Aggregator

動画活用で、自社のブランド価値を高める~岡三オンライン証券のオウンドメディア活用インタビュー(後編)

10 years 9ヶ月 ago

前編(動画を通じてユーザーとの双方向的な関係を築く取り組みについて)はこちら

グループ広報では伝えきれない、独自の情報発信にニュースリリースを活用

――始めに、岡三証券グループ全体の広報・マーケティング体制についてお聞かせください。

石黒:グループ全体の広報体制については、親会社である岡三証券のグループ広報部が取りまとめています。当社も含めた各事業会社はその部署と連携しつつ、独自の情報発信も行っているという形ですね。

岡三証券グループとしての発信はIR的な内容が中心ですが、当社では新商品やキャンペーンの告知といった情報発信を独自で行い、外部への拡散手段として「News2uリリース」を活用しています。

――岡三オンライン証券の広報体制についてはいかがですか?

石黒:お客様に提供する投資情報は、武部が部長を務める投資情報部が担当し、動画や各種レポート、Twitterなどを通じて発信しています。一方で、コーポレートのパブリシティは経営企画部が主管する広報セクションの担当。

そのなかで、新商品やキャンペーンなどのPRは営業推進部が企画し、作成したプレスリリースを経営企画部が取りまとめ、兜倶楽部への投函などを行っています。

――投資情報部や経営企画部、営業推進部それぞれでKPIや目標とするゴールはありながらも、お互いに連携して進めているという。

石黒:そうですね。広報におけるKPIはなかなか見えづらく、いかに成果を上げていくかについては難しい部分もあります。以前はマスメディアへの掲載による認知度向上を主眼に据えていました。今は、情報をいかに伝播させて自社サイトへ呼び込み、最終的にお客様になっていただくかを重視しています。

また、当社の取締役社長である大杉が広報出身ということもあり、広報の重要性は常々指示されています。そのため、スムーズな部署間連携のもと、ニュースリリースを通じた情報拡散にも注力しています。

岡三オンライン証券株式会社 投資情報部 次長 石黒氏

岡三オンライン証券株式会社 投資情報部 次長 石黒氏

フックとして「ここでしか見られない情報」を

――御社では動画が重要な情報発信ツールとなっていますが、視聴者層は既存・新規でどのような比率になっているのですか?

石黒:平常時だと、当社のお客様である既存が約7割、新規が3割ほどのイメージですね。ただし、金融市場の急変時にはアクセス数が通常の2~3倍に跳ね上がりますし、その比率も全然違ってきます。投資情報は社会情勢など外部要因に大きく左右されるため、アクセス解析などの調査は非常に難しいというのが正直なところです。

武部:しかし、それは同時に、急激な動きがあった際に「岡三オンライン証券なら独自見解を出しているのでは」と皆様に思っていただけているからではないでしょうか。そういう意味では、これまで毎日動画を公開し、ニュースリリースで配信し続けてきた積み重ねがあるからこそだと感じています。

――既存や新規を問わず、幅広い層の情報ソースになっていると。

武部:そうだとしたら、非常にありがたい話ですね。さらに言うと、動画を見たマスメディアの方からもよくお問い合わせをいただきます。マスメディアとのリレーションがあれば我々もより有益な情報を得られますし、それを投資家の皆様にも還元することができます。

石黒:実際、当社の取引画面にログインしていただければ、質・量ともに他社に引けを取らない岡三証券グループ独自の情報はごまんとあります。その魅力に気づいていただくフックとして、動画を毎日配信したり、ログイン後の限定情報に引けを取らないレベルのレポートを自社サイトのトップページで公開するなど、積極的な情報提供を心がけています。

岡三オンライン証券株式会社 投資情報部長 兼 シニアストラテジスト 武部氏

岡三オンライン証券株式会社 投資情報部長 兼 シニアストラテジスト 武部氏

――自社の魅力を伝えるために、さまざまなメディアを駆使されているのですね。

石黒:はい。ただし、最も大切なのはバランスです。例えば、動画は臨場感や速報性に優れている反面、内容を理解するためには全部視聴する必要がある。一方、紙媒体は通勤電車のなかでも素早くチェックできるという一覧性に優れています。

