運用がうまい! 企業インスタネタの成功企画事例 バズったもの紹介
企業公式のアカウントとして、Instagramを今すぐ始めるべきなのか……。前編では、492の企業アカウントを分析して、業界ごとのInstagram運用の実態をさまざまな視点で分析しました。
アカウントの開設状況では「ファッション」業界が最も多く、投稿頻度やフォロワー数の規模では「食品・飲料」「エンターテイメント」「メディア」が上位を占め、エンゲージメント率では「外食」「サービス」が高い結果を出していることから、これらの業界はInstagramと相性が良いと言っていいでしょう。
ただし、平均値だけでなく、中央値で見ていくとフォロワーやエンゲージメント率で極端に差があるわけではありません。さまざまな業界で、「これからの運用次第で人気アカウントになる可能性がある」と言えるでしょう。
投稿するときに、「何曜日の何時がいいのか?」を気にする方もいますが、今回の調査では、投稿する時間帯や曜日、投稿タイプにはエンゲージメントを高める法則性は見られませんでした。
後編では、調査した全492アカウントのなかから、多くの「いいね!」を集めた印象的な投稿例をピックアップして紹介します。全492アカウントの調査概要は前編(Instagramの企業アカウント492件を分析! 国内企業17業界のデータを分析してわかったこと)をご覧ください。
- 食品・飲料
- ライフスタイル
- 小売
- 住宅・建設・不動産
- サービス
- 日用品
- 官公庁
- インフラ
食品・飲料
夏にぴったりの新しいソフトドリンクの飲み方を新提案
「食品・飲料」のなかでも、ソフトドリンクカテゴリでは、コカ・コーラやリプトンが人気でした。
lipton_japanでは、水出しアイスティを使った「フルーツインティ」の専門店の告知が高い反応を得ていました(2017年4月24日投稿)。写真の美しさだけでなく、涼しげで夏らしい1枚に、「飲んでみたい!」と感じた方も多いのではないでしょうか。
「今年も楽しみにしています」や「札幌や福岡におねがいします!」といったようなコメントがあることからも、フォロワーの期待感を創出できていると言えるでしょう。
このように季節やタイミングをとらえた商品紹介は、Instagram上でも反響を得やすくなります。
ライフスタイル
人気のブランドがアウトドアの「#キャンプ飯」を募集
「ライフスタイル」のなかでも、アウトドア用品カテゴリではColeman Japanのアカウントが多くの反響を得ていました。
1つ目の写真では、「#キャンプ飯」を付けた写真をユーザーから募集し、そのなかから公式アカウントで紹介した投稿が高い反響を得ました。
UGCを活用したコンテンツの活用は、H.I.S社の「タビジョ」に代表されるように、ユーザー自身の体験をリアルに紹介できる点が最大の特徴といえるでしょう。
今回のColeman Japanの事例でも製品そのものの紹介ではなく、ユーザーによるシズル感のある食べ物の紹介はまさに王道といえるでしょう。また、写真のホットサンドにはColemanのロゴも入っているので、さりげなく企業をアピールできている点もInstagramの世界観にマッチしていますね。
2枚目の写真では、コールマンの歴史を感じられるアイテムを紹介しています。往年のファンにとって懐かしさや親しみを感じられるのではないでしょうか。
小売
100円ショップとは思えない! かわいい商品たちを美しく見せる工夫
「小売」のなかでも、コンビニ/スーパー/百貨店カテゴリでは、ダイソーやキャンドゥのアカウントが人気です。
ダイソーでは色やデザインの近いステーショナリーを並べて投稿することで、統一感や世界観を持たせながら、一度に複数のアイテムを紹介しています。また、キャプションには品番や製品名を記載しています。ユーザーが店舗で商品を探したり、店員の方に確認したりする際にも便利ですね。
また、キャンドゥでは流行の紙袋風のランチバッグやクリアボトルを紹介し、見た目の可愛さだけでなく、保温保冷もできるという機能も訴求しています。
「100均でこんなおしゃれなのが!凄いです!」といったコメントからも、良い意味で期待を裏切った紹介の仕方ではないでしょうか。製品の魅力を最大限引き出す、担当者の方のセンスが光ります。
住宅・建設・不動産
「こんな家に住みたい」と感じさせるあこがれのモデルハウス
「住宅・建設・不動産」では、無印良品の家mujihouseのアカウントが人気です。モデルハウスやモデルルームを中心に紹介しており、「いつかこんな家に住みたい」というあこがれの気持ちで「いいね!」する方も多いでしょう。
あこがれの住まいを演出する家具や雑貨の使い方、撮影の構図は、シンプルながらも無印良品ブランドとつながっており、統一された世界観を感じさせます。
サービス
圧倒的クオリティで伝えるお寺の静謐な風景
「旅行・観光カテゴリ」では、清水寺のアカウントが圧倒的なクオリティで多くの反応を得ていました。プロのフォトグラファーである須藤和也氏が撮影した写真だそうです。清水寺という寺の代表格と、写真の力が相まって強力なコンテンツ力を生み出しています。
