認することができる。

さらに、1つひとつのメールにはユーザーやスタッフのコメントを付けることも可能。クレーマー客などの注意喚起や、引継ぎ事項の共有を行うことができる。

お問合せ対応専⽤ツール「メールディーラー」Mail Dealer
お問合せに対して、「誰が」、「いつ」、「どのような」対応をしているのかを、リアルタイムで共有することで、迅速かつ⾼品質な顧客対応を実現します。
「メールディーラー」の機能の一部

「ネクストエンジン」「TEMPOSTAR(テンポスター)」「CROSS MALL(クロスモール)」といった受注管理システムとの連携機能も、ネットショップ運営企業から支持される理由の1つという。

これは、顧客から問い合わせがあったとき、メールディーラーの画面から各受注管理システムの呼び出しボタンをクリックすると、受注管理システムに保管された、その顧客の注文履歴を表示することができるというもの。

また、各受注管理システムから「メールディーラー」上の顧客対応履歴を呼び出すことも可能。この連携機能は、たとえば顧客から注文番号や注文内容が記載されずに「キャンセル」のメールが寄せられたといったケースにおいて、作業効率や正確性を向上させることができるという。

お客さまからいただいた問い合わせメールに対して、誰が、いつ、どのような対応をしているのかを、スタッフ間でリアルタイムに共有できるようになっている。これによって、スピーディーで高品質なメール対応が実現する。(西山氏)

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ヤフー小澤氏が語る「Yahoo!ショッピング2018年の戦略」と「2017年の振り返り」 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

7 years 9ヶ月 ago

ソフトバンクグループとの本格連携を進め、高い成長率を続けるヤフーの「Yahoo!ショッピング」。「eコマース革命」の旗振り役である小澤隆生氏(執行役員ショッピングカンパニー長)は4月1日付で、常務執行役員コマースカンパニー長に就任。コマース事業のトップとして、「2020年代初頭、楽天やAmazonを超える国内NO.1のECサービスになる」というミッションの実現をめざす。

ヤフーの戦略共有会(2018年3月2日開催)で小澤氏は、2017年の振り返り、2018年以降の戦略を語った。

【2017年】振り返り

小澤氏「有料会員制コマースの時代がきた」

Yahoo!ショッピングの出店者数は、2017年12月末時点で65万店。商品点数は2.8億点を超える。購入者数は「eコマース革命」前の2倍超に拡大したという。

「Yahoo!ショッピング」購入者数
ヤフーの2018年第3四半期(4~12月期)連結決算の資料から編集部がキャプチャ。※新規購入者数は、初回購入または前回の購入から1年以上経過して再度購入したID数。既存購入者数は、前回の購入から1年以内に再度購入したID数

2018年4~12月期(第3四半期)におけるeコマース国内流通額(Yahoo!ショッピング、アスクルにおけるLOHACO事業、一休などを含む)は5747億円で前年同期比14.0%増。

ショッピング事業取扱高(Yahoo!ショッピング、LOHACO事業、チャームの取扱高)は4609億円で同34.9%増。高水準でショッピング事業の取扱高が増えている

ヤフーのショッピング事業取扱高
3Qベースでのショッピング事業取扱高の推移(画像は連結決算の資料から編集部がキャプチャ)

ヤフーのショッピング事業取扱高拡大をけん引しているのが「Yahoo!ショッピング」。現在、「Yahoo!ショッピング」取扱高の内、月額462円の会員サービス「Yahoo!プレミアム」会員による取扱高比率が75%に拡大している(2017年10~12月期)。執行役員でショッピングカンパニー長の小澤隆生氏はこう言う。

ECの領域にも、お金を払ってでも使いたいという優良顧客が「Yahoo!ショッピング」を使っている。有料会員制コマースの時代がきたかもしれない。(小澤氏)

「Yahoo!ショッピング」取扱高
「Yahoo!ショッピング」取扱高の内、「Yahoo!プレミアム」会員による取扱高比率(画像は連結決算の資料から編集部がキャプチャ)

ソフトバンクとの連携

高い成長率を維持している「Yahoo!ショッピング」。この成長のけん引役がソフトバンクとの連携だ。

小澤氏は、ソフトバンクとの連携をスタートしてから1年間で、ソフトバンク会員による「Yahoo!ショッピング」月次注文者数推移は1年間で3倍超に拡大したと説明。ソフトバンク会員による「Yahoo!ショッピング」取扱高は1年間で4倍超に広がった。

ソフトバンク会員による「Yahoo!ショッピング」取扱高推移
ソフトバンク会員による「Yahoo!ショッピング」取扱高推移(画像は連結決算の資料から編集部がキャプチャ)。2017年2月にソフトバンク会員が「Yahoo!ショッピング」を利用するといつでも10倍のポイントを付与するキャンペーンをスタート。スマートフォンなどの料金プランの月額料金はそのままで、「Yahoo!プレミアム」が利用できるようになる制度を6月に始めた

2017年はこのソフトバンクとの連携施策が「当たった」(小澤氏)。さて、2018年以降はどうなるのか? 戦略説明会を行ったこの週、小澤氏はソフトバンクの孫正義社長とミーティングを行ったという。このやり取の一部始終をこう話す。

今年はどうするの? と言われ、頑張りますと返した。そしたら、孫さんから、100億円、200億円の投資、そんな小さく考えるな。ドーンといけ!、と。私はまだまだ行けると思っている。(ヤフーは)こんなもんじゃないぜ。でも皆さん、継続できるの? って思っていますよね。凸凹はあるかもしれないが、やりますよ。だから、皆さん、ご協力をお願いします。

【2018年以降】Yahoo!ショッピングのこれから

Yahoo!ショッピングのこれから
Yahoo!ショッピングのこれから

「Yahoo!ショッピングはまだまだ伸びる」

「ITとかテクノロジーを駆使すると言うけど、結局、ネット通販は“商い”」。このように話すEC事業者は少なくない。小澤氏も同意見。「コマースビジネスに魔法の施策はない。多くの人をサイトに呼び込み、1人でも多くの人に購入してもらう。そして、1人でも多くの人にリピート購入してもらう。地味かもしれないが、これを愚直に、真面目にやる。それをやり抜く。私たちも一緒だ」。

「Yahoo!ショッピングはまだまだ伸びる」と話す小澤隆生氏
「Yahoo!ショッピングはまだまだ伸びる」と話す小澤氏

2018年も高成長率を維持するための施策にあげたのは、2017年も実施したソフトバンクユーザー向け施策。注文者数、取扱高の割合が増えていることを踏まえ、「まだまだいける」と小澤氏は話す。

小澤氏が根拠にあげたのがソフトバンクユーザーの「膨大な伸びしろ」。2017年12月時点で、ソフトバンクユーザーの2/3はまだ「Yahoo!ショッピング」を利用していない状況。「多くのソフトバンクユーザーは、(常に10%付与されるポイントキャンペーンなどの)お得さに気付いていない」(小澤氏)。

ソフトバンク会員の「Yahoo!ショッピング」利用状況
ソフトバンク会員の「Yahoo!ショッピング」利用状況

ソフトバンクユーザーの購入金額もまだ低い。購入している金額はまだ小さい。「Yahoo!プレミアム」「Yahoo! JAPANカード会員」と比べると、ソフトバンクユーザーの年間顧客単価は4割程度。「プレミアム会員はソフトバンクユーザーの2.5倍くらい『Yahoo!ショッピング』で買い物をしている」(小澤氏)。

ソフトバンク会員の「Yahoo!ショッピング」年間客単価
ソフトバンク会員の「Yahoo!ショッピング」年間客単価

こうした状況を踏まえ、2018年もソフトバンクユーザーを「Yahoo!ショッピング」に呼び込む施策を継続。「ソフトバンク スマホユーザーならポイント10倍」を継続すると小澤氏は宣言した。