どんなメディアにも一長一短があるため、情報発信を特定のメディアに偏らせるのではなく、各々のメリットを上手にミックスさせながら発信していくことが必要です。

良質なコンテンツ×ニュースリリースの拡散力でキャッチアップ

――「News2uリリース」ではブログの更新や新規コンテンツなど、何らかのトピックがあるとニュースリリースを出すケースはよくありますが、毎日配信するコンテンツに対して一本一本丁寧に出すというのは前例がありません。

石黒:どれほど魅力的なコンテンツを作っても、ターゲットに気づいてもらえなければ意味がありません。今は、何かあると皆、インターネットで検索し、ソーシャルメディアなどを通じて伝播していく。そこの流れへ情報を載せていくためには、やはりニュースリリース配信などのひと手間をかけるべきだと考えています。

――「News2uリリース」をご活用いただくようになったきっかけは何ですか?

石黒:「News2uリリース」を導入したのは2008年。当時は、プレスリリースをマスメディアで記事にしてもらうという従来のやり方から、いかにニュース系のサイトへ載せるかという流れに変わってきた時代でした。

そこで、ニュースリリース配信サービスを比較した結果、大手メディアへの掲載や拡散力の面から「News2uリリース」の採用を決めたのです。情報拡散のツールとしてはTwitterやFacebookも利用していますが、基本的には「News2uリリース」がメインですね。

武部:毎日、高頻度でニュースリリースを配信していますが、少し気にしているのは、あまり量を出しすぎるとスルーされてしまうのではないかということ。そこは逆にお聞きしたいところです。

――ソーシャルメディアの普及などWebコンテンツ全体の数の増加により情報量が急増する近年、情報を出し続けなければあっという間に埋もれてしまうという現実があります。しかし一方で、量だけではなく質も大事だという流れになってきているのも事実です。

最も重要なのは、良質なコンテンツを作り、ニュースリリースなどの拡散手段を通じていかに多くの方々へ、どう訴求していくかという組み合わせにあると考えています。

石黒:おっしゃる通りだと思います。「日替わり武部」のように長く続けていくためには、方向性や伝える内容がユーザーのニーズに合っているという「質」が大事です。

その上で、インターネット上にあふれる情報のなかで見つけてもらうために、ニュースリリースを通じて幅広く発信し続けていく。そうすることで固定ファンを獲得し、企業のブランド価値を高めることにもつながっていくのだと思います。

written by ネットPR.JP

ネットPR.JP 関連記事

「スイーツ × テクノロジー」を軸に買う理由を可視化し、顧客体験を最大化するデジタルマーケティング~BAKEのオウンドメディア活用インタビュー~(前編)

Twitterマーケティングのお助けツール「Twitterアナリティクス」を解説

自社から発信するあらゆるものをオウンドメディアと捉える「拡散型マーケティング」~ ニューバランス ジャパンのオウンドメディア活用インタビュー

crevoAdmin

Yahoo!、GoogleなどのIDでログインできる機能を追加、マガシーク

10 years 9ヶ月 ago
会員登録の手間を省き、新規ユーザー獲得につなげる

マガシークは12月16日、ファッションECサイト「MAGASEEK」でヤフーIDなど5種類の他サービスのIDでログインできる機能を追加した。他サービスとID連携をすることで会員登録の手間を省く。新規ユーザーでもスムーズに買い物ができるようにし、新規ユーザーの獲得につなげていく

今回、「MAGASEEK」でIDを連携するのは以下の5種類のサービスID。

  • dアカウント(NTTドコモ)
  • Facebook
  • Twitter
  • Google
  • Yahoo! JAPAN

なかでも、グループのNTTドコモとの連携を強化。今後、注文代金の支払いに「dポイント」で支払うことを可能にするほか、代金を携帯利用料金と併せて支払いができる「dケータイ払いプラス」サービスの導入も予定している。

