動画広告の種類と活用方法 ~はじめての動画広告から学んだ成功のポイント~

動画広告の種類と活用方法 ~はじめての動画広告から学んだ成功のポイント~
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[転載元]動画広告の種類と活用方法|DML

筆者が所属する株式会社マクロミルで初めて動画広告を実施した時の事例(成功と失敗談)と、その時に感じた動画というクリエイティブならではの活用方法や注意点についてです。実際の配信結果についても公開します。また、動画広告の種類や特徴についてもまとめています。

動画広告の種類と特徴

2種類の動画広告

動画広告には2種類あります。まずはこの違いを押さえておきましょう。

  • プリロール型動画広告
  • Youtubeなどの動画サイトで配信されるタイプの広告。ユーザーが視聴する動画コンテンツの前に再生されるタイプの広告で、音声がデフォルトでON。こちらのタイプが主流。

  • インディスプレイ型動画広告
  • 従来のバナー枠に配信されるタイプの動画広告。基本的に音声はデフォルトでOFF。多くの場合、DSPなどでプログラマティックに配信される。

「プリロール型動画広告」の特徴

「映像」「音声」「文字」を使い、さらに「大画面」で、商品やサービスの魅力を効果的にユーザーに伝えることができます。CPV課金(広告視聴単価課金)方式がとられる場合が多く、例えば、YoutubのTrueView動画広告は“完全視聴単価”方式が採用されており、広告がスキップされたり、途中でブラウザを閉じたりして、広告の視聴が中断された場合は課金されません。広告が最後まで再生された場合のみ課金されるので、 広告投資のリスクが抑えられます。

従来のリスティング広告やディスプレイ広告では、CPC(クリックあたりコスト)やCPM(1,000回インプレッションあたりコスト)が使用されていましたが、動画広告の場合は、“視聴”させることが重要なので、この課金形態がとられることもあります。

「コンパニオンバナー」と呼ばれるバナー広告を、動画広告が再生されるページに掲載できるオプションがある媒体もあります。また、動画対応のDSPを利用することで、プログラマティックに複数の動画サイトに広告配信することもできます。 その場合は、従来のディスプレイ広告と同様にCPM課金の場合が多いです。

「インディスプレイ型動画広告」の特徴

DSPなどで、動画サイト以外の広告枠に配信できます。動画サイトの利用が少ないユーザーに対しても、従来のディスプレイ広告と同様に「リターゲティング」や「オーディエンスターゲティング」などでターゲティングして配信できます。つまり、リーチ(在庫量)とターゲティングが特徴です。

マウスオーバーで拡大するなど、インタラクティブな設定を行えるDSPもあります。ただし、動画のサイズによって配信費が変動する場合も多く、CPMは静止画の数倍~数十倍となります。

弊社の動画広告の事例(成功のポイントと失敗体験)

動画コンテンツ制作とランディングページの準備

※この事例は「ad:tech tokyo 2013」の株式会社オムニバス様のセッションでお話しした内容で、プリロール型動画広告の事例です。

今回、動画というクリエイティブの特徴から、直接的な訴求よりも、“視聴”に適したブランドイメージを重視した動画を制作しました。制作予算はそんなに無かったので、社員に頼み込んで出演してもらいました。

制作動画を見る

さて、気合入れて動画を作ったものの、今までやっていた直接訴求型のディスプレイ広告用LPだと全然広告とトーンが合わなかったので、ブランド寄りの新しいランディングページの制作することにしました。

ブランド、ブランディングという言葉は少し曖昧なので、意味を定義しておくと、「商品やサービスを買ってもらう」ではなく、「商品やサービス、さらにはそれを提供している企業のことを“好きになってもらう”」と筆者は解釈しています。

画像を見る:LPのビフォーアフター

制作したランディングページはこちら

配信結果 サイトアクセス数

動画広告配信後、ページビュー(ランディングページ含むサイト全体)が大幅に上昇しました。具体的な数値は明かせませんが、もともと数十万PV/日あるサイトが、数百万PV/日規模になりました。指名検索によるサイト流入が大幅に増えたことが要因でしたので、動画広告視聴後の検索が相当数あったのだと考えています。

