ネットショップ担当者フォーラム

広告運用の業務を自動化するAIアシスタント「Roboma」β版をリリース、無償から提供

7 years 11ヶ月 ago

RoboMarketerは1月16日、広告運用などを自動化するマーケティング・アシスタントサービス「Roboma(ロボマ)」のβ版をリリースしたと発表した。

「Roboma」は人工知能(AI)を活用し、広告の運用や分析業務を自動化するクラウドサービス。

FacebookやInstagram、GoogleAdwords、Twitterなどの広告アカウントと連携し、広告レポートの作成やROI(投資対効果)の可視化などを自動化することで、企業のマーケティング活動の効率化を促進する。

広告アカウントとの連携は、簡単な手順によって1分で完結するという。

連携した広告アカウントのレポートを一元管理し、費用や獲得コスト(CPA)などの指標をグラフで表す。

管理画面の閲覧権限をチームメンバーや代理店などに付与することで、レポートを共有して円滑な意思疎通を図ることもできる。また、データをもとに、AIが最適なアクションをアドバイスするという。

RoboMarketerは広告運用などを自動化するマーケティング・アシスタントサービス「Roboma(ロボマ)」のβ版をリリース

「Roboma(ロボマ)」のダッシュボードのイメージ

料金プランは「フリー(無料)」「ベーシック(9800円)」「プロ(2万9800円)」「エンタープライズ(個別見積)」の4種類。

RoboMarketerは同日、エウレカ創業者の赤坂優氏などを引受先として総額約4000万円の第三者割当増資を実施したことも公表した。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

JA全農が「Tmall」で国産米を越境EC、農水大臣「中国市場は大きな需要が見込める」

7 years 11ヶ月 ago

全国農業共同組合連合会(JA全農)とJA全農インターナショナルは1月12月、アリババが運営する中国ECサイト「Tmall」で日本産のコメの販売を開始したと発表した。

アリババが商品を仕入れて販売する直営店「天猫国際官方直営」を通じ、中国の消費者に国産米を販売することで、中国市場の開拓を図る。JA全農によると、「天猫国際官方直営」における日本産のコメの販売は初めて。

当初は三重県産と石川県産のコシヒカリ2銘柄を販売。今後、取扱商品を順次拡大する予定。

JA全農グループは中国のEC市場に積極的に参入し、国産米の中国での販売拡大に取り組むとしている。

「天猫国際官方直営」を通じて日本産米を販売する(画像は編集部がキャプチャ)

JA全農が中国ECに取り組んでいることについて、齋藤健農林水産大臣は1月12日の会見で、日本の農林水産物や食品は中国で大きな需要が見込めると指摘。ECで中国市場を開拓すること関し、「我が国の農林水産物・食品の輸出拡大が図られていくということは私は大いに期待をしております」とコメントしている。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

送料値上げ時代を勝ち抜くための物流対策は? 通販・EC業界のベテランが本音で語る

7 years 11ヶ月 ago

送料値上げに対して通販・EC企業はどう立ち向かうのか? 継続的な企業の成長を続けるためには避けては通れない状況に直面した通販・EC企業。総合通販、単品通販、EC、物流専門家という立場の登壇者が、自社の課題や対策などをディスカッション。送料値上げ時代を勝ち抜くためのヒントを探ってみたい。

通販・EC業界に長らく携わってきた4名によるパネルディスカッション。モデレータを務めた柿尾正之氏(合同会社柿尾正之事務所)は公益社団法人日本通信販売協会理事で、通販市場拡大の変遷、多くの通販企業を業界団体の立場から見てきた人物。

スクロール360の常務取締役ビジネス戦略室長・高山隆司氏はスクロール(当時はムトウ)に入社後、通販業務に携わること30年以上。ティーライフの取締役商品企画販売部長・須浪薫氏はセシール(現在はディノス・セシール)でマーケティング全般に従事した経験があり、現在はティーライフで単品系通販会社のマーケティング部門の責任者である。ヌーヴ・エイのデジタル戦略部部長・大西理氏もセシール、その他、メーカーなどで通販・ECの責任者などを歴任してきた。

通販・ECビジネスを熟知した4名は、物流クライシス、送料値上げ問題をどう見ているのか。

合同会社柿尾正之事務所(元公益社団法人日本通信販売協会理事) 
柿尾正之氏 
株式会社スクロール360
常務取締役 ビジネス戦略室長 高山隆司氏 
ティーライフ株式会社
取締役 商品企画販売部長 兼 顧客開拓部管掌 須浪薫氏 
株式会社ヌーヴ・エイ 
デジタル戦略部 部長 大西理氏
登壇者(左から)
・合同会社柿尾正之事務所(元公益社団法人日本通信販売協会理事) 柿尾正之氏
・株式会社スクロール360 常務取締役 ビジネス戦略室長 高山隆司氏
・ティーライフ株式会社 取締役 商品企画販売部長 兼 顧客開拓部管掌 須浪薫氏
・株式会社ヌーヴ・エイ デジタル戦略部 部長 大西理氏

起こるべきして起きた送料値上げ問題

柿尾正之氏(以下柿尾):2017年に起きた大手配送キャリアによる配送料値上げは一段落と見ていいでしょう。ただ、再び配送料値上げの動きが出てくる可能性があります。根本的な問題として、日本の人口は減ってきているが、単身世帯が増えて全体の世帯数が増加。通販・ECの利用が増え、配送キャリアの配送個数が増えています。

このような状況下で起きた配送料値上げに関して、通販・ECに携わる企業によっては意見がわかれるところ。「勘弁してほしい」という声もあれば、「社会問題になっているので理解できる」という意見もある参考記事はこちら。スタンスは企業によって異なるので、まず通販・EC業界に長く携わっている皆さんに、個人としての意見を聞いていきましょう。

合同会社柿尾正之事務所(元公益社団法人日本通信販売協会理事)柿尾正之氏
合同会社柿尾正之事務所(元公益社団法人日本通信販売協会理事)柿尾正之氏
マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年4月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年6月、退任。 現在、企業顧問、社外取締役。関西大学大学院商学研究科、東京国際大学商学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販 不況知らずの業界研究」(共著:新潮社)等多数

高山隆司氏(以下高山):アマゾン ジャパンさんとヤマト運輸さんが“パンドラの箱”を開けてしまった、という思いがあります。この業界では、いずれ配送ドライバーが不足する状況に陥ると何年も前から言われていました。けど、誰も手を付けてこなかった……。“パンドラの箱”が開いたことで、ECが抱える課題、ECが成長するために必要なことが公になったことは良かったと思います。

なぜなら、配送キャリア、通販・EC企業側の双方が、課題・問題を共通認識として意識するようになったからです。そしてもう1つ、配送料金の決定権がこれまで通販・EC会社にありましたが、今回の問題で逆転。一気に配送キャリアに価格決定権が移ったと認識しています。

株式会社スクロール360 高山 隆司氏
株式会社スクロール360 高山 隆司氏
1981年株式会社スクロール(旧社名株式会社ムトウ)に入社後、新規通販事業の立上げ、販売企画、INET戦略策定を経て、2008年に株式会社スクロール360の設立に参画。以来、多くの企業の通販事業の立上げ、EC戦略策定、物流立上げを経験。現在、スクロール360では300社のEC通販企業のサポートを行なっている。著書に「ネット通販は物流が決め手」、「シニア通販はこだわりの大人女性を狙いなさい」!(ダイヤモンド社)がある

須浪薫氏(以下須浪):私は2つの視点による感想を持っています。これまで物流業者さんは下請け的な立場であり、苦しめられてきた業種だと思うんです。私が過去に在籍していた大手メーカーや通販会社のときも、会社の方針としては「とにかく配送費を抑えろ」と指示され、物流業者さんと交渉してきました。ヤマト運輸さんも限界が来たんだろうなと。そういった構造的な限界を是正する意味では、個人的な意見として値上げはやむを得ないことだと思っています。

2つ目は事業者からの視点。ティーライフは比較的粗利率が高く、お客さまとの関係性も築けています。体力的にも問題ないのですが、これから先、体力勝負によって苦しくなるところが出てくるのではないかなと思っています。

ティーライフ株式会社 須浪薫氏
ティーライフ株式会社 須浪薫氏
総合通販・株式会社セシール(現ディノス・セシール)にてマーケティング全般に従事。 その後、上場会社役員等を経て、2016年8月から現職。商品企画販売部長として、マーケティング部門、顧客開拓部門、商品開発部門、ネット販売部門を統括

柿尾:須浪さんは総合通販会社に在籍していましたが、今回の状況下で総合系の企業で働いていた意見はどうでしたか?

須浪:変わりますね。結局、送料値上げは原価率の問題に直結します。総合通販の原価率は一般的には40%~50%くらい。それでもきつい。粗利率の低い商材を取り扱っている企業、モール主体のビジネスをして営業利益率の低い企業は、これからきつくなるのではないかなと思っています。

大西理氏(以下大西):お2人とは違う角度の意見ですが、この問題は起こるべくして起きたことかなと思います。本当は前から予想できたことのはず。過去を振り返ると、通販は宅配便と一緒になって市場を創り、成長してきました。その過程で企業同士の競争が激しくなり、時間指定といった消費者に手厚い配送サービスが生まれていった……。言葉は悪いですが、消費者を甘やかしてしまった代償が今回の問題ですよね。

もう1つ事業者側の意見として。もう日本の労働力は増えません。そして、値上げに対してのボールは配送キャリア側に移りました。配送料が下がる余地がないんですよね。ならば、今一度、物流業務を自分たち通販・EC事業者がよく理解して、立て直し・見直しする時期に入ったのではないかなと思います。大手の通販・EC会社がやっていることを、中小EC会社はできていないことが多い。そこを改めて見つめ直す時期がやってきたのではないでしょうか。

株式会社ヌーヴ・エイ 大西理氏
株式会社ヌーヴ・エイ 大西理氏
総合通販・株式会社セシール(現ディノス・セシール)にてマーケティング業務からEC事業立ち上げ、Webマーケティング全般に従事。その後、Web制作会社COO、デザイン文具メーカーでのマーケティング責任者、化粧品単品通販のEC責任者等を経て、2016年11月から現職。ファッション/ライフスタイル雑貨小売業のEC事業とオムニチャネル推進、全社デジタル戦略を統括

値上げの影響は? 値上げで顧客にも負担 or 自社で吸収の二者択一

2017年秋までに、大手通販・ネット通販企業が相次いで送料値上げに踏み切った。「ベルメゾン」を運営する千趣会は11月1日から、注文金額5000円未満の場合の送料を、350円から490円に引き上げ。ベルーナは5000円未満の注文で390円としていた従来の送料を、10月1日から490円に引き上げた。

アスクルの「LOHACO(ロハコ)」では10月2日から、900ml以上の飲料ケースなど一部商品の配送料を改定。「特別配送料」として350円を加算することにした。また、一部離島への配送にはさらに「離島配送料」350円を加算する。上新電機は10月2日から、上新電機は10月2日から、送料無料の条件を満たさない場合、一般商品の配送料は従来の540円から590円に変更。音楽・映像ソフトは325円から、378円に引き上げた。

一方、送料無料を適用する購入金額ラインを引き上げる動きもある。Rakuten Direct が運営する「ケンコーコム」では8月、送料無料サービスの適用ラインを、従来の1900円から2500円に引き上げている。

柿尾:これからの通販・ECの成長にとって、送料値上げ問題は避けては通れない道。送料値上げ問題が浮上し、業務や社内の意識はどう変わりましたか? どんな影響がありますか?

大西:送料は上がりました。配送コストだけだと値上げ分は7~8%。ただ、当社の顧客単価が2万円以上を超えているということもあり、物流コスト全体から見ると深刻な影響はないと今のところは思っていますが、配送業務全体を今一度見直ししていかなければいけないと思っています。物流業務を1つ1つ分解してコスト構造を見直し、無理・無駄を減らしていかなければ、将来的に増えていくかもしれないコストを吸収することは難しくなると感じています。

それと、送料値上げへの対策は、極論、お客さんに転嫁するか、自社で吸収するかの二者択一しかないお客さんに転嫁するのは今が最適なタイミングだと思うのですが……。今一度、自社で吸収できる余力はどれだけあるのか、見つめ直すいい時期になったと思い、まずは業務の見直しを始めようと考えています。業務的なところでは、見直しに関するところに出てきそうですね。

須浪:ティーライフは配送キャリアの送料値上げ要請を受け入れたので、値上げ分のコストを吸収しようといろいろと手を打ちました。その結果、現時点では影響は軽微と考えています。

実は、どうしても吸収し切れないコストがあり、その部分についてはお客さまに負担いただく送料を100円値上げしました。これまで、「1回の購入金額3000円未満は送料300円、3000円以上は送料無料」でしたが、「3000円未満は送料400円、3000円以上は送料100円」を頂くよう変更しました。現時点では、値上げしたことによる受注への影響は殆どありません。

柿尾:通販業界全体を見てみると、送料100円程度アップして、お客さまに転嫁する企業が結構多いですよね。

須浪:ええ、そうですね。私たちの考えとしては、配送キャリアが十数パーセントの送料値上げを実施するという報道がなされ、消費者の方も配送は無料ではないんだという認識が醸成されているにも関わらず、事業者側が現状維持、無料とすることは送料を商品価格に含めているんだということになり、今まで築いてきた価格に対する信頼関係に影響が出ると考えています。送料値上げ分については、お客さまにもきちんと求める――それをしないと不正義だと思うんです。これが会社の現在の考え方です。

大西:送料値上げ分の消費者への転嫁は、お客さまとの関係性に依存する部分が大きいですよね。ティーライフさんはお客さまとの関係性が強いので、送料を値上げしても許されるという状況も多分にあると思います。

柿尾ちゃんとお客さまとリレーションができているということの証左ですね。次は高山さんに聞いていきましょう。多くのネット通販企業の物流業務を受託しています。クライアントへの影響などはどうでしょうか。

