新入社員の組織への帰属要因、待遇や環境など「個人志向」を企業に求める傾向に【LINK&M調べ】

“待遇”“環境”など“個人志向”が期待度上位に、企業は“組織志向”を醸成する努力を。

リンクアンドモチベーションは、ワークモチベーションに関する「2019年度 新入社員意識調査」の結果を発表した。「新入社員の組織への帰属要因を、入社時に調査することによって、望ましい採用のあり方を探る」という目的のもと、2019年の新入社員567名に対してアンケート調査を実施した。

組織への帰属要因、「期待度」高「満足度」低と「期待度」低「満足度」高に2極化

この調査では、同社が独自設定した“組織への帰属要因となる4因子”をベースとする全64項目について、「どのくらい求めているか(=期待度)」「どのくらい満足しているか(=満足度)」を5段階で回答。各項目のスコアおよび期待度×満足度の2軸で整理した同社の「4eyes Windows」で分析した。

 

その結果、「期待度」が高く「満足度」が低いエリア、そして「期待度」が低く「満足度」が高いエリアに集まる、右肩下がりの分布になった。「期待度」が高く「満足度」が低い“ICE BLOCK”エリアには、「経済報酬」「制度環境」「施設環境」「人材・共感性」などが入っている。「期待度」が低く「満足度」が高い“IDLE LINE”エリアには、「企業認知」「社会的意義」「感情報酬」などが入っている。

 

項目別でもっとも期待度が高かったのは、「経済報酬:休暇や休日の取得状況」(4.40)で、以下「経済報酬」:家賃など補助手当」(4.29)、「開放的風土:風通しの良さ」(4.29)が続く。もっとも低かったのは「企業認知:歴史や伝統」(3.02)で、以下「制度環境:実力主義の評価制度」(3.26)、「社会的意義:グローバル展開」(3.32)が続く。全体的に“待遇”“環境”などの個人的な要素が上位で、“認知”“評価”といった組織的な要素は低い。

 

企業に求められるのは“組織志向”を醸成する努力

ただしこうした傾向は近年、新入社員に限らず既存社員にも広がっている。既存社員に対する同様の調査(従業員エンゲージメント調査)を過去5年分抽出した結果、既存社員の“組織志向”も低下しているという。

 

そのため、組織側からの教育による変容は期待しにくい。したがって、自組織の「共通の目的」を採用段階から新入社員とすり合わせていくなど、“組織志向”を醸成する努力が、企業側にも必要だと、リンクアンドモチベーションでは考察している。

調査概要

  • 【調査内容】新入社員の組織への帰属要因
  • 【調査対象】2019年度の新入社員
  • 【調査時期】2019年4月
  • 【回答者数】567名(男性283名・女性284名、理系113名・文系454名)
  • 【調査方法】リンクアンドモチベーションが提供する新入社員研修を実施した企業から、新入社員に任意でWeb回答形式にて実施(全132問)
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