ネットショップ担当者フォーラム

「調査データで見るEC 2020年版」PDF無料ダウンロード

5 years 2ヶ月 ago

経済産業省の「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」をはじめ、各省庁や日本通信販売協会、調査会社各社が発表したデータを、同じフォーマットで見やすくまとめました。ECを取り巻く環境を知るための資料として、企画書やプレゼンにご利用ください(第三者への配布や商用利用はご遠慮ください)。

CONTENTS
  1. BtoC-EC市場規模の推移(2010年〜2019年)
  2. BtoC-EC市場規模と各分野の構成比率(2018年〜2019年)
  3. 物販系BtoC-ECの分野別EC化率と市場規模(2017年〜2018年)
  4. 通販市場規模の推移(2008年度〜2019年度)
  5. 顧客満足スコア(2015年度〜2020年度)
  6. 支払いに利用したことのあるQRコード決済(2019年10月〜2020年7月)
  7. ECモールのMAUとデバイスの構成比(2020年4月)
  8. 利用している/利用していたECサイト
  9. 利用しているポイントサービス(2019年〜2020年)
  10. 越境EC(米国・中国)市場規模(2019年)
  11. BtoB-EC市場規模とEC化率の推移(2014年〜2019年)
  12. 宅配便取扱個数の推移と再配達率
「調査データで見るEC 2020年版」
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内山 美枝子

「接客しない」に挑む大手百貨店の挑戦。無人ポップアップで「試着は店頭、購入はECで」の新しい販売スタイルの成果とは?

5 years 2ヶ月 ago
そごう・西武は、コロナ禍での新たな取り組みとして販売員が常駐しない「無人ポップアップストア」を展開した。大手百貨店による挑戦と、1週間の実施で得た気づきを紹介する。

そごう・西武は2020年10月20日から1週間、コロナ禍で非接触ニーズが増えている状況を踏まえ、西武渋谷店で「無人ポップアップストア」を開設した。店頭ではECサイトのみで販売していたD2Cブランド商品を展示。販売員は常駐せず、店頭はあくまで「試着」の場とし、ECサイトで購入という導線を作った。その取り組み内容、気付きについて企画担当者に取材した。

来店客が自ら試着。販売員が常駐しないポップアップストア

「無人ポップアップストア」で扱ったのはECサイト限定販売のレディースファッションD2Cブランド「JAMAIS VU(ジャメヴ)」。

そごう・西武がECサイト限定で販売している「JAMAIS VU(ジャメヴ)」商品
ECサイト限定で販売している「JAMAIS VU(ジャメヴ)」

タブレットを通じた遠隔接客なども行わず、あくまで並んだ商品を来店客がセルフで試着できる場とした。購入希望商品があれば、各アイテムタグについたQRコードを客自身が手持ちのスマートフォンなどで読み込み、ECサイトで注文。後日、注文商品が自宅に届くという仕組みだ。

商品タグについたQRコード
商品タグについたQRコード(画像:そごう・西武提供)

コロナ禍で非接触ニーズが増えているが、一方でECサイトのみで展開するブランドのペインポイントとなりがちな「商品を試せない」ニーズ。これに応える取り組みとして、大手百貨店による新たな挑戦に注目が集まった。

完全無人にすることで「あえて課題を見つけにいった」

従来、百貨店は丁寧な接客でロイヤルカスタマーを獲得してきた。あえて販売員を常駐しない「無人」に振り切ったことは、意外とも言える展開だ。社内での反対はなかったのだろうか? ポップアップストアの企画者である中山茉莉花氏(そごう・西武 リーシング本部 商品計画部 企画担当)は、百貨店が抱える「危機感」を踏まえながら次のように話す。

百貨店が以前に比べて勢いを失っている状況下、私の役割は“これまでの百貨店”にとらわれず、自由な発想で新しいことを企画すること。そして、若い世代も含めて“百貨店って面白い”と思ってもらうことにあります。直接、お客さまとつながる“新しい買い物体験”を提供するD2Cのビジネスモデルは以前から注目しており、何かタイアップしたいという思いがありました。(中山氏)

こうした状況下でコロナの感染が拡大。対面接客に不安を感じている顧客も存在していることは、店頭販売員のフィードバックを通じて理解していた。「お客さまの不安を解消しながら買い物を楽しんでもらえないか」。そんな発想から今回の企画が誕生したという。

これまでにない企画であることから、手探り状態でスタートした。だが、百貨店として獲得していきたい若い世代のなかには、「接客を苦手としている人も一定層いる」(中山氏)。そのため、良い気付きを得られるのではないか、と実現へつながった。

また、「販売員を確保しにくい」という課題もあったことから、販売員を常駐しないポップアップストアの可能性も検証したかったという。販売員が常駐しなくてもストアが成り立つのであれば、今後もD2Cブランドが百貨店で期間限定店舗を開設するハードルが一気に下がるためだ。

従来の百貨店接客の手厚さを「100」とすれば、無人店舗は販売員のサポートを受けられないので「0」になります。でも、「0」まで振り切ることで、お客さまが本当は何に困っているのか課題が見えるかもしれません。今後の接客スタイルを考える上での“手がかり”を得られるだろうという期待もありました。(中山氏)

無人ポップアップストア企画を担当した中山茉莉花氏(そごう・西武 リーシング本部 商品計画部 企画担当)
無人ポップアップストア企画を担当した中山茉莉花氏(そごう・西武 リーシング本部 商品計画部 企画担当)

60代顧客からも好評の無人店舗

ポップアップストアは1週間展開した。反響はどうだったのだろうか。

多くのメディアで取り上げられたこともあり、会期中のブランドへのECサイト流入数、売り上げともに、実施前週と比べ大きく伸びたと聞いています。「ジャメヴ」の担当者が会期終了後に直接お客さまに電話で感想を伺う機会があったのですが、60代のお客さまからも「こういう取り組みもいいわね」とポジティブな反応をいただけたようです。(中山氏)

会期中には、人気エディター 小林文氏によるインスタライブ配信も行った。百貨店として「直接顧客とつながる販売スタイル」にも新たな可能性を見出せたという。

人気エディター 小林文氏
インスタライブを行ったエディター 小林文氏

一方、課題も浮き彫りになった。実際に何人の顧客が来店したのかといった定量データ、来店客がどこに課題を感じたかなどの定性データは取得できなかった。

見えた課題を解消しながら、同様の企画は今後も展開していく予定。その際、来店客数をカウントできる専用ソリューションを導入するといったことも検討するという。

またジャンルに関しても、「雑貨、インテリア、コスメなど複合的にチャレンジしてみたい」と、中山氏は今後の展開にも意欲的だ。

公文 紫都
公文 紫都

バロックジャパンがECサイトにInstagram投稿の動画と画像を活用した新サービス

5 years 2ヶ月 ago

バロックジャパンリミテッドは12月17日、公式通販サイト「SHEL'TTER WEBSTORE」でInstagram(インスタグラム)のコンテンツを活用した新サービスを始めた。

