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英語初心者でもWeb Summitを楽しむ! 「事前準備・会場の巡り方・英語鉄板フレーズ」まとめ

2018年11月5日~8日にポルトガル・リスボンで開催された「Web Summit 2018」様子を伝えるとともに、来年に向けてやっておくべきTIPSをお届け。

「Web Summitをはじめとする、海外カンファレンスに興味はあるけれど、参加するにはハードルが高い」という声を聞きます。

筆者の私も参加する前は、同じように思っていました。実際、「顔面蒼白で日本を飛び立った」なと、Web Summitに参加する前のことを思い出しました。しかし、勇気を出して現地に行ってみると、失敗もありましたが、案外何とかなりますし、驚くほど視野が広がるのも事実です。そこで今回は、Web Summit初参加×英語初心者の筆者が、イベント参加を有意義にするためのTIPSをご紹介します。Web Summit 2018のレポートは、前編をご覧ください。

毎年Web summitが開催されているポルトガル・リスボンの街並み。サン・ジョルジェ城からの眺め

やっておくといい! やるべきだった……事前準備3つのポイント

まず、初めてWeb Summitに参加する&英語初心者という方にトライしてもらいたい「事前にやっておくといい3つのポイント」を紹介します。これをやっておけば、Web Summitをはじめとする海外カンファレンスに参加することへのハードルが少し下がるかもしれません。

① トラックを調べておく

事前にやっておくと良いことは、トラックを調べておくことです。理由を説明する前に、Web Summitの会場写真と案内図をご覧ください。

会場にはアリーナと4つのパビリオンがある
コンテンツを知らないと案内版すらわからない……

7万人が来場する大規模なカンファレンスなので、当たり前ですが、会場も大きいですし、コンテンツもたくさんあります。今回のWeb summit 2018では24のトラックが用意されていました。

トラックとは、「仮想通貨」「マーケティング」といったテーマの大分類のことです。現地に行ってから対処しようとすると、無数のコンテンツと広すぎる会場で右往左往し、時間を浪費してしまいます。

そうならないために、事前にどんなトラックがあるのか調べておきましょう。筆者は、「Web summitの公式サイト」を見ながら1日1トラックずつ和訳していきました。

Web summit公式サイト(編集部がキャプチャ)

英語が苦手なので和訳するものも大変で、半泣き状態でしたが、公式サイトに出てくる英単語はセッションでもよく登場するので、筋トレだと思ってぜひチャレンジしてください。参考までに、トラック名と概要を以下に記載しておきます。

24あるトラック一覧(編集部が画面キャプチャ)
Web summit 2018のトラック名と簡単なテーマ
  • AutoTech(自動車・IoT)/binate.io(データ関連)/ContentMakers(コンテンツ関連)/creatiff.(デザイン関連)
  • CryptoConf(仮想通貨)/DeepTech(テクノロジー関連)/Forum(フォーラム)/FullSTK(開発者会議)
  • Growth Summit(成長企業サミット)/HealthConf(ヘルスケア関連)/Modum(ファッションテック)/MoneyConf(フィンテック)
  • MusicNotes(音楽×テクノロジー)/PandaConf(マーケティング)/Planet:tech(環境関連)/Q + A(質問セッション)
  • SaaS Monster(クラウド関連)/SportsTrade(スポーツビジネス)/Startup University(スタートアップ)/Talk Robot(AI・ロボット関連)
  • Unboxed(エレクトロニクス関連)/CIS(イノベーション関連)/Night Summit(ネットワーキング)/Surf Summit(アクティビティ)

※CISは事前登録制のイベント。Night summitはWeb summit期間中に毎晩開催されるイベント。Surf SummitはWeb summit開幕前に行われるイベント。

② セッション・展示会を調べる

これは自身の経験から学んだことですが、目当てのセッションや出展企業を具体的にピックアップしておくと、よりカンファレンスを楽しむことができます。

そこで便利なのが「Web Summit公式アプリ」です。使い方については記事後半で詳しく紹介しますが、質の高いインプットを得るためにも、「どこの展示ブースに行き、どんな情報を得たいのか?」具体的にスケジュールを決めて、開催場所の確認も行っておきましょう。

なんとなく興味があるものを絞っておいて、当日の雰囲気で決めようと思っていたら、「他の聞きたいセッションと時間がかぶっていた」、「前後のセッション会場が離れていて間に合わなかった」、「見たかった企業が1日だけの出展だった」、という失敗がありました。

