ネットショップ担当者フォーラム

ABCクッキングスタジオが量子コンピュータでECサイトのメルマガ配信業務を最適化した事例 | 電通デジタル 特選コラム

4 years 11ヶ月 ago
属人化している業務をMAで効率化することは可能なのか? D-Wave Systems製の量子コンピューターを活用したABC Cooking Studioの取り組み。
ABCクッキングスタジオ、次世代テクノロジー「量子コンピューター」の導入で、メルマガ配信の最適化を実現

生活者を取り巻く環境のデジタル化が進んでいく中で、革新的なマーケティングを遂行していくためには、マーケターによるテクノロジーの理解が必要不可欠です。

テクノロジーによって、どのような新しい顧客接点を生むことが可能なのか。既存業務をどのように変革させることができるのか。デジタル化された業務を具体的にイメージできるようなテクノロジー理解がマーケターにとってますます重要となっていくはずです。

電通デジタル デジタルコンサルティング事業部は、5年先、10年先を見据え、どのようにすれば次世代テクノロジーをスムーズにマーケティング業務に導入・活用できるかについて、研究開発を行っています。

本コラムでは、電通デジタルが、次世代テクノロジーの一つである量子コンピューター活用に強みを持つblueqat株式会社(以下、blueqat社)と協力し、株式会社ABC Cooking Studio(以下、ABC社)にて量子コンピューター(D-Wave Systems製マシン)を導入、メルマガ配信業務を効率化した活用事例を紹介します。量子コンピューターの導入を例に、先端テクノロジーがどのように業務活用可能となるのか解説していきます。

次世代テクノロジーとしての量子コンピューター

量子コンピューターは、量子力学を応用し、デジタルデータの原理を拡張した次世代のコンピューターです。粒子としてのビットと波を任意に切り替えて計算することで、従来型コンピューターを大きく上回る高速な処理が可能となります。

2019年には、Google のAI量子チームが開発している量子コンピューターが、最新のスーパーコンピューターを使っても1万年かかる処理を、約200秒で終えたとする論文が発表されました[1]

膨大な処理を高速で行える量子コンピューターへの期待は各方面で高まっていますが、まだハードウェアやプログラミングに関する課題も多く、一般的に実用化されるまでには至っていません。量子コンピューターが発展途上であり、次世代と言われるゆえんです。

と、ここまで一部技術的な解説をしましたが、マーケターの方がこのような説明を聞いたとしても、具体的なマーケティング業務への活用イメージを考えることはなかなか難しいのではないでしょうか。

実際、次世代テクノロジーとして発展途上である量子コンピューターは、ビジネスへの活用という面では明確な答えは出ていません。マーケティング業務へどのように活用できるのか、まだまだイメージしにくい現状があります。

電通デジタルでは、クライアント企業のご協力のもと、量子コンピューターのマーケティング活用の実証実験を行い、業務とテクノロジー双方の理解の溝を埋めることで、発展途上である先端テクノロジーを用いたとしても業務変革が可能であることを検証したいと考えました。

量子コンピューターを活用したMA導入事例

今回、共同での実証実験にご協力いただいたABC社は、料理教室の全国展開および調理用雑貨などの販売を主な事業としている企業です。

ABC社では、ECサイト「ABC Cooking MARKET」を展開しており、オリジナル手作りキットやキッチンアイテムを販売しています。

ABC Cooking MARKET

サイト会員に対しては、メルマガを通じた販売促進施策を実施していますが、毎週4回配信されるメルマガの作成を手作業で実施しているため、業務量の多さに頭を悩ませています。またメルマガ本文作成についても、担当しているマーケターの知識と経験則により試行錯誤しながら決定しており、業務が属人化しているため、業務量に合わせた増員も容易にできないなどの課題を抱えていました。

そういった課題に対し、ECサイト担当者は以前よりメルマガ配信業務へのMA(Marketing Automation)ツール活用を考えていましたが、マーケターの知識と経験をテクノロジーに置き換えた場合、メルマガの施策効果に悪影響が出ないか、不安の声がありました。またテクノロジーを理解するのが難しいということも、不安要素の一つとなっていました。しかし、現実にマーケターがこなせる業務量は限界を迎えており、早急な対応が必要となっていました。

これに対し電通デジタルは、ABC社の課題を解決するため、メルマガ配信業務へのMA導入をスピーディーに進め、その効果を見極める実証実験の提案を行いました。

導入するテクノロジーとして、今回はあえて実験的に、より理解の難しい先端テクノロジーである量子コンピューターを選択。マーケターが先端テクノロジーを自分ゴトとして理解し、マーケティング業務の質の向上に寄与できるようになるかどうかを検証ポイントの一つとしました。

今回導入したのは、カナダのD-Wave Systems, Inc.(以下、D-Wave社)の量子コンピューターです。メルマガ配信業務を量子コンピューターによって高度化するためのアーキテクチャーは、下図のように、AWS(Amazon Web Services)上のデータ蓄積基盤を仲介した構成としました。

  • 行動データとコンテンツデータをAWSに収集する
  • メルマガ本文の最適化に必要な計算処理部分を、AWSから量子コンピューターに問い合わせる
  • 量子コンピューターが計算した結果をAWS上に戻す
  • AWSから計算結果をメールシステムにフィードバックし、メルマガを配信する

 

このように構築した仕組みを用い、メルマガ本文の最適化を実施。2019年12月から翌年1月にかけて実証実験として運用を行いました。結果として、今までマーケターの経験則をテクノロジーに置き換えたとしても、問題なく業務オペレーションを回すことができ、「メルマガからECサイトへの誘導率」「ECサイトでの商品売上額」は、前月比、前年比で見ても遜色のない成果を出すことができました。

それまでは、マーケターの知識と経験に基づき毎日時間をかけて悩み意思決定していた業務が、量子コンピューターが瞬時に最適化をかけてくれることにより、業務が効率化され、さらに付加価値の高い業務へ移行できる時間が確保できる結果となりました。

今回の検証効果は業務効率化だけではありません。マーケターが先端テクノロジーを自分ゴトとして理解できたことで、思考と発想が促され、今後のテクノロジー応用の可能性を大きく拡げることができました。

例えば、メルマガ本文だけでなく、メールタイトルなどの文案自動生成、配信時刻・配信本数の最適化、商品在庫数の最適化など、メルマガ業務のつながりだけでなく、商品企画段階にもテクノロジーからのフィードバックができるのではないか、といったアイデアが多数出されました。

量子コンピューターであれば、従来型コンピューターでは解けないような、変数が多く演算処理が膨大になるような複雑な課題を処理することが可能となるはずです。今回のメルマガ最適化のように特定の領域へのテクノロジー応用だけでなく、他のさまざまな領域へも応用したいという考えも生まれてきています

量子コンピューターでどんなことが実現できるのか

今回の実証実験は、量子コンピューター向けのソフトウェア開発キットの提供や機械学習を用いたソリューションに強いblueqat社と協力し、実施しました。次世代テクノロジーである量子コンピューターを用いて、現段階では発展途上であるテクノロジーであっても、既存の業務変革やデジタルトランスフォーメーション(DX)に活用できるということを証明できました。

量子コンピューターには、従来型コンピューターでできなかったことの実現が期待されているのと同時に、誰も考えつかないような未知への活用法への期待も高まっています。電通デジタルではblueqat社と共同で、他の分野への次世代テクノロジーの活用や社会課題の解決を目指しています。

日々業務をこなすことに忙しいマーケターが、次々と生まれ進化していくテクノロジーをウォッチし続けることは非常に難しい現状があります。そのようなマーケターとテクノロジーの間に存在する溝を埋め、マーケティングのデジタル化を推進していくことがわれわれ電通デジタルのミッションでもあります。

電通デジタルでは、量子コンピューターに限らず、マーケターが先端テクノロジーを使いこなし業務を変革していくお手伝いを数多く実施しています。本コラムや本実証実験のような事例が、そのようなマーケターのお役に立つことができれば幸いです

出典
1. ^ "Quantum supremacy using a programmable superconducting processor".Nature.(2019年10月23日)2020年9月21日閲覧。

※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです

この記事のオリジナル版はこちら

電通デジタル
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モール依存から自社EC売上比率5割のカギは「ブランディング」。家具EC「LOWYA」の自社ECシフト&SNS活用などの大改革事例

4 years 11ヶ月 ago
モール依存の状況から、自社ECサイト売上を約5年で全EC売上の約5割に引き上げたベガコーポレーション。取り組んだブランド構築、SNSを自社ECサイトの資産として生かす独自のUGCマーケティングなどを解説
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モール依存の状態から約5年で自社ECが全EC売上の約5割に――。家具・インテリアブランド「LOWYA(ロウヤ)」を運営するベガコーポレーションがここ数年、注力してきたのが、自社ECサイトの強化、「LOWYA」ブランドの確立と浸透である。物流クライシスなどの影響によって2019年3月期の営業損益は赤字に転落。約5年の期間を要した自社EC強化の成果が出始めた1年後の2020年3月期、見事に黒字転換した。

自社ECシフトによって筋肉質な収益体制が築いた「LOWYA」が取り組んだブランド構築、ブランド価値を高めるために活用するSNSをフローコンテンツではなく自社ECサイトの資産として生かす独自のUGCマーケティングなどの施策に迫る。写真:吉田浩章

モール内の競争激化と価格競争を経て、自社ECサイトを再構築

家具の商品企画から販売を一気通貫で行うD2C型の家具ECを手がけるベガコーポレーション。2004年に創業、ドロップシッピングでの家具販売をスタートし、2006年に「LOWYA」を立ち上げた。その後、ビジネスモデルを徐々に、家具の製造小売り(SPA)へと移行していった。

家具の商品企画から販売を一気通貫で行うD2C型の家具ECを手がけるベガコーポレーション
ベガコーポレーションのビジネスモデル(画像はIR資料からキャプチャ)

主戦場は「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などのECモール。トレンド性の高い商品を低価格で販売する「LOWYA」のビジネスモデルは消費者から高い支持を得た。「楽天市場」の「ショップ・オブ・ザ・イヤー2015(インテリア・寝具・収納ジャンル)」、「Yahoo!ショッピング」では「ベスト・ストア・アワード2014(家具・インテリア部門)」を受賞するなど、ECモール内で「LOWYA」の知名度を高めていった。

「LOWYA」のポジションについて
「LOWYA」のポジションについて(画像はIR資料からキャプチャ)

そして、2016年6月には東証マザーズへ株式を上場。2017年3月期には売上高100億円を突破、営業利益は8億2800万円という過去最高業績をたたき出す。

好調に業績を伸ばしているように見えるベガコーポレーションだが、ECサイト運営を取り巻く環境は厳しさを増していた。2000年後半からのECモールへの新規参入企業の増加、そして2010年代に入ってからの価格競争2017年ころからの物流クライシスだ

送料値上げ要請が本格化した2018年3月期。ベガコーポレーションの売上高は前期比18.4%増の129億7700万円だったものの、営業利益は同32.2%減の5億6100万円に。そして翌年の2019年3月期。売上高は2.7%増の133億2200万円、営業損益は2億9600万円の赤字に転落した。

モール内の競争激化と価格競争、送料を含む物流コスト上昇の波が、利益率の高い製造小売り型家具ECであるベガコーポレーションの利益をむしばんでいったのだ。

こうした状況に手をこまねいていたわけではない。物流クライシスの影響が直撃する2年ほど前の2015年、価格競争、競合との競争激化から脱却するための「LOWYA」ブランド構築に着手していた。サービスの見直し、テストプロモーションを経て、ブランディング施策が花開いたのは営業赤字に陥った翌年の2020年3月期。前期の約3億円の営業赤字から、1年での黒字転換を果たすことになる。

ベガコーポレーション 営業利益の推移
営業利益の推移(画像はIR資料からキャプチャ)

自社ECの施策を白紙、その後大躍進を遂げたブランド構築

「LOWYA」のブランド構築の立役者、執行役員マーケティング統括部統括部長の京谷謙吾氏はこう振り返る。

ECモールの新規店舗が増え、価格競争にはまってしまった。経営課題は利益率の改善。原価率を落とすには限界がある。理想的な販売価格で商品を提供するには、ブランド構築をやらなければならなかった

京谷氏は金融、広告代理店を経て、ブランド構築をめざすためのブランディング統括部の立ち上げ期にベガコーポレーションへ入社。自社ECサイト、「LOWYA」ブランド構築の責任者として任務にあたった。

ベガコーポレーション 執行役員マーケティング統括部統括部長の京谷謙吾氏
異業種からEC企業へ転職。その知見をECビジネスに生かしたという執行役員マーケティング統括部統括部長の京谷謙吾氏

ブランドや自社ECサイトの構築で参考にした事例などの1つが「無印良品」。西友のPB(プライベートブランド)としてスタートした「無印良品」は、西友の店舗のない地域に路面店を作り、ブランド価値を向上。合理的な価格で良質な製品を提供するブランドとして、確固たるブランドを築きあげた。

ドラスティックにブランド作り、自社ECサイト構築を進めると失敗する。売り上げの構成比の多くを占めるECモール売上を下げることなくコントロールし、旗艦店(自社ECサイト)の比率を伸ばしていくことを心がけた

京谷氏がブランド、自社ECサイト構築に着手した2015年。当時の自社ECサイトにおけるユニークユーザー(UU)数は月15万UU、月商は2000万円程度。まず手を付けたのが、どんな施策がどのような成果をあげているのか、という売上要因のチェックと見直しだった。

ネット広告、アフィリエイト広告の運用を一旦ストップ。「半年間の見直し期間がほしいと上層部へ交渉し、広告費やこれまでの施策をいったん白紙に戻した」(京谷氏)。同時に、ディレクトリ構造といった基礎的なSEO対策の改善、統一したブランド体験ができるようにするための空間作りといったコンテンツ施策などに着手した

実店舗において、ブランドイメージを最初に感じてもらうのは門構えや内装。しかし、ECで門構えを意識しているところは少ない。ECサイトの場合、検索ワードに応じた入り口が数多くあるどこから入っても同じブランドの体験ができるような空間作りを心がけ、コンテンツを拡充していった。(京谷氏)

自社ECサイトの売り上げはほぼ横ばいが続くこと約半年。SEO対策の改善とECサイトのコンテンツ拡充効果が表れ出したのが7か月目以降のことである。アクセス数が急増し、アフィリエイトやネット広告に頼らなくても自社EC売上が急増した

SEO対策、コンテンツ拡充で重要視したのが「1人あたりのPV数」。現在のCVRはモール店で2~3%、自社ECサイトは1%程度。京谷氏は「CVRはGoogleの検索アルゴリズムの評価対象となっているが、あえてその数値は優先順位の1番にしなかった」と説明。続けて、「その代わりに1人あたりのPV数を伸ばすようにしたいろいろなページを見てもらえるということは、Googleの検索アルゴリズムから“良質なサイト”として評価されやすい」と、その理由を京谷氏は話す。そして、こう付け加える。

CVRの向上を優先順位の1番にしないサイト構成にすると、訪問者はいろいろなページや商品を見る。つまりブランド体験をしてくれるファン度が上がり、購入のきっかけが増え、そしてアクティブ率が伸びる。それが今日の成果につながっている。私は広告代理店を経て、ベガコーポレーションへ入社した。ECビジネスからスタートしていない。私がECサイトに感じていることは、“モノを売ることにフォーカスし過ぎてしまっている”こと大事にしたのは、実店舗で言えば、ウィンドウショッピングの感覚、つまり体験価値だ。(京谷氏)

「ECサイトではモノを売るだけではなくブランド体験などを重視した方が良い」と話す京谷氏
「ECサイトではモノを売るだけではなくブランド体験などを重視した方が良い」と話す京谷氏

一般的に、自社ECサイトで商品を購入する消費者は、ECモールの利用者よりも顧客ロイヤリティが高いとされる。それは「LOWYA」も同様。顧客ロイヤリティの高い自社ECサイトの集客数を伸ばせば、自社EC売上は自然と増えていく――。こうしたサイクルを作りあげ、ブランドと自社ECサイトの構築に着手してから5年後の2020年3月期。売上高は前期比1.9%増の135億700万円、営業損益は1億1600万円へと黒字転換した。