スタートしたのは、インスタライブを活用した動画コマースコンテンツ「VIDEO」、公式Instagramの投稿から購買動線を強化する「PHOTO」コンテンツ。

Instagram上に投稿されているフィード写真、フィード動画(1分以内の尺)、IGTV(長尺の動画)を取り込み、ECサイト内に新しいギャラリーコンテンツとして展開する。

バロックジャパンリミテッドは、公式通販サイト「SHEL'TTER WEBSTORE」でInstagram(インスタグラム)のコンテンツを活用した新サービスを始めた
ギャラリーコンテンツのイメージ

ビジュアルマーケティングプラットフォームを開発するvisumoの「visumo social curator」を導入。コンテンツ化した写真や動画と販売商品をひも付け、Instagramの動画や接客動画を見ながら、商品を購入することが可能になる。

公式Instagram(@sheltterwebstore)の投稿もギャラリー表示させる。「Instagram」ユーザー向けに発信しているコンテンツを活用し、商品とひも付けることで商品購入にもつなげる。

バロックジャパンリミテッドは、公式通販サイト「SHEL'TTER WEBSTORE」でInstagram(インスタグラム)のコンテンツを活用した新サービスを始めた
商品購入への画面移動イメージ

バロックジャパンリミテッドの2019年2月期決算における、EC売上高は84億5600万円。単体売上高に占める割合(EC化率)は13.4%。決算月を1月から2月に変更し、13カ月間の変則決算だったため前期実績と比較できない。

石居 岳
石居 岳

単品通販・ECのLPが約3分&無料で作れる、売れるネット広告社の「クリエイティブ自動制作」機能とは?

5 years 2ヶ月 ago

売れるネット広告社は単品通販・EC向けのクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」に、ランディングページ(LP)を無料で自動制作する機能を追加した。

売れるネット広告社がこれまでクリエイティブ制作で培った“売れる”ためのトーン&マナーなどのノウハウを新機能に反映。「画像など必要な素材をアップし、テキストを入力するだけで、約3分でLPを完成することができる」(加藤公一レオ社長)と言う。

クリエイティブの自動化に関する動画

「売れるネット広告つくーる」に、商品名・商品価格などの必要項目を入力、商品画像をアップロードすると、独自開発したAI(人工知能)がカテゴリーなどの要素から最適化したテンプレートへと素材を自動反映する。

加藤公一レオ社長
加藤公一レオ社長

売れるネット広告社では、大手通販企業などのクリエイティブで1000回以上のA/Bテストを実施。フォント、色、大きさといったデザイン要素など、その結果から得た最適なクリエイティブのノウハウをLP構成や制作、フォローメール文面などの成果物に反映してきた。新機能にはそのノウハウを搭載している。

自動化するのは広告専用LP、申込確認画面、定期(サブスク)申込完了画面、引上施策のための引上専用LP、引上専用申込完了画面、フォローメールなど、LTVアップフォローメールなど。

売れるネット広告社は単品通販・EC向けのクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」に、ランディングページ(LP)を無料で自動制作する機能を追加
自動化できるクリエイティブ制作業務

フォローメールなどの自動制作も、素材情報などから独自開発したAIが最適なクリエイティブを制作する。

対応しているカテゴリは、美容液、クレンジング、美容サプリ(コラーゲンなど)、プロテイン、ダイエット(置き換え系)、ワイン、ペットフード、育毛剤、男性向けスキンケア、オールインワンの10種類。

売れるネット広告社は単品通販・EC向けのクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」に、ランディングページ(LP)を無料で自動制作する機能を追加
新機能を使いネッ担編集部用に制作した仮のランディングページ。制作に要した時間は約3分(クリックするとクリエイティブの下の要素も確認できます)

「売れるネット広告つくーる」利用しているアカウント数は約1000アカウントで、そのうち約3割からクリエイティブ制作を受託していた。制作費は470万円、納品期間は3か月。

制作費などの観点から、約7割のクライアントが売れるネット広告社にクリエイティブ制作を発注することができない状態だった。「すべての企業を100%成功に導く」という企業理念の実現に向け、クリエイティブの自動制作機能の開発に踏み切った。

売れるネット広告社によると、クリエイティブ制作に関する売上規模は約1億8000万円。一部、大手企業からの個別制作ニーズは継続されると予測するが、多くの企業が自動制作ツールへ移行するとみられる。

クリエイティブ制作に関するスタッフは今後、一部クライアントの制作案件のほか、クリエイティブの自動制作機能で搭載するテンプレートの開発に注力する。

売れるネット広告社は単品通販・EC向けのクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」に、ランディングページ(LP)を無料で自動制作する機能を追加
自動化と従前の体制でのクリエイティブ比較
瀧川 正実
瀧川 正実

メイン利用のECモールは楽天市場/2021年にEC業界のキーワードになるのは?【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 2ヶ月 ago
2020年12月11日~17日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. メインで使うECモールは「楽天市場」で41%。コロナ禍で総合ECサイトの利用を始めたは4.8%、頻度が増えたユーザーは21%

    MMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」では、総合ECサイトの利用、利用頻度、利用する理由、関連サービスの利用状況などについて調査している

    2020/12/15
  2. 2021年のEC業界を大予測! 「モバイル」「遠隔」「非接触」「サステナブル」「SNS」「D2C」がキーワード(のはず)【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年12月7日〜13日のニュース

    2020/12/15
  3. 会員300万人を超えた三井ショッピングパークのECモール「&mall」のオムニチャネル戦略とICT活用施策とは

    会員300万人を超えた三井ショッピングのECモール「&mall」。ライブコマースのスタート、店頭受け取りの強化、RFIDを活用した在庫管理など、「リアル施設共生型ECサイト」づくりを進めている

    2020/12/14
  4. Amazonや楽天などブラックフライデーで快適に使えたECサイトは?+ユニクロ「+J」発売日のサイトダウン【スピード調査】

    ブラックフライデー期間における「Amazon」「楽天市場」「トイザらス」「Google Strore」などのECサイトの表示速度を計測。米国ECサイトとのスピードの差も比較しました

    2020/12/15
  5. ユーグレナがキューサイを連結子会社化へ。「ミドリムシ」と「青汁」のコラボがめざすことは?

    ユーグレナ、アドバンテッジパートナーズ、東京センチュリーの3社共同出資の特別目的会社が、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH)からキューサイの全株式を取得。1年以内にユーグレナは特別目的会社への出資比率を49%まで引き上げる

    2020/12/16
  6. 近鉄百貨店が進めるECを活用したニューノーマル対策、食料品の当日宅配&冷凍食品の取り扱い

    近鉄百貨店は、食品や冷凍食費などを受注当日に顧客宅へ配送するサービスを開始する。CBcloud(シービークラウド)が提供する「PickGo(ピックゴー) 買い物」サービスを導入して当日配送を実現する

    2020/12/11
  7. サブスクリプションで成長したサービス9選。「新規性」「成長性」などが高いビジネスモデルは?【サブスク大賞2020】

    日本サブスクリプションビジネス大賞発表。サブスクのプロや2019年度受賞店舗が選ぶサービスとは?