高山:クライアントへの影響の前にまず押さえておきたいことをお話しします。2016年度の配送個数は40億個を超え、EC市場は15兆円を突破した。右肩上がりで伸びていますが、配達をする人の数は実はあまり変わっていません。こうした状況は今後も続いていくでしょう。そうなると、考えておかないといけないのが、既存の配送キャリアに依存しない「ネクストワンマイル」です。配送キャリアに依存しない方法で商品を届ける仕組みを構築していかなければならないということです。

もう1つが不在配達ですね。いま宅配便の約2割が不在の荷物。これはドライバーに大きな負荷がかかっています。時間帯指定しても、その荷物の17%が不在配達になっているという調査結果もあるんです。

宅配便が再配達されている割合は全体のおよそ2割
宅配便の再配達により消費されている労働力は1.8億時間。これは例えるなら、10人のうち1人のドライバーは1日中再配達を担当している計算になります。
COOL CHOICE」のWebサイトからキャプチャ

送料の値上げ幅は30円、50円、なかには1割以上という事業者もいます。1000円も増えたというクライアントもいます。それはなぜか? 昔から荷主さんと配送キャリアの間では、全エリア一律料金、全サイズ一律料金の契約が存在していました。それが今回の件で問題視され、こうした契約をしているような企業さんが影響を受けていますね。

今、ヤマト運輸さんのドライバー1人が1日で配達する荷物の個数は150~200個と言われています。今後、ドライバーの負荷を減らすか、不在をどう減らすか……通販事業社は協力して、次のステップに向かわないといけません業界全体で考えないといけないですよね。

EC企業、カタログ通販企業など、年間1億3700万個を出荷する荷主グループが集まった「宅配研究会」という会に僕は所属していますが、そこでは「ウケトル」というアプリを展開しています。「ウケトル」は無料で荷物追跡・再配達依頼ができ、ネットショップで購入した荷物の受け取りを簡単にするアプリ。導入店舗を利用した購入者が荷物を確実に1回で受け取ることができる環境をめざし、通販サイトとの連携を進めています。

今後、GPSを使い配送状況をフィードバックするテクノロジーが増えていくでしょう。無人ドライバーによる配送テストであるヤマト運輸さんの「ロボネコヤマト」も始まっています。省人化、テクノロジー活用によって、顕在化している問題は徐々に解決されていく可能性があります

ロボネコヤマトコンセプトムービー

各社はどんな対策を? 値上げで顧客にも負担 or 自社で吸収の二者択一

ECがスタートしたと言われる1996年の年間の宅配便取扱個数は15億3000万個。それから20年。2016年度の宅配便取扱個数は40億個を突破した。20年で約25億個も宅配便取扱個数が増えた計算になる。右肩上がりを続ける通販・EC 市場。このまま市場の拡大が続けば確実に宅配便取扱個数も増えていく。

長期的な企業成長には、短期的な対策はもちろん、中長期を見据えた対策も求められる。

宅配便取扱個数の推移

柿尾:そもそも、麻薬のような「送料無料」というワードを日常的に使用していった通販・EC企業にも送料値上げや宅配クライシスの責任の一端があると思います。「(送料無料というキャッチフレーズを使った方が)売れるから」「他社がやっているから」――こうした意識が浸透していた。そもそも、実店舗でショッピングをする際、車で移動すればガソリン代、電車で移動すれば電車代のコストがかかります。それが、通販・ECを利用すると「無料」になるという消費者の認識、ロジックがいつの間にかできあがってしまいました。

業界として対応が遅れたのは事実。そこで、ここからはこれからのお話しをしていきましょう。対顧客、対会社、対配送キャリアなどのお話しを。

須浪:ティーライフは一部上昇したコストを顧客に負担をお願いしたわけですが、その過程 で上昇分のコストを吸収するための取り組みを進めました。短期的には2つ、長期的には1つの施策です。

ティーライフの主力商材はお茶のため、比較的軽量な商品が多い。実はこれまで、段ボールで商品を梱包して送っていましたが、それを封筒タイプに変更しました。つまりメール便へのシフトです。商品形態、パッケージなど設計そのものを封筒にあわせるための見直しも行いました。まず、こうした内部施策で配送コストの吸収に着手しました。

ただ、これだけではコストを吸収できません。ティーライフは年間で相当数の新規顧客を獲得して成長するビジネスモデルです。売上高の3割程度の経費を新規獲得のための施策に投じていますが、その効率をいかにアップさせるか、その取り組みにも注力しました。

そして3つ目。長期的施策となりましたが、それは商品です。原材料を含めたすべての工程を見直し、コスト削減を進めています。こうした施策を一気に行い、短期的に吸収できないところはお客さまに一部負担をお願いしました。

高山:多くの通販・EC企業が利用しているヤマト運輸さん、佐川急便さん、日本郵便さんに依存しない配送体制を作ることが重要です。スクロール360では2018年2月、全国のファミリーマートの店舗で商品を受け取ることができるサービスの提供を始めます。コンビニには共同配送センターがあり、ファミリーマートさんでは全国73か所。この共同配送センターへ、当社のシェアセンターから商品を送ります。再配達の問題などは起こりません。全国一律の料金で提供できる予定です。

注文時に受け取るファミマ店舗を推定 ネットショップ スクロール360物流センター ファミリーマート配送センター ファミリーマート受取店舗 好きなときに受け取れる
新サービスの仕組み

「共同配送」が今後のキーワードになるでしょう。スクロール本体では個別の個配よりも、実は生協ルートを活用して送っている荷物の方が多いんです。「ネクストラストワンマイル」に共同配送は欠かせないものですね。

そして、宅配ロッカーです。不在配達を減らす、荷物の受取効率を上げるためには、配送キャリアさんが個別に展開している宅配ロッカーをすべての配送キャリアが利用できるようにオープン化することが求められます。これは、通販・EC事業者にも大きなメリットとなるはずです。そのためにも、業界としてオープンロッカー化を提案していきたいですね。

そのほか、通販・EC事業者の送料値上げ対策は4つあげられます。

  • 配送キャリアとの協力体制
  • メール便などの活用
  • 複数倉庫(関東、関西、福岡など)
  • 運賃以外の物流コストの見直し(物流オペレーションの見直しなど)

そして、個人的には「物流業務のシェアリング」をお勧めしたい。シェアリングセンターを使い、そこでは大きなマテハンなどによる作業の自動化、ロボットによるピッキングなどを共同でシェアリングしていくことです。今後、物流倉庫では人手を使わない物流業務が発展していきますので、こうしたテクノロジーの共同活用によるコスト削減策も検討していくべきでしょう。

柿尾:ECのプラットフォームがシェアを拡大しているなか、通販・EC事業者による共同体を作らなければどんどん差が開いてしまいます。シェアリングは重要ですね。最後は大西さん。実店舗200店以上を活用した送料値上げ対策などをやっているのでしょうか?

大西:これからという話になりますが、まずは物流業務の見直しですね。対顧客としては、1つの注文を1回の配送できちんと終えるために、お客さまとのエンゲージメント、コミュニケーションなどはしっかりやりたいと思っているところです。対社内では、通販・ECの工程に携わっているスタッフの業務コストをしっかりと見直し、コスト削減を進めていきたいと考えています。

物流に関する主な業務の例

企画・生産・仕入・発注
  • 発注管理のばらつき
  • 基幹システムが連携していない
  • 欠品情報共有の見直し
販売管理
  • 販売計画の情報共有
  • 納期管理方法
  • 欠品連絡の情報共有
  • 販売計画の情報共有
需給調整
  • キャンセル、追加など在庫管理の調整方法
物流管理
  • 出荷スケジュール管理方法の見直し
  • 特別出荷、加工処理の事前情報共有
請求・回収
  • 委託在庫管理
  • 在庫廃棄処理

2つ目は、当社が持つ200店舗の活用です。店舗の在庫を使えば配送コストはある程度減らせることができます店舗というアセットをどう活用するのかは今後重要な課題です。これまでは顧客接点として店舗活用が重要視されていましたが、配送拠点としての店舗という視点を持っていきたい。店舗の役割、機能を改めて見直すいい機会となりました。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

YouTuber活用のネット通販をスタートしたUUUM、動画コマースでどう攻める? | 通販新聞ダイジェスト

7 years 11ヶ月 ago

ユーチューバーのマネジメントなどを手がけるUUUM(ウーム)は12月8日、お宝と出会える通販サイト「MUUU(ムー・ドットコム)」をスタートし、開設直後からユーチューバーのグッズが完売するなど10代を中心に好評を得ているようだ。

UUUM流、YouTuberのネット通販活用

同社はHIKAKIN(ヒカキン)や東海オンエア、はじめしゃちょー、水溜りボンドといった人気ユーチューバーを数多く抱え、月間の合計動画再生回数は昨年8月に30億回を記録。動画広告収入と企業からのタイアップ広告料が収益の柱だが、所属ユーチューバーを起用した物販を本格化することで、第3の柱として自社ECを育成したい考え。

現状、「ムー・ドットコム」では、人気ユーチューバーの限定グッズのほか、テレビ離れが進む若年層と相性の良いアイテムを、同社所属のユーチューバーが動画で紹介する形で販売している。

各動画の尺や内容などの構成面は基本的にユーチューバーに任せることで各自の持ち味を発揮してもらうとともに、視聴者が違和感なく見られるようにしている。ユーチューバーは自身のユーチューブチャンネルにそのほかの動画と同様にアップし、通販展開する商品の動画は「ムー・ドットコム」へのリンクを貼って誘導。通販サイトでも同じ動画が視聴できるほか、商品の詳細情報を記載して購入を促す。

UUUM(ウーム)はお宝と出会える通販サイト「MUUU(ムー・ドットコム)」をスタート
YouTuberの水溜まりボンドが人気ラーメン店を訪れ、最後に通販セットを紹介する

所属ユーチューバーは多くのチャンネル登録者やSNSのフォロワーを持つため、同社では外部のウェブ広告を使わずにサイト集客できるのが強みのほか、「ユーチューバーのファンは粘着力が強く、ECとしてのポテンシャルは高い」(松山奨執行役員)という。

実際、約260万人のユーチューブチャンネル登録者を抱える東海オンエアの「ムー・ドットコム」限定オリジナルポストカードセット(税込1080円)を12月中旬に販売したところ即完売し、通販サイトやユーチューブチャンネルのコメント欄、ツイッター上で再販売を望む声が多数上がり、再販を決定したケースも出てきている。

同社では、ユーチューバーのインフルエンス力や同社が主催するユーチューバーの祭典「U―FES.」などのリアルイベントを通じて若年層にリーチできる利点と、「ムー・ドットコム」でしか買えない商品を企画・販売することで、「圧倒的に10代が集まるECのプラットフォームを目指す」(松山執行役員)とし、月間数千点単位で商品を展開できるようにしていくという。

UUUMの松山奨執行役員と附田良徳ライブ・エンタテイメントユニットグループリーダー
松山奨執行役員(左)と附田良徳ライブ・エンタテイメントユニットグループリーダー

今期(2018年5月期)は、食品やコスメ・美容系、ファッション商材、玩具などターゲット層に響く商品の幅を広げる。その際、各商品ジャンルに強いユーチューバーを起用することで、説得力を高める。また、ユーチューバーの限定グッズを強化するほか、ユーチューバー自身が手がけるD2C型のオリジナルブランド(オンラインSPA)も計画する。

加えて、メーカーとタイアップし、「ムー・ドットコム」の限定フレーバーや限定パッケージといった専用品の販売も含め、マーケティングツールとしても活用してもらえるようにする

来期には、10代が買い物をするウェブ上の売り場として一定の規模感を目指す考えで、スマホアプリの開発を急ぐ方針だ。

また、日本のユーチューバーを好む外国人もいるため、台湾や中国向けの販売体制も整備していくという。

通販新聞

アダストリアが化粧品ECに参入。コスメブランド「カレイドエビーチェ」を2018年秋発売

7 years 11ヶ月 ago

ファッションブランドを展開するアダストリアは1月15日、コスメブランド「Caleido et Bicé (カレイドエビーチェ」を2018年秋に発売すると発表した。自社ECサイト[.st](ドットエスティ)や、直営店で販売する。

コスメブランドを展開するのは初めて。成長戦略の1つに掲げている新規事業開発の一環として、化粧品事業に参入する。

「カレイドエビーチェ」のターゲット年齢は20歳代後半~40歳代。コンセプトは、ライフスタイルにこだわりを持った”大人”の女性に向けたコスメブランド。

アダストリアが展開するコスメブランド「Caleido et Bicé (カレイドエビーチェ)」

コスメブランド「カレイドエビーチェ」

メーキャップやスキンケアのほか、ボディケア、生活雑貨、食品、ジュエリーなども扱う。価格帯は次の通り。

  • メーク:1000~5400円
  • スキンケア:800~1万2000円
  • ボディケア:500~1万2000円
  • 生活雑貨:600~6000円
  • フード:200~6000円
  • ジュエリー:1400~3万円

化粧品事業に参入した背景として、化粧品の家計支出が1990年に比べ約20%増加していることや(総務省「家計調査」)、女性の1か月の可処分所得と使い道におけるコスメに対する消費額が多いこと(マクロミルのスキンケア化粧品に関するアンケート調査報告書【2016年版】)などをあげている。

女性の年代別可処分所得の消費実績

アダストリアの化粧品EC参入背景

アダストリアは「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」など20種類以上のブランドを国内外で展開。顧客が求めるライフスタイルや購買行動の変化に対応するため、飲食業態やヨガウェア、ライフスタイル業態の展開など、アパレル以外の商品カテゴリーも強化している。

2017年2月期のEC売上高は前年比34.4%増の291億円。2017年3-8月期(中間期)のEC売上高は、前年同期比19.5%増の152億円で、国内売上高に占める比率は15.7%。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ご存知ですか? インスタで人気の野菜/109ギャルもGoogle検索【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

7 years 11ヶ月 ago

調査データって説得力がありますが、実際にそうなっているのかというと、そうでもないこともあります。思い込みや先入観には注意しないといけません。

映えなくてもインスタは使うべき

IT時代の“御用聞き”八百屋「VEGERY」が好調 | 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1008498/010901084/