「ソフトバンク スマホユーザーならポイント10倍」を継続
「ソフトバンク スマホユーザーならポイント10倍」を継続

「他にはない大きな武器」(小澤氏)と位置付けるのがソフトバンクショップ。ヤフーは2017年3月、ソフトバンクショップ一部店舗の店内や外壁に「Yahoo!ショッピング」の人気商品の画像とQRコードを掲載し、ソフトバンクショップの来店者をECサイトへ誘導する新たな取り組みを開始スタートした。

店舗でYahoo!ショッピングのPRを行うソフトバンク六本木の外観
店舗でYahoo!ショッピングのPRを行うソフトバンク六本木の外観

リアル店舗とネットの連携施策は現在、これだけではない。効果をあげていると言及したのが、ソフトバンクが全国展開している3000店以上のソフトバンクショップ店頭での、ポイント付与特典などを含めた「Yahoo!ショッピング」利用の促進接客だ。

戦略説明会で放映された接客時の様子
戦略説明会で放映された接客時の様子

地味な接客活動の積み重ねが重要。この1年間のソフトバンクとの連携で、購入金額は増えてきている。地味だけど、5年続けたらどうなりますか? お得だからご高齢の方々などは恐らくずっと使ってくれると思う。

「伸びしろ」がある領域として小澤氏がもう1つあげたのが「決済・金融」の領域。小澤氏曰く「『Yahoo! JAPANカード』会員はすごく伸びており、取扱高もどんどん増えている」。

クレジットカード有効会員数
有効会員数は、「KCカード」「Yahoo! JAPANカード」「ソフトバンクカード(おまかせチャージ)」会員を含む数値(画像は連結決算の資料から編集部がキャプチャ)

たとえば、「Yahoo! JAPANカード」会員の「Yahoo!ショッピング」年間客単価は、非会員と比べて3倍以上。そして、「Yahoo! JAPANカード」の一部会員のみが「Yahoo!ショッピング」を利用している状況に触れ、利用者数に「大きな伸びしろがある」(小澤氏)と期待する。

Yahoo! JAPANカード会員
「Yahoo! JAPANカード」会員の「Yahoo!ショッピング」年間客単価など

ECでロイヤルカスタマーをどう作る? (会員サービスに)お金を払ってまで「Yahoo!ショッピング」を使ってもらえるようにする。それがお客さまのロイヤル化。固定客が付いてきた。だから伸び続けている。そのお客さまの数はまだ天井じゃない。3~4倍も伸びしろがある。(小澤氏)

「Yahoo!ショッピングはまだまだ良くなる」

eコマース革命後、現在のコンバージョン率(CVR)は2倍くらいに伸びた。だが、ダメなところだらけだと思っている。まだまだ伸ばさなければならない。(小澤氏)

月間CVRはeコマース革命時と比べ、現在は2倍に拡大
月間CVRはeコマース革命時と比べ、現在は2倍に拡大

「スマートフォンの会社」に加えて「データの会社」になる――ヤフーはこうした方針を掲げ、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」といったEC関連事業を管轄するコマースグループ長の川邊健太郎副社長を新社長に昇格する人事を2018年1月に発表した(6月の株主総会の決議を経て正式決定)。「データの会社」がコマースとどのように関係していくのか。小澤氏はこう訴えた。

ヤフーは日本一、データを持っている。Yahoo!ショッピングを1度も使ってもいないお客さまでも、赤ちゃんが産まれたからオムツはどうですか? という提案ができる。今、試験的にやっているがいい数字ができている。これまで、露出のために検索をどのように使っていくかを考えてきた。今は違う。検索もデータを集めるための1つの手法。検索は一番、利用者が関心を持っていることが表れるところ。トップページ、検索、商品ページで、コンピューターあるいはAIを使って出し分けしていく。(小澤氏)

ヤフー。データの利活用によるレコメンド強化

小澤氏はEC業界全体の課題となっている物流にも言及した。

ソフトバンクグループが運営する巨大ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)について触れた小澤氏は、「(SVFは)世界中の物流会社に投資している。どの技術を使えばいいのか、どの技術が日本にフィットするのか、どれがITの力で物流問題を解決できるのか検討している。いつかお話しすることができる」と話した。

そして、小澤氏が練っているという2つの物流対策「注文タイミングの変更」「店頭受け取り」について説明した。

ヤフーの物流施策

店頭受け取り

「Yahoo!ショッピング」の出店者数は65万店舗以上。リアルのお店も多い。この店舗網を使って店頭で受け取りできないかなぁと思っている。ヤフーの強みでもある、小売り、流通業とのつながりを活用していきたい。(小澤氏)

注文タイミングの変更

物流問題の1つの課題が注文してからのリードタイミング。(日用品などの)商品を注文してから届くまでの時間を無くせばいい。IT企業ができることは、たとえば、1か月前に購入したトイレットペーパーについて、無くなりそうになる2日前にITで通知する、といったアプローチがある。それが、定期購入かもしれない。今は、「あっ」と思ってから商品を購入し、手元に届くまでの時間がかかる。ITにはこうした問題を解決する力がある。(小澤氏)

このように言及した小澤氏は、「定期購入の仕組みは作る」と宣言した。

「1人でも多くのお客さまを獲得していただきたい」

小澤氏は戦略共有会に参加した出店者に対し、こう訴える。

1人でも多くのお客さまをつかみ、リピートしてもらってほしい。「Yahoo!ショッピングで買った」ではなく、「どこどこのお店で買った」「どこどこの店長が好きだからそこで買う」といった消費者を増やしていくのがヤフーのゴールであり、基本ポリシー。こうした世界を作っていきたい。だから、「Yahoo!ショッピング」はリピートしてもらうための仕組みを作りたい。(小澤氏)

「Yahoo!ショッピング」はリピート施策に注力する
「Yahoo!ショッピング」は1人でも多くのリピート客を増やしたいという

「Yahoo!ショッピング」内での検索対策としてあげられるのが「売れる仕組み」を作ることで、ヒット商品作り、レビュー向上といった方策がある。また、PRオプションを使って上位表示をめざすといった方法店数もある。

今回、小澤氏が言及したのがランキングの刷新。「現状については良くないと言われている。いよいよ変える。優良ストアにとって意味のあるものにする」(小澤氏)。

現在のランキングは購入者数がベースで、低単価商品が上位にきている。今後、購入者数と購入金額の間を採るようにし、お客さまが望んでいるモノが上位に表示されるような良い案配にしようとしている。ストアにはアナウンスし、2月から一部のユーザー向け(全体の2割)に新しいランキングをテストしている。結果が良ければ即リリースしたい。(小澤氏)

新たな集客施策として、2.8億以上の商品の中から、最適な商品を店舗が見つけて提案するQ&Aサービス「探しもの掲示板(β版)」をスタート。消費者が抱える課題を、65万店舗の出店者が無料で探して解決するサービスとして展開していく。

探しもの掲示板(β版)
探しもの掲示板(β版)」(画像は編集部がキャプチャ)

4月には「Q&A」コンテンツを公開する予定。「質問に対して真摯(しんし)な対応をしていけば評価が上がる。評価があがれば検索結果の上位にいく仕組みを作っていく」(小澤氏)。

2018年上半期中にストア単位で運用できる「ストアスタンプカード」をスタートする予定。「1回でも多く購入してくれるお客さまを作る」(小澤氏)のが目的で、特定店舗で買い物をするたびにスタンプをため、一定数に達したときに特典を付与する仕組みにする。

2018年上半期中にストア単位で運用できる「ストアスタンプカード」をスター
2018年上半期中にストア単位で運用できる「ストアスタンプカード」をスタート

まとめ

小澤氏は2018年以降の「Yahoo!ショッピング」について、「伸びしろがある」「質がよくなる」「1人でもお多くのお客様を獲得して欲しい」とまとめた。そして、次のように講演を締めくくった。

伸びしろを加速するために私たちは頑張ります。だから、店舗さんは1人でも多くのお客さまを獲得して下さい。

小澤隆生氏が語る「Yahoo!ショッピング」の伸びしろ
小澤隆生氏が語る「Yahoo!ショッピング」の伸びしろ

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

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  8. ロクシタンがめざすデジタル戦略とは? データ活用から店舗連動など3年間の施策と成果

    ライフスタイルコスメブランド「ロクシタン」のデジタル戦略の取り組みとオムニチャネルの展望を解説

    2018/2/28
  9. どん底から再生したタオル業界の風雲児。今治から最高のタオルを届けるチーム「IKEUCHI」の裏側

    vol.3 ファンに支えられて再出発。オーガニックにこだわる「IKEUCHI ORGANIC」

    2018/2/28
  10. Jフロントから自社株を買い戻す千趣会。大手小売とのシナジーは難しかった?