    2020/12/17
  8. 多くの店がなくなる時代、それでも生き残る店の条件とは?

    『2025年、人は「買い物」をしなくなる 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃』(望月智之 著/クロスメディア・パブリッシング 刊)ダイジェスト(第4回)

    2020/12/14
  9. 資生堂、I-neなど登壇のブランド・メーカー向けEC+DXイベント【オンラインで12/17開催】

    いつも.は、ブランド・メーカー向けのEC・DX(デジタルトランスフォーメーション)に関するオンラインイベント「EC×DXフォーラム toword 2021」を12月17日(木)に開催

    2020/12/11
  10. オフラインマーケの経験を生かして「行動から顧客ニーズをあぶり出す」。120年の歴史を武器にECに挑戦する奥田製薬

    売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏と、創業明治30年の老舗製薬会社・奥田製薬株式会社の石川砂織氏との対談

    2020/12/14

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    消費動向から見えるEC事業者が品ぞろえを広げることの重要性とは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 2ヶ月 ago
    コロナ禍で小売事業者は、成長促進のため品ぞろえの拡大を加速させたという意向があります。消費者アンケートから品ぞろえを広げる重要性を探っていきます

    『Digital Commerce360』のシニア消費者インサイトアナリストであるローレン・フリードマン氏は、小売事業者が成長を促進するために品ぞろえを拡大させていると言います。なぜ今、事業者はこうした取り組みを進めているのでしょうか? 品ぞろえを広げる重要性を消費者アンケートから見ていきます。

    「Costco」が棺桶を販売!? 加速した小売事業者の「品ぞろえ拡充」

    「Costcoが棺桶を販売する」という記事を読んだのが昨日のことのように思えます。業界の専門家たちは、「棺桶がCostcoの顧客層に適しているのかどうかわからない」と言って、笑って見過ごしていました。実際に売れたかどうかわかりませんが、Costcoの努力と、新しい品ぞろえへの反響は覚えています。

    CostcoのECサイトで販売している棺桶の紹介ページ
    CostcoのECサイトで販売している棺桶の紹介ページ(画像:Costcoのサイトよりキャプチャ)

    昔は、品ぞろえはシンプルでした。量販店やデパートのように一部の店舗では品数が多く、ほとんどの専門店では品数が少なかったからです。オンライン小売事業者はビジネス拡大のため、または販売機会を増やすために、少しずつ商品を追加していきました。

    最初は、生鮮品やマットレス、次にアクセサリー。そして最終的には、より主流なカテゴリーを追加しました。私は品ぞろえの変遷を整理すべく、ドロップシッピングとベンダーネットワークの先駆者である「CommerceHub」の創設者兼CEOであるフランク・プーア氏に連絡を取ってみました。

    コロナ禍で混乱したサプライチェーン

    コロナ禍で、サプライチェーンが混乱しました。Amazonでさえ商品を届けるのに10日から2週間かかる時もあったほどです。成長機会に貪欲だったのは、販売する商品が少ないにもかかわらず、一刻も早くホームオフィス用品に進出したいと考えたホームセンターでした。プーア氏によると、ホームセンターのビジネスモデルの優れた点は、それをすぐに実行に移すことが可能だったことです。

    元マーチャンダイザーである私は、マーチャンダイジングにおける匠の技が、思ったより早く、科学に取って代わられたことを理解するのに苦しむことがあります。Amazonはマーケットプレイスで3億から4億SKUを販売していますが、すべてアルゴリズムで管理しています。

    誰が品ぞろえを拡大しているのかを考えるため、プーア氏は事業者を次のように分類しました。Amazonの次に来るのは、数千万個の商品を販売している一握りの小売業者。その次が数百万個の商品を販売しているグループです。

    プーア氏は、小売事業者の仕事を2つの側面から見ています。

    まずは消費者を惹きつけ、次に彼らを満足させることです。(プーア氏)

    プーア氏は、消費者の獲得には品ぞろえが重要であることを知っています。要約すると、「宝くじを買えば買うほど当選確率が上がるように、SKUが多ければ多いほど成功の確率が上がるのです」。

    小売ビジネスの性質上、住宅リフォーム・建築資材の小売りチェーン「The Home Depot」や「Lowe's」のような企業では、ほぼ無制限にSKU数を追加する機会があると彼は考えています。一方、スポーツ用品を扱う「Dick's Sporting Goods」のような企業に関しては、消費者はより限定的なSKU数を期待している可能性が高いです。

    「Dick's Sporting Goods」のサイトトップページ
    「Dick's Sporting Goods」のサイトトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

    品ぞろえの拡充を支えるテクノロジーの進化

    小売事業者は、どのようにして効果的に品ぞろえを拡大しているのでしょうか? 実店舗は商品の設置面積が限られていますが、バーチャルな世界には無限の可能性があり、小売事業者はその機会を捉えようとしています。

    多くの小売事業者は困難な時代に直面していますが、品ぞろえの拡大には資本を必要としません。テクノロジーが品ぞろえの拡大を可能にする主要な手段になっています。とは言え、商品の導入やデジタル資産の制作にはコストがかかり、データ操作のルールも事業者ごとに異なるという事実にもプーア氏は言及しています。

    サプライヤーのシステムに合わせたインテグレーション、小売事業者のサービスレベル契約(SLA)への対応も必要です。このようなコストはあるものの、「CommerceHub」は1日か2日でサプライヤーのシステムを立ち上げることができます。

    今回の議論で最も興味深かったのは、テクノロジーによって小売事業者が行うモニタリングが楽になったことです。出荷や配送に関する情報も即時に反映され、小売事業者は基本的にイレギュラーな事象に対応すれば良いことになります。

    「初期の段階では、ブランドにドロップシッピングを行うよう説得することが難しく、倉庫管理システムを提供していた」とプーア氏は言います。しかし、ドロップシッピングは確実に成長しており、一部の小売事業者ではビジネスの半分以上がドロップシッピングを経由しているそうです。

    小売り事業者は“マージン・ハンター”

    商売人として気になるマージンについて尋ねてみたところ、プーア氏はすぐに「小売事業者はマージン・ハンターです」と答えました。彼は、小売事業者のアプローチを人間の体に例えました。

    まず頭の部分は、「事業者が購入してストックする在庫回転率の高い大量のSKU」です。体の部分は、「小売事業者が欲しいと思うものの人気がないかもしれない商品群」です。売れ筋にはならなかった、またはオーバーサイズだった靴を想像してみてください。

    小売事業者は、人気がない商品をドロップシップすることができ、手数料は1ドルから1.50ドル。リスクがない上に、小売事業者は追加収益とマージンを受け取ることができます。(プーア氏)

    小売り事業者は“マージン・ハンター”

    最後に彼は、「Amazonモデル」としてよく知られるようになった「CRAP」(Can't Realize a Profit/利益が出ない)に言及しました。Amazonは販売を許可した事業者から10%の手数料を取っています。

    「限られた在庫」と「品ぞろえの拡大」小売り事業者が展開する“2つの世界”