サイト下部に他サービスのIDでログインできることを表示

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

nakagawa-m

2回目以降の買取時の本人確認書類の提出を不要化、シュッピン

10 years 9ヶ月 ago
ID・パスワードを発行し、2回目以降の取引時に入力する仕組みを採用

新品・中古カメラのECを行うシュッピンは12月15日、2回目以降の取引(買取・下取)の際に本人確認書類の提出が不要になる「買取リピーター」の提供を開始した。簡易に買取を行える環境を提供することで、買取を促進させる考え。

シュッピンが運営する公式ECサイトで取引(買取・下取)が完了すると、ECサイトからユーザー専用のID・パスワードを発行できるようになる。2回目以降の取引時に、発行されたID・パスワードをECサイトで入力することで本人確認書類の提出、住所確認が省略できる。

非対面取引では、本人確認および住所確認が古物営業法で義務付けられている。従来は非対面で買取・下取を行う場合、その都度、本人確認と住所確認を行っていた。

シュッピンが発行するID・パスワードは、カメラ専門店「Map Camera」、時計専門店「GMT」、筆記具専門店「KINGDOM NOTE」、ロードバイク専門店「CROWN GEARS」で共通して利用できる。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

nakagawa-m

ヤフーはシニア向けECでも“eコマース革命” 高齢者向け特化のECアプリ「らくらく通販」

10 years 9ヶ月 ago
60歳以上の人に対するユーザーインタビューを重ね最適なUIを構築した

シニア向け通販でも「eコマース革命」を――。ヤフーは12月16日、シニア層をメインターゲットとした特化型通販アプリ「らくらく通販」の提供を始めた。まずはAndroid版から公開。iOS版も近日中に公開予定。

通販・EC業界では富裕層が多く、ネットを使いこなす人が増えているシニア市場に注目する企業が増えている。

ヤフーは60歳以上のシニア層とインターネットに不慣れなユーザーをメインターゲットにしたショッピング用アプリを開発。60歳以上の人に対するユーザーインタビューを重ね最適なUIを構築したという。

「らくらく通販」は「Yahoo!ショッピング」を買い物環境を簡単にしたもの。「米や水のような重いものや、普段の日用品のお買い物を簡単にアプリでできるようにすることで、シニアへの課題解決をし、EC率を高める」ことを目的としている。

ヤフーはシニア向けECでも“eコマース革命” 年配層向け特化のECアプリ「らくらく通販」①
「らくらく通販」のトップページ
ヤフーはシニア向けECでも“eコマース革命” 年配層向け特化のECアプリ「らくらく通販」②
商品詳細ページ

「らくらく通販」の主な特徴は次の通り。

  • 大きな文字とわかりやすい文章
  • 進む、戻るのシンプルな動線
  • ボタンをタップしたことがわかりやすい配色
  • 購買履歴からおすすめ商品を表示
  • 以前購入した商品の表示ボタンを設置
  • シニア層がよく検索しているキーワードを表示
  • ストアへの電話がすぐにできる
  • 「スマートログイン」対応でかんたんログイン(SoftBankのスマートフォン・タブレットに限る)
  • 4万店舗以上のストアでのキャリア決済(SoftBankのスマートフォン・タブレットに限る)

こうした機能を搭載し、ユーザーがネットショッピングを利用する際の利便性の向上や不安解消をめざしているという。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

takikawa

トライステージ、インドネシアのテレビ通販支援事業に参入

10 years 9ヶ月 ago
インドネシア現地でテレビ通販向けに商品卸を行うMERDIS社に出資

トライステージは12月16日、インドネシアのテレビショッピング向け商品卸事業を行うPT MERDIS INTERNATIONAL(MERDIS社)の株式26%を取得し、インドネシアでテレビ通販支援事業を開始した。アジア圏におけるテレビ通販市場の急速な成長を見込むトライステージはこれまで、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、台湾で通販支援事業に取り組んでおり、インドネシアで6か国目となる。

MERDIS社は2007年設立。インドネシア最大規模のテレビ局であるSCTVグループに対し、テレビショッピング向け商品卸を展開。テレビ通販市場における豊富な実績やノウハウを構築している。