まとめると、

  • VEGERY(ベジリー)は九州各地の契約農家の野菜などをデリバリーするアプリ。根津に実店舗も
  • 関東圏では珍しい野菜もあり、Instagramで話題になっている
  • ユーザーの利用金額は1回平均5,500円で、大多数のユーザーが1~2週間に1度利用するリピーター

宮崎の野菜は関東圏で売られる機会が少ないこともあり、地元ではよく見かけても、関東圏では珍しい黒大根などが話題になってインスタで紹介されるようになった。それがアプリを登録するきっかけにもなっているようだ。

「インスタを見て商品を買った」という調査データはよく見ますが、野菜もその影響下にあるとは。しかも、いわゆるインスタ映えする“おしゃれな”野菜ではなく、「黒大根」などの珍しい野菜が人気というのも意外です。データを鵜呑みにしてはいけないということが改めて分かった事例です。

※関連記事

信頼できる情報源は探され続けています

【必読】SEO20年間の歴史まとめ | SEO Japan
http://www.seojapan.com/blog/seo_20years_of_history

2018年のSEOを読むために重要な、2017年の10大SEOトピック | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2018/01/12/27989

渋谷109ギャルとSEO対談!!「Googleは終わらない!いまどきの検索スタイルとは?」 | プロモニスタ
https://promonista.com/interviewing_shibuyagal/

スマートスピーカー所有者はスマホ利用時間が減少、米調査 | Forbes JAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/19263

まとめると、

  • SEOの歴史はスパムと浄化の繰り返し
  • MFI(モバイルファーストインデックス)はじわじわ進んでいる
  • 「若者は検索もInstagramらしい」と言われているが、実際は普通にGoogleを使っているようだ

フォロワーさんの写真見て可愛いと思ったら、ハッシュタグから飛んで情報を見て、今度は公式サイトに飛んだり……ってやりますね。インスタで見つけて、それをGoogleでさらに具体的に調べるって感じです

渋谷109ギャルとSEO対談!!「Googleは終わらない!いまどきの検索スタイルとは?」

この20年、SEOは検索のニーズを満たすために進化し続けてきました。変わってきているのは「信用できる情報がどこにあるのか?」ということ。今後、音声検索の登場でどうなっていくのかわかりませんが、できることは「正しい情報を発信すること」。ここは不変。

無人移動スーパーはもうすぐ

【ロボマート】、ついにキターーー?オンデマンド&無人移動スーパーで買物弱者を救え! | 激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ
http://blog.livedoor.jp/usretail/archives/52044517.html

まとめると、

  • CESで発表された無人の移動スーパーマーケット「ロボマート(Robomart)」が注目されている
  • 車の側面に食品スーパーのような野菜や果物を陳列できるラックがあり、冷蔵システムも搭載されている
  • ウーバー・アプリのように、近くで走行している(停まっている)ロボマートの手配から始める

ロボマートが到着すると利用者は、アプリ操作でロボマートの陳列ドアを開けて、野菜や果物をピックする。支払いはレジフリーのグラブ&ゴー技術(特許出願中)により自動的に利用者に課金するとしている。

店は動けないので人を待たないといけない。人は動くのが面倒。その問題点を一発で解決です。遊園地などでも活躍できそうな気がします。今年中にはどこかで導入されそうな。

EC全般

前提を疑え。|金沢でネットショップ運営のサポートとアマチュア無線機の中古販売通販を営む北村さん | marketeer
https://marketeer.jp/kitamura/

「ターゲットに合わせた作り込みをしていて、一応ネットショップなんですけど、カートは設置していません」。ここに気づくのが売れる理由なんでしょうね。

ECのMD担当者が“やるべき”業務とは?[商品・コンテンツを作る基礎知識] | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5016

こちらは基本的なお話。数が多いところは重点商品などを決めておきましょう。

ブーツが売れない?「履きやすさ」重視の逆風 | 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/202703

暖かいから履いているんだと思ったらそうではなかったんですね。男性にはわからない世界……。

Google Developers Japan | Google Pay で決済をひとつに
https://developers-jp.googleblog.com/2018/01/announcing-google-pay.html

またまた出ました「○○ペイ」。Amazon、LINE、Apple、楽天……。導入する店舗側は手間が増える一方です。

愛宕神社で楽天ペイ決済が可能に 楽天スーパーポイントでの支払いも? | ポイ探ニュース
http://www.poitan.jp/archives/34482

5円とか45円とかが支払われるのでしょうか? 外国人が多いところは必須になりそうな。

佐川急便で法人向け宅配便が再び値上げへ――複数の物流代行企業に送料値上げ要請 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/5043

「今後3年間(2017年の交渉時から)は送料が上がることを前提に考えてもらいたい」。となると、商品価格をどうするかも考えないといけないですね。

今週の名言

社名を変えては?というご意見もお見受けしましたが、「ハレノヒ(Halenohi)」という社名は私が起業する際、自分の子供に名前をつけるような思いで命名したので変えるつもりはありません。
当社のハレノヒという名は、
写真を撮る日がその人の「ハレの日」になって欲しいという意味のほか、心が晴れやかになる天気の「晴れた日」の意味と、ハワイ語で「家」を指す「hale」の日、つまり「家族の日」になればいいなという思いのもと付けました。
今はむしろ「はれのひ」という音に付いたマイナスイメージを、当社でなんとかプラスに持っていきたいと考えています。

ハレノヒ違いの渦中にある私からのお礼と「はれのひ」元社長へ伝えたいこと | ハレノヒ柳町フォトスタジオ
http://halenohi-photo.sakura.ne.jp/halenohi_wp/blog-2

嫌なことがあってもそれを表に出さずに前向きに進む。良い感情は良い感情を呼びます。

森野 誠之

運営堂

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。

森野 誠之

年商2000億円超えが見えた“2代目”ジャパネットたかた、好調の理由は? | 通販新聞ダイジェスト

7 years 11ヶ月 ago

ジャパネットホールディングスのグループ全体の今期(2017年12月)の売上高は1920億円前後で着地する見通し。前期は創業30周年の記念の年ということもあり拡販を強化して過去最高売上高となる1783億円を計上したが今期はそれを上回る模様。12月8日に開催した会合で髙田旭人社長が明らかにした。髙田社長は来期の売上高見込みについても言及し、グループで年商2000億円超えを目指す考えを示した。

ジャパネットホールディングスのグループ全体の今期(2017年12月)の売上高は1920億円前後で着地する見通し
長崎・佐世保市内のホテルで開催した会合で髙田旭人社長がこれまでの状況について振り返りをした

同社が12月8日に社員や有力取引先などを招いて長崎・佐世保市内のホテルで開催した会合で髙田旭人社長は今期のこれまでの状況について振り返り、「社員の一人ひとりが努力し様々な取り組みを行ってきた結果、今期の売上高目標として掲げていた1870億円は超え、1910~1920億円となりそう」と地上波デジタル化への完全移行を前にした“テレビ特需”の追い風に乗ってそれまでの最高売上高となる1759億円を計上した2010年度の売上高を超えた前期の売上高(1783億円)をさらに今期は上回る見通しを示した上で、順調な業績の理由について、今期から開始した自社企画のクルーズ旅行の販売やガスコンロの設置交換サービスといった新たな商材への積極的なチャレンジに加え、グループのジャパネットサービスパートナーズが行うジャパネットたかたで販売した商品を自社で修理するアフターサービスや同じくグループのジャパネットフィールドサポートが行う家電の配送・設置、エアコンクリーニングなどのメンテナンスサービスタブレットなどの設定・サポートサービスなど「“商品以外のもの”をどれだけ磨けるかというところにこだわってきたが、今期は(リピート率などの数字を見ると)1度買って頂けたお客様にまた購入頂けていることが多く、このあたりがお客様に認めて頂けたのかなと思う」(髙田社長)と説明した。

ジャパネットサービスパートナーズはジャパネットたかたで販売した商品を自社で修理するアフターサービスを手がける
ジャパネットサービスパートナーズのサービスイメージ(画像は編集部がキャプチャし追加)
ジャパネットフィールドサポートが行う家電の配送・設置、エアコンクリーニングなどのメンテナンスサービス
ジャパネットフィールドサポートのサービスイメージ(画像は編集部がキャプチャし追加)

また、今期に特に注力した「働き方改革」の成果についても言及。今期は昨年5月から実施した午後9時以降の残業禁止という社内ルールを1月からは午後8時半以降残業禁止と残業可能時間の制限を前倒しにしたほか、毎週水曜日と金曜日を残業禁止とする「ノー残業デー」を増やす試みなどを実施したが、その効果としてグループ各社とも残業時間が前年に比べて大きく削減できたことを具体的なグラフを示しながら説明し、「残業時間が減った分、減った残業代を(社員に)返したい」とし、残業時間の削減率に応じて1~5万円を「残業時間削減手当」としてグループ各社の正社員および契約社員に12月の給与に上乗せして付与したことを明らかにした。

さらに今期からグループに加わったジャパネットたかたの前社長の髙田明氏が社長を務める長崎のプロサッカーチームの「V・ファーレン長崎」については「ジャパネットは長崎で創業し、長崎に育ててもらった。その地元のサッカーチームが(経営難で)なくなると聞いた時、すぐに支援すべきだろうと思い、当社が100%の株を持って子会社化した。

100%の株式を持つことにこだわったのは選手や監督、コーチ、スタッフが様々な株主の顔色をみるのではなく、スタッフは選手のために、選手はファンのためにと“がんばる方向がぶれないこと”が大事なことだと思ったからだ。今年は本当に期待以上(※J2からJ1に昇格)の結果につながった。皆のがんばりがこんなに早く結果に出せたのは素晴らしいこと」と述べた。

グループに加わったジャパネットたかたの前社長の髙田明氏が社長を務める長崎のプロサッカーチームの「V・ファーレン長崎」
「V・ファーレン長崎」は2017年11月11日にJ1昇格を決めた(画像は編集部がキャプチャし追加)

髙田社長は来期の方向性についても言及。業績目標については「売上高は 2000億円を目指す」とした上で「(創業者の髙田明氏から髙田旭人氏が社長を引き継いで)『新生ジャパネット』になってからこの3年間はこの会社を今後、安定的に成長させるための“土台作り”を行ってきた。来年のテーマは『Challenge to the Next Stage』。次のステージに向けて、大きなチャレンジをたくさんやっていこうと思う」とした上で、今期から開始したクルーズ旅行をさらに強化、拡大していくことや来年からは取引先でウォーターサーバー事業を運営するコウノウォーターを買収して自社運営で同事業に参入することなどを含めて、様々な新しい取り組みに挑戦していく考えを示した。

また、退職金制度の大幅改正や現在は所属企業によっては採用していないリフレッシュ休暇の取得対象者の拡大や休暇期間の延長など「働き方改革」についてもさらに強化していくとした。「V・ファーレン長崎」については「『J1残留』などではない大きな目標を掲げて日本中を驚かせて欲しい」とした。

なお、同会合には髙田明前社長も出席し、ジャパネットグループの現状について「私が社長を退任して3年になるが、心配は本当になくなった。皆よくがんばっている。来期の売り上げ目標は2000億円。私は30年間、通販の世界を見てきたが、ほとんど(の通販企業は)2000億円を前に(売上高が)とまってしまう“壁”がある。来年、2000億円を超えることができれば(ジャパネットグループは)もっと先に行けると思う」と現状について評価と期待感を示した。

通販新聞

送料値上げは今後も発生する――通販協会トップが語った業界の展望と2017年の振り返り

7 years 11ヶ月 ago

送料値上げ今後も継続的に発生する事案であると考えている」――。公益社団法人日本通信販売協会が1月12日に開いた賀詞交換会。阿部嘉文会長は冒頭、このように会員各社に送料値上げ問題に触れた。右肩上がりの成長産業と言われる通販・EC業界だが、送料値上げや競争激化など、取り巻く環境は厳しさを増している。こうした状況を踏まえ、業界団体のトップである阿部会長が会員各社に投げかけたメッセージを要約して紹介する。

送料値上げ問題は続いていく

2017年は通販業界にとって激震とも呼べる宅配便の値上げ問題があった。トラック業界の労働力不足、働き改革などが話題となり、サービスは“タダ”という日本独特の慣習や考え方のベースが相まって、単なる値上げというだけでは語れない問題となった。通販企業として(課題に)協力することはやぶさかではないものの、ほとんどの通販企業、なかでも中小の事業者にとってはその送料負担は重く、大変厳しい状況である。

この送料値上げは社会問題が背景にあることを考えると、2017年だけの特別な現象ではなく、今後も継続的に発生する事案であると考えている

ただ、いずれの問題も、宅配ボックス、無人運転といった技術革新とともに将来的には解決していく問題であろう。しかし、当面、技術革新などによって解決されるまでは、継続されていく大きな問題であると認識している。

協会としては、個々の協会員の契約には一切踏み込めない。だが、今後の抜本的な解決をめざしていく。手を携えて発展してきた宅配業界と通販業界であるので、より根本的な解決に向けて業界の垣根を乗り越え、話し合っていく場を今後も設けたいと考えている。

公益社団法人日本通信販売協会が1月12日に開いた賀詞交換会であいさつする阿部嘉文会長
公益社団法人日本通信販売協会の阿部嘉文会長
【送料値上げ問題】編集部からのお知らせ

送料値上げも語る! EC関連(EC事業者さんや支援事業者さん)の人で集まって新年会をしませんか?【1/26(金)ネッ担のオフ会@渋谷】参加者募集中!
「EC業界の人と、もっとじっくり話してみたい」「人脈を広げたいけど機会がない」。そんな声にお応えして、ネットショップ担当者フォーラムの「オフ会」を開催します。

お客との信頼関係、つながりを持とう

こうした厳しい状況下だが、2016年度(2016年4月~2017年3月)の通販市場規模は前年比6.6%増の約6兆9000億円となり、18年連続で増収。2016年の百貨店売上高は約6兆円(日本百貨店協会の発表によると、2016年は前年比2.9%減の5兆9780億円)だった。