    私たちは2つのパラレルワールドに生きています。1つ目は、消費者に直接販売するD2Cブランドが、より限られた在庫の中でブランドをコントロールし、最高クラスの体験を提供することを目標にする世界。一流ブランドにとって、このようなコントロールは常に重要な意味を持っていました。

    2つ目の世界では、小売事業者がAmazonに倣って、見込み客や顧客の注目を集めるための品ぞろえを拡充しているように見えます。プーア氏も言うように、Amazonは収益の半分以上をサードパーティのマーケットプレイス販売者から得ているため、先導役として品ぞろえを充実させてきました。

    他の小売事業者は、カテゴリーを支配していくAmazonを見て、自分たちが競争できないことに気づいたのです(たとえば、Amazonは、「Toys“R”Us」よりも多くのおもちゃをそろえていました)。小売事業者には転機が必要でしたが、倉庫への投資や商品の仕入れは当時の財務状況では不可能でした。

    Amazonのおもちゃ販売ページ
    Amazonのおもちゃ販売ページ(画像:サイトよりキャプチャ)

    このような時代に、「CommerceHub」はテクノロジーベンダーから戦略的パートナーへと成長しました。大規模な顧客の中には、同社のプラットフォーム(仮想在庫/ドロップシッピング)を利用して、粗利益率(GMV)50~70%を実現している企業もあります。

    品ぞろえ拡大の選択肢

    品ぞろえには目利きが必要で、消費者が探している商品を確実に用意することが大切です。既存の顧客基盤を活用して、ユーザーエクスペリエンスを高めることもできます。最も重要なのは、買い物のための目的地となり、ブランドを賢く拡大していくことです。

    カテゴリーの拡張は、明らかにビジネス上の付加価値になります。ワーク・フロム・ホームで購買行動が変わり、消費者のニーズが大きく変化しています。賢明な小売事業者は、このような機会を活用するために品ぞろえに手を加えるでしょう。消費者がそれに気づくかどうかは興味深いところです。

    デパートチェーン「Kohl's」は、現在のアスレジャー人気と在宅ワーク人口の増加を利用しようとしています。『Digital Commerce360』と、調査会社の「Bizrate Insights」が2020年に行った、1,000人のネット通販利用者を対象にしたアパレルに関する調査では、14%が「コロナ禍の間にアスレジャーやパジャマなどの快適な衣服を購入したことがある」と回答しており、この傾向を裏付ける結果となっています。

    Kohl'sのアスレジャー商品紹介ページ
    Kohl'sのアスレジャー商品紹介ページ(画像:サイトよりキャプチャ)

    品ぞろえを大胆に拡大しようとしている小売事業者もいます。住宅リフォーム・建築資材の小売りチェーン「Lowe's」は、そのビジネスモデルを活用して、品ぞろえを拡大しています。「Lowe's」は「家」というカテゴリーに新たな解釈を加えることで、顧客層を拡大したいと考えています。

    情報が品ぞろえの拡大を後押しする

    トラフィックを活用しオンラインでの品ぞろえを拡大しようとしている、家具や家電の「Wayfair」といった小売事業者を見ると、「目的地」という言葉が頭に浮かびます。私は、在庫を所有するよりも、消費者に体験を提供することが重要だと考えています。体験には、プライベートブランドの提供、ドロップシップの活用、そしてスマートに品ぞろえを拡大するためのテクノロジー活用が含まれます。すべてが重要な役割を果たしているのです。

    「Wayfair」は消費者を満足させるため、ナビゲーションと商品のキュレーションには、テクノロジーを活用して1400万SKUを展示しています。「Wayfair」の担当者は次のように言います。

    消費者が自分の心に響くものを見つけることができるかどうか、にかかっています。私たちが幅広いカテゴリーを持つことができるのは、商品や購入プロセスで消費者が必要とする情報に関するデータを収集しているナビゲーション・エクスペリエンスのおかげです。商品を追加する前にニーズを把握しているので、消費者は簡単に商品を探すことができるのです。(Wayfairの担当者)

    家電量販店の「abt electronics」の共同社長であるジョン・アブト氏は、品ぞろえに対する小売事業者のアプローチについて次のように説明します。

    「abt electronics」は店頭に商品を並べる前、常にオンラインを利用して商品をテストしてきました。アブト氏は、成功と失敗の両方があったと正直に語っています。失敗は通常、販売チームとマーチャンダイジングチームとのコミュニケーション不足に起因していました。84年の歴史の中で、特定の製品が売れない理由を知るために、消費者の声に耳を傾けたことが品ぞろえ拡大のきっかけになったことがよくあったと言います。

    「abt electronics」のサイトトップページ
    「abt electronics」のサイトトップページ(画像:サイトよりキャプチャ)

    ビジネスモデルについて聞くと、80%が通常のドロップシップとの回答でした。また、実店舗を利用する消費者は、商品在庫があることを期待しているため、店舗での在庫確保にも注力しています。

    在庫が少なければリスクも減るので、数日以内に商品が手に入ればOKとしています。(アブト氏)

    私たちは常に新しいことに挑戦したいと思っています。成功も失敗も、そこから学び、調整することができます。商品が家庭用のものであれば何でも取り扱いますが、旅行鞄の販売が特に大きな成果を上げています」とアブト氏は話した後、商品によってそれぞれ異なる方法で市場に展開することが多いと付け加えました。

    小売りの視点で新たな展開へ。マーケットプレイスの活用法

    『Digital Commerce360』が小売事業者118社を対象に行った2020年マーケットプレイス調査によると、現在オンライン販売の35%を占めているのは「マーケットプレイス」で、71%の事業者が「今後1年間に増加する」と予測しました。

    調査対象となった小売事業者の66%が「コロナ禍の間、Amazonマーケットプレイスでの成長」を望んでいました。マーケットプレイスで販売する理由としては、「売上の増加」が74%。また、42%の小売事業者は、「消費者に商品発見の機会を提供することができる」ことを理由に挙げました。品ぞろえの増加は避けられず、小売事業者は、ベンダーネットワーク、ドロップシッッピング、テクノロジーを活用して、より良い商品発見の機会を提供することに注力しています。

    2020年、118の小売事業者を対象に『Digital Commerce360』が行った調査「マーケットプレイスでの販売を選択した/選択したい理由は次のうちどれですか?」(複数回答可)に対する回答
    小売事業者118社を対象に『Digital Commerce360』が行った調査「マーケットプレイスでの販売を選択した/選択したい理由は次のうちどれですか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

    調査回答者の37%が、「2020年には販売するマーケットプレイスの数を拡大する」と回答していることにも、マーケットプレイスの可能性が表れています。「Wayfair」のプレスリリースでも述べられているように、データが拡大の原動力となっています。調査対象となった小売業者の36%が、「データを分析している」と回答。おそらく、最終的に成長を後押しするのはデータの力なのでしょう。

    プーア氏と長い議論をした後、私はテクノロジーがカスタマーエクスペリエンスをキュレーションしていることを認めざるを得ませんでした。彼の言う通り、「インターネットがあなたのためにキュレーションしてくれる」という言葉がぴったりです。データを通じて消費者について多くのことを知っているため、無限のアプローチがあるのです。

