アクセス解析のデータを眺めていても売り上げが伸びることはなく、本気でビジネスに活用するためには、データを分析し、成果を上げるための行動を起こさなくてはならない。10月28日に発売されるアクセスログ型の老舗アクセス解析ツール「SiteTracker 9」は、本気でアクセス解析データを分析し、ビジネスに生かそうとするマーケッター向けの製品だ。この記事では、本気でアクセス解析を行うためのポイントを解説する。
無料のアクセス解析ツールもタダでは使えない
Webをビジネス活用する企業にとって、アクセス解析は必須のツールだ。しかし、アクセス解析はいきなり高度なツールから導入する必要はない。これからアクセス解析をするのならば、まずはGoogle Analyticsなどの無料サービス、あるいは安価なツールを利用してみて、本当に自社で活用できるかをつかむことが大事だ。
アクセス解析をするならば、たとえ無料ツールや安価なツールを使っても、何らかの形で関係者のリソースは費やされる。つまり表面化しない人的コストは発生するのだ。アクセスログ型のアクセス解析ツールであればシステム部門に導入の依頼をしなければいけないだろうし、JavaScriptタグ型の計測ツールならばWeb制作会社に実装してもらう必要がある。またアクセス状況の数字はでてきても、その数字の背景にあるものを分析するには時間がかかる。さらに、レポートを作り、社内の関係各位の意見を集約し、そこから知見を得て、仮説の検証や施策のテスト・実行に結びつけるための体制に相当の人員や時間が必要なことは間違いない。
つまり、アクセス解析を本気で行うならば相当のコストがかかるのである。コストをかけるということは、そこで得たデータを分析するだけでは意味がなく、分析をもとに、いかにしてビジネス成果につなげるかということが、現場のマーケッターには求められるのだ。
マーケッターが本気でデータを見るためのポイント
ツール導入までのプロセスを乗り越えて、ある程度アクセス解析を利用できるリソースが確保できてくると、次にそのデータを有効活用していくかというフェーズに入ってくる。もちろん上記でも触れたが、組織の問題、運用上の問題、人的リソースの問題、外的コストの問題、乗り越えなければならない様々な壁が立ちはだかってくるが、これらは企業ごとの体制にもよるので、ここではアクセス解析ツールの仕様の問題に焦点を当てよう。
ツールの導入時には社内のシステム部門が関与していることが多くなるだろう。どうしても彼らはシステム的な要件、つまり、「リアルタイム性」などという必要以上の仕様にこだわり、一見高度なツールに手を出してしまいがちだ。しかし実際にデータを使うのはマーケッターである。だから、本来はどういうマーケティングデータが必要で、そのデータを取得できるツールはどれなのかという見定め方をしてほしいのだ。だからこそ、冒頭に書いたようにまず無料あるいは安価なツールを試してみて、本当に自社で活用できるかをつかみ、仕様上の不満を洗い出してしまうプロセスが必要だと思っている。
もちろんそんなことは理想論だということは知っている。現実は、不満を感じながらもすでに導入しているツール使い続けるといったケースや、昔からの流れで継続利用していることもあるだろう。しかし、いずれチャンスは訪れる。そういう時のために普段からどういうデータが出てきたらもっとサイトの改善活動に役立てられるのだろうかという問題意識を持っておこう。
さて私がデータを見る場合のプロセスをご紹介しよう。そのなかで、本気でデータを見るためのポイントはどこかをお話したい。ここでは、すでに立ち上げから何年か経過し、何らかのデータが1年くらいの間の溜まっている状態で、サイト改善を真剣に考えなければならないという課題が与えられたというシチュエーションにしてみよう。
最初に取りかかるのは、全身の健康診断で、いきなり各臓器の細かな検査はしない。まずはサイトの規模感やバイオリズムを把握することだ。基準となる数値がわからなければ、成績が良いのか悪いのか把握することはできない。具体的にはユニーク訪問者数(取得できない場合はなくてもよい)、総訪問回数、総ページビュー数の3大基本指標の月次トレンド(推移)を把握する。またアクセスが急増していない平時の時期を選んで、曜日別や時間別にやはり3大指標の数字の動きを追ってみる。
その後に全身の健康状態を把握するために、各指標を把握していく。そのために見る指標はサイト全体を対象とした次のようなものだ。1つひとつの指標の意味は説明しないが、もしわからない言葉があったら、アクセス解析イニシアチブが発表している「アクセス解析の集計と用語定義ガイドライン」などを参考にしてほしい。
- 1訪問あたりの閲覧ページビュー数分布や訪問頻度分布
- リピータ比率などの訪問者の特性
- 流入パターン(参照元、キャンペーン)と検索キーワードなどのサイトへの流入特性
- 入口ページと直帰率
- 閲覧ディレクトリ/ページ(ページビュー数の内訳)
- 訪問者の主要な閲覧ページ遷移などのサイト内回遊特性
- コンバージョン数/率
- 各コンバージョン・プロセスにおける離脱度合いなどの成果に関する指標
そして、これらの数値を、アクセスが伸びていない時期と伸びた時期で取得し、アクセス数が伸びた時の流入原因と閲覧行動の差をチェックしておこう。ここまでは機能は、ある程度のアクセス解析ツールならすべて提供しているだろう。
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