画像を見る:動画配信後のページビュー推移

最低な失敗!予想しきれていなかった検索流入からの離脱

ディスプレイ広告の経験から、動画広告でもクリックよりも“動画視聴後の検索”が重要だと分かっていたつもりだったのですが、結果からお伝えすると失敗してしまいました。

今回、前述のとおり動画に合わせたランディングページを作成しました。広告をクリックしたユーザーは、今回作成した動画広告用のLPに辿り着き、こちらが描いたストーリー通りの行動をしてくれました。ただし、動画広告視聴者の大半がクリックしないユーザーです。クリックしないユーザーでも、広告に興味を持ったユーザーは検索して、探そうとします。

検索に使用したキーワードは、おそらく動画に常時表示していた「社名」だったでしょう。しかし!社名で検索した場合、ランディングページは検索結果に上がってきません。検索結果の1位に表示されるのはいつものトップページです。さらに、トップページには動画用LPの導線は何もありません。

こんなことから、せっかく通常の数倍のアクセスを動画広告によって獲得できたにも関わらず、動画広告と検索流入したトップページのイメージのギャップをユーザーに感じさせてしまい、90%以上を直帰させてしまう結果となりました。

気合を入れて、「今までの企業イメージとは違う動画をつくろう!」と制作したコンテンツだけに、この影響は非常に大きかったです。

画像を見る:動画視聴後の導線

動画広告視聴後の導線を改善

上記のような“検索流入からの離脱”を防ぐために、2つの施策を実施しました。1つは、動画に常時表示している検索ボックスの中のワードを「動画広告用LPが1位表示されるワードに変更」、もう1つは「社名検索で1位表示されるトップページに動画用LPへの導線追加」です。

画像を見る:動画視聴後の導線を改善

画像を見る:キービジュアルに動画広告用LPへの導線追加

これにより、離脱率を大幅に下げることができました。気づいたのが早くて本当に良かったです。
いい失敗経験になりました・・・

「配信サイト精査」により、さらに費用対効果が改善!

今回、動画DSPを用いて多数の動画サイトにプリロール型の動画広告を配信しました。広告配信後しばらくして、サイト精査(効果の悪いサイトの配信を人の目でチェックして配信を止める)を実施してもらいました。

リンク先のグラフをご覧ください。サイト精査を実施した9/11以降、動画のインプレッションは急激に落ちていますが、サイト訪問数への影響は軽微です。

動画広告のインプレッションとサイト訪問数

何が言いたいかと言うと、動画DSPを利用した場合、多くのメディアに配信できることが魅力ですが、中には効果の悪いサイトも多く含まれる場合があります。地道ですが、こういった“人の目のチェック”というのも大事だということです。実際にこの方法で、サイト訪問数を確保しながら、広告コストをかなり抑えられました。

コスト検証 動画広告と静止画広告の比較

事例の最後に、弊社の動画広告と静止画広告のコスト検証結果をお見せします。

クリエイティブに差がありすぎるので一概には言えませんが、それでも動画広告の方がクリックされやすいと言えると思います。実際に静止画のクリエイティブは何パターンも作っていますが、ここまでのクリック率が出たものはなかったので。

ただ、動画広告の効果指標として、Web特有の「CTR」「CVR」「CPA」だけを見ていくのは、違和感があると感じています。プリロール型の動画広告を実際に使ってみて、TVCMに近いような印象を受けました。

なので、定量的な指標としては今までの静止画の広告にはなかった「視聴単価」や「リーチ単価」、さらには定性的な評価指標も必要になってくると思います。詳しくは「動画広告の課題とこれから」で後述しております。

画像を見る:動画広告と静止画広告の比較(コスト検証)

