メディアがつくる「批判する空気」は何を生むのか。 | 業界人間ベム

業界人間ベム - 2011年7月17日(日) 09:28
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 原発対応には特に情報開示の面で決して褒められたものではない政府の対応が続いたことは事実で、適切な批判はそのポイントをしっかり突いて、今後のあり方を是正する方向に向くことに意味がある。
 しかし、その他震災対応全般と政府批判、内閣批判、総理批判について言うと、かなりの程度、「批判のための批判」に終始している。個人的に、菅直人総理は、安倍さんや福田さんのように易々と責任を放棄した元首相よりはましだと思う。
 メディアは普段は、首相は「将来を見通したグランドデザインを提示すべきだ」といい、今回の「将来は脱原発で」という提言には、「具体策がない」と評する。浜岡原発の停止も、これを「唐突だ」と批判するに至っては、実はそのメディアは原発推進勢力に付いているのではないかを疑いたくなる。政治は結果であり、首相でなければできない判断を唐突にするから、役所を始めいろんな勢力が根回しすることを封じて、実現できたというべきである。ひとりでどうにかなるものでもないので、菅首相の続投にいい結果がついてくるとも思えないが、この非常時に「自分で選んだ国のリーダー」を支持してサポートしない民主党の面々こそ批判されるべきだろう。
 
 原発に対する東電&政府の情報管理を除けば、政府も自治体も、当然現場に対応する、警察、消防、自衛隊の人たちは本当に頭が下がるほど、頑張ってやっていただいている。仮説住宅もそれなりに出来上がっているし、瓦礫が撤去できていないとか批判するが、そもそもあまりに大量なんだから仕方ないともいえるだろう。瓦礫がなくなるのも大事だが、みんなが生きていくために優先することもたくさんある。
 国会の議論を聞いていても、単に総理への攻撃だけで実質的な復興対策のための質問にはなっていない。(あえて言えば社民党の阿部さんくらいがまともに実態への対応について具体的な話になっていた。)

 これだけの災害が起きたのだから、対応は簡単ではない。これほど大きな規模の災害は全くもって戦後初めてだ。だから、及第点がとれるような対応は基本無理だ。政府という組織も、国や自治体の役所も、企業も、既存の組織では満足のいくような対応ができないのは、ある意味仕方ない面もある。もちろん被災者からすれば、必要な救済が後手後手になっていることがあまりに多いだろう。個人個人に起きている「きびしい」状況は、手を差しのばさないといけない。
 政治に対する違和感と不信感は、こんな折に「内閣不信任案」を出す野党や、それに乗じようとまでする民主党内の勢力であり、やはり批判ばかりするメディアによって醸成されている。

 さて、もしメディアは、こういう時期だからむしろ「批判すべきところは批判するが、褒めたり、賛同するところは、是」とするような、「菅さんだからダメ」というのではなく、是々非々のスタンスをとって、災害復旧対応は、海外に比べれば実に良くやっているとか、公務員に対する国民の再評価に値する、自衛隊や警察消防や頑張っている自治体職員とか、もちろん中央政府もみんながみんなダメなんじゃないんだから、評価すべきは評価する態度をとると、もっともっと実は「空気」が良くなって、前向き思考で、「困っている個々の状況」にフォーカスが当たって、解決が早くなるような気がする。
 メディアが政治批判をとりあげる時間があるのなら、被災者の現場現場に入って行って、起こっていること、苦しんでいることを仔細に伝えるほうが大事な時期ではないかと考える。

しっかり対応できてないじゃないかと他人を批判するには、今は「自分は何ができているか」を問わないといけない。メディア自身も自省して、菅さんを批判する人を取材するという楽な取材行為だけでなく、被災地の現場を足で、起こっている問題を掘り起こしてきて欲しい。
 そして、いいことは誰がしていいと評価する「まともな、大人な態度」をしたらいい。

テレビの報道番組でもコメンテーターは、ただただ今の政治を批判するという「楽」な方向に陥りやすい。同じ論調を異口同音に話すなら、複数のコメンテーターはいらない。

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