ネットショップ担当者フォーラム

「巣ごもり消費生活」は続けたいが5割、ネット上での消費金額はコロナ禍以降で2897円増の1万9396円

5 years 2ヶ月 ago

ジャパンネット銀行が実施した「コロナ禍前後の日常生活と価値観の変化」に関する意識・実態調査によると、今後も「巣ごもり生活」を続けたいかとの質問への回答は、「続けたい」「続けたくない」がそれぞれ50%となった。

コロナ禍における「インターネット上での買い物金額」は、平均2897円増の1万9396円だった。

調査は、20~60代の男女各500人、合計1000人を対象に実施した。

コロナ禍における自粛期間中では、テレワークやオンライン通話・ビデオ通話の普及に伴う移動時間の短縮といったメリットが顕在化した一方、外出できないことによるストレスや運動不足を懸念する声も少なくない。メリットとデメリットの双方を実感した「巣ごもり生活」だが、150日間のコロナ禍での生活を経た現在、「巣ごもり生活を続けたい」「巣ごもり生活を続けたくない」はそれぞれ50%という結果に。

ジャパンネット銀行が実施した「コロナ禍前後の日常生活と価値観の変化」に関する意識・実態調査 「巣ごもり生活」の継続について
「巣ごもり生活」の継続について

コロナ禍前後で増えた出費と減った出費について聞いたところ、最も増えたと感じる出費は「光熱費」(38%)、2位は「食費」(20%)。また、35%がコロナ禍前後で「自由に使えるお金」が減っており、収入減や今後を見据えた出費抑制など影響している可能性がある。

ジャパンネット銀行が実施した「コロナ禍前後の日常生活と価値観の変化」に関する意識・実態調査 コロナ禍前後で増えた出費と減った出費
コロナ禍前後で増えた出費と減った出費について

コロナ禍前後におけるネット上での買い物の消費金額は平均で2897円増加し1万9396円に。コロナ禍を経て、さまざまなネットサービスの需要が高まり、実際の利用者も増加傾向にある。

ジャパンネット銀行が実施した「コロナ禍前後の日常生活と価値観の変化」に関する意識・実態調査 コロナ禍前後でネット上での買い物の消費金額
コロナ禍前後におけるネット上での買い物の消費金額

今回の調査では、「ネットショッピングのサービス拡充」は81%、「オンライン決済サービスの拡充」は76%、「キャッシュレス化やネットバンキングの拡充」も76%と、「ネットサービスを受け入れられる」という結果となった。

「支払い時に現金に触れたくない、外出せずに自宅で銀行サービスを使いたい」と考える人や、そもそも外出自粛の影響で銀行に行けないという人が増えたことが背景にあると考えられる。

ジャパンネット銀行が実施した「コロナ禍前後の日常生活と価値観の変化」に関する意識・実態調査 ネットサービスの拡充について
ネットサービスの拡充について

 

石居 岳
石居 岳

中田英寿さんプロデュースのECサイト「にほんものストア」、「日本の良さを知ってもらうための場」として展開

5 years 2ヶ月 ago

元サッカー日本代表の中田英寿さん目利きの商品を販売するECストアがオープンした。

ECサイトの名称は「にほんものストア」。企業広報やスポーツマーケティング支援を手がけるサニーサイドアップが運営する。プロデュースを担当する中田英寿さんはサニーサイドアップ所属。サニーサイドアップがECビジネスを手がけるのは初めて。

元サッカー日本代表の中田英寿さんが、自身が目利きすた商品を販売するECストアをプロデュース
中田英寿さん((C)にほんもの/TSUKURU ASADA)

販売するのは、中田英寿さんが日本全国47都道府県をめぐる旅の中で出会った逸品。スタート時点では、水産加工会社、包丁工房などが作った“こだわりの逸品”を扱う。

「にほんものストア」は、「日本の良さを知ってもらうための『きっかけ』を作る場として、世界に誇れる日本の伝統や文化などを継承していく」ことが目的。

中田英寿さんプロデュースの「にほんものストア」
中田英寿さんプロデュースの「にほんものストア」

生産者のストーリー動画なども掲載し、「生産者のこだわりやモノづくりに掛ける思い、またその地域に根付く文化なども知っていただけるようなコンテンツも用意している」(サニーサイドアップ)と言う。

今回のビジネスモデルは、中田英寿さんらの「日本文化をより多くの人に知ってもらう『きっかけ』を作り、新たな価値を見出すことにより伝統や文化を継承・発展させていく」という目的を実現するために、所属事務所が販売主となりECビジネスを手がける座組となっている。

なお、ECプラットフォームは「Shopify」を採用している。

瀧川 正実
瀧川 正実

ECで力を入れるのは「モール店 or 自社EC」ではなく「両方注力」を! ECエバンジェリスト川添隆氏が解説

5 years 2ヶ月 ago
メガネスーパーをはじめとするビジョナリーホールディングスのEC事業、オムニチャネル推進などデジタル戦略の統括を行う傍ら、全国のEC担当者を支援するECエバンジェリストの川添隆氏。川添氏がWithコロナを生き抜くための、ECのセオリーについて改めて語る。

長年にわたってECビジネスの議論にあがる「自社ECか、モール店か」について、「ある程度の規模感がある企業は、不安定な情勢が続く時ほど、どちらかではなく『両方』取り組んだ方がいい」と話すのは、メガネスーパーなどの持ち株会社ビジョナリーホールディングスのEC事業、オムニチャネル推進などデジタル戦略を統括する川添隆氏。Withコロナ時代を生き抜くために、EC事業者は何に注力するべきなのか。川添隆氏に話を聞いた。

Withコロナ時代も「自社EC or モール店」で考えるべきではない

編集部:「ZOZO離れ」などモール店を脱退する動きや、モール依存のリスクを軽減するために自社ECを強化していくべきでは? という議論は、長年EC業界に存在しています。川添さんは、自社EC、もしくはモール店の「どちらか」に傾注することへ疑問を持っているようですが、その理由を教えてください。

川添氏:Beforeコロナの頃は、オムニチャネル戦略の一環としても自社ECを強化する流れがありました。私自身、「EC事業における自社EC比率を上げるには?」と経営者の方から相談を受けることも多く、関心が高かったように思います。ただ、一方でコロナ禍以降、「やっぱりモールは必要だよね」とモール回帰の動きも出てきています。

これはWithコロナだからというわけではなく、私は「自社EC or モール店」と、どちらか一方という考えはリスクがあると考え、これまでEC事業を推進してきました。リアル店舗もECも同様ですが、バランスよくポートフォリオを組んでおく方が、環境の変化に対応しやすいからです。

たとえば、リアル店舗においても路面店かデベロッパーかどちらかに偏りすぎると、必ず痛い目を見るときがきます。

編集部:“痛い目”というのは、新型コロナウイルスのような非常時でしょうか?

川添氏:そうですね。非常時というのは、内からと外から起こることがあり、新型コロナウイルスは外からの非常時です。私が所属している「メガネスーパー」は8~9割が路面店なので、緊急事態宣言下でも、「一定のリスクはあるものの、生活必需品として眼の環境をケアするために、基本的に店は営業し続ける」という意思決定ができました。

ここが100%デベロッパー出店になってしまうと、施設側が「オープンしない」と決定を下せばクローズせざるを得ず、大打撃を受けます。一方で、災害や天候不良などの非常時は路面店では厳しく、こういう時は地方郊外のショッピングセンターなどの方が強いですよね。

川添氏が運営に関わるメガネスーパーのコロナ禍における取り組み
川添氏が運営に関わるメガネスーパーのコロナ禍における取り組み

編集部:同じことがECでも言えるということですね。

川添氏:そうです。自社ECはいわば路面店。「selling power(販売力)」で見ると、やはりモールには劣ります。モールにはモールのユーザーが大勢いるため、そこで店を出せば「集客力」という恩恵を受けられますからね。

アパレルブランドの多くは、不要不急の商材だったこと、緊急事態宣言によるリアル店舗の一時閉鎖が影響し、在庫過多が課題になりました。リアル店舗の家賃や人件費を考えるとキャッシュフローが重要な時期なので、在庫を現金化するためにモールを活用するのは有効な手段の1つと言えます。キャッシュに余裕があるなど対応が可能であれば、秋の販売に持ち越すのもありかもしれませんが、量を売って現金化を急ぐ必要がある場合は、新規出店も含めてモール店での販売を積極的に行うと良いでしょう。

編集部:最近ではベイクルーズや無印良品がAmazonに新規出店しましたよね。

川添氏:ええ。大手企業によるモール出店は今後も増えていくと思います。私は、モールの売上比率が高いのであれば、平常時でもその利益を自社ECに投資することを推奨しています。自社ECは、モール店ではできない自社ならではの販売方法やUIを実現でき、ダイレクトな顧客とのコミュニケーションがとれます。中長期的な目線での営業利益率も、自社ECの方がモール店より高いですからね。

チャネルごとの戦い方を学ぶ

モール店は「広告媒体」と割り切る

編集部:自社ECとモール店を並行運営した方が良い理由があれば教えてください。

川添氏:自社ECはあくまで自社の店舗なので、マクロな業界のトレンドを定量的に捉えるのは困難です。一方モールによっては、モールの全体売上推移、当該カテゴリの売上推移、他店の売上推移をチェックできる方法があるので、売れ筋商品を把握するなど、自社以外の状況を定量的に把握することができます。複数出店していれば、さらにマクロな情報として捉えることができるでしょう。

編集部:モールの場合は、定額出店料、売り上げに対する販売手数料などがあるケースも多く、手元に残る利益が少なくなる……という課題があります。

川添氏:そうですね。商材によりますが、私は認知度が低いブランドにとっては、モールはあくまで「広告媒体」、一定の知名度があるブランドにとっては、「モールでしか買わないユーザーの取り込みまたは在庫消化の場所」と割り切った方がいいと思っています。

モールから直接自社ECに送客はできません。しかし、モールで得た利益を自社ECに投資をすることで顧客体験を向上させ、モールのユーザーにも自社ECを使ってもらう機会を創出することはできます。少しずつ、中長期的な利益につなげていくイメージですね。

ECエバンジェリスト 川添隆氏(TwitternoteZOEラジオ
メガネスーパーでは、7年でEC関与売上を7倍、自社ECの月間受注を13倍に拡大させてきた実績を持つ。その他にもアドバイザーや、何かと社内から期待が寄せられる全国のEC担当者を応援する「ECエバンジェリスト」としても活動を行っている。 NewsPicksプロピッカー、デジタルハリウッド オンライン講師 、文化服装学院非常勤講師も務める。stand.fmチャンネル「ZOEラジオ」にて、ゲストを招いたトークセッションを配信中

編集部:「モールで得た収益をベースに自社ECへ投資を」とのことですが、コロナ禍において自社ECへはどのような施策に投資すればよいですか?

川添氏:現時点で、リアル店舗の売上高が前年同月比で100%を超えている業態・ブランドは限られているでしょう。ということは、リアル店舗を含めたリピーターのお客さまを意識した投資がよいと考えています。また、新規のお客さまに来店してもうのはプロモーションの役割。特にシステム投資の観点では、「購入のハードルを下げる」「リピートしやすくする」仕組みに対する投資は優先順位が高いです。

それを前提とすると、LINEの集客サイクルを強化したり、オンライン接客に注力するのはアリでしょう。特にリアル店舗を展開している企業であれば、店舗スタッフのリソース活用がしやすくなっている状況です。そこで、接客にあたっているスタッフの方の接客スキルを、どんどんオンライン接客で生かしていきます。

ビデオ接客をやっているブランドにお話を聞くと、結果的に新規の方が多いという傾向もあるようです。リピーター向けの施策も新規顧客向けに効く可能性があるということだと捉えています。あとは、モール店ではできにくい細やかなCRM、特に登録が簡単なLINEに関しては、ECでもリアル店舗でも登録促進とコンテンツ改善に取り組むことも大事です。

編集部:自社ECとモール店、両方に注力する場合、意識した方が良いポイントはありますか?

川添氏:前述した通り、最近は大手企業のモール出店も相次いでいます。モール側も流通総額を増やしていきたい意向が強いのを考えると、これまで出店していなかった大手企業に出てもらい、成長してもらった方がよいはずです。となると、大手は優遇されやすい傾向にあります。

編集部:一方、新興のブランドや中小のブランドは、そうはいかないと。

川添氏:はい。ですから自分たちで情報収集し、手を動かし、モールのロジックに対応する必要があります。「モール」と一口に言っても、モールごとのスタンス、ロジック、運営の仕方は異なります。ただし、どのモールにも共通する点の1つは、“ランキング掲載”に広告のような役割があり、掲載されるとドンドン売れる循環が生まれることです。

ランキング掲載を狙うにしても、在庫量、価格決定、クリエイティブの調整、集客を連携する必要があるので、準備が重要です。また、そこまでやらなかったとしても、複数モール出店している企業であれば、どのモールに在庫を配分するか、販促や画像最適化にリソースを割くかは意思決定の1つです。

上昇傾向のモールをもっと上げるのか? 下降傾向のモールを改善するのか? 2つの軸しかないので、限られたリソースを的確に配分する必要があります。

いずれにしろ、それぞれのモールを徹底的に研究し、担当者は同業者から情報収集するなどして、モールごとの「ルール」を学ぶのはコロナ前でも後でも必要なことです。また、「楽天市場」「Amazon」に関しては、そこに強い支援会社を頼るのも手かもしれません。

「PLベースで営業利益を見る」「手をかければ伸ばせる要素はどこにあるかを見極める」

編集部:EC担当者のリソースは、自社ECとモール店とでどのように配分したらいいですか?

