アップル社発表から読み解く、IDFAとアプリトラッキングのこれから
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毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2020年7月2日
- タイトル:アップル社発表から読み解く、IDFAとアプリトラッキングのこれから
- 発表者:データサイン代表取締役 太田祐一
IDFA(Identifier for Advertiser)は利用者の同意が不可欠に
2020年6月22日(米国時間)から5日間にわたり、オンライン開催されたアップルの年次イベント、WWDC20(ワールドワイドデベロッパカンファレンス、世界開発者会議)では、今年9月に正式版がリリースされるiOS14などに適用されるプライバシー保護関連のポリシーや新技術が発表されました。データサイン代表取締役の太田祐一はそれらが日本の広告業界やアドネットワークに与えるインパクトに注目しています。
WWDC20では、利用者のプライバシーに配慮したアプリ開発を支援するため、「On-device processing」「Data Minimization」「Security Protection」「Transparency & Control」という4つの柱からなる施策が発表されました。iOS14の開発者向けβ版では、iPhoneから発信される位置情報をピンポイントに特定されないように粗い範囲で表示する設定のほか、iPhone付属のカメラやマイクが録画・録音していることを利用者に明示する機能が追加されました。ランチタイムトークで太田は、Safariブラウザに搭載されたITP(Intelligent Tracking Prevention)機能の強化や、プライバシーポリシー(プラポリ)の表示方法の統一化にも触れました。
特に、太田が注目するのが、「AppTrackingTransparency」という開発フレームワークです。
アップルでは、iPhoneなどの端末を識別するID(識別子)を付与する、SDK(ソフトウェア開発キット)を提供してきました。このアップル独自のIDはIDFA(Identifier for Advertiser)と呼ばれ、例えば「25FB3191-C9C3-4094-A8F9-7EB67469C631」のように端末ごとに異なる文字列が割り振られます。広告主や広告代理店、データ仲介事業者などは、IDFAを用いることで広告を見た利用者の属性把握や効果測定に活用し、利用者に最適な広告を表示する施策を講じます。
「IDFAは端末ごとに一意に定まっています。一度取得すれば、それをキーに異なるサイトを閲覧する利用者の行動履歴データ、別の広告主が有するデータを組み合わせた利用者の名寄せが容易に行えます。Cookieの利用制限よりもはるかにプライバシーインパクトは高いと言えます」(太田)
しかし、このIFDAの仕様がiOS14、iPadOS14、tvOS14からは大幅に変更されるとWWDC20で発表されました。利用者の同意がなければ広告主側はIDFAを取得できなくなります。iOS14以前の端末ではIDFAがすべてnull値で取り扱われます。データの扱いに関する透明性を高め、利用者側がコントロールできるようにするための施策です。
同意不要のIDFV(Identifier for Vender)は改修作業がネック
iOS14以降、どれだけの利用者がIDFAの取得に同意をするのかは未知数ですが、アップルからはIDFAに代わって、新たにIDFV(ID for Vender)を付与するSDKが提供されることになりました。IDFVは、アプリを提供する事業者ごとに個別に発行される利用者識別IDです。他事業者との横断的な名寄せは仕様上できませんが、IDFVの取得に利用者の同意は不要です…
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