アマゾンの有料会員サービス「プライム会員」にどう対抗する? ウォルマートは他社連携で特典サービスを拡充、会員増+維持を狙う | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ | ネットショップ担当者フォーラム

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Walmartの有料会員制度では、エクソンとモービルのガソリンスタンドでガソリン代の割引き、ペット向けのデジタルヘルスクリニックであるPawpとのパートナーシップを通じた無料のペット遠隔医療サービスなども提供している

米小売大手のWalmart(ウォルマート)が有料会員向けサービスの特典内容を充実させ、少しずつAmazonの「プライム会員」との差を縮めています。このほどハンバーガーチェーンのBurger Kingと提携し、Burger Kingのハンバーガー「ワッパー」を無料で進呈する内容を特典に追加しました。有料会員向けサービスをさらに充実し、会員数の増加、既存会員の維持につなげようとしています。

Walmartが会員向けの特典を拡充

Walmartは、有料会員サービス「Walmart+(ウォルマートプラス)」の会員に対して、Burger Kingとの提携による新たな特典の提供を始めました。その1つが、Burger Kingの商品をオンライン注文する際、価格が毎日25%割引になるというものです。

「Walmart+」のサービスの1つとしてBurger Kingの特典をラインアップしている(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)「Walmart+」のサービスの1つとしてBurger Kingの特典をラインアップしている(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)

また、「Walmart+」の会員は9月から、Burger Kingの商品を購入すると、Burger Kingのハンバーガー「ワッパー」を3か月ごとに無料で受け取ることができるようになりました。

この取り組みは、「Walmart+」の会員登録数を増やし、さらに既存顧客を維持するための戦略の一環。Walmartは、「Walmart+」をより多くのユーザーにとって魅力的なものにしたいと考えており、8月22日の提携発表でWalmartは次のように説明しています。

このユニークな特典は、会員が食料品の買い出しに行ったり料理を作る時間がなかったりするときでも、彼らの忙しいライフスタイルに寄り添い、時間とお金を節約できるように設計しています。(Walmart)

「Walmart+」の会員にBurger Kingのハンバーガーを3か月ごとに無料で進呈する(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)「Walmart+」の会員にBurger Kingのハンバーガーを3か月ごとに無料で進呈する(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)
多岐にわたる所得層の顧客にリーチ

「Walmart+」はすでに、WalmartのECの送料無料、食料品の即日配達、ガソリン代や旅行の割引など、さまざまな特典を提供しており、Amazonの有料会員制度「Amazonプライム」の強力なライバルとなっています。

ガソリン代、旅行の割引、返品する商品の自宅引き取りなど「Walmart+」は会員にさまざまな特典を提供している(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)ガソリン代、旅行の割引、返品する商品の自宅引き取りなど「Walmart+」は会員にさまざまな特典を提供している(画像は「Walmart+」の公式サイトから編集部がキャプチャ)

「Walmart+」の会費は月額12.95ドルまたは年額98ドルで、公的支援を受けている利用者には49ドルの割引オプションを用意しています。

「Amazonプライム」と比較すると、「Amazonプライム」の会費は月額14.99ドルまたは年額139ドルで、「Walmart+」よりも会員費は高いことがわかります。EC利用時の送料は、Walmartと同じく無料です。

「Walmart+」はBurger Kingとの新たな提携により、より幅広いユーザー層にとってさらに魅力的なものとなり、成長に拍車がかかるでしょう。

登録者数は2桁成長

Walmartのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は2024年5-7月期(第2四半期)の決算説明会で「会員登録者数が2桁増加した」と説明したものの、正確な数字は明らかにしていませんでした。第2四半期におけるグローバル会員による会費売上は前年同期比23%増加しています。

「Walmart+」は、市況に左右されず、高所得層から人気です。Walmartが成長し続ける基盤を築いています。人気の理由は、送料無料の配送サービス、店舗リニューアル、その他の米国での取り組みなどが相まっています。(マクミロン氏)

Walmartの米国CEOであるジョン・ファーナー氏は、「Walmart+」はすべての所得層に対応できるように設計していると説明しています。

「Walmart+」の会員は、たとえば配送頻度が非常に高いグループだけに注目した場合、年収が5万ドル未満の人もいますし、年収が10万ドル以上の人もいます。(ファーナー氏)

「Amazonプライム」との差を縮める

ドイツの大手メディア、アクセル・シュプリンガーの子会社で、市場調査を手がけるeMarketerによる6月度のEコマース調査によると、6月時点で米国成人の26%が「Walmart+」の会員となっており、この割合は前年から12ポイント増加。

「Walmart+」の会員普及率はCostcoの27%に近づいています。食料品の即日配達サービスを運営する米国企業Instacartの有料会員制度で、普及率が9%となっている「Instacart+」と比べると約3倍です。

eMarketerは「Walmart+」の利用者数について、2024年末までに3180万人に達すると予測しています。しかし、米国の調査会社Consumer Intelligence Research Partnersによると、「Amazonプライム」の米国での会員数は2024年3月時点で1億8000万人(前年比8%増)。有料会員数を多く持つ事業者としては、依然として大きくリードしています。

ただ、Walmartは会員プログラムに特典を追加することで、「Amazonプライム」との会員数や人気の差を徐々に縮めています。「Walmart+」の会員は「Amazonプライム」と同様に、ECの注文商品の無料配送に最低注文金額を設けていません。また、商品の先行発売、ブラックフライデー期間中のオンラインセール、動画配信サービス「Paramount+(パラマウントプラス)」の視聴、返品時の自宅への無料集荷といった特典が受けられるようになっています。

Walmartは6月、第2回目の「Walmart+Week」を実施しました。これは、Amazonの「プライムデー」に似たオンラインのセールイベントです。7日間にわたって、主に会員を対象に買い得品が販売されました。2024年の「Walmart+Week」は、7月のAmazonプライムデーの、わずか数週間前のタイミングで実施されています。

2024年の「Walmart+Week」は6月17~23日に開催された(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)2024年の「Walmart+Week」は6月17~23日に開催された(画像はWalmartコーポレートサイトのニュースルームから編集部がキャプチャ)

「Walmart+」は、Walmartが提供する重要なサービスの一部ですが、Walmartが提供するサービスはそれだけではありません。他にもさまざまな取り組みをしています。しかし、「Walmart+」に加入するお客さまに対しては、できる限り最高の体験を提供したいと考えています。(ファーナー氏)

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この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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