日本通信販売協会が発表した2016年度(2016年4月~2017年3月)の通販市場規模は前年度比6.6%増の6兆9400億円
2016年度の通販市場規模

市場環境を見ると、アパレル通販、BtoB通販、シェアリングサービスといった事業者が売上高を大きく伸ばしている。新規参入企業、新興企業が好調を維持している一方、カタログ通販など伝統的な通販を手がけているところでは苦戦する企業が出てきている

ただ、これから日本の人口が減少し、高齢化社会が進んでいくことを考えると、通販の果たすべき役割は大きくなる。その重要性は増していくと考えられる。

企業のこれからを決めるのは、お客さまとの関係性だ。お客さまとしっかりと信頼関係を築き、つながりを持った企業は厳しい状況下でも着実に発展していくだろう。信頼関係を持っていないと厳しい局面に直面すると言わざるを得ない。

自ら襟を正し健全な企業活動を

各社がこうしたことに取り組んでいる一方で、私自身、規制が厳しくなっていると感じている。規制が厳しくなれば健全な企業の活動を萎縮させてしまうことになる。優先すべきは悪質な事業者の排除だ。

規制の在り方については関係官庁と話し合いながら進めていく。関係官庁は規制強化という方向ではなく、健全な活動を行う企業を信頼していただきたい。

JADMAは自主規制団体であるため、加盟企業は自ら襟を正していかないといけない。協会は勉強会の主催、JADMAマークがある企業は信頼できるといった認知の促進に取り組んでいかなければならない思っている。

グローバルの意識を

2017年に日中韓のアジア通販サミットが中国で開かれた(日中韓3か国の業界団体である、日本通信販売協会、中国電子商会、韓国オンライン・ショッピング協会が共催)。重慶へ見学に行ったが中国企業の決済は進んでいて、ECサイトの決済は中国に遅れを取っていると言わざるを得ない。グローバルを意識しなければならない環境下で、日本の決済は課題になっていくだろう。

もともと中国、韓国の企業は世界を相手にビジネスを始めている。一方、日本は国内を相手にしてきた。国際化の問題は通販業界としては避けても通れない問題だ。

公益社団法人日本通信販売協会が1月12日に開いた賀詞交換会

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

ECサイト構築の見積もり提案依頼書(RFP)のテンプレを無料提供、コマース21

7 years 11ヶ月 ago

コマースニジュウイチ(コマース21)は1月12日、ECサイトを構築する際に使用する提案依頼書(RFP)のテンプレートの無償提供を開始した。

見積もり依頼に必要な項目をテンプレート化。納品物について依頼主との認識の食い違いを減らし、見積もりの精度向上を支援する。

コマース21のコーポレートサイト内に、RFP請求用の専用ページを開設した。

開発前の情報提供が不足していると、正確な見積もりを算出することができず、最終的な開発費用が見積もりの2倍以上に膨れ上がる可能性もあるという。

見積もりの精度を高めるには、依頼主側のオペレーションやバックヤードシステムなど、ECサイトの裏側の仕組みを把握する必要がある。

ただ、「どのような情報を提供すれば良いかわからない」という悩みを抱える依頼主側が少なくないことから、RFPのテンプレートを作成し、無償提供することを決めた。

コマース21は、中規模〜大規模EC事業者を対象としたECパッケージシステム「Commerce21 Sell-Side Solution」などを提供している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

中国都市部の中間層以上の約7割が越境ECで日本製品を購入、きっかけは訪日旅行が4割

7 years 11ヶ月 ago

中国の都市部に住む20~~49歳で、月収5000元以上のミドル・ハイエンド層の約7割は、越境ECで日本の商品を購入した経験がある――。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が12月12日に公表した「中国の消費者の日本製品等意識調査」の結果から、中国人の越境ECにおける日本製品の購入状況が明らかになった。

越境ECで日本の商品を購入した経験が「ある」と回答した割合は67.7%。前回調査と比べて1.1ポイント上昇している。

購入した経験が「ない」と答えたユーザーの41.4%は、「今後越境ECで日本の商品を購入したい」と回答した。

「越境ECで商品を購入する理由」を選択式・複数回答で聞いたところ、「中国内では店頭で販売されていない製品だから」(44.4%)が最も多い。2番目には「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」(40.4%)があがった。訪日旅行をきっかけに越境ECを利用したと回答した割合は、前回比約1.8倍に増えている。

越境ECで商品を購入する理由(日本貿易振興機構(ジェトロ))の調査結果

今後購入したい商品のトップは「電気製品」

越境ECで購入した商品は、上位から「化粧品」(48.5%)、「食品」(41.6%)、「医薬品」(35.5%)、「電気製品」(31.5%)、「健康食品」(27.8%)だった。

越境ECで購入した商品(日本貿易振興機構(ジェトロ))の調査結果

「今後、越境ECで購入したい商品」は、「電気製品」(47.6%)、「化粧品」(40.9%)、「食品」(29.9%)、「医薬品」(32.3%)、「健康食品」(22.6%)。

今後越境ECで購入したい商品(日本貿易振興機構(ジェトロ))の調査結果

なお、中国の消費者による越境ECの対日購入額は、経済産業省の推計では2016年時点で1兆366億円となっている。

中国の越境ECでの購入額(対日本) 推計値(日本貿易振興機構(ジェトロ))の調査結果

「中国の消費者の日本製品等意識調査」はジェトロが2013年から実施している。

調査概要

  • 実施方法:アンケート調査。中国の調査会社「上海インサイツ」に委託して実施
  • 実施時期:2017年8月
  • アンケート送付先:北京市、上海市、広東省広州市、湖北省武漢市、重慶市、四川省成都市に居住する20歳~49歳の中国人(月収5000元以上のミドル・ハイエンド層)
  • 回答数:1224人(各都市204人)

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

ネット通販で起業、業界未経験から1年半で社員10人の女性社長に聞く成功ストーリー | EC業界で活躍する女性の働き方に迫る“e-女”~Presented by売れるネット広告社~

7 years 11ヶ月 ago

こんにちは、売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオです。本企画では“eコマース業界で活躍する女性”にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談していきます。女性ならではの「視点」「マーケティング」「働き方」などを引き出し、ネット通販に携わる経営者や担当者に“気付き”を提供していきたいと思います。

1回目は、大ヒット商品「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」など体に良い成分にこだわり抜いた商品を販売するpacrel の代表取締役社長 塩澤美和さんと対談。塩澤さんは、売れるネット広告社が提供している、通販のネット広告の費用対効果を最大化するASPサービス「売れるネット広告つくーる」のクライアントでもあります。私が塩澤さんを選んだ理由は、女性企業家として、起業してから今までの成長ドラマ、日頃抱えている課題、今後のネット通販の未来について語り合いたいと思ったからです。

ダイレクトマーケ業界に向いているのは「細かい作業をきっちりできる人」「堅実に物事を進めていける人」

加藤公一レオ(以下加藤):栄えある第1回は、ぜひ塩澤さんにお願いしたくお誘いしました。

塩澤美和(以下塩澤):こちらこそ、ありがとうございます。光栄です!

第1回の“e-女”プロフィール

塩澤美和氏
塩澤美和さん
株式会社pacrel 代表取締役社長
山梨県南アルプス市生まれ。「中途半端ならやらない方がまし」という両親の教えから、何事ものめり込む性格に。学生時代はダンスに熱中し、数々の大会で賞を受賞。新卒で入社した会社では、新入社員研修中に数々のレコード記録を塗り替えた。料理教室や栄養学の講師、カラーセラピストとしての側面も。通販未経験にも関わらず通販会社を立ち上げ、大ヒット商品「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」を生み出す。

加藤:「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」はとても有名になりましたよね。

塩澤:まだまだです! もっと「めっちゃぜいたくフルーツ青汁」の認知を広めていきたいですね。起業して1年半が経ち、社員は10名になりました。今までは男性社員ばかりだったのですが、最近は女性社員も増えてきました。

加藤:起業1年半で10名ですか!? 私の場合、売れるネット広告社を起業して1年半頃はまだ4人くらいでしたよ。女性社員も増えてきたんですね。実は、九州のネット通販担当者って女性の方が多いんですよ。

塩澤:九州ですと、美容・健康食品を扱う企業さんが多いですよね。女性向けの商品が多いと、女性社員の存在は必要ということですか?

加藤:そうです。ダイレクトマーケティングの世界では、「細かい作業をきっちりできる人」「堅実に物事を進めていける人」が求められます。だから、女性社員の資質というのは非常に高く必要な存在だと言いえます。当社も今は、女性社員が大活躍しています。ところで、塩澤さんが起業したきっかけを教えていただけませんか?

塩澤:きっかけは、実は御社にあるんですよ! 新卒で入社した会社で出会った外部講師が、売れるネット広告社で勤務した経験がある方で……その方にダイレクトマーケティングの世界にチャレンジしてみないかとお誘いをいただいたんです。そこから私の起業ドラマが始まりました。誘っていただけた理由は、当時歴代1位の成績をあげていた私の仕事に対する姿勢を認めてくださったのだとか。

ネット通販の知識はゼロの状態から、立ち上げ、商品開発、ランディングページの作成などに全力で取り組んできました。今までやってこれたのは、支えてくれた方々のおかげです。そして今は、起業のきっかけにもなった売れるネット広告社の「売れるネット広告つくーる」を導入して、売上拡大という目標に向かって精進しています。

会社が大きくなるにつれて感じた企業理念の重要性

売れるネット広告社 加藤公一レオ社長
加藤公一レオ社長

加藤:何もわからないところから、商品を開発、ネット通販の立ち上げを行い、今は青汁商材のトップを争う大成長を遂げるなんてとてもドラマチックですね。売れるネット広告社の企業理念は、「“最強の売れるノウハウ”を用いて関わるすべての企業を100%成功に導くことで世界中にたくさんのドラマを創る」。塩澤さんの成功ドラマに携われたような気がします。ところで、pacrelさんではどのような企業理念を掲げているのですか?

塩澤:実は最近作ったんです! 企業理念なんて最初は嫌で、朝礼で唱和をしている会社なんてかっこ悪いと思っていました。ですが、会社が大きくなるにつれて、社員全員が同じ方向を向いていくためには企業理念は必要だと痛感しました。pacrelの企業理念は「お客さまにとっての本物を追求した商品を作る。」。この業界に入るまで、食事の栄養指導の講師をやっていたんですけど、そこで得た経験をもとにつくった理念です。

栄養指導をしていた私の視点だと、世の中に出回っている商品は体に良い成分はそんなに入っていないと思うんです。そこで私は、自身の栄養指導の講師という知見を生かし、本物を追及した商品、いわゆる、体に良い成分をふんだんに用いた商品を提供したいと思ったんです。

加藤:とても重要なことですよね。イチからスタートして試行錯誤する中で「お客さまにとっての本物を追求した商品を作る。」という理念を掲げられたということですね。お客さまのことを考えて本物の商品を提供していくこと、これはネットショップの努めだと私は思います。ズバリ、pacrelさんの本物を追求した商品は何ですか!?

塩澤:「ぜいたくレッドスムージー」です。商品開発の観点で他社さんと一番違うのは、1包で1日分のビタミンが取れるということころですね。最近は野菜そのものの栄養が減り、1日分のビタミンをしっかり取れているという人が少ないという事実を知り、開発に取り組みました。ビタミンもただ取っているだけでは意味がないので、それを吸収するために腸を整える乳酸菌や食物繊維を配合しています。

「ぜいたくレッドスムージー」
「ぜいたくレッドスムージー」のランディングページ

加藤:サイトを拝見しました。とてもいいランディングページですよね! 見せ方のポイントとして、統一感があり、とても見やすいです。「A/Bテスト」はどれくらいの頻度で実施しますか?

塩澤:2週間に1度です。主にボタンやファーストビューにフォーカスして「A/Bテスト」を実施しています。過去に実施した大改修で、自分たちは絶対に負けると思っていたクリエイティブの方が効果は高かったことがありました。「A/Bテスト」ははっきりと結果が出るので、クリエイティブでは固定概念を持ってはいけないと痛感しました。

売れるネット広告社 加藤社長と、pacrel塩澤美和社長
対談の様子

加藤:起業から1年半、EC業界にどのような変化や思いを感じてきましたか?

塩澤:とても商品が増えましたよね。広告もたくさん増え、最近は規制も強化され始めています。こうしたこともあり、商品や広告が増えたことによって、お客さまは迷うことが多くなっていると感じているんです。このままだと多くの商品が淘汰されていくのではないでしょうか

加藤:確かに増えましたね。塩澤さんのおっしゃる通り。だからこそ、本物の商品を追求している塩澤さんが掲げる企業理念は時代などにマッチしていますよね。多くの商品が溢れているEC業界で生き残っていくのは、本物を追及した商品のはずです。

塩澤:企業理念を掲げる時からの思いなのですが、私は「商品よりも“感動”を届けたい」と考えています。お客さまは購入した商品を使用することで「自らを変えたい」と思っているはずなんです。だからこそ、私はその思いを実現する“感動”を届けたいです。変わっていく理想像を描きながら、商品を楽しんでいただきたいんです。もちろん、理想像に近づくためには、継続的に正しい知識を提供していく必要があると思っています。

加藤お客さまに買ってよかったと思わせることがネット通販の使命ですよね。みんながハッピーになってくれるような商品・サービスを提供し続けなくてはいけません。

ECの役割は、お客さまに正しい知識を提供する“教育業”

売れるネット広告社 加藤社長と、pacrel塩澤美和社長

加藤:ネット通販の面白さ、難しさを感じるところは?