    政府系投資ファンドから70億円を調達、自己株式の買い戻しによってJフロントリテイリングの持分法適用関連会社から外れる

    2018/2/28

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

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「よなよなエール」のヤッホーブルーイングがファン作りを加速、マルケトのMAツールを導入

7 years 9ヶ月 ago

クラフトビール「よなよなエール」を販売するヤッホーブルーイングが、エンゲージメントプラットフォーム「Marketo」(マルケトが提供)を導入した。

CRMなどへ注力することで定期購入サービスやファンイベントを強化する。マルケトが3月1日、ヤッホーブルーイングに「Marketo」を導入したことを発表した。

ヤッホーブルーイングは、顧客1人ひとりに合わせたメール配信やWebパーソナライズの実施など、複雑化する顧客行動をフォローできる環境を整えたいと考えていたという。「Marketo」はLTVの最大化をめざせるツールであることなどから導入を決めた。

ヤッホブルーイングはPR活動やコミュニティ作りなどを通じファンを拡大。また、定期購入サービス「よなよなエール年間契約サービス」を展開してリピーター獲得を図っている。

ヤッホーブルーイング i・通販団(よなよなの里)Unit Directorの家住泰裕氏のコメントは次の通り。

"日本に新しいビール文化を根付かせたい"という目標から逆算し、私どもは、CRMとSNSなどによるPRやコミュニティづくりなどでお客様や市場との接触機会を増やしながら、共感してくれるファンを増やしていくという、ネット通販の特性を活かした仕組みを構築できたように感じています。この状況に甘んじることなく、目標に向け、さらなるチャレンジをしたいと考えています。一緒にチャレンジするマーケティングプラットフォームとして、Marketoを採用いたしました。Marketoの機能はもちろんのこと、利用ユーザーのコミュニティが非常に活発であることも採用の決め手になりました。今後、更に顧客満足度の高いサービスを提供できるよう、Marketoには、単なるツール提供ではなく、マーケティング領域のパートナーとしての役割を期待しています。

ヤッホーブルーイングがMAツール「Marketo」を導入

ヤッホーブルーイングのスタッフら

マルケトは2006年に米国で創業したマーケティングプラットフォームベンダー。公式サイトによると導入実績は6000社。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイ、LINEショッピングに出店

7 years 9ヶ月 ago

スタートトゥデイが運営するファッションECサイト「ZOZOTOWN」はこのほど、「LINEショッピング」に出店した。ポイント還元率は3月1日時点で1.0%。

ブランド古着などを販売している「ZOZO USED」、洋服などの買取サービス「ZOZO買取サービス」、定期購入サービス「おまかせ定期便」で購入した商品はポイントの対象外。

また、化粧品通販のオルビスもこのほど「LINEショッピング」に出店した。ポイント還元率は1.0%(3月1日時点)で、全ての商品が対象。

大手企業のLINEショッピング出店が続いている(画像は編集部がキャプチャ)

「LINEショッピング」はLINEが提供するポイントサイト。「LINEショッピング」を経由して出店ECサイトで買い物をすると、購入金額に応じて1~20%の「LINEポイント」を得ることができる。

「LINEポイント」はLINEの電子マネー「LINE Pay」で1ポイント=1円相当で使用できるほか、提携企業のポイントなどと交換することが可能。

「LINEショッピング」の会員数は1月22日時点で1500万人、掲載商品数は3000万点以上。サービス開始から6か月後(2017年12月15日時点)の利用者(登録会員)は25~34歳が最も多く、女性が78%を占めている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

EC&店舗で売上100億円の石橋楽器店が実施する7つの施策とは[現場視察ツアー3/15]

7 years 9ヶ月 ago

トゥルーコンサルティングは3月15日(木)、ネット通販と店舗で年商100億円を超える日本最大級の楽器専門店「石橋楽器店」への視察セミナーを開催する。

セミナーテーマは「店舗&ECで100億越え企業が実践する7つの施策大公開 視察セミナー!」。

石橋楽器店は国内20店舗・海外1店舗・ECを展開。専門性を強化する施策を進め、事業規模を拡大させている。今回は店舗視察も実施。店舗とネット通販など次のような内容で視察とセミナーを行う。

  • 店舗視察で実際に行っている高額品販売手法公開!
  • 店舗での取り組みで特に強化しているポイント
  • エレキギターNo.1で実践していること公開!
  • ネット×店舗の融合(オムニチャネル)で取り組んでいること
  • 海外客を呼びよせるインバウンド強化の施策
  • SNSやブログの活用方法!
  • 専門店だからできる中古品買取&販売手法とは!?
  • 越境ECで行っていること
  • 会社を任せられる社員が増える!人材育成のポイント!
  • 人員体制:バイヤー、ネット、店舗の配置と役割
  • 店舗の出店立地・戦略と繁盛させるためのコツ!
  • 専門店として取り組むべきこと&今後の方向性

視察終了後、懇親会も行う。

セミナー&視察の概要

日時:2018年3月15日(木)13:30~
場所:イシバシ楽器渋谷店(渋谷区宇田川町31-2 渋谷BEAM)
料金:19,800円(税込)
詳細と申し込み:http://www.top1-consulting.com/seminarinfo/seminar_20180315/

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

[2018]最新のソーシャルログイン利用状況、最も多く利用されたのはYahoo!ログイン

7 years 9ヶ月 ago

フィードフォースが実施したソーシャルログイン利用状況調査によると、最も多く利用されたソーシャルログインは「Yahoo!JAPANログイン」だった。

Webサイトにソーシャルログイン機能を実装するASPサービス「ソーシャルPLUS」の導入企業において、Facebook、Twitter、LINE、Yahoo!JAPAN、Google+のいずれかのソーシャルログインを実装している全サイトを対象に、2017年2月~2018年1月におけるソーシャルログインの利用状況を調査した。

その結果、Yahoo! JAPANのアカウントの割合が32.5%で最多。続いてLINEが27.1%、Facebookは20.3%、Twitterは11.9%、Google+が8.2%。

ソーシャルログイン 利用アカウントの割合(フィードフォース調査)

LINEログインの割合は2016年10月調査の11.2%と比較して2.4倍に拡大している。

ソーシャルログインの利用デバイスはモバイルが82.6%、パソコンが17.4%。

ソーシャルログイン 利用デバイスの割合(フィードフォース調査)

パソコンではYahoo!JAPANアカウントの利用割合が52.1%と半分以上を占めている。一方、モバイルではLINEログインが32.2%で最も多い。

PCにおけるソーシャルログイン 利用アカウントの割合(フィードフォース調査)

モバイルにおけるソーシャルログイン 利用アカウントの割合(フィードフォース調査)

5種類のソーシャルログインをすべて実装しているサイトに限定し、2017年12月~2018年1月の2か月間におけるソーシャルログインの利用状況を調査した結果は、LINEが52.3%、Yahoo!JAPANは24.3%、Facebookは10.6%、Google+は6.9%、Twitterは5.9%だった。

全ソーシャルログイン実装サイトにおける利用アカウントの割合(フィードフォース調査)

フォードフォースの公式サイトによると、「ソーシャルPLUS」の導入実績は100社を超えている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

イーベイが買収する「ジオシス」「Qoo10」はどんな会社? 事業の規模は?

