若年層を中心にユーザー数が増加しているSNS「BeReal.」は“ありのまま”の瞬間を共有するというコンセプトがあります。SNSには珍しいこの独自のコンセプトが、Z世代の若年層を中心に支持されています。
企業と消費者の新たなコミュニケーションの場として、企業アカウントや広告での活用も広がりを見せています。若年層との距離を縮める手段として関心を寄せながらも、実際にどのように取り組めばよいか踏み出せていない企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、BeRealの特徴や他SNSとの違い、国内外の成功事例、そして企業が取り組む際の戦略ポイントを解説します。
なぜ今、企業はBeRealに注目すべきなのか?
企業がBeRealに注目すべき理由は、大きく次の3つがあります。
- SNS利用者の価値観の転換
- 若年層との新しい接点
- マーケティングチャネルの拡大余地
それぞれ詳しく解説します。
理由1SNS利用者の価値観が“演出”から“リアル”へ
近年、SNSでは「映える投稿」よりも「等身大で自然な発信」が支持されるようになっています。BeRealは、加工も予約もできない「2分以内に撮影して投稿」という仕組みにより、まさに“リアルな瞬間”を共有する構造を持っています。
この設計が、若年層の“信頼できる情報源”としての評価を高めているのです。企業にとっては、飾らない発信を通じてブランドの素顔や誠実さを伝えられる新たな場といえます。
理由2若年層との“心理的距離”を縮めるコミュニケーション設計
BeRealのユーザーは20代前半を中心とした若年層です。若年層は広告的メッセージに敏感で、「企業発信=宣伝」と受け止めがちですが、社員や現場の“人”を感じられる投稿には親近感を抱きやすい傾向があります。
BeRealは拡散を目的とせず、少人数でリアルを共有するSNSのため、企業も“一方的に伝える”のではなく“共にいる”感覚で関われます。ブランドが人間らしい側面を見せることで、フォロワーとの距離を自然に縮めることができます。
理由3広告・企業活用の伸びしろが大きい
国内でもBeRealを活用する企業は増えつつあり、次のような企業・スポーツチーム・メディアが活用しています:
- ロート製薬
- eBay(Qoo10)
- よみうりランド
- ソフトバンク
- OCEAN TOKYO(ヘアサロン)
- 関西コレクション
- ベガルタ仙台
- 南葛SC
- CanCam
- 美的 など
2024年には日本市場でもBeRealの広告提供が始まり、企業の参入が本格化しています。参入企業が限られる今だからこそ、“早期参入のメリット”を得やすいタイミングにあります。ブランドの「リアルな存在感」を示すことが、次世代の信頼構築につながるでしょう。
BeRealのアルゴリズムと他SNSとの差別化ポイント
BeRealの最大の特徴は、「拡散性よりもリアルな接触を重視している点」にあります。一般的なSNSでは、“より多くの人に届く投稿”をアルゴリズムの優位に選定するのに対し、BeRealは“いまこの瞬間を誰と共有するか”を中心に設計されています。
そのため、投稿はフォロワー数やハッシュタグではなく、ユーザーの関係性によって表示範囲が決まります。
ポイント1投稿の基本ルール:2分以内に撮影・投稿
BeRealでは、毎日ランダムな時間に通知が届き、ユーザーは2分以内に前面・背面カメラで撮影して投稿します。この「制限時間」が、他のSNSのような加工・演出を排除し、“リアルな瞬間”を切り取る仕組みを支えています。
また、遅れて投稿すると「○分遅れ」と明記されるため、時間軸の“リアル感”が保たれるのも特徴です。
ポイント2投稿が表示される範囲
BeRealでは、投稿が表示される範囲が明確に分かれています。主に次の2つのフィードが存在します(2025年12月時点)。
私の友達
自分が承認した友達の投稿のみが表示される、最もプライベートなフィードです。他のSNSのタイムラインのような無制限な拡散はなく、信頼関係のある人との“日常共有”が中心です。これがBeRealの体験の核であり、「リアルな友達とだけつながる」構造がエンゲージメントの質を高めています。
友達の友達
「友達をつなぐ」設定をオンにすると、自分の投稿が直接の友達だけでなく、その“友達の友達”にも表示されるようになります。これは、InstagramやXのリポストに比べると拡散力は限定的ですが、自然な“セカンドサークル接触”を生み出す仕組みです。
企業アカウントにとっては、ユーザーの反応を通じて新たな接触を得られるため、無理なくブランド認知を広げるチャンスになります。プライバシーを重視するユーザーは設定をオフにすることも可能で、ユーザーコントロールを重視した設計となっています。
ポイント3他SNSとの違い
このように、BeRealのアルゴリズムは「拡散よりも関係性重視」という思想で成り立っています。Xの拡散やInstagramのリール推薦が“多くの人に届く最適化”を目指すのに対し、BeRealは“誰とつながるか”を最適化するSNSです。
