Web来訪者の購買マインドを育成する、リードナーチャリングの施策と可視化
この記事では、2011年5月31日に開催されたセミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Spring」の講演をレポートする。他のレポートをご覧になりたい方はこちら。
クロージング基調講演レポート
Web来訪者の購買マインドを育成する
リードナーチャリングの施策と可視化
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「Web担当者Forumミーティング 2011 Spring」の最終プログラムとなる基調講演に登壇したのは、株式会社Nexal 代表取締役の上島千鶴氏だ。講演テーマは「~Web来訪者の購買マインドを育成する~リードナーチャリングの施策と可視化」。参加申込者は850名ほどに上り、本会場は満席になった。このためサテライト会場にも多くの参加者が入場し、上島氏の講演に耳を傾けた。
マーケティング活動におけるリードナーチャリングの領域とは
講演冒頭に行われた挙手による簡易アンケートによれば、BtoB関連の参加者と、BtoC関連参加者の割合はほぼ半数ずつ。また「最近、リードナーチャリングという言葉を耳にしたことがあるか」という質問に対しては、7割ほどの参加者が手を挙げた。BtoB、BtoCを問わず、リードナーチャリングがWeb担当者の関心を集めていることがうかがえた。
講演テーマの「ナーチャリング(Nurturing)」は、育成するという意味であり、「リードナーチャリング」とは、簡単に言えば、潜在顧客を商談につながりそうな見込み客へと育てる施策だ。上島氏は従来のWebマーケティング施策が注力しているのはユニークユーザーの増加であり、潜在顧客の「ナーチャリング」ではなく、「ジェネレーション(獲得)」に偏っていると指摘。「ユニークユーザーを増やすだけで受注につながっていない。質の悪い訪問客(案件化する可能性の低い顧客)のデータを、営業部門に渡してしまっている」と、Webマーケティング担当者が直面している課題を述べた。
そのうえで上島氏は、リードナーチャリングを「すぐに商談や案件・受注につながらない場合、見込み客が購入(または検討)するまでの間、様々な情報を提供しコミュニケーションを継続することによって、自社製品・サービスの興味を高めていくマーケティング活動(過程)や取組み(手順)のこと」と定義した。
リードナーチャリングの目的は、様々な手段で獲得した顕在顧客を成約につながる見込み度の高い顧客に啓蒙・育成・醸成・創出することであって、そのゴールは営業の商談機会の増加や受注拡大に貢献することだ。顧客の育成は手段であって目的ではない。上島氏は、リードナーチャリングとして管理・把握すべき領域として、1つ目に訪問客を獲得し、Web解析などを用いて属性データや行動データを可視化、スコアリングして有望な潜在顧客を見極めること。2つ目にターゲットとなる潜在顧客に接触・育成し、商談につながる可能性が高い顧客を選別して、営業部門に引き継ぐことが必要だと話した。
興味・関心レベルに応じて接触の仕方を変え、見込み客に育てる
マーケティング活動において、リードナーチャリングの概念が特に必要とされるのは、購入頻度が低く、比較検討から購入までに時間がかかる商品だ。BtoCの商品ならば、不動産や自動車、保険といった商品が該当する。逆に消費財のような商品は、ナーチャリングよりもむしろ、顧客との結びつきを強める「エンゲージメント」が向くという。
上島氏が、潜在顧客をナーチャリングする際のポイントとして力説したのが、「シナリオ化」だ。オフライン(電話・展示会・独自セミナー・DM)だけではなく、オンライン(メール、Webコンテンツ、ウェビナー、資料ダウンロード、シミュレーションなど)の反応も観察し、顧客の興味・関心レベルに応じて接触の仕方を変えて見込み客へと育てていく。そのために仮説を立て、シナリオをつくることが重要だという。
「参考になるのは、自社のナンバー1、ナンバー2の営業職。彼らが顧客のどんな反応から何を読み取ってどう接触しているかを徹底的に分析し、シナリオ化するのです」
その上で営業がリアルで行っている初期段階の流れをWebサイトの施策として落とし込んでいく。たとえば、印刷物をPDFに、DMをメールマガジンに、初期ヒアリングをアンケートや診断などのコンテンツに置き換えていく。リアルの営業から自社メディアへと展開可能なコンテンツの具体例として、上島氏は次の20種を紹介した。
1 | オンラインデモ・セミナー | 11 | ガイドブック |
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2 | デモ中継 | 12 | 事例集 |
3 | 無料トライアル | 13 | 製品画像 |
4 | 無料ソフト | 14 | 製品ビデオ映像 |
5 | 読み物的な記事 | 15 | マイクロサイト |
6 | ビジネスブログ | 16 | 推奨コンテンツ |
7 | プレスリリース記事 | 17 | ウェビナー中継 |
8 | 製品コンテンツ | 18 | 診断系コンテンツ |
9 | パンフレット | 19 | アンケート |
10 | マニュアル | 20 | コミュニティ(ソーシャル)サイト |
前述のように大切なのは、これらを興味・関心の度合いに応じて、顧客を選別しながら提供していくことだ。あらゆる訪問客に対し、闇雲に提供すればいいというものではない。
- 受注拡大への貢献というゴールを見失わないこと
- 顧客は人(組織)であることを忘れないこと
- 可視化するだけで満足しないこと
上島氏は最後にこの3点をリードナーチャリング成功の要諦として挙げ、講演を締めくくった。
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