ベガコーポレーション 自社ECサイトの四半期ベースの売上高とアクセス数の推移
自社ECサイトの四半期ベースの売上高とアクセス数の推移(画像はIR資料からキャプチャ)
ベガコーポレーションの売上高推移
ベガコーポレーションの売上高推移(画像はIR資料からキャプチャ)

もちろん、物流コスト上昇に対し、タリフやコスト構造の見直しなどを行ってきたことも営業黒字への転換につながったが、それは一過性ではない。中長期にわたって適正利益を確保できる体制の整備(自社ECサイトとブランディングの構築)が大きな成果をあげたと言えるだろう。

価格競争に巻き込まれずに合理的な売価での販売、ロイヤリティの高い消費者が増えるという土台作りの成果がコロナ禍での決算で顕著に表れた。

このように全社でさまざまなことに取り組んだ数年間。その結果、2020年4~9月期(中間期)の売上高は前年同期比48.0%増の98億8300万円、自社ECサイトの売上高構成比率は49.5%まで拡大。特筆すべきは営業利益である。なんと前年同期比同約40倍となる11億5800万円を計上したのだ。

ベガコーポレーション 旗艦店(自社ECサイト)売上の比率は2020年7~9月期(第2四半期)には49.5%まで拡大した
旗艦店(自社ECサイト)売上の比率は2020年7~9月期(第2四半期)には49.5%まで拡大した(画像はIR資料からキャプチャ)

Instagramのユーザー投稿を自社ECに活用、ブランド価値を高める

「LOWYA」のブランド戦略を進める上で欠かせないのがSNS活用。最も強化しているのがInstagramだ。

ベガコーポレーション 「LOWYA」のInstagram
「LOWYA」のInstagram

まず、ベガコーポレーションのSNS活用の目的から説明していきたい。新規・リピートアクセス促進とファンの獲得を目的としているが、最も重要視しているのが「フリークエンシー(frequency)」、つまりユーザーとの接触頻度である。

SNSは大きな売り上げに直結しにくい側面があるが、一方で、ユーザーとの接触頻度が増え、それがやがてファン化につながっていくという効果がある。そのため、費用対効果(費用対効果)としてSNS経由の売り上げだけを求めるような考えは改めた方がいいのでないかと考えている。「LOWYA」が、SNSのKPIで重要視したのはフリークエンシー。しかし、フリークエンシーをROIとして数値化することは難しかった。

SNSなどの役割について ベガコーポレーション
SNSなどの役割について(画像はIR資料からキャプチャ)

こう話す京谷氏は、どのようにSNSへの積極的な投資を実現したのだろうか?

ブランド戦略を進める「LOWYA」では、商品画像の撮影に多額の撮影コストを投じているが、その投資は商品画像というECサイト上の資産となるその理論をSNSへの投資にも活用しようと考えた。それがUGC(User-generated-content)の活用である

UGCはユーザー生成コンテンツと言われ、商品レビューがその代表例。ベガコーポレーションではInstagramのコラボレーション企画、ユーザーが「#LOWYA」と投稿したコンテンツを自社ECサイトにも活用。「そのコンテンツ経由の売り上げをROIとして数値で示し、投資の改修計画を立ててSNSへの投資を実現した」(京谷氏)と言う。

ベガコーポレーション Instagramで「#LOWYA」をつけて投稿された画像を紹介するページを設けている
Instagramで「#LOWYA」をつけて投稿された画像を紹介するページを設けている

一般的に、SNSの画像やテキストはフローコンテンツとなり、どんどん新しいコンテンツを投稿していかなければ、ユーザーとの接触頻度は増えない。京谷氏はそのフローコンテンツをECサイトに活用。SNSのコンテンツをECサイト上のストックコンテンツとして活用することで、商品購入につなげる導線作りへと応用した

SNSへの投資回収計画を立てる場合、UGCの活用が落とし所になるだろう。SNS上のコンテンツをサイト内に活用することで、投資の回収計画を立てることができる。また、ECサイト内でUGCコンテンツ使うことは、ユーザーの安心感にもつながっていく。(京谷氏)

ベガコーポレーション 「#LOWYA」がつけられた画像を活用したギャラリーページ
「#LOWYA」がつけられた画像を活用したギャラリーページ
ベガコーポレーションのUGC活用
画像をクリックすると「#LOWYA」をつけたユーザー投稿コンテンツに加え、商品価格などの情報を掲載したモーダル画面が表示される

ただ、Instagram上のコンテンツをECサイトに掲載する場合、ユーザーに二次利用の許可をとる必要がある。SNSを通じて投稿者にメッセージを送り、利用目的などを説明して許可を取ることが一般的だが、大量の画像を使用したい場合は手間と時間がかかるのが実情だ。

この申請作業をシステム上で管理し、申請機能を使ってユーザーの二次利用の許可を得た後にECサイトへコンテンツを活用できるようにする「visumo(ビジュモ)」をベガコーポレーションは導入。ユーザーへの申請作業を軽減すると同時に、Instagram上の画像とECサイトの商品詳細ページとを関連付けしてECサイトに写真を掲載できるようにした

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ECサイトに掲載した写真素材から、投稿者であるインスタグラマーのユーザーページに移動することができるため、第三者の情報発信源として透明性を高めることができるようにしている。

ベガコーポレーションのUGC活用
たとえば商品詳細ページ下。レコメンドのように「みんなの投稿写真から探す」から、ユーザー投稿画像から商品を探すことができる

こうしたUGCの導入は、商品の購入率アップに直結すると言われており、ベガコーポレーションでも「商品購入につながっている」(京谷氏)。だが、それ以上に感じているのが「説得力」「価値の向上」といった派生効果だという

UGCには説得力があり、それがユーザーから見た商品の価値、サイト価値が大幅にあがる。そして、安心感の提供ができている。これまではレビューがその役割を担ってきたが、「LOWYA」ではユーザーのInstagram投稿コンテンツがその役割を担う。(京谷氏)

ベガコーポレーション 京谷氏は「UGCはECサイトのカリスマ店員」と話す
京谷氏は「UGCはECサイトのカリスマ店員」と話す

ブランド構築には安心感などの価値提供は欠かせない要素。ベガコーポレーションではUGCを活用したユーザー投稿の画像を通じて、サイトの安心感、価値の向上につなげている。

Instagramでのインフルエンサー企画などを検討している企業は増えているものの、「費用対効果はどうなの?」といった上層部の声で、投資に踏み切れない企業も少なくない。ベガコーポレーションはInstagramのコンテンツを自社ECに活用、それを資産として運用し、商品購入につなげることで投資回収につなげている。そして、UGCを通じて消費者に新たな価値を提供しているのだ。

SNS投資、ブランド構築、自社ECサイトの運営に悩む企業にとって参考にすべき点が多い事例と言えるだろう。

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吉野 巨人
吉野 巨人

【2021年トレンド予測】小売業界「サステナビリティ」「オンラインとオフラインの融合」「期待値超え」など4つのポイント

4 years 11ヶ月 ago

デジタルトランスフォーメーション(DX)支援などを手がけるCI&Tは1月8日、小売業界における2021年のトレンド予測を発表。「サステナビリティ(持続可能性)の大きな飛躍」「ファストファッションに衰退の兆し」「オンラインとオフラインの融合」「期待を超えることで得られるチャンス」の4ポイントをあげている。

サステナビリティ(持続可能性)の大きな飛躍

多くの小売企業が二酸化炭素排出量の削減に投資しているが、この取り組みは2021年も引き続き活発化する。

コロナ感染拡大が実店舗にもたらした課題、流行しているファストファッションは、小売企業がサプライチェーンや流通モデルのサステナビリティを再評価するきっかけとなっている。しかし、サステナビリティを重視しながら十分な利益率を維持するには、企業はあらゆる角度から環境破壊の要因削減に取り組まなければならない。

ファストファッションに衰退の兆し

サステナビリティへの関心の向上、不況による支出控えが重なり、消費者がブランドとの関係を再考するようになっている。

緊急事態宣言などの影響で、多くの人が衣類の仕分けを行い、本当に必要としているモノとその理由を見直すようになっている。2021年、消費者はより慎重に購入を決めるようになり、汎用性の高い高品質な商品への購買意欲が増えていくことが予想される。

オンラインとオフラインの融合

2021年は小売企業がオンラインとオフラインの融合を採用し、買い物客の注目を集めようとしていることから、オンライン注文と実店舗受け取りへのニーズが、これまで以上に押し上げられることが予想される。

米国では現在、店頭注文とアプリ注文が特に人気となっている。その結果、小売企業はオンライン&オフライン購入やECの利用顧客のために、付加価値をプラットフォームに付け、より多くの体験を生み出すことが期待されている。

各社のWebサイトは、ゲーム要素やライブストリームなど、よりインタラクティブなコンテンツを取り入れることで、エンゲージメントが促進されるだろう。

期待を超えることで得られるチャンス

コロナウイルス感染拡大、米大統領選挙、イギリスのEU離脱など多くの人々がさまざまな我慢を強いられている。2021年は、これをチャンスとできる年となる。

消費者が小売企業に対して寛容になりつつある一方、高品質かつ素早いサービスを提供できるブランドは、これまでになく高い評価を得ることになる。注文日当日に荷物を届けるなど、消費者の手間を省いた一貫したショッピング体験を約束できるブランドが勝者となるだろう。

小売企業は、デジタルや機械学習などによるサポート機能をより充実させ、顧客サービスをパーソナライズし、配送方法をよりクリエイティブなものにすることが期待される。

石居 岳
石居 岳

「b8ta」日本上陸から5か月。日本市場における「体験型店舗」の可能性とは?

4 years 11ヶ月 ago

全米23店舗、ドバイに1店舗を展開してきた体験型店舗「b8ta」が日本に上陸してから5か月が経過した。日本では、東京・有楽町、新宿に1店舗ずつを構える。オープン初日は両店舗とも1,000人を超える来店客で賑わったが、現状はどうなのだろうか。「b8ta」のような販売を主目的にしないショールーミング形式の体験型店舗は、日本でも広がる可能性はあるだろうか。「ネットショップ担当者フォーラム2020秋」(2020年11月9日)に登壇したb8ta Japanカントリーマネージャーの北川卓司氏の講演スライドを交えながら、体験型店舗の可能性を探っていく。

RaaSモデルのパイオニア企業

「b8ta」は、有名テクノロジー企業の製品から、スタートアップ企業で誕生したばかりのβ(ベータ)テスト中の製品、D2Cブランドのコスメやファッションなど最先端の商品が並ぶ体験型店舗。特徴は「店頭での販売を主目的にしない」ところにある。

「b8ta」のビジネスモデルは、「Retail as a Service (RaaS)」と呼ばれ、①店頭での発見と製品体験を提供する“場所”②製品説明やデモを行う“接客“③来店客の“行動データ”の提供――の3つから構成される

出品企業は、月額費用の中で「b8ta」が提供する陳列・接客・配送・リアルタイムデータなどの「RaaS」サービスを受けられる
ブランドは月額の出品費用(30万円~)を支払うことで、「b8ta」が提供する陳列・接客・配送・リアルタイムデータなどの「RaaS」サービスを受けられる(画像:b8ta Japan提供)

出品企業は、ダッシュボードから消費者のさまざまなマーケティングデータを閲覧することが可能。そのデータは、出品商品の入れ替え(最低契約期間6か月の場合は、最大3回まで入れ替え可能)、商品横に置いたタブレット内の商品紹介ページに手を加えたりといった「マーケティングデータ」として役立てている。

区画イメージ。右は商品横に置かれたタブレットのイメージ図
区画イメージ。右は商品横に置かれたタブレットのイメージ図(画像:b8ta Japan提供)

店内には複数のAI(人工知能)搭載カメラを設置し、これらをベースに来店者の行動データ(定量データ)を取得。店頭の販売員が接客時に取得した会話データ(定性データ)も出品企業にフィードバックする。従来ECサイトが行ってきた、「データを元にPDCAをまわす」行為を、実店舗でもできるところが「b8ta」の強みだ。

「b8ta」のダッシュボードでは、来店者の年齢性別分布や、指定期間における来場者の男女比率などのデモグラも確認できる
上記に加え、来店者の年齢性別分布や、指定期間における来場者の男女比率などのデモグラも確認できる(画像:b8ta Japan提供)

花王の「第二の皮膚」が体験できる最新美容機器が登場

東京・有楽町店は、ガラス張りの外観が目を引く路面店。店内面積は約256平方メートル(80坪)。出品商品を展示できる通常の区画に加え、ブランドが自社で壁面装飾や什器などを設置し、「ブランド独自の世界観」を演出できる中規模の区画に仕切られた半個室のスペース「エクスペリエンスルーム」を3箇所用意している。

2020年11月時点、ネスレグループの「NESPRESSO」がエクスペリエンスルームを活用

有楽町店はビジネス街というエリアの特性から、来店客の男女比率では男性が過半数を超え、平均年齢は30代後半~50代となっている。平日は最新ガジェットを好むビジネスパーソンが多い一方、オープン以来多くのマスメディアで紹介されたこともあり、休日になるとファミリー層の来店も目立つ。

2020年12月現在、有楽町店の出品で注目を集めるのが、2019年11月に発売された花王の「エスト バイオミメシス ヴェール」だ。

「b8ta」有楽町店に出品されている、花王の「エスト バイオミメシス ヴェール」
有楽町店に出品されている、花王の「エスト バイオミメシス ヴェール」

花王の独自技術「第二の皮膚」を商品化した「エスト バイオミメシス ヴェール」を、就寝前に利用すると、寝ている間中、肌の潤湿を整えるというものだ。

花王が開発した糸状の「第二の皮膚」を肌に噴射して使用する
花王が開発した糸状の「第二の皮膚」を肌に噴射して使用する

花王が「b8ta」に期待するのは、認知と商品体験機会の創造だ。最新ガジェットが複数置かれた店舗に製品を置くことで、最新美容機器に関心がある女性客への認知が期待でき、実際に手にとって体験してもらえる

有楽町店の近くには、花王の直営店舗「BEAUTY BASE by Kao」がある。一度「b8ta」で体験した客が、その場で購入を検討するだけではなく、その後ショールームを来訪し、より専門性の高いスタッフからより効果的な使い方について指導を受け、具体的に検討、購入(もしくはレンタル)するなど、認知・体験できる場所を広げ、購入への導線を作っていくことが理想だ。

また接客をしていく中で、「なぜ購入(もしくはレンタル)や、ショールーム来訪が検討されなかったか」「なぜ購入に至ったか」「ギフト用か、自身用か」などの定性的なデータ共有も期待するポイント。店頭では、30~40代の女性を中心に興味を示しているという。

「店の中心にあると試しにくい」声をヒントに、コスメの設置場所を変更

マルイ新宿店の1階に入居する東京・新宿店。店舗面積は約122平方メートル(40坪)で、出品商品を展示できる通常の区画に加え、エクスペリエンスルームを1か所設けている。有楽町店とは対照的に、マルイへの入居のため来店客の男女比は、女性が過半数を超え、平均年齢は20代後半~30代となっている。

2020年12月時点では、ロート製薬のD2Cコスメ「SKIO」、美容関連品、フェムテック製品(妊娠・出産など女性が抱えるさまざまな課題解決を試みるテクノロジー製品)が多く置かれているのが特徴だ。

ロート製薬のD2Cコスメブランド「SKIO」

新宿店は店内の中心にコスメを置く設計だったが、商品は手には取るものの、蓋を開けるなどの具体的なアクションをしていく客が少ないことに気づいたという。

そこで、「店の中心にあると、スタッフや他の客の目を気にして試しにくい」という来店客の声をヒントに、設置場所を壁際にするなど配置換えを実施。その結果、手に取り試す客が増えたのだという。

客の声をヒントに、柔軟にレイアウト変えができるところも「b8ta」の特徴といえるだろう。

b8ta新宿店では、日本では珍しい「CBD(カンナビジオール)炭酸飲料」が出品されている
リラックス効果が高いなどの理由から、米国では大ヒットとなっている「CBD(カンナビジオール)」。大麻草成分の一種で、自然療法として利用されている。新宿店では日本では珍しい「CBD炭酸飲料」が出品されている