    小売事業者が、百貨店大手の「Macy's」の顧客を例に出すのを耳にすることがあるかもしれませんが、特定の顧客層のために一般的な商品のキュレーションを行う時代は、過去の話なのかもしれません。また、小売事業者が一般的な観点で顧客のことを表す際、顧客を「彼女」と呼ぶことがよくあります。しかし、私たちが学んだことは、「彼女」は一定の顧客層ではなく、実際には異なる行動パターンを持つ多くのタイプの消費者の集合体だということです。

    購入客には2つのタイプが存在する

    ショッパーには2種類のタイプがいるようです。大規模に探し回るタイプと、よりキュレーションされた方法を好み、限られた選択肢に集中するタイプです。

    『Digital Commerce360』が行った2020年のホリデー前のショッパーに関する調査も面白いでしょう。『Digital Commerce360』とBizrate Insightsのホリデー前調査では1,000人の回答者のうち、20%が「限定商品を含む商品の選択を重要視している」と回答しています。

    順位は、「送料無料」「競争力のある価格」「在庫のある商品」や、「すぐに発送できる商品」「配送スピード」など他の11の理由から後れを取って12位です。ネット通販のヘビーユーザーにとっては、表からは見えにくい幅広い品ぞろえは当たり前のことなのかもしれません。

    『Digital Commerce360』/Bizrate Insightsが行ったホリデーシーズン前調査「2020年、マーケットプレイス事業にどのような調整を行いますか?」(複数回答可)に対する回答
    『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが行ったホリデーシーズン前調査「2020年、マーケットプレイス事業にでどのような調整を行いますか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

    マーケットプレイスでの購買が果たす重要な役割

    さらに一歩踏み込むと、2020年にはマーケットプレイスの成長が著しかったことから、マーケットプレイスへの取り組みが重要であることはわかっていました。2020年5月、『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが1,000人のネット通販利用者を対象に調査したところ、93%が「マーケットプレイスで購入する」と回答しました。

    40%が「マーケットプレイスでは特定の商品が見つかる」と答え、25%が「ユニークな商品の品ぞろえ」を利用する理由として挙げています。幅広い品ぞろえを求める消費者は、マーケットプレイスを快適に利用しているということでしょう。消費者の関心の高まりは、マーケットプレイスの無限の成長の可能性を意味しています。

    2020年、ネット通販利用者925人を対象に『Digital Commerce360』/Bizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「ホリデーシーズンの買い物をする際に、ネット通販を選ぶ上で最も重要な要素は何ですか?」(複数回答可)に対する回答
    ネット通販利用者925人を対象に『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「ホリデーシーズンの買い物をする際に、ネット通販を選ぶ上で最も重要な要素は何ですか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

    「ECユーザーの61%が1年以内に利用」。Amazonの影響力

    『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが6月に実施した1,000人のネット通販利用者を対象としたAmazonの調査を振り返ってみると、消費者の注目を集めるAmazonの能力が強化され、引き続き前例のないほど影響を持っていることがわかります。

    • ネット通販利用者利用者の61%が、過去1年間にAmazonまたはそのマーケットプレイスの出品者から購入したことがある。
    • Amazon利用者はアクティブユーザーが多く、3人に1人は少なくとも毎週購入している。
    • アマゾン利用者の半数以上が支出に変化はないと予想しているが、32%は2021年に支出が増加すると予想している。
    • 43%は、コロナ禍後、Amazonが重要なリソースになると考えている。
    • 59%が、幅広い品ぞろえと低価格を含む、小売りの基本的なことが購買意欲を高めると回答。
    • 31%は、Amazonで購入する理由の上位5つの理由の一つに、Amazonの品ぞろえの広さをあげている。
    2020年、ネット通販利用者929人を対象に『Digital Commerce360』/Bizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「小売店から直接購入するのではなく、マーケットプレイスから購入しようと思う理由は何ですか?」(複数回答可)に対する回答
    ネット通販利用者929人を対象に『Digital Commerce360』とBizrate Insightsが行ったマーケットプレイスに関する調査「小売店から直接購入するのではなく、マーケットプレイスから購入しようと思う理由は何ですか?」(複数回答可)に対する回答(画像:「The Shopper Speaks: Assortment aggression」より編集部が作成)

    ◇   ◇   ◇

    小売事業者は限界に挑戦し、品ぞろえを拡大しようとしています。過去には、このような努力は途方もなく、リスクが高いと見られていましたが、テクノロジーが変えてしまいました。小売事業者は消費者がどのように反応するかをテストし、評価し、新しい消費者のために店舗をキュレーションすることができます。

    基本的なことに注意を払うことは変わらず大切で、適切なカスタマーエクスペリエンスを提供することが重要であることに変わりはありません。いつもと違う2020年のホリデーシーズンで品ぞろえの拡大を学べば、その結果が2021年に向けての指標になるでしょう。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    コロナ影響の中小企業への実質無利子・無担保融資、売上減の要件を緩和し「直近6か月平均」を追加

    5 years 2ヶ月 ago

    新型コロナウイルス感染症拡大によって売り上げが落ち込んでいる中小企業などを対象とした政府系・民間金融機関による実質無利子・無担保融資に関し、政府は12月下旬から融資要件となる売上高の要件を緩和する。中小企業庁が12月8日に発表した。

    現在の要件は、「直近1か月」の売上高の前年同月比で5%から20%の減少となっているが、これを「直近6か月平均」での前年同期比較も加える。GoToキャンペーンの一時停止、売上高の変動といった影響を受けている事業者の支援を手厚くする。

    12月下旬からの実施に向けて準備ができ次第、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などのWebサイトで案内するとしている。

    政府系金融機関による無利子・無担保融資は、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」など、商工組合中央金庫による「特別利子補給制度」などがある。

    各機関ごとに、既存の特別貸付や危機対応融資に係る債務を対象とした借換を可能とし、実質無利子化の対象となっている。

    民間金融機関による実質無利子・無担保融資は、信用保証制度を利用した都道府県などによる制度融資に対して補助を行うことで、民間金融機関において実質無利子・無担保・据置最大5年の融資を可能とするもの。

    信用保証料を半額またはゼロとし、民間金融機関の信用保証付き既往債務の実質無利子融資への借換えが可能。事業者の金利負担、返済負担軽減につなげることができる。

    民間金融機関による実質無利子・無担保融資は、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のいずれかの認定を受け、所定の売上減少の要件を満たすことが必要となる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    アダストリアが「.st」に導入した、商品質問への回答でポイントを付与する「商品Q&A」機能とは

    5 years 2ヶ月 ago

    アダストリアは12月16日、ECサイト「.st(ドットエスティ)」で、利用者からの質問に従業員や購入客が回答することでアイテム購入前の不安が解消できる新サービス「商品Q&A」を始めた。

    アイテム購入前に疑問や不安を持った利用者が「.st」アプリ内で質問を投稿すると、そのアイテムを着用している従業員や購入客が質問に回答できる仕組み。回答の貢献度は可視化し、「参考になった」が10集まると、質問に回答した顧客に「.st」ポイントを付与。利用者がアイテム購入を判断する際に発生する疑問や不安の解消につなげる。