塩澤:ネット通販の面白さは、やることが無限にあることですね。前職は営業だったのですが、やることは限られていました。一方、ネット通販を始めてからというもの、パッケージや同梱物の変更、「A/Bテスト」の実施、広告配信など、売上を伸ばそうと思ったらこなすべきタスクはいくらでもあります。それも、それらのアクションの効果測定を行い改善していく――このプロセスがとても面白かったです。

何でもやれる面白さがあるからこそ、成果が上がらない時は難しさを感じます。何をどう工夫すれば良い結果を出すことができるのかと……。面白さの反面、難しさもあるという感じです。「売れるネット広告つくーる」の導入も成果を出すためでした。導入後、新規獲得は従前比で約10倍もアップ。売上も10倍増です。すごく成果が上がりました。思わず売上数値の桁を見直してしまいました(笑)。

売れるネット広告社 加藤社長

塩澤:ネット通販の取り組みを通じて、食事や美容の知識など生活に関わるすべての知識を提供する学びの場の提供も行いたいと思うようになったことも1つの学びでした。なぜかというと、お客さまに正しい知識を吸収してもらうこと、それを継続していただくことが大事だと思うんです。

加藤:正しいと思います。私はネット通販の大きな役割として、“教育業”があると思っています本当に伸びているネット通販はお客さまに正しい知識を提供し続けている、つまり“教育”を徹底しているんです。これは売り切り型の店頭販売ではできないことです。ネット通販は同梱物やフォローメールを用いたコミュニケーションができるのが最大の強み。これをしっかりと生かしていかないといけません。

塩澤:確かに。当社では同梱物にはたくさんの情報を詰め込んでいます。「なぜ、ビタミンを摂取しなければならないのか?」「なぜフルーツ青汁なのか?」など、お客さまが納得して継続購入していただけるような情報提供を心がけています。こうすることで、お客さま自身がどのように変わっていけるのかということを意識させることができます。

加藤:極論、お客さまと直接お会いして情報を伝えることが重要です。そういう点では、学びの場の提供は塩澤さんにとってぴったりですよね。美容に関することも伝えていきたいとおっしゃっていましたが、今後は化粧品業界の進出も考えられたりしていますか?

塩澤:そうです! 現在、化粧品を開発中です。企業理念にも掲げている通り、お客さまにとっての本物を追求した商品を届けようと研究・開発を重ねているので、時間がかかっています……。

加藤:商品にかける思いはとても素晴らしいですよね。ただ1点、アドバイスさせてもらうと、美人社長である塩澤さんが前に出て宣伝してください! そうすれば売れると思います! 私が約束しますし、保証します!

塩澤:あ、ありがとうございます。検討します……(笑)

いずれ来る淘汰の時代、だからこそ価値の提供を

加藤:ズバリ、化粧品への進出はオススメします。中小企業にとって化粧品は健康食品より一般的に有利と言われています。健康食品は効果が表れるまで時間がかかり、即効性がないですよね。なので、お客さまの心理としては、信用とブランドの力がある大手ネット通販から購入した方が安心だと感じてしまいます。

対して化粧品は即効性がありますし、お客さまと化粧品の相性によって選ばれます。大手優位になることなく、商品力で選んでもらえる可能性が高いんです。後はマーケティングの仕組み上、定期誘導やクロスセルを積極的に実施できるので、ゲリラ戦略や商品力、マーケティング力で勝負できるところもメリットですよね。商品の力で道を切り開いていける化粧品をオススメします。

塩澤:確かに、化粧品は相性が大切ですよね。なので、ツーステップマーケティングが効果的だと考えています。肌に合うかどうかわからない化粧品はいきなり購入してもらうより、まずはモニター商品をお試ししてアップセルして訴求した方が良いですよね。

加藤:そうです、その通り。それを理解した上で、ビジネスモデルを構築していけば、売れる本物の化粧品をお客さまに提供できます。ランディングページでは、「確認画面でアップセル」(効率よく「アップセル/クロスセル」を行う売れるネット広告社の特許を取得した機能)の施策を実施したり、7日間のモニター体験からキャンセルがなければ定期コースを開始する仮予約施策をやってみるのもいいですね。

売れるネット広告社 加藤社長と、pacrel塩澤美和社長

塩澤:ただ、多くの商品に埋もれて、淘汰されていく時代はいずれ来ると思っています。新規獲得だけに目を向けるのではなく、LTV(ライフタイムバリュー)に着目する動きも求められると実感しています。

お客さまに正しい知識を提供すること。お客さまの目標を達成させるために自分たちの意思を持った商品を提供すること。そうすることで、自社のネット通販の価値を提供していきたいと考えています。

加藤:塩澤さんが語ってくださった理念や思いを伝えていくということは重要なことです。最後に、これからのEC業界で勝ち抜くために、どのような理想像を描いているのか教えてください。

塩澤:まずは、企業理念である「お客さまにとっての本物を追求した商品を作る。」ということを広めていき、意思のある会社にしていきたいですね。なので、EC業界にこだわろうとは思っていませんお客さまが求めることは、なんでも挑戦したいですね。また、自社だけにこだわらずいろんな企業を巻き込んで、助け合いながら業界全体を盛り上げていきたいです。

加藤:本日はありがとうございました!

●●加藤公一レオの一言●●

塩澤さんが打ち立てた「お客さまにとっての本物を追求した商品を作る。」という企業理念は、EC業界の核心を突くものだと思います。なぜなら、ネット通販は本物を追求した商品を届け、継続的に正しい情報を提供することで、今まで健康に対する意識が低かったり、間違った認識をしていたお客さまの生活を改善させる力があるからです。今後も大成長していくに違いありません。今後の動向に注目しましょう。我こそは! と思う“e-女”も募集しています。

売れるネット広告社 加藤社長と、pacrel塩澤美和社長

加藤 公一 レオ

株式会社 売れるネット広告社 代表取締役社長

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。 西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。

その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社アサツーディ・ケイ(ADK)にて、 一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、 担当した全てのクライアント(広告主)のネット広告を大成功させる。

その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、 クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。

やずやベストパートナー賞 受賞。 Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞 受賞。 通販エキスパート検定1級。 「アドテック」「宣伝会議」「日経デジタルマーケティング」「通販新聞」など講演多数。

アドテック東京2012 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 アドテック九州2013 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 アドテック九州2014 公式カンファレンス 人気スピーカー1位。 「九州インターネット広告協会」の初代会長も務めた。

著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売り上げがアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ売れるネットショップ繁盛記(インプレス)』がある。

加藤 公一 レオ

コンバージョンUP、新規客の増加、使い勝手の向上――「Amazon Pay」の導入効果を「ozie」の柳田社長が解説

7 years 11ヶ月 ago

コンバージョン率アップや新規会員獲得の促進などの効果が期待できるとして、日本でのサービス開始から2年半で数千社が導入した「Amazon Pay」。Amazonアカウントに登録した情報を使い、Amazon以外の自社ECサイトなどでログインや決済を行えるようになる「Amazon Pay」がEC事業者の支持を集めている。

今回、「Amazon Pay」を導入したワイシャツのECサイト「ozie(オジエ)」を運営する柳田織物・柳田敏正社長が、EC事業者側から見た導入の経緯や効果を解説。アマゾンジャパンのAmazon Pay事業本部 井野川拓也事業部長が「Amazon Pay」の成功事例と新たな活用法を披露した。

新規会員の獲得率の高さがメリット

ワイシャツのECサイト「ozie」が「Amazon Pay」を導入したのは2016年。「利用サイトごとにID・パスワード登録が必要という手間の問題」「ID・パスワードの新規作成および使い回しの懸念」といった自社ECサイトが抱える課題に、柳田社長は頭を抱えていた。「Amazon Pay」の導入を決めたのは、この大きな課題を解決できるオンライン決済サービスだったからという。

初めて使うECサイトでは毎回IDとパスワードの登録を面倒に感じていた。そんな時、「Amazon Pay」が導入されたECサイトなら、新たにアカウント開設のために個人情報を入力しなくても、Amazonアカウントに登録されている情報を使って支払い手続きが完了できることを知った。IDやパスワードを増やさなくて済むのは、ECサイトの利用者にとって非常に便利だと感じ、自社のECサイト「ozie」へのAmazon Pay導入を決めた。(柳田氏)

株式会社柳田織物 代表取締役 柳田敏正氏
株式会社柳田織物 代表取締役 柳田敏正氏

「Amazon Pay」のメリットの1つは新規顧客の獲得が期待できること。消費者は初めて利用するECサイトでもクレジットカード情報や住所などを入力する必要がないため、カゴ落ち率(カート離脱率)の改善が期待できる。また、注文確定画面に会員登録やメルマガ購読の登録ボタンを配置できるので、新規会員登録を促進することも可能だ。

Amazon Payとはカウントを使って、簡単・安全にお買い物ができるサービス
Amazon以外のECサイトでも、Amazonアカウントでログインし、決済を行えるようになる

「ozie」は「Amazon Pay」を導入したことで新規会員の獲得に大きな成果を上げている。会員登録を促進するため、「ozie」では注文確定ボタンの上に会員登録やメルマガ購読のチェックボタンを配置。直近3か月で新規顧客が「Amazon Pay」を利用した割合は約44%に達し、その利用者の50%前後が「ozie」で会員登録した。「Amazon Pay」導入前と比べ、新規会員登録率は大幅に上昇したという。

販売事業者様のメリット①︓ 新規顧客の獲得 注⽂の確定画⾯会員登録、メルマガ購読を推進
注文確定ボタンの前に会員登録、メルマガ購読チェックボタンを配置

また、「ozie」では購入に至らなかったユーザーに対して、カートに残っている商品をリマインドメールで通知し、ECサイトに再度、喚起する施策を行っている。その施策のコンバージョン率は2~3%であるが、メールアドレスを登録していないユーザーにはリマインドメールを送れないことが課題だった。「Amazon Pay」を導入したことでメールアドレスの取得率が上がり、カゴ落ち後に再度アプローチする環境が整ったという。

決済手数料4%、「決して高くない」

「Amazon Pay」は初期費用と月額利用料が無料(カート経由で利用する場合は、カート会社での月額費用が発生する場合がある)。決済手数料は物販・サービスの場合4%、デジタル商材の場合は4.5%に設定されている。

「Amazon Pay」の決済手数料は一般的なクレジットカード決済の手数料と比べてやや高い。しかし、柳田氏は「Amazon Pay」の導入メリットがカード決済にかかる費用を上回ると説明する。

「ozie」のお客さまはリピート率が高く、1回の平均購入単価は1万2000円と高め。新規顧客および注文件数が増えることには大きな増収効果がある。取扱商材によって「Amazon Pay」の費用対効果の感じ方に違いはあるかもしれない。しかし、新規会員の獲得がしやすいことを考えれば、決済手数料はデメリットにならない。(柳田氏)

Amazonに営業情報が伝わるという心配はない

「Amazon Pay」に対するEC事業者の誤解の1つに、「ECサイトの購買情報などがAmazonに伝わってしまうのではないか」という懸念がある。実際、Amazonが把握しているのは「いつ・どこで・いくらの決済が行われたか」という決済情報のみであり、商品の売れ筋情報などをAmazonが分析することはない。

多くのEC事業者が抱く誤解について、柳田社長も「情報がAmazonに伝わることはないので、心配する必要はない」と説明する。

ショールームで見てネットで買うスタイルにも「Amazon Pay」を活用

「ozie」は商品のサイズや素材感を体験する場を顧客に提供するため、東京・六本木の事務所にショールームを併設している。来訪者の購入手続きは店頭のパソコンで行っており、その際に「Amazon Pay」を利用する顧客は多いという。

店頭で「Amazon Pay」を利用するメリットについて柳田氏は、「会員登録や決済の手続きは早くても3分はかかる。しかし『Amazon Pay』を使えば約1分で購入が完了する」とその利便性などを強調した。

柳田社長は井野川部長
柳田社長は井野川部長とのトークセッション形式で登壇。談笑を交えながら、ECサイト側の視点で「Amazon Pay」について説明した

「Amazon Pay」を利用するECサイトが増え続けている3つの理由

ここからは、「Amazon Pay」のサービス内容や現状、新たな活用法などについて、井野川氏の解説を紹介する。

アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 事業部長 井野川拓也氏
アマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay事業本部 事業部長 井野川拓也氏

「Amazon Pay」は2015年のサービス開始から約2年半で、利用ECサイト数は数千社に達している。同様のサービスはイギリスやドイツなどでも展開しているが、日本の伸び率は他の国と比べて高いという。

2017年には「ZOZOTOWN」「コジマネット」といった大手事業者も続々と「Amazon Pay」を導入。また、多くのECシステムベンダーが「Amazon Pay」と連携しており、ショッピングカートの「FutureShop2」「MakeShop」「カラーミーショップ」、ECパッケージシステムの「ecbeing」などのベンダーを経由すると、開発の手間やコストをかけずに導入することができる。

井野川氏は「Amazon Pay」を利用するECサイトが増えている理由として、①新規会員を獲得しやすい②コンバージョン率が高まる不正注文を防ぐ――という3つのメリットをあげ、それらの効果を裏付けるデータを紹介した。

Amazon Pay の導⼊実績(⽇本)提供開始2年で利⽤ECサイトが数千社を越えたAmazonペイメントの決済⾦額Amazonペイメントの事業者数
利用ECサイト数、決済金額ともに1年前に比べて2倍以上に増えている

新規会員獲得に役立つことをデータが証明

井野川氏は、「Amazon Pay」が消費者に提供するメリットとして、次の3点を説明。

  • 「Amazon」の IDひとつで買い物できる
  • 住所やカード情報の入力が不要
  • Amazon Payへのログインと注文確定の2クリックで決済が完了する

「Amazon Pay」が新規会員登録の促進に効果を発揮するデータとして、フューチャーショップ、ecbeing、アイピーロジックの3社が開示している「Amazon Pay」の利用店舗のデータに言及した。

3社の開示データによると、ゲスト購入者が選んだ決済手段の40~50%が「Amazon Pay」であり、「Amazon Pay」を利用した購入者の60~80%が会員登録をしている。

また、「FutureShop2」の利用店舗のうち、「Amazon Pay」を利用している店舗の2016年12月における新規会員登録数の平均増加率は、前年同月比56%増。「Amazon Pay」未導入店舗に比べて約11倍も高かったという。

