売れてるサイトの成功事例~先進サイトのマーケティング戦略~【WAIS 2009レポート】
[セミナーレポート]
売れてるサイトの成功事例~先進サイトのマーケティング戦略~
コンバージョン率の向上に効く!SSL活用の裏ワザをご紹介
Webサイトの安全性、信頼性を証明するEV SSL証明書を導入する企業が増加している。インターネットのセキュリティに対するユーザーの不安とその解決方法、セキュリティの確保をコンバージョン率向上につなげるためのポイントを、日本ベリサインの牧野俊雄氏が解説した。
ショッピングサイト選別の基準は
「価格の安さ」よりも「信頼性」
セミナー1-1では、日本ベリサイン株式会社SSL製品本部ダイレクトマーケティング部の牧野俊雄氏が、「売れてるサイトの成功事例~先進サイトのマーケティング戦略~」と題するセミナーを行った。
セミナーの内容をひと言で言えば、「Webサイトの信頼性・安全性とコンバージョンの相関」だ。
牧野氏はまず、インターネットに潜んでいるさまざまなセキュリティリスクを説明。なかでも企業のWebサイトにとっては、特定のサイトになりすまして暗証番号やクレジットカード番号、個人情報などを不正取得するフィッシング詐欺が脅威になっている現状を紹介。例えばインターネットで購入する場合の電子決済利用が、2005年から2006年にかけて30パーセントも減少し、その背景にはフィッシング詐欺やオレオレ詐欺の影響があると見られること、利用者の7割以上は「Web サイトにアクセスして情報を盗まれるインターネット犯罪が増えており、怖いと感じている」こと、個人情報漏洩に対して63%が不安なイメージを持っていることを、総務省や民間調査会社の利用者調査データに基づいて解説した。
しかしその一方で、「予約」や「資料請求」、「問い合わせ」など個人情報の送信を伴うサービスの利用ニーズが拡大しているという調査結果を提示。関連して、ネットショッピングで商品を購入するWebサイトを選ぶ基準は、「信用性」が「価格が安さ」を上回っているという興味深いデータを示した。
フィッシング詐欺に悪用される
「ドメイン認証型」の暗号化サイト
それでは利用者は、Webサイトの信頼性や安全性をどこで確認しているのだろうか。牧野氏が紹介した日本ベリサインの調査(複数回答)によれば、「SSL(暗号化)に対応していること」が67.3%とトップで、2番目の「有名な企業であること」(65.2%)をわずかながら上回っている。Webサイトでビジネスを行うにはSSL対応が必須となっている現状が示唆された。
ここで牧野氏が指摘した重要な問題点は、SSLの認証プロセスには、「企業認証型」と「ドメイン認証型」の二つがある点だ。セキュリティリスクが高いのは後者で、ドメイン認証のみ、あるいは独自に認証局を立てて証明書を発行できる仕組みを悪用するフィッシングサイトが出現。ブラウザ上でSSL対応を表す「鍵アイコン」の信頼性が一部で失墜してしまったという。
このため「企業認証型」で、セキュリティをより強化したEV SSL証明書の導入が進んでおり、Internet Explorer 7以降、Firefox3.0以降など、市場ブラウザの8割がすでに対応している。
EV SSL証明書対応ブラウザでは、証明書を導入したWebサイトではアドレスバーが緑色に変化するなど、ユーザーが安全性を一目で見分けられるように改善された。また既知のフィッシングサイトや疑わしいサイトにアクセスするとアドレスバーが赤や黄色に変わり、ユーザーの注意を喚起する仕組みになっており、9割以上のユーザーが従来のSSL証明書に比べてわかりやすくなったと感じているという。どのようなページにEV SSLを導入してほしいかという調査結果では、「問い合わせ」「資料請求」「会員登録」という個人情報を入力するページが上位3つの回答となった。
EV SSL導入などにより
コンバージョン率が向上した事例も
EV SSL証明書はすでに世界1万1000以上のサイトで導入されおり、日本でも高度なセキュリティが不可欠な金融業界はもちろん、全業界に普及しつつある。セミナーの終盤では、銀行業界をはじめとする日本ベリサインの豊富な導入実績のなかから、フィッシング詐欺対策事例、差別化事例などさまざまな成功事例が示された。
コンバージョン率を向上させた事例としては、中高年向け商品のコンバージョン率を10%上昇させた大手消費財メーカー、ショッピングサイトでの更新完了率8.4%上昇した外資系ソフトウェア会社、「お試しセット」の申込登録率が16%も向上した食材宅配会社などが紹介された。「どのWebサイトもさまざまな改善策を講じており、EV SSLの導入だけでコンバージョン率が上昇したわけではない」と前置きしたうえで、牧野氏が力説するのは、「単にセキュリティを高めただけでは、Webマーケティングの観点からは不十分」という点だ。コンバージョン率が上昇した企業に共通するのは、高度なセキュリティがかかったサイトであることを、ユーザーの視界に入りやすい位置に明示していること。前述のようにEV SSLは従来のSSLに比べて安全性を認識しやすくなっているが、それに加えて「サーバー証明書やプライバシーマークのアイコン、個人情報保護方針などを目立つ位置に提示し、信頼性の高さを積極的にアピールすることが、コンバージョン率の向上にもつながっていく」と牧野氏は締めくくった。
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