川添氏:私の場合は、モールは少人数、または兼任でやってきました。前職のガールズアパレル企業の場合は、EC売上15億円のうち、モール店だけで10億円でしたが、専任1名と兼任1名でした(自社ECは7名)。ささげの情報は自社ECでやっていましたし、モール担当は一部独自の登録や各モールとの担当のコミュニケーションを重視していました。

編集部:そんなに少ない人数で運営されていたんですね。

川添氏:当時に比べ、今は商品マスタや在庫連携が一般化してきているので、より負担は減っているのではないでしょうか。もちろん、「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」はどちらかと言うと自社ECに近い存在ですが、それでも施策を連携することで、業務量は減らすことはできます。

編集部:最後に読者の皆さまに応援メッセージをお願いします。

川添氏:どこまで個別に対応するかですが、大切なことは、「PLベースでの営業利益を見る」「手をかければ伸ばせる要素はどこにあるかを見極める」ことだと捉えています。

必ず、大局で状況把握をしてください。今の利益を取りに行きながらも、未来の利益への投資=リソース配分を行う必要があり、後者がまさに自社ECサイトということを意識して進めるのが良いと思います。

※編集部からお知らせ

川添隆氏には編集部主催ウェビナーで、定期的にモデレーターをしていただいています。過去のウェビナーのもようはこちらからご覧ください。
オンライン接客でコロナショックを乗り越えよう!green label relaxingのTwitter活用例
売上前年比450%の『うちるWEB陶器市』。オンラインで陶器市を始めたら、なぜ人気ECに!? コロナ禍でも強い『秘訣』を探る
 
EC化率40%超のnano・universe。越智将平氏と、ECエバンジェリスト川添隆氏が徹底議論『nano・universeの独自性に学ぶ、Withコロナ時代のEC成長戦略』
ベイクルーズはなぜ「デジタル接客」に注力? 販売スキルを生かすテクノロジー活用法・運用ノウハウ・効果についてECエバンジェリスト川添氏が探る
公文 紫都

コロナの裏で起こっている「EC業界のゲームチェンジ」とは? 16,000文字の記事を1分で説明します【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

5 years 2ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年9月7日〜13日のニュース
ネッ担まとめ

○○Payの乱立に端を発した決済サービス間の競争や、通信キャリア、大手モール間の競争に新型コロナウイルスが影響し、新たな流れが生まれています。カテゴリーキラー的なECにはチャンスのようです。

目の肥えたユーザーに選ばれる中小ECが生き残る

コロナの裏で起きている「EC業界のゲームチェンジ」ドミノ現象を説明します | ECコンサル坂本のブログ「ECバカ一代」
https://www.commerce-design.net/blog/archives/4412

まとめると、

  • ECモールのポイント&セール合戦の結果、学習したお客さんが複数サイトをまたいで買うようになった
  • コロナによってECへの接点が増え、すぐに名前が出るECサイトの数も増えた。「ネットで買うなら」ではなく「○○をネットで買うなら」と行動が細分化されてきた
  • 実店舗でカテゴリーキラーが成功したのと同じように、品揃えが絞り込まれていて、かつ接客が掘り下げられている専門型のECサイトの方が探しやすい状況になってきた

お客さんは実生活の中でも、以前より「行ったことがない店を、ネットを頼りに探していくことが当たり前」=リテラシーが上がってる。お客さんの探索能力が上がっていくと、マイナーな店でも(魅力があれば)来店される可能性が増えます。

(中略)

個人的にも、Google 経由でなんとなく商品を探していると、自然と独立型の小さなお店に行き当たることが多くて。「人から紹介された」「何かのメディアで紹介された」「明らかに良さげ」等の「何がしかの安心感」が担保されていれば、独自ドメイン店で買うことは、全く苦にならなくなりました。

長い記事ですが今のEC業界で起こっていることと、コロナの影響がまとめられているので読んでほしい記事です。コロナは世界のITリテラシーを強制的に引き上げました。ECに関しても例外ではありません。その結果、ユーザーの目が肥えてきて、欲しいものを売っている専門店で良いものを買う流れになりつつあります。これは私もまったく同じ。ネットでたまたま見つけた徳島の燻製屋さんから燻製を買ったりしています。

いわゆる「カテゴリーキラー」にチャンスが出てきました。今ではネットでの告知も容易なので、何かしらとがったものがあれば勝負に出てもいいかもしれませんね。

関連記事

コロナ以前から米国で起こっていたこと

まだあまり知られていない2020年のEC市場(北米)5つのトレンドとは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7994

まとめると、

  • 北米における2019年のEC市場前年比成長率は15.1%。売上トップ501~1,000位にランクインした小売事業者の成長率は15.7%と全体を上回っている
  • しかし、Amazon以外の499のトップ小売事業者は、前年比14.9%の成長しかしていない
  • 最も成長していたのは401~500位の小売事業者で、成長率は18.1%。小中規模の小売事業者がオンラインで成長する余地はまだある

Amazonで購入した消費者に直接コンタクトを取ることができないため、Amazon利用者をロイヤルカスタマーにすることは難しいです。多くのデジタルネイティブブランドは、天然素材の服や健康食品など、独自性のある商品を販売し、消費者に再購入してもらうための努力をしています。

これらのブランドの多くは、積極的なソーシャルメディア・マーケティングを通じ、消費者を自社のWebサイトに誘導しています。Amazonを自社と消費者の間に挟むことは、少なくとも今のところ、ほとんどの企業が避けようとしている戦略です。

北米ではコロナ以前からAmazonを避けて自社サイトで購入する流れが強まっていたようで、引用文にあるように独自性のある商品(≒カテゴリーキラー)でユーザーに購入し続けてもらっているようです。

ECサイトの立ち上げが急増し、競合も増えています。モールもどんどん力を入れています。その中で生き残るにはEC業界の大きな流れをつかみ、それに上手く乗っていかないといけませんね。

販売員からECに行きたい人に必要なこと

アパレルECとは?どんな技術や知識が求められるの? | Topseller.WebStyle
https://topseller.style/websales/archives/3573

ECに行ける人、行けない人。 | 平山枝美のアパレルブログ
https://ameblo.jp/jatamansi1012/entry-12622822002.html

まとめると、

  • アパレル業界ではECに興味がある販売員が増えてきて、今や花形の職種になっている
  • 向いているのはライティングが得意な人、マメな作業が得意な人、分析が好きな人
  • 漠然と「ECがやりたい」ではなく、具体的にどんな仕事をしたいのかイメージできていないと声がかからない

ECに異動したい人、転職したい人はこれをやってください。
①ECに関する本を読む。
②メルカリでもBASEでもなんでもいいのでネット上で何かを売ってみる
③そのときに販売員として生かせるスキルはなんだったのか振り返り、店頭でその技を磨く
https://ameblo.jp/jatamansi1012/entry-12622822002.html

ECにどっぷりつかっている人間からすると、ECが花形の職種とは思いづらいのですが、どうやら本当のようです。自分がECを使うようになって興味を持つ人もいるでしょうし、周りの販売員の人がECで上手くやっているのを見て気にしている人もいるかもしれませんが、ECは本当に細かい作業が多いです。何の知識もなしに入ってうまくいく業界ではありませんので、本を読んだりせめてメルカリなどで売ってみるなどして経験を積んでおきたいですね。

関連記事

EC全般

コロナ禍でEC売上前年比450%&高いリピート率を維持する「うちるWEB陶器市」【動画で学ぶECサイトの運営事例】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7935

私も視聴しましたが、ここまで言っていいのかな? と思うくらい役立つ内容でした。

ヤマト運輸が「ネコポス」の対応サイズを2.5cmから3cmに拡大、フリマ・オークション市場拡大に対応 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7999

CtoCプラットフォームを通じた個人間取引のみです。

EC-CUBE4でGTM+Google Analyticsのeコマース設定 | Qiita
https://qiita.com/chihiro-adachi/items/ed18d65e05b4e9a5caf6

ECに関わっているとどこかで役に立つ記事です。

メルカリ、リコール情報を出品・購入者に知らせるプログラムを開始 | ASCII.jp
https://ascii.jp/elem/000/004/026/4026022/?rss

これは良い取り組み。スムーズな回収につながりますね。

トップレビュアーのほとんどが「ステマ」…アマゾン、2万件のレビューを削除 | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-219822

だろうとは思ってましたがやはり……。信用できるレビューはどこにあるのでしょうか。

ただ商品を並べているECサイトに未来はない 「提案」のプロセスがない状態からの脱却方法とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8228

提案する場所はSNSで、買う時だけECでもいいですよね。ユーザーの環境を考えて。

押し売りせずに売上アップ ひとりEC運用でもできる効率的な広告運用を考えよう | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8231

「SNSフォロワーへの広告」。これは効きますよ。

今週の名言

SNSでは「自分の実力を実際より大きく見せてしまっているのでは」と思うこともありますが、SNS投稿をきっかけにWEBサイトを訪問してくれたり、私の活動を応援してくれる人が1人でも増えるならば、自分はやるべきだと考えてます。

林業がやりたくて、自分で山を買っちゃった。"NEO林業家"イシタカさんに話を聞いてみました。 | break-time
https://new.akind.center/202009/ishitakayama/

そう、SNSには良いこともたくさんあるのです。頑張りたい人は始めてみては?

森野 誠之
森野 誠之

食品EC事業者必見!「HiO ICE CREAM」のサブスクに利用者が急増している理由とは?【9/17開催の無料ウェビナー】

5 years 2ヶ月 ago

ネットショップ担当者フォーラム編集部は9月17日(木)午後4時〜、無料ウェビナーを開催します。

注目のD2Cクラフトアイス「HiO ICE CREAM」が目指すコミュニティから生まれるブランド作り。美味しさ追求のために大切にしている3つのアプローチとは?

「HiO ICE CREAM」の創業者 西尾修平氏(HiOLI  代表取締役社長兼CEO)と、D2Cビジネスに詳しいフラクタの河野貴伸氏が生対談。

「HiOLI ICE CREAM」のサブスクリプションサービスに申し込みが増え続けている理由、創業2年目ながら、「Oisix」や「ブルーボトルコーヒー」など名だたるブランドとのコラボが実現している理由などを解説。「HiOLI ICE CREAM」が支持される最大の要因「おいしさ」を追求するために、西尾氏がこだわる3つのアプローチについて河野氏が深掘りしていきます。

当日は主に以下の4点を詳しくお聞きしていく予定です。

  • HiO ICE CREAMとは?〜美味しさを追求するための3つのアプローチ〜
  • 東京自由が丘のアトリエ兼工房=「体験」の頂点
  • 顧客接点を増やすためのマルチチャネル戦略(オンライン・オフライン)
  • コロナ禍をどう乗り越えている?
公文 紫都
公文 紫都

ベガコーポレーションが「LOWYA」の基幹システムをパッケージから自社開発に移行

5 years 2ヶ月 ago

ベガコーポレーションは主力の家具・インテリアを販売するECサイト「LOWYA(ロウヤ)」の基幹システムを、パッケージから自社開発システムに移行、8月25日にフルリニューアルした。

店舗施策のスピードアップ、売上拡大の推進、アプリのネイティブ化、デバイス対応の強化が目的。

ベガコーポレーションは主力の家具・インテリアを販売するECサイト「LOWYA(ロウヤ)」の基幹システムを、パッケージから自社開発システムに移行、8月25日にフルリニューアルした
リニューアル後の「LOWYA」

将来的に「LOWYA」事業を1000億円規模に拡大する構想を掲げており、「事業スケールに応える柔軟で拡張性のあるECシステムの実装を進めてきた」(ベガコーポレーション)

ベガコーポレーションは「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」といったECモールにも出店しているが、近年は旗艦店(自社ECサイト)の「LOWYA」を強化している。が、近年は価格競争が起こりやすいモールから、自社ECサイトへと販売の軸をシフトすることで収益改善を図ってきた。

LOWYA事業(EC事業)の売上高に占める旗艦店の割合は、2020年3月期は32.7%で、前の期と比べて約9.6ポイント上昇している。

今後、ブランドの確立、ファンの構築、ブランドの浸透などで旗艦店の売上高を一気に拡大させていく。

ベガコーポレーション「LOWYA」事業の今後の計画
LOWYA事業の今後の計画(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

 

瀧川 正実
瀧川 正実

LINE「公式アカウント」の登録は「ショッピング」系が約5割、3人に1人が情報から商品購入の経験あり

5 years 2ヶ月 ago

ソーシャルデータバンクが実施した、全国のLINE利用者611人対象のアンケート調査によると、83.4%が「LINE公式アカウント」を登録していると回答。登録しているLINE公式アカウントの業種で最も多かったのは「ショッピング」で、「公式アカウント」登録者のうち49.5%を占めた。

ソーシャルデータバンクが実施した、全国のLINE利用者611人対象のアンケート調査 登録している「LINE公式アカウント」について
登録している「LINE公式アカウント」について

約3人に1人が「公式アカウント」の情報をきっかけに商品を購入、またはサービスを利用した経験があることがわかった。

登録しているLINE公式アカウントの業種で最も多かったのは「ショッピング」(49.5%)で、2位は「ニュース、情報」(48.7%)。登録した理由として、過半数が「情報収集がしたいから」(56.6%)をあげている。

LINEはメッセージや通話といったコミュニケーションだけでなく、情報収集のツールとしても広く利用されていることがうかがえる。また、約6人に1人(17.7%)が「行政、自治体、地域」のLINE公式アカウントを登録している

ソーシャルデータバンクが実施した、全国のLINE利用者611人対象のアンケート調査、登録している「LINE公式アカウント」の業種
登録している「LINE公式アカウント」の業種

LINE公式アカウントから情報がきっかけで、商品を購入またはサービスを利用したことがあるかを聞いたところ、約3人に1人の36.3%が「ある」と回答。LINE公式アカウントのどのような情報を見て商品購入やサービスの利用を決めたかについては、クーポンや割引情報が71.2%、キャンペーン情報が65.8%、新商品(サービス)情報が53.6%だった。

ソーシャルデータバンクが実施した、全国のLINE利用者611人対象のアンケート調査、「LINE公式アカウント」からの商品購入について
「LINE公式アカウント」からの商品購入について

今回の調査では、回答者のうち約8割(76.4%)がコロナショックや緊急事態宣言をきっかけに、行政、地域、自治体の情報収集する機会が増えた(=情報への関心が高まった)という。

加えて、LINEで情報収集や確認したいと思っている内容については、飲食店などの込み具合が29.6%、店舗の在庫状況が28.3%などとなっている。

調査概要

  • 調査期間は20年6月19日~6月20日、調査方法はインターネット調査
  • 調査対象はLINEを利用している20~50代男女611人
石居 岳
石居 岳

物流業務のアウトソーシングで清長が支持される理由とは? 配送料金の自動最適化&業務ミスを防ぐ専用アプリ&物流現場【探訪記】

5 years 2ヶ月 ago
ECの物量増加への対応に欠かせない物流業務のアウトソーシング。多くのEC実施企業から支持を集めている清長の現場を訪問。配送料金の自動最適化、業務ミスを防ぐ専用アプリなどを取材しました
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新型コロナウイルス感染症拡大で新規のECビジネス立ち上げによる物流アウトソーシング、配送量増加による物流移転を検討している企業が増えている。そんな通販・EC事業者に提案したい物流代行企業が清長だ。モバイルアクセサリーのネット・モバイル通販のHamee(ハミィ)などをクライアントに持ち、品質の高さなどで定評がある

そんな清長は9月から、コミュニケーションを通じ、クライアントとの間で日々発生するやり取りや課題を解決する専用アプリの提供をスタート複数の配送事業者によるタリフ(運賃体系)を事前登録し自動梱包機を使って最適な出荷手段を自動選定することにより、配送コストの最適化を実現する新しい物流代行サービスも始めた。新型コロナ禍で攻めの通販物流を進める清長の朝比奈大輔取締役兼物流事業本部本部長、日朝健一営業部部長に「物流サービスの特徴」「新サービスの内容」を聞いた。写真:吉田浩章

物流アウトソーシングを手掛ける清長の物流センター
取材は千葉県・柏市の物流センターで実施。千葉県柏市・野田市、茨城県つくばみらい市を拠点に物流センター(約1万坪)を全8センター運営している

コロナ禍でもクライアントの荷動きは堅調

新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う店舗営業の自粛が続く中、ECサイトで商品を購入する消費者が増加。こうした消費行動は、EC事業者の物流支援を担う通販物流代行事業者にも波及している。

清長では新型コロナウイルス感染拡大の影響が顕在化する中、クライアントの荷動きは4月、5月、6月とも堅調に推移新規クライアント候補からの問い合わせも頻繁に寄せられているという。

なかでも生活雑貨やディスプレー、音響機器などを取り扱うEC事業者からの問い合わせが急増。BtoB事業者によるBtoCへの参入などBtoB-ECからの引き合いも増えている。

宅配便料金の値上げに関する相談も多いが、従前のように委託配送先を1社に集約し、発送量によるスケールメリットで単価交渉を行うことが業界内では難しくなってきている。これはEC事業者のみならず、清長のような通販物流代行事業者においても同じような立場に置かれつつある。

コロナ禍の状況を踏まえ、通販・EC市場は今後、激化していくと想像している。大手メーカーが直接BtoCをスタートするなど、新規EC参入の企業が増加。EC市場の激化により、小売りを手がけていた既存のEC事業者にとって厳しい状況が生まれる可能性がある。(取締役兼物流事業本部・朝比奈大輔本部長)

清長の取締役兼物流事業本部・朝比奈大輔本部長
清長の取締役兼物流事業本部・朝比奈大輔本部長

こう考える朝比奈氏は、厳しい競争環境を勝ち抜くための1つに通販・EC物流の活用をあげる「配送コストの最適化」「省人化による生産性向上」「品質の高さ」――勝ち抜くために求められるさまざまな通販・EC事業者の要求に応える“物流力”清長は、さまざまな業種・業態の要望に応えるカスタマイズオーダーメイドを主軸としており、こうした企業のニーズに応える物流代行サービスを提供できるという。