トライステージはMERDIS社の株式を取得し、インドネシアの有力なテレビ局への販売チャネルをトライステージのクライアントへ提供することが可能になる。

また、トライステージが持つテレビ通販のノウハウをMERDIS社に提供。インドネシアでのテレビ通販支援事業をスムーズに拡大することが可能になるとしている。

今後は経営権の取得も視野に入れ、積極的に現地でのビジネス拡大を図る考え。

ビジネスフロー概略

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

nakagawa-m

アンルーリー、動画広告の拡散率を事前予測

10 years 9ヶ月 ago
アンルーリーが、ビデオ広告のシェアされる割合を配信前に予測するサービス「ShareRank」を日本でも提供。
------------------------------
Unruly Launches Algorithmic Tool To Predict Emotional Impact Of Japanese Ads
https://unruly.co/news/article/2015/11/11/video-ad-tech-company-unruly-launches-new-algorithmic-tool-to-predict-emotional-impact-of-japanese-ads/
------------------------------

広告規制の強化は見送りへ。通販・ECの業界人は知っておくべき特商法改正の最新動向 | 徹底追跡 消費者契約法・特定商取引法の見直し動向

10 years 9ヶ月 ago
広告の規制強化などを検討していた特商法専門調査会が12月14日に取りまとめた最新の報告書について解説

通販・ECサイトの運営に混乱を招く可能性が懸念された特定商取引法の見直し論議で、モールなどを含めた通販・ECの広告に関する規制などが見送られることになりそうです。議論を進めていた内閣府消費者委員会特定商取引法専門調査会(特商法専門調査会)は、通販・EC関連の規制について「見送り」という方向で報告書の取りまとめを進めています。特商法専門調査会が出した12月14日時点での報告書案の内容とは? 広告業界に携わる人、通販・ECに関わる人は要チェックです。

最大の懸念点だった広告への取消権付与は見送りへ

内閣府消費者委員会特定商取引法専門調査会で議論されていた、通販・ECに関わる主な見直しは次の通りです。

通販・EC業界、広告業界から最も注目された論点は、「虚偽・誇大広告への取消権の付与」という議論でした。

もともとは悪質な事業者を排除するために始まった「虚偽・誇大広告への取消権の付与」の議論ですが、改正によって健全な事業者が大きな影響を受けてしまう可能性が浮き彫りとなりました。

広告規制の強化は見送りへ。通販・ECの人は知っておくべき特商法改正の最新動向①
調査会が示した「通信販売の『誇大広告』に関する商品・サービス別苦情相談件数」だが……

特商法専門調査会は、「近年の市場規模の拡大に伴い、通信販売における苦情件数が増加してきており、特にインターネット通販において苦情件数の増加が著しくなっている」と指摘していましたが、虚偽・誇大広告に関する苦情相談は通販全体でも2009年から横バイないし微増というのが実情。

こうした調査会の提示した資料について、公益財団法人日本通信販売協会は、「第1回の専門調査会において指摘した通り、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)データにおいて、通販の苦情相談25万件のうち7割がネット通販に関するもので、さらにその7割はアダルトサイト情報、出会い系サイトに関するものであり、いわゆる物販を中心としたネット通販は約5パーセントにすぎない。第14回、第15回と2回にわたり、PIO-NETデータに関する信頼性等について議論があったが、消費者の一方的主張の記録にとどまるものが多く、寄せられた苦情相談の内容についてはさまざまな問題、課題があることが指摘された」と説明しています。

たとえば、「実際に手に取った商品は通販サイトで見たものとイメージが違う」といったことで虚偽・誇大広告による取消権を求めてくるケース。企業にはそれに対処するためのコストや労力が発生し、正常な事業活動を阻害してしまう可能性があります。

消費者がある広告を“虚偽・誇大広告”と判断するには明確な要件がありません。また、広告が消費者の契約締結の意思形成に影響を与える度合いは人それぞれであり、一律に取消権を付与することは取引上、大きな混乱を招く恐れがあるという指摘があがっていました。