    アダストリアは12月16日、ECサイト「.st(ドットエスティ)」で、利用者からの質問に従業員や購入客が回答することでアイテム購入前の不安が解消できる新サービス「商品Q&A」を始めた
    「商品Q&A」のイメージ

    購入検討中の利用者に対し他の消費者のリアルな声を届けることは、ユーザ目線で透明性・信頼性の高いマーケティングの実現、購買行動のバックアップとなるとしている。

    アダストリアはこれまで、従業員がスタイリングを投稿する「STAFF BORD(スタッフボード)」などを通じ、顧客との接点を増やしてきた。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、SNSやダイレクトメールを通じた商品の問い合わせが増加していた。

    「商品Q&A」の導入で利用者の要望に対応、買い物サポートのほか、顧客と従業員、顧客同士の新たなコミュニケーションの場を創出。人と人のつながりを感じるプラットフォームを提供していく。

    「商品Q&A」は、ZETAが提供する評価軸を用いた多面な評価によるレビューコンテンツエンジン「ZETA VOICE」を活用している。「ZETA VOICE」は、複数の評価軸を用いた多面的な評価によるレビューコンテンツを、容易にサイトに実装できるエンジン。

    点数による評価・フリーコメント・スタッフレスポンス、投稿レビューデータの分析、A/Bテストでの活用、レビューの検索結果への反映などの機能がある。

    石居 岳
    石居 岳

    サブスクリプションで成長したサービス9選。「新規性」「成長性」などが高いビジネスモデルは?【サブスク大賞2020】

    5 years 2ヶ月 ago
    日本サブスクリプションビジネス大賞発表。サブスクのプロや2019年度受賞店舗が選ぶサービスとは?

    一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会が行った「日本サブスクリプションビジネス大賞2020」(最も成長を遂げたサブスクリプションサービスを表彰するアワード)でグランプリを獲得したのは、保育園で使用する紙おむつが定額で使い放題になるサービス「手ぶら登園」。保育園に直接、紙おむつを届け、保護者・保育園双方の負担を軽減するというサブスクリプションサービスを展開している。

    「日本サブスクリプションビジネス大賞」は、「お得」「お悩み解決」「便利」の3要素を持つサービスを表彰する制度。日本国内のサブスクサービスを振興するとともに、新たなサービス創出のきっかけ作りを目的として設立した。100社のエントリー企業から振興会および有識者、2019年受賞企業審査員が審査を行い各受賞企業を決定した。

    ■各受賞サービス

    グランプリ

    保育園で紙おむつ使い放題「手ぶら登園」
    https://tebura-touen.com/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 グランプリ 手ぶら登園 BABYJOB 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「手ぶら登園」サイトから編集部がキャプチャ)

    保育園で使用する紙おむつが月額定額で使い放題になるサービス。2019年7月から本格的にサービスを開始し、大手紙おむつメーカーの「ユニ・チャーム」と子育て支援ベンチャーの「ベビージョブ」が共同で運営している。

    「手ぶら登園」を導入している保育園に通う園児を抱える保護者が、契約主体となる。「手ぶら登園」を利用すると保育園に紙おむつが直接届き、保育園側が在庫を管理する。「おむつを毎日持って行く」「おむつが足りない」など、保護者・保育園双方の負担を軽減するサブスクリプションサービスとなっている。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 グランプリ 手ぶら登園 BABYJOB 日本サブスクリプションビジネス振興会
    サービスを利用することで、保護者は紙おむつに名前を書く手間が省ける。保育士はおむつの管理が簡単になり、双方の負担が軽減されるという(画像は「手ぶら登園」サイトから編集部がキャプチャ)
    日本サブスクリプションビジネス大賞 グランプリ 手ぶら登園 BABYJOB 日本サブスクリプションビジネス振興会
    「ベビージョブ」が保育所の在庫管理と保護者の決済管理を行い、「ユニ・チャーム」が発送を行うシステム(画像は「手ぶら登園」サイトから編集部がキャプチャ)

    「お母さんたちの笑顔を作る環境を提供し続ける」ことを理念に会社を始めた。保育所と一緒にお母さんたちのタスクを軽減し、笑顔で子育てができる環境を作っていきたい。(BABYJOB)

    シルバー賞

    パーソナルスムージー・スープの定額制サービス「GREEN SPOON」
    https://green-spoon.jp/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 シルバー賞 GREENSPOON 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「GREEN SPOON」サイトから編集部がキャプチャ)

    月額7200円(税抜)から利用できる、パーソナルスムージーとスープの定額制配送サービス。体の悩みや生活習慣を診断するパーソナルテストの結果から、1人ひとりに最適なスムージーやスープを提供する。2020年3月からサービスを開始した。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 シルバー賞 GREENSPOON 日本サブスクリプションビジネス振興会
    パーソナルテストから1人ひとりに必要な栄養素を特定。60種類の野菜やフルーツ、スーパーフードから配合した25種類のレシピから最適な商品を提供する。レシピは管理栄養士が監修している(画像は「GREEN SPOON」サイトから編集部がキャプチャ)
    日本サブスクリプションビジネス大賞 シルバー賞 GREENSPOON 日本サブスクリプションビジネス振興会
    商品の一例。完全無添加の食材は冷凍保存して届ける。冷凍保存することで廃棄量を減らすことができ、フードロスにつなげているという(画像は「GREEN SPOON」サイトから編集部がキャプチャ)

    サービスを通じて、食のセルフケア習慣をお客さまに身につけていただきたい。食によって健康管理をすることで、自分を好きでい続ける生活につながればと思っている。(Greenspoon)

    ブロンズ賞

    家具・家電のサブスク「subsclife」
    https://subsclife.com/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 ブロンズ賞 subsclife 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「subsclife」サイトから編集部がキャプチャ)

    月額500円(税抜)から利用できる家具・家電のサブスクサービス。「ACME Furniture(アクメ ファニチャー)」や「BALMUDA(バルミューダ)」などのブランド家具や家電を3か月~24か月まで1か月ごとに利用できる。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 ブロンズ賞 subsclife 日本サブスクリプションビジネス振興会
    レンタルできる商品の一例。ライフスタイルに合わせて「必要なとき、必要な分だけ選ぶ」という家具・家電の利用方法を提案している(画像は「subsclife」サイトから編集部がキャプチャ)
    日本サブスクリプションビジネス大賞 ブロンズ賞 subsclife 日本サブスクリプションビジネス振興会
    サービスの利用の流れ。利用後の家具・家電は回収してもらえる。利用期間の延長ができ、気に入ったら購入も可能(画像は「subsclife」サイトから編集部がキャプチャ)

    インテリア業界に革命を起こすべく、サービスを開始して2年。アライアンス先の企業、メーカーや株主、社員、社員の家族、皆に御礼を言いたい。賞の名に恥じないよう、来年も革命達成に対して邁進していきたい。(subsclife)