企業の要望に応えるカスタマイズとオーダーメイド物流

清長の物流代行サービスの特長は、クライアントである通販・EC事業者の取扱商品や事業規模、個々の要望に合わせて、物流サービスをカスタマイズするような保管や発送の体制、付加サービスを提供していること。清長では、このような柔軟なサービス提供の体制を、カスタマイズとオーダーメイドを組み合わせた「カスタメイド物流」と呼ぶ。

清長 企業の要望に応えるカスタマイズとオーダーメイド物流が特長
HPでもカスタマイズ力を全面に打ち出している

通販・EC事業者の要望に応じるためのさまざまな付帯作業に対応し、一度、物流代行で清長と契約を締結すると、クライアントはなかなか解約しない“長期的な関係性”が強みとなっている。

EC事業者から見ると、物流代行サービスは基本的に、どの発送代行会社も似たようなサービスメニューに見える。商品の保管、出荷、返品対応、ラッピングといったサービスメニューに加え、ささげ(撮影・採寸・原稿書き)業務、受注対応などだ。

定温保管、冷凍・冷蔵保管といった食品EC向けサービスを用意する物流代行企業もあるが、一般的にはサービスメニューが画一的に見えるだけに、通販・EC事業者はコストメリットを追求しがちになる。しかし、通販・EC物流代行事業者の中で比較的クライアント数を多数抱えている物流代行会社は、“コストは二の次”という考えを重視する傾向がある

清長の物流倉庫では「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5Sを徹底している。フロア内は徹底的に清掃され、すれ違うスタッフからは「こんにちは」という挨拶が飛び交った
清長の物流倉庫では「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5Sを徹底している。フロア内は徹底的に清掃され、すれ違うスタッフからは「こんにちは」という挨拶が飛び交った

清長の物流サービスは単に物流代行業務を提供するだけではない。通販・EC事業者の将来的な成長ビジョンや事業規模、方向性などもヒアリングし、適宜、必要な意見を言う。コンサルティングに近い物流代行サービスと言える。

たとえば、現在5人で手がけている作業は、こうすれば3人にできるので省人化を図りましょうと助言する。3人体制による費用対効果を具体的な推移値を算出して提出。そして、数年後の売上成長をシミュレーションする。コンサルティングとまでは言えませんが、物流アウトソーシングに加えた、内部コンサルのようなお話は常に行っている。(営業部・日朝健一部長)

清長の営業部・日朝健一部長
営業部・日朝健一部長

10年を超えるHameeとの長期契約、右肩上がりで拡大する受託規模

こうした営業手法が、他の物流会社とのコンペの際に、1つの強みとなって新規契約の実現につながっているという。同時に、乗り換え案件が比較的激しい通販・EC物流支援業務において、長期間にわたる契約期間の維持という実績につながっているようだ。

その代表的なクライアントの1社がスマホグッズのECや、EC向け一元管理システムを提供している上場企業Hamee(ハミィ)との長期にわたる物流契約にも現れている。

清長は現在、Hameeが取り扱うスマホグッズECというBtoC向けの物流、量販店などにスマホグッズを供給するBtoB向け物流の双方を受託している。Hameeとの取引は清長が物流代行業務を手がけ始めた14~15年前からの長期継続。清長によると、Hameeとの取引開始当初は、倉庫内の約20坪のスペースをHamee専用として使用していた。それが、現在では約1700坪の規模まで拡大している。

Hameeの全社売上高の推移(ネクストエンジンなどEC以外の売り上げを含んでいる、画像はHameeのIR資料からキャプチャ)
Hameeの全社売上高の推移(ネクストエンジンなどEC以外の売り上げを含んでいる、画像はHameeのIR資料からキャプチャ)

Hameeは上場企業でありながら、物流専門部署を社内に置いていない。商品卸を手がけている部門やECで小売りを手がけている部門、商品管理を手がけている部門はそれぞれあるが、その各部門からの意見を清長が集約、各部署の要望に応じた物流サービスを提供しているわけだ。

(物流部門の担当はいなくても)各部門の担当者はいるので、常にやり取りしている。Hameeさんの場合、基本的には販売する部隊の方ばかりなので、その方たちと清長は情報を共有。在庫に関しては海外からの輸入品が多いので、入荷のスケジュールとコントロールについて商品部の方たちと行っている。販売部隊と都度お話をしながら調整し、われわれはHameeの物流部門という立場で各部署と調整している。(日朝部長)

Hameeは現在、全棟借りで物流フロアを活用。20坪のスペースから現在は約1700坪。その成長を陰で清長が支えてきた
Hameeは現在、全棟借りで物流フロアを活用。20坪のスペースから現在は約1700坪。その成長を陰で清長が支えてきた

清長のサービスメニューとEC事業者の課題を解決する新サービス

清長は通販・EC事業者の事業規模によって、「ロジモプロ」と「ロジプレミアム」という物流サービスを提供している

「ロジモプロ」は発送件数の少ない通販・EC事業者をターゲットとしたもので、1日1件の出荷にも対応「ロジプレミアム」は月間出荷件数が1000件以上の通販・EC事業者に対応している。両サービスともクライアントの業種などは絞っていないが、現状は常温倉庫での保管に限定しており、冷凍・冷蔵保管には対応していない。

こうした清長が、9月から新たなサービスの提供を始めた。そのサービスは、通販・EC企業の物流担当とのコミュニケーション不足によるミスなどを事前に防ぐための専用アプリ。そして、梱包サイズや配送先に応じた最適な配送キャリアを選定し、送料を最適化するサービスだ。

清長の物流倉庫 「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5Sを徹底している清長。5Sの活動目的は「お客様から信頼される会社になるため」「無駄がない業務運営を実現する」「豊かな人材と職場環境を育む」という目的がある
「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5Sを徹底している清長。5Sの活動目的は「お客様から信頼される会社になるため」「無駄がない業務運営を実現する」「豊かな人材と職場環境を育む」という目的がある

クライアントとのコミュニケーションミスを解消する専用アプリ

クライアントであるEC事業者と「手軽に」「簡単に」「いつでも確認できる」コミュニケーションツールとして専用アプリケーションを開発した。

普段、電話やメールでやり取りしている内容をアプリ内に集約、チャットのような仕組みでクライアントとのやり取りをログで残すようにする仕組み。タスク管理を専用画面上でできるようにしたり、発送キャンセルの依頼もアプリ内で行える。

清長が新たに導入したコミュニケーションミスを解消する専用アプリの概要
コミュニケーションミスを解消する専用アプリの概要

倉庫管理システム(WMS)とも連携し、WMSを経由した出荷ステータスの確認、不稼働在庫の集計をクライアントに提供することもできる。コミュニケーションツールに加え、業務に必要とされるさまざまなサービスをアプリに集約。通販・EC事業者の物流管理を効率化する

これまで、一部の希望するクライアントに対し、不動在庫をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で集計したデータの提供を行うなど、個別対応は行っていた。

今回、情報アプリの提供に踏み切るのは、清長の担当者とクライアントの担当者がやり取りを“見える化”し、物流管理に関する業務を双方で効率化するため。やり取りの内容がクライアント側に伝わらず、担当者レベルで止まり同じような質問や問い合わせが他部門や他の担当から寄せられたりする事象を軽減。クライアント側との情報共有を徹底できる仕組みを構築したいと考えたからだ。

清長が新たに導入したコミュニケーションミスを解消する専用アプリ
清長が独自開発した専用アプリのイメージ(※イメージ画像となりますので、実際のアプリ画面とは異なります)

配送料金を最適化したい――に応える新物流サービス

配送料金の最適化はどの通販・EC事業者も抱える課題。清長はこうしたニーズに応えるため、自動梱包機を物流センター内に導入。最適な価格で配送できる配達地帯、梱包サイズがわかるように機械へ情報を事前インプットし、適切な出荷手段を選べるサービスを始めた

清長が新たに導入した自動梱包機。作業の生産性向上、省人化に大きく貢献している
清長が新たに導入した自動梱包機。作業の生産性向上、省人化に大きく貢献している

出荷依頼は従来、清長は佐川急便だけだった。今回、複数の委託先を用意し、クライアントにとって最適な発送体制を構築できるようにした。サービス名は「宅配マルチチャネル」。

マルチチャネルによる配送体制は9月1日から稼働した。複数の配送業者の情報を集めて、集荷時間帯も区切って機械にインプット。クライアントから、どの配送会社で出荷しても良いというデータさえもらえれば、清長が適宜、地帯とサイズで一番効率的の良い配送方法を自動選択し、最適な配送キャリアに出荷できるようにする。(朝比奈取締役)

自動梱包機の導入は清長の省人化・生産性向上にも寄与している。最低労働賃金の影響で、物流センターに従事するパート・アルバイトの時給は数十円単位の値上げが余儀なくされている。そのコスト負担はクライアントが物流代行会社に支払う料金にも反映されているのが実情だ。

自動梱包機の導入によって省人化・生産性向上を実現。梱包サイズを従来からワンサイズ下げられるようなケースがあるなど、メリットが出始めている

梱包作業を効率化・省人化する清長の自動梱包機

現在、自社で物流業務に対応しているEC事業者に関しては、物流アウトソーシングを強くお勧めしたい。これから競争の激化が予想されるEC業界の中で、EC事業者は販売力や商品力を高めていくことに注力し、全社をあげて差別化に取り組むべき状況になる。物流部分はプロに任せ、注力すべき企画や販売面に注力し、通販・EC事業者は攻めてもらう。ぜひ、物流アウトソーシングで迷っている事業者さんは、清長にお声がけいただきたい。(朝比奈取締役)

清長の日朝氏(写真左)と朝比奈取締役は「物流アウトソーシングで迷われたらまずはお声がけください」と言う
清長の日朝氏(写真左)と朝比奈取締役は「物流アウトソーシングで迷われたらまずはお声がけください」と言う
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瀧川 正実
石居 岳
瀧川 正実, 石居 岳

既存顧客を「リピート顧客」「お得意さま」に変えるCRMを成功させるポイントとは? | 「D2C」&「サブスク」ビジネス相談室

5 years 2ヶ月 ago
session5 EC事業の「顧客維持」と「離反防止」について

ここはD2C(Direct to Consumer)やサブスクリプションの事業に進出しようとしているEC事業者のための相談室。菓子製造・卸を手がける企業の木村部長と、化粧品メーカーの石井社長が、ファシリテーターの尺田さん、アドバイザーの吉村さんからレクチャーを受けています。今回は「獲得した顧客をいかに維持するか」ついてディスカッションするようです。

木村部長 顧客になっていただいてからのリピート施策ということですが、メール配信くらいしか思いつきません。私自身は通販会社から来るメールはほとんど読みませんが……。

石井社長 弊社でもメールの開封率は決して高くはないです。それでも、ここに課題と可能性があると感じています。顧客とのコミュニケーションを充実させることで、クロスセルなど効果を実感できることもあります。一方で、CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)にどんな効果があるのかが見えないことや、新規顧客の獲得よりはコストは低いものの、それなりの費用は発生しているので評価が難しいなと感じています。

アドバイザー吉村 そうですね、顧客としてお付き合いが始まってからのコミュニケーションであるCRMには、皆さん苦心されていると思います。特にサブスクリプションモデルでは解約率がKPIになるので、新規顧客は解約(=離脱)させないことが目標になります。ECシステムで扱うCRMに必要なデータは下記の通りです。

●顧客管理機能
  • 顧客マスター
  • 顧客マスター変更履歴
●受注管理機能 受注データ、受注明細データ
  • 出荷履歴
  • 返品履歴
  • 定期・サブスクリプション契約ヘッダ(マスター)、定期・サブスクリプション契約明細
  • 請求履歴
  • 入金履歴
  • 督促履歴
●コミュニケーション管理機能 媒体マスター
  • オファー履歴
  • コミュニケーション履歴(メール・メッセージ・DM発送・同梱など)履歴データ
  • ポイント履歴
  • カタログなどの請求履歴
  • (2ステップなどでは)サンプル請求履歴
●商品管理機能
  • 商品マスター

注意事項としては、どんなカテゴリーと項目で登録、保有しているかによって、連携データから導き出だされるデータに差異が出ることです。

尺田 CRMのシナリオ実行に必要なデータを、ECシステムからどれだけ取得できるかということですね。ECシステムの機能では対応しきれないコミュケーション設計にはMA(マーケティングオートメーション)ツールやBIツールも必要になってきます。

  • 顧客購買履歴にまつわるデータ集計・抽出……ECシステム
  • コミュニケーションにまつわる集計・抽出、分析……MAツール
  • 広告配信も含めた顧客体験フルファネルでのデータ連携、集計・分析、抽出……BIツール

というように、ツールを使い分ける必要があります。また、データ連携のための顧客キーを何にするかは、SNS系のプラットフォームへの出稿やメール以外でのコミュニケーションを展開する場合、システムの仕様面での確認が必要です。連携方法はAPIがベストだと思います。IDをどう保有しているかは、将来的にOMO(Online Merges with Offline)に取り組む際にも重要な基盤になります。

石井社長 ECシステム、MA、BIの3つのシステム、もしくは、広告配信システムを連携するためのメインのキーは、顧客管理機能のユニークIDで大丈夫でしょうか? その場合、ECシステムでのSNSのIDとの連携はどうなるのでしょうか。

尺田 はい。ECシステムで保持している顧客IDをメインにすることをお勧めします。顧客はECシステムを意識して購買しているわけではないので、顧客になるまでの履歴も含めて見える化できるとベターです。顧客IDの統合の仕方としては、ID情報を個別に保有してIDをつないでいくという方法なら、IDプラットフォームが増えた場合でも対応できます。

「マイページ」をどう考えるか

石井社長 弊社ではCRM事例を勉強するために、10数社のサービスを利用して社内で共有しています。その中で、コミュニケーションメールでコンタクトした際、マイページに行くと、私向けにパーソナライズされていたサイトがありました。これはとても嬉しい機能ですね。弊社では解約率を抑えたいのでマイページ機能を顧客に公開していないのですが、自分が感動したサービスなので、SNSなどでのコンタクトが増えた際にはぜひ提供したいと感じています。

また、サイトのWeb接客ツールで各種情報の変更や商品お届けの確認などが対話形式でできると、やりたいことがすごく簡単にできたように感じます。SNSのチャットを利用して、選択肢を表示した状態で指示してくれるのも、負荷が軽く感じます。

アドバイザー吉村 マイページ機能は、心理的負荷のない購買体験を提供するというカスタマーエクスペリエンス(CX)の視点からもとても大切です。顧客が自身の希望の通りにストレスなく操作できるって重要ですよね。

そもそも、都度購入するより便利で簡単で、顧客にとって価値のある購買体験だからこそ、定期購入という購入形態を提供しているわけです。事業社側にも運用面でのメリットがあるからお得価格で提供しているのですから。「双方にとってハッピーなのでご利用ください」というのが出発点のはずです。であれば、スキップや解約も、顧客がやりやすいようにするべきです。

マイページで実施できる商品やキャンペーンなどの内容を運用管理側で設定、変更できれば、さまざまな施策のテストができます。マイページはECシステムの中でも重要な機能ですね。

CRMで何をするの?

