ソーシャルメディア時代のマーケティングに効くネットPR | ニューズ・ツー・ユー&ハウスウェルネスフーズ
この記事では、2011年5月31日に開催されたセミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Spring」の講演をレポートする。他のレポートをご覧になりたい方はこちら。
ソーシャルメディア時代のマーケティングに効くネットPR
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再生が始まります)
武田食品から2006年に社名変更し、「C1000ブランド」を提供するハウスウェルネスフーズ。消費者と直接コミュニケーションすることを目指し、ニュースリリースに特化した情報発信を行う同社のネットPR手法とはどのようなものか。営業企画部 販売企画グループ主任の丸山佳代氏が、ニューズ・ツー・ユーのコミュニケーション・ディレクター 四家正紀氏とともに講演を行った。
ソーシャルメディアには「Facts & Conversations」が重要
A会場3番目のセッションでは、まずニューズ・ツー・ユーの四家正紀氏が登壇し、ネットマーケティングにおけるソーシャルメディアの歴史的経緯を駆け足で解説。
震災をきっかけに、人々の間でつながろうとする気持ちが表面化した反面、Twitterでデマが拡散するなど、仕組みとしての不完全さが露呈したと四家氏は話し、今後生活者とのコミュニケーションのなかでソーシャルメディアには、信頼のための「事実」と親近のための「会話」として「Facts & Conversations」が重要になってくると主張した。
ニュースリリースを通じてブランドへの共感を持ってもらう
続いて四家氏は「今回のテーマにもっともふさわしいゲストをお招きします」と、数々のソーシャルメディアキャンペーンを実施し、ニューズ・ツー・ユーの第一回ベストリリース賞を受賞したハウスウェルネスフーズにおいて、Webを使ったカスタマーコミュニケーションを担当する丸山佳代氏を招き入れた。
まず丸山氏は、企業が顧客に向けて新製品の紹介やキャンペーンの開始といった情報を伝えるために一般的に使われる手段である、ニュースリリースとプレスリリースの違いについての説明を行った。プレスリリースは記者(媒体)というフィルタを通し、記事化された状態でユーザーに情報が伝わることになるため、「わたしはお客様に直接情報を伝えたいので、ニュースリリースに特化したい」と丸山氏は話し、企業自身が直接ユーザーへと情報を伝えられるニュースリリースを積極的に活用する、同社の取り組みへと話を進めた。
ハウスウェルネスフーズでは、自社で発表したニュースリリースが提携サイトへ直接掲載される仕組をとっている。検索などを通じて消費者が目にしたこれらの情報は、記者が書いた記事としてではなく、企業が発信する事実として伝わる。このように、同社がニュースリリースを積極的に活用するのは、数ある商品のなかから自社の商品を選んでもらうために、直接的ベネフィット(味や成分などの商品の基本情報)だけではなく、間接的ベネフィット(企業への信頼、開発背景、イメージ)の訴求が必要になるためだという。そのため、メッセージを企業自身の言葉として伝えるために、ニュースリリースが重要な役割を果たす。
特に震災以降は買い占めや自粛などの影響もあり、消費者が商品を買うという行動のなかで「買ってもいい理由」を探す傾向が高まっているというという。丸山氏は、商品を提供している会社がどのような活動を行っているか、他の人がこの会社についてどう感じているかなどの情報を消費者が求めていることを指摘。「派手なキャンペーンを打ってキャンペーンサイトに来てもらうのではなく、お客様のフィールドにブランドへの共感を作るきっかけをシェアしてもらう。『買ってもいい』イメージづくりの醸成」がキモであり、ニュースリリースをソーシャルメディアでシェアしてもらうことによって、そのことが実現できると語った。
ニュースリリース作成の作業フローについて四家氏が質問をすると、丸山氏は「週に一度は必ず出すと決めているので、特別なプロモーションを行っていない時でもネタを考え続けている。お客様がリリースを読んだ時に、この会社はなにかおもしろいことをやっているよね、という満足度をプレゼントしたい」と語った。
また、「プレスリリースは媒体に向けたクローズドの世界。取材をしてもらえるように記者に向けた言葉を埋め込めばいいが、ニュースリリースはウェブにそのまま掲載されるため、1つひとつの言葉がお客様の感情をどう動かすのか、言葉選びの重要さを毎回感じています。正直いまだに結論が出ない永遠の課題です」と、その難しさも吐露した。
一時の効果ではなく継続した関係性こそ真のブランディング
講演の後半では、四家氏や来場者からさまざまな質問が丸山氏に投げかけられ、意見交換がなされていった。
ハウスウェルネスフーズの企業サイトには、一部のタイアップページを除き広告らしい広告は一切掲載されていない。そのことについて質問が飛ぶと、「以前お金をかけて大がかりなウェブプロモーションをやったことがあります。その時は商品も売れ、PVも伸び成功したと思ったが、数か月後に分析ツールでケータイやブログをチェックすると、プレゼントに外れた方の残念な記憶のみが目立つことになってしまった。その経験から、一時の売上を目標としたキャンペーンを組むのは確かに目に見える効果があるが、そのあとに残るのがネガティブなイメージになるのであれば、果たしてブランディングと言えるのだろうかと感じた。短期的なお付き合いでは心の奥深くまで残らない。時間はかかってもいいから、ユーザーの心に残るサイトを作っていきたい」と、丸山氏はその理由を説明した。
最後に丸山氏は、「ソーシャルメディアでユーザーと会話を積み重ねていく活動は非常に地味。だれもが知っているが目立たないタンポポの花のようなもの。なぜだかわからないけど好ましい存在であり続けること、それが今めざしているWebプロモーションの目標」と、常にユーザーの近くに居続けたいという、同社が目指すWebプロモーションへの思いを強調してセッションを終えた。
※講演内容の詳細をご覧になりたい方は、記事冒頭の動画をご利用ください。
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