Web Summitのコンテンツの多さ、会場の広さを侮っていると、思わぬ痛い目をみます。事前準備をしっかり行っていれば臨機応変な動きもできますので、ぜひ参考にしてください。

③ 自分の英語レベルを把握しておく

英語が苦手な方は、「自分は何がわかって、何がわからないのか」を自己分析しておきましょう。具体的な方法は、Web summit 公式サイトにある過去のセッション動画を聞くことです。そうすると、「これならわかるな」とか、「これはわからない」といった、自分の状況を把握することができます。

「何がわからないか」が把握できれば、参加するセッションの取捨選択ができます。難易度が高そうだけれど、どうしても聞きたいセッションがあれば、英語が得意な仲間に頼ることもできます。また、自己分析できていれば「内容が全然わからなかった…」と無駄に凹むことがありません(笑)。ぜひ自分の英語レベルを把握してみてください。

また、対談形式のセッションは資料がない進行が多く、ヒアリング中心ですから、英語が苦手な方には少しハードルが高いかもしれません。一方、登壇者が1名の場合は資料がある確率が高いため、ヒアリングに自信がない方もスライドを参考にしながら理解を深められます。

対談形式のセッションは資料なしの進行が多い
1名の場合は資料ありの進行が多い

自分のヒアリングスキルを知るためチェックリスト

  • 性別:男性と女性で、聞き取りやすさに違いがあるか?
  • 年齢:若い人と年配の人で、聞き取りやすさに違いがあるか?
  • 英語の特徴:イギリス英語やアジア英語など、英語の特徴で聞きやすさに違いがあるか?
  • 資料:資料のあるなしで、内容の理解度がどのくらい違うか?
  • 対談人数:1人、2人、3人以上、対談人数によって内容の理解度に違いがあるか?
  • 話の内容:ビジョン系(経営者)と実務系(技術者)で、内容の理解度に違いがあるか?
  • 話者のキャラ:話者(まじめorジョークが多い等)で、内容の理解度に違いがあるか?

知っておくといい! 当日の会場巡りを快適にする3つのポイント

① お目当ての展示ブースは初日の朝イチに訪れよう

お目当ての展示ブースは初日の朝イチがお勧めです。英語が苦手、割り込んで説明を聞くのが苦手な人は尚更です。なぜなら、初日の朝イチは比較的お客さんが少ないのと、出展企業の人たちも「Web summit初日、がんばるぞー!」と気合たっぷりなので、とっても丁寧に説明してくれます。このゴールデンタイムは開場から1時間くらいですので、逃さず活用しましょう。

初日の朝イチは比較的空いている(2018.11.05)
翌日以降は朝でも込み合ってくる(2018.11.06)

② カメラ・録音機器・Wi-Fi・仲間をフル活用しよう

帰国後に報告書を作成する場合、臨場感が伝わる写真は必要不可欠です。カメラを使っていろいろなシーンを撮っておきましょう。

また、英語が苦手な方は、セッションを録音するのもオススメです。録音データさえあれば、最悪、英語が得意な友達に菓子折りで和訳を頼めます(笑)。また、会場の混雑と同様、インターネット回線も混線しますので、Web summitの提供するWi-Fiを利用すると良いです。

そして1日の終わりには仲間と合流して、情報交換をしましょう。自分ひとりでは手に入れられない、さまざまな情報を入手することができます。

③ リスボンの地下鉄事情、会場アクセス、混雑対策について

ホテルの場所にもよると思いますが、会場までのアクセスはタクシーか地下鉄を利用することになると思います。タクシー利用の注意点は、リスボン市内が大変混雑しているので、時間が読めないところ。

一方、地下鉄の注意点は、朝9時を過ぎると参加者で電車がパンパンになることです。両者に共通するアドバイスは、時間に余裕を持って行動すること、混雑が嫌な方は朝早くから行動することです。

あと、地下鉄は1回券やチャージして使うカードなどがありますが、購入やチャージは朝イチにしておきましょう。Web Summitが終わる17時以降は、地下鉄に人が溢れかえって、チケットを手に入れるまでに30~60分……なんてこともあります。ご注意ください。

至る所に案内板があるので、目を配っておこう
お昼は込み合うので時間をずらすなど工夫を

使わなきゃ損! Web Summit公式アプリを駆使しよう

Web summit公式アプリは便利だよ、と事前情報を入手していたのに、忙しくてチェックを怠っていました。結論、とても後悔しました。使いこなせると大変便利ですので、事前にぜひ触っておきましょう。アプリはApp Store、Google Playで「Web summit」と検索すると出てきます。

