アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど界のEC市場規模予測、越境EC市場規模、EC利用者の推移、EC市場データランキング、各国のEC市場環境比較表などをまとめた『海外ECハンドブック2023』(トランスコスモス:著、インプレス:刊、定価:2,500円+税)。日本を含めた主要な国・地域のECデータや各市場動向を理解、把握できる一冊で、円安傾向、インバウンド客の増加などを含め、「これから越境ECを始めたい」「海外EC市場やユーザー動向を把握したい」といった事業者さん必見です。『海外ECハンドブック2023』のデータ収集、記事執筆を手がけたトランスコスモスの佐藤ひろこさん(マーケティング本部調査部)に話を聞きました。
『海外ECハンドブック2023』制作の中心人物であるトランスコスモスの佐藤ひろこさん
世界各国・地域のEC市場を定量・定性データとしてまとめた『海外ECハンドブック』
グローバルおよび世界33か国・地域のEC市場のトレンド、市場動向、定量・定性データを1冊にまとめています。定量と定性データを中心に、世界のEC市場のトレンドから最新動向の把握・理解、各国・地域の市場環境を横並びで比較できるのが特徴です。
市場データに加え、消費動向、法規制、決済、配送など、各マーケットに参入できるかどうかを判断できるようにという観点でデータを収集し、まとめています。また、各国の主要EC事業者や消費者のオンラインショッピング利用動向、ローカルの小売やブランドの最新の取り組み事例も紹介しています。
『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界33の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊
『海外ECハンドブック2023』でまとめている主な内容
- 2022年世界のEC市場規模
- 世界のEC市場規模およびEC利用者の推移
- 地域別のEC市場規模推移
- 各国のEC市場ポテンシャル
- 国別のEC市場規模ランキング(2021年 vs 2022年)
- 2022年 世界の越境EC市場規模
- 越境EC市場規模および越境EC利用者の推移
- 国別の越境EC市場規模ランキング(2021年 vs 2022年)
- 世界のソーシャルコマース市場規模推移
- 世界8都市のEC利用動向調査
- 各国のEC市場環境比較表 2022年
- グローバルトピックス
- 33か国・地域の概況
現地でのビジネス展開にとどまらず、「越境ECをこれから始める」「すでに越境ECを展開している」といったさまざまな事業者の海外向けECビジネスの参考になるはずです。日本製品の越境購入が多いと言われる台湾市場のデータ、アフリカ、中東の市場データなど、日本で展開されている書籍や調査データにはない情報を『海外ECハンドブック』には盛り込んでいます。越境ECに関するノウハウをまとめた冊子やコンテンツは多いと思いますが、こうした市場動向にフォーカスした冊子は珍しいのではないでしょうか。
2022年の世界のEC市場規模
『海外ECハンドブック2023』の見どころ
注目したいのは「TikTok」の影響力の高まりですね。『海外ECハンドブック2023』では、「TikTok」の動向を含めて、新たにソーシャルコマース市場規模も追加しました。
「TikTok」では、TikTokアプリ内で商品を販売できるEC機能「TikTok Shop」を米国や東南アジアでリリースしています。ベトナムマーケットでは、売上高でLazadaを抜き、大きな影響力を持つようになりました。
これまでのソーシャルコマースは、SNS内で商品を告知し、自社のECサイトなどに誘導する形式でしたが、「TikTok Shop」は違います。「TikTok」内で決済まで完了でき、最近はブラウジングして買い物できる機能もリリースしています。新たなソーシャルコマースの形と言えます。
東南アジアを攻める外資ブランドは「TikTok Shop」に力を入れているのが印象的です。主なマーケティング手法はインフルエンサーマーケティング。トランスコスモスが実施した「世界8都市オンラインショッピング利用動向調査2024」を見ても、東南アジア市場ではインフルエンサーの力が大きくなっており、外資ブランドはローカルのインフルエンサーの育成に着手しているのが特徴的な動きと言えるでしょう。
世界8都市のEC利用動向調査
もう1つの大きな動きが「リテールメディア」ですね。米ウォルマート(Wal-Mart)、仏カルフール(Carrefour)がグローバルで展開。カルフールはグーグル、クリテオなどとリテールメディアネットワーク「カルフールリンクス」を立ち上げて事業を展開、ウォルマートに匹敵する規模になるのではないかと考えられます。