米国のクラファンサービス利用も、日本人の支援者が7割

「ネットショップ担当者フォーラム2020秋」では、b8ta Japanカントリーマネージャーの北川卓司氏が、「b8ta」活用による国内の成功事例としてAIペット型ロボット「MOFLIN」を紹介した。

b8ta出品により反響が大きかったAIペット型ロボット「MOFLIN」イメージ動画

AIペット型ロボット「MOFLIN」は、米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」に出品していたことから、国内ユーザーへの認知拡大、実際に触ってもらえる体験の場の提供、試した客の声などのデータ収集を目的に有楽町店に出品した。

b8ta Japanカントリーマネージャーの北川氏によると、「Kickstarter」に出品したロボット製品は、通常7-8割が欧米からの支援者になることが多いが、「MOFLIN」の場合は、日本の「b8ta」に出品したことで複数のメディアに露出。その後の「b8ta」来店につながる相乗効果により、約1,400名の支援者のうち、日本からの支援者が7割になったという。

クラウドファンディング掲載期間中、「MOFLIN」は日本円にして6,400万円以上の資金調達に成功。掲載期間終了後も「b8ta」への出品を続けていることから、認知拡大が続いており、2020年11月時点で約600人が申し込みの予約をしているという。

「マスク」で性別判断が難しくなったコロナ禍、AIカメラを入れ替え

コロナ禍での興味深い動きとしては、AIカメラの入れ替えだ。有楽町店では入店時にAIカメラで来店客の年齢や性別を判定し、その後、それらの客が店内を回る際の行動データとひも付けているが、コロナ禍で大半がマスクを着用していることから、性別の判断が難しくなったという。

そのため、マスクを着用していても性別の判定が可能なAIカメラへと切り替えたという。

b8ta有楽町店で新たに導入されたAIカメラ
有楽町店で新たに導入したAIカメラ(左)

米国ではクルマ(MINI最初のEV、MINI SE)が「b8ta」に出品するといった事例も出てきている。日本でも電動バイクなどの出品が目立つが、今後どのような商品が出品されるのか。また「MOFLIN」に続く成功事例が誕生するか、体験型店舗の可能性に引き続き注目したい。

米国のb8taに出品されたMINI SE
米国の「b8ta」に出品した「MINI SE」(画像:b8ta Japan提供)
公文 紫都
公文 紫都

「また買いたい」と購入客が感じるカスタマーサポートを「Zendesk」で。やずや、I-neの事例に学ぶ最新CRM

4 years 11ヶ月 ago
スマートフォンの台頭により、カスタマーサポートが担う役割と顧客が求める対応は年々変化している。ファン化やブランディングを左右する顧客とのコミュニケーションの品質をいかに高め、効率化を図るべきか? カスタマーサポート領域に特化したツール「Zendesk(ゼンデスク)」を国内展開するエクレクトの辻本真大氏が解説する
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消費者が企業に求めるコミュニケーションの期待値は、手段と品質の両面で高まっている。その中で、顧客が好意的に思う企業のコミュニケーションのポイントと、業務効率化にもつながる有効な改善策とは――。2007年にデンマークで生まれ、全世界16万社超、国内3000社超の導入実績を持つカスタマーサポート業務特化型ツール「Zendesk」の公認マスターパートナーであるエクレクトの辻本真大氏(代表取締役)が、やずやとI-neの事例を交えて紹介する。(写真◎Lab)

顧客とのコミュニケーションがファン化と離反を左右する

「カスタマーサポート」というと、一昔前まではクレームを受け入れる場所やコストセンターという印象が持たれがちだったが、カスタマーサポートの担う役割は年々変化しているという。エクレクトの代表取締役 辻本真大氏は、「顧客とのコミュニケーションの良し悪しは競争優位に影響する、企業の根幹とも言える部分」と強調する。

その背景にあるのは、顧客が企業とのコミュニケーションに求める期待値が急速に高まっていることが挙げられる。スマートフォンの台頭により、電話、メール、SNSの投稿などあらゆるコミュニケーションが時間や場所を問わずできるようになった。このため、顧客は「自分が望む形のコミュニケーションをしたい」と企業にも求めるようになっているようだ。

求めるコミュニケーション手段が多様化

トランスコスモスが毎年実施している「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2019」によると、昨今の消費者はチャットやメッセージングアプリなどを利用したい一方で、企業側の実装が追い付いていないと感じている傾向にあることがわかった。

エクレクト Zendesk コミュニケーションチャネル利用の傾向について
国内コミュニケーションチャネル利用の傾向について(出典:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2019」)

また、「好きなときに好きなコミュニケーション手段で問題解決できるとしたら、その企業・ブランドへの購入・利用意欲が高まるか」という質問に対しては、77%の消費者が「とても高まる/高まる」と回答していることから、コミュニケーションチャネルを十分に用意しておくことの重要性が確認できる

エクレクト Zendesk  好きなときに好きなコミュニケーション手段 問題解決 企業・ブランドへの購入・利用意欲が高まるか
好きなときに好きなコミュニケーション手段で問題解決できるとしたら、その企業・ブランドへの購入・利用意欲が高まるか(n=3097)(出典:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2019」)

たらい回しや聞き直しのない対応に企業の魅力を感じる

チャネルの用意だけでなく、コミュニケーションの質も重要だ。企業が顧客と良いコミュニケーションをとれれば、実際に購入頻度の増加や他者への推奨をしたという消費者の割合が増え、逆に悪いコミュニケーションをとってしまうと、購入頻度の減少や他社への乗り換えなどにつながったという結果も出ている。コミュニケーションの質は、顧客の「ファン化」を左右する上、口コミの内容次第で企業ブランディングの向上や低下にも影響しかねない

また、好意的に思う企業やブランドに対して、改善のための意見やアイデアを伝えたり指摘をするという消費者も少なくないことから、製品・サービスの改善を進めていく上でもこうした顧客を増やしていかなければならないという。

エクレクト Zendesk コミュニケーションで消費者行動が変わる
コミュニケーションで消費者行動が変わる

消費者が魅力を感じる企業のコミュニケーション対応について聞いたアンケート結果では、先述の通り、コミュニケーション手段の多さと回答した人は8割を超えた。注目すべきは、それに次いで「前回とは異なるコミュニケーション手段で問い合わせしても、それまでの問い合わせ内容が引き継がれている」と回答した人が8割近くいることだ。

例えば、最初に電話で問い合わせた後にメールで問い合わせても、しっかりと話の続きができるような状態を消費者は求めていると言える。

エクレクト Zendesk 魅力を感じる企業のコミュニケーション対応
魅力を感じる企業のコミュニケーション対応(n=3097)(出典:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2019」)

たらい回しにしたり、同じことを聞き直したりしない企業に対して、多くの消費者は「自分のことをわかってくれている」と思っている。これが、魅力を感じる企業の対応として、1つの大きな要因となっている。(辻本氏)

エクレクト Zendesk 代表取締役 辻本真大氏
エクレクト 代表取締役 辻本真大氏

チャネルごとの問い合わせ情報を一元管理する「Zendesk」

コミュニケーション手段が多様化し、1人の顧客がさまざまな手段で企業に問い合わせができるようになった中、その時々で都合の良い手段から問い合わせても、前回とつながった回答が得られるようにするためには人の手だけでは限界があり、オペレーターのスキルに頼った属人化が懸念される。顧客対応のスキルやノウハウが高いオペレーターとコミュニケーションがとれなかった場合には、顧客の離反にもつながりかねない。

顧客対応の品質を一律化し、良いコミュニケーションをとるための仕組み作りに「Zendesk」が役立っているという。

「Zendesk」ではあらゆるチャネルで顧客とシームレスにコミュニケーションをとるための各種サービスを提供しており、チャネルごとの問い合わせ情報を蓄積し、一元管理できるようになっている。また、レポーティングや分析をする機能によって得た結果を顧客対応の施策に活用する企業や、最適なFAQサイトを構築する機能によって、人の手が必要な問い合わせの件数を大幅に減少させている企業の事例も増えているという。

エクレクト Zendesk Zendeskの全体像
「Zendesk」の全体像

「Zendesk」の持つ3つの特徴

「Zendesk」は以下の大きな3つの特徴を持ち、顧客とのコミュニケーションを重視する幅広い規模の企業で導入が進んでいるという。

  1. 統合的なコミュニケーション基盤」を素早く構築できる
  2. 顧客の自己解決を促すFAQサイトや、個々の従業員が持つ知識やノウハウなどを企業内で共有するためのナレッジ管理サイトを簡単に構築できる
  3. あらゆる製品とつなぐことができ、自社に必要な機能をアプリケーションでアドオンできる「拡張プラットフォーム基盤」となっている
エクレクト Zendesk 特徴 コミュニケーション基盤 ナレッジ・マネジメント 拡張プラットフォーム基盤
「Zendesk」の特徴

やずやとI-neの導入事例を紹介

やずやと、ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST(ボタニスト)」などのブランドを展開するI-ne(アイエヌイー)における「Zendesk」の導入事例を紹介する。

アナログ手段による問い合わせが多いやずや

やずやの顧客層は中高年の比率が高いため、問い合わせや「お客さまの声」は手紙やFAXなどアナログな手段から多く寄せられている。従来から顧客対応に力を入れており、オンプレミスの仕組みで業務を回していたが、将来性や拡張性を考えた上で「Zendesk」の導入を決めたという。

やずやは寄せられた問い合わせや「お客さまの声」に対して、製品・サービスをどのように改善したのかまですべて管理しているため、「Zendesk」の導入の際は特にレポーティングにこだわり、オリジナルで取得したい指標をレポート用のCSVで出力できるようにした。さらに、手紙やFAXで寄せられた声を登録し、回答やお礼の返信用の文章をWordファイルで生成するアプリケーションを組み込んで、サービス改善と生産性の向上を図っている。

多くのブランドを展開するI-ne

I-neは従来、メール管理システムやFAQ管理システムなど、チャネルや用途ごとに別々のシステムを利用していた。システムごとに分けられていた情報を一元管理して業務の均一化と効率化を図るため、「Zendesk」を導入したという。

I-neは多くのブランドを展開し、ECサイトを運営しているが、どの店舗からどのチャネルで問い合わせが来ても「Zendesk」に集約されるため、対応の効率化が図れるようになった。また、利用している受注管理システムとAPI連携し、問い合わせが来た際はその顧客の注文情報や顧客情報など、問い合わせ対応に必要な情報をすぐに参照できるようにして、漏れのない対応ができる仕組みにしている。

やずやとI-neの事例のように、独自の取り組みや強みに対しては、「Zendesk」の基本機能にほかの仕組みをアドオンしたり連携したりして、自社の業務によりフィットさせることが重要だ。「Zendesk」に限らず、自社に合ったツールの組み合わせをしていくことが成功の秘訣だと考えている。(辻本氏)

エクレクト Zendesk 代表取締役 辻本真大氏

ルーチンワークを自動化し、人の手による業務を省力化

「Zendesk」は、自動化や半自動化できることはツールの機能でまかない、人は「人が対応すべきことだけに集中しよう」という考えを主眼に置いて開発されている。やずややI-neをはじめ、導入各社はルーチンワークをいかに減らせるかということも重視しており、人の手が掛かっていた業務を省力化できたことで、ほかの業務に集中できる余力が生まれているという。

エクレクト Zendesk ルーチンワークを自動化 業務効率化
ルーチンワークを自動化することで業務効率化につながる

まとめ ~顧客の期待に応えるカスタマーサポートのポイント~

コミュニケーション手段が多様化し、年々高まる消費者の期待に応えていくためのカスタマーサポートのポイントを以下にまとめる。

① カスタマーサポートは「顧客とのコミュニケーション」

「カスタマーサポート」は単純にクレームの受け入れ口や問い合わせ先という位置付けではなく、顧客とのコミュニケーションを担う重要なポジションである。

② コミュニケーションで顧客はファンになり、消費行動が変わる

コミュニケーションの良し悪しが顧客のファン化、もしくは離反につながり、その後の消費行動にも大きな影響を与える。顧客満足度の高いコミュニケーションをとることによって、競争優位性を見出すことができる。

③ コミュニケーションの一環としてFAQサイトがあり、社内FAQ整備も重要な要素

FAQサイトは顧客とのコミュニケーションの一環であり、軽視できないチャネルの1つと捉えるべき。また、社内に蓄積したナレッジは社内FAQとして整備しておくと、オペレーターの対応が均一化でき、属人化の防止につながる。

④ 「レガシーシステムから乗り換え」「統合」「拡張性」「将来性」

サービス品質や業務内容をより良くしていくために、自社で利用している既存システムだけに固執するのではなく、システムの乗り換えも視野に入れた改善施策が重要だということが、やずやとI-neの事例から学べる。システムの乗り換えを検討する際は、「統合(=複数のシステムを統合して効率化を図る)」、「拡張性(=自社に必要な機能を組み込んで独自性や強みを伸ばす)」、「将来性(=自社のビジョンと共鳴できるシステム)」を念頭に置くことがポイントだ。

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門谷美帆
門谷美帆

緊急事態宣言で消費支出、通販・EC利用はどう変わる?[2020年の振り返り]

4 years 11ヶ月 ago
1回目の「緊急事態宣言」による消費支出、ネット通販利用の変化などを振り返る

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け政府は1月7日、東京都、千葉県、埼玉県を対象に「緊急事態宣言」を発令した。首都圏への「緊急事態宣言」で消費はどうなるのか。1回目の「緊急事態宣言」による消費支出、ネット通販利用の変化などを振り返る。

消費全体は落ち込みが続く

総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は前年同月比で、4月度は11.1%のマイナス、5月度は16.2%のマイナスとなった。外出控えの反動で6月度の消費支出は大幅に改善されたが、その後の消費の回復は鈍い。

総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は前年同月比で2ケタ減
総務省統計局が調査した消費支出(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

2019年の消費増税の反動があるものの、プラスに転じたのは10月度。それまで消費支出はマイナスが続いた。

緊急事態宣言が解除された5月。家計調査での支出項目を見ると、家具・家事用品を除いたすべてのジャンルで消費支出はマイナスに。食料、交通・通信、教養娯楽、衣服および履物は8月までマイナスが続いた。

野村総合研究所(NRI)が実施した新型コロナウイルス感染症拡大前と比較した購入金額の変化に関する調査によると、巣ごもり消費は好調。一方、外出を伴う海外旅行などのサービス消費が縮小した。

野村総合研究所調査 新型コロナウイルス感染症拡大前と比較した購入金額の変化
新型コロナウイルス感染症拡大前と比較した購入金額の変化(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

リアルの小売市場は商材、業態の特性で明暗がわかれた。自宅で過ごす時間が増えたためDIY関連用品需要が増加したホームセンター、内食需要を取り込んだスーパーなどは売り上げが拡大。一方、嗜好(しこう)品中心の百貨店やショッピングセンターなどは消費の引き締めといった影響が直撃した

野村総合研究所調査 2020年の小売企業各社の既存店売上
2020年の小売企業各社の既存店売上(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

ECの利用世帯、利用金額が緊急事態宣言後に急上昇

小売全体の中で需要が一気に増加したのが物販EC。総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、ネットショッピング利用世帯の割合は4月以降に急上昇し、5月には50.5%を記録。調査をスタートした2002年以降、初めてネットショッピング利用世帯が5割を超えた。緊急事態宣言解除後の6月も50.8%、10月も5割を維持し50.9%となっている。

総務省統計局の調査 ネットショッピング利用世帯の割合の推移
ネットショッピング利用世帯の割合の推移(2人以上の世帯、2017年1月~2020年6月。画像は総務省統計局の「統計Today No.162」からキャプチャ)

ネットショッピング利用世帯は増えたが、どのような年齢の世帯での利用が増えたのか。世帯主の年齢階級別にネットショッピング利用世帯の割合の推移を見てみる。

34歳まで、35~44歳の世帯は7割超45-54歳の世帯では60%後半で推移。55-64歳の世帯も6割近い割合まで拡大している。また、65歳以上の高齢者層の世帯の利用も増加。5月には3割を突破し、6月には31.2%となった。

