洗練された北欧デザイン家具を低価格で提供するスウェーデン発の家具量販店「イケア」(IKEA)が、4月から配送対象エリアを拡大し、本格的に通販を展開。オンラインストアでは自宅への商品配送に加え、注文店舗での受け取りができるサービスも導入しています。
イケアの通販参入で国内の家具・インテリアEC市場にはどのような影響が出るのでしょうか。家具・インテリア領域における国内の主要ECプレイヤーの現状を、データからまとめてみました。
ECでの家具の購入が増加中
総務省の「家計消費状況調査」によると、2016年に伸びた商品ジャンルの1位は家具(前年比6.1%増)。また、通販新聞が昨年7月に発表した「第66回通販・通教売上高ランキング調査」によると、家具のネット通販分野の1位は、EC売上高170億円のニトリでした。家具・インテリア雑貨のECは成長著しいジャンルと言えます。
さて、新生活需要が伸びる3月、国内の家具・インテリア雑貨のサイト訪問者はどの程度だったのでしょうか。以下は、訪問者数の上位10サイトです。
「家具・インテリア雑貨」のサイト訪問者数ランキング(2017年3月)
1位「無印良品ネットストア」、2位「家具・インテリア ニトリネット」のユーザー数が、他社を引き離している印象です。「イケア・ジャパン」は調査を実施した3月の時点ではECサイト本格展開前ながら、5位にランクイン。前月比も+21.4%と商戦期に好調に伸びている様子がうかがえます。
注目すべきは6位「minne」、7位「Creema」などのハンドメイドマーケット。大型家具の取り扱いは少ないものの、1人当たりの月間ページビュー数がこの2サイトは突出して高くなっており、小物収納や個性的な雑貨などの品揃えで、訪問頻度やサイト内の回遊率を高めていると考えられます。
10位の「RoomClip」はECサイトではありませんが、個人が部屋のインテリア実例を共有できるメディアです。企業向けには記事広告やモニターキャンペーンなどのメニューが用意されており、イケアも過去に「2017イケアカタログ」のPR記事を出稿しています。
こうしたサイト以外でも、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手モールや、ベルメゾン、ディノスなどのカタログ通販サイトでも家具・インテリア雑貨は幅広く取り扱われています。今後、イケアの通販本格参入でユーザーの利用サイトがどのように変化するのか、注目したいところです。
イケア、無印、ニトリのユーザーとは?
次に、「イケア・ジャパン」「無印良品ネットストア」「家具・インテリア ニトリネット」の3サイトで、ユーザーの重複度合いを見てみましょう。
まず、2017年1月~3月の3か月間で、各サイトの訪問者数は下図のようになっており、無印良品とイケアでは約2倍の開きがあります。
「イケア・ジャパン」「無印良品ネットストア」「ニトリネット」のサイト訪問者数(2017年1月~3月)
また、同期間でサイト間のユーザー併用率を集計してみました。
「イケア・ジャパン」「無印良品ネットストア」「ニトリネット」のサイト間併用状況(2017年1月~3月)
「無印良品ネットストア」は「併用なし」ユーザーが65.8%と3サイトの中では最も高く、イケアやニトリと見比べているユーザーよりも無印良品だけを閲覧しているユーザーの方が多くなっています。
一方、「イケア・ジャパン」は「併用なし」ユーザーが43.5%と半数を切り、無印良品やニトリネットとの併用率が約4割近くにのぼっています。イケアのユーザーは無印良品やニトリのサイトも合わせて訪問し、商品を比較検討している行動がうかがえますが、今後イケアの通販サービスがユーザーに浸透してくると、イケアでも「併用なし」ユーザーが増える可能性が考えられます。
イケアとニトリの検索流入ワードの違いは?
最後に、イケアとニトリについて、両オンラインストアの検索流入キーワードの違いからユーザーニーズを探ってみましょう。
2016年10月~2017年3月までの6か月間で、「イケア・ジャパン」と「ニトリネット」の各サイトへの検索流入キーワードをランキングにすると下図のようになりました。
「イケア・ジャパン」「ニトリネット」の検索流入キーワードランキング(2016年10月~2017年3月)
両サイトとも「IKEA」「イケア」や「ニトリ」などのブランド名を含む検索が多く、認知度の高さ、ブランド指名で商品を探す検討行動が見られます。
イケアの場合、「IKEA 港北」「IKEA 店舗」「IKEA 大阪」など店舗に関する情報を求める検索が上位に入っている点が特徴的です。一方のニトリは、「ニトリ 通販」が3位に入り、5位以降は「カーテン」「ベッド」「ソファ」「布団」「カラーボックス」など具体的なアイテム名が多数ランクイン。具体的な商品の購入意欲がうかがえます。
ただ、イケアも「IKEA 通販」が6位に入るほか、「IKEA 通販 公式」「イケア 通販」など通販ニーズの高さが垣間見えます。4月からの通販本格展開により、今後はアイテムに関連する検索流入も増加するでしょう。「ニトリネット」との集客の差を詰められるか、イケアのSEM施策にも注目したいところです。
分析概要
株式会社ヴァリューズが保有するモニター会員の協力により、ユーザー属性情報と実際のネット行動ログを用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使って、2017年3月の「家具・雑貨」ジャンルのサイト訪問者数、および検索キーワードを集計したものです。
※カテゴリはヴァリューズが独自に定義し、サイト訪問者数や検索流入数はPCからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニタでの出現率をもとに、国内ネット人口に則して推計しています。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:イケア(IKEA)のネット通販本格参入で家具・インテリアEC市場はどう変わる? | 知っておきたい ECサイトに役立つ分析データ
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