7 years 9ヶ月 ago

約190か国でECを展開するeBay Inc.(イーベイ)は2月28日、ECモール「Qoo10」を運営するジオシスの日本事業を買収すると発表した。「Qoo10」の取得で日本事業を強化する。

ジオシスは現在、日本、インドネシア、マレーシア、中国などに現地法人を持ち、各国で「Qoo10」を運営している。イーベイは日本事業の買収に伴い、日本以外でのジオシスグループの持ち分を放棄するという。

日本事業の買収は2018年第2四半期(4~6月期)に完了する予定。ジオシスの日本事業やイーベイの日本における事業は、ジュマン・パーク(Jooman Park)eBayアジア太平洋地域シニア・バイス・プレジデントが統括する。

eBay Inc.のCEOであるデビン・ウェニグ(Devin Wenig)は次のようにコメントしている。

ジオシスの日本事業の買収により、世界最大規模の電子商取引市場である日本においてイーベイの拠点を大幅に拡大することができます。また、「Qoo10.jp」のプラットフォームと手を組むことで、今後成長する新しいユーザー層へのサービス提供が可能となるだけでなく、モバイルデバイスが広く浸透しており、電子商取引に大きな可能性のあるダイナミックな市場である日本において、eBayのサービスの浸透、プレゼンス拡大を図って参ります。

「Qoo10」を運営するジオシスとは?

「Qoo10」(日本事業)はファッションや化粧品、食品、家電、雑貨、日用品、チケットなどを販売している総合ECサイト。ジオシスによると会員数は2017年末時点で960万人、月間ページビュー数は3億4000万PV、出品数は1140万点。

「Qoo10」の2017年末時点における主な数値

「Qoo10」の2017年末時点における実績値

2017年(1~12月)における流通額は前年比40%以上増加したという。人気が高いレディースファッションやコスメのカテゴリーに加え、フード(食品)やデジタル(家電、ゲーム、スマホ関連など)、メンズファッションなどのプロモーションを強化したことが流通総額の増加に寄与した。フードカテゴリーの流通額は前年比2倍、デジタルカテゴリーは同1.5倍に増えたとしている。

「Qoo10」の2017年末時点における男女構成比

デジタル強化などで男性会員も増えているという

アクセスデバイスの比率はモバイル・アプリ経由が83%。モールの出店者数は1万1000店。

ジオシスグループは2010年6月、eBayとのジョイントベンチャーとして設立された。本社はシンガポール。現在は日本、インドネシア、マレーシア、中国などに現地法人を持ち、各国で「Qoo10」を運営している。

各国「Qoo10」の連携スキーム
各国「Qoo10」がグローバルで連携

2015年7月にはイーベイやシンガポールの大手メディアグループから総額約8200万米ドルを調達。増資前の資本金は1億2500万ドルで、eBayが49%、グループ代表のグ・ヨンベ氏を含む関連会社が51%を出資していた。

イーベイは日本事業の買収に伴い、日本以外でのジオシスグループの持ち分を放棄する。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

プライム会員のCVRは70%以上! 商品検索エンジンと化したアマゾンで露出を増やす方法 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

7 years 9ヶ月 ago

消費者はもちろん、ビジネスで必要な商品を購入する際、企業もAmazon(アマゾン)やAmazon Business(アマゾンビジネス)で商品検索を始めることが増えています。このような状況を踏まえ、アマゾンの検索結果で一番に掲載される方法を学びましょう。

アマゾンが商品検索の覇権を握る

2000年初頭、ネット検索はGoole(グーグル)から始まりました。工業用のファスナーから電動工具、新しい靴、バンドの曲の歌詞、ボツワナの経済システムに関する学術論文に至るまで、まずはグーグルで検索していました。今もなお、多くのユーザーはグーグルで検索すると言っても良いでしょう。グーグルは世界の検索市場の80%以上のシェアを占めているからです。

しかし、2017年初頭、消費者が商品検索を行うサイトとして、アマゾンがトップに躍り出ました。2017年初めにRaymond James社が発表した調査結果によると、消費者の52%が最初にアマゾンで商品検索を行うと答えたのです。

Amazon、その他検索エンジン、その他の小売サイト、その他、eBayで何を一番利用するか――Raymond James社の調査

オンラインで商品を検索するときにどこから始めるか(n=587)
Raymond James社のデータをもとに編集部で作成)

市場調査などを行うSurvatac社が2017年12月に発表した調査結果では、最初にアマゾンで商品検索をする人は49%、他の検索エンジンを利用する人が36%という結果でした。少し数字が異なるものの、アマゾンが商品検索で大きなシェアを握っている事実に変わりありませんでした。

Survatac社の調査――最初にアマゾンで商品検索をする人は49%、他の検索エンジンを利用する人が36%
消費者が商品検索を開始する場所(Survata blogのデータをもとに編集部で作成)

Amazonに商品掲載しないと機会損失のリスクが生まれる?

商品の検索エンジンとして、アマゾンがグーグルに取って代わった今、この事実はBtoBやBtoCのどんなビジネスに関しても、製造業、販売業者、小売事業者、ブランドは、アマゾンに商品を掲載しないことで販売機会の損失リスクが生まれるという事実を理解しなくてはいけません。

SEO対策や有料の検索広告を使い、ECサイトやWebサイトへの流入を促して商品を見てもらう"伝統的な"インターネットマーケティングの効果は薄らいでいます

もちろん、きちんとブランディングされたECサイトはまだ有効でしょう。また消費者の印象に残るカスタマーエクスペリエンスを提供できるのも事実です。しかし、グーグルは、商品を見つけ、購入につながる"場"ではなくなっているのです。

多くのオンライン通販事業者は、まだこの流れに気付いていませんほとんどの企業はいまだにデジタルマーケティング予算の大半を、「伝統的な」検索エンジンマーケティングに割り振っています。消費者がチェックしている場所、すなわちアマゾンへ広告予算をシフトしている企業は、先行者利益を得ることができるのです。

アマゾンは、通常のECサイトのコンバージョン率をはるかに上回っており、購入につながるECサイトとしても魅力的です。Webサイトのトラフィックを計測するMillward Brown Digital社の調査によると、米国のEC売上上位500サイトの平均コンバージョン率(CVR)は3.32%でした。一方、アマゾンのCVRは非プライム会員で13%プライム会員は驚異の74%という数字なのです。

これらの素晴らしい数字は、驚くに値しません。なぜなら、アマゾンを訪ずれるユーザーの購買意欲は、非常に高いからです。

米国上位500サイト平均	3.32アマゾン(非プライム会員)	13アマゾン(プライム会員)	74
Amazonの主なCVR(Millward Brown Digital社の調査結果をもとに編集部で作成)

アマゾン内での露出を高める4つのポイント

アマゾンで成功するにはどうしたら良いのでしょうか? 幸運にも、アマゾンの販売者向けマーケティングツールは、他のオンラインマーケティングツールに似ています(グーグルのツールほど質は高くりませんが、年々、近づいています)。

次の4点が、アマゾンで成功するためのポイントです。リソースや広告予算をつぎ込む必要があるものもあります。しかし、考えてみてください。新しいお客を獲得して、CVRが4倍も高くなるなら、やってみる価値はあると思いませんか?

