2023年4月に入ってから、GA4のプロパティ作成方法がアップデートされました。新たにプロパティを作成するときに「ビジネス目標を選択」という項目が登場しました。

これまでも「ビジネス情報」を選択する画面はありましたが、これはレポートへの影響はないものでした。極端な話ですが、適当に選択してもレポートには何も影響しません。

新たに登場した「ビジネス目標を選択」はこれまでと違い、選択する項目によってレポート画面が変わってしまうためどのように変わるかを理解して選択する必要があります。

本コラムではレポートの何が変わるのかを解説します。

  1. プロパティの作り方
  2. ビジネス目標を選択
  3. ビジネス目標によるレポートの違い
  4. どのように使っていくか
  5. まとめ

プロパティの作り方

プロパティの作り方は大きくは変わりませんが、作成ステップが1つ増えています。その増えたステップが「ビジネス目標を選択」になります。これまでの「利用目的」が「ビジネス目標」に変わったと捉えてもよいかもしれません。

ビジネス目標を選択

では、ビジネス目標にはどのような項目があるのでしょうか。以下キャプチャのような項目があります。

このように明確なビジネス目標があり、それに沿った項目を選択する必要があります。ここで適当に選択してしまうと、レポート画面に影響を及ぼすことになりますのでビジネス目標を明確にして選択してください。

ビジネス目標によるレポートの違い

ビジネス目標によって、レポートの何が変わるかを解説します。

大きく変わる箇所は左メニューの構成が変わります。

では、それぞれのビジネス目標ごとに見ていきましょう。

■ベースライン レポートの取得

これまでのGA4のメニューと変わりありません。いわばデフォルトと言っていいメニュー構成になります。

なお、このメニュー構成はマーケティングファネルに沿って作られています。

ビジネス/サービスに対する目的や施策、課題等をファネルのどの位置(TOFUやMOFU等)になるかを認識、検討した上で利用する目的となり、汎用性があるレポートとなります。

■見込み顧客の発掘

「発掘」となっているためマーケティングファネルの最上段(TOFU)にあると考えられます。

そのため、メニュー構成が流入やランディングページなど認知系になっています。認知・獲得系の目的であれば、このビジネス目標を選択してよいかと思います。

■オンライン販売の促進

これはeコマースの成果やプロモーションの評価を行うためのメニュー構成となっています。

オンライン販売などの販促系であれば、このビジネス目標を選択してよいかと思います。

■ブランド認知度の向上

ブランド認知であるため、認知目的のキャンペーンやリーチするユーザー像などがあります。

オウンドメディアなどでは各コンテンツ評価も必用となるためページとスクリーンもあります。

■ユーザー行動の調査

ウェブサイトやアプリの回遊状況や成果、イベント計測の設定次第にはなりますが各種マイクロコンバージョンも評価できるメニュー構成となっています。

ファネルの中断(MOFU)にある比較・検討を評価する目的になっていると言えます。

ビジネス目標によってメニュー構成が違うだけでメニュー自体は同じものがあります。

「ベースライン レポートの取得」にあるメニューから、それぞれのビジネス目標に沿ったメニューだけをピックアップして配置しています。

したがって、レポート内容が変わるといったものではありません。

ただし、「概要」レポートだけはそれぞれのビジネス目標に沿って作られているため、ベースライン レポートにある各「概要」レポートとは違っています。

どのように使っていくか

従来のようにとりあえず計測しようではなく、何のために計測するかを明確にしたうえでプロパティを作成する必要が出てきました。とはいえ、昨今のビジネスやサービスは複雑化しており、それに合わせて評価する軸や内容も様々です。

ビジネス目標を選択し、用意されているメニューに沿って見ていけばよいというだけでは足りない可能性も十分に考えられます。

また、上述した各ビジネス目標の説明もメニュー構成から考察した結果となりますので、自社のビジネスに照らすと微妙に差や違和感を持つ可能性もあります。

これは、あくまでもGoogleがビジネス目標に沿ってレコメンドしているメニュー/レポートであり、それで十分というわけではないと考えるとビジネス目標やサービスに応じてレポートをカスタマイズする必要が出てくると思われます。

そのカスタマイズができる機能として「ライブラリ」があります。

ライブラリは左メニューの構成やレポート内容を独自に作ることができる機能です。この機能を使い、ビジネス目標に沿って選択した結果からさらに独自のレポートを作成して使っていくことがよいと考えられます。

例えば「オンライン販売の促進」は販売成果を確認するためのレポートしかありません。広告などの流入別の収益なども評価する必要が出てくることもあります。そういった場合にライブラリを使って、流入用のレポートを独自に作成します。

作成方法について、以下のコラムを参考にしてください。
GA4のレポートをカスタマイズできる「ライブラリ機能」
GA4の「ライブラリ機能」の活用例:チーム独自のコレクション

まとめ

これまでのGoogle アナリティクスは全員が同じレポート構成となっており、何を見るかなどはフォーマット化されていたと言えます。

また、おしなべて数字を見てから何かを判断するといった使い方もあったかと思います。

昨今はサービスが多様化し、それに合わせて評価する方法や内容も変わってきています。だからこそ柔軟性が高い計測項目「イベント」という概念が生まれています。

そのため「何かが計測されているから、とりあえず見る」ではなく、目的や課題を明確にしたうえでそれに沿った計測を行ない、かつレポートも目的に合わせて設定し活用していくという流れになって来ていると考えられます。

この記事を書いた人
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藤田 佳浩
デジタルソリューション事業部
シニアデータソリューションコンサルタント
フロントエンドエンジニアからコンサルタントに転身。培ってきた技術を活かして、設計から実装、データのアウトプットイメージまで一気通貫での提案、サポートを強みとしている。
休日はベランダガーデニング、盆栽、テラリウム、ビオトープと、土と緑をこよなく愛する。
著書