日本の常識は通用しない! 中華圏ウェブユーザーの行動観察レポート

訪日外国人を誘致するユーザー行動観察に基づくWebサイトやFacebook活用とは?

台湾人が旅行を検討するとき、WebサイトやFacebookをどのように活用しているのか。

WebサイトやFacebook、現地の観光情報サイトを使って、海外からの観光客を1人でも多く獲得するためにはどうするべきか。

台湾在住で日本旅行を検討中のユーザーに対して行った「ユーザー行動観察」の結果に基づいて、「Facebook」「観光情報サイト」「観光地のオフィシャルサイト」のWebメディアが、旅行を検討中のユーザーの初期段階、本格検討、最終決定の3段階で、どのように活用されているのか、どのように活用すると効果がいいのかポイントを紹介する。

台湾において日本旅行は「身近なトピック」

旅行好きな台湾人は、日本人の3倍ほど海外旅行に行く頻度が多い。特に日本への旅行者は多く、2014年の1年だけで全人口の10分の1にあたる280万人超が日本に旅行している。台湾人にとって日本旅行は非常に親しみのある身近なトピックの1つだ。

そんな旅行好き、日本への旅行も好きという台湾人が、旅行を計画する初期段階で、どのようにWebを活用しているのかから紹介していこう。

1.初期検討時のユーザーを取り込むには、Facebookを使うべし!

旅行検討中の台湾人にとって、特に重要なメディアはFacebookだ

台湾ではFacebookの会員数が人口の約65%、アジア圏でトップの人口比率といわれている。なお、日本は約17%程度だ。

日常の情報収集にFacebookを活用しているため、日常会話の延長としてFacebookから得られる情報は、海外旅行の意思決定に対し、日本とは比較にならないほど大きく影響している。今回実施した、ユーザー行動観察調査においても実際にユーザーから以下のような声が頻繁に挙がった。

  • 友達が京都で舞妓さんの格好をしている写真をアップしていたので、今度やってみたい。
  • スカイツリーの写真がアップされていて、景色が良くておもしろそうだと思ったので行ってみたい。

このように言及されたFacebook投稿は、投稿した人や投稿された時期まで詳しく覚えられていた。さらに、ユーザーがFacebookをチェックしている様子を観察しても、日本に関する異なる投稿を見かけると目を留め、写真を見ながら「ここは知っている」「ここは知らない、どこだろう」などと興味を持っていた。

年に5回程度日本に行くような日本好きユーザーは、日本旅行に関連するFacebookコミュニティに入り、頻繁に閲覧している。筆者自身、台湾人の知人から、「Facebookで見たのですが、東京の立川に紅葉がきれいな所があるって、本当ですか? 今度秋に行こうかなと思いました」と聞かれたこともある。

※上記ユーザーが普段から閲覧しているFacebookページの一例。このユーザーは10種類以上のFacebookページを「いいね!」している。

このように日常で触れる情報から行き先(エリア)を決定し、旅行計画を詳細に立て始めるため、旅行検討をし始めてからの接触では遅い可能性がある。初期検討もしくは、初期検討にすらなっていない状態から候補に入り込んでおく仕込みをすることが、台湾において特に重要となるのだ。

台湾人の初期検討時においてタッチポイントを作るならば、ファンページの設立やFacebook広告やキャンペーンを実施することに加えて、ユーザーが訪日したとき、いかにFacebookへの投稿を促進できるかに注力したい。たとえば、次のようなことだ。

  • 投稿したくなるような景色の良いポイントをわかりやすくする
  • 投稿自体を促進させるためのインセンティブやWiFiを用意する

このような対応をすることで、その投稿から次の来訪ユーザーにつなげられると考えられる。

2.本格検討時のユーザーに響くためには、旅行情報のハブサイトを押さえるべし!

次に、旅行するエリア(関東、関西、北海道など)を決めたユーザーは、行き先に関する情報収集をどのように行うのだろうか。

日本では情報が網羅的に掲載されているガイドブックが好まれるが、台湾ではこれといったポピュラーなガイドブックが存在しない。特に、ツアーではなく自主旅行を計画するユーザーは、ブログや旅行情報サイトで情報収集をする傾向が強い

行き先に関する情報収集をしているユーザーに対して行動観察を行った際に、必ずといっていいほど、以下の特定のサイトが閲覧されるのだ。

よく閲覧されるブログ
よく閲覧される旅行情報サイト

これらのウェブサイトは、ユーザーが旅行先を検討するときに入力する検索キーワードで必ず上位に表示され、内容も網羅性と専門性があり、記事に関係するオフィシャルサイトへのリンクも配備されているため、ユーザーからの信頼が得られやすく、多くのユーザーに利用されている。