① 商品データ作りに投資する

デジタルマーケティングマネージャーらは、詳細な商品データを作るために多くの時間とエネルギー、予算をつぎ込んできました。

それらのデータはアマゾンのシステムと親和性が高いため、問題なく利用できます。アマゾンはデータ主義の企業ですから、質の良いデータを持つ商品はアマゾンでも優遇されます

商品写真、キャッチコピー、商品詳細だけを掲載している商品ページを数多く掲載したところで、上手くはいきません。それだけでは不十分なのです。

アマゾンに掲載する商品は、商品の利点がわかりやすくまとまったキャッチコピー、詳細な商品説明、サイズや重さなどのデータ、5~7枚の商品画像、加えて、できれば動画を最低1本は準備する必要があります。商品知識が豊富で、質の高い動画や写真を準備できるスタッフも必要になります。

長年、EC業界に携わってきて1つ言えるのは、質の良い画像が使われている商品は売れるということです。これはアマゾンでも例外ではありません。今まで、アマゾン以外のチャネルで利用していた素材を使えば良いのです。

アマゾンは質の高い商品ページを作る「A+」(編注:アマゾンのランディングページ用最適化サービス。日本では2015年に「商品紹介コンテンツ」機能としてリリースされている。詳細はこちら)を提供しているので、それをまず使ってください。

② カスタマーとのエンゲージメントにリソースを割く

アマゾンはただのECサイトなのでしょうか? いいえ、そうではありません。販売者が密接に消費者と関わることができるプラットフォームなのです。

販売や最適化のプロセスに関われば関わるほど、アマゾンの検索で上位に表示されるようになります。上位に表示されるには、次のことを試してください。

ポジティブな商品レビューを増やす

アマゾンの検索はレビューの数と内容に比重を置いています。商品に満足してくれた顧客がレビューを書いてくれる仕掛けを作り、検索結果を向上させましょう。マーケットプレイスには、「アーリーレビュープログラム」など、レビュー促進のためのツールが用意されています(編注:日本では、予約商品や新商品サンプルを提供し、意見や感想をレビューとして投稿してもらう招待制プログラム「Amazon Vine 先取りプログラム」がある)。より簡単に早くレビューを集められるようになっています。

全てのフィードバックに迅速に対応する

迅速に質の高い回答をできるかが大変重要です。販売者ランキングにも影響し、引いては検索結果にも関わります。アマゾンは回答期限に厳しいルールを設けている(編注:詳しくはこちら)ため、ランキングを維持するためにはそれに準ずる必要があります。

競合を監視し、コンテンツをテストする

自社ページと他社ページを比較し、キャッチコピーや商品詳細の文章の変更がコンバージョンにどのくらい影響するかテストしてみましょう。最上級の表現を臆さずに使いましょう(もちろん、アマゾンのガイドラインに抵触しない範囲で。編注:Amazonマーケットプライス出品規約はこちら)。

価格をチェックすることも重要です。特に、製造業者やブランドは、再販業者がアマゾン内での販売価格を大幅に引き下げていないか確認しましょう(アマゾン自体が販売価格を引き下げていることもあります)。

ブランドページを作る

アマゾンのマーケットプレイス内では、ブランドにふさわしいカスタマーエクスペリエンスが提供できるよう、ブランドページを作成することができます(編注:Amazonの「ブランド登録」はこちら)。

ブランドページの利点は明らかです。売り上げが伸びれば、アマゾンからも認められ、多くの特典を得ることができます。売り上げが大きくなれば、「ストラテジックセラー」(戦略的販売者)のステータスが与えられる可能性があります(編注:たとえば、米国では「アマゾンチョイス」<Amazon's Choice badge>という、一般的な日常的なアイテムを探すときに時間と労力を節約できるようにする機能がある。Amazon Alexa対応デバイス向けの機能で、特定の基準を満たす製品をAmazonが認定するもの)。ブランドページの好例として、GE Lighting社やB2BでビジエンスをしているFluke Multimeters社のページを参照してください。

「Amazon's Choice」獲得商品の例
Amazon.comで「Amazon's Choice」を獲得している商品(画像は編集部がキャプチャ)

③ アマゾンが提供するマーケティングツールを利用する

アマゾンは商品の露出を高めるために、有料のツールをいくつか提供しています。アマゾンに掲載されている何百万の商品の中で露出するには、これらのツールを使いこなすことはとても重要です。新しい販売事業者がアマゾンで販売を始める際にも役立ちます。

スポンサードプロダクト(有料検索)は、グーグルのアドワーズと同様に、好きなキーワードを購入し、ユーザーが関連したキーワードで検索した際に露出することができます。レビュー促進にもつながります。そうなれば、最終的には自然検索でも上位に食い込めるようになるでしょう。さらに、アマゾンは広告の投資効果を高めるため、データアナリティクスも提供しています。

スポンサードプロダクト広告のイメージ
スポンサードプロダクト広告のイメージ(画像はAMSの資料から編集部がキャプチャ)

ヘッドライン検索広告(バナー広告)も、キーワードをベースにしています。検索結果の一番上に、他の数点の商品と一緒に表示されます。ヘッドライン検索広告は、アマゾン内の特定のページにリンクを貼ることもできるため、高い効果が期待できます。

ヘッドライン検索広告のイメージ
ヘッドライン検索広告のイメージ(画像はAMSの資料から編集部がキャプチャ)

商品ディスプレイ広告は、購入に近づいた時に表示される広告で、アマゾンの商品ページ内に表示されます。よりターゲットされた購入意欲の高い訪問者に広告が表示されるため、費用対効果が高くなります。

商品ディスプレイ広告のイメー
商品ディスプレイ広告のイメージ(画像はAMSの資料から編集部がキャプチャ)

リターゲティングは、アマゾン内のストアだけでなく、自社サイトへの流入も促してくれるディスプレイ広告を提供しています。

これらのツールを利用するには、綿密に練った戦略と、経験豊富な実行部隊を持つことが重要です(従来のグーグルの検索マーケティングプログラムと同様です)。アマゾンの広告の良い点は、ブランドに関係のない特定キーワードを使っても、アマゾンなら高いROAS(広告費用対効果)が期待できることです(10年前のグーグルと同じです)。

④ フルフィルメントに問題がないか確認する

マーケットプレイスを活用する販売者向けに、フルフィルメントの選択肢が複数用意されています。販売者によるフルフィルメント(販売者が直接購入者に発送)、フルフィルメント by アマゾン(FBA、販売者がアマゾンに商品を納品し、アマゾンが購入者に発送する)などです。

フルフィルメントのシステムを問題なくスムーズにしておく理由は2つあります。1つ目は、商品が予定通りに到着し、中身が正しければ、商品や企業に対するレビューが良くなることが多いからです。

2つ目は、アマゾンのプライム会員への露出が増えれば、より見つけてもらい、買ってもらえる可能性が高まるからです。プライム向けの商品になるためには、アマゾンに直接商品を販売するか(マージンを失い、販売価格や商品紹介方法における決定権を失うため、ベストな方法ではありません)、FBAを利用する方法があります。

プライム会員のコンバージョン率は74%で、2017年には推定約7000万人の会員数だったことを考えると、逃したくないターゲットなのではないでしょうか?

◇◇◇

アマゾン内でのプレゼンスを高めることで、販売事業者は多くの利益を得るでしょう。アマゾンは消費者が最初に商品検索を行う場所なのです。

アマゾンというECの巨人を無視すれば、ビジネスのリスクが高まります。たとえアマゾンが競合だとしても、アマゾン対策が必要なのです。マーケトップレイスでどれだけ売れるのかを認識するためにも、アマゾンでの販売を検討することも視野に入れましょう。

Internet RETAILER

世界最大級のネット通販業界の専門誌「Internet Retailer」は、雑誌のほか、Web媒体、メールマガジンなどを運営。Vertical Web Media社が運営を手がけている。

Eコマースの戦略に関し、デイリーニュース、解説記事、研究記事、電子商取引におけるグローバルリーダーをランク付けする分析レポートなどを発行している。

Internet RETAILER

Jフロントから自社株を買い戻す千趣会。大手小売とのシナジーは難しかった?

