クチコマれた情報の信用度・信頼度はユーザー自身の判断
クチコマれた情報の信用度・信頼度はユーザー自身の判断
現在、興味・関心のある商品・サービスの存在を知った後、まずはインターネットで検索するという習慣が一般化してきているのは間違いないだろう。そして、生活者は、その商品やサービスを購買・体験した後、実際どのような感想をもったのかという自身の体験価値を無償で(時にポイントなどの有償で)アドバイスする、Shareという新しい文化をつくった。
実際、購買後にネット上でカキコミをしたことがある人の割合は約半数にものぼり、積極的にカキコミをしている人は20%以上存在するという調査結果もある(図4)。これは、Web 2.0でよくいわれるところの、「貢献者としてのユーザー」「ユーザー参加」「根本的な信頼」などといった特徴を有す。
実際、買うか買わないかを迷ったとき、クチコミを重視する人は多く、年々増加傾向にある。企業の利害によって発信されている一方的なメッセージよりも、基本的に利害関係のないクチコミ情報のほうが信頼度が高いと判断する生活者が増えているのだ(図5)。
しかし、クチコミは、購買プロセスにおける比較検討時だけに作用するものだけではない。クチコミサイトとして価格.comや@cosmeなどが有名だが、これらのサイトは、先ほどの12段階でいうところの、Attentionやinterestの部分をもっていれば、Shareの要素もある。つまり、カキコミによる比較検討メディアから、認知や関心を高める露出メディアの役割をも包含する巨大メディアに育ちつつあるのだ。
クチコミマーケティングの2類型
ひとことでクチコミマーケティングといっても、WOMMA(Word-of-Mouth Marketing Association:米国クチコミマーケティング協会)の定義では10種類以上に分類される。ただ、概念が近いものも多く、すべてを理解して厳密に区別する必要はないだろう。実務を担うウェブマーケターとして理解しておくべきなのは、クチコミの拡がり方には2つの種類があるということだ。
クチコミの拡がり方には、話題性を喚起して一気にクチコミを拡げるロケットモデル型(WOMMAの定義ではAmplified:仕掛け型)と、じっくりとファンを育ててクチコミを誘発するインチアップ型(WOMMAの定義ではOrganic:自然発生型)の2種類がある(図6)。ロケットモデル型がバズマーケティング(≒バイラルマーケティング)の領域で、インチアップ型がエバンジェリスト(伝道者)マーケティングなどといわれる領域だ。
ロケットモデル型は、Buzzability(バザビリティ:クチコミしたくなるような要素)によって一気に認知度を高める手法で、主に新商品・新サービスのローンチプロモーションなどに活用される。たとえばSony Europeが実施したBraviaの事例や、Audi A3のクチコミキャンペーンが良い例だろう。
インチアップ型は、ハーレーダビッドソンやアップルが実施しているような、いわゆるファンマーケティングが代表的な例だろう。
ただ、ここでいうインチアップ型のクチコミマーケティングとは、使えば使うほどポイントが貯まるといったロイヤリティマーケティングや、システムとしてのCRM、企業とユーザーの関係性を濃くするためのOne to Oneマーケティングなどとは異なる概念だ。ファンとして高いロイヤリティを形成してもらうまでは同様だが、インチアップ型のクチコミマーケティングでは、そこからいかにクチコんでもらうかが重要となる。
基本的に、ファンは人に話したくてしょうがない。気持ちよく、自然に周囲の友人・知人・家族などに対してクチコミできるように、そのための環境やクチコミツールなどを提供してあげれば、彼らは楽しみながら、企業の代弁者以上の影響力でクチコミの伝播者となってくれるだろう。
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