そのため、企業がBeRealを活用する際は「数を稼ぐ」よりも、「どんな関係を築くか」「どんな瞬間を共有するか」に焦点を当てることが重要です。“狭く深くつながる”ことを前提としたアルゴリズムによって、ユーザーの信頼感とブランド親近性を育てる構造を持っています。
BeRealマーケティングに向いている企業、向いていない企業
BeRealマーケティングに向いているかは、「運用目的」と「社内体制」によって大きく左右されます。
向いている企業
親近感・共感を育てたいブランド
働く人や制作過程、裏側を見せることがブランド価値につながる企業。
例:スポーツチーム、教育機関、スタートアップ、地域密着ブランドなどオフライン接点を持つ組織
店舗・イベント・リアル体験を日常的に発信できる業種。
例:テーマパーク、ライブイベント、店舗型サービスなど“等身大”がブランド価値に整合する企業
自然体や誠実さを打ち出す企業。社員主体の文化を持つ組織とも相性が良い。
向いていない企業
短期キャンペーンでリーチ量を求める企業
BeRealは拡散設計に不向きで、短期的なKPIを重視する運用には適しません。承認フローが重く即時投稿ができない企業
通知から2分以内に投稿する特性上、現場裁量が必要です。ブランドトーンが厳格で裏側露出が難しい企業
高級ブランドや金融・法務など、イメージ管理が重要な業種では慎重な判断が必要です。SNSをEC誘導だけに活用したい企業
BeRealは“販売促進”よりも“共感形成”に強みを持つSNSです。
BeRealは、企業が“ブランドの素顔”を見せるためのプラットフォームです。日常の中で信頼を積み重ねていく関係性の構築に価値があります。短期的な指標よりも長期的なブランド体験を設計できる企業に向いています。
BeReal公式アカウント運用・広告出稿の成功事例
BeRealでは、企業アカウントの運用・広告活用の両面で成功例が増えています。
企業アカウント事例
日本国内でも複数企業が実験的な運用を開始しています。よみうりランドは遊園地のスタッフがその場で撮影した写真を投稿。ユーザーと“同じ瞬間を共有する”という体験設計が話題を呼びました。フォロワーからは「よみラン行きたすぎる」「よみラン行きます」「(マスコットキャラクターに対し)今日もかわいいね」といった声が寄せられています。
OCEAN TOKYOでは、ヘアサロンの日常やスタッフのオフショットを発信。Instagramでは見せきれない“人”の魅力を伝える場として支持を集めています。
広告事例
BeReal広告では、次のような機能が導入されています:
- アプリ内に自然表示される「インフィード広告」
- 1日限定で大きく表示される「テイクオーバー広告」
いずれも“リアルな投稿体験”を妨げない設計が特徴で、2025年時点では200社超のブランドが国内でキャンペーンを実施済みと報じられています。成功企業に共通するのは、BeRealを「演出する場」ではなく「共有する場」として位置づけている点です。
BeReal公式アカウントを始める人への実践アドバイス
BeRealを新たに始める担当者に向けて、運用のポイントをまとめます。
アドバイス1クリエイティブの考え方
- 舞台裏や制作過程を積極的に発信する。
例:「イベント準備中の様子」「社員同士の雑談」「撮影の裏側」など - 撮影・投稿はシンプルに。構図や照明にこだわりすぎず、“その場の空気”を大切に。
- 社員参加型の運用を設計する。特定部署だけでなく、現場スタッフも投稿できる仕組みを。
アドバイス2運用体制と継続性
- 即時投稿に対応できるよう、承認フローを簡略化する。
- 投稿頻度を週2〜3回など一定に保ち、無理なく継続する。
- 担当者依存を防ぎ、複数人で分担する仕組みを整える。
アドバイス3フォロワー・エンゲージメント拡大
- BeReal独自の「RealMoji(リアルモジ)」機能を活用。ユーザーが表情で反応できる仕組みを促す。
- 広告メニューを活用して初期フォロワーを増やすことを強化。
- 投稿データを分析し、「反応の良いテーマ」「投稿時間帯」などを定期的にレビューする。
アドバイス4公式認証バッジの申請
企業はBeReal公式アカウントとして申請できます。ブランドの信頼性向上につながるため、公式アカウント申請を検討しましょう。
まとめと今後の展望:共感を起点に広がるSNSマーケティングの新潮流
BeRealは“拡散の量”ではなく“接触の質”を重視するプラットフォームです。近年のSNS利用者は「演出された投稿」よりも「企業やブランドのリアルな裏側」を求めています。BeRealはそうした“裏側の透明性”や“ブランドが本気で取り組む熱量”をそのまま伝えられる場です。美しいビジュアルやキャッチコピーではなく、“ブランドの息づかい”をそのまま共有できることこそが、最大の価値といえます。
企業にとっては、早期にBeRealに参入し、社員の声や現場の日常を発信することで、ユーザーとの接点を積み重ね、“親密な関係”を育むことができます。「拡散しないSNS」を「深くつながるSNS」として活用できる企業こそ、これからの時代において生活者の共感と信頼を獲得し、長期的に選ばれるブランドへと進化していくはずです。
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