総務省統計局の調査 ネットショッピング利用世帯の割合の推移
ネットショッピング利用世帯の割合の推移(世帯主の年齢階級別、2人以上の世帯、2017年1月~2020年6月。画像は総務省統計局の「統計Today No.162」からキャプチャ)

今や高齢世帯主世帯でも3割の世帯がネットショッピングを利用するようになり、ネットショッピングが当たり前の時代になりつつある。(総務省の「新型コロナウイルス感染症で変わるネットショッピング-家計消費状況調査の結果から-」から引用)

ネットショッピングの利用のほか、支出額(1世帯当たり1か月間のネットショッピングの支出総額)も伸びた。増加傾向を毎年続けてきたが、新型コロナで一気に急増。緊急事態宣言発出後の4月は1万4622円、5月は1万5873円、1万7252円となっている。その後も高い割合で推移しており、10月は1万7876円だった。

総務省統計局の調査 ネットショッピングの支出額の推移
ネットショッピングの支出額の推移(2人以上の世帯、2017年1月~2020年6月。画像は総務省統計局の「統計Today No.162」からキャプチャ)

総務省の調査では、品目別のネットショッピング利用の支出額も調査している。旅行関係費とチケットの支出はコロナの影響で激減。一方、家電、婦人用衣類、健康食品、化粧品など幅広い品目で支出額が伸びている状況だ。

総務省統計局の調査
家電、婦人用衣類、健康食品、化粧品、旅行関係費、チケットのネットショッピングの支出額の推移(2人以上の世帯。画像は総務省統計局の「統計Today No.162」からキャプチャし、各グラフのキャプションを編集部が加工)

こうした状況を踏まえ、物販やサービス、コンテンツ系を含めた広義のEC市場について、2020年度のBtoC-EC市場は2019年度比2.6%増の20兆円になると、野村総合研究所は「ITナビゲーター2021年版」で予測している。

野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」  BtoC EC(消費者向けEC)  オムニチャネルコマース市場
BtoC-EC市場とオムニチャネルコマース市場の推移(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

物販分野ではオンラインシフトが拡大したものの、旅行、航空券、リアルイベントのチケットなどサービス系の消費支出が縮小したため微増になるというのがその要因だ。

NRIがまとめたEC市場における拡大・縮小カテゴリ
NRIがまとめたEC市場における拡大・縮小カテゴリ(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

民間調査、EC利用1人あたりの金額が増加

ジェーシービー(JCB)とナウキャストによる、現金も含むすべての消費動向を捉えた国内消費指数「JCB消費NOW」でも、総務省調査と同様の傾向が出ている。

コロナ感染拡大前(1月後半)と現在(8月後半)の消費動向の比較によると、「燃料小売業」「交通」「宿泊」「娯楽」「旅行」など外出の自粛に伴って消費が押し下げられた業種は、消費者の人数・1人あたりの消費金額の双方とも減少した。

「コンテンツ配信」「機械器具小売業(家電)」「EC」「電気・ガス・水道」など外出自粛やリモートワークの広がりで消費が押し上げられた業種は、消費人数も消費金額も増加した。

デジタル消費の「EC」や「コンテンツ配信」はコロナ前に比べて大きく消費が伸びたものの、その伸び方は違いがある。「EC」は1人あたりの消費額が増加、「コンテンツ配信」は利用人数が増えている

コロナ感染拡大前(1月後半)と現在(8月後半)の消費動向の比較
コロナ感染拡大前(1月後半)と現在(8月後半)の消費動向の変化

また、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年6月~8月と2019年6月~8月の「EC」を年齢別に比較すると、全世代で消費行動のデジタルシフトが起きている。

コロナ前のEC前年比(年齢別)
コロナ前のEC前年比(年齢別)
コロナ禍である6~8月のEC前年比(年齢別)
コロナ禍である6~8月のEC前年比(年齢別)

ミクロ業種で見ると、ECは右上(消費者の人数も金額も増加したことを示す)に集中。特に家電を含む「EC(機械器具)」は、1人あたりの消費金額が大きく増加している

ミクロ業種でのコロナ感染拡大前(1月後半)と現在(8月後半)の消費動向の比較
ミクロ業種でのコロナ感染拡大前(1月後半)と現在(8月後半)の消費動向の変化
◇◇◇

緊急事態宣言の対象となる1都3県の総人口は約3500万人。日本の人口の約3割を占める。全国を対象とした前回の緊急事態宣言から対象地域は限定されているが、消費に大きな影響を与えることが想定される。

瀧川 正実
瀧川 正実

アスクルが1都3県の法人向けに月額制サブスクリプション型の家具レンタルサービス

4 years 11ヶ月 ago

アスクルは2020年12月23日から、事業所向け(BtoB)通販サービス「ASKUL」で、月額料金の支払いのみで本格的なオフィス家具をレンタルできる家具レンタルサービスを開始した。

まず1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を対象に、オフィスチェア35商品から開始する。

アスクルは2020年12月23日から、事業所向け(BtoB)通販サービス「ASKUL」で、月額料金の支払いのみで本格的なオフィス家具をレンタルできる家具レンタルサービスを開始
法人向け家具レンタルサービスについて(画像はアスクルのECサイトからキャプチャ)

家具レンタルサービスは、月額料金の支払いだけで有名オフィス家具メーカーの新品家具を手軽に導入することが可能。執務に適したオフィス家具を提供することで、導入企業のテレワーク下での働きやすさ、業務効率の向上につなげる。

導入企業としては、初期コストを抑えて家具を導入することが可能となり、働き方改革の促進や従業員の満足度アップが期待できる。

テレワーク中の各従業員宅へ個別配送も可能。多くの従業員を抱えながらテレワークを実施している企業ニーズにも対応する。

レンタル期間中に使用しなくなった場合、別の従業員宅やオフィスへの移設、1年継続利用した商品は返却あるいは追加料金なしで提供することも可能。顧客の多様なニーズに対応する。

アスクルは2020年12月23日から、事業所向け(BtoB)通販サービス「ASKUL」で、月額料金の支払いのみで本格的なオフィス家具をレンタルできる家具レンタルサービスを開始
レンタルの流れ(アスクルのECサイトからキャプチャ)

企業ではテレワークが急速に普及した一方、自宅での業務環境が整っていないケースも多い。初期コストをかけず、必要な期間だけ従業員の自宅にオフィス家具を手軽に導入でき、業務環境の改善を実現できるサービスとして展開する。

企業はサテライトオフィスや一時的なワークスペース開設の際にも、初期コストを抑えて手軽に本格的なオフィス家具が導入できる。

今後、対象エリアや商品ラインナップを順次拡大していく予定。

石居 岳
石居 岳

配送各社の年末年始対応/「中小企業等事業再構築促進事業」とは?【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 11ヶ月 ago
2020年12月18日~2021年1月7日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便の年末年始の配送対応&遅延可能性について【2020年】

    日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便は、新型コロナウイルス感染症拡大によるEC需要の増加や交通渋滞、積雪など天候が影響する可能性があるため。年末年始の配送については余裕を持った発送を呼び掛けている

    2020/12/24
  2. 通販・EC、サブスクなど事業・業態転換を政府が支援する予算案額1.1兆円の「中小企業等事業再構築促進事業」とは?

    「中小企業等事業再構築促進事業」は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売り上げの回復が難い中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中小企業などの事業再構築を支援する制度

    2021/1/6
  3. ジャパネットたかたが小売電気事業「ジャパネットでんき」を展開する理由

    「ジャパネットでんき」は、ジャパネットサービスイノベーションが電力供給する、「ジャパネットたかた」の自社クレジットカード「ジャパネットカード」会員限定サービス。優良顧客との関係性強化、新規獲得といった狙いがある

    2021/1/5
  4. しまむらのネット通販、店舗受取が9割で「ECから店舗への送客に効果」

    しまむらの2021年2月期のEC売上高は20億円を計画。オープンから11月20日までの売上高は計画通りに推移。商品の受取方法は、店舗受け取りが約9割、自宅配送が約1割

    2021/1/6
  5. 2020年のEC業界振り返り & 2021年に起こりそうなことまとめ【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年のニュース

    2021/1/5
  6. EC業界の有識者が選んだ「冬休みにオススメの作品」&2021年に向けてのエール

    EC業界の有識者14名が、全国のEC担当者の皆様に読んで&観ていただきたい作品を紹介!合わせて2021年に向けたエールもいただきました

    2020/12/25
  7. Googleの新しい検索品質評価ガイドラインは「質の高いコンテンツ」重視。ユーザーフレンドリーなSEO戦略のポイントとは

    Googleが5月に発表したコアアップデートは、「E-A-T」の原則をより重視したものです。企業は、新しいアルゴリズムに自社のウェブサイトを適応させる必要があります。

    2020/12/24
  8. 「接客しない」に挑む大手百貨店の挑戦。無人ポップアップで「試着は店頭、購入はECで」の新しい販売スタイルの成果とは?

    そごう・西武は、コロナ禍での新たな取り組みとして販売員が常駐しない「無人ポップアップストア」を展開した。大手百貨店による挑戦と、1週間の実施で得た気づきを紹介する。

    2020/12/21
  9. 【2021年ECトレンド予測①】奥谷孝司さん、川添隆さん、藤原義昭さん、村山らむねさんが見るEC業界

    EC業界の有識者14名が、2020年の振り返りとともに2021年のECトレンドを予測します(全3回)。1回目は、オイシックス・ラ・大地 奥谷孝司さん、ECエバンジェリスト 川添隆さん、コメ兵 藤原義昭さん、スタイルビズ 村山らむねさん

    2021/1/5
  10. 世の中の変化が想像以上に速い……! デパート・ショッピングモール・コンビニがECのライバルに【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年12月14日〜20日のニュース

    2020/12/22

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    雇用シェア(在籍型出向制度)で雇用を維持、出向元と出向先の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」とは

    4 years 11ヶ月 ago

    政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で事業活動が一時的に縮小している事業者が、出向で労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」(仮称)を創設する。

    2020年12月15日に閣議決定された令和2年度第3次補正予算案に盛り込んでいる。2021年1月の通常国会での予算案承認、厚生労働省令の改正などを経て確定する。

    「産業雇用安定助成金」は、出向する労働者に関する一部経費について、出向元事業者と出向先事業者が共同事業主として支給申請を行い、それぞれの事業者へ助成金を支給する制度。申請手続きは出向元事業者が行う。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で事業活動が一時的に縮小している事業者が、出向で労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」(仮称)
    「産業雇用安定助成金」(仮称)について(画像は厚労省が公表した資料からキャプチャ)

    たとえば、コロナの影響で輸出が減少した中小企業メーカーが、従業員を百貨店・総合スーパーへ出向。受け入れ企業は、出向者の生産工程管理の技術を自社の社員へ承継するなどのケースを想定している。

    助成金の対象となる「出向」

    • 対象:雇用調整を目的とする出向(新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業者が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向)
    • 前提:出向期間終了後は元の事業所に戻って働くこと
    • 要件:出向元と出向先が、親子・グループ関係にないなど、資本的、経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められること。出向元で代わりに労働者を雇い入れる、出向先で別の人を出向させたり離職させる、出向元と出向先で労働者を交換するなど、玉突き雇用・出向を行っていないこと

    助成率・助成額

    出向運営経費

    出向元事業者および出向先事業者が負担する賃金、教育訓練、労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部を助成

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で事業活動が一時的に縮小している事業者が、出向で労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」(仮称)
    助成率と助成額について(画像は厚労省が公表した資料からキャプチャ)

    出向初期経費

    就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業者が出向に際して行う教育訓練、出向先事業者が出向者を受け入れるために用意する機器や備品など、出向に要する初期経費の一部を助成

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で事業活動が一時的に縮小している事業者が、出向で労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」(仮称)
    出向初期についての助成額について(画像は厚労省が公表した資料からキャプチャ)

    助成対象となる経費

    • 出向開始日が2021年1月1日以降の場合
      出向開始日以降の出向運営経費、出向初期経費が助成対象となる
    • 出向開始日が2021年1月1日より前の場合
      1月以降の出向運営経費のみ助成対象となる
    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で事業活動が一時的に縮小している事業者が、出向で労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」(仮称)
    受給までの流れ(画像は厚労省が公表した資料からキャプチャ)

    助成額比較例(イメージ)

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で事業活動が一時的に縮小している事業者が、出向で労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業者に運営経費を助成する「産業雇用安定助成金」(仮称)
    助成額のイメージ。賃金は、出向期間中の賃金日額と出向元での直近の賃金日額のいずれか低い方の額9000円。出向期間中の出向運営経費は、出向元賃金負担が3600円、出向先賃金負担が5400円。出向先で教育訓練、労務管理に関する調整経費など3000円。

    雇用調整助成金は縮小する予定、「産業雇用安定助成金」で雇用を維持する方針

    政府は2021年2月までの延長を決めた現行の「雇用調整助成金」特例措置を、3月から縮減する方針を示している。

    「雇用調整助成金」は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する制度。

    「雇用調整助成金」でも雇用調整を目的とする出向に関する助成があるものの、助成は出向元の事業者だけが対象となっており、従業員を休業させた場合よりも低い金額となっている。

    こうしたことを踏まえ、政府は出向元と出向先の双方の企業に助成金を支給する「産業雇用安定助成金」の創設を決めた。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    楽天やAmazonなどに対抗、新たな経済圏の創出めざす新ECモール「ZOXモール」とは

    4 years 11ヶ月 ago

    システム開発会社などを傘下に抱えるITbookホールディングスがECモールの運営を始めた。新たに立ち上げた子会社のZOXを通じて「ZOXモール」を運営する。

    「ZOXモール」は「Amazon」「楽天市場」といった大手モールのビジネスモデルに対し、「DX」「SDGs」「SaaS」「PaaS」「MaaS」などの潮流を取り込んだ事業を展開。生産者・商人・生活者間のハブとなるスキームを提供し、ECを軸とした新たな経済圏の創出をめざすという。

    システム開発会社などを傘下に抱えるITbookホールディングスがECモールの運営を始めた。新たに立ち上げた子会社のZOXを通じて「ZOXモール」を運営する
    「ZOXモール」について(画像は編集部が「ZOXモール」からキャプチャ)

    ITbookホールディングスが説明する既存ECモールとの差別化点は次の通り。

    • 総合ECモール初の動画やブログなどを活用したメディアコマース展開
      「人物」にフォーカスした撮影動画と連動し、「もの」の価値を最大限に引き出 しながら商品の魅力を、メディアコマースを通して訴求するという
    • 出店者の幅を広げる「モール イン モール」機能
      一般出店者のほか、商材を保有しない企業が出店者を募ることでEC事業を展開する「モール イン モール」サービスを展開
    • ECカートサービスの提供によるハイブリッドEC事業の展開
      出店型、マーケットプレイス型など異なるサービス形態(手法)とのハイブリッド展開で出店メリットを提供するという

    「ZOXモール」では、ZOXが委託販売の形態で商品を直接、消費者に販売するダイレクト販売も行う。

    ZOXモールには2020年にRIZAPグループから買収したアパレルSPAの三鈴などが出店している。

    石居 岳
    石居 岳

    【2021年ECトレンド予測③】粟飯原理咲さん、安住祐一さん、市橋邦弘さん、河野貴伸さん、森野誠之さんが見るEC業界

    4 years 11ヶ月 ago
    EC業界の有識者14人による、2020年の振り返りと2021年のECトレンドを予測。第3回は、アイランドの粟飯原理咲さん、ビービーエフの安住祐一さん、フェリシモの市橋邦弘さん、フラクタの河野貴伸さん、運営堂の森野誠之さん

    EC業界の有識者14人に、2020年の振り返りと合わせて2021年のECトレンドを予測してもらう企画の3回目は、アイランド 粟飯原理咲さん、ビービーエフ 安住祐一さん、フェリシモ 市橋邦弘さん、フラクタ 河野貴伸さん、運営堂 森野誠之さん。(紹介は50音順)

    アイランド 粟飯原理咲さん

    粟飯原理咲さん
    アイランド株式会社 代表取締役/インターネットサービスプロデューサー 粟飯原理咲さん

    2020年の印象的なECトピックス

    新型コロナウィルスの感染拡大により、外食店やホテル業などさまざまな事業者の方々が苦境に陥ったなか、ECを通じた「応援消費」という購入スタイルが一気に消費者の間に広がったこと。

