[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

独立して感じた厳しさとおもしろさとは、30代マーケターのリアル

マーケターコラム、今回は明坂真太郎氏。明坂氏がマーケターとして独立し、1年間で感じたことをまとめた。
明坂真太郎氏

こんにちは、株式会社CHORDの明坂です。

みなさんは今勤めている会社を辞め、独立しようと考えたことはあるでしょうか。私もおよそ1年前、そんなターニングポイントを経験し、独立して仕事を始めて1年ほどたちました。今のところなんとかやっていけてはいますが、やってみて初めてわかることも多いものです。今日はマーケターとして独立し、1年間で感じたことをまとめたいと思います。

あらかじめお伝えしておくと、独立にはあたりまえですが良い側面と大変な側面と両方があります。どういった人には独立のメリットが大きいのか、大変な部分ではどういった対処をするべきか。今後独立を検討する人の参考になれば幸いです。

経歴と独立までの経緯

まず簡単に私の経歴と独立までの経緯を紹介します。新卒でSIer(エスアイヤー)として入社し主にtoC向けWebサービス開発のエンジニアをやり、その後マーケターとしてリクルートやテレビ東京などの大手企業から数十名規模のベンチャーまで、それぞれおよそ3~6年ずつ働きました。副業自体は、テレビ東京で働いていた当時に自分だけのマイクロ法人を作り、そちらで企業のマーケティング支援を請け始めたのがスタートです。

テレビ東京ではマーケティング業務以外にもさまざま携わった

それ以前のリクルートで働いていたころは結構なハードワークで、副業をする体力的余裕もなく、収入にも不満はなく本業のみに集中していました。しかし、転職によって働き方・収入共にマイルドになったため、会社員としての収入と自ら稼ぐ収入の比率を7:3程度にバランスしたいと思うようになりました。

テレビ東京での仕事は、著名なクリエイターや芸能人と多く関わる大変刺激的なもので、映像や広告の制作に関わる機会もあって貴重でした。その一方で、より幅広いマーケティングの経験を積んだり、新たな事業などにチャレンジしていったりという点においてはスピードが遅く、今後のキャリアの選択肢を狭めてしまう不安がありました。その部分を補う意味でも、もう1つ別に、仕事の軸を持っておく必要があると考えました。

最初に当たる壁

独立して最初に大変なことは、やはり自身の稼働を埋めるための営業活動です。雇われていると、極論休んでいても一定収入はありますが、独立すると仕事がなければ無収入。仮に月50万円の業務委託契約を2つで稼働していたとしても、1つが急に今月で終了ですとなると翌月から急に収入は半減します。

最近は量販店などでも、固定費を削減して定常的な売上を確保するため、無人コーナーが多いですね

案件を分けてリスクを分散させるか、多少稼働が空いても問題ないぐらいまで日頃から単価を上げておくしかありません。どれだけ順調に稼働をしていても、常に現在以降の数ヶ月の状況を考慮して、新たな営業先の目星を付けておかなければならないわけです。

私の場合、幸いにも今まで構築してきた関係性や、日頃からSNSなどで情報発信をしていたこともあり、空いているので仕事をくださいと発信をすることをきっかけにご連絡をいただくことがしばしばあります。それでも日々新しい関係の構築をしたり、知人同士で状況の共有を目的に食事したりなどの交流機会を作ることが、独立してからめちゃくちゃ増えました。発信力と営業力、特に懐に入り込むコミュニケーション能力は、なんだかんだ独立するうえで一番重要なスキルなんだなと感じます。

目指すポートフォリオ

独立後最初の数か月は、いろいろな企業と関係性を作るため、比較的小規模またはショートな業務委託をさまざま請け負いました。おそらく、こういった働き方をしないと携わらなかっただろうな、という業界の仕事もあり、新たな経験という観点でも貴重だったと感じます。

自分で営業をして仕事を取っているというと、好きな仕事を選べるとか、嫌な仕事だったら自ら終えられるとかのように、自由度が高いように思われるかもしれません。しかし、少なくとも約束している業務範囲や契約期間においては確実に遂行しないといけないですし、辞めるなら辞めるで、結局新しく別の仕事を持ってこないといけないので、正社員と比べて自由だという感覚はありません。

流れに身を任せていても事態が好転することはあまりない

いずれにしても、この先半年、1年でどのような仕事をするか、そのためにどのようなスキルや関係性を持っておく必要があるか、企業所属のときより更にシビアに考え、行動する必要があります。そういった点では、正社員時代のほうが考えるスパンが長くても良かったので、気楽だったなと今では思います。

一人法人をやっている限り、そして業務委託として他社を支援している限りは、自身が事故などで働けなくなったり、クライアントとの関係性が急に終了したりする可能性があることが懸念点です。

そのような観点から、今は業務委託で足元の売上げを確保しつつ、自社で一定の投資を行い、プロダクト(事業)を作ることに注力しています。今年、来年を通じてサービスインし、安定して収益を上げられるようになれば、自分自身の労働集約モデルから抜け出し、新たなチャレンジや携わりたい業界の仕事により没入していけるのではないかと思い、今から気合を入れています。

独立するか / 企業の中で働き続けるか

独立をする目的は人それぞれあると思います。1つの企業の枠を越えてさまざまな仕事がしたい、年収を数千万にしたい、時間や組織に縛られずに働きたい、自分で事業を立ち上げたい、などなど、独立しないと実現できないことも多いと思います。ただ、自らその環境に身を置いて感じたことは、得られるメリットに対して相応に大変なことも多々あるので、おそらく大半の人は多少不満があっても企業の中で働き続けるほうが良いんだろうなということです。

ときには、先の見えないキャリアの洞窟にハマる方もいると思います

また、前述のような意志や上昇志向を持って独立をして成功する人は、企業に属していても少なからず頭角は現れているだろうと思います。少なくとも、楽をしたいなら雇われていたほうがたぶん楽です。気持ち的にも。

こう書くと、お前は今の状況を後悔しているのか? と思われるかもしれませんが、独立してからの日々の時間感覚は良い意味で速いですし、新たな関係を構築できたり、プロダクト開発のおもしろさを知ったりなど、今の環境でしか得られないものは多々あり、少なくとも今現在で後悔はしていません。

結果として良かったかどうかは、取り組んでいるものが実を結ぶのか、先に体もしくはメンタルが壊れるのか、進んでみないとわかりませんが、自ら選択した限りは、その選択でしか得られない結果を出すつもりです。

最後に改めて、独立を考える際は以下の3点についてぜひご検討ください。

  • 人付き合いがとても重要なので日頃から関係構築や地道な営業活動をすること
  • 過去の経験を擦る労働集約だけでなく、新たなスキル獲得やビジネス作りのバランスをとること
  • 会社を辞める前から上2つを整えておくこと、辞める必要がないなら副業のまま伸ばせるだけ伸ばすこと

というわけで、1年ほど働いたリアルな考えを述べました。今後もしばらくこの状況で動いていく想定ですので、仕事の相談から悩みの相談までなにかあればぜひご相談ください(株式会社CHORD)。

ご意見などはX(旧Twitter)のリプライやDMなどでもお待ちしております(https://twitter.com/dr_akesaka)。

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