① アプリの基本機能を理解しよう

基本機能は、次の通り。QRについては、参加者の名札にQRコードが付いているので、これをアプリで読み取れば友達登録ができるというものです。

  • People(参加者を検索する)
  • Chats(チャットする)
  • QRを読み取る
  • Schedule(開催トラックを確認する)
  • Companies(出展企業を検索する)

またマイページの主要な機能には、次のようなものがあります。プロフィールを登録すると、志向性の近い人や企業がレコメンド(お勧め)されます。

  • Profile(プロフィール)
  • My ticket(参加チケット)
  • My schedule(登録したセッションの一覧)
  • My favorites(お気に入りに登録した人や企業の一覧)
Web summit公式アプリ。ポチポチ触ってみましょう!

② 検索機能を活用しよう

どんな企業が出展しているか調べるには、アプリ画面の下部にある「Companies」を見てみましょう。Most searched(良く検索される有名企業)、Exhibitors/Partners(出展社/パートナー)、Startups(いわゆるベンチャー企業)といった角度から調べることができます。

また、気になる企業名にチェックすると、「My favorites」で確認できます。各企業ページには、出展場所がわかるようになっていますので、会場をさまようこともなくなり、効率よく回れます。

さらに、気になるキーワードで参加者を絞り込みして、ダイレクトにメッセージを送ることもできます。もしかしたら、会ってみたい人とアポイントを取ることもできるかもしれません。ぜひアプローチしてみてください。

③ 当日はスケジュール管理として活用しよう

セッションがあり過ぎてワケがわからなくなるので、事前にお目当てのものは「My schedule」に登録しておきましょう。

登録の仕方は簡単で、アプリ画面の下部にある「Schedule」をクリックし、興味のあるトラック名、たとえば「AutoTech」を選択すると、曜日別で開催セッションの一覧が表示されます。興味のあるものにチェックを入れると、「My schedule」で確認できるようになります。また、セッションの開催前に「〇時から開催ですよー」といったアラート通知を受け取ることもできます。

以上、いかがでしたか? Web Summit中にアプリを立ち上げておくと、「今から○○のステージでおもしろいことが起こりますよ」といった、ワクワクするような通知が届いたりします。ぜひ使ってみてくださいね。

これでなんとかなる! Web Summitで使える英語フレーズと豆知識

笑顔で、目を見て、大きな声で挨拶するのがとっても大切!

筆者の海外渡航経験は過去6か国(アジア、アメリカ、ヨーロッパなど)。どの国に行っても、絶望的に英語が通じませんでした。短い単語や簡単な会話にもかかわらず、です。

原因は、語学力の低さと、発音が悪いせいだと思っていました。もちろんそれも大いにあるのですが、あるシンプルなことを心がけるだけで、ビックリするくらい改善されたのです! それは、「笑顔で、目を見て、大きな声で挨拶すること」。語学以前の、人として最低限のマナーの部分でした。

ブースの人と目が合ったら、笑顔かつ大きな声で「Hello!」と挨拶して近寄ろう

たとえば日本でも、何も声をかけずに展示資料を持っていったり、隣の席にドカッと座ったりしたら、ヤな感じですよね。これは海外の人も一緒で、「Hello!(こんにちは!)」と明るく声をかけるだけで、下手な英語でも親身に聞いてくれたりします。挨拶もせずに突然話しかける、おどおどして、目を合わせず、小さな声でぼそぼそ、これでは最悪です。

しかし、現地で急にやろうと思ってもできないので、日本で練習していきましょう。たとえば私の場合、通勤中に英語のCDを聞きながら、腹筋を使って英文を練習しました。複雑なことは言えなくて大丈夫です。「Hello!(こんにちは)」「Thank you!(ありがとう)」「Excuse me./Sorry.(すみません)」「No Problem.(大丈夫です)」、この挨拶が全てです! あとは、できない自分を受け入れながら、「伝えたいキーワード(たとえばcoffee)+ please」で乗り切りましょう(笑)。

「Can I have this 〇〇?」でだいたい何とかなる

Web Summitを巡っていると、「この資料が欲しい」「この料理が食べたい」というシーンに出会うと思います。いろいろ言い方はありますが、個人的に重宝したのが次のフレーズ。

Can I have this ○○?

