はじめての中国EC “どうすりゃいいんだ?”指南

手軽で手ごわい“集市”出店!~タオバオC2C成功者に聞く出店ポイントと難しさ~

手軽で手ごわい“集市”出店!
~タオバオC2C成功者に聞く出店ポイントと難しさ~

中国ECに参入するのに最も手軽な方法は、C2C(個人間取引)だ。いわゆるECというよりはオークションのような印象をもつかもしれないが、日本でもYahoo!オークションなどで事業者が出品して販売しているのと同様に、中国でもC2Cの市場は事業者にとっても魅力的な場だ。

日本の人口を大きく上回る1億5000万人以上の会員数を誇るタオバオは、企業だけなく個人でも「集店」と呼ばれているC2C(個人間取引)モールで出店できる。

個出店するためには、まずは「タオバオ内で契約口座を開設する」ことが必要である。C2Cの場合、出店する際の契約形態が個人となるため、現地の銀行で開設した口座を利用し、アリペイアカウント口座を取得する。アリペイについては、第3回の「チャットとアリペイでECでも」の項で説明しているのでそちらを参照していただきたい。このアリペイを利用して消費者と売買する。

C2Cで出店する最大の魅力は、出店料無料、決済手数料無料、購入者も手数料無料で、手軽に店舗を設置できることだ。では、出店者はどこで支出が発生するのかというと、有料データ解析の月額課金の広告費用である。さまざまな商品が並ぶタオバオ内で、自分と同じカテゴリーで勝負しようとしている競争店舗はいくらでもある。そこで1つのポイントになってくるのが、いかに自分の商品を他店と差別化して消費者に印象付けるかである。

そこで、利用されているのが「広告出稿」である。モール内で広告を出稿する方法は2通りある。1つ目は「リスティング広告」である。商品を検索した際に、検索結果で他店より上位に表示されるようにすることで消費者を自分の店舗に優位に引き込むことができる。

2つ目は「直通車」と呼ばれるタオバオ内のアフィリエイト広告である。タオバオ内でキーワードを入れ検索したときに、検索結果ページの右側、もしくは下部に商品が画像付きで表示される広告だ。図1図2が、タオバオで「女性 靴」と検索した際に出てきた直通車である(赤枠で囲んだ部分)。

商材選択と物流網構築はトータルで考えろ!

C2Cで頭を使わなければならないのが配送である。個人で商材を扱う際に、企業のように大量在庫、配送をすることはコスト面から困難である。そこで、在庫ロケーションの観点から2パターンの物流フローが考えられる。

  1. 日本で製品を在庫する

    • 長所管理が日本でOKなので手続きなどが楽である。
    • 欠点中国の消費者から見たときに送料が高く、届くまでに時間がかかる。送料、通関費も消費者が負担しなければならない。
  2. 中国に商品を在庫する

    • 長所配送リードタイムが短く、配送料も客にとって短い
    • 短所日本の在庫と連動できず、管理が難しい。現地倉庫への商品デリバリーを自力で行うか、または個人用途の荷物として倉庫に送るなど、配送コストが店舗側負担になる。

に関しては、配送コストを含めて消費者負担となり、在庫も手の届く範囲で管理できることから出店者側にメリットが発生する形だ。については、の長短を逆にした形、つまり消費者側にメリットが発生する。

個人として運営するにあたり、ランニングコストがかさむと継続することが難しくなるため、を選択せざるを得ない。そこで、次に重要になってくるのが商品選定である。

「配送時間、さらに配送料を消費者が負担しても売れる商品」がC2Cの理想の商材である。言われれば当たり前のことなのだが、言いかえると「デメリットを感じないくらい消費者が興味を持ってくれて、中価格帯で勝負できる商材」ということになる。

薄利多売の収益構造の中国ECだが、低価格帯に参入するためには規模感を持ってビジネスを展開できないと成功する確率は低く、まして個人では難しい。ならば、企業でも扱っていないようなオンリーワン商品、つまり、ライセンス商品(版権)であり、中国で買えないような商品を用意し、ある程度の価格で扱うことができれば、現地の消費者に響く可能性は高い。

商材選択、物流網構築を経て、やっと売れるようになるのだが、これからが最もコストがかかり、重要な部分である。「プロモーション」である。

消費者から信頼を勝ち得ろ!

いくら良い商材、物流網を構築しても、参入するカテゴリーには数万店舗が存在しており、そこから自店舗を見つけてもらわなければならない。これは、前述した広告出稿が大きな役割を担っている。しかし、それでもまだ。扱っている商品について消費者から信用がない状態である。ましてや、模倣品や非正規ルート品も売られており、信頼を勝ち取っていくことは至難の業である。

そこでやるべきはただ1つ、「販売数実績とレビューの数を稼ぐ」である。タオバオでは消費者からの評価が集計され、数値化されたものが店舗に表示される。こちらの詳細も、第3回の「チャットとアリペイでECでも」の項を参照していただきたい。

販売数実績を稼ぐためには、以下の①から④の手順を地道に繰り返していくしかない。

  1. ヒット商品(PVを集めたい商品)を選定する
  2. 十分な在庫(1000個以上)揃える
  3. 赤字覚悟の強烈な値引きと広告プロモーションで店舗へのPV流入を稼ぐ
  4. 購入者へのリピーター獲得策を実施

