【レポート】デジタルマーケターズサミット2019 Winter

BIツール「Tableau」で何ができるのか? Excelの限界「100万行」を超えるデータ処理も可能

1億行を超えるデータもTableauではサクサク処理できる。利用者や利用企業の競争力を高められるBIツール。Web担主催セミナー・木田氏のレポート

社内に眠っているデータを、業務効率化にもっと活かせないか? 経営者のそうしたニーズに答える形で、近年「BI(Business Intelligence)」が注目を集めている。

デジタルマーケターズサミット 2019 Winter」に登壇した、『できる100の新法則 Tableau』の著者でもあるプリンシプルの木田氏は、BIについて、「新手のデータ分析手段」ではあるが、これまでのExcelに依存した分析スタイルとは、効率やスピードの面で勝る部分が多いと言い、その理由を解説していった。

株式会社プリンシプル クライアント・ディビジョン 取締役副社長/チーフ・エバンジェリスト 木田和廣氏

BIの真髄は「ビジュアライズ」にあり

木田氏が副社長を務めるプリンシプルは、Webの解析・戦略などを担うコンサルティング会社だ。Googleアナリティクスなどの各種ツールを使って、顧客が求めるデータ収集などを日々サポートしていたが、さらなる精度向上を目指す中で「Tableau(タブロー)」の存在を知ったという。

GoogleアナリティクスはWeb解析ツールだが、対するTableauは「データビジュアライズ」のためのツールで、性格は異なる。2003年創業の米Tableau社によって開発・提供が続けられており、2013年には日本法人が設立されている。あくまで木田氏はTableauの“いちユーザー”なのだが、その惚れ込みぶりは相当なもの。Tableauの解説書を執筆するほか、講演の機会も多い。

木田氏とTableauの関わり

さてTableauは、いわゆる「BI(Business Intelligence)」と呼ばれるジャンルの製品である。国際的な市場の視点では、TableauはPower BI(マイクロソフト)、Qlik Sense(Qlik)と並ぶ三大BIツールの1つに数えられる。

TableauはBIツールの中でも特に著名な製品

一般的には、BIとは「大量のデータを分析して、迅速な意思決定を支援(するためのツール)」と定義されている。

近年のITソフトウェアは、なんらかのかたちでログを蓄積していることがほとんどだ。たとえば、営業現場であればSalesforceに入力した商談データ、生産現場であれば製品の不良率、電話サポートセンターであれば平均通話時間もログだ。これらを総合的に解析するのがBIの役目とされる。

BIの定義

木田氏は、「大量のデータから意思決定を支援する」という定義にとどまらず、データを「ビジュアライズ(可視化)」して、「利用者や利用企業の競争力を高める」ところまでつなげることが、BIにとって重要だと指摘する。

その例として、会場では、アルファベットがランダムに100個に並んだスライドを見せ、Kの文字がいくつあるか数えるクイズを出した。これにはどんなに速くても10数秒の時間がかかるが、もしKの文字だけを赤く表示できたら、それは2~3秒で答えが出せる。利用者の感覚に直接訴えかける、それこそが「ビジュアライズの力」だと強調する。

この中から「K」の数を変えるのは大変
しかし、色づけをすればこの通り簡単。これがビジュアライズの力だ

Excelの限界を軽々と超えて

Tableauの人気は年々高まっている。Googleでの検索動向はもちろん、米ベントレー大学が2017年に発表したレポートにおいても、求人需要が爆発的に成長している技術スキルランキング第3位がTableauであった。また国際的に知名度の高い製薬大手・Pfizer社では、約10万人の社員のうち2万5000人がTableauを利用しているという。

ただ日本では、これまで表計算ソフトのExcelがデータ分析作業において重要なポジションをなしてきた。

では、TableauはExcelと比較してどんな面で優れているのだろうか?

その1 Excelのデータ数の限界は100万行

まず「ビッグデータ」への対応だ。Excelでは、ワークシートで扱える行の数、つまりデータ数の限界が約100万件。とはいえ、10万件を超えるレベルとなると、Excelの挙動が怪しくなってくる。対してTableauでは1億件を超えるデータの処理もなんなくこなせる。

この2つのソフトの違いは、いわば錐とドリルの関係。どちらも穴を開けるのに違いはないが、それぞれに最適な用途がある。比べるのはナンセンスだ(木田氏)

Excelとの比較。まずTableauは、扱えるデータの件数で圧倒的に有利

その2 コネクタ機能が充実

ファイルのインポートや、外部サーバーからのデータ取得など、「コネクタ」機能が充実している点もTableauの強み。マルケトやセールスフォースのデータをサーバー経由で簡単に取得できる。

Tableauがサポートしているコネクタの一覧

その3 正規表現も利用可能、計算式に強い

各種の計算式についてもTableauは全体的に強力で、正規表現も利用できる。このほかにも複数のチャートを同時に見られるダッシュボード機能や一度作成したデータをメンバーで共有することも可能である。