木村部長 CRM施策の展開はどうしたら良いのでしょうか。

アドバイザー吉村 まず視点を整理しましょう。顧客管理データの活用には以下の2つがあります。

  • マーケティング要素(顧客個人に焦点をあてたペルソナや顧客体験)
  • 戦略要素データ活用(事業全体の顧客構成、顧客セグメント)

購買後の顧客セグメントは「新規顧客」「既存顧客」「優良顧客」「離反顧客」で視点を変える必要があります。顧客セグメントごとの特徴をまとめると、

  • 新規顧客からは利益は短期的には創出されない
  • 顧客は離脱する
  • 優良顧客に育成するには時間がかかる
  • 顧客増加には限界が訪れる

ということが言えます。CRMで何をするかですが、第一に自社の事業構造を見える化することですね。見える化はこれまでの経緯、現在、そしてこれからを俯瞰し、診断できるようにすることです。まずは売り上げの基盤となる顧客数を見える化し、次に顧客数の増減の原因を探ります。それができたら増減の原因に対してコミュニケーション施策を実施します。ここで言うコミュニケーション施策とはキャンペーン施策ではありません。

顧客との接触タイミングは、顧客の心理的なポジションが異なる下記のタイミングから考えます。

  • 購入後、商品お届けまで
  • 購入後、商品お届けで、開封、初めてのご利用の際
  • 初めてのご利用から、1週間まで
  • 次回、購入、お届けの、一定期間
  • 購入後、28日もしくは、30日
  • 毎月、定期的な日程(初のお届けの日と同じが良い)
  • 90日後まで
  • 240日(8か月後)まで
  • 365日まで

コミュニケーション施策の内容としては、手紙/DM、メール、メッセージなど。適切なチャネル(SNS、Web接客など)を選んで実施します。時間帯についても購入時間帯に合わせてみたり、顧客行動時間(通勤時間帯、昼休憩時、就寝前)に合わせてみたり検討が必要です。

コミュニケーション施策を考える上で大切なのは「顧客が嫌がることをしない」ということです。例えば、採算が悪い顧客を差別したり、顧客の単価を無理やり上げたりといったことです。CRMの基本は顧客の購買体験を維持向上させること。コミュニケーションを考えることであり、心理学的な分野です。いろいろと書籍も出ているので、お読みになると良いでしょう。

木村部長 そこまできめ細やかに展開する必要があるのですね。一斉メール程度かと思っていました。

石井社長 弊社も一斉メール配信で良かった時もあったのですが、顧客の反応がどんどん落ちてきていきました。フォローメールは開封すらされなくなってきたので、ついついキャンペーンオファー的な過剰な件名になってしまいます。

フォロー施策の7つのシーン

アドバイザー吉村 次に、顧客行動からのフォロー施策ですが、次の7つのシーンでコミュニケーン設計をすると良いと思います。

  1. 会員登録フォロー
  2. 購入顧客フォロー
  3. 休眠・離脱顧客フォロー
  4. 顧客パーソナルイベントフォロー
  5. ポイント顧客フォロー
  6. カゴ落ち顧客フォロー
  7. 閲覧後離脱フォロー

木村部長 石井社長の会社では、こういった施策はどの部署で設計運用していますか?

石井社長 マーケティングは社内で行い、カスタマーサポートについてはファーストコンタクトを協力会社にお願いし、重要な案件のみ社内で対応しています。例えば、定期縛り後の解約については電話のみで対応しています。解約防止率をKPIにして、協力会社とシナリオを見直したりオファーを変えたり毎月工夫しています。ここでも、顧客態様がECシステムで見える化できていると対応に役立ちますね。

あとは顧客の解約の理由を登録できて顧客の声として活用できると良いのですが、ASPシステムでは登録するのもデータを抽出するのもとても大変です。

アドバイザー吉村 そうですね、顧客の声を活用するのは1つのシステムではなかなか実現できません。電話の音声やチャットの履歴をECシステムに保存できないので、他のシステムと連携する必要があるからです。連携においてはコミュニケーションチャネル毎に顧客IDを連携できること、履歴管理とカテゴリー設定の自由度が高いことなどが必要です。これは、カスタマーサービスだけではなくヘルプデスクでも同様です。

尺田 音声系のCRMについてはチャットやメッセンジャーの話題もありますので、フルフィルメントのカテゴリーと捉えて、次回、ディスカッションしていきましょう。

 

この連載の登場人物

●相談者

木村部長 菓子の製造、小売店舗への卸販売企業の新規開発部長。年商は約100億円。売り上げの伸び悩みからD2Cビジネスへの参入を検討中。

石井社長 女性向けスキンケアコスメの単品通販事業者。年商10億円。次の目標は30億円の壁の突破。

●アドバイザー

アドバイザー吉村「やずや式EC通販基幹CRM」「やずや式顧客診断分析システム(CPM/顧客育成ポートフォリオ)」の考え方を伝える伝道師。

●ファシリテーター

尺田 GMOシステムコンサルティングでオムニチャネル対応のEコマースシステムのエバンジェリストとして活躍している。

尺田 怜
尺田 怜

コロナ禍の長期化を想定し「売上成長から利益重視に」。ティーライフの戦略と2020年7月期実績

5 years 3ヶ月 ago

ダイエット茶などの通販・ECを手がけるティーライフは今期(2021年7月期)、売上成長から利益重視にシフトする。コロナ禍が消費に与える影響が長期化すると想定。ローコストオペレーションを徹底し、筋肉質な経営をめざす。

今期の連結業績予想は、売上高が前期比6.3%減の99億600万円、営業利益は同6.8%増の5億3000万円、経常利益は同0.8%増の5億3000万円、当期純利益は同12.4%減の3億6800万円を予想。広告宣伝費の運用を見直すほか、3PL事業の収益拡大、Lifeit(ライフイット、旧桃源郷)などグループ間のシステム統合で利益率の向上をめざす。

ティーライフの2021年7月期の連結業績予想
2021年7月期の連結業績予想(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

主な施策は、戦略商品の品ぞろえ拡充と商品の育成を進める。8月に発売したダイエット茶を最注力商品として販売を強化。顧客数の拡大につなげていく。

新規事業であるウィッグ事業の認知拡大にも取り組む。主要都市への新規出店とともに、既存事業のインフラおよびデジタル技術を活用した販売を進める。

デジタルシフトの推進として独自のバーチャルフィッティングアプリを導入。新たな購買体験を提供することによって、顧客満足度の向上につなげる。

ティーライフのウィズコロナに対応したサービスの構築 独自のバーチャルフィッティングアプリ
独自のバーチャルフィッティングアプリの導入(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

他社の出荷業務を請け負うプロパティ事業も拡大させる。自社出荷業務で蓄積したノウハウを活用し、新たに他社の出荷業務を請け負うなど、物流機能の外販や3PL事業の拡大を進める。

海外市場の販路も開拓する。越境ECでの販売を加速し、主に中国での事業基盤構築を進める。パートナー企業との取り組みも進め、BtoBでの販売も強化する。

ティーライフの2020年7月期連結業績は、売上高が前期比13.9%増の105億7700万円、営業利益は同45.7%増の4億9600万円、経常利益は同47.8%増の5億2500万円、当期純利益は同73.8%増となる4億2000万円だった。

ティーライフの2020年7月期の連結業績
2020年7月期の連結業績(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

通信販売は機能性表示食品の開発や医薬品通販事業の譲受、オールインワンシャンプーの拡販、広告費の運用見直しなどが業績に寄与。ECモール展開では、グループ間でノウハウを共有したほか、イベント時の販売力を強化した。コロナ禍に対応した商品提案や販促も実施した。

瀧川 正実
瀧川 正実

配送キャリア各社の台風10号対応/「町田商店」「ラーメン豚山」が通販開始【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 3ヶ月 ago
2020年9月4日~10日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 【台風10号】佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸の配送対応に関する情報まとめ

    週末にかけて台風10号が接近する九州などの地域へ配送する荷物は、指定された配送日時から遅延する可能性が大きい

    2020/9/4
  2. ラーメン「町田商店」「豚山」などのギフトがネット通販をスタート

    横浜家系ラーメン「町田商店」、がっつり系の「ラーメン豚山」などを展開するギフトはネット通販をスタート。名称は「ラーメン豚山オンラインストア」

    2020/9/4
  3. デジタルD2C市場は2020年に2兆円を突破、2025年には3兆円に達する見込み【売れるネット広告社の調査】

    2019年のデジタルD2C市場は高い水準で成長、2兆300億円規模になったと推測。2020年のデジタルD2C市場は、前年比9%増の2兆2200億円に達すると予測している

    2020/9/9
  4. ガリバーのサイト刷新で起きた「表示スピード遅延」の悲劇。解決に導いたSpelldata社の対策と「SmartJPEG」導入の効果

    中古車販売と買取の「ガリバー」(運営はIDOM)のWebサイトは、リニューアル後に表示スピードが遅延する事態に。それを救ったのが企業のWebパフォーマンスチューニングサービスのSpelldata社と画像軽量化ソフトウェアの「SmartJPEG」。トラブル要因から解決までの道のりを解説します

    2020/9/8
  5. 流通総額は「楽天市場」単体で3兆円、物流に2,000億円投資。三木谷社長は顧客ロイヤルティと品質に自信【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年8月31日〜9月6日のニュース

    2020/9/8
  6. 【国内消費】「小売総合」「サービス総合」は足踏み、「百貨店」「アパレル」の外出型消費落ち込む、「EC」は好調

    「小売総合」「サービス総合」ともに7月後半より低調となり、「全総合」の回復基調は足踏みが続いている。、「EC」や「コンテンツ配信」といったデジタル消費が好調に推移した

    2020/9/4
  7. 通販・ECビジネスの課題は「既存の顧客の満足度の向上」が上昇、「新規客の獲得や集客方法」が下降傾向

    通信販売事業関与者の実態調査、新型コロナウイルス感染症の流行下での「EC/通販事業者の意識」「テレワークなど業務形態の変化による業界情報の収集状況」「通販事業全般の課題」「困り事・悩み事」などを集計・分析した調査結果の2020年版

    2020/9/8
  8. ショッピングSNS「ROOM」にコーディネート機能導入。「楽天市場」商品ページへのリンクやブランドのタグ付け可能

    楽天はショッピングSNS「ROOM」にコーディネート機能を導入。投稿者が撮影したファッションコーディネート写真に着用アイテムの情報を連携して投稿できる。「楽天市場」「Rakuten Fashion」で購入できる商品は商品ページURLにリンクが可能

    2020/9/7
  9. 米国・欧州Amazonの顧客があなたの自社ECサイトで簡単に買い物できる方法とは? 「Amazon Pay」「ジグザグ」が実現したスゴイ仕組み

    ジグザグの越境EC・ウェブインバウンド対応サービス「WorldShopping BIZ」と、Amazonが提供するオンライン決済サービス「Amazon Pay」が連携。米国・欧州のAmazonアカウントを保有する顧客が、日本の自社ECサイトで買い物できるようになるその仕組みを解説

    2020/9/9
  10. 成功事例に学ぶサブスクリプションサービスで稼ぐためのポイント

    サブスクリプションサービスビジネスを行う上で重要なポイントや成功例を、幼児向けおもちゃのサブスクを展開する「キッズ・ラボラトリー」代表取締役の青柳陽介氏が解説する

    2020/9/7

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「オンライン接客」を成功させるポイントは?事例に学ぶ失敗しないデジタル接客のコツとは?

    5 years 3ヶ月 ago
    オンライン接客のソリューションを提供する空色の中嶋洋巳社長が、自身の知見、サービス提供を通じた事例などをもとに、「オンライン接客の失敗例」「成功事例」「成功ポイント」などを解説。
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    小田急百貨店、資生堂、東急百貨店、三越伊勢丹、ジュン、TSIグループ、ゴールドウィン、AOKI――。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって実店舗の休店に追い込まれた企業が、withコロナ・アフターコロナ時代の新しい顧客接点として、オンライン接客の活用に乗り出している。

    ニューノーマル(新しい生活様式)が浸透する今後も新しい販売手法として注目される「オンライン接客」を成功させるためのポイントとは?

    本書では、オンライン接客のソリューションを提供する空色の中嶋洋巳社長が、自身の知見、サービス提供を通じた事例などをもとに、「オンライン接客の失敗例」「成功事例」「成功ポイント」などを解説。これから導入を検討する企業はもちろん、すでにオンライン接客を導入している企業にも役立つ資料としてまとめている。

    オンライン接客で失敗する理由、成功するためのポイントなどを本書で押さえ、ニューノーマルの新しい販売手法であるオンライン接客で売上アップ、業績向上、新規顧客増加など、抱えている課題の解決につなげてほしい。

    PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します

    CONTENTS

    • オンライン接客「テレビ電話」「チャット接客」「ライブコマース」の失敗例
      「テレビ電話」「チャット接客」「ライブコマース」の失敗例、それぞれであがった課題
    • 押さえておくべきオンライン接客のカスタマージャーニー
      カスタマージャーニーを捉えたオンライン接客の販売チャネルを解説
    • オンライン接客の成功事例 ~チャットボット+有人対応のナノ・ユニバース~
      自社EC売上の約10%を占めるというナノ・ユニバースのオンライン接客事例
    • 「チャット接客」を成功させるためのポイント
      「チャットボットと有人対応」「適したチャットへの誘導方法」「会話ログをECサイトの改善などに活用」といったチャット接客を成功させるためのポイント
    • 空色が提供できる価値
      オンライン接客を構築・運用できる空色の提供サービスを紹介

    無料でダウンロードできる資料(PDF)のご案内

    「オンライン接客」を成功させるポイントは?事例に学ぶ失敗しないデジタル接客のコツを空色の中嶋社長が解説 表紙イメージ
    「オンライン接客」を成功させるポイントは?
    事例に学ぶ失敗しないデジタル接客のコツを空色の中嶋社長が解説

    オンライン接客のソリューションを提供する空色の中嶋洋巳社長が、自身の知見、サービス提供を通じた事例などをもとに、「オンライン接客の失敗例」「成功事例」「成功ポイント」などを解説。

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    ネットショップ担当者フォーラム編集部

    ヤマト運輸が「ネコポス」の対応サイズを2.5cmから3cmに拡大、フリマ・オークション市場拡大に対応

    5 years 3ヶ月 ago

    ヤマト運輸は10月1日から、フリマ・オークションサイトなどCtoCプラットフォームを通じた個人間取引の荷物の配送に関し、ポスト投函型サービス「ネコポス」の取り扱いサイズを現行の厚さ2.5センチメートル以内から3.0センチメートル以内に拡大する。

    「メルカリ」「ヤフオク!」「PayPayフリマ」など、ヤマト運輸の配送連携APIを利用している事業者に対して「ネコポス」の取り扱いサイズを拡大する。こうしたCtoCのプラットフォームを利用している発送者は、厚さ3.0センチメートルまでの荷物を「ネコポス」で配送できるようになる。

    ヤマト運輸は、フリマ・オークションサイトなどCtoCプラットフォームを通じた個人間取引の荷物の配送に関し、ポスト投函型サービス「ネコポス」の取り扱いサイズを現行の厚さ2.5センチメートル以内から3.0センチメートル以内に拡大
    「ネコポス」の変更内容​​​​​

    配送連携APIとは、フリマ・オークションなど個人間取引サイト事業者などにヤマト運輸が提供するシステム連携サービス。事業者のサイト上で全国のヤマト運輸直営店、コンビニエンスストアで発送受付用QRコードを取得でき、「送り状の手書き」「現金の支払い」を行うことなく発送できる。

    「ネコポス」は、宅急便レベルの翌日配達のスピード輸送、配達時のタイムリーな情報提供で受け取りの利便性を高めた法人顧客向けポスト投函型サービス。通販事業者などの法人や各種団体、個人事業主の顧客が、ヤマト運輸と契約した上で利用できる。

    新型コロナウイルス感染拡大の影響でEC需要が高まる中、事業者からの商品購入に加え、フリマ・オークションサイトなど、個人間取引を利用する消費者も急増している。

    ヤマト運輸の「ネコポス」は取扱量が急増し、特にポスト投函による非対面での受け取りを希望する消費者から高い評価を得ているという。一方、さまざまな商材を購入、出品したいという顧客から、厚さ2.5センチメートルを超える商品にも「ネコポス」を利用したいという声が寄せられていた。

    こうした要望に応えるため10月1日から、個人間取引サイト(フリマ・オークションサイト)などヤマト運輸の配送連携APIを利用している事業者を対象に、現行のサイズを厚さ2.5センチメートル以内から3センチメートル以内に拡大し、さらなる利便性の向上を図ることにした。

    石居 岳
    石居 岳

    【中国】アリババ「フーマー」、テンセント「永輝超市」などコロナ禍の生鮮食品スーパー&ECの今 | Digital Shift Timesダイジェスト

    5 years 3ヶ月 ago
    コロナ禍によって、急速に成長している生鮮ECサービスと、アリババ傘下の生鮮スーパー「盒馬鮮生」のような実店舗とECの機能を融合したOMO型店舗。その実態を探る

    新型コロナウイルスによる感染拡大が一段落したとみて、「復旧」を強くアピールしている中国。今回のコロナ禍によって、急速に成長しているのが生鮮食品をオンラインで購入する生鮮ECサービスと、アリババ傘下の生鮮スーパー「盒馬鮮生(フーマー)」のように、実店舗とECの機能を融合したOMO型店舗である。実際にどのように成長を遂げているのか。そして今後もその成長は続くのか。

    生鮮食品分野でOMO型店舗が加速、「盒馬鮮生」はコロナ禍で団地に出店?