7 years 9ヶ月 ago

総合通販大手の千趣会は2月26日、政府系投資ファンド「地域中核企業活性化投資事業有限責任組合」を割当先とした第三者割当増資を実施し、70億円を調達すると発表。また、筆頭株主であるJ.フロントリテイリング(JFR)から、一定の条件下で75億円を上限に自己株式を買い戻す。

千趣会とJFRは2015年4月に資本業務提携を結んだ。JFRが千趣会に約75億円を出資し、その資金を①オムニチャネル戦略推進に向けたシステム投資(30億円)、②相互販売に伴う出荷量の増加に対応するためのインフラ整備(30億円)、③新ブランド展開における都市部での旗艦店開発、新規 PB商品の共同開発・共同仕入の資金(残額)――に使うとしていた。

ただ、業務提携施策の具体化は遅れており、 現時点で資金の充当額は約8億3000万円にとどまっている。

千趣会とJFRはこれまで築き上げてきた良好な関係を今後も維持し、業務提携の継続を含めて検討していくとしている。

業務提携におけるこれまでの実施状況

  • オムニチャネル販売を推進・拡大するためのベースとなるシステムの開発及びインフラ整備など(3億8500万円)
  • 大丸松坂屋百貨店Webのリニューアルオープン支援、物流受託(美濃加茂商品センタ ー)体制の構築、撮影スタジオ新設(9000万円)
  • 大丸松坂屋百貨店へのベルメゾンブランド店舗出店、ベルメゾン新型店舗の出店(3億5500万円)

新中期経営計画を実現するためファンドから出資受け入れ

千趣会は業績低迷を受け、事業戦略の変革や赤字体質からの脱却などを盛り込んだ「千趣会グループ中期経営計画 2018~2020」(新中期経営計画)を2017年10月に公表。

新中期経営計画を確実に実行するには、「地域中核企業活性化投資事業有限責任組合」から出資を受け、JFRの持分法適用関連会社から外れることが望ましいと判断した。

JFRは千趣会の発行済株式の22.62%を保有している。千趣会は一定の条件が整った後、75億円を上限に自社株を買い戻す。買い戻す時期や手法、取得価格、取得株式数などは現時点では未定。 

千趣会の2017年12月期における通販事業の売上高は、前期比5.0%減の1012億7900万円た。カタログ発行部数を約4割減らしたことなどから売り上げが落ち込んだ。通販事業の営業利益は57億700万円の赤字(前期は2億4000万円の赤字)。

千趣会の通販事業ジャンル別売上

通販事業ジャンル別売上(画像はIR資料を編集部がキャプチャ)

近年はEC強化を掲げ、カタログを主軸とする通販からEC主体へと事業構造の転換を図っている。前期はカタログの配布先を見直し、カタログの休刊や統合に伴い発行部数は前年同期比37.5%減の4740万部。カタログ発行部数を大幅に削減したことによる減収を、オンライン施策で補えなかった。

千趣会の通販事業の概況

通販事業の概況(画像はIR資料を編集部がキャプチャ)

セブン&アイ傘下のニッセンとの共通点

千趣会がカタログ通販の構造改革に苦戦する様子は、セブン&アイホールディングス傘下で事業再建を進めているニッセンとの共通点も見えてくる。

ニッセンは2015年度にカタログの発行頻度の絞り込みや、カタログの薄型化などを実施。無料カタログやテストカタログ(受注予測を行う目的で本番カタログの3か月前に発行するテストカタログ)も縮小した。

ニッセンの業績不振を招いた「価格訴求」なぜお客は離れたのか?⑤
ニッセンが2015年度に発行したカタログについて

ただ、経営資源を集中するために実施したカタログ通販の縮小は、カタログを手に取る既存顧客の購入回数や購入単価の減少、新規顧客の獲得減を招いた。「カタログを見てスマホで注文」「PCとスマホ、カタログを併用」など、オムニチャネル的な買い物、マルチデバイスで注文する消費者も多いため、カタログ縮小は売上減少につながってしまう。

ニッセンの業績不振の要因はカタログ縮小のためだけではないが、2015年度は前年度比で200億円強も売り上げが落ち込んだ。

千趣会の今後は?

千趣会は2018年12月期、ベルメゾン事業(通販事業)の売上高を減少させつつ、徹底的なコストダウンを行うことで赤字体質からの脱却をめざす。

その上で「専門性のある商品を提供すること」「専門店単位でビジネスモデルを構築すること」「専門店単位で事業管理すること」による専門店集積型事業への変革を図る。

専門店化による通販事業の再拡大、通販とブライダル事業など複数の事業間における相互送客などに取り組み、2019年12月期以降の再成長を図る。

千趣会の今後の全体戦略

千趣会の全体戦略

「地域中核企業活性化投資事業有限責任組合」から調達した資金は、「ベルメゾン事業の専門店化構想を支えるECプラットフォーム構築などに係るシステム投資 」に35億円、「ブライダル事業、子育て支援事業の拡大、通信販売事業とのシナジー創出に向けた新規投資 」に35億円を充当する。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

どん底から再生したタオル業界の風雲児。今治から最高のタオルを届けるチーム「IKEUCHI」の裏側 | STORY of BACKYARD ─ECサイトの裏方たち─

7 years 9ヶ月 ago

愛媛県今治市。穏やかな瀬戸内海に面した、人口18万人の港町。タオルの一大産地として120年の歴史を有し、日本で生産されるタオルの6割がこの地で作られている。しかし、安価な輸入タオルにシェアを奪われ、今や日本で流通するタオルの8割は輸入品だ。今治もその煽りを受け、繊維関連業者は最盛期の5分の1ほどに減ってしまった……。

そんな今治において、独自のブランディングにより若い世代を中心に人気を集め、成長を続けているのが「IKEUCHI ORGANIC(イケウチ オーガニック、以下イケウチ)」だ。「池内タオル」と言う名に覚えがある人も多いかもしれない。1953年に創業した池内タオルは、2014年に「IKEUCHI ORGANIC」に名称変更して再出発。今や全国からのみならず海外にまでその名をとどろかせているのだ。

池内タオルからIKEUCHI ORGANICへ

池内タオル時代にはOEM製造を請け負っていた同社だが、2003年に取引先の倒産の煽りを受けて連鎖倒産。しかし、「がんばれ池内タオル」というファンサイトができるほどの根強いファンに支えられた。それまで会社の売り上げの1%に過ぎなかった自社ブランドを主軸に据え、民事再生法での復活を果たした。

IKEUCHI ORGANIC 作業風景
目を揃えるためにシュロのブラシでブラッシングを行う

OEM製造が主流のタオル業界で、メーカーが自社ブランドを確立するのは容易ではない。D&DEPARTMENT代表取締役会長のナガオカケンメイ氏をアートディレクターに迎え、「IKEUCHI ORGANIC」と改名。環境配慮を打ち出したクオリティ重視のブランドとして愛媛から世界に向けて発信を始めた。こうしたユニークな取り組みと、オーガニックにこだわる姿勢は、「今治」というブランドに寄りかからない矜持があったのだ。

IKEUCHI ORGANIC 作業風景
出荷前、タオルの毛羽をハサミでカットする。すべて手作業だ

「無農薬のオーガニックコットン100%」と「風力発電で作ったタオル」というブランディングを打ち出し、OEM製造受託をメインにするタオルメーカーが多数を占める中、自社サイトでの通信販売や店舗販売で売上を伸ばしている。

イケウチのタオルが生まれる場所

イケウチの工場は前身の池内タオルの施設を改造したもの。歴史を感じる木造の建物だ。名機と呼ばれる豊田自動織機の織機や糸を巻きつける整経機(せいけいき)などが並び、大きな音を立てながら、規則的な動きを続けている。

IKEUCHI ORGANIC工場内部

全盛期には1日2万枚のハンカチを製造していたため、現在の2倍近くの織機があったという。乾燥すると糸が切れてしまうので、工場内では霧が噴射され、湿度と温度が一定に保たれている。

IKEUCHI ORGANIC工場内部
IKEUCHI ORGANIC工場内部

イケウチでは食品安全マネジメントシステム ISO 22000認証を取得しているので、工場に入るには髪カバーと靴カバーの着用が義務付けられている。

イケウチのバックヤードのひと

朝8時、始業したばかりの工場を訪ねた。イケウチのバックヤードを統括するのは、WEBチームの中山洋香さん。柔らかい雰囲気の女性だが、判断や指示の速さ、的確さには社内でも定評がある。自社サイトの通販から楽天の店舗などの受注作業、電話注文の対応からピッキング、梱包、出荷までを取り仕切るバックヤードの主だ。

IKEUCHI ORGANIC WEB担当 中山洋香さん
IKEUCHI ORGANIC WEB担当 中山洋香さん

中山さんは約20種類・200アイテムをスムーズに出荷するためのバックヤードのシステムを確立した。現在は3人のスタッフとともに日々業務を行っている。

中山さんのある日の午前中

  8:00 出社
  8:10 注文を紙に出力してチェック
  8:30 メールで来た問い合わせに答える
  9:00 パートのスタッフに受注票を渡し、注文された製品を作る指示を出す
 10:00 今日出荷する商品の納品書を作る
 11:00 送り状を作成する

