日本企業はデジタルマーケティングの「組織体制」「スキル」が課題/アドビが308名のリーダーを調査
日本のマーケティングリーダー(CMO)は、デジタルマーケティングの意識や実態で、APAC(アジア太平洋地域)の平均を下回る、特に「組織体制」や「スキル」の面で。
アドビ システムズは、日本とAPACのマーケティングリーダーに対して行った調査結果を、11月19日の報道機関向け説明会「アジア地域企業308社、デジタル時代の企業マーケティング活動を実態調査」で発表した。
調査は昨年より香港・韓国・中国・オーストラリア・インド・シンガポールで行っていたもので、今年初めて日本を加えての調査を行った。
デジタルマーケティングに携わるリーダーを対象に調査しており、今回はCMOカウンシル会員を含む308名が調査対象。日本ではまだ「CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)」という役職がまだ定着していない原因などを探るために行っている。
今回の調査結果で顕著なのは、「意識は進んでいるが、実践が進んでいない」こと。
「デジタルマーケティングは自社の競争力を高めるものである」が日本で91%、APAC平均で94%(日本を除く)、「顧客の好みやデジタルへの依存がデジタルマーケティングの導入を促進すると確信している」ではAPAC平均の68%に対して日本が71%と上回るように、意識はしっかりしている。
それに対して、「経営層にデジタルマーケティングを推進するリーダーがいる」がAPACでは38%なのに対して日本では0%、さらにマーケティングスキルにおいても日本はすべての項目で値が低いなど、実践面での遅れが目立つ。
デジタルマーケティングに関して営業部門や情報システム部門が「理解」「サポート」してくれているかという点では、協力してくれているという回答が「営業」が22%(APACでは23%)、「情報システム」は9%(APACで15%)と、組織としての全体の動きに関しても、比較的遅れているという結果が出ている。
デジタルマーケティング活動の効果測定などがうまくできない理由として挙げられているのは、「予算や人的リソースが不足している」(70%)や「スタッフのスキルが不足している」(60%)といったものだった。
日本のマーケティングリーダーに関しては、「自分たちではできていると思っているが、実際には適切にアクションができていない」傾向が見られたのも興味深い。
「デジタルマーケティングの状況として最も当てはまる内容を教えてください」という問いへの回答として「高度に発展しており、業界のリーダーである」などの回答が日本ではAPAC平均よりも高く「自社はしっかりとやっている」という認識をしているものの、実践面での調査結果を見ると実際には進んでおらず、また費用対効果を測定・評価する能力に関しても高くないという結果が出ていたのだ。
「また、パートナーのデジタルマーケティングの戦略・実践・計測などの結果やスキルに非常に満足している」と回答したのは日本では0%だった(APAC平均では12%)。
アドビではこうした調査結果をうけ、
デジタルマーケティングの取り組みについて、経営ごととして組織改革を含めて危機感をもって取り組む必要性がある。
従来の「広告」という考え方・組織・やり方を超えた、内部・外部を含む新たな組織レベルでの取り組みが必要。
とした提言で「意識を変えるべきである」としたうえで、従来のマーケティング手法では成しえなかった「データ」を活用したデジタルマーケティングの価値を訴求し、ビジネスを伸ばす「次世代マーケティング」を促進していくとしている。
調査概要
調査名: Adobe APAC Digital Marketing Performance Dashboard 2013
調査期間: 2013年9月19日~11月1日
調査方法: インターネットおよび一部電話による聞き取り調査
有効回答数: 308名、内訳は、日本32名、オーストラリア47名、韓国32名、中国29名、香港34名、シンガポール45名、インド43名、その他の国46名(インドネシア、タイ、ベトナム、台湾、フィリピン、ニュージーランド、マレーシア)
参考までに、同時に発表されたAPACの調査結果も示しておく。
今後の企業利益を左右する次世代マーケティングおいて、日本企業の遅れが浮き彫りに(アドビ システムズのニュースリリース)
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