    中国では今、生鮮食品分野の動きが活発だ。アリババ傘下の生鮮スーパー「盒馬鮮生」は店舗数をさらに拡張する方針で、2020年内に200店舗を新規出店する見通し。「盒馬鮮生」は、オフライン店舗でありながら、配送力に優れ、ECと連携を図った次世代型OMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)店舗として注目されている

    通常の盒馬鮮生は、ECで注文した商品を半径3Km以内であれば最短30分で配送するサービスであるが、今回のコロナ禍により、注文してくれたお客様の団地に入れないという事態が生じている。そこで盒馬鮮生が展開しているのが、団地にサービスステーションとして出店する施策である。

    団地周辺にサービスステーションを設置
    団地周辺にサービスステーションを設置した「盒馬鮮生」

    写真のように団地の周辺にサービスステーションを設置し、注文された商品をここで受け渡す仕組みを早急に構築している。

    テンセントと京東が出資する生鮮スーパー「永輝超市」も2020年には、150店舗を新規出店する予定だ。「永輝超市」は中国の大手スーパーで「盒馬鮮生」同様、デジタルを活用したOMO店舗だ。

    また、インターネット出前サービス大手の美団点評も生鮮品卸大手の生鮮スーパーへ出資を続けている。今回の新型コロナの感染拡大による外出制限の余波は消費を取り巻く環境を一変させたのだ。業界のさらなる淘汰、再編は避けられない。オフライン店舗が駆逐され、デジタルシフトを果たした小売企業が優位となる構図は明らかだろう。

    中国の新小売業界相関図2019
    参考:中国の新小売業界相関図2019

    隔離施策で、オンラインシフトが加速した中国

    中国では隔離施策が非常に厳しかったために、生活日用品や生鮮食品等の消費ニーズはほぼオフラインからオンラインへとシフトした。商品を速やかに配送できる小売企業が益々注目される結果となった。「生鮮到家」とくくられる生鮮食品ECサービスは、休眠ユーザーの回復、新規ユーザーの爆発的増加及びアクティブユーザーが増加した。結果、生鮮到家サービスは毎日売り切れ状態が続くほどだった。

    実は今回のコロナ禍以前は、生鮮ECサービスはそれほど順調ではなく、2019年の下半期、生鮮ECサービス企業の閉店及び倒産のニュースが相次いでいた。先端を行っているかのように思えるこの業界もリニューアルの時期にきていたのだ。

    なぜなかなか収益が出なかったのか? 主な要因は生鮮カテゴリーの商品は、物流と保存のハードルが高い点にある。損耗や損失が多いうえに、サプライチェーンも弱く、粗利は低い。そして運営コストは高い。そのうえ、消費者がオンラインで生鮮類商品を購入する習慣が育っていなかったのだ。その状況を新型コロナが一変させたわけだ。

    生鮮食品ECサービス、2つのグループ

    あらためて現時点で中国の生鮮食品ECサービス「生鮮到家」は、主に2つのグループに分けられる。

    1. 生鮮OMOモデルを展開するグループ

    1つは、スーパーマーケットと倉庫が一体化した生鮮OMOモデルを展開するグループだ。「盒馬鮮生」を筆頭に、「毎日優鮮」、「叮咚買菜」、「朴朴超市」、「7fresh」、「小象生鮮」、「京東到家」等がある。

    2. オフライン店舗の先行優位性でオンライン市場を取っていくグループ

    もう1つは、既存オフライン店舗の先行優位性を借りて、積極的にオンライン市場を取っていくグループ。最も代表的な企業は「Sun Art Retail Group」、「永輝超市」、「物美集団(WUMART)」、「カルフール」、「歩歩高」、「家家悦」などだ。

    生鮮到家サービスの提供プレーヤー
    生鮮到家サービスの提供プレーヤー(出典:天風証券研究所の証券レポート)

    生鮮ECサービス企業を、さらに2種類に分けると?

    生鮮ECサービス企業は、さらに2種類に分けられる。(1)自社経営モデルと、(2)第三者プラットフォーム提携モデルだ。

    生鮮ECの自社経営と第三者プラットフォーム提携""
    生鮮ECの自社経営と第三者プラットフォーム提携(出典:天風証券研究所の証券レポート)

    自社経営モデルは、主に企業が店舗と倉庫及び物流を持ちながら、自ら開発したアプリやWeChat(LINEようなメッセンジャーアプリ)のミニプログラム経由でサービスを提供する。

    一方で、第三者プラットフォーム提携モデルは主にスーパーマーケットが第三者プラットフォームに出店しているものだ。第三者プラットフォームが、ユーザーインターフェイス、オーダーシステム、配送等全てのサービスを供給してくれる。ただ、その分、対応スピードは自社経営モデルのほうが速い。

    新型コロナの感染拡大時にも、速やかに人員を調達し、非常時期運営プランを策定し、すぐに変化に対応する事ができた。いずれにせよ、生鮮ECサービスの供給サプライチェーン問題をより明確にしたのが、今回の新型コロナであり、業界の再編を促進することは間違いない。

    この状況は、既存オフライン店舗の先行優位性を借りて、積極的にオンライン市場を取っていくグループでも同様だ。(1)自社経営モデルと(2)第三者プラットフォーム提携モデルとに分かれるが、そのほとんどが(2)のモデルを採用している。

    開発力が無いために、第三者プラットフォームの物流がひっ迫していることを承知の上で利用せざるを得ないのだ。ただ、第三者プラットフォームを活用することで、顧客データが幅広く取得しやすいというメリットはある。しかしこれ以後、自宅への配達=「超市到家」サービスは、小売業の標準サービスとなるだろうし、(1)の自社経営モデルと(2)の第三者プラットフォームモデルのどちらに対応しているかによって、明暗をわけていくかもしれないと考えている。

    この記事は、株式会社オプトホールディング、中国事業推進室のゼネラルマネージャー李 延光(LI YANGUANG)氏が執筆しました。

    「Digital Shift Times」のオリジナル版はこちら:アリババに対抗するのは? ネットスーパーの今(2020/6/4)

    ※記事内容は掲載時の情報です。
    ※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
    ※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

    「Digital Shift Times」について

    日本企業のデジタルシフトの道しるべになることをミッションに掲げ、未来を見据えて経営の舵取りをしている経営者層やデジタル部門・マーケティング部門の責任者向けに、デジタルシフトと向き合い企業の変革を進めていく上で必要となる情報を提供しています。

    具体的には、デジタルシフトを推進している企業のCEO・CDO、および有識者・専門家との対談やインタビュー、そして、国内のデジタルシフト事例やデジタルマーケティング最新情報などをお届けします。また、国内の事例だけでなく、中国・アメリカの最新事例や特集記事など、読みごたえのある記事を展開していきます。

    https://digital-shift.jp/

    Digital Shift Times

    自社ECサイト1万社超が使う「Amazon Pay」とは? 決済の特長、事例、音声対応までを徹底解説

    5 years 3ヶ月 ago
    「Amazon Pay」の運用開始(2015年5月)から5年が経過し、導入企業数は1万社を突破。多くの自社ECサイトが使うID決済サービスの効果や実績などを解説
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    Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」の運用が、日本での提供開始(2015年5月)から5年が経過した。出前館のデリバリーサイト、劇団四季のチケット予約サイトなど大手から中小企業のECサイトなど、5年で1万を超える独自ドメインの自社ECサイトが「Amazon Pay」を導入している。なぜ、「Amazon Pay」は多くの自社ECサイトに支持されているのか? 「Amazon Pay」で期待される効果、導入によって得られた成果などから、多くの自社ECサイトが「Amazon Pay」を導入する理由を探っていく。

    「Amazon Pay」の導入で、消費者は普段使うAmazonアカウントで決済可能

    「Amazon Pay」とは、Amazonアカウントに登録された配送先住所やお支払い情報を使うことで、Amazon以外のECサイトで簡単にログイン・決済ができるID決済サービス。

    「Amazon Pay」とは
    「Amazon Pay」

    独自ドメインのECサイトでは、クレジットカード情報を入力することに不安を感じる消費者が多く、特に新規顧客はそのハードルが高いと言われている。また、スマートフォンではクレジットカード番号の入力ミスなどにより、離脱してしまうケースも少なくない。

    しかし、「Amazon Pay」が導入されたECサイトでは、Amazonアカウントを利用すれば、購入時に配送先・クレジットカード情報の入力をすることなく、決済を行うことが可能。買い物カゴに商品を入れてから、最短2クリックで決済することが可能になるため、消費者の「独自ドメインのECサイトでの情報入力の不安」「情報入力のめんどくささ」「入力ミス」などの解消が期待できる。また、Amazonブランドに対する信頼感、マーケットプレイス保証プログラム(「Amazon Pay」での商品の購入において、消費者を保護するためにAmazonが提供している保証)による安心感も、買いやすいECサイトの実現に一役買っているだろう。

    「Amazon Pay」の紹介動画)

    日本で「Amazon Pay」の提供が開始されたのは2015年5月。それから5年で、導入企業は1万社を超えた。ジャンルを問わずにさまざまなECサイトが「Amazon Pay」を決済手段として導入している。

    「Amazon Pay」を導入しているECサイトの一部
    「Amazon Pay」を導入しているECサイトの一部

    「Amazon Pay」導入3つのメリットと事例

    新規顧客の獲得

    「Amazon Pay」のグローバルパートナープログラム(公式認定制度)の「Premier Solution Partners」であるフューチャーショップ(ECプラットフォーム「futureshop」の開発・販売)、アイピーロジック(「EC-CUBE」を中心としたECサイトの構築など)の調査によると、ゲスト購入者における「Amazon Pay」決済の割合は40~50%を占める。また、決済後に自社ECサイトの会員となったゲスト購入者の割合に関して、「Amazon Pay」は60~80%に達し、他の決済手段の平均20~25%を大きく上回る

    導入メリット① 新規顧客の獲得(フューチャーショップ、アイピーロジック調べ)
    導入メリット① 新規顧客の獲得(フューチャーショップ、アイピーロジック調べ)

    こうした結果を踏まえ、Amazon Pay 事業本部 本部長 井野川拓也氏は次のように話す。

    マーケティングコストとして、新規のお客さま1人あたりの獲得コストは1000円から、高額商品であれば1万円超が必要になると考えられるが、「Amazon Pay」を使えば決済コストのみで新しいお客さまを獲得することが期待できる。「Amazon Pay」は単なる決済手段ではなく、マーケティングツールだと考えていただきたい

    Amazon Pay 事業本部 本部長 井野川拓也氏
    Amazon Pay 事業本部 本部長 井野川拓也氏

    阪急阪神百貨店、新規会員が増加

    エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の阪急阪神百貨店は、「Amazon Pay」の導入により、新規会員の獲得ならびに主な商圏である関西圏以外の顧客増加を実現したうえ、実店舗を利用する消費者の利便性向上なども図ることができたという。

    「Amazon Pay」を使った消費者の情報は、個人情報の取り扱いに関する同意など一定の条件を満たせば自社ECサイトの顧客情報として活用できるのも特長の1つ。つまり、「Amazon Pay」を利用して会員登録や決済をした会員情報および購入情報を、一定の条件の下、自社ECサイトで管理できるというわけだ。

    阪急阪神百貨店では、「Amazon Pay」を利用した新規顧客はそのままECサイトの会員になり、「Amazon Pay」の導入前後で比べると15%ほど会員が増えた。阪急阪神百貨店は関西に7店舗、福岡に1店舗、都内2店舗、そして神奈川に1店舗を展開。実店舗の利用者は関西圏が多いのだが、「Amazon Pay」の導入によって関西圏以外の消費者の利用が増えた

    阪急阪神百貨店では会員が15%ほど増えたという
    阪急阪神百貨店では会員が15%ほど増えたという

    コンバージョン率の改善

    Baymard Institute(ベイマード・インスティテュート)の調査によると、PCやモバイルのECサイトにおいて、商品をカートに入れた消費者の約70%は購入に至らないという。

    調査結果では、消費者の55%が配送料、消費税、または手数料などの高さを理由にカゴ落ちすることが判明。そのほかの理由としては、「サイトがアカウント作成を要求した」(34%)「チェックアウトプロセスが長すぎる/複雑すぎる」が26%と続いている詳細はこちらを参照)。

    カゴ落ちの理由

    アイピーロジックによる「Amazon Pay」導入前後の比較調査では、購入フローに入ってから購入完了までの割合は導入前で65%であった。それが、「Amazon Pay」導入後で93%までに達し、28ポイントもコンバージョン率が改善した(導入した20社、導入前後6か月のデータの中央値で比較)。

    購入フローに入った後、「Amazon Pay」はクリックだけで簡単に決済できるので、途中で購入を止めるというお客さまが大きく減ったのだろう。(井野川氏)

    導入メリット②「Amazon Pay」導入でコンバージョン率が改善
    導入メリット②「Amazon Pay」導入でコンバージョン率が改善

    JINSではコンバージョン率が前年比で30%改善

    メガネのECを手がけるJINSでは、「Amazon Pay」の導入後、コンバージョン率が前年比で30%改善。限定モデル販売では「Amazon Pay」の利用率が4割を超えたという。

    JINSの「Amazon Pay」導入効果
    JINSの「Amazon Pay」導入効果

    不正取引対策

    Amazonでは、クレジットカードでの決済に関し独自の不正検出ルール、グローバルで使用されている不正検知システムなどによってセキュリティ対策を実施している

    また、消費者が「Amazon Pay」で商品を購入すると、一部の商材を除き、Amazonマーケットプレイス保証※の対象になり、消費者とEC事業者に「安心」「安全」を提供している

    ※Amazonにおいて販売事業者の出品商品を安心して購入してもらうために、購入商品のコンディションや配送を保証するもので、万一の場合、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までAmazonが保証する制度のこと。「Amazon Pay」を利用した購入においても、同等の保証対象となる

    コメ兵、不正取引に関する確認作業が軽減

    ブランドバックなどのリユース品の販売を手がけるコメ兵では、「Amazon Pay」の導入で不正取引に関する確認作業が軽減されたという。

    また、「Amazon Pay」での購入がAmazonマーケットプレイス保証の対象になることで、実質的にチャージバックのリスクをゼロに近づけることができたとしている。

