この記事は、書籍『ひらめきが加速する 企画エクササイズ』の内容を、Web担当者Forum用に抜粋してオンライン版として公開するものです。
脳内脂肪を燃やす
発想の新体操68本!
企画のもとになるアイディアは日常の関心事から生まれてくるもの。そのアイディアと消費者ニーズが重なったときに、企画は成立します。プランナー「くぼたつ」こと久保田達也による、企画を立てるプロセスで実践する方法を「発想」「共有」「表現」「思考」「分析」の5章立てで紹介。いますぐできる脳のトレーニングを68プログラム用意しました!
『~ひらめきが加速する~企画エクササイズ』
- ISBN978-4-8443-2461-4
- 1,659円(税込)
- 久保田達也 著
原因と結果の因果関係を
見極めよう
問題解決では、まず問題を特定することが大切です。問題を特定するのに一番よい方法は、「なぜ」を繰り返すことです。トヨタが行っている有名な方法は、なぜを5回繰り返すのです。5回もやれば、さすがに根本原因まで行き着くことになるわけです。重要なのは、原因がわかったときに、結果との因果関係を見極めること。その連鎖する理屈が明確でないと、解決案はすべて無意味になってしまうからです。
原因がわかったら、その解決策を出していきます。解決するには「こうすればよいのだ」という具体案を思いつくまま20案~30案は出してみましょう。これがエクササイズです。
以前、僕が出向いていたある会社で社内の問題点を洗ってみたら、うちの会社はここが悪いと問題が噴出しました。しかし、よくよく聞いてみると、要は「うちの会社はコミュニケーションが足りない」というだけのことだったのです。細かい事象は原因ではなく、コミュニケーションが足りないというのが根本原因だったのですね。原因を見極めるということは問題の本質を見抜くことなのです。
この場合の解決策は、「コミュニケーションが足りないのだから、コミュニケーションをとるようにする」ということです。お昼休みの時間を5分長くする。朝礼を5分短くする。そうすると、各部署にもどっていくときに雑談したり、井戸端会議をしたりして、コミュニケーションをするプラスの効果を生み出しました。上司が部下の席に行って、「あのさ、これどう思う?」と対話をすることも有効です。上司が率先して部下の席に行くと、温かみが部下にも伝わるのですね。これで一気に問題が解決したという例がありました。このように、具体案を出すということは、すぐに実現できる提案をするということです。
地球温暖化の原因追求の参考例
ここで、原因追求を実際にやってみましょう。「地球温暖化の原因」について、なぜを5回繰り返して考えてみます。深く考えなくてもよいのです。それぞれ5分ぐらいで反射的に答えてみましょう。
Q なぜ、温暖化が起きるのか?
A 二酸化炭素が排出されるから。
なぜ、温暖化が起きるのか。僕は、二酸化炭素の排出だと思います。特に深い理由はないのです。いろいろな本に書いてあるし、ニュースに出てるから、そう思っただけなのです。
Q では、なぜ二酸化炭素は排出されるのか?
A 車や工場廃棄物があるから。
なぜをもう1回繰り返してみました。二酸化酸素は具体的にはどういうものから排出されるのか。車や工場廃棄物だと読んだ本に書いてありました。日本の企業は環境によい車もどんどん開発していますし、工場廃棄物も軽減されていますが、むしろ発展途上国はこれから工業生産が増大し、環境の悪化が予想されます。ならば、環境によい工場のあり方を日本は逆に輸出していけるのではないか。同時にそんなことを考えました。
Q なぜ、車や工場廃棄物は二酸化炭素の排出を続けるのか?
A 石油エネルギーが経済の基盤だから。
やっぱりガソリンは一番安い。石油エネルギーはコストパフォーマンスがよいからです。石油をやめたら、われわれは移動することさえできません。石油はわれわれに、安く豊かな生活を提供してくれている。だからやめられないのではないか。僕はそう考えました。
Q でも、なぜ、そうなってしまったの?
A 産業革命が起こったから。
環境庁の白書などを見てみると、二酸化炭素の排出量が急に増えたのは、産業革命以後です。産業革命は、いろいろな工業生産を行ってきたわけですよね。それは貴族が豊かで、下の人は苦労していた時代を変えた。今われわれは、だいたいみんな同じように豊かな生活ができるようになった。やっぱり産業革命が必要だったのです。
Q では、なぜ産業革命は始まったのか。
A 豊かな生活に憧れたから。
これが5つ目の「なぜ」です。人間である以上は豊かになりたいのです。何百年前でも同じ気持ちだったのではないでしょうか。豊かさへの憧れは悪いことではありません。それによって産業革命をもたらしました。
このように、なぜを5回繰り返した結果、豊かな生活への憧れが温暖化の原因になっているという結論に至りました。これらの回答が正しいかどうかは別にして、では、温暖化を食い止めるにはどうすればよいかという解決策を考えてみます。
たとえば僕が考えたのは、新たな豊かさというものを提供することで、温暖化を止められないか、ということです。昔は何でも楽になりたいだけでした。ならば産業革命前にもどって、まったく違う豊かさや環境を提供してはどうか。たとえば子孫への愛を中心に考えていくと、物質への執着がなくなるかもしれない。車がなくなったとしても、代わりとなる幸せな移動方法はないのか。たとえば馬車はどうだろう。
そういうふうに、問題の原因がわかったらポジティブに考えて解決策をその場で出していく。これが原因追求です。このように、解決策を20案~30案ぐらい出すようにします。これがエクササイズになるのです。
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