CMS担当者におけるスキルの源流

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CMS担当者におけるスキルの源流

まず、CMSを担当する企業や組織内の人材に目を向けると、米国では、従来からの文書管理や記録管理の担当者や昨今のWeb担当者、そしてCMSに関するコンサルタントやアナリストの中に、特定のスキルを持った人材が登用されていることに気づくことがある。それらは、いわば情報管理のための専門技能と総称することができ、とりわけ、図書館情報学などの専門分野に習熟した人たちの存在をあげることができる(図1)。

図1 米国のCMSやウェブ担当者には、情報管理の専門技能を有する人材が多い

そもそも移民によって作られた新しい国であった米国では、国としての歴史の浅さを一気に補うために、数多くの公共図書館が実業家たちの出資によって建設されてきた。特に、米国最初の図書館が1830年代に誕生して以降、1930年代までの約100年の間に2,000を超える図書館が建設される勢いにあった。しかしその一方で、実際の図書館を管理・運営する技能をもった人材が圧倒的に不足する、といった深刻な問題を引き起こすことにもつながっていった。

そこで、それらの人材を育成すべく、図書館のための教育課程の成立や大学院での図書館学科の設立、図書を分類整理するための目録規則の整備などが急速に進められることになる。その結果、情報を検索するための高度な情報技術や、知識や情報などにアクセスするための専門知識が加速度的に発展し始める。また、情報の蓄積方法や利用方法、データベースの構築技術、情報ニーズと情報探索に関する探求など、情報を扱うための高度な教育と研究が盛んに行われてきたのである。そして、これらの教育を受けた人材が、大学や図書館などの専門機関に輩出されるだけでなく、企業や各種団体などにも進出して積極的に情報管理の役割を担うようになる。まさにこういった流れが、今日の企業内での文書管理や記録管理などの専門職の技能へとつながっていると言えるであろう。

この様子は、米国で開催される情報管理に関するテーマの各種イベント、たとえば、CMSやナレッジマネジメント(知識管理)のためのイベントなどの場に出向くと顕著に体感できる。イベントにおけるスピーカーやワークショップの講師はもとより、聴講者として参加している企業の担当者に至るまで、この分野の知識を持った人たちが多数活躍しているのだ。こういった人たちに顕著な技能としては、情報技術に関する知識と実践に加え、利用者が必要としている情報を選択して用意するスキル、資料や情報をさまざまな基準で分類整理するスキル、分類整理された情報の固まりに対して利用者にわかりやすい名前やキーワードを付けるスキル、そして、資料や情報などを一定の場所に格納したり廃棄したりするスキルなどを挙げることができる。

CMSの発展を支えるコミュニティ活動

次に、CMSの発展と成長を支えるコミュニティ活動の存在に注目したい。そもそも米国では、CMS担当者たちが集うコミュニティ活動として、2つのタイプがすでに存在している。

1つ目は、CMSのベンダー企業が中心になって組織化される、ベンダーごとのユーザーコミュニティである。これは、日本でも一部のベンダーによって行われている活動であるが、CMSを提供するベンダー企業が主催し、購入したユーザー企業の担当者を定期的に集めることで、製品に関する新しい情報や他社における製品の使い方などを知るための機会を催している。その形式は、年に1度の大きなイベントとして提供するものから、定期的なセミナーや研究会があり、ユーザー企業の担当者たちは、その場を通して実際のCMS導入のノウハウを交換し合っている。

図2 CM Pros(Content Management Professionals)の公式サイト。現在、日本語を含む11か国語の対応を進めるなど、世界的な規模での活動を展開している。
http://www.cmprofessionals.org/

2つ目は、企業内のCMS担当者やCMS構築のためのインテグレーター、コンサルタントから構成される非営利の専門家コミュニティの存在だ。非営利のコミュニティ活動の代表としては、米国を中心に700名を超えるCMSの専門家たちで構成されている「CM Pros(Content Management Professionals)」(図2)が大きな役割を担っている。そもそもCM Prosは、さまざまな分野で活躍してきたコンテンツマネジメントに関わる専門家たち30名が発起人として名を連ね、2004年に設立された。ウェブによるCMSを含むコンテンツマネジメント全般に関する情報や事例の共有促進を目的として、これまでにウェブサイトやメーリングリストによる情報提供、セミナーやイベントなど世界中のCMS専門家に向けて積極的な活動が繰り広げられている。CM Prosの具体的な活動目標と内容としては、図3のような項目が挙げられている。

CM Prosの活動目標

  • 仲間が調査・吟味した知識を収集・発展させ、体系化して配信すること
  • コンテンツマネジメントの主要な課題について、自ら学ぶとともに仲間に教えること
  • コンテンツマネジメントにかかわる専門家、企業リーダー、製品ベンダー、大学・教育機関の教育者の間での交流の促進
  • コンテンツマネジメントの実務と事例について、優れた実践例を見つけ出し、精錬・発表して推奨すること

CM Prosの活動内容

  • さまざまなコンテンツマネジメント領域において、ベストプラクティスを開発し、公開すること
  • コンテンツマネジメント関連のイベント情報や求人情報をキャッチし、公開すること
  • コンテンツマネジメントの用語やニュースに関し、信頼のおけるソースを公開すること
  • 各種業界メーリングリストを作成・管理すること
  • 実務者向けに会議を企画し、重要な課題について討議すること
  • CM Prosのウェブサイト、ディスカッションフォーラム、ナレッジWiki、シンジケート・ウェブサービスを管理すること
図3 CM Prosの具体的な活動目標と内容
CM Pros Mission」より

ここでは、ベンダー製品や組織内での役割などの垣根を越えて、積極的に各種情報や事例を交換すると同時に、コミュニティの場そのものが、自らの専門技能を伸ばし、キャリアを蓄積していくためのプラットフォームとなっている様子をうかがい知ることができる。メンバー各自は、仕事の成果を持ち寄って情報交換をしながらも、コミュニティそのものを支えるための役割も担うことで、自らが自分たちの仕事を取り巻く業界の成立に貢献することになっているのだ。

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