
日々世間を賑わすSNS炎上事件。TwitterやTikTokが発端となって企業のマイナスイメージが拡散されると、株価に影響することも増えてきました。
この記事では、2022年に起きた炎上の傾向をSNSマーケティングの総合代理店である株式会社コムニコの社員が観測・集計し、業界別・カテゴリ別の傾向を探りました。
SNSの炎上リスクに対して、企業がどのような対策をしていくべきか、学んでいきましょう。
※2022年に起きた炎上件数や言及数をまとめたSNS炎上レポートと緊急対応フローなどをまとめた資料は、こちらからダウンロードできます。
>>「2022年 SNS炎上分析レポート」
2022年に起きた炎上事件
2022年に観測されたSNS炎上事件の総数は247件。(前年比119件増)
そのうち、炎上期間に言及された関連キーワードの総数は10,025,819、平均炎上日数は21日となっています。

炎上しても鎮火まで待てばいい?
今回の調査では全体の平均炎上日数が21日となりました。昨年の平均炎上日数が31日でしたから、減少傾向と見えるかもしれません。しかし、あくまで平均値となっており、中には長期間ネガティブな言及が続く「炎上」状態になることもあります。SNS上での炎上で言及数が増加し、社会問題になるなどして繰り返し報道されることや、過去起きた炎上事件と類似した事案が起きた場合に再び思い出されるリスクもあります。
企業にとってブランドイメージの毀損や株価の暴落、不買運動などリスクが大きいため、これまでと変わらずSNS上のリスクは最小限に抑えられるように対策していく必要がありそうです。SNSでの発信や「バズ」と合わせて、リスクに対する事前の対応策も検討しておきましょう。
SNS炎上事件収集基準
ここでは、好意的な内容が拡散する「バズ」ではなく、批判的な言及・引用リツイートが多い「炎上」をピックアップしています。
以下情報を収集するために機械的な収集ではなく、コムニコの社員が目視で収集し、分析を行っています。
- ネットニュースになったもの
- トレンドキーワードになったもの
- エアリプ(空中リプライ・暗に言及しているもの)が多いもの
- 引用リツイートで批判が多いもの
- 批判リプライ・コメントが多いもの
観測した炎上についてはカテゴリ分けした後、ソーシャルリスニングツールを用いて言及数などを割り出しています。
炎上日数については、言及数が炎上前の水準になったことを「鎮火」としています。
なお、いまだ炎上(言及数が増加している)状態の事件もありますが、平均炎上日数については12月までの数値で区切り計測しています。
業界別炎上ランキング
ここで分類している業界は業種分類表(経済産業省)を元に、SNS炎上に多い「芸能」「インフルエンサー」「アニメ・漫画」「雑誌メディア」などを追加し、SNS炎上業界を分類しました。
SNS炎上は個人のユーザーが企業を告発することがありますが、ここでは「より炎上している炎上元業界」について区分し、収集しています。ここでは、言及数を元にランキング化しています。
| 順位 | 業界カテゴリ | 言及数 | 炎上観測件数 |
|
1位 |
飲食サービス業 | 103,152 | 23 |
| 2位 | スポーツ | 95,744 | 5 |
| 3位 | 食料品メーカー | 89,012 | 4 |
| 4位 | インフルエンサー | 67,437 | 23 |
| 5位 | 公務 | 60,821 | 27 |
言及数を軸にみると、「飲食サービス業」や「食料品メーカー」での言及数の伸びが目立ちます。
回転寿司チェーンなどで起きている若年層のチキンレース的な動画投稿による炎上は2023年に入ってからの事件のため、この中には含まれていません。
言及数上位となっている「飲食サービス業」「スポーツ」「食料品メーカー」は、性善説の前提意識があるため、ひとたび炎上事件が起きると言及されやすい傾向があります。2020年に起きたスポーツ選手の不倫騒動でも、長期間に渡って言及され続け1年以上炎上状態となった事件がありました。
観測件数が多い、「芸能」「公務」「インフルエンサー」は、ネットニュース化されやすく、報道によって炎上が顕在化して言及が伸びる傾向がみられました。
インフルエンサー起用は危険?事前のリスク調査を行っておこう
業界別で確認すると、「インフルエンサー」は炎上件数や言及数が多く、リスクが高いのではと心配になった方もいらっしゃるかもしれません。2020年から実施している炎上観測・分析の結果、タレントやインフルエンサーの起用には事前調査でリスクを防ぐことができた可能性が高いことがわかってきました。
コムニコでは、タレント・インフルエンサーの起用やデジタルリスク調査を行っています。SNSマーケティングにおいて、インフルエンサー施策は有効な手段ですので、事前調査の上、リスクを最小限に抑えてアサインしていきましょう。
>>出演者のリスク管理は大丈夫?「タレント・インフルエンサーデジタルリスク調査」についての資料はこちらから
炎上ジャンル別ランキング
炎上ジャンルは、SNSリスクを含めたSNSノウハウを体系的に学べるSNSエキスパート協会が提唱する「炎上さしすせそ」を元にアレンジして選出しています。ここで集計した炎上ジャンルは、「災害」「差別」「思想」「宗教」「政治」「セクシャル」「操作ミス」「熱狂的アンチ」「巻き込まれ炎上」「モラル」「リテラシー」。
ここでは性差別について、「セクシャル」としてカウントしています。また、ここでのカテゴリは炎上理由での区分となっているため、政治家によるSNS炎上であっても、政治的思想を含む炎上でない限りは「政治」としてカウントしていません。
| 順位 | 炎上ジャンル | 言及数 | 炎上観測件数 |
|
1位 |
巻き込まれ炎上 | 108,723 | 15 |
