『リードビジネス“打ち手”大全』(全11回)

マーケティングは貢献度で評価されるべき! 貢献金額で適正な評価をする方法

マーケティングの成果は可視化するのが難しいですが、売り上げに対する貢献度をきちんと数字で評価しましょう。【第10回】

書籍『リードビジネス"打ち手"大全 デジタルマーケで顧客を増やす 最強の戦略86』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開。

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マーケ活動は売り上げへの
貢献で評価しよう

「リードタイム」を考慮し、期待値で評価する
Chapter 4 営業と販売 商談成功の鍵はマーケターが握る

リード育成プロセスにつながるマーケティング活動の評価は、営業部門の売り上げへの貢献度で行います。ただし、リードの引き渡しから成約までには時間差があるため、それを考慮した評価方法が必要です。

売上金額からマーケの貢献を計算する

マーケティング部門をコストセンターとして扱い、売り上げからの評価を行わない企業もありますが、リードビジネスを行うなら、リード育成から引き渡しまでのマーケティング活動が、事業にどれだけ貢献したかを数字で評価するべきです。 具体的には、営業部門の売り上げのうち、マーケティング部門が引き渡したリードによる売上金額を計算してください。例えば、300万円の案件につながるリードを10人引き渡し、そのうち5人が成約したら、300万円×5人=1,500万円が貢献金額となります。

成約までの時間差を考慮して期待値で推計する

対面型の直接販売を行う企業でリードビジネスを評価するとき、難しいポイントがあります。それは、営業部門にリードを引き渡してから、案件化し、成約するまでに時間差があることです。この時間差を「リードタイム」〈※〉と言います。

もしも今月評価を行いたいとしても、今月引き渡したリードが成約するには、早くても数カ月から半年はかかるでしょう。現時点での評価は、過去の実績から「案件化率」「成約率」の期待値を算出して、引き渡したリードの貢献金額を推計する方法をおすすめします。「案件化率」と「成約率」は、次のような意味を持ちます。

案件化率

引き渡したリードをどれだけ案件化できるか、の割合が「案件化率」です。マーケティング部門が詳細に「買う気」を聞き出したうえで、案件化の可能性が高いリードを引き渡せば向上します。

成約率

案件化してから成約できる割合です。商材の性質(売りにくい、売りやすい)や営業部門の活動により変化しますが、マーケティング部門の働きは影響しない数字と考えます。 「案件化率」も「成約率」も、過去1年間程度の実績を考慮して概算してください。営業部門が使っている目安の数字があれば、それを当てはめます。

例えば、単価300万円の案件に100件のリードを引き渡し、案件化率20%、成約率25%とした場合、成約期待件数は5件となります。これを案件単価と掛けあわせた結果、マーケティング部門の推計貢献金額は次の図のように計算できます〔図表81-1〕。

推計による貢献金額の評価〔図表81-1〕

貢献金額を上げるにはどうするか?

前掲の計算式で貢献金額を上げる方法は、「リード引き渡し数を増やす」と「案件化率を上げる」のふたつが考えられます。しかし、営業部門のキャパシティには限界があるため、リード引き渡し数を簡単に増やすことはできないでしょう。

マーケティング部門が貢献金額を引き上げるためにやるべきことは、「案件化率を上げる」ことです。そのためには、多くのリードを獲得し、「買う気」を聞き出し、成約見込みの高いリードをいつでも引き渡せるようにしておくことが重要です。

もしも、営業部門が要求するリードのレベルを下げても、マーケティング部門が高いレベルのリードを多数保有していれば、低いレベルのリードは引き渡さずに済みます。そのために、リード獲得の段階から、マーケティング施策の改善に取り組んでいきましょう。 成約見込みの高いリードを引き渡し、案件化率が20%から60%に向上したとすると、成約期待件数は15件となり、推計貢献金額は次の図のように増加します〔図表81-2〕。

案件化率が向上した場合の推計貢献金額の評価〔図表81-2〕

長期的に成果を見て評価する方法

営業活動の進捗をすべて管理し、引き渡したリードの結果をすべて追える場合には、一定期間ごとに案件化「数」と成約「数」を集計できます。すると、率に基づく推計ではなく、実績から貢献金額を評価することも可能になります。

例えば、ある月に引き渡したリードに対し、3カ月ごとに成約件数を追って合計していくと、以下の図のように貢献金額を計算できます〔図表81-3〕。数千万円または億単位の大型案件では商談にかかる時間が長くなるため、3カ月ではなく半年ごと、または1年ごとの評価としましょう。

こうした実績に基づく評価方法は、集計にかなりの手間がかかるのと、短期的な改善の参考にはできないのが難点です。改善に生かす機会があまりないようなら、期待値による評価だけでも十分に意味があります。

実績による貢献金額の評価〔図表81-3〕

まとめ

リードビジネスを行う企業では、評価も重要です。成約までの時間差を考えると厳密な評価は難しいですが、具体的な売り上げへの貢献額はわかりやすく、励みにもなります。

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『リードビジネス“打ち手”大全』
  • 上島 千鶴 著
  • 発行:インプレス
  • ISBN:978-4-295-00319-9
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