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クチコミマーケティングの作法

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クチコミマーケティングの作法

「ウンチクはわかったけど、実際にはどう進めたらいいの?」という声が聞こえてきそうなので、現場で実際にクチコミマーケティングを企画する際、押さえておきたいポイントをクチコミマーケティングの作法としてまとめた。まずはこの作法をクチコミマーケティングのチェックポイントとして、常に念頭に置いておいてほしい。

実践クチコミマーケティングの作法6箇条
  1. 企業が招待客になる仕組みになっているか

    今までのプロモーションキャンペーンは、企業が招待者で、生活者が招待客だった。

    しかし、基本的にCGMを中心に展開されるクチコミマーケティングでは、企業は生活者のクチコミの輪の中に招かれる招待客になる必要がある。あくまでも、主役は生活者である。「お招きいただき、ありがとうございます」の感覚を忘れてはならない。

  2. クチコミの主戦場は決まっているか

    クチコミが伝播される場所は、大きく分けてホーム(自陣)とアウェー(敵陣)の2種類がある。ホームは自社が運営する企業ブログやキャンペーンサイトを中心としたもので、アウェーはブログやSNSなどCGMを中心としたものだ。

    クチコミは通常の広告と違い、完全にコントロールすることができないだけに、可能な限りホームで戦うことが望ましい。

  3. 自然とクチコミしたくなるBuzzabilityはあるか

    クチコミマーケティングを行う大前提として、「クチコミはそう簡単には発生しない」ということを理解する必要がある。

    そもそも、あなたの日常生活の中で、どこかのキャンペーンや何かの商品についてクチコミ(おしゃべり)することがどれほどあるだろうか。クチコミは、受け手の感情の振れ幅(ギャップ)の大きさによってのみ発生する。新規性や革新性など、Buzzability(バザビリティ:クチコミしたくなるような要素)があるかどうか、弱いならばどうプロデュースするかが成功の決め手となる。

  4. 伝えやすいワンワード(バイラルワード)は設定されているか

    クチコミは、非常にシンプルな言葉でしか伝播されない特徴をもっている。「AはBだからCと思われているが実はDである」といったややこしいストーリーは伝播されにくい。「Aはすごい」とか「Bで感動した」など非常にシンプルなストーリーにする必要がある。

    また、企業側で、あらかじめ受け手に伝播してほしいワードを設定しておくことが望ましい。世の中で伝播されるワードが統一されていれば、伝播スピードが速まるだけなく、一体感が生まれ、効果を高めることができる。

  5. CGMで拡がる仕掛けをしているか

    クチコミを拡げるためには、「友達に紹介するボタン」をつけるだけではなく、ブログやSNSなどのCGMでいかに伝播されるかを設計する必要がある。

    企業ブログやキャンペーンサイトなど、ホームを主戦場とする際においても、CGMとの情報の動線づくりが非常に重要となる。

  6. マスメディアとの連動は図れているか

    ネット上のクチコミ伝播は、ティッピングポイントを超えて一気にバイラルすることもあるが、すべてが大きなムーヴメントになるわけではない。

    限られた集団の中で拡がるネット上のクチコミを全国区の話題に押し上げるためには、マスメディアとの連動が欠かせない。

    SPR(Strategic Public Relations:戦略的PR)にせよ、広告にせよ、ネット上のクチコミ情報がマスメディアと連動し、露出されることによって、ネット上のクチコミ参画者は優越感を感じ、さらにクチコミの伝播者になっていく。

この変化を楽しめる人が生き残る

メディアや生活者の変化が多重構造的に起こっている以上、クチコミの観点がベースにないプロモーションプランニングは、価値が半減している。これからのプロモーションキャンペーンは、話題性のある「ストーリー」と、それをデリバリーする「テリング」のどちらかが欠けても、大きな成果が望めないと肝に命じてほしい。

これまで述べてきたように、クチコミマーケティングへの注目は、決して一過性の流行で発生しているのではなく、メディアや生活者ニーズの構造的変化によって生じているものである。生活者を「受け手」としてではなく、「伝播者」として捉え、そして購買行動の12段階モデルを念頭に置くことを、今後のマーケティングコミュニケーションを設計する際の出発点としてほしい。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.2』 掲載の記事です。

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