デジタルによる「仕事の自動化」、日本は無関心な人が主流。年齢が上がるほど危機感が低い【PwC調べ】
PwC Japanは、「デジタル化にともなう意識の変化」について調査した結果を発表した。デジタル化によって到来しつつある「新たな世界」で必要になる「新たなスキル」について、日本および各国の社会人がその変化をどのように捉えているのかを分析している。
その結果、日本の社会人においては、おおむね以下の4つの傾向が見られたという。
- 自動化に対して無関心で、健全な危機感が低い。
- 他国と比較しても、自動化に対する危機感は相対的に低い。
- テクノロジーの発展による影響に対してはポジティブ。高学歴であるほどその傾向が強い。
- 7割が新たなスキルの習得を行っていない。
日本は自動化に対して無関心? 「仕事に影響する」という危機感が低い
AIや機械学習により、デジタル領域では今後さらに「自動化」が進むと考えられている。こうした自動化は、自身の仕事や職にも影響が出るはずだ。
そこで「自動化が職場に与える影響は機会かリスクか」と聞くと、「どちらともいえない」「わからない」の合計が58%を占めた。理解して態度保留なのか、理解していないのか、理解する気がないのか、いずれにしても鈍い反応だ。一方で「機会」として捉えている回答者は全体で27%だが、学歴が高くなるほど増加する傾向がある。資格の有無だと、技術関係の資格を持っている人ほど「機会」として捉えているようだ。
「自動化が自分の仕事を危険にさらすと心配しているか」と聞くと、「感じていない/まったく感じていない」47%で、「強く感じている/感じている」20%を大きく上回る。年齢別では老年層ほど危機感が下がる。自動化への関心が低いことも含め、PwC Japanは「健全な危機感が薄いようにも捉えられる」と指摘している。
なお日本以外の諸外国の傾向を見ると、全体の53%の人が「自動化によって自分の仕事がなくなったり大幅に変わる可能性がある」と考えている。とくに中国は89%、インドは82%と高かった。一方で日本は「可能性が高い/ややある」は30%。「可能性が全くない/あまりない」37%を下回っている。
テクノロジーの進化は楽しみだが、あまり自分に関係のない話? 新スキル習得も会社・政府まかせ
続いて「自動化」ではなく、広く「将来のテクノロジー」が自分の仕事に与える影響に対する感じ方を聞いた。
「非常に楽しみだ」「楽観視している」「興味ない」「心配している」「恐怖を感じる」という5段階で聞くと、全体では「非常に楽しみだ」13%、「楽観視している」33%、「興味ない」37%、「心配している」15%、「恐怖を感じる」2%となった。「テクノロジー」の進化については、「自動化」ほど心配・恐怖は感じていないようだ。年齢別・学歴別でも大きな偏りや傾向は見られない。
そこで、デジタルテクノロジーの影響を「楽しみ」「楽観視している」理由、「心配」「恐怖を感じる」理由をそれぞれの回答者に聞いた。その結果、ポジティブ派は「もっと仕事が効率よくこなせるようになりそうだから」が最多、ネガティブ派は「将来がどうなるかわからないから」が最多だった。
「楽しみ」「楽観視している」理由については“仕事の効率化”が多く、“仕事が面白くなる”“趣味の時間が増える”といった回答は相対的に少ない。一方「心配」「恐怖を感じる」理由については、“漠然とした不安”が多く、“適切なスキルがない”などは少ない。
ここでもPwC Japanは「新たなスキルの獲得に対する不安感が低い点から危機感の低さもうかがえる」と指摘している。なお、「テクノロジーが自分の仕事に対して起こす変化の方向性」は、全体の66%が「改善する」と考えており、ポジティブに捉えられている。
実際、デジタル化が進むにつれ、新しいスキルの習得が重要になるが、全体の73%が、現時点では新しいスキルの習得をしていない。また「人々のデジタルスキル向上支援の責任者」について聞くと、「事業主/企業」41%がもっとも多く、「政府」21%も多い一方で、「個人」とした人は16%にとどまった。テクノロジーの進化には楽観的だが、そのための新しいスキルの習得はまだまだ不十分なようだ。
調査概要(日本)
- 【調査対象】日本国内に居住する18歳以上の社会人男女
- 【選出方法】労働力調査(2019年9月)の就業者の性別・年代別構成比に基づき割り付け
- 【調査時期】2019年11月
- 【有効回答数】2,048名
調査概要(グローバル)
- 【調査対象】11カ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、オランダ、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、英国、米国)の18歳以上
- 【調査時期】2019年7月
- 【有効回答数】22,094名(少なくとも2000サンプル/国)
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