    導入メリット③ 不正取引対策に有効
    導入メリット③ 不正取引対策に有効

    決済だけではない、接客&サブスク&音声注文など「Amazon Pay」の多様な機能

    Web接客型Amazon Pay

    「Amazon Pay」が提供するのは、決済フローを簡単にする決済機能だけではない。その1つが、「Web接客型Amazon Pay」と呼ばれる新規訪問客のスムーズな購入を積極的にサポートする機能。

    ECサイトの購入方法選択画面などにおいて、「Amazon Pay」の利用を促すメッセージをポップアップウインドウやチャット形式で表示。会員登録を行わずに決済できる「Amazon Pay」の利用をユーザーに提案し、入力フォーム画面からの離脱を大きく軽減させるという仕組みだ。

    「Web接客型Amazon Pay」のイメージ
    「Web接客型Amazon Pay」のイメージ

    この機能を活用するには、ゲスト購入用入力フォームに「Web接客型Amazon Pay」を実装すればよい。顧客が支払い方法で「Amazon Pay」を選択しなかった場合でも、入力フォームからの離脱や、入力ミスなどを自動的に察知して、Web接客のポップアップを用いて「Amazon Pay」での購入を提案することができる。

    「Web接客型Amazon Pay」の表示イメージ
    「Web接客型Amazon Pay」の表示イメージ

    また、チャット形式のWeb接客ツールを導入しているECサイトは、チャット内で「Amazon Pay」の利用を案内することも可能だ。

    チャット形式での「Web接客型Amazon Pay」表示イメージ
    チャット形式での「Web接客型Amazon Pay」表示イメージ

    「MakeShop」「サブスクストア」「EC FORCE」「KARTE」「CART RECOVERY」「AiDeal(旧ZenClerk)」「SPROCKET」「qualva」といった、ECプラットフォームやWeb接客ツールが「Web接客型Amazon Pay」に対応している。

    「Otameshi」はWeb接客型決済でコンバージョン率が改善

    オークファングループのSynaBizが運営する社会貢献型ECサイト「Otameshi(オタメシ)」は、「Amazon Pay」以外での方法で買い物カゴへ進み、そこで7秒以上経過すると、「フォームの入力にお困りの方へ」と題して「Amazon Pay」を使った買い物方法の案内をポップアップで表示するようにしている

    当初はお客さまに“しつこい”という印象を与えてしまうかなと思ったが、表示される秒数や決済への誘導が考えられている設計になっていた。正直、最初は効果に関して半信半疑だったが、結果的にコンバージョン率の改善につながっている。ご購入いただける割合が増え、もちろん売上増加にもつながっている。(Otameshi)

    この「Web接客型Amazon Pay」の場合においても、消費者はAmazonアカウントでログインすることができ、住所やクレジットカード情報の入力が不要になるため、EC事業者は離脱(カゴ落ち)の軽減が可能になり、コンバージョン率の改善が期待できるという。

    「Web接客型Amazon Pay」はコンバージョン率の向上につながっているという
    「Web接客型Amazon Pay」はコンバージョン率の向上につながっているという

    サブスクリプションにも対応する「Auto Pay」機能

    さらに、「Amazon Pay」には、近年注目が集まるサブスクリプションビジネスの決済に対応するための機能「Auto Pay」がある

    ECサイトに導入することで、購入者は初回の支払い手続き時に「以降の支払いをAmazon Payで行う」と設定することが可能になる。2回目以降は都度ECサイト上で支払いの手続きをすることなく継続して商品やサービスを注文できるようになるものだ。

    「Amazon Pay」の「Auto Pay」機能を使えば、定期購入やサブスクリプションサービスを提供するEC事業者は、「自由に金額やタイミングを設定し、請求することが可能」「顧客へのサービス提供内容に応じて、決済の頻度や金額などのカスタマイズが可能」など、ビジネスモデルに対応した決済方法を購入者に提供することができる

    「Auto Pay」の仕組み
    「Auto Pay」の仕組み

    クレジットカードの有効期限切れや種類などを変更する場合、お客さまは利用しているECサイトで新しいクレジットカード情報を改めて登録しなければならない。なかには、その登録を忘れてしまうケースがあり、それが販売機会の損失につながってしまう。「Amazon Pay」では日頃、お客さまがAmazonで買い物をする際に登録しているカード情報が使われる。最新のカード情報に更新されているケースが多いと考えられるため、EC事業者の販売機会の損失を軽減するといった効果が期待できる。つまり、LTV(顧客生涯価値)の向上にもつなげることも期待できる

    また、Amazon Payでは、「Auto Pay」を使って、買い物カゴを経由しない1クリック購入、インスタントバイも実現できる。(井野川氏)

    「Auto Pay」の内容
    「Auto Pay」の内容

    バルクオム、定期購入客の増加で月商は3倍以上に

    男性向けスキンケアブランド「BULK HOMME(バルクオム)」の企画・販売を手がけるバルクオムは、メンズ向け化粧品のサブスクリプションECで急成長している企業。

    「Amazon Pay」導入後、ランディングページ(LP)のコンバージョン率は50%ほど改善した。定期購入顧客数も増え続け、月商規模は3倍以上に拡大。「Amazon Pay」を使った購入の約95%はスマートフォン経由となっている

    バルクオムは「Auto Pay」機能の活用で定期購入顧客が増加しており、LTV向上につなげている。

    バルクオムは「Amazon Pay」導入がLTV向上につながっている
    バルクオムは「Amazon Pay」導入がLTV向上につながっている

    テレビショッピング活用

    「Amazon Pay」はテレビショッピングにも活用が広がっている。テレビショッピングの放映中、画面内に商品申し込み方法としてQRコードを表示してECサイトでの購入を案内、Amazonアカウントがあれば「Amazon Pay」を使い簡単に決済できる――。こんな取り組みを行ったのがテレビ通販ブランド「ダイレクトテレショップ」を展開するテレビショッピング研究所。

    テレビショッピングの放映中、「Amazon Pay」で購入できる旨を記載した案内とQRコードを表示し、視聴者にQRコードスキャンを促す仕組み。QRコードをスキャンすると「ダイレクトテレショップ」のECサイト内に用意されたランディングページに移動する。

    テレビショッピングの放映中、コールセンターの席数を電話件数が上回った場合、超過した入電は自動応答によって対応するケースが多い。つまり。自動応答によって販売ロスが発生するケースが考えられる。

    コールセンターへの負担を減らすと同時に、販売機会のロスを軽減する方法として、「Amazon Pay」はテレビショッピングでの活用も支援できるようになっている。(井野川氏)

    「Amazon Pay」のテレビショッピング活用例
    「Amazon Pay」のテレビショッピング活用例

    音声ショッピングにも対応する「Amazon Pay」

    「Amazon Pay」は音声でのショッピングにも対応している。Amazonのクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」を使って音声で買い物ができるように、Amazon Pay対応Alexaスキルを開発することで音声ショッピングも可能になるのだ。

    たとえば、宅配ポータルサイト「出前館」。Amazon EchoシリーズのAlexa搭載デバイスに「アレクサ、出前館をひらいて」と話しかけると、出前館の「Alexaスキル」が実行され、音声で出前の注文を行うことが可能だ。(なお、音声ショッピングにあたっては、事前に該当するAlexaスキルを有効にする必要がある)

    Amazon Pay対応Alexaスキルは、中小の自社ECサイト運営企業でも、比較的手軽に、十分な開発知識がなくとも開発・提供できる環境が整えられている。

    中小企業でも音声ショッピングに対応可能

    それが、アイピーロジックが提供している、EC-CUBE向けAlexaカスタムスキルプラグインだ。オープンソースのECパッケージ「EC-CUBE」を利用してECサイトを運営するEC事業者であれば、このプラグインを活用することで、「Amazon Pay」に対応したAlexaスキルを、“手軽に”“開発知識なしに”“無料”で開発することができる

    アイピーロジックが「Amazon Pay」対応の「EC-CUBE」向け「Alexaスキル」開発プラグインを提供している
    アイピーロジックが「Amazon Pay」対応の「EC-CUBE」向け「Alexaスキル」開発プラグインを提供している

    配送状況を「Alexa」経由で通知

    また、自社ECサイトでの商品購入後に音声で配送状況を通知できる「Alexa配送通知機能」が2019年に始まった。これは、「Amazon Pay」を使って自社ECサイトで商品を購入すると、商品の配送状況を「Alexa」が音声で通知するというもの。

    スマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」を始めとしたAlexa搭載デバイスを通じ、Amazonの顧客に音声を使った配送状況を通知する仕組みだ。

    「Alexa配送通知機能」を使用した配送通知の動画イメージ

    テクノロジーの進化、消費者生活の多様化で、場所、時間、さまざまな状況に応じて多様な商品購入方法が選べるようになった。それに合わせて、商品の配送状況も多様な方法で通知を受けたいという消費者が増えている。音声による配送通知はこうした消費者のニーズに対応する機能として期待される

    こうした「Amazon Pay」の特長、導入事例、新しい機能を説明した上で、井野川氏は最後に、次のように語った。

    今後は、単なるパソコン、スマートフォンでのお買い物だけでなく、Alexaのような音声サービスが導入されたさまざまなIoT家電、車などが増えていき、いろいろなチャネルやさまざまなデバイスの垣根を越えた、より良いお客さまのショッピング、生活体験が求められる。Amazonはこうしたことに対応したより良いショッピング、生活体験を提供していきたい。

    ◇◇◇

    「Amazon Pay」では6月1日から、「Amazon Pay」での決済にAmazonギフト券を利用できる取り組みを始めた。ECサイトにおいてクレジットカードのご利用を控えたいという消費者は、あらかじめコンビニなどでAmazonギフト券を購入しておくことで、「Amazon Pay」が利用可能なECサイトでの買い物を楽しめるようになったのだ。

    「Amazon Pay」を導入しているECサイトにとって、今までAmazonアカウントにクレジットカードを登録していなかった消費者にも、最短2クリックで決済可能な「Amazon Pay」の簡単・便利な購入体験を提供できるようになる。新規の消費者による買い物機会の増加も期待できるようになった。

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    吉野 巨人
    吉野 巨人

    まだあまり知られていない2020年のEC市場(北米)5つのトレンドとは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 3ヶ月 ago
    食料品販売では「店舗がECの大きな資産になる」、「カタログ通販と親和性の高いオンライン販売」、「健闘している小規模オンライン小売事業者」など、米国で起きているEC業界5つのトレンドを紹介します

    紙のカタログや実店舗での販売ほど、20世紀的な過去の遺物があるでしょうか? しかし、21世紀も5分の1が過ぎた今、カタログと実店舗を中心にビジネスを構築してきた多くの小売事業者が、オンラインで好調に推移しています。

    データから見えるEC業界5つのトレンド

    『Digital Commerce 360』の「北米EC事業 トップ1000社データベース 2020年版」は、北米の主要企業1,000社を対象に、オンライン小売売上高別のパフォーマンスを分析したものですが、レポート執筆中に、2つの調査結果を目にして少し驚きました。レポートのデータから、注目すべきインサイトが浮かび上がってきました。レポートからわかった、まだあまり知られていないEC業界5つのトレンドを紹介します。

    1. 食料品販売では店舗が貴重なEコマースの資産になる

    一般的には、オンライン販売が実店舗を苦しめているというのが常識かもしれません。確かに、オンライン販売は多くの小規模な小売チェーンにも打撃を与えています。しかし、オムニチャネルの利便性を提供できるだけの資金を持つ実店舗型小売事業者は、特に食品を販売している事業者を中心にオンラインで成功を収めています。

    大手小売チェーン5社、「Walmart」(北米EC事業 トップ1000社データベース 2020年版 第3位、世界最大のスーパーマーケットチェーン)、「Kroger」(同第13位、スーパーマーケットチェーン)、「Target」(同第12位、ディスカウント百貨店チェーン)、「Ascena Retail Group」(同第38位、DressBarn、Maurices、Lane Bryantなどのアパレルブランドを運営)、「The Home Depot」(同第5位、住宅チェーン・建築資材の小売りチェーン)は、いずれも2019年のAmazon(同第1位)の成長率(19.1%)を超えました

    「Walmart」「Kroger」「Target」はいずれも大手食料品小売事業者であり、食品・飲料のトップ1000社に入ります。これらの企業を合わせると、2019年のオンライン売上高は前年比21.6%増となり、家庭用品・家財道具カテゴリー(22.4%)に次いで2番目に成長率の高い分野になりました。

    近年の食品小売事業者のオンラインでの成長の大部分は、道端(カーブサイドピックアップ)や店頭でのピックアップサービスによるものですが、新型コロナウイルスの発生に伴い、サービスの利用が加速しました。

    実店舗型小売事業者は2019年、全体的にオンラインの売り上げを大きく伸ばしました。実際、Amazonをオンライン販売のみの事業者のリストから外すと、小売チェーンは、カタログ・電話通販企業、消費者ブランドメーカーを含む4業種の中で、最も大きな成長を遂げました。

    オンラインで急成長する店舗型小売事業者
    オンラインで急成長する店舗型小売事業者(2019年の業種別の成長率。Amazonはオンライン販売のみの事業者から除外。画像は「5 hidden trends in North American ecommerce」より編集部が作成)

    2. カタログ通販と親和性の高いオンライン販売

    印刷された商品リストを郵送することからビジネスをスタートしたカタログ販売業者がトップ1000にランクインしていますが、テレビショッピングと同じグループに分類されています。テレビショッピングも、オンライン注文とテレビを見ながら電話で注文する2つの方法で売り上げをあげています。レポートの中でカタログ・電話通販企業と分類されるグループは、2019年のオンライン売上高が7.5%増加しただけで、トップ1000社の平均16.2%を大きく下回っています。

    しかし、それはテレビショッピングと同じグループに分類され、純粋なカタログ企業の2019年のパフォーマンスが不当に下げられたせいです。カタログ・電話通販でトップ1000社入りした業界最大の小売事業者で、QVCとHSN(ホーム・ショッピング・ネットワーク)のテレビショッピングチャンネルを運営するQurate Retail Group(同第9位)の2019年のオンライン売上高は3.2%減少し、業界全体のパフォーマンスを低下させました。

    数字の悪化は、Qurateの顧客が2015年ピーク時の9,900万世帯から8,000万世帯に減少したことに起因していますが、その後、ストリーミングサービスとの様々なパートナーシップにより1,100万世帯が新たに加入したと、同社は述べています。

    Qurateの業績悪化がなければ、カタログ・電話通販のグループは、2019年にオンライン売上高を10.2%増加させていました。この数字はトップ1000社の平均を大きく下回ってはいますが、それでも立派な数字です。

    カタログ通販事業者は通常、急成長している企業が多いトップ1000社のリストにはランクインしませんが、継続的なビジネスの力を持っています。また、トップ1000社にランクインしている老舗のカタログ・電話通販小売事業者は、1998年からオンライン販売を行っており、トップ1000社全体の中央値よりも3年早くオンライン販売に着手しています。

    長年オンライン販売を行っているカタログ・電話通販事業者
    長年オンライン販売を行っているカタログ・電話通販事業者(業種別、オンライン販売年数の中央値。画像は「5 hidden trends in North American ecommerce」より編集部が作成)

    3. 予想以上に健闘している小規模オンライン小売事業者

    「Amazon」「Walmart」「Target」、家電量販店の「BestBuy」などの大手企業がオンラインで急速に成長しているため、小規模なオンライン小売事業者は苦戦していると考えるのが一般的でしょう。しかし実際は、そうではありません。

    トップ1000社データベースで501~1000位にランキングされた小売事業者は、2019年にオンライン売上高を全体で15.7%増加させ、北米のEコマース市場の成長率15.1%を上回りましたが、1~500位の小売事業者の成長率16.3%には及びませんでした。しかし、成長率19.1%のAmazonの巨大な売り上げが影響し、結果が歪んでしまっていることがわかります。実際は、Amazon以外の499のトップ小売事業者は、2019年に前年比14.9%の成長しかしていないのです。

    小規模事業者でもオンラインで成功できる
    小規模事業者でもオンラインで成功できる(2020年版トップ1000社データベースを100社ずつグルーピングした際の、グループごとの前年比成長率。画像は「5 hidden trends in North American ecommerce」より編集部が作成)

    また、多くの中堅小売企業もオンラインでは非常に好調です。実際、トップ1000社を100社ずつ10のグループに分けた場合、最も成長していたのは401~500位の小売事業者で構成されたグループでした。同グループのEコマースの収益は、2019年に18.1%増加しています。

    ここからわかることは、小中規模の小売事業者がニッチ市場を狙い、オンラインで成長する余地はまだあるということです。

    4. 全体的なコンバージョン率から学べることは少ない

    小売店のウェブWebサイトへの50回の訪問のうち49回は購入していないという、一見憂慮すべき統計を参照している記事やプレスリリースを見かけることも多いでしょう。もちろん、それは真実です。トップ1000社のコンバージョン率の中央値は2.2%です。しかし、小売事業者は、自社のビジネスを評価するために、より細かく数字を見る必要があります。

    コンバージョン率は、販売方法や販売している商品によって大きく変化するからです。

    例えば、カタログ・電話通販事業者は、コンバージョン率の中央値が2.9%で、トップ1000社の標準値を大きく上回っています。それはなぜでしょうか?