ネット経由の注文数は月曜が最も多く、週末に近づくと緩やかになる。金曜にメルマガを発行していることも影響しているのか、注文が集中するのは決まって土日だという。

日次の作業は、在庫をチェックして、注文された組み合わせで指示書を作り、商品を倉庫からピックアップして梱包作業をすること。平日にもまんべんなく売れるようにするのが目標ですね。(中山さん)

完成度の高いギフトであるために

イケウチのバックヤードにおける課題は「ギフトとして完成度の高いラッピング」 を作り上げること。7、8割はギフトとして使われるからだ。

ネットショップの受注をすべて把握し、さらに購入者からの声にも答えている中山さんは、ユーザーの気持ちを最もよく知る人。中山さんが自ら商品を選定したギフトセットもネットショップで販売されている。

ギフトを考えて提案をするのは楽しいこと。自分が作ったものが売れるときには一番やりがいを感じます。イケウチはシンプルなアイテムしか出さないので、どうやって組み合わせて個性を出すかが腕の見せどころ。「こういうものなら喜ばれる」という判断には、受注対応しているうちにたまったノウハウが活かされていると思います。(中山さん)

単に箱の中にタオルを収めるだけでは喜ばれるギフトは作れない。手作業だからこそ、そこに真心を込めることができる。

梱包作業で一番悩むのがラッピングです。お客さまにはネット上で自由にタオルを選択していただいて、それをギフトとしてラッピングするのですが、タオルの大きさや種類がバラバラなので、箱に合わせて折り方を変えるなどの工夫が必要。流れ作業ではできません

「中身を確認してから相手に渡したいので、テープは貼らないでほしい」という要望をいただくこともあります。お客さまが大切な人に差し上げるものですから、こちらも気を使います。(中山さん)

バックヤードのリーダーとして顧客を知り尽くす中山さんだからこそ、喜ばれるギフトセットを作る事ができるのだろう。

IKEUCHI ORGANIC ギフトセット
ていねいなギフトのラッピングはブランドカードを置いて完成する

口コミから生まれたヒット商品

イケウチのバックヤードが最も忙しいのは年末。お得な商品を詰め合わせた「福袋」が口コミで広まり、注文が殺到したことがきっかけだった。

福袋を買って下さった方がブログなどで「すごかった!」と書いてくださったのがきっかけで、たくさんの注文をいただきました。

福袋のオペレーションで課題なのは、アイテムが画一ではないので、いつもよりもさらに指示が複雑になってしまうこと。スタッフにはかなり負荷がかかりました。それでも対応してくれるのがすごいところです。(中山さん)

福袋に限らず、イケウチの評価はネットの口コミで高まってきた。消費者の心をつかむ高品質なモノ作りを真摯に続けてきた結果だ。

私が入社した当時にもネットショップはありましたが、注文は少なかった。そこで「お試しセット」という低価格のセットを作って販売したところ、使って下さった方がネットでおすすめして下さった。それが口コミで広まって、ネットショップの需要もすごく増えてきたんです。(中山さん)

IKEUCHI ORGANIC WEB担当 中山洋香さん

ウェブで魅力を伝える“親切設計“

続いてご登場いただくバックヤードの人は、WEB担当の神尾(かんお)武司さん。2014年に入社し、イケウチの商品がより多くの人に届くように、自社通販サイトに徹底的なテコ入れを行った人だ。商品ページに詳細な情報を加え、購入者のコメントを付けるなど“親切設計”を心がけた。

IKEUCHI ORGANIC WEB担当 神尾武司さん
IKEUCHI ORGANIC WEB担当 神尾武司さん

サイトの中でも、よく見られているのがこのタオルのチャートです。お客さまに一番響いたのは「ホテルで提供されるタオル」というキャッチコピー。これは購買につながりました。厚い、薄い、だけだと伝わらないところが、具体的なイメージを使うことで通じる。ネットショップだと製品に触れられないので、こうした伝える工夫がすごく大事になります。(神尾さん)

神尾さんはさらに、東京オフィスの牟田口さん(マーケティング担当)と一緒にスタッフたちにもスポットを当てる取り組みを行う。自社サイトに「イケウチのヒト」というコーナーを作り、自ら工場で働く職人たちのインタビュー記事を執筆。カメラマンにポートレート写真を依頼し、IKEUCHI ORGANICに携わる人の思いをお客さまにアツく伝えるメディア展開をした。

社内にも、スポーツ新聞風に社員の活躍を紹介する記事が掲示される。こうした血の通った取り組みは、社員のモチベーション向上にもつながり、さらに良い製品作りに結びつくに違いない。

製品の企画からデザイン、受注から発送、さらに直営店も経営、自社サイトというデジタル面もプロデュースする、イケウチの領域横断的なビジネス。それが可能になるのは、風通しの良い社内の雰囲気があるからだろう。

こだわりを持った職人も多い社内ですが、組織としてすごくフラットで、発言しやすい環境です。店舗とWebをつなげられないかと相談すれば考えてくれるし、直営店でのイベントなどを通して、職人がユーザーの反応を直接知ることができる。かつてOEM製造だけをしていたときの”売り逃げ”よりも、定番の商品を継続して売っていくことで、消費者の満足感も上がると思います。(神尾さん)

いまの神尾さんの願いは、もっとたくさんの人にイケウチのことを知ってもらいたいということ。現在は社内でマーケティングの体制ができ、新たな戦略を立てているという。

オーガニックな会社は言い訳しない
◇◇◇

良いタオルが欲しいと思っているすべての人に、イケウチの真摯なモノ作りを届けたい。そんな思いでイケウチのバックヤードの人たちは前に進み続けている。

B.Y

B.Yは、普段表に出ないEコマースのバックヤード(受注、出荷、顧客対応)担当者を取材した“日本初”バックヤードに特化したWEBメディア。 バックヤードの人々が実践する「運用業務の創意工夫」「仕事への向き合い方」をSTORY、「バックヤード運用ノウハウ」をTOPIC、として発信している。本来Eコマースがもつ可能性を拡げ、バックヤードの人がいきいきと働けるキッカケを提供することでEC業界全体を支援している。

B.Y

ロクシタンがめざすデジタル戦略とは? データ活用から店舗連動など3年間の施策と成果

7 years 9ヶ月 ago

ライフスタイルコスメ大手のロクシタンジャポンは2015年から、100か所以上の実店舗とECの顧客データを統合し、マーケティングの方法や販促施策、社内の組織作りまで、データに基づいてデジタル改革を進めている。ロクシタンがめざすデジタル戦略とは、どのようなものか? また、その狙いは何か? デジタルマーケティング部・吉屋智章部長がデジタル戦略の取り組みやオムニチャネルの展望などを語った。写真◎Lab

3段階で進めたロクシタンのデジタル改革

データに基づいてビジネスの実態を正しく把握する。そして、誰もが「正しいデータ」に基づいて施策を実行できる体制をめざしている

ロクシタンジャポンが2015年から進めているデジタル改革の目的を、吉屋智章部長はこう説明する。

ロクシタンジャポン デジタルマーケティング部・吉屋智章部長
ロクシタンジャポン デジタルマーケティング部・吉屋智章部長

1997年に国内1号店をオープン後、現在は路面店や百貨店のテナントなど100店舗以上の直営店を展開。EC事業は、2006年に開設した公式オンラインショップを中心に、規模を拡大している。

2015年にスタートしたロクシタンジャポンのデジタル戦略は、大きく分けて3つの段階で進んでいるという。

第1段階

実店舗とECの会員IDなどを統合し、デジタルマーケティングの基盤となるデータベースを構築

第2段階

データベースを分析し、CRMの強化や主にEメールのセグメント配信のPDCAを実施

第3段階

ECで取り組んできたデジタルマーケティングを、実店舗を含む全チャネル、全ての顧客タッチポイントに拡大

【第1段階】実店舗とECのデータを統合しDBを構築

ロクシタンが最初に取り組んだのは、実店舗とECのデータを一元化すること。クロスチャネルキャンペーン管理ソリューション「Adobe Campaign」を導入し、実店舗とECの会員IDを統合した。