○○に欲しいもの、たとえば、「paper(紙)」とか「hamburger(ハンバーガー)」を入れるだけなので簡単です。もし、欲しいものを英語で何と言うかわからない場合は、

Can I have this one?

Can I have?

と言って欲しいものを指さすだけでも意図を汲んでくれます。

初めの「Hello!」と最後の「Thank you!」も忘れずに! また、英語を話す時に日本風の「音程」ではなく、「強弱」で言うと、より伝わると感じました。「Can I have~?」の返事は、「OK./Sure. /Of course.」など。展示ブースや食事エリアで使ってください。

クレジットカードが使えないことも多いので、現金を用意しておこう

まとめ ~最初は誰もが初心者! ワクワクと好奇心で世界へ飛び出そう~

実は当初、Web Summit 2018には自費で行く予定でした。勤務先は人材への投資や新しいチャレンジに理解がありすぎるくらい良い会社なのですが、小さな中小企業ですし、予算を通す自信はなかったからです。

しかし、心から行ってみたいという好奇心と、この投資が絶対自分に返ってくるものだという確信はありました。そこで、リスボンへ行くために休暇申請をしようとしたところ、会社から経費を使って事業に活かせる情報を持ち帰って欲しいと言われ、仕事で行くことになったのです。

これを聞いた社内外の反応は、「フィードバック楽しみにしてるよ」「うちの事業とどうつながるのかわからない」「行かせてもらえるなんてすごいね」「英語できないのに行っても意味ない、会社に迷惑かけるな」などなど、まさに叱咤激励の状態でした。ただ、行くんだと覚悟を決めれば、それは勇気に変わりますし、何としてでも成果に変えなければ……という想いも強くなります。

参加後のリアルな声

Web Summit 2018のレビューを兼ねたネットワーキングイベントの「Web Summit Japan Night」が11/29にWeWork Ginza Sixで開催され、参加してきました。イベントでは、APAC、ポルトガル大使館、日本企業3社によるプレゼンテーションの実施後、参加者同士によるネットワーキングが行われました。

ネットワーキングで、Web Summitに社員を参加させた方から次のようなお話を伺いました。

Web Summitに参加して、リスボンから帰ってきた社員がメチャクチャやる気になっていてびっくりした。現場での体験がいかにすごかったのが、すぐにわかったし、社員の視点の変化や成長ぶりに驚いた。

また、私も会社のメンバーから、次のような声をかけられました。

  • リスボンから帰ってきたら、一皮も二皮も向けた感じがするね!
  • ますますアグレッシブになったね。
  • 視野がすごく変わったね。

いい意味で、海外から縁遠い人が行けば行くほど、変化が大きいのだと思います。海外カンファレンスに参加するメリットをまとめると、次の4つが挙げられます。

  1. 現地でしか得られない体験ができる
  2. 参加者のモチベーションアップや変化を促せる
  3. 全く違う角度でビジネスをリレーションできる機会がある
  4. 英語に対するハードルが下がる

当たり前ですが、現地でしか得られない体験ができることは何物にも代え難い経験です。新しい知識を得たり、新しいものにふれたりすることで、自然と人間はモチベーションが上がるはずです。

毎日同じ会社で、同じ人と仕事をしていれば、新しいイノベーションが起こる可能性はどんどん低くなっていきます。しかし海外カンファレンスに赴くと、いつもとは全く違う人たち、ビジネスと出会える可能性があるため、新しいリレーションを築ける確率が高まります。

また、Web Summitは10万円以上のチケットを払って世界中から人が集まるため、参加者は学ぶ意欲が高く、英語を母国語としない人も多いという特徴があります。うまく伝えられなくても、「大丈夫よ!」と言ってくださる方、親切な方が多くて心が救われました(笑)。

そういう経験を通して、筆者がもっていた英語への心的ハードルはかなり下がったように感じます。

もし、あなたに挑戦できる環境があるなら、今日から始めましょう。先の見えない今だからこそ、ワクワクと好奇心を胸に、世界へ飛び出すのです。そして、あなたの会社を、日本の人を元気にしてください。そして、忘れないでほしいことは「誰もが最初は初心者だということ」です。準備をすることで失敗を大いに減らせます。

来年のWeb summit 2019は、今年と様子が違うかもしれませんが、来年参加する人にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。なお、Web summit 2018はどんな感じだったの? という方は、前編をぜひご覧ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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