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需要を喚起しないとならない

需要を喚起しないとならない

それでも、さらに、コンバージョン数を増やそうと思えば、需要を喚起するしかないと気づかされる。

もはや、リスティング広告には多くを期待できない。リスティング広告に需要喚起の力がまったくない訳ではないが、多くを期待できるものではない。たとえば、「おいしいレストランらしいよ」というような口コミを広めたり、レストラン自体の認知を拡大したり、魅力を訴求したりして、そのレストランに行ってみたいなと消費者に思わせたいとする。そのような需要を喚起するには、リスティング広告が最適な解だとは限らない。

コンバージョン数を増やしたければ、需要を喚起しなければならず、それを得意とするのは、インターネット広告ではバナー広告や動画広告などリスティング広告以外の手段だと考えられる。

このように、リスティング広告のコンバージョン効果が高いという考え方は必ずしも正しくないかもしれない。コンバージョン数を増やそうと思えば、まずは需要を喚起しなければ増えないという局面があるからだ。

コンバージョン性向というコンセプトを使う理由

コンバージョン性向(Propensity to Convert)というコンセプトも、ここから生まれている。おそらく、新聞の折り込みチラシなどで需要を喚起されて、コンバージョンしやすい状態になっている消費者の一群が形成されたのだろう。

その人たちは、当たり前のことだが、1月1日00時00分の初売りキャンペーン開始までは、サイトに訪問してもコンバージョンはしない。つまり、コンバージョンそのものは、広告以外の要因でも大きく変動するため、コンバージョンの増減を直接的に広告の効果だと判断するのはリスクがあると書いたとおりだ。

広告に接触し、需要喚起され、コンバージョン性向が高まったとしても、それだけでは、即コンバージョンにはつながらない。1月1日00時00分を時計の針が指すまではコンバージョンしないのだ。

もちろん、こうした時間の制約も1つの要素に過ぎない。どんなに広告がよくて、キャンペーン開始時刻になっても、商品やサービスが魅力的でなければコンバージョンしないこともあるはずだ。こうした理由から、需要を喚起しコンバージョン性向を高めるという部分を、広告のコンバージョンへの役割として切り出し、論じたり分析したりしたいと考えているのだ。

リスティング広告は「いまそこにある需要」を刈り取るのが得意だ。そうした意味でも、「刈り取り型の広告」であり、一見、「費用対効果が高く見える広告」でもあるというのは腑に落ちる。しかし、リスティング広告は「コンバージョン効果が高い広告」であるかといえば、上述の理由からも、必ずしもそうだとは断言できない。そうすると、テレビCMやバナー広告などリスティング広告以外の広告については、なおさらコンバージョン効果が高いとは言えないことになる。リスティング広告ですら、即コンバージョンにつながると言えないのだから。

コンバージョンに対して広告が果たす役割は、需要を喚起しコンバージョン性向を高めることだと考えている。コンバージョン性向の代わりに購買意向といってもいいのだが、コンバージョンは必ずしも購買だとは限らない。そのため、コンバージョン性向という言葉が適切なはずだと考えて、この言葉を使っている。

リスティング広告以外の広告が
コンバージョンに果たす役割を再認識することが重要

アトリビューションでコンバージョンを増加させることを考える際に、リスティング広告以外の広告がコンバージョンに果たす役割を再確認することは大事である。なぜなら、コンバージョンの手前のラストクリックだけを分析対象にしている訳ではないからだ。

ラストクリックだけを分析対象にしていると、リスティング広告はコンバージョン効果が高く、リスティング広告以外の広告、たとえばバナー広告はコンバージョン効果が低いという錯覚に陥る。しかし、アトリビューションでコンバージョンパスデータを取得し、「初回~中間~ラスト」という流入経路を分析対象にすると、リスティング広告はコンバージョン効果が高く、バナー広告はコンバージョン効果が低いとは必ずしもいえないのでは? という思いに至る。

バナー広告の需要を喚起させる力があって初めて、リスティング広告でのコンバージョンにつながっていることが、アトリビューション分析によってみえてくるのだ。需要を喚起しコンバージョン性向を広告で高めることが重要だとわかるのである。

そして、おそらくは、アトリビューションをやり尽くして、それ以上は効率化できないという状況になるだろう。リスティング広告をやり尽くした状況と同じ地平だ。そのとき、広告のコンバージョンへの役割が、さらに抉りだされる。需要喚起が濾過されるのだ。コミュニケーションによって、人をどう動かすのか、需要をどう喚起させるのか、結局は、そのようなことを広告がきちんと担っていないとコンバージョンは増えないと気づかされるのである。

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