    (弊社が運営する)日本最大級のお取り寄せの情報サイト「おとりよせネット」で2020年6月に実施したユーザー調査では、オンラインショッピングでの購入回数が増えたユーザーのうち43%が、その理由に「ショップの応援・支援」のためと回答。自身が満足するためだけではなく、社会とつながるために買い物をするユーザーが増えている。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    2020年は「ステイホーム」の長期化により、これまで利用しなかったジャンルのECを利用するユーザーの裾野が広がった。2021年は、一度「自分が体験して良かったもの」を「ギフトとして人に贈る」ニーズが高まるなど、ギフトECカテゴリの伸長が期待できるのではないだろうか。

    また、2020年に定着した「応援消費」の流れでは、企業がSNSなどを通じて自社のビジョンや思いを語り、消費者(生活者)とのコミュニケーションをより大切にしていくことが求められる。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    コロナ禍で生活基盤のオンライン化が劇的に進んだことで、ECがますます生活者にとって身近(普通)になり、生活に欠かせないツールとして広がっていき(普及)、今後変わらない定番になっていく(普遍)。

    ビービーエフ 安住祐一さん

    安住祐一さん 
    株式会社ビービーエフ 執行役員 EC事業部 部長 デジタルマーケティング推進担当 情報セキュリティアドミニストレータ 安住祐一さん

    2020年の印象的なECトピックス

    コロナ禍を経て、経営層が事業継続の観点でも、リアルとECの売り上げや利益のバランスの見直しをするようになった。日本は年齢の高い経営層が大半で、かつ中小企業が多いため、頭でわかっていてもデジタル投資に向き合わなかったのが、コロナ禍で向き合うことになった。時既に遅しの事業も多かったが。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    2025年に団塊ジュニア世代が高齢者となり、人口減が続いていくシナリオは随分以前から言われてきた。コロナで変革が早まった。

    2021年は大量解雇や倒産が進み、可処分所得の減少や購買の鈍化が起きる。ECやサポート側が、その環境変化に抗っていけるのか、OMO(Online Merges with Offline)も含めた本質的なマーケティングチャネルになっていけるのかが問われる年になると思う。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    2020年は色々な誤魔化しや化けの皮が剥がれた年だった。2021年は、いろいろな物事が変化し、問題の本質に向き合い、明らかになっていく年。ECにとっても。

    フェリシモ 市橋邦弘さん

    市橋邦弘さん
    株式会社フェリシモ 新事業開発本部 物流EC支援事業部 部長 市橋邦弘さん

    2020年の印象的なECトピックス

    新型コロナウィルスの感染対策を行いながらもEC物流を止めずに行ったこと。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    (当社においては)変化するお客さまの生活様式を注視し、課題を解決する製品やサービス開発、お届けしていきたい。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    希望をもち、希(まれ)な1年を乗り越える。

    フラクタ 河野貴伸さん

    河野貴伸さん
    株式会社フラクタ 代表取締役、Shopify日本公式エバンジェリスト、株式会社Zokei社外CTO、ジャパンEコマースコンサルタント協会講師 河野貴伸さん

    2020年の印象的なECトピックス

    Shopify。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    コモディティ化していく。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    独自性が求められるようになるから。

    運営堂 森野誠之さん

    森野誠之さん
    運営堂代表 森野誠之さん

    2020年の印象的なECトピックス

    やっぱり新型コロナウィルスの影響によるEC(デジタル)シフトで、ECが世の中になくてはならないものになったこと。

    今まで使ったことがなかったユーザー、事業者がECを使うようになって、あっという間に世代を超えて使うものになった。スマホ並みに誰でも使っている。それと供にEC周りの新たなサービスがどんどん出てきた。SNSから商品が買えるようにもなり、オフラインとの融合というか雪解けも進んだ。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    ECを始める事業者が増えて競合も増えるので、まっとうな競争によるサービスの向上を期待したい。値引き・ポイント、テクニックではない商売の面でがんばる事業者が出てきてほしい。

    変化に関してはGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)、楽天、ソフトバンクなどの大企業が決済・配送など含めて、強烈に囲い込んでくるのでECサイト外での購入が増えてくるかな? と思う。検索結果から買えるとか決済アプリから買えるといった感じで。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    世の中の変化に呼応していち早く動いたところがグンと伸びそう(中小事業者は生き残りそう)なので。

    ◇◇◇

    2021年を予想する一文字は書道家の沖 亜希子(雅号:沖才竹)氏が揮毫(きごう)しました。

    公文 紫都
    公文 紫都

    ECビジネスとサスティナビリティの成功例。商品パッケージでCO2削減&追加料金を払っても選ぶ「サステナブル配送」とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 11ヶ月 ago
    ヘアケアブランド「Davines」 のEC利用者の平均20% は、商品配送に伴うCO2排出量をオフセットするため、配送料を30セント上乗せすることを選択しています。その理由とは?

    ヘアケアブランド「Davines」は、環境のサステナビリティをビジネスの最前線に置いています。EC利用客の平均20%は、商品配送に伴うCO2排出量をオフセット(編注:自身でCO2の排出を減らす代わりに、さまざまな手段により地球上のどこか別の場所で行われているCO2を減らす活動に貢献すること)するため、配送料を30セント上乗せすることを選択しています。

    目標は「2030年までに事業すべてのCO2排出量をオフセットする」

    「Davines」は2005年にCO2排出量をオフセットするプロジェクトを開始。2011年からサステナビリティに関するガイドラインをパッケージに取り入れました。2016年には米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体「B Lab」が定めるBコーポレーション(編注:B Corporation認証。企業の社会的および環境的パフォーマンス全体を測定する唯一の認証)に認定されました。

    2018年からは全商品のパッケージをカーボンニュートラル包装(編注:ライフサイクル全体で見たときに、CO2の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態になること)にしています。最終的な目標は、「2030年までに事業のすべてのCO2排出量をオフセットすること」。DavinesのEコマースコーディネーターでサステナビリティのスペシャリストであるアリン・アイケン氏はこう述べています。

    「Davines」は最近、商品配送に伴うCO2排出量をオフセットするため、ECサイト上に、配送料を増額できるツールを導入しました。2020年4月にこの機能を追加して以来、「約1万件の注文がCO2の影響をオフセットして出荷されている」とDavinesは発表しています。

    「Davines」は1983年にイタリアで創業したブランドで、現在もイタリアで商品を製造。世界中で販売を行っており、売り上げの大部分はBtoBが占めており、ヘアサロンへの卸売りもしています。自社ECサイト、大手百貨店「Nordstrom」のECサイト、Amazonを含むオンライン販売が、ビジネスの一部として成長しているとアイケン氏は話します。

    「カーボンニュートラル包装」はCO2排出量を団体への寄付で相殺すること

    Bコーポレーション認定を受けている「Davines」には、労働者、顧客、サプライヤー、地域社会、環境に与える影響を報告し、考慮することが求められています。「Davines」が取り入れている「カーボンニュートラル包装」とは、商品製造に伴うCO2排出量を、CO2排出量削減に取り組む組織への寄付金で相殺することを意味します。「Davines」はエチオピアの土地と森林の再生に力を入れている非営利団体「EthioTrees」に寄付しています。

    CO2排出の影響を計算するプラグインを導入

    「Davines」は、ニューヨーク州北部にある倉庫から消費者の玄関先までの配送に伴うCO2排出量をオフセットするプログラムの寄付先にも「EthioTrees」を選びました。「Davines」が採用している「Cloverly」(編注:Sustainability as a Serviceのプラットフォームで、カーボンオフセットを計算するためのAPIなどを公開している)のプラグインは、「Davines」も使用している「Shopify」などのECプラットフォームと統合することができ、さまざまな活動の環境への影響とカーボン・オフセットを計算します。

    「Cloverly」は、荷物の重さと倉庫から配送先までの距離などから、「Davines」の配送にかかるカーボン・インパクト(編注:CO2排出の影響)を計算。「Davines」はこの金額を「EthioTrees」に寄付する一方、消費者にはメッセージを明確かつシンプルに伝えるために一律料金を請求しているとアイケン氏は言います。チェックアウトページで、消費者はチェックボックスをクリックして「カーボンニュートラル配送のために0.30ドル(30セント)を追加」できます。

    これは、私たちの価値観をEC利用者にアピールするための1つの方法でした。(アイケン氏)

    DavinesのECサイトでは、会計時に「カーボンニュートラル配送のために0.3ドルを追加」を選択できる
    会計時に「カーボンニュートラル配送のために0.30ドルを追加」を選択できる(画像:DigitalCommerce360「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davines」よりキャプチャ」

    18万6000ポンドのCO2をオフセット

    アイケン氏によると、追加の30セントにはカーボンオフセットと「Cloverly」の手数料のみが含まれており、その他の料金は発生しないそうです。注文ごとの配送距離と荷物の重さの違いはわずかのため、定額料金で請求した方が消費者に伝わりやすいとアイケン氏は言います。

    環境問題に配慮した配送ツールを利用していると紹介するDavines
    環境問題に配慮した配送ツールを利用していると紹介する「Davines」(画像:DigitalCommerce360「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davinesよりキャプチャ」

    30セントはそれほど大きな金額ではありません。消費者がオフセットしているのは自身がオーダーした1つの小さな荷物だけであり、配送するトラック全体の荷物ではないことをアイケン氏は強調しています。「Davines」の物流チームは、環境への影響をさらに減らすために、航空輸送ではなく地上輸送のみを使用するように努めているそうです。

    ビジネス全体を見るとEコマースの影響は大きいですが、1つひとつの注文がCO2排出に与える影響はそれほど大きくありません。(アイケン氏)

    「Davines」は、数か月間「Cloverly」を試した後の2020年4月、正式にシステムを統合しました。プログラムを開始して以来、「Davines」は1万件の注文を通じて、18万6000ポンド(8万4,368キログラム)のCO2をオフセットしてきました。平均して約20%の顧客が購入時にオフセットを選択しており、アイケン氏は結果に満足しています。

    「Davines」がサステナブル配送を追加した理由

    「Davines」が最初にサステナブル配送のオプションを開始した際、ホームページにこの新プログラムに関するバナーを表示し、メールマガジンにも関連するメッセージを掲載しました。立ち上げ以来、2020年のブラックフライデーまで、このプログラムのプロモーションは行っていません。

    「Davines」は通常、ブラックフライデー(「Davines」は「グリーンフライデー」と呼んでいます)にはEC売上の1%を環境に焦点を当てた団体に寄付しています。2020年も1%の寄付を継続したと同時に、注文ごとに30セントを負担してサステナブル配送を行いました。そのため、「当日出荷された注文による環境への悪影響はなかった」とアイケン氏は説明。11月27日には、5.1トン分のCO2をオフセットしたと「Davines」は発表しています。

    Davinesはサステナブル配送で対応するため、ブラックフライデーを「グリーンフライデー」と呼んでいる
    Davinesはサステナブル配送で対応するため、ブラックフライデーではなく、「グリーンフライデー」と呼ぶようにしている(画像:DigitalCommerce360「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davinesよりキャプチャ」

    この新しい取り組みは、現在まで上手くいっています。さらに強化するために、2021年にはWebサイトやマーケティングでこの取り組みの認知を広げ、より多くの消費者にサステナブル配送を選択してもらいたいと「Davines」は考えています。

    「Davines」がこの機能を追加したのは、ブランドの価値観に合致しているからだけでなく、消費者がサステナビリティに関心を持っていることを知っているからです。

    サステナブル配送機能は当社の価値観に沿ったものです。私たちは将来、カーボンニュートラルとネットゼロエミッション(編注:温室効果ガス排出を実質ゼロとすること)を実現するためにコミットしてきました。我々の価値観を伝える方法として、この機能は本当に重要なのです。(アイケン氏)

    多くの消費者が、サステナブルなビジネスを行っている企業を探し、その企業から購入するようになっています。1,113人の消費者を対象にした『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsの調査(2020年12月実施)によると、サンクスギビングからサイバーマンデーまでの5日間、消費者の11.1%は、「サステナブルなビジネスを行っているからという理由でオンライン小売事業者を選択し、購入した」と回答しています。

    また、同じく『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが989人の消費者を対象に行った調査(2020年3月)によると、消費者の30%が「環境に配慮した配送や梱包のために、より多くの金額を支払うことを望んでいる」と答えました。

    『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが消費者989人を対象とした調査(画像:DigitalCommerce360の「Customers choose to pay more for sustainable shipping at Davines」より編集部が作成)

    プラスチックの代わりに再生紙で商品を梱包

    「Davines」のサステナビリティへのもう1つの取り組みは、出荷用の箱の中に環境に配慮した素材を取り入れていることです。たとえば、商品のほとんどはプラスチックの代わりに再生紙を使用して梱包しています。さらにアイケン氏は次のように言います。

    「Davines」のパッケージは、輸送時の二酸化炭素排出量を削減し、必要な原材料を削減するために軽量化されています。(アイケン氏)

    「Davines」は今後、取引のあるサロンとのリサイクルプログラムを実施したいと考えています。サロンに特化したリサイクルプログラム「グリーンサークルサロン」では、サロンが集めた空の商品ボトルを「グリーンサークルサロン」に送付できるよう、リサイクルコンテナを提供し、集まったボトルを適切にリサイクルしています。「Davines」は、EC利用者が商品を使い切ったときに、地元のサロンでDavinesの商品を回収できるよう、プログラムを拡大したいと考えています。

    2020年中にこのプログラムを実施する予定でしたが、新型コロナウイルス拡大のため、「Davines」は予定を遅らせました。コロナ禍で多くのサロンが一時閉鎖しましたが、店舗を再開した後も、多くの場合、安全上の理由のために個人的な商品を持ち込まないように顧客に依頼しています。今は消費者の外出を奨励する時期ではありません。「Davines」は、コロナ禍が収束した時に、このプログラムが再開できることを期待しています。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    通販・EC、サブスクなど事業・業態転換を政府が支援する予算案額1.1兆円の「中小企業等事業再構築促進事業」とは?

