日本のCEOは圧倒的に悲観的! 「世界経済の成長は減速する」68%「自社の成長に自信あり」11%【PwC調べ】
PwC Japanグループは、「第23回世界CEO意識調査」の調査結果を発表した。PwCグローバルが発表した調査から、日本企業のCEOの回答に焦点を当て、世界全体や他地域と比較を行った内容だ。
日本のCEO、「世界経済の成長予測」にも「自社の成長予測」にも世界でもっともネガティブ
この調査では、まず、「今後12か月の世界経済の成長」を予測してもらった。これに対しては世界全体のCEOも日本のCEOも「減速する」との回答が主流。調査時期(2019年9月~10月)は、イギリスのEU離脱問題のほか、現在に繋がる中東の不安定な情勢もあり、それらが懸念された模様だ。
特に日本のCEOは、2019年調査(前回)の27%から「減速する」の回答が68%まで上昇し、世界的にもっとも高い数値を示した。逆に「改善する」と回答した日本のCEOは12%で、2019年の33%より21ポイントも下降している。世界情勢に加え、国内の状況を楽観視していない様子がうかがえる。なお海外を見ると、中国のCEOのみ「改善する」が伸びており、84%が「改善する」と強気のポジティブ予想を回答している。
あわせて「今後12か月間の自社の成長」についても聞いたが、「非常に自信がある」と回答した日本のCEOは11%。2019年の19%よりさらに低下し、主要国のなかで最低値を示している。
自社の成長にとって重要な国、日本のCEOは「中国」が「米国」を上回る
世界経済の影響を見るため、「自社の成長にとって重要な国」を聞くと、日本のCEOは「中国」70%、「米国」67%と回答。このツートップは変わらなかったが、2019年の「タイ」20%に代わり、新たに「ベトナム」21%が3位にランクインした。なお世界全体でも、1位「米国」30%、2位「中国」29%が上位で、今後12か月の短期予想ながら、米中の経済圏が重要なのはワールドワイドでも変わらない。
一方で「自社の成長見通しに対する脅威」を聞くと、世界のCEOは「過剰な規制」36%をあげている一方、日本のCEOは「鍵となる人材の獲得」53%を最優先とした。以下、日本のCEOは「技術変化のスピード」47%、「貿易摩擦」「不透明な経済見通し」ともに45%を、脅威としてあげている。貿易摩擦よりも人材難に悩む国内事情が浮き彫りになったと言えるだろう。
また、「テクノロジー領域における政府による規制」に対し、世界全体の約7割のCEOが、「政府は民間部門にインターネット(ソーシャルメディアを含む)コンテンツを規制するよう強制する法令を次第に導入する」「政府は支配的な技術企業を解体するために、競争法/独占禁止法を次第に導入する」と考えている一方、日本のCEOの約半数は、「政府はほとんどの場合、民間部門がインターネット(ソーシャルメディアを含む)のコンテンツを自主規制することを許可し続ける」と楽観的に予測していた。これはあくまで予測であり、国ごとの事情により異なるが、世界的な予測とほぼ真逆であることは、留意すべきだろう。
また「従業員のスキルアップに対する取り組み」においても、「自社のスキルアップに関するプログラムの導入進捗」では、世界全体(18%)、中国(35%)、米国(8%)が「大きく進展している」と回答する一方で、日本のCEOは2%。そして「直面している重要な課題」でも、世界全体が「すでに必要なスキルを獲得している従業員の定着」15%、「必要なスキルアッププログラムを実施するための資源の不足」14%、「将来必要とされる新しいスキルを学ぶ従業員の能力」14%を満遍なくあげている一方で、日本のCEOは「従業員の学習とその活用意欲を高める施策」40%と“意欲の問題”とする施策に数字が集中するなど、乖離があることが懸念される。
調査概要
※売上高別(全世界):10億米ドル以上の企業のCEO 46%、1億~10億未満の企業のCEO 35%、1億米ドル未満の企業のCEO 15%、非上場企業のCEO 55%。
※売上高別(日本):10億米ドル以上の企業のCEO 54%、1億~10億未満の企業のCEO 42%、1億米ドル未満の企業のCEO 1%、非上場企業のCEO 55%。
- 【調査対象】全世界83か国のCEO(各国のGDP加重で算出)
- 【調査方法】電話(7%)、オンライン(88%)、郵送または面談(5%)
- 【調査期間】2019年9月~10月
- 【回答者数】全世界1,581名。うち日本は139名。
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