会員の購買履歴を「Adobe Campaign」に蓄積し、そのデータを分析。ECと実店舗の垣根を超えて、1人の会員が「いつ」「どこで」「何を」「いくらで」「何回」買ったのかを把握できるようにした

さらに、購買データやカスタマーセンターの問い合わせ情報など、社内のさまざまなデータも必要に応じて抽出・分析できる仕組みを構築。その結果、「セグメントの構築や、施策の効果検証などを行う際、必要なデータをすぐに取り出し、迅速に分析できるようになった」(吉屋部長)。

システム移管後のアーキテクチャ ECシステム側を完全に入換え、顧客情報の一元管理を行うWeb解析UI/ UX解析ツール ECシステム POSシステム Adobe campaign DMP
システムを移管し、ECと実店舗のデータを統合した

【第2段階】ECを中心にデジタルマーケティングを本格化

DB構築の次に取り組んだのは、CRMの強化と販促施策のPDCAを回すことだ。

Eメールのセグメント配信を実施し、「いつ」「誰に」「どんな内容」のメールを送れば効果的か」を検証。効果が高かった施策をベースに、ターゲティングメールの成功パターンを模索した。ターゲティングメールのコンバージョン率が、コントロール配信の約5倍に達するなど、高い成果をあげることもあったという。吉屋部長は次のように話す。

データを活用し、お客さまに合った商品を提案することで、購入率が上がった。(吉屋部長)

例えば、製品連動施策が出来る様に No actionのコントロールセグメントと比較して、一定期間内に+499%の購買率を達成! Adobe campaign 検索アリ・購入アリ 検索ナシ・購入ナシ 元々購入アリ 検索アリ・購入ナシ
会員の購買情報や行動情報をベースにターゲティングメールを配信。PDCAを回して成功パターンを見つけた

また、DBから会員が「どのチャネルで」「何を」「いくらで」「何回買い物をしたか」といった導線を分析。新規購入からリピートへと進む導線のなかで、離脱が多いタイミングを特定していった。

そして、会員が離脱しやすいタイミングの直前にクーポンを発行するなど、離脱防止策を実施。それらの施策のPDCAを回し、離脱の原因に対する効果的なアプローチ方法を見出した。

データを分析することで、重要度が高く、効果的な施策を打てるようになった。(吉屋部長)

顧客購入導線の追跡 更に各導線でどこで離脱が起きやすいか? その原因分析を深めていき、その原因へのアプローチをADOBE CAMPAIGNで行う。
会員が離脱しやすいタイミングを特定し、離脱防止策を実施した

会員の購買履歴を販売チャネルごとに分析したところ、アクティブ会員の中で「実店舗だけを利用する顧客」は67.5%、「ECだけを利用する顧客」は23.6%、「実店舗とECの両方を利用している顧客」は8.9%にとどまることがわかった。

それぞれの属性ごとに購買金額などの平均値を調べたところ、実店舗とECの両方を利用する会員の「年間購入金額」「接触頻度」は、実店舗かECのみを利用する会員と比べて大幅に高いことが判明したという。

ECと実店舗の両方を利用する会員(オムニチャネル顧客)を増やすことが、ブランドにとってメリットがあることを、吉屋氏は店長会議などの場で店舗スタッフに説明した。これは、店頭での会員登録などへの協力を仰ぐためだ。

2016年には顧客が自身でQRコードから会員登録できる会員カードを導入。店舗スタッフの意識が高まったこともあり、2016年の会員登録率は前年を上回った。

顧客登録率の推移 リテイルも顧客登録の重要性とオムニ顧客を産み出すことの重要性を理解できる 登録率推移 月推移
2016年の会員登録率は前年を上回った

【第3段階】ECと実店舗を統合したCRMに着手

ECで取り組んできたデジタルマーケティングの取り組みを、2017年4月から実店舗にも拡大した。「デジタルの力をリテールにも活用し、全社的なCRMの見直しと、オムニチャネル化を進めている」(吉屋部長)と言う。

たとえば、店舗リニューアルの告知DMなどを発送する際、会員の居住地を踏まえて発送先リストを作るようにした。

従来は会員の居住地に関わらず、RFM分析に基づき優良顧客を抽出してDM送付先リストを作成していたが、会員のなかには店舗をほとんど利用していない顧客も混じっていることが判明したためだ。

たとえば、池袋店の会員の約20%は、旅行者とみられる遠方の顧客が含まれていたという。「RFM分析では優良顧客とみなされても、日常的にその店舗を利用していない場合もある」(吉屋部長)。

遠方に住む会員をDMの送付先から除外した結果、DMの反響率は従来比約20%改善したという。

地域情報との掛け合わせ +20% ↑ 西武池袋線沿線ゾーン 東武東上線沿線ゾーン JR埼京線沿線ゾーン 池袋店
店舗リニューアルの告知DMの送付条件に会員の居住地を加えた

施策の効果を可視化し、優先順位を明確化

メルマガやDMのセグメント配信を行った際は、ターゲットとコントロールグループのROI(投資対効果)などを検証し効果を可視化する。施策の効果を数字で明示することで、「優先的に取り組むべき施策について、社内で共通認識を作る」(吉屋部長)ためだ。

効果を可視化したことで有効性が認められ、新たに取り入れた施策もある。

たとえば、従来はメルマガのみで送信していた「誕生日キャンペーン」を、紙のDMで送付したところ、誕生日キャンペーンDMのROIは通常のDMの約7倍だった。

また、メルマガをオプトアウト(受取拒否)に設定している顧客に、紙の誕生日DMを送ったところ、誕生日に送ったDMのROIは通常のDMの約6倍だったという。

この結果から、紙媒体はEメールよりも発送コストは高いが、誕生日のDMは実施する価値があると判断できた。(吉屋部長)

E-mail Opt-out顧客へのアプローチ 7倍↑ 6倍↑
PDCAを回し、誕生日DMのROIは通常DMよりも高いことを突き止めた

EC売上高を実店舗の評価に反映

実店舗を持つ企業がオムニチャネルに取り組む場合、「ECが実店舗の売り上げを奪うのではないか」という不安を、店舗スタッフが抱くことがある。

こうした不安を払拭するため、店舗スタッフの評価の仕組みも変えた。ECの売り上げを、店舗の評価にも反映する仕組みを2017年に導入。ある会員がECサイトで商品を購入した場合、その会員の購入頻度が高い店舗の評価にも反映される仕組みだ。

ECと実店舗のデータベースを統合したことで、社内体制の変革も可能になった。

データを活用して「優良顧客の購買パターン」を再現

ロクシタンジャポンは今後、ロイヤルティの高い顧客を増やすためにデータを活用していくという。

ロイヤルティの高い会員に共通する購買行動のパターンを特定し、メルマガやDM、プッシュ通知、ライン、ECサイトのレコメンド機能など全ての顧客タッチポイントを活用して、顧客の属性に応じた最適な購買パターンをお勧めできる体制を構築する計画。既にテストを通じ、いくつかの成功パターンが見えているため、コストが高いメディアに対してもリスクを見積もりながら自信をもって展開をすることが可能になっているという。

トップカスタマーの買い物のパターンを把握し、再現性のあるマーケティング施策と紐づけていく。ロイヤルティの高い会員の購買プロセスを分析する際は、①商品を購入する順番 ②実店舗とECサイトの利用状況 ③キャンペーンへの反応率──を軸にする。(吉屋部長)

そして、吉屋部長はデータをビジネスに活用する際のポイントを、次のように指摘する。

量だけでなく質が大切。そして何より、データをどのように扱うかを考えることが重要になる。データを活用するということは、ビジネスマネジメントそのものだと思う。

吉屋氏がめざすデジタル戦略を実現するには、膨大なデータ連携が必要になる。現在、本社を巻き込んで全社的なデータハブ構築プロジェクトを進めているほか、外部企業が持つデータと連携し、より精度を高めていくことも検討している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章
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