観光地だけに海外からも評価が集まっています。「#kyoto」「#kiyomizudera」「#cherryblossomes」など、海外を意識したハッシュタグの使い方にも注目ですね。
日用品
食卓全体のイメージのなかでキッチン用品をアピール
「日用品」では、Le Creuset Japonが人気です。トリベットやお鍋などのアイテム紹介のほか、料理とレシピも紹介しています。
次に紹介する投稿で使われている写真では、周辺にさりげなく皿やポットも配置している点に担当者のセンスが光ります。料理単体の美しさだけでなく、食卓に配置したときの全体イメージが湧きやすく、多くの方からの反響を得たのではないでしょうか。
官公庁
夜景や名所を印象的にする演出
国や自治体のInstagram活用は、TwitterやFacebookに比べてまだまだ少ないものです。そんな「官公庁」のなかでも、地方自治体カテゴリでは、神戸や和歌山県、平塚市などが人気です。
地域の定番スポットや風景を写真で紹介しています。地元の人にとってはなじみのある風景でありながら、観光客の方にとっては新鮮に映るでしょう。
また、岐阜県の白川郷のアカウントでは英語による発信を行っており、海外のユーザーからの反応も伺えます。近年ではInstagramで旅行先を検索するユーザーも増えているため、「訪れてみたい!」と思ってもうための企画が大切になるでしょう。
インフラ
工場ファンの心をくすぐるインダストリアルフォト
「インフラ」では、東京電力のアカウントが人気です。工場や配管など、インダストリアルフォトが一部のユーザーで人気なこともあり、発電所内や電柱、電線の写真などをアップしています。
近頃は大人の工場見学や夜景撮影ツアーが組まれるなど、工場を観光資源として活用する地域もあります。インフラはInstagramと相性が悪そうに思えますが、中の人には日常の風景が、外から見ると特別な1枚になることがあるのです。
思わず「いいね!」したくなる動機を生み出す
後編では、実際に人気を集めている投稿内容から企業アカウント運用のコツを探っていきました。どのアカウントも、トンマナの統一、ただ商品を並べるだけはない食卓の演出、構図などプロレベルの写真がやはり多い傾向にありました。
ハッシュタグや投稿時間などによっても多少反響は変わってきますが、前提として、ファンやユーザーの方が思わずいいね!したくなる動機がいかに創出できるかがポイントになるでしょう。
前半の分析記事で紹介した、公式アカウントのファン数やエンゲージメント率などと合わせることで、自社の目指すポジションや運用スタイルのイメージが把握しやすくなったのではないでしょうか。
また、調査データだけでなく1つひとつの投稿を分析すると見えてくる傾向があります。
反響の高い企業の投稿写真は、クオリティが高い傾向あり
人気の投稿を見ると、どれも写真のクオリティにこだわっていることがわかります。写真の投稿方法としては、「既存の宣材写真を使う」「新規でプロに頼む」「ユーザー投稿を利用する」「インフルエンサーとコラボレーション」なども考えられますが、素材ごとの利用範囲や契約内容を確認するなど、許諾や著作権には注意が必要です。
また、「レンポジ感」(ストック写真感)を出さないように、スナップマートのような、インスタ映えする自然な写真素材を使うのも手でしょう。
なかには、あえてiPhoneなどの端末を使い、写真を作り込み過ぎない方もいます。ユーザー視点(彼らがどういった投稿を望んでいるのか)に立って、使い分けを検討することも大切です。
写真投稿のポリシーを決めるとき、公式ヘルプのアップロードサイズに合わせる企業もあります。
ハッシュタグは、できるだけ多くつける方が見つけられやすい
Instagramでは、10個以上のハッシュタグがついた投稿は珍しくありません。テクニック的ですが、投稿数の多い人気ハッシュタグを組み合わせることで、多くの人に届きやすくなります。基本は、写真との関連性を意識しつつ、ビッグワードからスモールワードまでを考えて組み合わせることです(例:#旅行 #観光 #日本 #京都 #寺 #清水寺など)。
Instagramのユーザーは、世界だけでなく日本国内でも急激に伸びています。ユーザーは、その時代のトレンドに合わせてコミュニケーションツールを使い分けていきます。そういった意味では、みなさんの会社がInstagramを始めるべきかどうかは、何を使うかよりも、どういったコミュニケーションをしていきたいかが重要な判断基準の1つになります。
今回は調査外ですが、最近は24時間限定公開のストーリーズを使う企業も増えてきました。また、24時間以上たっても公開され続ける「ハイライト」機能や、ハッシュタグのフォロー機能などの新しい機能が追加されています。これらを企業がどう活用していくのか、その方法や事例に注目しています。
みなさんも、今回の記事を今後の方針の参考にしてください。
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