「Tポイント」と「Vポイント」が統合し、日本最大級のポイント経済圏へ! サービスの主な変更点4つ
「Tポイント」と「Vポイント」が4月22日に統合し、“新Vポイント”が誕生した。TポイントはTSUTAYAをはじめとした15万5000店舗で買い物によって貯まるポイントであり、VポイントはSMBCグループの各種サービスで貯まる共通のポイントだ。
新Vポイントは会員数が1.54億人(有効ID数)となり、これまでのTポイントの提携先に加え、Visa加盟店でもポイントが貯められる。支払時に三井住友カードを利用すると「買い物ポイント」と「決済ポイント」の両方が貯まる。ポイントは、これまでのTポイントの提携先とVisa加盟店の両方で使うことができる。
両社の統合には、どんな狙いがあるのか。新Vポイントの誕生により、サービスはどう変わるのか。Vポイントを運営するCCCMKホールディングスの本多尚彦氏に聞いた。
そもそも「Tポイント」「Vポイント」とは?
CCCMKホールディングスが運営するTポイントは、2003年に誕生した共通ポイントサービスだ。TSUTAYAをはじめ4500社と提携し、7000万人のアクティブユニークユーザーがいる。
一方、三井住友カードが運営するVポイントは、2020年に誕生したSMBCグループ共通のポイント。三井住友カードやモバイル総合金融サービス「Olive」などにおける決済やその他サービスの利用でポイントが貯まる。決済は世界各国のVisa加盟店で利用でき、1600万人のアクティブユニークユーザーがいる。
新Vポイントは有効なIDとしての会員数は1億5400万人で、2024年3月現在の日本の人口よりも多く、日本最大級の経済圏ができあがる。
「新Vポイント」誕生、サービスはどう変わる?
統合によるサービスの主な変更点は、次の4つだ。
- Vポイント提携先(これまでのTポイント提携先)で買い物をすると、Vポイントが貯まる
- Vポイント提携先(これまでのTポイント提携先)で、三井住友カードで決済するとVポイントがダブル(買い物・決済)で貯まる
- Visa加盟店での買い物でVポイントが貯まる
- 貯めたポイントは、Vポイント提携先(これまでのTポイント提携先)とVisa加盟店の両方で使える
また従来のTポイントアプリとVポイントアプリはアップデート後に、名称・仕様が変更される。
- 「Tポイントアプリ」→「Vポイントアプリ」
- 「Vポイントアプリ」→「VポイントPayアプリ」
2つのアプリは、各社で運営されるが、シームレスに連携ができる仕様となる。
統合したとはいえ、これまで「Tポイント」「Vポイント」のどちらか1つのみを利用していた場合は、今までと変わらず、持っているカードやアプリでVポイントを貯めて使用できる。統合前に貯めていたポイントは消滅せず、自動的にVポイントに移行する。
「Tポイント」「Vポイント」の両方を貯めていた場合は、次の手順を踏むことで、ポイントが合算されるようになる。
- 各スマホアプリをアップデートする
- 2つのポイントのIDを連携する
「新Vポイント」の3つの狙い
ポイント統合の狙いとして、本多氏は次の3つの点に言及した。
- 決済サービスとの連携(Tポイントにとってのメリット)
- 認知度の向上(Vポイントにとってのメリット)
- 利用者の利便性向上
Tポイントの誕生から20年が経過し、共通ポイントサービスが世の中に浸透しました。しかし後発の競合は、決済サービスと紐づいている特徴があります。そこはTポイントとの明確な差異でしょう。
そんな背景からTポイント側には決済サービスと連携したい狙いがあり、一方Vポイント側には認知度を高めたい狙いがありました。両社のニーズを満たし、ユーザーの利便性を高められるとして統合が決まりました(本多氏)
決済サービスのパートナーとしてSMBCグループと協業した背景には、「クレジットカードの用途の広がりに期待がある」と本多氏は言う。
一昔前まで、クレジットカードは航空券やホテル、ブランド製品など主に高額決済時に利用されていました。しかし、QUICPay(クイックペイ)などスマートフォンによる非接触型決済の普及により、コンビニやスーパーマーケットなどの少額決済でもクレジット決済が利用されるようになり、日常使いの浸透が進んでいます(本多氏)
こういった決済が普及している背景には、カードを出さずにスマホで決済できる利便性に加え、高いポイント還元率がある。たとえば三井住友カードの場合、クレジットカード本体のタッチ決済のポイント付与は5%だが、スマホのタッチ決済では7%にアップする。
それもあってか「従来のVポイントはTポイントと比較すると、一人あたりが貯めるポイント数が平均8倍ほど多い」と本多氏は言う。
加盟店への「分析レポート」や「コンサル」がより手厚く
CCCMKホールディングスは提携先に対し、Tポイントの利用データを活用した「データ分析」および「コンサルティング」を提供してきた。さまざまな業界でビジネスを成長させるノウハウを持つ同社の支援は好評で、加盟店とウィンウィン(win-win)の関係性を築いてきたという。
詳細なデータ分析レポートの提供に加え、それを有効活用する方法もお伝えしています。たとえばユーザーをセグメントし、Tポイントアプリ内でクーポンを配布するといったデジタルマーケティング施策の提案。さらにデータを活用した商品開発や出店戦略、棚のレイアウト変更など。
それらを実施した提携先は、成果が出ていますし、当社の分析データや提案を事業戦略の重要な指針としている企業もあります(本多氏)
新Vポイントの誕生によって、CCCMKホールディングスが得られる利用データはより幅広くなり、その分、加盟店への本業支援も手厚くなることが期待されているそうだ。
三井住友カードは高額決済で利用されるケースも多く、国内外の旅行や高級品の買い物などの利用データも捕捉できるようになります。今回の統合により、これまで当社と接点がなかった消費者層へのアプローチも可能になるでしょう(本多氏)
本多氏によると、これまでVポイントを貯めてきた三井住友カードユーザーには20〜30代の比率が高く、若年層のデータ取得もメリットだと考えているそうだ。
日本最大級の経済圏の動きに要注目
最後に、新Vポイントの展望を聞いた。
まず、多くの方にVポイントを貯めてもらうために創業時以上のPRを実施していく予定です。さらにSMBCグループさまと連携して、使えば使うほどお得になるようなサービスをモバイル中心に提供していきます。
新Vポイントのコンセプトは『特定の経済圏にしばられない自由なポイント』であり、当社も三井住友カードさまも特定の経済圏を持っていません。そのため、今後も中立的な立場で提携先の一社一社と向き合っていきます(本多氏)
たとえば、楽天ポイントを提供する楽天では「楽天市場」を、dポイントを提供するNTTドコモは「通信キャリア」の経済圏を持っている。Vポイントが、そうした特定の経済圏を持っていないことも、大手の共通ポイントとの大きな違いかもしれない。
Vポイントでは「ぶいぶい誕生祭」と称して、6月30日までVポイントアプリで合計1億人に最大100万ポイントが当たるキャンペーンや三井住友カードの新規入会でVポイントが大幅還元されるキャンペーンを実施している。今後もさらなる露出拡大が続く予定であり、国内最大級の経済圏の動きに要注目だ。
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