望ましいページが入口になっているかを把握する
望ましいページが入口になっているかを把握する
キーワード対策でもう1つ大切なのは、検索で入口になっているのはどのページかを把握することである。大半の企業は気付いていないが、重要なキーワードにおいて望ましくないページが入口となっていることは多い。古いニュースリリース、いち押しではない商品のPDF、会社案内の沿革のページなどがサーチエンジンで紹介されていることが多いのだ。それではコンテンツを増やしてSEO対策を行っても、成果は期待できない。別のページが紹介されるように調整してからSEOをしないと、せっかくやってきた訪問者なのにみんな帰らせてしまうことになるだろう。
サイトの効果に貢献している動線を強化する
資料請求が主な目的で、クーポンが貢献している場合には、
- 多くのページ → クーポン
- クーポンページ → 資料請求
データを見ながら有効な動線を強化するのだから、やみくもにリニューアルをするよりよほど効果が期待できるのだ。
効果につながるニーズを拡大する
Q&Aが資料請求に貢献している場合には、「どんなことを知りたい人が多いのか」というニーズがわかるので貴重だ。「商品Aの価格は?」といった項目の答を見た後で資料請求する人が多いなら、価格がリーズナブルだから資料請求したいのだろう。この場合、商品Aのページでもっと割安感を強調するといいだろう。
そんな都合のいい結果が見つかるはずがないと思うだろうか? 確かに、Q&Aからの動線が資料請求の参照元のトップになることはほとんどない。しかし、資料請求の参照元のリストを見れば、「Q&Aで一番多いのはこれだ」ということは確実に見つかるのだ。回数は少ないかもしれないが、それは「このニーズを無視していい」ということを意味しない。「もっと増やすことができるはず」と気付いたサイトが成功するのだ。
ではどうやって増やすか。今はQ&A 1項目のページがあるだけだとしたら、もったいない。この場合には動線を強化するよりも、そのニーズを持った訪問者自体を増やす方がいい。そのQ&A内容が、次に特集すべきコンテンツだ。そこに含まれる言葉こそ、SEOの対象とすべきキーワードだといえる。
サイトを充実させて同業他社サイトに差をつける
長所を見つける方法は、重要ページを対象とした解析だけではない。むしろ、長所を発見できるようにサイトを作ることが重要なのだ。
たとえば、「用語集」は長所探し、長所作りに最適なコンテンツだ。1ページ200文字程度の用語解説だけで作れるし、画像も必要ないので安上がりにどんどん作れる。アクセス解析をして、多数の検索訪問者を得られたページを発見しよう。その用語は、「検索ニーズが高いのに、ライバルサイトが少ない」分野を示している。その言葉を主役にしたコンテンツを充実させれば、同業他社サイトを寄せ付けない集客サイトを作ることができる。
用語集がいいのは、今自社商品が弱い分野まで含めて、業界の重要キーワードを幅広く、バランスよく含むコンテンツがすぐ作れるからだ。これを解析することで、何が求められているか調査することができる。
ウェブマーケティングでは、広告宣伝や販売促進には力が入るが、市場調査としてウェブを活用することがまだ少ない。マーケティングであるからには、調査して、効果的に宣伝するというサイクルを作り出すことが求められる。ウェブにおける調査はアンケートだけではない。むしろ、あるテーマでページを作ってそれを探す人がどれぐらいいるかを測定する方が有効だ。アンケートのように、プレゼントに当選したい心理が結果に影響を与える心配もない。大切なことは、ライバルに差をつけやすいコンテンツを発見できることだ。
なぜ売れないのか
商品ページとショッピングカートの関係
ショッピングサイトでは、売るための戦術を考えなければならない。これまでは「コンバージョンレート」という考え方があった。これは図3の計算式で求められる。
しかし、0.3パーセントという数字が出ても、それが多いのか少ないのか判断できないし、何をすれば増えるのかまったくわからない。この公式には「どうしたら増えるか」という要素が含まれていないからだ。
アクセス解析ではこれをさらに細分化して、表2のように見ていく。