    テモナ賞

    外泊すると家賃が安くなる「unito」
    https://unito.me/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 テモナ賞 unito 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「unito」サイトから編集部がキャプチャ)

    外泊すると家賃が安くなる形態の住宅サービス。居住者が家に帰宅しない日に、部屋を宿泊者に貸すことで家賃を安くできる日本初のサービス「リレント」を運用している。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 テモナ賞 unito 日本サブスクリプションビジネス振興会
    家を貸し出した後はクリーニングが行われる。貸し出し中に備品の破損があった時のための補償制度もある(画像は「unito」サイトから編集部がキャプチャ)
    日本サブスクリプションビジネス大賞 テモナ賞 unito 日本サブスクリプションビジネス振興会
    1か月の基本料金から、外泊した日数分が安くなる仕組み。敷金・礼金や光熱費、退去費用は0円で、最短1か月から契約可能(画像は「unito」サイトから編集部がキャプチャ)

    「unito」は300年間続く賃貸市場をイノベーションすべく、「帰らない日は家賃がかからない」という、個人に最適化された家賃を導入している暮らしブランド。
    この賞に恥じないようにより一層プロダクトを磨いていく。(Unito)

    優秀賞

    定額で全国住み放題「ADDress」
    https://address.love/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 ADDress 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「ADDress」サイトから編集部がキャプチャ)

    月額4万円(税別)で、アドレスが運営する全国の住居に住めるサービス。電気代・ガス代・水道代込み、敷金・礼金や補償費用はかからない。調理器具や寝具など生活に必要な設備を完備している。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 ADDress 日本サブスクリプションビジネス振興会
    物件例。家の管理はアドレスと業務委託を行っている「家守(やもり)」と呼ばれる人々が行っている。「家守」はADDress会員とコミュニケーションを取り、地域や会員同士の交流をつなぐ役割も担っているという(画像は「ADDress」サイトから編集部がキャプチャ)

    ビジネスをサブスク化する「SubscLamp」
    https://subsclamp.com/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 SubscLamp 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「SubscLamp」サイトから編集部がキャプチャ)

    趣味や特技を活かしたフリーランス・個人から、定額サービスを始めたい企業・店舗などが利用できるサブスクリプションサービス作成プラットフォーム。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 SubscLamp 日本サブスクリプションビジネス振興会
    サブスクサービスに必要な管理・分析機能を利用できる。初期費用は無料(画像は「SubscLamp」サイトから編集部がキャプチャ)

    コーヒー豆のサブスクサービス「PostCoffee」
    https://postcoffee.co/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 PostCoffee 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「PostCoffee」サイトから編集部がキャプチャ)

    世界15カ国から厳選した30種類のスペシャルティコーヒーの中から3種類が届くサービス。月額利用料は1480円(税抜)からで、送料無料で配送する。オフラインストアも運営している。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 PostCoffee 日本サブスクリプションビジネス振興会
    無料コーヒー診断では、15万通りの組み合わせから淹れ方や飲み方、価格などを考慮して3種類を診断する(画像は「PostCoffee」サイトから編集部がキャプチャ)

    定額制テイクアウトアプリ「POTLUCK」
    https://www.pot-luck.jp/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 POTLUCK 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「POTLUCK」サイトから編集部がキャプチャ)

    提携しているレストランなどの料理を1日2回までテイクアウトできる定額制サービス。月額利用料金は7080円(税抜)からで、トライアルプランあり。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 POTLUCK 日本サブスクリプションビジネス振興会
    受取時間を指定して事前予約を行うと、飲食店での待ち時間を短縮して受け取れる。3つの定額料金プランのほか、買い切りプランもある(画像は「POTLUCK」サイトから編集部がキャプチャ)

    マカロンのサブスク「マイ マカ」
    https://www.dalloyau.co.jp/subscription/

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 マイマカ 日本サブスクリプションビジネス振興会
    (画像は「ダロワイヨ」サイトから編集部がキャプチャ)

    洋菓子などの製造・販売を行う「ダロワイヨ」のマカロンを月額1000円(税込)で毎日1つずつ店頭で受け取れるサービス。単品販売しているマカロンから好きな物を選べる。

    日本サブスクリプションビジネス大賞 優秀賞 マイマカ 日本サブスクリプションビジネス振興会
    利用したい店舗で「My Maca Member’s card」を購入。カード購入店舗でのみマカロンが受け取れる仕組み。利用期限は利用開始日から1か月(画像は「ダロワイヨ」サイトから編集部がキャプチャ)
    藤田遥
    藤田遥

    Instagramが短尺動画「リール(Reels)」に商品のタグ付け機能を追加

    5 years 2ヶ月 ago

    Instagramは12月10日(米国時間)、短尺動画を作成したり発見できる「リール(Reels)」にショッピングタグを使って商品をタグ付けできるようにした。

    フィードやストーリーズ、IGTV(長尺の縦型動画)、米国で一部ブランドを対象にテスト中のライブショッピングなど、利用者はInstagram上の動画コンテンツ内でショッピングを楽しむことができるようになる。

    Instagramは短尺動画を作成したり発見できる「リール(Reels)」にショッピングタグを使って商品をタグ付けできるようにした
    短尺動画での商品タグ付け機能のイメージ

    たとえば、IGTVで動画を視聴している利用者は、画面を数回タップするだけで価格や商品説明などの詳細情報を確認、外部のECサイトに移動して商品を購入できる。

    リールは短尺動画を作成・発見できる機能で8月にローンチ。音源やARカメラエフェクトクリエイティブツールを使って動画を撮影・編集し、最長30秒の短尺動画を作成できるもの。国内外のさまざまなブランドが活用している。

    Instagramによると、フィードに投稿される動画のうち45%が15秒以下で「短尺の動画コンテンツを楽しむ利用者が急速に増えている」という。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    ユーグレナがキューサイを連結子会社化へ。「ミドリムシ」と「青汁」のコラボがめざすことは?

    5 years 2ヶ月 ago

    ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は12月15日、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得すると発表した。

    キューサイの全株式を保有するコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH)と合意、株式譲渡契約を締結した。2021年1月29日付で株式譲渡が実行される予定。

    アドバンテッジパートナーズのファンド(APファンド)、ユーグレナ、東京センチュリーからの共同出資、銀行借入による現金を対価として、QPがCCBJHの保有するキューサイの全株式を取得する。

    QPへの出資比率は、APファンドが67.22%、ユーグレナが12.84%、東京センチュリーが19.94。株式取得から1年以内をめどに、ユーグレナがQPへの出資比率を最大49%まで高め、キューサイを連結子会社化する予定。

    ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する
    買収スキームについて(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)

    キューサイの資本金は3億5000万円。2019年12月期業績は、売上高が249億6800万円、営業利益は27億8300万円、経常利益は26億9400万円、当期純利益は13億円。健康食品や化粧品の老舗通信企業で、約37万人の通販顧客を抱える。コカ・コーラ ウェスト(現CCBJH)による買収でCCBJHの傘下に入ったのは2010年。その後、ブランド刷新、2020年には「キューサイ医薬堂」を立ち上げ、医薬品の通販事業を開始している。