動画広告の課題とこれから

普及が遅れる日本の動画広告

Webマーケティングの業界では、「だいたいアメリカの2~3年遅れで同じものが日本で普及する」と言われていますが、動画広告については、もう5年以上遅れています。

まず、分かりやすいのが「動画制作に関するコストとリソース面(広告主側)」。動画コンテンツの制作にはコストも時間もかかります。TVCMを制作した経験がある大手ならまだしも、今までリスティング広告やバナー広告の経験しかない中小企業が動画広告に踏み切るには、「配信」の前に「制作」という壁があります。

また、大手であっても日本独自の著作権構造の複雑さから、今までTVで利用してきたコンテンツをそのままWebで利用することが難しいといった問題もあるかと思います(現在は改善されてきている)。

次に、広告主が動画広告の効果を「今までのWeb広告と同じ土俵で考えてしまったこと」です。つまりは直接CVやCPAのみによる評価。動画広告は今までのWeb広告とは位置づけが異なります。これが得意とするところはブランディングであり、その効果を正当に評価し、広告主を納得させるブランディング指標を用意できていなかった広告媒体社や広告代理店など販売サイドの課題だと思っています。

動画広告の価値と、ブランディング指標の重要性

動画広告は“今までのWeb広告になかった新しい価値”を広告主に提供してくれます。その新しい価値、「ブランディング」というものを販売サイドが広告主に対して説明できるかが重要なポイントとなってきます。

「なぜ多くのブランド広告主がTVCMに出稿するのか?」
広告効果が高いことを知っているからです。動画広告の位置づけを理解し、ブランディングというものの重要性を理解してるブランド広告主の動画広告へのバジェットシフトは今後加速していくでしょう。年間、数億~数十億の予算をTVCMに投下する広告主は、市場調査会社などを通じて、これを評価する方法を持ち合わせているのです。

一方、このようなブランディング広告の経験がない広告主は、販売サイドがブランディング指標(KPI指標)を明確に提示できないと、動画広告の普及は難しいでしょう。この指標というのが難しく、これを正確に計測するには、Webで自動的に計測できるような指標以外にも広告視聴者への「リサーチ」が必要になります。

別に自分が所属している調査会社を宣伝しているわけではありません。むしろ、力不足だと感じています。現在の調査会社の数十~数百万のサービスでは、結局のところ、「動画広告はブランド広告主のもの」という結論になってしまいます。

広告主でありながら、市場調査会社というプレーヤーサイドに近い立場の身としては、頭を悩ませるところです。

広告主として、動画広告への期待

2013年現在、日本ではやっと動き始めたという印象の動画広告ですが、アメリカではその市場性は明らかになっており、2016年には90億ドルを超えるという予測も出ています。国内においても、動画サイトの利用ユーザーは全インターネットユーザーの半数を超え、特に若年層を中心にその利用は現在も拡大しています。

マルチデバイス化を背景に、TVからWebへのユーザーの“時間”のシフトは確実に起きています。この時代のブランディング手法として、個人的に動画広告には大きな期待を寄せています。良いコンテンツを作れば、ソーシャルメディアで話題になり付加価値を生むことだってあるし、TVCMの数十分の1の予算で実施できる。

ただし、「動画広告はブランド広告主のためだけのものじゃない、断言できる。」

むしろ、今までブランディング広告を打ちたくても打てなかった広告主にとっての好機だと捉えています。ただ、これに踏み切るだけの根拠(期待)が見つからないのと、「ブランディング」という分かりづらいキーワードをどう捉えていいか分からないだけだと思っています。

「甘えてる。」と思われるかもしれませんが、販売サイドの方には、このような広告主のことを決して置いてけぼりにはしないで欲しいのです。

本記事の内容含む、デジタルマーケティングラボの内容をまとめた本を書きました。
『アドテクノロジーの教科書』 概要・目次はこちら

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■デジタルマーケティングラボ(DML)■
http://dmlab.jp/

[運営者]広瀬信輔(株式会社マクロミル/株式会社イノ・コード 所属)
[著 書]『アドテクノロジーの教科書』
[元記事]動画広告の種類と活用方法

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