販売事業者様のメリット①︓ 新規顧客の獲得 ゲスト購⼊者のうちのAmazon Pay 決済の割合40-50% そのうち会員となった購⼊者の割合60-80%
他の決済手段と比べてゲスト購入者の会員登録の割合が圧倒的に高い

コンバージョン率アップの効果も

「Amazon Pay」はコンバージョン率の向上も期待できる。井野川氏はアイピーロジックが手がけたECサイトのコンバージョン率のデータ、「FutureShop2」の利用店舗の受注データを紹介。「Amazon Pay」を使ったユーザーのコンバージョン率が他の決済手段よりも高いことを説明した。

販売事業者様のメリット①︓ 新規顧客の獲得 新規会員登録数の増加率(2015年12⽉と2016年12⽉を⽐較) +56%
「FutureShop2」の利用店舗のうち、「Amazon Pay」導入店舗の月間受注件数の増加率は未導入店舗を大きく上回っている

スマホメインのECサイトにも「Amazon Pay」は利用されている。たとえば、女性の利用者が多く、決済の9割以上がスマホで行われている家事代行サービス「カジタク」でも、コンバージョン率の改善が顕著だという。

Amazonは男性の利用者が多いというイメージがあるかもしれない。だが、Amazonは利用者数が多いため、「カジタク」のような女性向けのECサイトにも効果があることがわかった。(井野川氏)

堅牢なセキュリティーが不正注文を防ぐ

「Amazon Pay」はAmazonがアカウントやカードの不正利用を24時間365日監視しているため、不正注文を防ぐ効果もある。

たとえば、皮財布などを販売する「SUPER CLASSIC」では、「Amazon Pay」を導入したことでリスク管理のコストが削減できた上、不正注文の被害も減ったという。

定期購入に役立つ「Auto Pay 機能」

続いて井野川氏は、定期購入などに活用できる「Auto Pay機能」について説明した。「Auto Pay機能」とは、購入者が注文時に選択したクレジットカードを利用し、今後も支払いすることに同意すると、「自由に金額やタイミングを設定し、請求することが可能」「顧客へのサービス提供内容に応じて、頻度や金額などのカスタマイズが可能」というもの。活用例として以下の3つをあげた。

定期購入+追加購入にも対応

「毎月ワインを3本定期購入しているが、いいワインがあったので今月は1本追加したい」。こんな消費者の突然の要望にも簡単に対応することができる。食品定期便などにも応用可能。

Auto Pay 機能の活⽤⽅法(A)定期購⼊+ 追加購⼊にも対応
追加購入による支払い額の変動にも柔軟に対応

使用量に応じた定期の従量課金モデル

データ通信料や電力料金など毎月支払い金額が変動する場合でも、「Auto Pay機能」で簡単に課金することができる。コンタクトレンズを販売する「メガネスーパー」、サプリを販売する「Bellare」も、「Auto Pay機能」を使って売り上げを伸ばしているという。

Auto Pay 機能の活⽤⽅法 (B)使⽤量に応じた定期の従量課⾦モデル 変動する支払金額にも対応可能
その月が締まらないと金額がわからないものにも対応が可能

「1クリック」購入機能の利用

自社のECサイトでも「1クリック」購入機能を利用できる。音楽ダウンロードサイト「mora」はAmazonアカウントで「1クリック購入」を行えるサービスを国内のECサイトで初めて開始した。

販売事業者様の声︓ 1クリック購⼊ 「mora」内でAmazonアカウントでログインした際に、『1クリック購⼊』が実現できるサービスを国内ECサイトでは初めて開始いたしました
1クリック購入の機能を国内で初めて実装した音楽ダウンロードサイト「mora」

さまざまな事業者が「Auto Pay」を導入しているのは、定期購入は多様な商材で求められる重要な機能だからと聞いている。継続的に、自動的に課金される仕組みは、消費者から信頼されているサービスでないと利用してもらえない。世界で使われているAmazonが提供することで、こういった仕組みに同意していただくことができるのだと思う。(井野川氏)

Amazonの信用力と利便性を活かした「Amazon Pay」は、今後もあらゆるジャンルのECサイトの強い味方になっていくだろう。

渡辺 裕子

フリーライター・エディター

渡辺 裕子(わたなべ・ゆうこ)
フリーライター・エディター

出版社での音楽雑誌編集を経てフリーに。音楽や旅など趣味実用系の雑誌・書籍、ECショップのコラム、企業HPコンテンツ制作、タイアップ記事など、幅広い媒体で編集者兼ライターとして活動中。

趣味はピアノ、クラシック中心の音楽会の企画、マラソン。東京都在住。

渡辺 裕子

2018年に注目すべきEC・デジタルマーケティングのトレンドまとめ[Criteo発表]

7 years 11ヶ月 ago

ディスプレー広告の配信ネットワークを提供するCriteoは1月10日、2018年に注目すべきECのマーケティングトレンドをまとめた「2018年デジタルコマース&マーケティングの展望」を公表した。

2018年のキートレンドとして8項目をあげ、それぞれの動向を次のように予想している。

Criteoが発表した、2018年に注目すべきECのマーケティングトレンドをまとめた「2018年デジタルコマース&マーケティングの展望」

①音声ショッピングの台頭

「Google Home」や「Amazon Echo」といったデバイスを通じ、これまで以上に音声でショッピングを行うユーザーが増加。Appleの「HomePod」、Googleの「Home Max」、Facebookの「Aloha」などがこの競争に加わる。音声広告においては、商品や広告コンテンツがパーソナライズされるようになるという。

CriteoとKantar/MillwardBrownのTransition Reportの調査によると、多くの企業のブランドマネージャーは、音声AIアシスタントや家庭用スマートスピーカーが今後2年間で活用されるようになると考えている。 

「2018年デジタルコマース&マーケティングの展望」では音声AIアシスタントが台頭すると予想

今後2年間で活用されるようになる技術

②ソーシャルコマースの相関性

ソーシャル・ネットワーキング・サービスとECの境界線が希薄化する。FacebookはMarketplaceサービスを米国、英国、オーストラリアなどで提供。Amazonは「Amazon Spark」の提供を通じてソーシャル領域へと事業を拡大している。

主要なソーシャルネットワークが顧客データを囲い込むようになると、広告主と小売業者は、顧客との関係を掌握する方法と、それに付随するデータを追求する必要がある。

米国のソーシャルメディアユーザーがソーシャルメディアの投稿から直接購入したソーシャルメディアプラットフォームの割合

ソーシャルメディアの投稿から直接購入したSNSプラットフォームの割合(米国)

③オフラインからオンラインへの販売の接続

オフラインとオンラインのデータ連携が進む。たとえば、小売業者は見込み客をオンライン上で見つけてリーチするために、実店舗のCRMデータを活用し、リエンゲージメントやアップセルのためのパーソナライズされたキャンペーンを実施するほか、オフラインでの購買行動のデータを、オンラインの取引データと連携することに重点を置くようになる。

④データコラボレーションの必要性の高まり

小売業者やブランドは、より良好な顧客関係を構築するために、これまで以上にデータを活用してコンテンツを個人に最適化することが求められる。マーケティング部門の幹部の多くがデータ連携が収益の増加、利益の増加、顧客満足度の向上につながると考えている。

⑤製品フィード最適化の力

優れた買い物の体験を提供するために、「コンテクスト商品の写真」「高解像度のクローズアップ」「360度の画像」などが重要になる。広告主にとって、店舗のデータをユーザーレビューなどのコンテンツと統合しつつ、ブランドや小売業者からの製品情報を関連付けていくには、データ管理がこれまで以上に重要になる。

eコマースサイトでのコンバージョン向上の仕組み

ECサイトでのコンバージョン向上の仕組み

⑥一般データ保護規制(GDPR)とデータ管理の理解

2018年5月25日に発効する欧州における一般データ保護規制(GDPR)は、欧州連合(EU)で事業を行う企業に影響を与える。マーケティング担当者はオーディエンスデータをより慎重に管理する必要がある。

⑦動画の戦い

より多くの動画コンテンツに広告が挿入され、新しいプログラマティック動画広告枠の可能性が拡大する。Facebook、YouTube、Instagram、Snapchatなどのソーシャルプラットフォームは動画をより優先するようになる。

消費者がオンライン動画を視聴する時間は着実に増加。動画の消費量が増えるほど、広告が多くなり、広告主とそのパートナーにとって新たな戦いが起こる。

⑧買収とパートナーシップの成長

2017年はAmazonとWhole Foods、AmazonとKohl'sなど、大規模な小売買収とパートナーシップが行われた。WalmartはModCloth、Bonobos、Shoes.comを買収した。2018年も多くの小売業者やブランドが、競争力を維持し、事業の拡大と強化を図るため、戦略的買収とパートナーシップを模索する。

Criteoはこうしたトレンドを踏まえ、2018年は「大手との競争力を保つために、データを連携してプール化」「シームレスで関連性の高いショッピング体験をすべてのデバイスやチャンネルに提供」「買い物客に刺激を与えるための体験を提供」を考慮する必要があると指摘している。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

50代以上の8割がネット通販を利用、費やした金額は年平均11.6万円

7 years 11ヶ月 ago

50~79歳の約8割がネット通販を利用している――。大和ネクスト銀行が12月13日に公表した「“2017年ランキングで見る”シニアライフに関する調査」から、50代以上の消費者によるネット通販利用実態の一端が明らかになった。

2017年に「お金を費やしたこと」に関する設問(選択式・複数回答)では、ネット通販を利用したと回答した割合は81.9%。年代別では50代が81.9%、60~70代は82.5%で、60代以上がわずかに高い。

大和ネクスト銀行が公表した「“2017年ランキングで見る”シニアライフに関する調査」

50代以上の8割超が2017年にネット通販を利用した

調査方法がインターネットリサーチであるため、母集団のITリテラシーが同年代の消費者の平均以上である可能性はあるが、多くの50代以上の消費者がネット通販を利用している実態が示された。

ネット通販の年間利用額は11.6万円

1年間で「ネット通販」に費やした金額は、全体平均が11万6000円。50代は13万円、60~70代は11万円。

その他の使い道では、「旅行」は21万1000円、「趣味」は12万4000円、「デート」は7万1000円となっている。

大和ネクスト銀行が公表した「“2017年ランキングで見る”シニアライフに関する調査」

2017年に50代以上がお金を費やしたこと

調査概要

  • 調査タイトル:2017年ランキングで見るシニアライフに関する調査
  • 調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする50歳~79歳の男女
  • 調査期間:2017年11月24日~11月27日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査地域:全国
  • 有効回答数:1000サンプル(有効回答から男女の比率が均等になるように抽出)

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Amazonがホリデーシーズンで過去最高を更新/佐川急便が4月から値上げ【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

7 years 11ヶ月 ago

アマゾンジャパンによると2017年のホリデーシーズンで、Prime Nowの利用が前年比2倍以上に増えたほか、世界で400万人以上がAmazonプライムの無料体験か有料会員に登録したそうです。

2位は佐川急便の再値上げ。2018年も送料値上げ傾向は続きそうです。

  1. 「過去最高」だったAmazonのホリデーシーズンまとめ【2017年】

    無料の当日お急ぎ便、お急ぎ便、Prime Nowの利用が前年比2倍以上に増えた

    2018/1/9
  2. 佐川急便で法人向け宅配便が再び値上げへ――複数の物流代行企業に送料値上げ要請

    EC企業が宅配便の運賃値上げ時代を生き抜くために必要なことは? 送料値上げを前提とした事業計画・戦略立案を

    2018/1/10
  3. 【最新】通販・EC企業の売上ランキングまとめ2018年版~300社合計売上は約6.7兆円

    通販新聞社が2017年12月に行った「第69回通販・通教売上高ランキング」調査、上位300社の合計売上高は6兆7131億円

    2018/1/5
  4. 良品計画の川名部長が語る「消費者の共感」を生む無印良品のデジタルマーケティング

    良品計画が取り組むデジタルマーケティングの目的や現状をWEB事業部・川名常海部長が語った

    2018/1/9
  5. バナーがクリックされない原因はデザインが問題? 配置場所の変更だけで売上140%UPしたECサイト事例

    ユーザー一人ひとりの行動のアクセスログデータを見ることで、バナーのデザインを変更することなく売上を140%アップした化粧品などを扱うECサイトの事例を紹介

    2018/1/9
  6. 2018年に起きること・起きそうなこと+2017年に起きたこと【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2017年末~2018年始のニュース

    2018/1/10
  7. リピート客が増えるコンテンツマーケとは? ブランド価値を伝える5つのポイント

    ブランドにはそれぞれ特徴があり、さまざまな形態や頻度、プラットフォームでメッセージを伝える必要がある

    2018/1/5
  8. 【20代の消費事情】買い物の前に最安値をチェックする割合は約9割

    SMBCコンシューマーファイナンスが公表した「20 代の金銭感覚についての意識調査 2017」から、20代消費行動が明らかになった。

    2018/1/9
  9. ネッ担 アクセスランキング 2017。1位から100位までをドーンと発表します!

    年末恒例企画☆ 2017年に注目を集めた記事をまとめてご紹介します!