広告規制の強化は見送りへ。通販・ECの人は知っておくべき特商法改正の最新動向② 消費者が自ら求めないのに、突然、勧誘を受けるもの 訪問販売 自宅への訪問販売、キャッチセールス、アポイントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出して販売)等 電話勧誘販売 電話で勧誘し、申込を受ける販売 事業者と対面して商品や販売条件を確認できないもの 通信販売 新聞、雑誌、インターネットなどの広告による場合など、郵便、電話等の通信手段により申込を受ける販売 長期・高額の負担を伴うもの 特定継続的役務提供 長期・継続的なサービスの提供とこれに対する高額の対価を伴う取引(エステ、語学教室、家庭教師、学習塾など) ビジネスに不慣れな個人を勧誘するもの 連鎖販売取引 個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・サービスの販売 業務提供誘引販売取引 「仕事を提供するので収入が得られる」と誘い、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を追わせる取引
特定商取引法が規制対象とする取引類型(消費者庁の資料をもとに作成)

虚偽・誇大広告への取消権の付与について

全体としては意見の一致を見なかった。特定商取引法に基づく表示義務の徹底や、虚偽・誇大広告に対する厳格な執行を行いつつ、平成26年に改正が行われた不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)の執行・運用状況や消費者契約法の適用の状況等も踏まえながら、必要に応じて、検討が行われることが期待される。

12月14日に行われた第17回特商法専門調査会ではこのような結論が下されました。

わかりやすい例で示すと、広告(ECサイトの商品紹介ページやネット広告、チラシやカタログなども含まれる)に記載された商品イメージや情報と、実際に手元に届いた商品が“まったく違う”と消費者が主張した場合、“虚偽・誇大広告”として注文を取り消せるようにしようと見直しが進められていました。

これは、消費者契約の中で通信販売だけ標的として問題に取り上げ、見直しが進められてきたのです。

このような法改正が実現されると、消費者は合理的な根拠を示さずに独自の主観だけで不当表示であることを主張すれば、簡単に商品の返品要求ができるようになるわけで、通販・EC事業者にとっては返品特約を表示する意味がなくなってしまう事態も考えられたのです。

虚偽・誇大広告に関するトラブルが格別多いわけでもないのに、販・ECだけが標的にされた格好であり、業界内からは「民法(詐欺、債務不履行、不法行為)で対応すべきであり、特商法の通信販売にそのような規定を導入することには反対」という声があがっていました。

さて、今回の取りまとめでは「必要に応じて検討が行われることが期待される」と言及されています。

「次の改正」があるかどうかは不明ですが、特にネット通販は右肩上がりの産業ですので何かトラブルが発生すれば、消費者団体などから「やっぱり規制強化すべき!」という声があがってくるでしょう。消費者契約法の「勧誘」概念の拡大に関する議論も主にネット通販を念頭に置いたものと思われますので、引き続き注視する必要があります。

この問題を追い続けている一般社団法人ECネットワークの沢田登志子理事は次のような言葉を、広告や通販・ECに関わる事業者に投げかけています。

事業者の皆さん今までも十分気を付けていると思いますが、今後は、ターゲティング広告なども含めて、広告全般の記載や広告そのものの振る舞いに一層気を付けて欲しいです。規制強化のきっかけは“悪質な事業者”ですが、「自分たちは真面目にやっているから関係ない(こんな議論は迷惑なだけ)」ではなく、業界全体の努力で悪質な業者を市場から排除する、といったことも考えて、声を上げて欲しいです。

広告規制の強化は見送りへ。通販・ECの人は知っておくべき特商法改正の最新動向③
第1回 特商法専門調査会の様子

通信販売事業者への表示義務事項の追加

経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会が取りまとめた割賦販売法の見直しで、加盟店契約を行うカード会社(アクワイヤラー)と決済代行会社に登録義務が課されることになりました。

これを受けて、特商法表示義務事項に、ECサイトが加盟店契約を締結している「アクワイヤラー・決済代行会社に関する情報」を追加する、といったことが論点になっていましたが、今回はこれも見送られました。

ショッピングモールへの規制

直ちにインターネットモール事業者に対して特定商取引法上の特別な義務を課す必要はないと思われる。今後、自主的な取組の成果やトラブルの推移等を見ながら、必要に応じて、別途検討を行うことが期待される。