特に、「樂活的大方」というブログは今回のユーザー行動観察調査で非常に人気があり、ユーザーが旅行先を検討するとき、必ずといっていいほど閲覧されていたサイトだ。大きな写真とともに、旅行先に関する細かい情報が載っており、見やすいうえに情報量も十分であるため、人気があるのも頷けるブログである。

大方ブログの画面キャプチャ

樂活的大方ブログには「おすすめリンク集」としてホテル10選などの情報も掲載されており、agodaなどの予約サイトやホテル、観光スポットのオフィシャルサイトに遷移するリンクもしっかり配備されているため、ユーザーが旅行情報のハブサイトとして何度も利用している

一方、ブログや情報サイト以外にSEOの強いウェブサイトは特に見受けられなかった。台湾現地に企業のあるSEO業者に話を聞くと、「Yahoo!広告が長く覇権を握っていた台湾ではSEOに注力するという慣習がまだ根付いておらず、純広告やリターゲティング、リスティングなどに予算を投下する企業がほとんど」だそうだ。

ユーザーを獲得するために上記人気ブログに対して広告出稿や記事掲載の依頼をすることは、1つの大きなタッチポイントとなり得るだろう。

この方法以外にも、SEOに注力する習慣がないことを狙い目ととらえて、自然検索で上位に表示されるように、ユーザーの調べるキーワードを把握し、オフィシャルサイトまたは情報収集サイトを立ち上げてユーザーを獲得するということも有効だろう。

3.サイト訪問時、オフィシャルサイトは「当日のイメージを膨らませる」ことに注力すべし!

エリアも決定し、行き先に関する情報収集をしているユーザーにとって、最終段階で訪れるのがオフィシャルサイトだ。そこで、各国ユーザー向けに用意された外国語対応のオフィシャルサイトがどのように利用されているのかについて言及したい。

オフィシャルサイト閲覧時のユーザーニーズは主に以下2点である。

  • アクセス情報
  • 現地でどのような楽しみ方ができるか

特に重要なのは2つ目の「現地でどのような楽しみ方ができるか」である。

ユーザーは「当日何をするかイメージを膨らませるため」にオフィシャルサイトに訪問しているのだ。そのため、対象のスポットだけでなく、「その近くにどんなスポットがあるか」まで情報があると、ユーザーにとってはより魅力的である。

「当日何をするかイメージを膨らませる」ためには、そのスポットへいった後、どんな観光地に行けるのか、近くにおいしい日本料理屋はあるのか、周辺でどのような買い物ができるのか、といった情報が重要なのである。ホテルや観光スポットにおいて複数の候補がある際に、この情報を提供していると、行先の選定においてより優位に立つことができるだろう。

しかし、現状では前述したブログなどで、オフィシャルサイトのリンクがはられていることがあるが、ほとんどのユーザーはそのリンクをクリックしない。何故なら訪問する前から「オフィシャルサイトはどうせ日本語のみ」と潜在的に思い込んでおり、敬遠されてしまっているからだ。

一方、検索結果のトップに中国語のサイトが出てきた際は、オフィシャルだろうと何だろうとまずはクリックして、なかの情報を閲覧する。

オフィシャルサイトへのルートは、ブログの記事などから誘導するよりも、中国語対応がしっかりとなされていることが一目でわかる自然検索結果や広告の方が効果的であると考えられる。

終わりに:行動観察による海外ユーザー理解の重要性

今回は台湾の例をご覧いただいたが、各国ごとに環境もトレンドも違い、ユーザーのジャーニーは全く異なる。日本からリモートの定量リサーチを実施しただけでは得られないような具体的かつ意外な発見を得るには、直接現地のユーザーに触れ、話を聞き、観察する必要がある。

台湾に住んでいる筆者が日本に帰ったり、台湾人をターゲットにしたサイトを見たりしていても、対応の拡大に驚かされる一方で、どうしても施策自体に関連性がなく、単発の施策のように感じられることが多い。

関連性のある施策を行うときは、次のようなことを考える必要がある。

  • ユーザーが何を求め、何と比べているか、ユーザーが求めているものを提案できているだろうか
  • 旅行者が他の旅行者におすすめしたいような体験は提供できているだろうか
  • 人に勧めたりシェアしたりしやすい環境を整えてあげられているだろうか

台湾では日本の実店舗でのサービス品質を「清潔で丁寧だ」と高く評価する人が多く、実際に話していても、それが理由で日本旅行が好きな人も多い。デジタルの領域においても、ユーザーをとことんまで理解したサービス提供をして満足してもらいたい、というのが、デジタルに携わる海外駐在員としてのささやかな願いである。

各データ出典:JNTO、世界銀行、Facebook Ads Manager

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