    2017/12/27
  10. ECサイトのファンを増やすコンテンツマーケティングを大公開

    ECサイト構築、マーケティング支援で豊富な実績を持つecbeingが成功事例を公開

    2018/1/10

※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

uchiya-m

ECアプリを使うメリットは? どんな効果があるの? モバイル時代で勝つためのアプリ活用法

7 years 11ヶ月 ago

モバイル時代にECアプリを使うメリットは? ECアプリのダウンロード促進に有効な施策は何か? アプリを活用してECの優良顧客を増やすには、どうすればいい? 利用企業220社超のクラウド型アプリ運営プラットフォーム「Yappli」を活用したEC実施企業の成功事例を踏まえ、ヤプリの佐藤裕子マネージャーがこうした疑問を解決に導く、ECアプリの効果的な活用方法を解説する。写真◎Lab

ECアプリの強みはユーザーの滞在時間の長さ

ECのアプリ活用にはどのような効果があるのだろうか。佐藤氏はECアプリを使うメリットについて、「顧客としっかりコミュニケーションを取り、新規顧客を優良顧客に引き上げることができる」と説明する。

ECアプリのユーザー滞在時間はWebサイトの約16倍にのぼるとする調査結果などを引用し、「アプリはスマホに最適化した操作性を実現し、動画などのリッチコンテンツも提供できることから、ユーザーにとって心地良い買い物の体験を提供しやすく、結果的に滞在時間が長くなり、コンバージョンにもつながりやすい」と言う。

アプリのプッシュ通知の開封率はメルマガの約3倍。ユーザーへの情報伝達率が高く、顧客とのコミュニケーションを図りやすい。Webサイトで獲得した顧客を、アプリを使って優良顧客に引き上げる戦略をとっている企業も目立つ。(佐藤氏)

ヤプリの佐藤裕子マネージャー
佐藤裕子マネージャー

ダウンロード促進とアクティブ率向上に有効な4つの施策

ゴールドウィン、「dinos」(運営はディノスセシール)、「神戸レタス」(運営はマキシム)といった通販・EC事業者など220社以上が利用しているクラウド型アプリ運営プラットフォーム「Yappli」。

こうしたアプリ提供の実績などを踏まえ、ECアプリを成功させるポイントについて佐藤氏は、「ダウンロード数を増やす施策と、継続的にアプリを使ってもらう施策を並行して実施することが重要」と説明。ECアプリのダウンロード促進、アプリユーザーのアクティブ率(月1回以上、アプリを利用するユーザーの割合)を高めるための有効な4施策を紹介した。

成功するアプリ方程式 集客…ダウンロード施策+ブースト施策 アクティブ…コンテンツ+プッシュ通知
ECアプリを有効活用するには「集客」と「アクティブ率」の両面で施策を打つことが重要

施策1 アプリのダウンロード促進策

アプリのダウンロード促進は、オンラインでは「スマホサイトの目立つ位置にアプリへの誘導バナーを配置する」「SNSで告知する」「公式サイトからアプリストアへ誘導」「メルマガで告知する」「ウェブメディアに広告を出稿する」などが有効という。

オフラインでは「店頭のPOPで告知する」「チラシやカタログにアプリDL用のQRコードを掲載」「小売店が発行するレシートにアプリDL用のQRコードを掲載する」といった方法が有効な施策となる。

顧客との接点をしっかり洗い出し、ダウンロード用のQRコードやURLをどこに掲載すればダウンロードしてもらいやすいか検討することが重要。(佐藤氏)

施策2 アプリDLのブースト施策

佐藤氏は、アプリのダウンロード数を加速させる「ブースト施策」を説明。「Yappli」の導入企業が実践して特に効果が高かった3つの施策をあげた。

・アプリ先行セール

キャンペーンやセールをアプリ限定で先行して行う。メルマガやSNSで先行セールの情報を配信し、アプリのダウンロードを促す。

「Yappli」を利用している某アパレル企業では、2016年12月に福袋の先行予約やフライングセールを実施したところ、アプリの新規ダウンロード数が通常の約2倍に増えたという。

・クーポン配布

アプリをダウンロードしたユーザーにクーポンを配布する。通販の同梱チラシやカタログ、梱包用ダンボールなどにクーポンキャンペーンの内容とダウンロード用のQRコードを記載すると効率的にダンロードを促進することができる。

・プレゼント

アプリをダウンロードしたユーザーにノベルティーや限定商品などをプレゼントするのも有効。「Yappli」を利用しているアパレル企業は、スマホの待ち受け画面の壁紙をプレゼントするキャンペーンを実施し、ダウンロード数を通常の3.6倍に増やした。

施策3 アプリを継続的に使ってもらうための「コンテンツ」

アプリユーザーのアクティブ率を高めるには、頻繁にアプリを立ち上げたくなるようなコンテンツを継続的に発信していく必要がある。その際、「フロー型」と「ストック型」のコンテンツを並行して配信することが重要になるという。

フロー型の情報とは、日替わりのコーディネートやキャンペーン情報といった日々更新される情報を指す。ストック型の情報は料理レシピやルックブック、ノウハウ系コラムなどが該当する。

また、「アプリだからこそ提供できるリッチコンテンツを制作したりすると、ユーザーのアクティブ率が高まる」(佐藤氏)と指摘。アパレルEC「神戸レタス」を運営するマキシムは、アプリでコーディネート動画などを配信したところ、ユーザーのアプリ滞在時間が動画の導入前と比べて約20%増えたという。

神戸レタスが配信しているリッチコンテンツ
「神戸レタス」はアプリで動画やルックブックといったリッチコンテンツを配信している

施策4 プッシュ通知でリアルタイムの販促

アプリユーザーのアクティブ率を高めるには、プッシュ通知機能を使うことも有効な施策だと佐藤氏は説明。たとえば、不定期でタイムセールなどを行うと、プッシュ通知を配信した直後からアプリのアクセス数が増えることが「Yappli」のデータから判明しているという。

プッシュ通知の特徴の1つは即時性が高いこと。この特徴を利用し、限定タイムセールなどの情報を発信するとユーザーを効果的にアプリに呼び込むことができる。(佐藤氏)

リアルタイム性を活用し「期限」を訴求
プッシュ通知を活用したタイムセールでアプリのアクティブ率を高める

ライトオンが「Yappli」を導入して実現したこと

佐藤氏は「Yappli」の利用企業の成功事例として、カジュアルウェアの小売店を全国で約500店舗展開しているライトオンを紹介した。

ライトオンは2016年4月に「Yappli」で作った会員証アプリを導入。ECとリアル店舗のポイント機能をアプリで一元化したほか、新商品情報や店頭のセール情報をプッシュ通知で配信してリアル店舗への集客にも役立ててきた。販売員のコーディネートスナップといったリッチコンテンツも積極的に配信し、顧客とのエンゲージメント強化につなげている。

アプリを導入したことで会員数の伸び率は導入前の1.5倍に向上。ショッピング機能を備えたアプリ経由のEC売上高はメルマガ経由やWEB広告経由の金額を抜いているという。

店頭でアプリダウンロードを強化 コンテンツ/プッシュ通知
ライトオンはアプリの施策で会員数の拡大に成功した

「Yappli」がECを支援する5つの新機能を開発

「Yappli」はiOSとAndroidに対応したネイティブアプリの開発と運用をブラウザ上で行えるクラウド型アプリ運営プラットフォーム。すでに220社の開発実績があり、小売企業中心に支持されている。

2017年秋には20種類の新機能を開発。特にECに役立つ機能は「オートプッシュ」「お気に入り機能」「ネイティブ検索窓」「ネイティブ購入履歴」「海外展開」の5つだ。

・オートプッシュ

プッシュ通知を自動化する機能。通知対象をセグメント分けし、配信条件(マーケティングシナリオ)を設定しておくと、条件に合致したユーザーに自動でプッシュ通知が行われる。たとえば、会員の誕生日の月に誕生日クーポンを配信、一定期間アプリを使わなかったユーザーに限定クーポンを配信して休眠顧客の掘り起こしを図るといったことができる。

・お気に入り機能

商品画像の下に「お気に入り」ボタンを設置し、ユーザーがお気に入り登録できるようにした。登録した商品を横スワイプで閲覧するなど、流行のUXを取り入れたという。

・ネイティブ検索窓

従来はWebサイトに移行しないと検索できなかったが、アプリのトップページなど、任意の場所に検索窓を簡単に設置できるようにした。

・ネイティブ購入履歴

ネイティブアプリ内に購入履歴を表示できるようにした。

・海外展開

複数の言語でアプリを作った場合、言語別に管理画面を利用できるようにした。「Yaplli」は英語、中国語、ポルトガル語などに対応している。

◇◇◇

最後に佐藤氏は「Yappli」の今後について、「スマホ時代のビジネスを加速させるため『Yaplli』自体のサービスを一層向上させるとともに、導入企業におけるアプリ運用のサポートにも力を入れていく」と述べ、一層のサービス強化に取り組むことを約束した。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

Instagramの投稿で購買意欲をかき立てられた女性は約7割

7 years 11ヶ月 ago

10~30代女性の約7割は、Instagramの投稿を見て、商品を購入したり検索したりした経験を持つ――。

セルフ型インフルエンサーマッチングプラットフォーム「door(ドアー)」を提供するマージェリックは1月11日、「Instagramの投稿に対する購買意欲」に関する調査結果を公表、Instagramが消費行動に与える影響などをまとめた。

「Instagramの投稿がきっかけで、商品の購入や検索をしたことがあるか」という設問では、「商品を購入したことがある」と回答した割合は26.4%。

「ネットで商品を検索したことがある」は30.6%、「店頭に実物を見に行ったことがある」は13.4%となっており、合計70.4%がInstagramの投稿を見て、何らかの消費行動を起こした経験があった。

マージェリックが公表した「Instagramの投稿に対する購買意欲」

行動を起こすきっかけとなった投稿の「投稿者」は、「芸能人・著名人の投稿」が61.7%で最も多い。次いで「友人・知人の投稿」(58.0%)、「企業の公式アカウントの投稿」(34.8%)。

マージェリックが公表した「Instagramの投稿に対する購買意欲」

購買意欲が喚起されやすい投稿とは、どのような内容かを聞いたところ、「おしゃれな投稿」が68.9%と最も多く、「商品の体験談が書かれている投稿」(54.5%)や「自分が使っているイメージがつく身近な投稿」(51.1%)を上回った。

マージェリックが公表した「Instagramの投稿に対する購買意欲」

調査概要

  • 調査対象:10~30代女性
  • 調査期間:2017年12月22日~12月25日
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 有効回答数:Q1=1065人、Q2,Q3=264人

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

JTBがアマゾンの「Amazon Pay」を国内旅行予約の決済に導入、パック旅行商品では初

7 years 11ヶ月 ago

ジェイティービー(JTB)は1月11日、国内ツアー・旅行の予約サイト「るるぶトラベルツアー」に、Amazonが提供する決済サービス「Amazon Pay」を導入した。

国内の募集型企画旅行商品(パック旅行)では初の導入ケースという。「るるぶトラベルツアー」利用者は、自身のAmazonアカウントを利用し、個人情報やクレジットカード情報を入力せずに、国内旅行商品を購入できるようになる。

まずはパソコン経由の予約販売で実装し、スマートフォン向けは別途対応する予定。

「るるぶトラベルツアー」がアマゾンのオンライン決済「Amazon Pay」を導入

「Amazon Pay」実装のイメージ(画像は編集部がキャプチャ)

「Amazon Pay」は、総合オンラインストア「Amazon.co.jp」のアカウントでログインすることができ、そのアカウントに登録している配送先住所やクレジットカード情報などを利用することで入力の手間を減らし、手軽に商品購入が完了できるようにする決済サービス。

「Amazon Pay」を導入したECサイトでは、「Amazon.co.jp」のアカウントを使って最短2ステップで商品を購入できるようになるため、カート離脱率の改善、コンバージョン率の向上、新規会員登録の促進につなげることができると期待されている。

「Amazon Pay」の提供スタートは2015年。導入企業は2年で数千社に達しているという。大規模から中小規模までさまざまな自社ECサイトが使用。直近では家電量販大手コジマが、家電業界で初めて導入した。

「るるぶトラベルツアー」では「Amazon Pay」実装キャンペーンを開始

「Amazon Pay」導入記念キャンペーンを開始(画像は編集部がキャプチャ)

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

瀧川 正実

「オムニ7」でVR使ったバレンタインのネット通販、エスキュービズムのシステムで実現

7 years 11ヶ月 ago

セブン&アイ・ホールディングスは1月10日、セブン&アイグループの通販サイト「オムニ7」内に、バーチャルリアリティー(VR)技術を活用したオンラインショップ「VALENTINE PARADISE VR」を開設した。

セブン&アイグループの通販サイト「オムニ7」内に開設したバーチャルリアリティー(VR)技術を活用したオンラインショップ「VALENTINE PARADISE VR」

「VALENTINE PARADISE VR」のサイトイメージ

グループ各社が取り扱っているバレンタイン関連の商品約700種類を販売する。ショップの運営期間は2月6日まで。

VR技術を活用して、ECサイトでも実店舗で買い物をしているような臨場感を演出しているのが特徴。仮想店舗の棚に並んだ商品をクリックすると、商品写真や説明文、価格、内容量などが表示される。

「omni7で商品を購入する」のボタンをクリックすると、各通販サイトの商品ページに移動する仕組み。VR用のゴーグルなど特別な機器を使用する必要はない。

エスキュービズムが提供するVRコマース機能を活用した買い物イメージ

買い物フローのイメージ

VRを活用したECサイトで体験できる3つの新感覚は次の通りという。

  • 従来のネット通販にはないワクワクな体験 → 本当の店舗で買い物しているような体験
  • 家や職場、電車のなかでウキウキな体験 → いつでもどこでも買える
  • セブン-イレブンでも受け取れるラクラク体験 → 行列に並ばずに買える

なお、取り扱うのはセブンネットショッピング、そごう・西武、イトーヨーカ堂、ロフト、セブンミールの商品。

「VALENTINE PARADISE VR」は、エスキュービズムが提供している「VRコマース機能」を活用してオープンした。「VRコマース機能」は、エスキュービズムが提供するECサイト構築パッケージ「EC-Orange」をベースに開発された機能。

実店舗を撮影し、そのままのデザインで仮想店舗を作成できるほか、CGで店舗をデザインすることも可能。

渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。編集者兼ライターとしても活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

渡部 和章

あなたのECサイト、お客さまが見えていますか? 売上アップに役立つペルソナ作成講座【実践編】 | “本気の”CVRアップ実践講座

7 years 11ヶ月 ago

“本気”のCVR実践講座 第3弾は、ユーザーを本気で知るための「ペルソナ」作成(実践編)です。前回は「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」「ユーザーテスト」という、ユーザーを知るための3つの方法をお伝えしましたが、中でも基本となり、最もオススメしたいのが「ペルソナ」の作成です。「ペルソナ作成は意味がない」なんて言われることもありますが、ECサイト運営には欠かせないユーザー理解の方法です。ベルソナ作成がなぜ必要なのか、どう使えばCVRアップにつながるのかを解説します。 キャラクターデザイン◎材井千鶴 イラスト◎宮川綾子

「ペルソナ」とは、企業が提供する商品やサービスにとって最も重要な、象徴的なユーザー像のことです。自社のユーザーとはどんな人物なのか、「40代 主婦 関東在住 購入はPC・スマホ両方利用」といった属性だけの「ターゲット」ではなく、趣味や嗜好、行動パターンまで詳しく設定していきます

なぜペルソナを作るの?