講演中には、実際にTableauのデモンストレーションを行った。GoogleのBigQueryにて公開されているオープンデータ「natality(出生率)」約1億件をマウス操作1つで取り込み、数分でグラフにしてみせた

Excelの上限を超えるデータをこれだけのスピードで扱える。私がなぜ“競争力”が重要と言ったのか? それは、こういった分析を(操作上の制約なく)バリバリやっているのと、Excelでやるのでは、良い結果を短時間で出そうという以上、当然差が出てくるのが自明だからだ(木田氏)

「ダッシュボード」もTableauならでの強みという

最重要ワード「ディメンジョン」と「指標」

Tableauでのデータビジュアライズを進める上で、まず覚えるべき基本形があるという。それは「ディメンジョン」と「指標」の概念だ。たとえば、「国別の平均寿命」であれば、「国別の」がディメンジョン、「平均寿命」が指標にあたる。

統計調査を行うとして、それがただ「平均寿命」という指標(数値)が1つあるだけでは、ほとんど意味が無い。「国別」「男女別」「年別」などのディメンジョンが加わって、そこではじめて有用な指標となり、つまりは意思決定へとつなげられる。

「ディメンジョン」と「指標」の関係性

このフレームワークは決して珍しくなく、社会に入り込んでいる。「科目別の点数」「日別の来店者数」「車種別の燃費」、このどれもが「ディメンジョンと指標」が掛け合わせられている。

『営業利益』と聞かれたら、それが営業マン別なのか、製品別なのか、発売時期別なのか。どんなデータでも、『○○別』と付け加えることが重要になってくることを覚えておいてほしい(木田氏)

Tableauでなくとも、ディメンジョンと指標の関係は色々と応用できる

「Task」を起点にサイクルで分析

また、分析はTask→Get data→Choose visual mapping→View data→Develop insight→Act(Share)→そしてTaskに戻ってイチから……というようにサイクルで考える。これがTableau流だ。

データビジュアライズの基本的なサイクル。必ずTaskを起点にする

起点となるのはTask。これを正しく設定しなければ、分析は中途半端なものになってしまう。「使えそうなデータがあるから」といって分析をスタートさせては、それはTaskを飛ばしてGet dataからはじめてしまうことになる。

そうではなく、「自社サイトに自然検索からのトラフィックを増やさなければ」というTaskを設定し、それに合わせてGet dataを行うべきだと木田氏は助言する。

Task設定の例

この「Taskから始めよ」はTableau社自身が推奨する方法という。これに対し、木田氏はさらに「リターンを得るために『レバー』を動かせるか」を担保してから、分析をスタートさせるよう、常に意識している。

自然検索からトラフィックを増やしたい。このTask設定自体は正しい。しかし、サイトのリニューアルが間近に控えていて、サイトをいじれないとする。これが『レバーを動かせない』状態。SEOをやってどれくらい改善しそうか、その“伸び代”を調べるためだけに分析しても、それはリターンに繋がらないのだから、最初から分析しないほうがいい(木田氏)

これはつまり、業務の効率化だ。営業部長が、営業マンの配置の適正化を行うことで、地域の購買力に応じたリソースを投入することになり、売上が増加する。この図式があるとして、レバーとなるのは「営業マンの配置の適正化」

配置の適正化が権限やタイミングの問題でできないのに、地域別の購買力を、調査、分析しても意味が無い。一見して当たり前に思えるが、木田氏のコンサルティング活動の中では、このレバー問題に悩む担当者が少なくないという。

木田氏が指摘する「レバー」とは

Tableauの上手な利用例

講演最後のパートでは、データ分析の実例がいくつか示された。とある化粧品メーカーでは、はじめて商品を買ってくれた客に対し、その後いかにリピート購入(F2転換)してもらうかが課題だった。最初に購入する品は、安いグレードのもののほうが手に取ってもらいやすいが、しかし、それらの購入者は必ずしもリピート購入率が高くない。この事実をTableauによって明確に指標化し、具体的な施策展開の契機とした。

化粧品メーカーの例。リピート購入の促進施策をTableauによるデータ分析に基づいて実施した

別の化粧品メーカーでは、はじめて商品を買ってくれた客に対し、その後いかにリピート購入(F2転換)してもらうかが課題だった。最初に購入する品は、安いグレードのもののほうが手に取ってもらいやすいが、しかし、それらの購入者は必ずしもリピート購入率が高くない。この事実をTableauによって明確に指標化し、また別の施策を展開することの契機とした。

商談進捗度を折れ線グラフで表示。複数の案件が簡単に比較できる

このようにTableauの活用法は幅広い。Tableauによってデータ分析は新しいステージへと突入することを予感させながら、木田氏は講演を終えた。

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