| 2位 | 政治 | 75,547 | 17 |
| 3位 | モラル | 68,720 | 64 |
| 4位 | 熱狂的アンチ | 59,855 | 11 |
| 5位 | セクシャル | 53,488 | 44 |
炎上ジャンルごとに言及数と件数を確認すると、「巻き込まれ炎上」が最も多くなっていました。
「巻き込まれ炎上」とは、実は無関係なのにデマやフェイクニュース、第三者の勘違いなどでマイナスイメージの言及が増加して炎上状態になってしまう事件として集計しています。こうした問題の場合は特に、SNS運用をしていなくても企業名やブランド名での炎上が起きてしまうことがありますし、SNSなどで早急な対応ができない場合は弁明ができず、言及数が伸びてしまうというリスクがあります。
誤投稿による炎上など、ツールを活用するなどで防げる事例とは異なり、どんな企業であっても巻き込まれる可能性があることを念頭においておきましょう。この記事で配布している炎上レポート資料には、SNS炎上に対する緊急対応フローもまとめています。事前に対応フローを作成しておくことで、「もしも」の時に早急な対応を行うことができ、被害を最小限に抑えられるようにしておきましょう。緊急対応フローの作成もご相談ください。
炎上しないための備え
世の中には「炎上マーケティング」という言葉もありますが、一般的に「炎上」して商品の購買やブランドイメージの向上につながることはほとんどありません。「炎上させない」「すぐに鎮火させる」ことが重要です。
特に、土日祝といった休日の炎上は拡大しやすい一方で対応が遅れることが多く、事前の対策が必須です。
ここで、リスクマネジメントのために確認しておきたいサービスをまとめました。
-
SNSリスクマネジメントを学ぶ
一般社団法人SNSエキスパート協会が運営する、SNSの知識、ノウハウを体系的にまとめる検定プログラムを受講し、事前に対応策を学んでおきましょう。
>>SNSエキスパート協会「SNSエキスパート検定」「SNSリスクマネジメント検定」
-
SNS炎上に備えるサービスを利用する
「炎上してしまったら」「災害やシステム障害が起こったら」という「もしも」に備えるサービス。他社動向や対応策の提示も含めて、相談できるプロとしてサポートします。
>>「万が一」にそなえる安心のサービス「SNSセーフティネット」
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投稿承認を行えるツールを利用する
SNS投稿担当者ひとりの考えで行うのではなく、承認機能を使って他者に見てもらうことで差別的な思想や立場の違いによる批判の有無に気づくことができます。投稿の事前予約、承認制をとれるツールの利用を検討しましょう。
こうしたツールを利用することで炎上ジャンル「誤投稿」「モラル」「リテラシー」「差別」などのリスクをおさえることができるでしょう。
>>SNSアカウントの投稿管理ツール「コムニコ マーケティングスイート」
-
SNSマーケティングのプロに前もって相談する
自社のみで運用するのではなく、第三者としてSNSマーケティングのプロに相談することも立派な炎上対策となります。特に自社運用ではリソースが足りないと感じている場合は、確認漏れが発生しやすくなります。SNS動向によるリスク回避などのためにも導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
>>SNS運用・コンサルティングのご相談
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炎上した事件の傾向を確認し、対策する
2022年に起きた炎上事件を分析してレポートを作成しました。炎上の傾向を把握して対策しておきましょう。緊急対応フローもまとめています。
>>2022年に起きたSNS炎上分析レポート
まとめ
2022年に観測されたSNS炎上事件の総数は247件。炎上期間位言及された関連キーワードの総数は10,025,819、平均炎上日数は21日となりました。前年と比較して、SNS炎上件数や言及数は増加し、日常的に炎上事件がおきるようになってきています。
誤投稿など、企業発信が元となった炎上事件は減少しましたが、デマや勘違いによる「巻き込まれ炎上」は増加傾向となっています。
いまや、SNSアカウントを持っていないなど、特にSNSを運用していない場合でも、炎上によって企業イメージの毀損が起こる可能性が十分にあります。企業の広報担当者・マーケティング担当者は引き続き、対策していくべきでしょう。大切なのは、SNS動向を注視して「もしも」の炎上が起きた場合にすぐ対応することです。事前の準備をして、可能な限りリスク回避していけるよう、コムニコがサポートします。
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SNSマーケティングエージェンシー「コムニコ」のSNS研究機関です。有志メンバーが集まってSNSにまつわるさまざまな事象をリサーチしています。
「We Love Social」掲載のオリジナル版はこちら【SNS炎上最新情報】2022年に起きた炎上件数・言及数まとめ2023/02/21
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この記事の筆者
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SNS運用支援ツール開発
コンテンツの作成や効果測定など、SNSアカウントの運用に役立つ支援ツールを提供しています。
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