リテールメディアに大手の小売事業者が取り組むのは、新たな収益源を獲得するため。ECサイトでの活用にとどまらず、実店舗向けサービスにもリテールメディアを拡大する動きを見せています。
そして、「SHEIN」「Temu」「AliExpress」といった中国発の越境ECサイトの台頭ですね。たとえば、米国市場では「SHEIN」の勢いが増しており、流通総額が大きく伸びています。
「SHEIN」は近年、自社商品の実店舗販売に注力、この取り組みは認知度向上や新規顧客獲得に貢献すると考えられます。また、「Temu」は積極的に配送対応国を拡大しており、両社の動向はチェックしておくべきでしょう。
このようなグローバル、各国におけるトレンドなどを学べるのが、『海外ECハンドブック2023』の見どころと言えますでしょう。ほかには各国消費者の節約志向、サステナビリティ消費、新テクノロジー活用なども盛り込んでいます。
各国のEC市場環境比較表(2022年)
『海外ECハンドブック』の制作を通じて感じる海外市場の変化
ポスト・コロナへの移行により実店舗回帰が進んだほか、旅行やエンタテイメント分野といったサービス支出の急増、利用するサブスクリプションサービスの見直しなど大きな消費行動の変化が起きています。世界的なインフレによる節約志向も加速。こうした変化がオンラインショッピング利用にも影響を与えていると感じます。
こうした変化に対応するために、海外の事業者はさまざまなマーケティング施策を打ち出しています。
たとえば、オンライン主体の販売だったD2Cブランドは、「ゴーストリテーラー」と呼ばれるRaaS(リテール・アズ・ア・サービス)などを活用し、実店舗での販売や露出拡大に取り組んでいます。
インフレの影響で節約志向が加速するなか、欧米中心にフードレスキューアプリ(廃棄直前の食品を見つけて購入できるアプリ)の活用も進んでいます。小売事業者も食品廃棄削減などSDGsの取り組みの一環としてフードレスキューアプリと連携、実店舗へ消費者を誘導する動きが活発化しています。
日本のEC市場概況
『海外ECハンドブック』の制作を通じて感じたトレンドの変化
海外のEC事業者は、引き続き顧客体験向上を目的に新しいテクノロジー投資を進めています。コロナ禍で注目を集めたメタバースに加え、2023年は「Chat-GPT」に代表される生成AIが代表的なトレンドの変化と言えるでしょう。生成AIを取り入れた施策はオンラインマーケットプレイスを中心に広がっています。たとえば、中国では24時間ライブコマースの配信を可能とするアバターの開発などです。
『海外ECハンドブック2023』でも生成AI活用には触れていますが、もっといろいろな使い方が出てくるでしょう。2023年は実験的なフェーズで、2024年以降はさらに大きな注目を集めると感じています
『海外ECハンドブック』の活用方法について
これから海外市場への参入、もしくは越境EC参入を検討している事業者には、各市場のデータなどを集めたデータ集などが、世界33の国と地域のマーケット調査に役立つでしょう。
参入済みもしくは越境ECを実施している事業者は、ソーシャルコマースのトレンド、マーケットプレイスなど新しいチャネル販売チャネルの研究など、進出済みマーケットの調査に役立つはずです。
海外マーケットを開拓するには、ローカル顧客のニーズをしっかり把握することが重要だと感じています。特に、韓国や中国の新興ブランドが若年層を中心に支持を集め、急速に海外展開に成功する事例が増えていますので、日本の事業者もそうした成功事例の取り組みから学べることがあると感じています。しっかりと各国の顧客にニーズにあった方法で商品を訴求していくことが重要であり、そのために『海外ECハンドブック』がお役に立てれば幸いです。
海外向けECビジネスを実施・検討中企業は必見!
インプレスでは海外EC市場への進出を検討、進出済み企業などに向けて、世界33の国・地域のECデータを1冊の書籍にまとめた『海外ECハンドブック2023』(著者はトランスコスモス)を発刊。「世界のEC市場規模予測」「地域別EC市場データ」「33の国・地域のEC市場ポテンシャル」「越境EC市場規模およびEC利用者の推移」などを詳しくまとめています。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:越境ECを攻略するための一冊! 33の国・地域のECデータ&市場概況などをまとめた『海外ECハンドブック2023』とは
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