    4 years 11ヶ月 ago

    小売店舗で衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響による売上減少を契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換――。政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める。

    2020年12月15日に閣議決定された令和2年度第3次補正予算案に盛り込まれており、2021年1月の通常国会で予算案が承認された後、「中小企業等事業再構築促進事業」の詳細が公表される見通し。予算案額は1兆1485億円。

    「中小企業等事業再構築促進事業」は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売り上げの回復が難い中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中小企業などの事業再構築を支援する制度。

    新規事業分野への進出、業態転換、事業・業種転換、事業再編などを通じた業再構築に意欲を有する中小企業の挑戦を支援するという。特に中堅企業へと成長する中小企業については補助上限を最大1億円に引き上げて支援を重点強化する。

    政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める
    「中小企業等事業再構築促進事業」について(画像は中小企業庁の公表資料からキャプチャ)

    事業再構築の想定イメージ

    • 小売店舗による衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売り上げが減少したことを契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換
    • レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売り上げが減少。店舗での営業を廃止し、オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応
    • ガソリン車の部品を製造している事業者が、コロナ危機を契機に従来のサプライチェーンが変化する可能性がある中、今後の需要拡大が見込まれるEVや蓄電池に必要な特殊部品の製造に着手、生産に必要な専用設備を導入
    • 航空機部品を製造している事業者が、コロナの影響で需要が激減したため、当該事業の圧縮・関連設備の廃棄を行い、新たな設備を導入してロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ

    補助対象要件

    • 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業など
    • 自社の強みや経営資源(ヒト/モノなど)を生かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関などと策定した中小企業など
      ※「事業再構築指針」は現在のところ公表されていない
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員1人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成

    補助金額・補助率

    政府は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新規事業への進出、業態展開、事業再編などを進める中小企業の補助事業「中小企業等事業再構築促進事業」を始める
    補助金額と補助率について(経産省の資料からキャプチャ)
    • ※1. 中小企業(卒業枠)について
      • 400社限定。計画期間内に、①組織再編②新規設備投資③グローバル展開――のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
    • ※2. 中堅企業(グローバルV字回復枠)について
      • 100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。
        • 直前6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業
        • 事業終了後3~5年で、付加価値額または従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること
        • グローバル展開を果たす事業であること

    補助対象経費の例

    • 建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計など)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展など)などが補助対象経費
      ※補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費は補助対象外

    店舗を縮小してネット通販を始める場合、店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用など。レストランが店舗営業を廃止しオンラインサービスを始める場合、店舗縮小に関する建物改修の費用、新規サービスに関する機器導入費やコウコク宣伝のための費用などが対象になる。

    ◇◇◇

    「中小企業等事業再構築促進事業」は、事業者側と認定支援機関、金融機関が共同で事業計画を策定。事業者と支援機関、金融機関が連携し一体となって事業再構築に取り組むことを求めている。

    担当は中小企業庁 経営支援部 技術・経営革新課(Tel03-3501-1816)。

    公募開始時期や対象業種については未定。申請にはjGrants(電子申請システム)での受付を予定しており、補助金申請には「gBizIDプライムアカウント」が必要となる。

    認定支援機関は、中小企業庁のホームページの「経営革新等支援機関認定一覧」を参照。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    しまむらのネット通販、店舗受取が9割で「ECから店舗への送客に効果」

    4 years 11ヶ月 ago

    しまむらが2020年10月にオープンした自社ECサイト「しまむらオンラインストア」のEC売上高は、計画通りに進行しているようだ。

    スマホで商品を注文し店頭取置が行えるアプリ「しまコレ」(ECサイトの開設に伴い9月に終了)とネット通販で2021年2月期のEC売上高は20億円を見込んでおり、オープンから11月20日までの売上高は「概ね計画通りに推移している」(しまむら)

    売れ筋商品は、インフルエンサー企画であるサプライヤーとの共同開発ブランド「JB(Joint Development Brand)」、キャラクター商品、オンライン限定商品などとなっている。傾向はオンラインストアの前身である「しまコレ」と同じという。「しまコレ」の顧客が、ECサイトへスムーズに移行していると見ている。

    なお、商品展開のうち約15%がオンラインストア限定商品。7L・8Lといった大きいサイズ、限定カラーなどを展開しており、売れ筋商品となっている。

    しまむらのEC事業について
    EC事業について(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

    商品の受取方法は、店舗受け取りが約9割、自宅配送が約1割。想定以上に店舗受け取りを選択する顧客が多く、「EC事業の主な目的の1つである『ECから店舗への送客』に効果を発揮している」(しまむら)

    顧客の内訳は9割以上が女性。東京、神奈川、大阪、愛知の大都市圏が中心となっている。

    人気集中による売り切れのチャンスロスを防止するため、12月から予約販売をスタートした。自宅配送時の配送方法では、送料500円の通常サイズに加え、12月から送料200円のゆうパケットを導入。アクセサリーなどの小さい商品向けに提供、顧客の選択肢を広げた。

    しまむらは、実店舗の物流・配送網を使いコストを抑制、「ローコストEC」を事業構造の根幹としている。埼玉県の東松山商品センターを増築し、増設部分をECセンターとして稼働。サプライヤーが東松山商品センターに納品後、隣接するECセンターで検収し、在庫として保管する。店舗受け取りはしまむらの物流網で配送し、個人宅配送の場合は宅配業者に配送を委託している。

    しまむらが2020年秋に運用を始めるECサイト運営に関する概要 埼玉県の東松山商品センターを増築し、増設部分をECセンターとして稼働させる
    物流センターについて(2021年2月期第1四半期の決算説明会資料からキャプチャ)

    東松山のECセンターのキャパシティーは年間売上高50~60億円程度を想定。コロナ禍の新生活様式でECの需要が高まっているため、ピッチを上げて拡大していくという。

    EC事業の拡大には西日本地域での配送拠点が必要不可欠。関西センターの開設を予定しているが、完成までは外部の物流業者へのアウトソーシングでEC事業を拡大していく考え。

    2022年2月期は、しまむら事業のEC取扱高を増やし、「バースデイ」「アベイル」など、「ファッションセンターしまむら」以外の事業でもネット通販を手がける。

    石居 岳
    石居 岳

    【2021年ECトレンド予測②】石田麻琴さん、川連一豊さん、北山浩さん、小橋重信さん、逸見光次郎さんが見るEC業界

    4 years 11ヶ月 ago
    EC業界の有識者14人による、2020年の振り返りと2021年のECトレンドを予測。第2回は、ECマーケティング人財育成の石田麻琴さん、ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)の川連一豊さん、エースの北山浩さん、リンクスの小橋重信さん、オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎さん

    EC業界の有識者14人に、2020年の振り返りと合わせて2021年のECトレンドを予測してもらう企画の2回目は、ECマーケティング人財育成の石田麻琴さん、ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)の川連一豊さん、エースの北山浩さん、リンクスの小橋重信さん、オムニチャネルコンサルタントの逸見光次郎さんです。(紹介は50音順)

    ECマーケティング人財育成 石田麻琴さん

    石田麻琴さん
    株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役 石田麻琴さん

    2020年の印象的なECトピックス

    コロナ禍によるEコマースのニーズ拡大。弊社のクライアントにおいても4月から6月にかけてアクセスが1.5倍~2.5倍、売り上げも前年同期比1.2倍~2.0倍になるなど、不謹慎ではあるが一時的にバブルのような状態になった。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    多くの企業において、Eコマースを事業計画に組込まざるを得ない状況になると思う。いままで「売り上げが伸びればラッキー」「みんながやっているから」などの理由でEコマースに取り組んでいた会社さんも、事業計画を組んで本格的に取り組む年になるのでは。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    企業としてEコマースに本格的に取り「組」む年になる。そして企業がEコマースのために「組」織を変化させる年になるというイメージから。

    JECCICA 川連一豊さん

    川連一豊さん
    JECCICA 代表理事 川連一豊さん

    2020年の印象的なECトピックス

    不謹慎ですが……コロナバブル。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    EC化率がぐーんと伸びる。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    極端に成長する可能性が高いため。

    エース 北山浩さん

    北山浩さん 
    エース株式会社 第三事業部 次長(EC事業部)北山浩さん

    2020年の印象的なECトピックス

    ヤプリさん、いつも.さんをはじめ、EC支援会社さんが数社上場したこと。

    理由:今までなかなかなかったし、大手企業の関連会社中心だったと思う。コロナ禍で暗いニュースが多い中、EC業界にとっては非常に喜ばしい出来事だったのではないだろうか?

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    期待する事:慢性的な人材orリソース不足が解消されることに期待。そして属人化しないでほしい。

    変化:手を加えられる企業はさらに飛躍=格差が広がるのではと見ている。投資ができる会社はさらに加速して総取を狙ってくるのではと思う。そして、動画コンテンツマーケティングが今まで以上に広がっていくと考えている。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    デジタルトランスフォーメーション(DX)に会社全体で取り組んでいる企業ほど前に進み、足踏みしている老舗企業ほど遅れていく。

    リンクス 小橋重信さん

    小橋重信さん
    株式会社リンクス 代表取締役社長、株式会社キレイコム 取締役 物流統括責任者 小橋重信さん

    2020年の印象的なECトピックス

    COVID-19による店舗閉鎖とECシフト急増。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    共創の実現……シェアリング含め、企業間連携の推進。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    お互いに協力して、この難局を乗り切ることが必要。

    CaTラボ 逸見光次郎さん

    逸見光次郎さん
    株式会社CaTラボ代表 オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎さん

    2020年の印象的なECトピックス

    BASEやShopifyなどのプラットフォームの急成長。GMOメイクショップやフューチャーショップなども伸びているが、初期従量課金型で出店料がない形のプラットフォームがより利用者を増やしている。ということは、「Yahoo!ショッピング」が料金体系を大きく下げて一気に出店者が増えたように、さまざまなビジネス/事業規模の事業者がECに参入したということになる。

    Shopifyは米国と同様、API経由での接続サービス(出品、マーケ、物流など)を拡大していくことができれば、中堅大手ECプラットフォーマーとの差異が無くなったり、よりきめ細やかな仕組みができあがったりする可能性がある。

    日本の小売業は自社IT部門が弱く、ベンダー任せとなっている。この構造は一気には変わらない。そうした中で、きめ細やかで出店しやすいECプラットフォーマーが増え、競争が増えることは、日本の小売業のEC化において大きなプラスになるかもしれない。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    コロナ禍、とにかくEC展開した事業者が、納期などのクレームを経験しながら2021年はサービスレベルを上げる取り組みができるようになるのか、それとも止めてしまうのか。そして店舗と連携したオムニチャネル化が進むのかどうか。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    国内小売市場は人口減に伴い成長する事は難しい中で、よりEC化率が高まる流れが加速すると考える。

    ◇◇◇

    2021年を予想する一文字は書道家の沖 亜希子(雅号:沖才竹)氏が揮毫(きごう)しました。

    公文 紫都
    公文 紫都

    エアークローゼットの「顧客の生の声」をEC経営に生かすデータ活用法と実践例

    4 years 11ヶ月 ago
    エアークローゼットが実績データ2000万件超を経営に活かすデータ解析と人工知能(AI)活用事例を公開。データ活用を通じたECサイト運営、その実例を解説

    女性向け月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」を展開するエアークローゼット。サービス開始から5年の間に、独自のオンラインシステムである「スタイリング提供システム」で蓄積した実績データ2000万件超のデータ解析と、人工知能(AI)活用事例を初公開した。独自の取り組みとノウハウを発信し、組織や業界の枠を超えた幅広い協業を呼び掛ける。エアークローゼットの天沼聰代表取締役社長 兼 CEOが語った、データ活用に注力する理由と経営に活かす方法とは?

    ※編集部主催のウェビナー「airClosetはなぜ『データ分析』に力を入れるのか。ファッションサブスクECを次世代型へアップデートする”唯一無二”のデータ活用法」の内容を記事化したものです。

    発想とITで、洋服と出会う体験をサービス化

    エアークローゼットが日本初となる普段着に特化した月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」を開始したのは2015年2月。

    顧客の体型・サイズ、レンタル履歴データなどから、プロのスタイリストがコーディネートを提案するのが特徴で、登録から受け取りまで一連の手続きをオンラインで完結する。返却期限はなく、気に入った洋服はそのまま購入できる。

    エアークローゼットが提供する「airCloset」
    「airCloset」サイトトップページ(画像:サイトからキャプチャ)

    現在はレンタルサービスに加え、実店舗の「airCloset x ABLE(エアークローゼットエイブル)」、提案型ファッションEC「airCloset Fitting(エアクロフィッティング)」、遠隔パーソナルスタリングサービスの「airCloset Talk(エアクロトーク)」を展開する。

    エアークローゼットが展開する各種サービス
    エアークローゼットが展開する各種サービス

    めざすのは、「『ワクワク』が空気のように当たり前になる世界。発想とITで人々の日常に新しいワクワクを創造する」(天沼氏)こと。

    データ活用はスタイリングから在庫管理まで

    自社サイト内に「airCloset Data Science Collection(エアークローゼットデータサイエンスコレクション)」を2020年6月に開設。数あるデータとAI活用事例の中からまず4件を公開した。

    自社のデータ活用事例を紹介する「airCloset Data Science Collection」トップページ
    自社のデータ活用事例を紹介する「airCloset Data Science Collection」トップページ(画像:サイトからキャプチャ)

    1. スタイリング・サポートAI

    顧客が事前に登録する洋服の好みや要望、サービス利用後の着心地やデザイン、カラーに関する感想といったフィードバックデータをAIで解析し、顧客ごとに適した洋服をスタイリストに提示する。

    最終的にコーディネートを決めるのはスタイリストだが、その作業をAIで支援し、スタイリングの精度と効率を向上させる

    airCloset Data Science Collection内の「スタイリング・サポートAI」について
    「スタイリング・サポートAI」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

    2. スタイリング・マッチング・システム

    洋服のレンタル履歴や好みを基に、エアークローゼットが契約する300人強のスタイリストの中から顧客のスタイリングテイストに合ったスタイリストを選ぶ。

    スタイリストとのマッチングが高ければ高いほど、顧客にとって洋服との良い出会いにつながるのではないか」(天沼氏)と考えたことが背景にある。

    airCloset Data Science Collection内の「スタイリング・マッチング・システム」について
    「スタイリング・マッチング・システム」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

    3. インベントリー・オプティマイザー

    在庫最適化シミュレーション。洋服のバリエーションを過不足なくそろえるため、どのカテゴリーのどんな洋服を、どのような比率で仕入れるかを算出する。貸し出し中の洋服、倉庫に保管されている洋服、クリーニング工場でメンテナンス中の洋服、顧客満足度などのデータを掛け合わせ、格好の組み合わせをはじき出す。

    airCloset Data Science Collection内の「インベントリー・オプティマイザー」について
    「インベントリー・オプティマイザー」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

    4. ロジスティクス・フォアキャスト

    貸し出した洋服は、検品、クリーニング、メンテナンスという工程を経て再び在庫化する。しかし、エアークローゼットは返却期限を設けていないため、どんな洋服がいつ、何着返ってくるかといった返却の予測が難しかった。この問題を解決するのがロジスティクス・フォアキャストだ。

    蓄積した返却データをAIに学習させ、顧客数、出荷数、季節、曜日などに基づき「今日、明日、あさって、どのくらいの数量が返ってくるか」(天沼氏)を予測する。

    airCloset Data Science Collection内の「ロジスティクス・フォアキャスト」について
    「ロジスティクス・フォアキャスト」について(詳細はこちら画像はサイトからキャプチャ)

    このモデルの利用で、予測した返却数と実際の返却数の誤差は±10%以内に改善した。クリーニング工場や倉庫の人員配置が最適化され、人員不足による作業の遅れや、逆に人員過多によるコスト増といった問題を回避できるようになったという。

    エアークローゼットの天沼聰代表取締役社長 兼 CEO
    エアークローゼットの天沼聰代表取締役社長 兼 CEO。英国ロンドン大学コンピューター情報システム学科を卒業後、日本でIT・戦略系コンサルティング会社のアビームコンサルティングと楽天で勤務。2014年7月にコンサル時代の仲間2人とエアークローゼットを創業した。

    実例公開は「業界の垣根を超えたデータ連携」「協力体制作り」のため

    エアークローゼットがデータ解析や実例を公開したのは、日本の将来も見据え、業界の垣根を超えたデータ連携と協力体制作りが必要との思いがあったため。

    ファッション業界に限らず、情報化社会の中で情報がどんどんたまっていく中で、それを活用しきれていない部分も多々あるのではないかと感じていた。(データ活用について)いろんな業界の方と意見交換することが、これからの日本を作っていくと考えた。(天沼氏)

    事例を積極的に発信することが、業界他社がデータ活用に興味を持つきっかけや、データ連携や協業の起点になればと期待する。

    社長直属部署でデータ活用とAI開発を内製化

    エアークローゼットは、サービス開始当初からデータの収集と活用に力を入れてきたという。

    アナログとデジタル(的要素)をバランスよく活用することを、最初のサービス開始時から会社の信念として持っていた。どういうデータが必要で、それをどう活用していくかについて、自分たちなりの思いがある。(天沼氏)

    購買データだったり、どのお客さまにどのお洋服が貸し出されたかのひもづけやレンタル履歴だったり、そういったデータを取得し、(それを活用するための)システム設計を進めてきた。(天沼氏)

    天沼氏によると、データ活用の領域は大きく3つ。1つ目は「アクションに対する結果の分析」で「過去をひもとく」こと。販促キャンペーンの反響を確認するためのデータ分析などがこれにあたる。

    2つ目は「積み重ねてきたデータから、未来のアクションを導き出す」という「未来を創る」こと。レンタル履歴や顧客の感想などを解析し、個人の趣味嗜好やトレンドの把握に利用する。スタイリストがスキルを共有する仕組みも用意し、スタイリング精度の向上に役立てている。

    ​  「airCloset Data Science Collection」より
    「airCloset Data Science Collection」より(画像:サイトからキャプチャ)

    3つ目が、データから学び、学んだことを経営に生かすAIの領域だ。データ解析や計算をAIで自動化し、サービスの個人化や業務の効率化を推進する。

    データを経営に活かすことで生まれる「圧倒的な差」

    たとえば、顧客から返却された洋服ごとに「次に貸し出される確率とタイミング」をAIで算出するシステムの場合。確率が高い洋服を、倉庫内の取り出しやすい場所に保管するなどの工夫をすることで、業務の効率化面で「圧倒的な差」が生まれているという。