特商法専門調査会が出したインターネットモール事業者の取り扱いに関する結論です。

第1回特定商取引法専門調査会では、モール事業者の取り扱いについて、次のようなことなどが課題としてあげられていました。

  • モールショッピングなどインターネット取引の場の提供者は、加盟店である販売業者の実在性確認義務や苦情発生時の適切処理義務などの加盟店調査義務を定めるべきである。
  • インターネットモールの運営事業者に対して、加盟店管理などの責任があることを法定できないか。

EC事業者全体で健全な市場を形成していきませんか

今回の特商法専門調査会報告書(案)に対して、JADMAは次のようなメッセージを発しました。

報告書案では自主規制団体としての当協会に対して、勧誘に関する自主規制の徹底を求められているが、業界団体だけではなく、関係する団体すべてが一体となり連携し努力することが求められるのではないか。そのことによって、非会員企業に対しても法令遵守を徹底させることができるのではないか。

また、行政機関等とそれらの取り組みの効果を検証する制度設計を行うことが期待されるとあるが、自主規制の効果のためにいわば公的機関の監視のもとにおくという体制を設計することは本末転倒である。むしろ関係団体が連携し情報交換等を通じて、悪質業者を排除していくことが重要ではないか。

これは、報告書案に記載された訪問販売および電話勧誘販売の勧誘に関する自主規制に対して、JADMAが公表した意見ですが、広告や通販・ECに携わる事業者は留意しておきたいことです。

広告規制の強化は見送りへ。通販・ECの人は知っておくべき特商法改正の最新動向④
JADMAの佐々木迅会長は新年賀詞交歓会で特商法の改正に触れ、「通販業界にとっては重要な年になる」と述べていた

たとえば、「虚偽・誇大広告への取消権の付与」に関する議論。もともと法改正の意図は悪質な事業者を排除するためのものなのですが、その一部の悪質業者を規制する法律により、健全な事業を手がける多くの事業者がダメージを受けてしまう可能性が出てきます。

健全な事業者は取消権など導入せずに、帰責性がなくても返品に応じるケースがあります。体力のある大手企業などでは十分な対応ができると思われますが。取消権が付与された場合に体力の乏しい企業はどうすればいいのでしょうか。

JADMAでは、次のように説明しています。

中小事業者に対して法律によって大手と同じ対応を強いる結果となれば、通販市場を支えている数多くの事業者が市場からの撤退を余儀なくされる。流通において通販業界は一貫して市場を拡大してきており、ネットの出現により更なる飛躍を遂げようとしている。しかるに、立法事実のないままこのような法規制が強化されることは、今後の経済の活性化、産業振興の観点から強く反対するものである。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

ヤフーが一休にTOB、Yahoo!ショッピングやトラベルと一休のサービスを連携へ

10 years 9ヶ月 ago
一休のサービスへヤフーユーザーを送客するなどして収益基盤を強化するとしている

ヤフーは12月15日、オンライン予約サイト「一休.com」を運営する一休の完全子会社化をめざし、TOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。買収額は1000億円超。

「Yahoo!トラベル」「Yahoo!予約 飲食店」「Yahoo!ショッピング」など、ヤフーが提供するEC関連サービスの利用者に対し、一休が運営するサービスを提供するなどして、シナジーを生み出す。ヤフーユーザーを一休のサービスへ送客するなどして収益基盤を強化するとしている。

筆頭株主である一休の森正文社長、第二位の森トラストはすでにTOBの応募に関する契約を締結している。買付予定数は2923万8300株で、下限は1949万2200株。応募株式が下限に満たない場合は買い付けを行わない。

ヤフーが一休をTOB、Yahoo!ショッピングやトラベルと一休のサービスを連携へ

一休の予約サービスなどは413万人超が利用している(画像は編集部がキャプチャ)

一休は2000年に「一休.com」を開設。現在の会員は413万人(2015年9月末時点)を超えている。高級ホテル・高級旅館に特化したオンライン予約サイトのほか、ギフトチケット販売サイトなどを運営している。

瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販、ECに関する業界新聞の編集記者を経て、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、EC業界に関わること約9年。まだまだ、日々勉強中。

takikawa

スタートトゥデイがファッションフリマアプリ「ZOZOフリマ」の提供を開始

10 years 9ヶ月 ago
運営は「STORES.jp」を提供するブラケットが担う

スタートトゥデイは12月15日、ファッションフリマアプリ「ZOZOフリマ(ゾゾフリマ)」の提供を開始した。グループ会社で無料オンラインストア構築システム「STORES.jp」を提供するブラケットが運営を担う。スタートトゥデイの各種サービスと連携し、2016年3月期に流通額35億円をめざす。

「ZOZOフリマ」に出品された商品は「ZOZOTOWN」の「フリマ商品」コーナー掲載される。

「ZOZOTOWN」で商品を検索した際、検索結果ページに「新品」「古着」と並び「フリマ商品」と表示する仕組みで設計。「ZOZOTOWN」を訪れるファッション好きユーザーに対して商品を露出する。

また、「ZOZOTOWN」やファッションコーディネートアプリ「WEAR」の商品情報・画像を使用して出品することが可能。写真撮影や商品情報(ブランド名・価格・サイズ・カラー等)の詳細入力など、面倒な作業がなく出品できる。

「ZOZOTOWN」や「WEAR」 とID 連携すると、「ZOZOTOWN」で過去に購入したアイテムや、「WEAR」のクローゼットに登録しているアイテムから売りたい物を選択して出品できるようにした。簡単に出品できる環境を提供する。

決済はスタートトゥデイが間に入り、入金確認後に支払いを行うエスクロー決済を採用。利用者間において直接代金のやり取りを行わない仕組みを作り、安心して売買できる環境を用意した。商品が落札された際、落札代金の10%が手数料として引かれ、入金される仕組み。

「ZOZOTOWN」や「WEAR」のユーザーの誘導を図り、ユーザーを拡大させる。「『ZOZOUSED』の売上高が現在70億円だが、早い段階でこれを超えられるように事業を拡大していきたい」(ブラケット広報)としている。

ブラケットの光本勇介社長(左)スタートトゥデイの澤田宏太郎取締役

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

nakagawa-m

“Deep Link”を活用したユーザーおもてなし術 ~継続的に使用されるアプリの仕組みとは~株式会社アイレップ スマートフォンアプリプロモーション室 齋藤七恵

10 years 9ヶ月 ago
ダウンロードされたものの1ヶ月後に使われなくなるアプリはなんと全体の95%に及ぶ。
「アプリを継続的に使ってもらう仕組み作り」として具体的に何をすればいいのか?
その施策の土台となる「Deep Link(ディープリンク)」についてGoogle の最新動向を交えながらご紹介する。

ネット広告代理市場は7600億円規模。2014年度は16%増で2年連続となる2ケタの伸び

10 years 9ヶ月 ago
4マス広告からネット広告へのシフトや業績好調企業のボトムアップが要因

ミック経済研究所が12月11日に発表した調査結果によると、2014年度のネット広告代理市場の総市場規模は前年比16.0%増の7600億円となった。2年連続で2桁成長を遂げた。クライアント企業の広告予算が4マスからネット広告へシフト。業績が好調な企業による広告予算のボトムアップが最も大きな要因だと分析している。

ネット専業広告代理店と総合広告代理店の主要56社に対し面接取材、IRデータ、電話取材などで調査。主要ネット広告代理事業者の市場規模とそのトレンド分析をベースに、総市場の拡大集計を試みた。

ネット広告市場は、毎年新しいアドテクノロジーを駆使した広告種類が登場。クライアントにとっては広告効果(成果)と予算を連動させやすく環境が進み、今後も市場が拡大すると見ている。

2015年度以降はネイティブアドの代表格としてインフィード広告が浸透すると予測され、ソーシャル広告もSNSの拡大に後押しされて大きく市場を伸ばすことが考えられるとしている。

新商材の登場に加え、2020年には東京オリンピックを控えているため、市場は順調に拡大することが予想される。2015年度以降、2018年度までの総市場は年平均15.2%増と好調に推移するとミック経済研究所では予想している。

中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

nakagawa-m

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る