商品の信頼性に関する情報に関して中国人は、大体的なマス広告から得た情報よりも、実際の使用者による口コミや掲示板といった個人間の情報交換の方を信用する傾向がある、まずは赤字覚悟で公販売実績を増やし、評価がたまるまではとにかく我慢することが必要だ。評価が上がれば、あとは波及効果で商品の情報が広く伝搬し、購入のコンバージョン率も高まり相乗効果が生まれる。そのため、個人展開ではあるが、ある程度の資本を準備して長期的に運営をすることを考えなければならない。

C2Cへの参入は非常に簡単にできるように見えるが、実際に運営していくためには幾多の課題をクリアしていかなければならない。

数少ないタオバオのC2Cモールの日本人成功者、上海欧貝薩諮詢有限公司(SHO Consulting)の董事長である内田信氏に、C2C参入へのポイントと現状について話を伺った。

C2Cモール成功者、内田氏に聞いてみた!

内田氏は、タオバオC2Cモールで累計11.6万件以上の「好」評価を記録し、上位0.05%の高評価を示す「クラウン3つ」を獲得したベビー向け商品販売の「宝貝心願」を運営する(図3)。月商300万元を稼ぎ出し、ベビー分野に存在するタオバオモールを含む31万店舗中5位の売上を誇る。

2011年9月中旬にサイトデザインをリニューアルした「宝貝心願」の店舗。「中国人の好みがだいぶ変わってきており、タオバオのサイトデザインも現在は日本的なデザインが好まれるようです」と内田氏。

内田氏からみたC2Cのポイントは、「中国の市場をしっかり認識すること」だ。

非正規輸入品、業界慣習、欧米や中国企業のやり方、競合を日本企業 以外も調査することが必要です。ECなら、数少ない成功者の事例の概要は知ることが出来るし、実店舗で成功している数少ない日本企業 の話も参考になります」(内田氏)

認識するというのは、単純に市場概要を知ることだけではない。参入 しようとする商品の価格や配送、さらには日本と中国でのビジネスの違いまで、関連すること全てを指す。

たとえば、参入商品や価格帯の話であれば、同等の品質の商品を日本ブランドで高額で売ることは容易ではなく、中国製日本ブランドは日本での流通コストが上乗せされるためかなりの高額になる。また、現在は中国ECでは一部高級ブランドの平行輸入品を除き高価格品は売れないのだという。「タオバオどころか独立サイトでもECでものを買うのはかっこわるいという消費者の見方があります。1万円するアパレルや高級化粧品もネットで売る事は難しいと思います」(内田氏)。

そのため、上記したカテゴリーの商品で参入することは難しい。内田氏は、参入しようとする日本企業の期待利益が高すぎるという問題点も指摘する。中国ではかなりの薄利多売を覚悟しなければならず、実店舗の小売の利益率でさえ低く、低コスト運営の中国EC企業やタオバオ大手の利益率は日本に比べてかなり低い。

また、実際に商品を確かめないと買わない中国人の性向から、その予算を都心に置く実店舗やデモショップの展開にかけることが大切なのだという。「DHCを含め中国EC大手でも実店舗をわざわざ展開している企業が多いのです。たとえば、商品の特性もありますが、ベビー分野の独自サイトでも、売り上げの主体は実店舗とカタログです」(内田氏)。コストの高い上海でも、実店舗を稼ぐ場所ではなく中国市場向けデモの場所と割り切ること。ECを販売チャンネルの1つしてとらえ、総合的に売る戦略が重要なのだと話す。

さらに内田氏は日本企業の動きについて、「意思決定や行動がスローで市場についていけていないように感じます」と、中国ビジネスのテンポ感についていけていない印象をうけるという。また、他国の企業のような積極さの必要性も感じている。「僕らのところにも、いろいろな国の企業が売り込みにきます。日本企業以外は売り込み熱心です。オーストラリア、スペイン、もちろん台湾や香港などのアジアからも。場合によっては委託在庫でラックもつけてくれる会社さえあるぐらいですね」(内田氏)。

手軽に参入できるC2Cではあるものの、プロモーションに多額の費用を使い、地道に、長期的に勝負しなければならないため、運営していくためにはかなりの労力と覚悟が必要である。

しかし、自分で出店するだけが中国ECへの参入ではない。店舗経営や物流構築が個人で行うのは難しいと判断したとしても、商材自体に「いける!」と感じるところがあるならば、B2Cを行っている企業に卸すといったやり方もあるのだ。

ここから始まります

愛「ECっていっても、まずはお客さんから信頼を得ないと何も羽島らナインですね~」
桂子「愛ちゃん肘!」
保「……」
深野「顧客の反応が数値化されるからシビアになるよね。でも逆にそこをクリアできればいいし、日本ブランドの商品は信頼性で言ったらかなりいいはず」
セイ「商品やターゲットにあった店舗構築でまずは売上を少しずつ稼ぎながら評価をあげていかないと ね~保くん!」
保「え! え~と…そうですね(笑)」
桂子「セイさん保くん気に入ったんだ」
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