なぜ、ペルソナ作成が必要なのか。それは、「施策のコンセプトがはっきりする」からです。漠然としたターゲットに向けたサービスを考えるのではなく、たった1人のペルソナに向けた「究極のサービス」を考えることで、より具体的で適したサービスを創出できます。

ペルソナはサービスの方向性だけではなく、サイトのデザイン、課題の発見、解決方法、顧客対応など、ありとあらゆる施策の指針となります。

よくある「ターゲット層」では
該当者が多く行動パターンも様々…。

40代 主婦 関東在住
購入はPC・スマホ両方利用

「ペルソナ」の場合
宮河 彩子(46歳)
ユーザー
東京都世田谷区在住 銀行でパートタイム勤務 
■趣味 食べ歩き 
■モットー
家族の健康を何よりも大切にしている。
「食が健康を作る」と考えており、パートで忙しい中でもなるべく栄養に気をつけた食事作りを心がけている。

■ネットショッピングとの関わり
ネットでの購入をよく利用している。衣類はフリマアプリを活用。
食材はなるべく安全安心なものを、通販や宅配サービスで取り寄せている。
■行動パターン
朝の通勤時にメルマガやSNSで情報収集。帰宅時に電車の中で、宅配の注文内容をチェック。足りないものをスーパーで購入している。
宅配の商品は夜に家事が片付いたあとでじっくりPCより注文。
注文が終わると、ネットサーフィンをする。

人物像と生活パターンが見えてくると、
なにが、「刺さる」か、具体的なヒントが見えてくる!

どうでしょうか? こうしたユーザーの情報があると、その人の外見や話し方までイメージできませんか?

例えば、ターゲットが「40代 主婦 関東在住 購入はPC・スマホ両方利用」という情報のみであれば、メルマガを送るのは、お昼の12時か、週末の22時頃……というように、一般的とされる主婦の行動パターンを予測しがちです。実際には開封率のデータのみで判断することが多いでしょう。

しかし、ペルソナの宮河さんの場合、メルマガをチェックするのは朝の電車の中で、自分に関係がありそうなタイトルや店舗のみを開封している。であれば、朝にふさわしいメルマガを通勤の時間帯に送ることを検討しても良いでしょう。

このように、どんな広告の文言が刺さるのか、いつメルマガを配信するのか、サイトのUIはどう設計したら最適なのか……それらのことが、ペルソナを作ることで見えてくるのです

ペルソナを作成するメリットは次の通りです。

  • ターゲットを思い切り絞り込むことができる
  • 担当者の主観ではなく、ユーザー視点で考えられる
  • チーム内のコミュニケーションツールとなる

まれに「ペルソナを作成しても意味がない」という声を聞きますが、それは半分嘘で、半分本当です。調査なしで簡単に作成したペルソナでは意味がないからです。調査を経て作成したペルソナは必ず役に立ちます。

ペルソナで設定する項目は?

次に、具体的なペルソナの作成方法をご紹介します。設定するのは以下のような項目があげられます。

基本情報
  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 勤務先(役職や仕事の概要)
  • 仕事上のポリシー
  • 年収
  • 家族構成
  • 結婚歴
  • 居住地域
人となり
  • 性格
  • 価値観(好きなこと/嫌いなことなどの信念)
  • 口癖
  • 悩み
  • 学歴
ライフスタイル
  • 趣味、はまっていること
  • 行動パターン(平日/休日)
  • 消費行動
  • 購読している新聞
  • よく見るテレビ番組
  • 愛読書
  • よく見る雑誌
  • よく見るWebサイト
  • 情報収集行動
  • デバイス

上記の基礎情報に加え、ペルソナが自社の商品やサービスとどのように関わるのか、ストーリー化できるように興味関心を記載します。

  • 商品やサービスとの関わり
  • 商品やサービスが属するカテゴリーへの興味関心について
  • 自社が提供する商品やサービスとはどのように出会い、どのように利用するのか
  • 競合の商品やサービスについての関心

ペルソナ作成に必要な5つの材料

ペルソナを作成するときに注意したいのは、担当者の思い込み。担当者が1人であれやこれやと「空想」で作成したとしても、それなりのものができてしまいます。しかし、それはあくまで思い込みの産物で、仮説にとどめておくのが良いでしょう。

ペルソナ作成には、以下の方法で集めた情報を材料として活用します。

  1. Googleアナリティクスの解析
  2. ユーザー像ヒアリング
  3. アンケート
  4. ユーザーインタビュー
  5. グループワーク

現在、店舗やサービスを利用しているメイン層はどんな人なのか、そして将来、長期的なファンとなりそうな人はどんな人なのか。現在と未来を見渡して調査をします。

さまざまなデータやユーザーに直接行うアンケートやインタビュー、お客さまと直接触れ合っている従業員やカスタマーサポートなどへのヒアリングなどなど……材料となるデータは多ければ多いほど、ペルソナが具体的で鮮明なものになります

本格的にペルソナ作成を行う場合、上記の5つを順番に、約半年ほどかけて行います。しかし、そんなに時間が取れないという場合の方が多いでしょう。1から3までは取り掛かりやすいので、最短で1か月〜2か月で調査が可能です。

ペルソナを作成する
「材料」の一例 
「導入のしやすさ」「ユーザーのわかり度」の目安はあくまで目安です。
聴く力や、分析力・ワーク内容によって大きく異なります。

Google アナリティクス
 新人ネット担当キタムくん
導入しやすさ
★★★★★
ユーザーわかり度
★★☆☆☆

ユーザー像ヒアリング
カスタマーサポート、
営業担当など
ユーザーに接している人

導入しやすさ
★★★★☆
ユーザーわかり度
★★★☆☆

ユーザーアンケート
導入しやすさ
 ★★★★☆
ユーザーわかり度
 ★★★☆☆

ユーザーインタビュー
導入しやすさ
★☆☆☆☆
ユーザーわかり度
★★★★★

グループワーク
導入しやすさ
★☆☆☆☆
ユーザーわかり度
★★★★★

1.Googleアナリティクスでの解析

Googleアナリティクスの「ユーザーカテゴリレポート」から性別や年代、居住地などのユーザー属性を知ることができます。Googleアナリティクスのみではペルソナ作成に不十分ですが、情報として有用性が高い上に、実施が比較的容易なので、材料としておすすめします。

2.ユーザー像ヒアリング

社内の営業部やカスタマーサポート、実店舗の担当者などへ、普段接しているお客さまについてヒアリングします。お客さまと接しているスタッフの情報はとても貴重です。どんなお客さまが多いのか、特徴や要望だけでなく、口癖や服装などについても聞いてみましょう

数が集まるとパターンが見えてきます。複数のパターンから商品やサービスの優良なファンとなりうる層を見抜いていきます。

3.ユーザーへのアンケート

商品やサービス、サイトなどについて、ユーザーにアンケートをお願いするのもユーザーを知るための良い材料となります。

アンケートはGoogleフォームであれば無料で作成できるので、メルマガやキャンペーンなどで募集してはいかがでしょうか。クーポンなどのインセンティブがあれば回収率が高まります(当社では、インセンティブとして、500円~1,000円のクーポン付与をおすすめしています)。

アンケートでは設問の質によっても得られる情報が異なります。例えば、チェックボックスのみの解答よりも、記述式の方が質の高い情報を得られます。文章の雰囲気や使用する単語からユーザーの性格や、心理を読み取ることができるからです。

設問の多さや解答のしやすさなどをチェックするために、アンケートを実施する前には周囲の数人にお試しで記入してもらい、フィードバックを得るようにしましょう。

4.ユーザーインタビュー

商品やサービスを利用しているときの状況や心理の状態を、ユーザーに直接インタビューする方法です。インタビューに答えてくれる方の募集や、インタビューする側の「聞く」スキルなど、実施には難易度が高い方法ですが、「なぜ」「どうやって」消費やサービス利用にたどり着いたのか生の声を聞くことは、ペルソナの作成だけでなく、カスタマージャーニーマップの作成にも役立ちます

実施の際に、インタビュー担当者にお薦めしているのがこの本です。付録のテンプレートは初めての方でもすぐに使える優れものです。

5.グループワーク

アンケートやインタビューで集まったデータから、実際にペルソナを形作る作業を行うのが「グループワーク」です。 社内のプロジェクト関係者やクライアントも交えて複数人で行います。複数人で行うことで多角的な意見が飛び交い、「思い込み」からの脱却が可能となります。グループワークは下記の手順で行います。

1. データから読み取れる「ユーザーの特徴」をできるだけ多くあげ、付せん紙に記入していく

この「特徴」の数がペルソナの深みに直結します。なるべく多くの気付きが出るよう、アイスブレイクをしっかり行いましょう。また、気付きを引き出す「問いかけ」も重要です。「問いかけ」にはスキルを要しますが、まずは、誘導し過ぎないことに気をつけて、実践してみましょう

2. 付せん紙をグルーピングし、表札(タイトル)を付けていく

表札を付ける際には、単語の見出しにせず、文章にするのがコツです。たとえば「ファッション」ではなく「きれいめファッションを好む」というように、より人物像がわかるように文章化しましょう。

3. 表札から「ユーザーはこんな人である」というパターンを文章化していく

「きれいめファッションを好む」「ご近所づきあいを大切にしている」「季節の贈り物は欠かさない」という表札があれば、「礼儀やマナー、TPOを大切にし、節度を持った行動を好む人である」という人物像を描くことができます。

4. パターンを元にペルソナを記述する

人物像がありありと浮かぶように記述していきます。パターンの背景や、ネガティブ面にも注目してみましょう。「礼儀やマナー、TPOを大切にし、節度を持った行動を好む人」であれば、「ルーズさを嫌う」なども記入します。また、参加者全員でペルソナに名前を付けると愛着がわきます。

グループワークには準備や実施に多くの時間がかかりますし、スキルも必要で難易度が高めですが、有意性は抜群と言えます。当社がペルソナを作成する際は、グループワークにリソースも時間も多くかけて実施します。

しかし、重要なのは「ペルソナを作成する」ことではなく「ペルソナを活用する」ことです。

ペルソナをどう活用するの?

でき上がったペルソナは、シートにまとめて関係者全員で共有します。ペルソナを共通の認識とすることで、プロジェクト内のコミュニケーションもスムーズになります。例えば、プロジェクトの会議などで、

「ペルソナ(名前を付けて名前で呼ぶようにしましょう)さんには、この広告が刺さるだろうか?」

「ペルソナさんは、このキャンペーンを好意的に受け取るだろうか?」

「ペルソナさんは、このコンテンツをどう思うだろうか?」

「どんな、メルマガを送ったらペルソナさんは読んでくれるかな?」

というように、ペルソナを共有したメンバーに問いかけができるようになると、効果が明確で、施策を判断する上で大いに役立ちます。また、ペルソナを作成することで、施策のコンセプトがはっきりするので、商品やサービスの提供者側の都合によらず、ユーザーの視点に立った「刺さる」施策を立てることができます

実例をご紹介します。ある高級な食材を提供する企業でサイトのリニューアルをする際、デザインの担当者は、

トレンドを意識したシンプルなデザインに、品の良いパーツで構成する。お買い物をするときに“良質な食材を買っている”という満足感を、ビジュアル面でも十分に体験できるサイトデザインを行う。

と、ビジュアル面の改善に注力していました。しかし、ペルソナを作成する中で対象ユーザーにインタビューをしたところ、サイトのデザインに対してこんな意見を多くいただきました。

トレンド感はある程度重要ですが、企業に対する信頼性のほうが重要です。どんなに美しいサイトでも、情報に疑わしさや不明確な部分があれば、良質な企業とは思いません。

1人だけではなく、複数のユーザーが同じように答え、また、企業のカスタマー担当からも、ユーザーが求めているものとして「情報の確かさ」があがりました。

その食品企業のユーザーは、ビジュアル的な美しさよりも「正しい情報を得ることができ、間違いのない商品を購入できるサイトであること」の方が優先順位が高いということを認識し、ペルソナ作成やサイトデザインにも反映しました。

商品やサービスによって、さまざまなユーザーの心理があり、何を優先するのかも異なります。ユーザー視点に立てば、課題の解決方法の発見の道筋が得られ、CVR率改善のポイントもより的確になるでしょう。

ペルソナを作成していないのであれば、ぜひ、作成してみてください。活用できていないのであれば、ペルソナの材料集めからの見直しをおすすめします。

◇◇◇

今回は「ユーザーを本気で知る」の実践編、ペルソナ作成についてお話しました。次回はサイトに“本気で”ユーザーを誘導する方法についてお話します。

宮川綾子

株式会社エフカフェ 制作チームリーダー UXデザイナー

九州産業大学芸術学部デザイン学科ID(工業デザイン)コース卒業。1995年、有限会社ジェイズファクトリーに入社。グラフィックデザイン・パッケージデザインに携わる。

2002年、フリーランスに転向。フリーランス時代は自治体・団体向けに「効果のあるチラシの作り方」のセミナーを開催。子育て情報誌の立ち上げをきっかけに、子育てに関するサービスのデザインに携わる。

2009年、株式会社エフカフェに入社。ECサイト制作から、UXデザイン、サービスデザインなどデザイン全般に携わっている。

宮川綾子
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