    Webサイトを訪れる消費者の多くが、すでに光沢のあるカタログを見たり、テレビショッピングの番組で売り文句を聞いたりしているからです。そのような消費者は、Webサイトを閲覧するだけの消費者よりも購入する可能性が高いのです。

    高いコンバージョン率を誇る、カタログ・電話通販事業者(画像は「5 hidden trends in North American ecommerce」より編集部が作成)

    同様に、事務用品カテゴリーのコンバージョン率は4.5%で、トップ1000社の中央値をはるかに上回っています。Staples(第8位)とOffice Depot(第20位)などのWebサイトを訪れるのは、以前に購入した商品を補充しているオフィスマネージャーである場合が多いのです。その結果、購入に至る割合が高くなっています。

    消費者が細かくリサーチをしたり、何度も価格を比較したりする商品カテゴリーもあります。トップ1000社データベース内、自動車部品・アクセサリー小売事業者のコンバージョン率の中央値が1.3%、宝飾品・スポーツ用品小売事業者のコンバージョン率の中央値が1.5%であるのはそのためです。

    ポイントは、ビジネスを評価する時は、似たような業界のコンバージョン率を比較するべき、ということです。

    5. アマゾンに嫌悪感を抱くデジタルネイティブブランド

    多くの店舗が閉店したり縮小したりする中、消費財を製造するブランドが、オンラインで消費者に直接販売するケースが増えています。定価から40~50%引きの卸売価格で消費者に販売するのではなく、小売価格で販売するため、ブランドにとっては非常に利益が大きいのです。

    トップ1000社の消費者ブランドメーカー268社のうち56.4%がAmazonで販売しているのに対し、トップ1000社全体ではAmazonでの販売割合が42.8%にとどまっているのはそのためです。Amazonが平均15%の手数料を取り、Amazonサイト内での検索結果を押し上げるために広告費がかかるにも関わらず、ブランドはAmazonのような大きなショッピングポータルで利益を上げることができます

    しかし、DNVB(Digitally Native, Vertically Integrated Brand)と呼ばれる、オンライン販売に特化した69のブランドが、Amazonで販売する可能性はとても低いでしょう。DNVB企業の39.7%のみがAmazonに商品を提供していますが、トップ1000社データベース内の消費者ブランドメーカー199社全体の60.8%と比較しても、低い数字になっています。
     

    Amazonから距離を置くデジタルネイティブブランド(トップ1000社全体、デジタルネイティブブランド、消費者ブランドメーカーがAmazonで販売している割合。画像は「5 hidden trends in North American ecommerce」より編集部が作成)

    Amazonで購入した消費者に直接コンタクトを取ることができないため、Amazon利用者をロイヤルカスタマーにすることは難しいです。多くのデジタルネイティブブランドは、天然素材の服や健康食品など、独自性のある商品を販売し、消費者に再購入してもらうための努力をしています。

    これらのブランドの多くは、積極的なソーシャルメディア・マーケティングを通じ、消費者を自社のWebサイトに誘導しています。Amazonを自社と消費者の間に挟むことは、少なくとも今のところ、ほとんどの企業が避けようとしている戦略です。

    ◇◇◇

    上記は、「北米EC事業 トップ1000社データベース 2020年版」から浮かび上がってきたトレンドのほんの一部に過ぎません。新型コロナウイルスが様々な意味でショッピングの概念を根底から覆す中、2021年のレポートでは、北米を代表するオンライン小売事業者の情勢に大きな変化が起こることは間違いありません。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    デジタルD2C市場は2020年に2兆円を突破、2025年には3兆円に達する見込み【売れるネット広告社の調査】

    5 years 3ヶ月 ago

    売れるネット広告社が発表した「デジタルD2C」に関する市場動向調査によると、デジタルD2C市場は2020年に2兆2000憶円を突破、2025年には3兆円に達すると予測した。

    デジタルD2C事業は、SNSなどを利用することで、企業が消費者と店舗を介さずに直接接点を持つことができるビジネスモデル。仲介業者を挟まず、SNSなどを通じて消費者と直接コミュニケーションを図ることで、独自の世界観や価値観を提案できるため、大手企業も続々と市場参入している。

    2019年のデジタルD2C市場は高い水準で成長、2兆300億円規模になったと推測。2020年のデジタルD2C市場は、前年比9%増の2兆2200億円に達すると予測している。

    デジタルD2Cの市場規模は中長期的に高い成長を継続し、2025年には3兆円に達するとした。コロナ禍における購買行動の変化はD2C市場の成長をさらに加速すると見ている。

    売れるネット広告社が発表した「デジタルD2C」に関する市場動向調査によると、デジタルD2C市場は2020年に2兆2000憶円を突破、2025年には3兆円に達すると予測

    スマホの普及に伴い、情報の接点がインターネットメディアやSNSにシフト。デジタル接点でのブランドのストーリーに共感して購入する消費者が増えてきている。

    仲介業者を挟まず、消費者に直接商品を届けるビジネスモデルのD2Cは、SNSなどによる双方向のコミュニケーションを通じて信頼関係が向上、ブランドへのロイヤルティを醸成するため、需要はさらに拡大していくとした。

    本調査は、「デジタルD2C」をネットメディアを通じて自社ブランドの商品を消費者に直接に販売する事業と定義。2019年の市場規模を推計し、2025年までの年間の国内市場規模予測を算出した。

    石居 岳
    石居 岳

    イオングループのコックス「Yahoo!ショッピング」に出店、タッチポイントを増やす目的

    5 years 3ヶ月 ago

    カジュアルファッションを販売するイオングループのコックスは9月4日、「Yahoo!ショッピング」に「コックス公式オンラインショップ Yahoo!店」をオープンした。

    自社ECサイト、「楽天市場」「ZOZOTOWN」など含む8サイトでECサイトを運営しているコックスが「Yahoo!ショッピング」に出店したのはタッチポイントを増やすため。新たな顧客層の開拓、ブランド認知の拡大を図る。

    展開するブランドは「ikka(イッカ)」「LBC(エルビーシー)」「VENCE share style(ヴァンスシェアスタイル)」「notch.(ノッチ)」「TOKYO DESIGN CHANNEL(トウキョウデザインチャンネル)」の5ブランド。

    カジュアルファッションを販売するイオングループのコックスは、「Yahoo!ショッピング」に「コックス公式オンラインショップ Yahoo!店」をオープン
    「コックス公式オンラインショップ Yahoo!店」(画像は編集部がキャプチャ)

    コックスの2020年2月期におけるEC売上高は、前期比15.8%増の16億9700万円。連結売上高に占めるECの割合(EC化率)は約10%。

    2021年2月期の方針として、EC事業の推進・拡大をあげている。新型コロナウイルスの感染症拡大の影響で、2020年3-5月期(第1四半期)の連結売上高は前年同期比42.1%減の24億7300万円。店舗が休業に追い込まれる中、ECに注力。EC売上高は同89.4%増と大きく伸長したという。

    コックスのEC戦略
    EC事業の拡大策(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    「小倉昌男の宅急便作りは簡単なことではなかった」。ヤマトグループ100年のあゆみを学べる「クロネコヤマトミュージアム」に込めた思い | 物流女子の旅

    5 years 3ヶ月 ago
    「ヤマト運輸」誕生の歴史などヤマトグループ100年の歴史を学べる「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」にはどのような思いが込められているのか?館長の白鳥美紀氏に話を聞きました【物流女子の旅⑤】

    創業100年を超えたヤマトグループのイノベーションの歴史などを資料や体験などを通して学べる「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」。個人向け宅配を全国に浸透させ、通販・EC市場の成長を古くから支えてきたヤマトグループの歴史を映すレガシーの役割が期待されるミュージアムの見どころを、館長を務める白鳥美紀氏にミュージアム設立の経緯などを踏まえて聞きました。

    ヤマトグループ100周年を記念して設立

    ヤマトグループは2019年11月29日に創業100周年を迎えました。

    白鳥氏は2012年から100周年記念事業を担当。事業内容を決めていく中で「歴史をきちんとレガシーとして残せる物を作りたい」と考えところ、必然的に「歴史館」という案があがったそうです。

    ミュージアムが入居するヤマトグループのビルも事業の一環として2019年10月にリニューアルオープン。「『つなぐ』をテーマとした『YAMATO NEXT 100』の発信地」というコンセプトで建設するビルだったことから、「ミュージアムを新しいビル内に設立する」構想を立て、オープンに向けた準備を行ったそうです。

    「クロネコヤマトミュージアム」の名称は親しみやすさを込めて

    ミュージアムの名称を、「資料館」ではなく「歴史館」にした理由について、「『ヤマトグループの歴史を展示する箱物』としてオープンしたから」と白鳥氏は言います。

    おそらく皆さんの中では「クロネコヤマト」の方が馴染みがあるので、愛称として「クロネコヤマトミュージアム」と付けました。(白鳥氏)

    ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム ヤマト運輸 ヤマトグループ 100周年 館長
    コーポレートコミュニケーション戦略立案推進機能マネージャー ヤマトグループ歴史館 館長 白鳥美紀氏

    見た人が一番印象に残ったところが見どころ

    ミュージアムの見どころについて、白鳥氏は「見ていただいた方が一番印象に残っている展示が見どころ」「一番というのは決めていない」と言います。

    子どもたちは宅急便体験コーナー、経営者なら2代目社長の小倉昌男氏に関する展示コーナーや経営理念など、立場や年齢などによって興味を持つ部分が異なる、というのが理由です。

    ただ1つ、ミュージアムを見る上で「私たちと一緒に歩んで下さったお客さま自身の歴史を重ねてご覧いただきたい」と白鳥氏は話します。

    ミュージアム内の展示はヤマトグループの歴史だけでなく、各時代に起こった多くの出来事の写真や年表も展示しています。

    また、ミニシアターで放映している映像も、ある家族4世代が歩んだ100年に、ヤマトグループ100年の出来事を重ね、「ヤマトグループが人々とともに歩んだ」ストーリーになっています。

    年配の方はオイルショックの展示を見て「昔もトイレットペーパーを買うために並んだことがあったんだよ」とお話されていたりしますね。

    皆様にはヤマトグループの歴史を学びつつも「ああ、懐かしいな」と、当時の出来事を振り返りながらご自身の歴史と重ねてご覧いただけたら嬉しいですね。(白鳥氏)

    全てのお客さまに「感謝の気持ち」を伝えたい

    多くの人に訪れてほしいというミュージアム。ヤマトグループの歴史や物流を学んでほしいという思いはもちろんですが、ミュージアムを通して一番伝えたいことは「感謝の気持ち」だと白鳥氏は言います。

    日ごろ宅急便を利用してくださっている方、取引のある企業、きめ細かい宅急便ネットワークに欠かせない取扱店、全てのお客さま1人ひとりに感謝の気持ちを伝えたい

    私たちだけでは長い歴史を築くことはできず、常にお客さまの存在があり、ともに歩んできた結果、100年という歴史が刻まれました。

    「ありがとうございます」と「これからもよろしくお願いします」という気持ちを伝えることが、このミュージアムの役割だと思っています。(白鳥氏)

    その気持ちはミュージアムだけでなく、社員に配布した100周年記念誌にも現れています。

    ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム ヤマト運輸 ヤマトグループ 100周年記念誌 100年のあゆみ
    記念誌の右上には「100年ありがとう」の意味を込めた記念ロゴ。「お客さまとともに歩んできた」感謝の気持ちを表すために「100年の歴史」ではなく「100年のあゆみ」と記載したそう

    年齢などを問わず幅広い方に見てほしい

    7月のオープン以降、1か月半で約1,300人が来館。来館者のメイン層を決めているのか尋ねたところ「幅広い方々に来ていただきたいので、ターゲット層などは特に決めていない」とのこと。

    それぞれ関心・興味を持っていただける点や「自分ごと化」していただける点が違いますので、さまざまな方に来ていただきたいと思っています。(白鳥氏)

    予想より多かった、親子連れでの来館

    来館者のメイン層などは全く決めていませんでしたが、8月23日時点で来館者のうち180組ほどが親子連れだったと言います。

    品川駅から徒歩10分ほどの場所にあるミュージアムですが「人通りの多い場所でもないので、ふらりと立ち寄るような立地ではない」と考えていたため、予想より親子連れが多いことに白鳥氏は驚いたそう。

    ホームページでご覧になったとか、「宅急便の車に乗れる」という評判を聞いてお越し下さったようです。お子さまにたくさん来ていただけて嬉しいです。(白鳥氏)

    ヤマトグループ社員研修の一環として見てほしい

    白鳥氏は「ヤマトグループの社員にもミュージアムを見に来てほしい」と思っているとのこと。

    2019年に発行した100周年記念誌をヤマトグループ社員に配布しており、それを読んだ上で企業の原点である経営理念や創業の精神などをあらためて学んでほしいと言います。

    「小倉康臣や小倉昌男が会社や宅急便を作ったことは簡単なことではなかった」ということを学び、会社の歴史や出来事を振り返る場所にしてほしいと思っています。(白鳥氏)

    新型コロナウイルスの影響でまだ実現できていませんが、ミュージアムが入居するビルの別フロアには研修施設があるため、社員研修の一環としてミュージアムを訪れてほしいそうです。

    多くの人が楽しめるイベントを行っていきたい

    まだ展示しきれていない資料などもあるため、テーマを設けた企画展や、子どもが参加して一緒に物作りを楽しめるようなイベントを行っていきたいとのこと。

    新型コロナウイルスの影響でなかなか実現のタイミングが難しいですが、年間を通してご来館した皆さまに楽しんでいただけるようなイベントや企画展を行っていきたいと考えています。(白鳥氏)

    また、子ども向けのパンフレット作成も進めているそうです。

    ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム ヤマト運輸 ヤマトグループ パンフレット
    ミュージアムで配布しているパンフレット。英語版や中国語版も用意されています

    ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム

    • 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
    • 休館日:月曜日・年末年始 ※月曜日が祝日の場合は開館、翌営業日を休館。臨時休館日などあり
    • 所在地:〒108-0075 東京都港区港南2丁目13-26 ヤマト港南ビル6F
    • 電話番号:03-6756-7222
    • ※入館無料で予約なしの自由見学。アテンドツアーを希望の場合や10名以上で来館の場合は事前予約が必要
    藤田遥
    藤田遥

    米国・欧州Amazonの顧客があなたの自社ECサイトで簡単に買い物できる方法とは? 「Amazon Pay」「ジグザグ」が実現したスゴイ仕組み

    5 years 3ヶ月 ago
    ジグザグの越境EC・ウェブインバウンド対応サービス「WorldShopping BIZ」と、Amazonが提供するオンライン決済サービス「Amazon Pay」が連携。米国・欧州のAmazonアカウントを保有する顧客が、日本の自社ECサイトで買い物できるようになるその仕組みを解説
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    米国・欧州のAmazonのアカウントを保有する顧客が、日本の自社ECサイトにアクセスし、自身のAmazonアカウントを使って簡単に買い物できる――。このように、海外の消費者が簡単に越境EC形式で日本の商品を購入できる仕組みがついに実現した。

    この取り組みを実現したのは、越境EC・ウェブインバウンド対応サービス「WorldShopping BIZ」を提供するジグザグと、Amazonが提供するオンライン決済サービス「Amazon Pay」。“越境EC購入でも買いやすい”ショッピング体験の提供に至った背景などについて、ジグザグの仲里一義社長、アマゾンジャパン Amazon Pay 事業本部 本部長の井野川拓也氏に話を聞いた。

    「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」の協業で実現したことは?

