「読者目線」にコンテンツを近づける5つのポイント【ライター目線のWeb制作⑤】
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ホームページは文章や画像、映像などコンテンツが命です。どんなに美しいデザインや先進のプログラムを使っても、中身が充実していなければ、主役の魅力は伝わりません。雑誌や書籍の編集・執筆をルーツとするライターの私にも、Web制作をお手伝いする機会が増えてきました。ここでは、コンテンツ制作を生業とするライターの目線から、Web制作の現場で役立つ情報を連載します。
コンテンツを「読者目線」に近づける5つのチェックポイント
ビジネスで文章を書くなら、「読者目線」は絶対に外せない概念です。文章に限らず「書き手目線」「発信者目線」で作ったコンテンツは、共感されず、理解すらしてもらえない可能性があります。
しかし、「読者目線」で書き切るのは、とても難しいこと。私も毎日苦労しているのですが、だからこそ見つけられたコツがあります。読者目線に近づくため、私なりに実践していることを、5つのチェックポイントにまとめました。
①「ほどの良い」読者の言葉が使えているか?
まず、気を付けなければいけないのが、読者に理解できる言葉で、文章が作られているか。専門用語だらけのサイトは、知識の浅い読者には理解できません。
ところが、平易な言葉を使えば良いという訳でもありません。知識のある読者に語りかけたい時は、ある程度専門用語を使った方が「自分のための情報だ」と思ってくれます。「ほどの良さ」を見つけるのが、文章の難しいところで、おもしろいところでもあると、日々感じています。
②自分は何者か?
読者に対する自分の立場を、良く考えるようにしています。ここを間違えると相手との距離感が狂い、違和感や不快感を与えてしまうからです。
たとえば、私がこの記事を企画した際、「読者目線のサイトができない5つの理由」といった、ちょっと挑戦的なタイトルが一瞬浮かびました。今のタイトルより目を引くかもしれませんが、すぐに考え直しました。上から目線の物言いが、ふさわしくないと感じたからです。
私は34歳のいちライター。対して、読者には年上の方も多く、ビジネスマンとしても、ずっと多くのキャリアを積まれた方が少なくありません。基本的には、読者と対面して話せない表現は、文章でも使わないように注意するべきだと思っています。ごく当たり前な話ですが、文章になると、そこのハードルが下がってしまう傾向があるようです。
③読者のメリットが語られているか?
商品やサービスを紹介する場合、スペックや機能だけでなく、読者のメリットを訴えるよう心がけています。
たとえば、以下の2つで読者の知りたい情報はどちらでしょうか?
A このゴルフクラブはヘッドにチタン合金を採用しています
B このゴルフクラブを使えば平均で20%飛距離が伸びます
多くの場合はBでしょう。この後に、「実はヘッドにチタン合金使っていて…。チタンは軽く強い素材で…」と続けてはじめて説得力が生まれます。
もちろん時と場合によりますが、仮にこれがバッグなら、
「新素材の化学繊維を採用」<「20%の軽量化に成功」<「通勤中、ひと駅歩きたくなる」
という図式ができます。良くいわれることですが、iPhoneやiPadのCMなどは、生活で起こるイノベーション(=視聴者のメリット)を上手に表現しています。
④ディテールに手抜きがないか?
「取引実績 約1万件の信頼と実績」こんな表現を、Webサイト上でたびたび目にします。ポイントは「約1万件」の箇所。ときと場合にもよりますが、ここは「取引実績 1万192件の信頼と実績(2011年10月1日現在)」と、細かく具体的にした方が、リアリティがぐっと増します。
もちろん、細かな実数を出すのが難しいケースは多々あります。しかし、私は「スケール感が伝われば良いだろう」と安易に結論づけないよう、いつも注意しています。特に数字は読者を説得する大事な要素なので、ディテールまでこだわり抜くべきだと思うのです。
⑤読者の「いつ?」を考える
「読者の気持ちになって書きなさい」。よく言われることですが、顔も名前も分からない人の気持ちになるなんて、雲をつかむような話ではありませんか? 困ったときは、文章を読んでもらうタイミングを想定するのが、私なりの対策法です。
たとえば、私が尊敬するサッカーの三浦知良選手について書く場合。読者はカズさんのことを知る前か? 後か? 試合を観る前か? 後か? 好きになる前か? 後か?
読者が、まだカズさんのことを知らないとすれば、紹介から始めた方が良いかもしれません。試合を何度も観ている人なら、あのひたむきなプレーをご存じのはずです。
まだまだあります。文章を読むのが、仕事の前なのか、お腹が空いているときなのか、食後のリラックスタイムなのかetc…。こんな風に、いつ読まれるのかを突き詰めていくと、書き手のふさわしいスタンスが見えてくるのです。
まとめ
もちろん、これさえできれば完ペキに「読者目線」をマスターできるわけではありません。ただ、文章に限らず、サイトの構成や企画を、早く改善するヒントにはなるかと思います。ぜひ、自社のコンテンツを、チェックしてみてください。
■□■筆者・小越建典について■□■
小越建典は雑誌・書籍・単行本で執筆するプロのライターです。Web制作の現場やコンテンツのあり方に問題意識を持ち、情報発信にも努めています。
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