環境・社会課題に対してポジティブな影響を生み出したい「コンシャスライツ」が、ASEANで定着中【博報堂・生活総研アセアン調べ】

博報堂生活総合研究所アセアンが、ASEANに増える新たな生活者層を「コンシャスライツ」と名付けて分析。

博報堂生活総合研究所アセアン(生活総研アセアン)は、アセアン生活者の意識・行動に関する調査・研究の結果を発表した。

「The Rise of Conscious ASEANs~社会・環境に対する 課題意識の高い『コンシャスなアセアン生活者』の実態を探る」をテーマに、「アセアン生活者研究2020」として、ASEAN(東南アジア諸国連合)に属する国々で、定量調査、家庭訪問調査、KOL(Key Opinion Leader)へのインタビューを実施した。

“コンシャス”なライフスタイル、日本はまだまだ少ない取り入れ率

「コンシャス」(conscious)とは、一般的には「意識している」「気付いている」という意味だ。日本の俗語だと“意識高い系”のニュアンスが近い。そしてASEANでは「コンシャスなライフスタイル」 (課題意識の高いライフスタイル)という言葉が認知されている。これは、“自分や周囲の人や社会や自然環境に良い影響があるかを考えて、商品・サービス・企業・ブランドを意識的に選び購入する暮らし方”のことを指す。

まず、「“コンシャスなライフスタイル”を日々の生活に取り入れていますか?」という質問を行ったところ、ASEAN全体では、78%が実際の生活に取り入れていた。言葉は知っているが取り入れていないという12%を加えると、単語の認知は、ほぼ9割に達する。

一方、日本で“コンシャスなライフスタイル”を取り入れている人は、わずか25%。認知も4割と低かった。ただし「ゴミの分別」「リサイクル」などは、実際には“コンシャスなライフスタイル”に当たるため、知らないままに実施してる人は多そうだ。

続く「あなたは日々の生活の中で、どのくらい積極的に“コンシャスな取り組み”を行っていますか?」という質問でも、ASEANの全体平均に比べ、日本の数値は「受動的」が多めで「先導的(行うだけでなく周囲も巻き込む)」は少ない。

“意識高い系”「コンシャスライツ」がアジアで定着、日本もじょじょに追随

なお、コンシャスなライフスタイルを取り入れている人に、「ブランド選択における重視点」を聞くと、「もっと多くのブランドがコンシャスなライフスタイルを提唱し、社会に良い影響を与えるような取り組みをすべきだ」と85%が回答。「『社会に良い影響を与えるかどうか』が別ブランドへ乗り換えるきっかけになる」と82%が回答している。

今回の調査では、このような「日々の行動や消費の際のブランド選択の中で、環境・社会課題に対して ポジティブな影響を生み出したいと考えている、コンシャスなライフスタイルを送る生活者」を「コンシャスライツ(Consciouslites)」と名付けている。

こうしたコンシャスライツに「コンシャスなライフスタイルに関わる商品に対して、一般的な商品と比べ、どの程度多くの金額を支払いますか?」と聞くと、「+10%まで払う」33%、「+20%以上払う」48%としており、計81%が、一般商品より多く払うと回答している。この数字は、日本もほぼ同様だ。

定性調査から見えた“ASEANコンシャスライツ”

ASEAN諸国の生活者やインフルエンサーに、「コンシャスなライフスタイルを始めたきっかけ」を聞くと、「地球全体」「困っている誰か」ではなく、「私や家族」「私たちの国や地域」といった身近な問題として、行動を起こすようになったという回答が多かった。

また「その取り組み方」においても、取り組みを長く続けるため、時間的・心理的な負担にならないような「簡単で楽しい方法」にライトに取り組んでるパターンが多かった。SNSで自身の情報をシェアすることにも熱心だった。

日本でも今後じょじょに、コンシャスライツが増加すると考えられるため、こうした考えは大いに参考になりそうだ。

調査概要

定量調査概要

  • 【調査手法】インターネット調査
  • 【対象地域】タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、シンガポール、フィリピン、日本
  • 【対象者】20歳~49歳の男女4,500人(各地域600人、タイのみ900人)
  • 【実査時期:2019年8月~9月

定性調査概要

  • 【調査手法】コンシャスなアセアン生活者への家庭訪問調査
  • 【対象地域】タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、シンガポール、フィリピン
  • 【サンプル数】総計24サンプル(各国4名)
  • 【実査時期】2019年8月~9月
  • 【調査手法】KOL(Key Opinion Leader)へのインタビュー調査
  • 【対象地域】タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、シンガポール、フィリピン
  • 【対象】環境や社会課題についての活動を行い、ソーシャルメディアで情報発信しているインフルエンサー
  • 【サンプル数】総計12サンプル(各国2名)
  • 【実査時期】2019年8月~9月
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