    セッションのモデレーターを務めた、国内外のファッションテック事情に詳しいpilot boatの納冨隼平氏は、「ファッション業界でここまでデータを大掛かりに使っている国内事例を知らない」とエアークローゼットを評価する。

    合同会社pilot boat 代表社員CEO 納富 隼平氏
    モデレーターを務めた合同会社pilot boat 代表社員CEO 納富 隼平氏は、大企業向けオープンイノベーションのコンサルや、スタートアップ関連のリサーチも手がける。得意分野はFashionTech・BeautyTech・FemTech

    エアークローゼットのデータ活用に関する最大の特徴は、データ解析を外注せず、システム開発部門とは別に社長室にデータサイエンティストの専門チームを設けたことだろう。ITコンサルタント出身でデータ活用にも明るい天沼氏が、方向性の決定に自ら関与する。

    スタイリングもだが、在庫管理・物流・事業の面で全般的にデータを活用することを(エアークローゼットの)コアなストレングス(強み)として持っていたい。アプリも含めシステムはすべて内製化し、データ収集からその活用まで一気通貫で一事業体としてやっていくことにこだわった。(天沼氏)

    ファッションやアパレル業界に特化したデータサイエンス専門家はまだ少ないが、データ活用機会が広がれば人材も増えるとみる。

    「airCloset Data Science Collection」より
    「airCloset Data Science Collection」より(画像:サイトからキャプチャ)

    コロナ禍で、データ使い手の視点がますます重要に

    もう1つ、データ活用について天沼氏が重視するのが「仮説を立てること」だ。仮説に従い検証を進めることで、データ活用で何を実現したいのか、データに向き合う目的を常に意識することが重要と話す。

    仮説がないと、データをみること自体が目的になってしまい、次のアクションが生まれなくなることが多い。さまざまなデータがあるが、目的に沿わないデータは使わない方がいい場合もある。(天沼氏)

    仮説は当たらないことの方が多いが、肝心なのは仮説が外れた場合の影響範囲を把握しておくことという。

    たとえばABテストであれば、どれくらいダメになる可能性があるのか、勘所を押さえておけば大幅に外すことはない。ABテストの影響範囲をちゃんと把握したうえであれば、いくらでもチャレンジすべきだと思う。(天沼氏)

    予想と違う結果の場合、それを基に新たな仮説を立てる。この繰り返しで得られる顧客インサイトがAIモデルの精度改善に必要だと指摘する。

    「エアークローゼット」の動向を注目する納冨氏が天沼氏に投げた質問

    新型コロナウイルス感染症の大流行は、ファッション業界にも影響を与えた。既存のAIモデルでは、予測が難しい側面も多々あると打ち明ける。

    コロナ禍で起きた消費行動の変化を踏まえ、次は多分こうなるという仮説を立ててデータを検証するという、意思のある仮説検証がますます重要になってくる。データの使い手としての視点が、今まで以上に大切になると感じている。(天沼氏)

    社外とのデータ連携で、顧客本位のデータ活用が進化

    これからは、顧客ごとのスタイリング精度を向上させるためのデータ活用に注力、収集したデータをファッション業界内外の他社とデータ連携などで協力していきたいと意気込む。

    たとえば、実店舗を展開する企業と顧客データを共有すれば、店舗側は来店したエアークローゼット顧客に、レンタル履歴を基に興味・関心がありそうな洋服やその他商品を提案するといったことが可能になる。

    洋服を試着した顧客の感想をブランドに提供し、デザイン改良に生かすという「データをモノづくりに活用する考え方」も、これからは増えると予想する。

    天沼氏はセッションの最後に、「この大変な時期に学びを求めて、ウェビナーに参加してくれたことに感謝します。共に乗り越えていきましょう」とEC事業者にエールを送った

    天沼氏は、「データ活用にとどまらず、(他社との)コラボレーションによって、1社でできること以上に顧客への提供価値を高められる場合はたくさんあると思う」と、顧客本位の協業に意欲を表明。

    コロナ渦中で顧客の消費行動が日々変わる中、積極的な情報共有を行い、変化に前向きに対応する意識を持ち続けることが大事と述べた。

    鶏内智子

    ジャパネットたかたが小売電気事業「ジャパネットでんき」を展開する理由

    4 years 11ヶ月 ago

    ジャパネットたかたなどを傘下に抱えるジャパネットホールディングスのグループ会社で、新規サービス事業を担うジャパネットサービスイノベーションは、電気の小売販売を1月3日から始めた。

    「ジャパネットでんき」は、ジャパネットサービスイノベーションが電力供給する、「ジャパネットたかた」の自社クレジットカード「ジャパネットカード」会員限定サービス。

    サービス提供エリアは全国が対象。現在の電気代はそのままで電気使用量の多い月少ない月にかかわらず、利用料金の5%をジャパネットポイントで還元する。また、「ジャパネットでんき」への切り替えで3000ポイントを付与。貯まったポイントは1ポイント=1円として「ジャパネットたかた」で利用できる。

    「ジャパネットでんき」は、ジャパネットサービスイノベーションが電力供給する、「ジャパネットたかた」の自社クレジットカード「ジャパネットカード」会員限定サービス
    ジャパネットが展開する「ジャパネットカード」

    電力小売り事業は2016年、全面自由化となった。ジャパネットホールディングスによると、そのメリットがあまり伝わっておらず、全国的に切り替えの申し込みが伸びていないという。

    日頃よりジャパネットをご利用いただいているおさまに新電力に切り替えることのお得さを知っていただき、今後とも末永くご愛顧いただけるようなサービスをお届けしたいという思いから、この度小売電気事業への参入を決定いたしました。(ジャパネットホールディングス)

    「ジャパネットカード」の会員数は2020年12月現在で約30万人。「ジャパネットでんき」は、「ジャパネットカード」を「ジャパネットたかた」で使う優良顧客との関係性強化、新規獲得といった狙いがある。

    なお、電気の切り替えに関する工事や手続きなどは不要。電話またはジャパネットのショッピングサイトで申し込みできる。他社への契約切り替えの際も違約金はかからない。「ジャパネットでんき」の詳細は会員向け通販カタログやECサイト内で案内していく。

    ジャパネットはセディナの協力の下、分割払いによる買い物を提供。「ジャパネットたかた」でお得に買い物できる自社クレジットカードの本格展開を始めたのは2019年。「ジャパネットカード」で支払うと、送料無料や「ジャパネットたかた」以外の店舗での買い物も対象に分割金利手数料をジャパネットたかたが負担するサービスを展開している。

    石居 岳
    石居 岳

    【2021年ECトレンド予測①】奥谷孝司さん、川添隆さん、藤原義昭さん、村山らむねさんが見るEC業界

    4 years 11ヶ月 ago
    EC業界の有識者14名が、2020年の振り返りとともに2021年のECトレンドを予測します(全3回)。1回目は、オイシックス・ラ・大地 奥谷孝司さん、ECエバンジェリスト 川添隆さん、コメ兵 藤原義昭さん、スタイルビズ 村山らむねさん

    新年明けましておめでとうございます! 2021年もよろしくお願いいたします。2020年は世代を問わず、ECの利用が大幅に増えた1年になりました。EC業界にとっては追い風ともいえる状況です。これを一過性のトレンドにせず、消費者の”買い物”におけるスタンダードにするには2021年、各事業者はどんなことに目を向け、取り組んでいったらいいのか?

    EC業界の有識者14人に、2020年の振り返りと合わせて2021年のECトレンドを予測してもらいました。全3回にわけて紹介します。(紹介は50音順)

    オイシックス・ラ・大地 奥谷孝司さん

    オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)、株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司さん
    オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)、株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 奥谷孝司さん

    2020年の印象的なECトピックス

    暮らしのデジタルシフト:コロナによって、デリバリービジネスが加速したり、高齢者のデジタルシフトが進んだこと。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    全ての企業、業界がチャネルのデジタルシフトを進める。お客さまのオンラインIDを持つことがオフライン企業にとっても当たり前になる。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    業界は伸びるが、明暗が別れる。コロナは今年すぐに消えてなくならない。その前にいくつかの企業は消えてしまうでしょう。

    ECエバンジェリスト 川添隆さん

    川添隆さん 
    ECエバンジェリスト/ビジョナリーホールディングス 執行役員 川添隆さん

    2020年の印象的なECトピックス

    オンライン接客(スタッフコーデ、チャット接客、ビデオ接客、ライブ配信など)が一般化したこと。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    「ECは買い物の楽しさを提供できるのか?」という、ECの弱いところに対するアプローチが増えてくるような気がしています。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    コロナ禍をこえて、さらなるサービス設計や事業のスピードが求められると考えているから。

    コメ兵 藤原義昭さん

    藤原義昭さん 
    コメ兵ホールディングス マーケティング統括部 執行役員 マーケティング統括本部長 藤原義昭さん

    2020年の印象的なECトピックス

    コロナによるリアル店舗の代替。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    急速なデジタル化がそのまま進むと良い。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    現在の状況は当分続くでしょう。

    スタイルビズ 村山らむねさん

    村山らむねさん
    お取り寄せコンシェルジェ・コラムニスト 村山らむねさん

    2020年の印象的なECトピックス

    生協の躍進。私もコロナで久々に生協に再加入した。便利すぎる。コープみらいの流通総額は4000億円前後、コープさっぽろは3000億円前後。静かな巨人となっている。私が加入したパルシステムのネットでのUIも非常に改善されており、質量ともに、大きな存在感となっている。

    サステナブルな商品の開発、オンデマンド型のネットスーパーではなく、週一時間指定の宅配という、物流負担もミニマムな形態。既存のECが見習うべきところは多い。

    2021年、EC業界に期待すること&トレンド予測

    お客さまとの関係性の作り方の工夫が多数出てくると思う。ライブチャットやライブコマースなど、非接触型の今までにない濃い関係性構築のカタチがすでに出てきており、2021年には成果が出始めるだろう。H2H(ホームトゥホーム)も、メルカリだけでなく、食べチョクや、minneなどが1つの生活インフラになっていくだろう。また、地域発のECにも期待している。

    2021年のEC業界の予想を漢字で表すなら?

    残念ながら安さがますます求められるのは避けられず、それとともに、商品・従業員・宅配業者、さまざまなステークホルダーの安心・安全も求められ、不安をどう社会全体から駆逐するかを考えていく年になると思う。

    ◇◇◇

    2021年を予想する一文字は書道家の沖 亜希子(雅号:沖才竹)氏が揮毫(きごう)しました。

    公文 紫都
    公文 紫都

    EC市場は2026年度に29.4兆円、オムニチャネルコマースは80.9兆円市場へ【NRI予測】

    4 years 11ヶ月 ago

    野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」によると、「BtoC EC(消費者向けEC)」の2026年度の市場規模は29兆4000億円、オムニチャネルコマース市場は80兆9000億円市場に拡大すると予測した。

    2019年度と比較すると、BtoC-EC市場は約1.5倍、オムニチャネルコマース市場は1.47倍の規模。

    野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」  BtoC EC(消費者向けEC)  オムニチャネルコマース市場
    BtoC-EC市場とオムニチャネルコマース市場の推移(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

    新型コロナウイルス感染症拡大に見舞われた2020年度のBtoC-EC市場は2019年度比2.6%増の20兆円と予測する。

    2020年度は消費支出自体の縮小(特にサービス)とオンラインシフトの拡大が同時に進んでいるため、2019年度と比較すると微増にとどまる。

    オンラインシフトが進んだのは物販系がメイン。物販系は店舗休業などを受けオンラインシフトが進んだ。一方、旅行、航空券、リアルイベントのチケットなどサービス系が外出自粛、渡航制限などで大幅に需要が縮小した。

    野村総合研究所(NRI)が発表したICT(情報通信技術)やメディアに関する市場調査レポート「ITナビゲーター2021年版」 EC市場における拡大・縮小したカテゴリ BtoC EC(消費者向けEC)  オムニチャネルコマース市場
    EC市場における拡大・縮小したカテゴリ(画像は「ITナビゲーター2021年版」からキャプチャ)

    「B2C EC」の定義

    「B2C EC」は、インターネット経由で一般消費者向けの商品やサービスを販売する市場が対象。携帯電話端末やスマートフォンなど、携帯電話回線を介したインターネット経由の販売金額も含む。ホテル予約など、店頭で決済を行う場合でもオンラインで予約したものも含む。車や不動産など申し込みなどはネット経由だが、最終意思決定や契約がネットで完結しない取引のほか、ネット経由で購入するデジタルコンテンツ(音楽、映像、eラーニングなど)市場は含まない。

    「オムニチャネル・コマース」の定義

    最終的な購買経路がインターネット経由かリアル店舗かを問わず、一般消費者向けの商品やサービスを、インターネット上の情報を見たうえで購入、利用する市場が対象。「オムニチャネル・コマース」の市場規模には「B2C EC」の市場も含まれる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    2020年のEC業界振り返り & 2021年に起こりそうなことまとめ【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    4 years 11ヶ月 ago
    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年のニュース
    ネッ担まとめ

    2020年はなんといっても東京オリンピック!……だったはずですが、新型コロナウィルスの影響で予想とまったく違った1年になりました。コロナによって生じた変化とその対応、さらにそれ以前の流れが組み合わさって複雑な動きになった2020年。1月から順番に振り返ってみましょう。

    ところで去年の予想はどうだったのか?

    2019年のEC業界振り返り & 2020年に起こりそうなことまとめ【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/7127

    まずは上記の記事の最後にある私のコメントから

    2020年の大きな流れは東京オリンピック、嵐の引退、景気悪化への懸念……といったところ。特にオリンピック関連で海の日、山の日、スポーツの日(体育の日)の祝日が移動することは押さえておきたいです。需要が発生しますからね。

    ECに関してはPayPayを中心としたソフトバンク勢の拡大、送料無料ラインの統一など全体で押し上げる楽天、なんでもありのAmazonの動きがメインになりますよね。それに対するというか規制する側の公取委などの対応もどんどん出てくるでしょう。一方、ブランド力のあるショップによる自社EC強化&脱モールは2020年も加速しそうです。

    振り返ってみると当然ですが完全に外れております。オリンピックは今年も開催できるのがわかりませんし、景気も悪化どころではなかったですよね。ECに関しては急増してしまったので、ずっとECをやってきたところはどこも大変だったはずです。ここまで大きく変わった年も珍しいと言うしかありません。

    【1月】Amazon離れとD2C流行の兆し

    2020年、EC業界の展望と「中小事業者は何を考えるべきか」前編 | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
    https://www.commerce-design.net/blog/archives/3790

    2020年、EC業界の展望と「中小事業者は何を考えるべきか」後編 | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
    https://www.commerce-design.net/blog/archives/3798

    アマゾンには何でもありますが「一定のフィルタに合致する商品だけが並んでいる」というお店は、ノイズがなくて、快適な買い物体験ができます。今や、「なんでもある」よりも「フィルタが掛かっている」ほうが魅力なんだなあ。
    (中略)
    D2CはECが進化したような業態で、そのままは真似られないです。ただ、D2Cそのものをやらないまでも、「非アマゾン・独立系・後発参入でもガンガン売れている」という事実と、その手法を部分的に学ぶのは意義があるかなと思います。「北欧暮らし」も「よなよなエール」もD2Cではないですし、あまりD2Cの定義にはこだわらずに、学べるところを学ぶといいかなと。
    https://www.commerce-design.net/blog/archives/3798

    紹介した記事は2019年までの流れから考察されて書かれているのですが、この流れがコロナで急速に加速しました。外出できなくなって、ECで何でも買えるのが当たり前になると、ちょっと変わったものが欲しくなる。その裏側にはストーリーがあって何かしらのフィルタがあった方が良い……という流れ。コロナの影響で180度変わってしまったものもあれば、こうして加速したものもありました。流れを読んでいればどこかで良い流れに乗っかれます。