    「Amazon Pay」が海外のAmazonアカウントを持つ顧客による決済にも対応できるようになったらありがたい。

    「Amazon Pay」導入企業から要望があがっていた「海外のAmazonアカウントを持つ顧客による決済」に対応したのが今回の協業策。ジグザグの越境EC・ウェブインバウンド対応サービス「WorldShopping BIZ」を導入している日本の自社ECサイトでは、アクセスしてきた海外の消費者が、自身が使用している米国・欧州のAmazonアカウントを使い、「Amazon Pay」を通じて越境EC形式で決済できるようになったのだ。

    「WorldShopping BIZ」を導入している日本のECサイトにアクセスした米国・欧州の消費者は、クレジットカードなどの決済手段に加えて、「Amazon Pay」を選ぶことができるようになった普段使いしているAmazonアカウントで買い物ができるようになるため、異国のECサイトでも安心・安全に決済できるという仕組みだ。

    このスキームは、米国・欧州のAmazonアカウントを使い日本のECサイトでも決済できる特別仕様の「Amazon Pay」を、「WorldShopping BIZ」が実装することで実現した。「WorldShopping BIZ」を導入している日本のEC事業者は、開発や運営オペレーションの変更を行わず、「WorldShopping BIZ」のタグを1行設定するだけで、米国・欧州のAmazonアカウントを保有する顧客に越境EC形式で自社ECサイトでの買い物体験を提供できる

    これまで、海外のAmazonアカウントを持つ顧客は、日本国内の自社ECサイトでの買い物に際して「Amazon Pay」を使うことができなかった。今回の協業は、海外のAmazonを利用する顧客が初めて日本の自社ECサイトで「Amazon Pay」を利用して決済できる取り組みとなる。

    海外からの注文に対応していないECサイトではカート離脱が多く発生する
    海外からの注文に対応していないECサイトではカート離脱が多く発生する

    拡大する越境ECの利用に対応できる

    この仕組みにより、EC事業者は拡大傾向にある越境ECの利用に対応することができるようになる。『海外ECハンドブック2019』(著者:トランスコスモス株式会社)によると、グローバル越境EC市場規模は2020年に9940億ドルまで拡大する見込み。特に、北欧、西欧、そしてアジア太平洋などの各地域で越境EC利用が進むと見られている

    グローバルでの越境EC市場の推移(画像はインプレスが発行した『海外ECハンドブック2019』(著者:トランスコスモス株式会社)から)
    グローバルでの越境EC市場の推移(画像はインプレスが発行した『海外ECハンドブック2019』(著者:トランスコスモス株式会社)から)

    また、米国のAmazon.comが公表した「年次報告書(2019年)」によると、全体売上(AWSなど含む)における地域別売上の割合は米国が69%、ドイツが7.9%、イギリスが6.2%この3か国でAmazonの全体売上の83.1%を占める。他のエリアを含めるとその割合はさらに増えるとみられる。

    Amazonの地域別売上高(2019年)。カッコ内の数値は全体売上高に占める割合(編集部が作成)
    Amazonの地域別売上高(2019年)。カッコ内の数値は全体売上高に占める割合(編集部が作成)

    「WorldShopping BIZ」と「Amazon Pay」を実装した日本のECサイトは、Amazonアカウントで買い物する多くの海外ユーザーを、見込み客とすることができるようになる。

    「Amazon Pay」と協業した「WorldShopping BIZ」とは?

    「WorldShopping BIZ」は、大幅なサイト改修を伴わずに、JavaScriptを1行、自社ECサイトに設置するだけで、越境ECに対応できるサービス。世界125か国を対象とした海外販売対応を実現できる。

    「WorldShopping BIZ」の仕組み
    「WorldShopping BIZ」の仕組み

    海外IPアドレスとブラウザ言語を識別し、海外ユーザーに最適化した「多言語ナビゲーション」「かな入力が不要なフォーム」などを表示。「WorldShopping」専用カートで注文を受け付け、ジグザグが受注処理や発送までを運用していく仕組み。インボイスの作成、国際配送の手配、多言語カスタマーサポートもジグザグが行う。

    特別な開発、運営オペレーションの変更を行わずに越境EC販売に対応できるため、海外の消費者によるショッピングニーズに対応したい国内EC事業者からの引き合いが増加。大手から中小企業まで500社以上が利用している。

    決済という側面では「WorldShopping BIZ」は主要クレジットカード、「PayPal」「銀聯カード」「Alipay」など多様な決済手段に対応しているが、今回、これらの決済に「Amazon Pay」が加わった。

    「Worldshoppingチェックアウト」のイメージ動画

    「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」が協業した理由

    ジグザグ仲里一義社長(以下仲里):海外の人が日本の実店舗などを訪れるインバウンドのように、オンラインでも日本のECサイトでインバウンドが発生しています。当社では“ウェブインバウンド”と呼んでいますが、自社ECサイトへの海外からのアクセスは全体アクセスの2~8%と言われています。アクセス解析をすれば海外ユーザーが訪問してきていることがわかるはずです。平均的には日本国内のアクセスが95%前後を占めているため、EC事業者は海外からのアクセスをほとんど意識することなく見過ごしてしまっている。しかし、“ウェブインバウンド”ニーズを開拓しようと考えているEC事業者は、リアルのお店に来店する海外ユーザーへの対応と同様に、わずかな海外からのアクセスにも注目し、対応しているんです。

    海外ユーザーが日本の自社ECサイトにアクセスし、商品ページが翻訳されていなくても商品をショッピングカートに入れるところまではできます。しかし、仮名入力、住所選択などで次のステップに進むことができません。つまり、日本のショッピングカートは海外ユーザーのアクセスに対応していないんです。仮にカートシステムが海外対応できるとしても、EC事業者側でのカスタマーサポート、不正決済対応、国際物流対応といった別の課題も存在します。

    「WorldShopping BIZ」は越境ECに対応したいEC事業者さまのニーズに応えるもので、タグ一行をECサイトに埋め込めば、“ウェブインバウンド”に対応できるようになります。初期費用は3万円、月額5000円。海外発送、決済、カスタマーサポートはジグザグが対応するので、EC事業者さまは現状の業務オペレーションを一切変えることなく、ほぼノーリスクで越境ECに対応できるようになります

    ジグザグの仲里一義社長
    ジグザグの仲里一義社長

    アマゾンジャパン Amazon Pay 事業本部 本部長 井野川拓也氏(以下井野川):Amazonの理念は「地球上で最もお客さまを大切にする企業になること」です。決済分野でも、お客さまに簡単・便利にお買い物いただけるようにするため「Amazon Pay」を提供しています。Amazonは出品サービスを通じて中小規模の事業者さまの越境ECのサポートを強化しています。そうした中、日本のEC事業者さまから「海外のお客さまにも『Amazon Pay』で自社商品をご購入いただけるようにしてほしい」といったお声をいただいていました。ただ、越境ECに関しては、インボイスや国際配送、カスタマーサポートなど、決済サービスである「Amazon Pay」ではサポートできない領域があります。今回、それらの課題を解決し、米国・欧州のAmazonアカウントをお持ちのお客さまも簡単に、安心・安全に日本のECサイトで「Amazon Pay」を使ってお買い物いただけるよう、ジグザグさんと協業することになりました

    仲里:そうなんです、海外からの注文対応は決済対応だけでなく、国内販売とは異なるシステムやオペレーションといった課題が多いんです。1つの例が配送住所のデータの郵便番号や国など。例えば郵便番号がない国や、日本と桁数が異なるのは当たり前です。日本国内の住所フォーマットに海外の住所が入ると、システムエラーを引き起こす可能性があります。国内向けECサイトシステムは、海外からの注文を想定していないのでエラーが発生してしまうんですよね。

    ほかにも国際輸送には通関手続きに必要な書類に商品内容を英文で記載する必要もあり、商品情報を英語で管理する必要も出てきます。不正決済対応や国際輸送の梱包、カスタマーサポートなど、海外からの注文に対応できる体制を構築しなければなりません。「Amazon Pay」の活用で、海外アカウントからの決済に対応できたとしても、EC事業者さまのバックオフィスが海外からの受注に対応していなければ、ご注文にきちんと対処することができません。今回の「WorldShopping BIZ」と「Amazon Pay」の取り組みは、決済から言語対応、受注、配送までの課題を一気に解決するものなんです。

    アマゾンジャパン Amazon Pay 事業本部 本部長 井野川拓也氏
    アマゾンジャパンのAmazon Pay 事業本部 本部長 井野川拓也氏

    βテストで20以上の海外エリアの顧客から「Amazon Pay」で決済

    井野川:テスト段階から非常に高いニーズがあったとお聞きしています。

    仲里:約3か月間、すでに「WorldShopping BIZ」を導入している25社限定でクローズドのβテストを行いました。3月から実施したところ、21の国と地域のお客さまからご注文が入りました。アメリカ、カナダ、メキシコ、台湾、シンガポール、香港、韓国、タイ、マレーシア、マカオ、ベトナム、イギリス、スイス、オランダ、フランス、ドイツ、リトアニア、イタリア、アイルランド、……。米国・欧州のAmazonアカウントをお持ちのユーザーですが北米や欧州の他、南米、アジア、オセアニアなどさまざまなエリアにお住まいのお客さまが、「Amazon Pay」を使って決済しました。商材によって異なりますが、平均比率で示すとアジア圏が57%、北米が25%、ヨーロッパは15%でした。

    井野川:EC事業者さまにとっては、ほぼ手を煩わすことなく、21の国と地域にお住いのAmazonのお客さまが新しいお客さまになったのですね。それぞれの企業さまの反応はどうでしたか?

    仲里:テスト前からポジティブな意見があがっていました。テスト展開で25社の皆さまにご意見を伺ったときには、「衝撃的ですね」「これは本当にすごいですね」といったお声がありました。

    井野川:皆さん待ち望まれていたサービスだったのですね。テスト導入されたECサイトではどのような反響がありましたか?

    仲里:「WorldShopping BIZ」を以前から活用しているハースト婦人画報社さまのECサイト「ELLE SHOP(エル・ショップ)」では、「Amazon Pay」導入後にあたる3月度の月次売上は2月度比384%でした。さらに、合わせ買いが同1.2倍で、購入単価も飛躍的にあがりました。国別レポートでは、アメリカからの受注が4倍で、その他の国が2倍に。セール品はもちろん、定価商品のご購入もありました。また、「Amazon Pay」でリピート購入しているケースも増えています

    「ELLE SHOP(エル・ショップ)」での表示イメージ
    「ELLE SHOP(エル・ショップ)」での表示イメージ

    井野川:「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」を一緒にご提供することで、事業者さまは、便利に、簡単に、そして安心・安全にお買い物ができる環境をお客さまにご提供できるようになります。海外のお客さまからすれば、日本という異国のECサイトでも、Amazonのロゴが入ったボタンがあることで、ご安心いただけるのかもしれません。Amazonと同じように、簡単にお買い物できる。ですので、リピート頂けるお客さまも多いのでしょう。

    日本の質の高い商品を購入したいと思っているお客さまが世界各国にいます。今まで、そうしたお客さまのニーズに日本の自社ECサイトとして対応するために多くのハードルがあったと思います。「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」双方のサービスを使うことで、事業者さまは世界中のお客さまに安心して商品をお届けすることができます。それが最大の価値です。

    仲里:確かに、自社ECサイトで世界中の“欲しい”に応えることが難しい環境でした。日本の自社ECサイトが売り手としてこだわりのあるメッセージを届けながら、世界中の消費者の方にどんどん商品をお届けできるようになるという、ショッピング環境作りにさらに貢献していきたいですね。

    「WorldShopping BIZ」「Amazon Pay」を導入したい事業者はどうすればいい?

    仲里:お買い物されるお客さまが「WorldShopping BIZ」上で「Amazon Pay」を利用するという仕組みになります。新規に「WorldShopping BIZ」を利用される事業者さまは「WorldShopping BIZ」のHPからお申し込みください

    その後、「Amazon Pay」への審査申込を行い、「Amazon Pay」の審査を経た後、「WorldShopping BIZ」上でAmazon Payをご利用いただけるようになります。すでに国内の「Amazon Pay」を実装されているEC事業者さまは、Amazon Payの出品者IDで照合するといった仕組みとなるので、簡単な手続きで申し込むことができます

    井野川:「Amazon Pay」をすでに導入しているEC事業者さまは、「WorldShopping BIZ」のお申し込み後、ECサイトにタグを1行設定するだけなので、すばやく越境ECに対応することができますね。

    「WorldShopping BIZ」のHPから申し込みできる

    世界のお客さまにコンタクトできる機会を

    井野川:今回の「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」の協業は、手軽に越境ECに対応できるとても魅力的な方法だと思います。「こだわりのある商品は自社ECサイトでしっかりと伝えて売っていきたい」という日本のEC事業者さまには最適な販売手法になると感じます。手間をかけずに世界各地からのご注文に対応できるのですから。それにコスト面においても魅力的なのではないでしょうか。

    仲里:今、海外で日本ブランドの商品が転売されていて困っているということをよく耳にします。こうした事態を防ぐためにも、ブランド各社さまがご自身で海外からの注文に対応できるようになることは今後、より求められていくことでしょう。これまでリソースやコスト、仕組みの問題で「できなかった」というブランド、EC事業者の皆さまには、「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」の活用で、顧客に自社ECサイトにアクセスして購入いただける環境を用意するということを実現してほしいですね。

    井野川:販売元のECサイトに直接アクセスして商品を購入できれは、それも安心・安全、簡単なお買い物体験ですからね。そうすれば、日本のECサイトを訪れるために検索し、購入されるお客さまが増えていきますよね。こうした好循環を生み出すためにも、1社1社の事業者さまの取り組みが重要であり、「Amazon Pay」としても決済サービスという観点から引き続きサポートしていきたいと思います。

    EC事業者さまが販売チャネルを広げることによって、お客さまの購入時の選択肢が広がります。事業者さまにとって、国内だけでなく、海外にもチャネルを広げて、世界のお客さまにコンタクトする機会を作っていくことの重要性がこれから増していくのではないでしょうか。今回の「Amazon Pay」「WorldShopping BIZ」の協業は、販売事業者さまの新規顧客の獲得、そして商品をご購入されるお客さまのご満足へとつながるはずです。

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    瀧川 正実
    瀧川 正実
    確認済み
    1 時間 11 分 ago
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