訪問者数 | カートに入れた回数 | 売れた回数 | |
---|---|---|---|
商品A | 500人 | 100回 | 5回 |
商品B | 200人 | 50回 | 5回 |
商品C | 150人 | 20回 | 5回 |
商品Aはもっとも多く閲覧されているが、カートに入れる割合は訪問者の20パーセント。売れたのはカートに入れたうちの5パーセントとなっている。対訪問の購買率は1パーセントだ。商品Bは2.5パーセント、商品Cは3.3パーセントとなる。どれも同じ販売個数だが、率は商品Cが圧倒的にいい。もっと商品Cに合致するニーズを持った人をサイトへ導けば早く効果が出る。主力商品がAだとすれば、Aのページを改善する優先順位は高い。
現実には、ショッピングカートのシステムが悪く、カートに入れた回数を測定できないサイトが多く、悩みどころとなっている。システム開発を行うときには、後の戦術決定に役立つデータを取れるようにすることが肝要だ。
コンバージョンレートは総訪問者数と販売数という「始めと終わり」だけで算出するのが常識となっているが、アクセス解析ではその中間のデータを見ることで問題の所在がわかることが多い。
メッセージには、聞いてもらえるタイミングがある
ところで、今の例では、商品それぞれのコンバージョンレートは一番低い商品Aでも1パーセントとなっていた。サイト全体の0.3パーセントよりもはるかに高い割合だ。ではどこが悪いのか? そう、1万人の総訪問者数の割には、商品のページを見る人自体が少ないのである。ではこの9000人以上の人は何を見ているのだろうか。
改めて「よく閲覧されているページ」を見ると、次のような結果であった。
プレゼント 4,000人
プレゼント応募完了 3,500人
基礎知識 3,000人
商品一覧 2,000人
プレゼントで集客しているのだが、あくまでプレゼントに応募するだけで帰ってしまう人が多いようだ。また、商品一覧よりも「基礎知識」コンテンツに行ってしまった人が多いのも本末転倒となっている。
この場合には、応募が完了した「サンキューページ」で、「ご応募いただいた方にはこちらの商品を5%優待」といったメッセージを出した方がいいと思われる。
基礎知識も、見たいと思って来てくれているのに、無理に商品を見よといってクリックさせるのは難しい。むしろそれぞれの基礎知識内容のページから、「こうした考え方を実現するため、こんな機能を持った商品があります」と訪問者のニーズに沿った情報として商品を見てもらうことが大切だといえる
キーワードニーズを受け止められる
説明ページを追加する
まず、説明したい商品の特徴ごとにキーワード候補を拾い上げてリストにする。1つの特徴に3キーワードずつくらい出しておいて、前述の「キーワードアドバイスツール」を使って、その特徴に合致するニーズを持った人がどんな言葉で検索しているかを調べる。そして、求められている情報が含まれるようにページを設計し、商品説明ページを追加しよう。これまで箇条書きにしてきた内容を独立したページに載せるだけで、「その機能があれば助かる人」が訪問するようになる可能性が生まれる。欲しい人が集まるようになれば売れるのはごく自然なことといえる。
ここで盲点になりがちなのが、地名キーワードだ。たとえば全国に店舗やショールームを展開する会社の場合、「結婚式場 広島」「専門学校 金沢」といった地域限定で求める人を集めなければならない。ところが本部発信のウェブサイトでは、「店舗一覧」「教室一覧」といったリストの中に住所と名前だけがずらずら並べられているだけ、という形になる。そこでは地名キーワードをつけて検索されたときにまったく勝負できないサイトになっているのだ。ローカル企業のサイトにそれぞれの地名で負けては、このサイトの目標は達成できない。「サイトに来てほしい人は誰か?」を考えるとき、「広島で結婚式場を探している人」「仙台で」「札幌で」と各地の人を意識できているかどうかが重要なのだ。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.1』掲載の記事です。
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