    決済関連のトラブルやGoogleのEC強化もこのあたりから話題になっていました。

    1月の主なニュース

    【2月】三木谷社長がAmazonへの対抗心をあらわに

    楽天・三木谷社長が語った「送料無料ラインの全店舗統一」実施への決意&2019年の総括と今後の取り組み | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/7235

    Amazonのようなプレーヤーが台頭してきて、集合体の楽天はどう対抗するか? 最終的にモノが安く便利に届くプラットフォームとして突き詰めていかなければ、我々はそうしたプレーヤーに対抗できないステージにきている。

    この時期といえば楽天の新春カンファレンス。この時点ではAmazonへの対抗心をむき出しにしたコメントが多かった三木谷社長。コロナの影響でここまで状況が変わるとは誰も想像できませんでした。3980円での送料無料についてはしばらく話題になっていましたが、今では当たり前になってきましたね。

    Shopifyが注目され始め、SNSのEC化が進み、なんとかPayが集約されてきたのもこの時期です。

    2月の主なニュース

    【3月】マスク転売など新型コロナの影響が出始める

    マスクだけじゃない……新型コロナ ネットで5倍、10倍売れている「意外なもの」たち | 文春オンライン
    https://bunshun.jp/articles/-/36618

    備蓄食の買いだめで缶詰が好調に売れていて、抗菌タイプの台所用のスポンジなども人気ですね。トイレットペーパー不足の影響なのかポケットティッシュの売れ行きも好調です。ただ、どれも実店舗でも売れているような商品ばかりで、ネット通販だから売れているという特別な商品は見当たりませんでした

    3月からコロナの影響がじわじわ出てきました。マスクの買い占めが起こり、今まででは想像ができなかったものが売れて、その流れに乗ったところは大忙しだったようです。その一方でやはり転売も出てきたのが3月でした。

    Yahoo!の配送強化、メルカリの戦略発表もありました。

    3月の主なニュース

    【4月】非常事態宣言発令。ECにも急激な変化が

    4月は非常事態宣言が出て、さまざまな動きが同時にありました。分野別にそれぞれでピックアップします。

    支援

    不正受給などの問題はありましたが、国の動きは速かったと思います。アベノマスクなど、よくわからないものもありましたが……。

    応援

    応援消費は4月に限らずに今でもその流れが続いていて、同じものを買うのなら知っている人、知っている人が困っていればそこで買うという流れが強まっている感じですね。海外では地元消費の意識も高まっています。

    変化

    非接触・非対面も一気に進みました。置き配が当たり前になって受け取りもサインや印鑑なしで済むことが多くなりましたね。

    いろんな業界で遠隔・非接触が進み、巣ごもりによって生まれた需要を取り込んでいこうという動きが始まったのもこの時期。

    コロナ後

    コロナ後の世界はどうなる? という記事も多く見られました。いったん落ち着いたように見えて、第3波が来たのでこれらの記事はもう一度読んでおいても良いでしょう。

    4月のその他のニュース

    【5月】EC関連サービス利用者が急増。SNSショッピングが強化され始める

    ついにFacebookがコマース全力、「インスタショップ」は夏公開予定 | BRIDGE
    https://thebridge.jp/2020/05/introducing-facebook-shops-helping-small-businesses-sell-online-pickupnews

    今回FBが発表した「Facebook Shops」は数多くのローカル事業者がECに積極進出する機会となりそうです。また、今までFBプラットフォームにおける決済と言えば、上述したマーケットプレイスや、メッセンジャーの送金機能くらいの利用でしたが、ECが乗ったことでトランザクションが激増する未来が見えてきました。

    これはつまり、FBが今まで以上にペイメント事業へ本腰を入れてきた証拠でもあります。同社は昨年11月に決済サービス「Facebook Pay」をリリースしており、FB自体のSuperApp化のステップにおいてペイメントが重要なポイントを担っているのは言うまでもありません。

    「Facebook Shops」リリース直後は話題になったものの広がっている気がしませんが、これからECや決済に本腰を入れてきそうです。こうなってこれば既存のEC事業者や決済事業者は黙っていませんので、合従連衡が進んでサービスの統廃合が進む流れになります。2021年はこのあたりの動きにも注目です。

    新型コロナで売れたジャンルもわかってきて、BASEやカラーミーなどのカートASP利用者が急増したことがわかってきたのも5月です。

    5月の主なニュース

    【6月】リアルイベントのネット化が進む

    【「益子Web陶器市」成功の立役者に聞く】準備期間3週間で想定の4倍の売上獲得 | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/1032

    想定の4倍以上の売り上げ、アクセス数などの反響がありました。当初は陶器をウェブで売るのは難しいという見解もあり、お客さまがサイトに来ていただけても、そこまで売れないのではないかと懸念していました。しかし、ふたを開けるとお客さまは来ていただけるし、ちゃんと購入もしていただけました。

    期間中の売り上げは4700万円以上となり、アクセス数は55万件、注文件数は6000件弱となりました。初日に2000件以上の注文が入りましたので、思っていた以上にアクセスや注文が集中しました。

    益子陶器市では、今までリアルで販売されていたものをネットで売る不安はあったものの、買う側が待ちかねていたということもあって爆発的に売れました。「あ、ネットでも売れるんだ」と思った人たちもこの時期には多かったのではないのでしょうか。大量の注文がさばけるShopifyのすごさも実感。

    益子陶器市の売れ行きを裏付けるようなデータもたくさん出てきて、コロナ後のユーザーの動きもはっきりとわかってきました。今では当たり前となったオリジナルマスクもこの頃から出始めました。

    6月の主なニュース

    【7月】EC利用者の急増に伴い不正注文などが相次ぐ

    「置き配」で増える「オートロック無断突破」 アマゾン配達員が明かす現場の事情 | J-CAST ニュース
    https://www.j-cast.com/2020/07/18390296.html

    WEB特集 追跡!ネット通販の闇 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200714/k10012515291000.html

    コロナ禍でEC不正注文が増加。被害割合TOP3は「健康食品」「ホビー」「アパレル」 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/7779

    「新型コロナウイルスにかかるかもしれないという不安な状況に便乗するような悪質な業者も見られます。そうした業者に対しては、詳細な情報を集め、注意喚起をしていきたいと考えています」(国民生活センター相談第2課)
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200714/k10012515291000.html

    7月は通販でのトラブルニュースが多くなりました。人が集まると悪い人たちも集まってしまうのですが、こんな時期に……と思いますよね。ユーザーのリテラシーも上がってきてはいるものの、店舗側で信頼性を上げる努力は続けていかないといけないですよね。

    毎年恒例の電子商取引に関する市場調査の結果が公表され、コロナ禍を乗り切る事例も出てきた7月でした。

    7月の主なニュース

    電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました | METI/経済産業省
    https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html

    コロナ禍でEC売上増! アダストリアのアパレルオンライン接客事例とは | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/7833

    コロナ直撃のベンチャー経営者は、緊急事態に何を考え、そして実行したのか。 | 山野 智久 @アソビュー | note
    https://note.com/tomohisa0509/n/n9b7a4c508605

    2ヶ月で新規10万ショップの利用増加。「BASE」のショップ開設数が7月に110万ショップを突破 | BASE株式会社
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000030814.htm

    新型コロナ対策で安易に「ネット通販」に手を出すと失敗する4つの理由 | マネー現代
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73808

    【8月】コミュニケーション手段が変化しメールが見直される

    最も読まれるメディアはEメールで77%、2位はLINEで46%、3位はTwitterで23% | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/7877

    メルマガ送信率149%増加/営業メールへの返信率は24%低下[HubSpotグローバル調査] | SalesZine
    https://saleszine.jp/news/detail/1731

    【新型コロナの影響で変わる消費者の問い合わせ動向調査】消費者の4割がコロナ禍で問い合わせ増加、手段にも変化あり。Web・LINEのチャット、ZoomやLINE通話など手段の多様化が進む | モビルス株式会社
    https://mobilus.co.jp/press-release/23322

    本調査の結果、コロナ禍で4割が「企業や店舗・自治体などへの問い合わせが増加した」と回答し、同様に4割が「問い合わせ手段に変化があった」ことが分かりました。「外出自粛で店舗に直接確認できない」「新型コロナウイルスに関する相談事項が増えた」「新しく使い始めたサービス・機器が増えた」など、コロナの影響で外出自粛となり行動変容が起きたことや、コロナ関連の問い合わせが主な増加要因となっています。また、テレワークが浸透したこともあり、新たに使い始めたサービスや機器の増加に伴う問い合わせも増えていることが分かりました。問い合わせ手段上位は、「電話」「メール」「チャット(Web、LINE)」「問い合わせフォーム」「Zoomなどビデオ電話」と、手段の多様化が進んでいます。
    https://mobilus.co.jp/press-release/23322

    急速なオンライン化で問い合わせもオンライン化し、メールが連絡手段として見直されてきたことがわかったのが8月です。問い合わせが増えた企業・自治体・ショップも多いと思いますので、対応に追われながらFAQを整備された方も多かったのでは? 今後もネットだけで完結したいユーザーが増えていきますので、FAQの充実やチャットなどで対応していきましょう。

    遠隔接客も登場して全体的にEC業界が伸びたというデータも発表され、ヤマトの受け取りパートナー募集の記事もありました。

    8月の主なニュース

    【9月】コロナの裏でEC業界のゲームチェンジが起こる

    コロナの裏で起きている「EC業界のゲームチェンジ」ドミノ現象を説明します | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
    https://www.commerce-design.net/blog/archives/4412

    「この範囲の中で、きっちり選んで買いたい」というシチュエーションにおいては、Amazonの品揃えの多さは逆効果で、「品揃えが絞り込まれて、かつ接客が掘り下げられている」専門型のECサイトの方が探しやすい。たぶん接客や付帯サービスも良いはず。
    (中略)
    前述の現象で一般消費者がECを使う頻度が増え、使い慣れることで、専門型ECサイトまで「足を伸ばす」お客さんが増える。きっちり接客してれば、前以上に「専門特化したお店はいいねー」と感じてもらえる機会が増えてくるんじゃないかなー。

    急速に消費者のリテラシーが上がった結果、Amazon慣れというかモール慣れしたユーザーが増えてきて、独自ショップで買い物をする傾向が強くなってきたということですね。以前からこの傾向はあって、それが加速したということですので、緊急事態宣言後の現象だと勘違いしないように。

    緊急事態宣言後の動きが明らかになってきて、非対面配送が増え、実店舗の販売員がECに取り組み始めたのも9月でした。

    9月の主なニュース

    【10月】GoogleがEC強化に動く

    【速報】Google ショッピング タブの無料リスティングがローンチ | Feedmatic Blog
    https://blog.feedmatic.net/free-product-listings-on-google/

    今回リリースされたものは、Google 検索結果のショッピング タブにオンラインショップの商品を無料で掲載できるというものですが、今後は「Googleに掲載(Surfaces across Google)」を通じて、様々な掲載面への商品掲載が進んでいくものかと思われます。

    ショッピングタブに出てくる無料リスティングは10月にリリースされました。コロナの影響で売上が落ち、AmazonやSNSから商品が売れるとなればGoogleも黙っていませんよね。2021年もGoogleはECに力を入れてくるはずなので、利用できるものはどんどん利用していきましょう。

    レジも非接触になってきて2021年の展望記事も出てきた10月でした。高齢者のネット通販が増えたのもコロナの影響。

    10月の主なニュース

    【11月】D2C、CtoC、SNSショッピングが加速

    「結局のところD2Cってなんなの?」という人のために、できるだけ簡単に説明します。【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8227

    コロナ禍において、「オンラインへ偏重」「消費の再定義(情緒的な面含め)」が起こっている生活者・消費者に対し、リテール企業がオンライン〜オフラインを融合することで「どのような価値を伝えられるか」「どのような気の利いたコミュニケーションが取れるか」「どのような提供価値・真価を発揮できるか」「どのような継続的な関係を構築できるか」
    https://agenda-note.com/retail/detail/id=3213

    社会が成熟していくごとに、人はどこでモノを選ぶか基準が変わっていくなという思いがあります。以前は商品を選ぶ決め手は「機能面」だったけれど、次第に情緒的な部分が重視されるようになり、最近は運営者の「動機」も見られるようになってきた。
    https://netshop.impress.co.jp/node/8128

    でも動機は下手すると「無いもの」と同義になるくらいフワッとしたものなので、正しく伝えるのは難しい。じゃあ、どうやってその「動機」という価値を伝えるかと考えたときに、「D(Direct)」にせざるを得ない、となってきているのではないでしょうか。
    https://netshop.impress.co.jp/node/8128

    ちょっと引用が長いですが2021年のECでは重要な考え方です。9月に紹介した記事にあるように「消費の再定義」が起こっていて、それに対応しようとするとD2Cにならざるを得ないという考え方。このあたりは応援消費や環境意識なども関わってきますので、D2Cという言葉だけを追いかけないようにしたいですね。

    これ以外にはCtoCで新たなサービスが出てきてECリテラシーの向上を感じました。SNSでのECが加速してきたのも11月でした。

    11月の主なニュース

    【12月】きっかけはSNS、買うのはモール。Yahoo!の楽天化も進む

    コロナ禍での総合ECサイトに関する調査 | MMD研究所
    https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1907.html

    直近1年で使ったECモールは「楽天市場」が73.7%、「Amazon」は72.3%、「Yahoo!ショッピング」は46.4% | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8247

    全国の15〜69歳男女10,000人を対象に、総合ECサイトの利用経験を聞いたところ(複数回答可)、90.1%が総合ECサイトを利用したことがあると回答した。利用経験のある総合ECサイトは「Amazon」が69.7%で最も多く、次いで「楽天市場」が68.7%、「Yahoo!ショッピング」が46.9%となった。

    次に、総合ECサイトを利用したことがある全国の15〜69歳男女9,010人を対象に、メイン利用の総合ECサイトを聞いたところ、「楽天市場」が41.4%で最も多く、次いで「Amazon」が38.1%、「Yahoo!ショッピング」が13.0%となった。
    https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1907.html

    D2Cが話題になっていても依然としてモールが強いというデータが出ています。モールで買う理由は豊富な品ぞろえとポイントがたまるの2点。ただし、買うきっかけは検索以外にInstagramやYouTubeで見たという理由が増えていることに注目です。前述のとおりSNSのEC化もお忘れなく。

    ユーザーのネット利用も賢くなったというか進化して、メルカリとPayPayフリマが争っているかと思いきや、Yahoo!全体で大きな動きになっていた12月でした。

    12月の主なニュース

    2021年の予測、展望記事

    [2020年の小売業界振り返りと2021年に予測されるECトレンド7選 | S-cubism inc.
    https://s-cubism.jp/dx_omo_trend/4791

    2021年ヒット予測ランキング 1位は「無人駅×グランピング」 | 日経クロストレンド
    https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00380/00001/

    コロナで変わる2021年の旅行、 予想される9つのトレンドとは? | サライ
    https://serai.jp/tour/1009760

    2021年のEC業界を大予測! 「モバイル」「遠隔」「非接触」「サステナブル」「SNS」「D2C」がキーワード(のはず)【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8279

    2012年はやはり「モバイル(5G)」「遠隔」「非接触」「サスティナブル」「SNS」「D2C」がキーワードになってきそうです。ECに限って言えば「サスティナブル」「SNS」「D2C」が重要になってきますので、自社の考え方を明確にして発信していきましょう。当たり前にやっていることでも世の中の人に認知してもらうことは大切です。

    計算できないのはコロナと東京オリンピック。コロナが終息する/しない、オリンピックが開催される/されない、の両方のケースを想定して準備しておく必要があります。

    今週の名言

    消費者が発する言葉の裏にある、言語化できない、本当の欲求、本能がどのように働きかけて消費者にその選択をさせているのか、その構造を理解しなければ、彼らの言葉尻をとらえることしかできません。マーケターには「消費者の言葉を理解するための文脈」を身につけるための努力が必要なのです。

    刀・森岡毅氏が語る、どんな戦略でも使える“武器”とは | Agenda note
    https://agenda-note.com/conference/detail/id=3473

    記事を読んだだけでは本当の理解はできません。読んだこと、知ったことを自分で経験し、言語化することでやっと理解ができます。

    森野 誠之
    森野 誠之
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    11 分 21 秒 ago
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