    通販でのシナジーをめざすユーグレナの2020年9月期連結業績は、売上高が133億1700万円、営業損失18億700万円、経常損失14億5700万円、当期損失14億8600万円の赤字決算だった。このうち、直販による売上高は96億9100万円となっている。独自素材である微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)などを活用した健康食品、化粧品の通信販売を軸に成長を遂げてきた。

    ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する ユーグレナとキューサイの財務比較
    ユーグレナとキューサイの財務比較(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)

    CCBJHは2010年のキューサイ買以降、キューサイの持続的成長と企業価値最大化をめざし、ブランド刷新などを行ってきた。ヘルスケア・スキンケア事業の次のステージでの成長をサポートするには、AP、ユーグレナ、東京センチュリーが構成するパートナーへの譲渡が最適だと判断したという。

    今後、キューサイはAPと東京センチュリーが有する経営改善・PMI(企業合併後の統合プロセス)のノウハウを活用。商品ラインアップの拡充やブランディングを強化し、ユーグレナの有するデジタルマーケティングのナレッジを活用して事業規模の拡大をめざす。

    ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する
    共同出資スキームを採用した意義について(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)

    キューサイの中心顧客はシニア層で、ユーグレナは40代後半から60代女性がメイン顧客。キューサイはユーグレナとの連携で、プレシニア層まで顧客層を拡大する。ユーグレナグループは、若年層からシニア層までを網羅的にカバーし、消費者のサステナブルな健康を実現するヘルスケア企業グループをめざす。

    ユーグレナ、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ、大手総合リースの東京センチュリーの3社は、共同出資する特別目的会社Q-Partners(QP)を通じ、青汁通販で知られるキューサイの全株式を取得する
    ユーグレナが考えるキューサイとの事業連携などについて(ユーグレナが公表した資料から編集部がキャプチャ)
    石居 岳
    石居 岳

    飛行機通勤もOK! リモートワークとコミュニケーション深化の両立を実現するEC会社「Hamee」の働き方改革 | ワークスタイルハンター藤田の【突撃!御社のNewな働き方】

    5 years 2ヶ月 ago
    Hameeは小田原オフィスに新幹線などの利用を可能とした制度「いざ!小田原」を2020年10月から開始。通勤に新幹線や飛行機、特急列車などを利用でき、1か月の交通費の上限は5万円

    スマホケース「iFace」などの企画・卸販売、ECや「ネクストエンジン」の開発・提供を手がけるHameeが、新しい働き方の一環として始めた、小田原オフィス出社時に新幹線や飛行機、特急列車などを利用できる制度「いざ!小田原」。遠方に居住する社員の出社に対するハードルを下げ、「社員同士のリアルなコミュニケーションの機会を増やす」のが目的。新しい働き方における社員同士のコミュニケーションを模索するHameeの取り組みを取材した。

    「いざ!小田原」は通勤時間がネックになる社員も出社しやすい制度

    退社を取りやめた社員やマイホームを建設予定の社員も

    2020年10月から開始した「いざ!小田原」は、通勤時に新幹線や特急電車、高速バス、飛行機などを利用できるようにした正社員対象の新制度。利用条件は、従来の通勤時間よりも1分でも通勤時間を短縮できること。1か月の利用金額上限は5万円。

    Hamee いざ!小田原 働き方改革 コミュニケーション活性化
    2020年10月から開始した「いざ!小田原」制度(画像はHameeサイトから編集部がキャプチャ)

    この制度の特徴は「ライフスタイルに合わせて使える点」。Hameeには小田原周辺地域2市8町に居住する社員に対し、月2万円を支給する居住手当「小田原手当」がある。独身で1人暮らしの時は「小田原手当」を利用しオフィスに近い小田原近辺に住む、出身地に帰る・結婚を機に遠方に移住する時などは「いざ!小田原」制度を利用する――といった使い方ができるという。

    実際に、群馬出身の社員が「いざ!小田原」制度ができたことで群馬に家を建てることを決心。結婚を機に広島へ移住するため退社予定だった社員は、リモートワークメインに切り替え、制度を活用して月1回出社できるようになったことで、退社を取りやめたケースもあるという。

    全社員の約半数は「小田原手当」を利用しており、元々小田原近辺に住んでいる社員が多い。全社員のうち「いざ!小田原」制度利用者は25名ほど。EC部門に限ると19人のうち2人という。

    リアルなコミュニケーションを取りやすくしたい

    制度導入の理由について、高倉裕直氏(みらい創造部 広報担当)は「社員同士でリアルなコミュニケーションをしてほしいため」と説明する。Hameeは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月下旬からリモートワークをスタート。出社機会が減少、特にオフィスから遠い地域に居住する社員は通勤時間がネックになるため、出社しにくい状況という。新制度を設けることで、「遠方に住んでいる社員の出社ハードルを下げる」狙いがある。

    リモートワークをしていても、リアルに集まってコミュニケーションを取りたいという場面があります。そういうときはやはり小田原に集まって、顔を合わせてコミュニケーションをとってほしい。そうすることで、互いの信頼関係が高まり、業務のやりやすさやスピード感も違いが出てくるし、アイデアを一緒に考えることもできます。結果的に事業成長にプラスに働いてくると考えています。(高倉氏)

    出社数を抑えていることもあり、約200人いる全社員の出社数は1日30~40人ほど。EC部門の平均出社回数は週1~2回、作業内容によって出社回数にばらつきはある。商品撮影や対面での商談が必要なメンバーを優先的に出社できるよう調整しているという。

    リモートワークで「情報共有意識」が高まる

    EC事業部における業務への影響について、内田雅也氏(Webマーケティング部 マネージャー)は「特に大きな問題や社員からの不満などはなかった」と言う。その理由について、「新しいことにチャレンジすることが好きな社員が多かった。テスト的に調整しながら導入してみようと社員が思えたから」と内田氏は話す。

    また、EC部門の顧客対応は別部門が行っており、PCがあれば自宅でも業務ができる状況だった。そして、コロナ前からチャットワーク上でやり取りをしていたこと、以前からコミュニケーションを通じた信頼関係が成り立っていたことが大きいという。

    気軽に長く続けられる方法でコミュニケーションを維持

    しかし、リモートワーク長期化による「コミュニケーション面で懸念はあった」と内田氏。ミーティングの回数が減ってしまい、人と話す機会がなく1人で作業を行うメンバーも出てきていたという。

    どうやって部署内やチーム内でコミュニケーションの機会を作り、お互いの信頼関係を維持していくかという点には気を遣っています。(内田氏)

    EC部門では、コミュニケーションを円滑に行うための取り組みを模索。オンラインで行っている朝礼では業務報告や情報共有以外に、あらかじめ提示したお題にそってスタッフ1人ひとりが話す時間「部内1分間スピーチ」を設けているという。

    「リモートワークを続ける中で、社員同士が『情報共有をきちんとやっていかなければ』という気持ちが強くなったことは大きい」と内田氏。業務内容だけでなく、その日に感じたことを一言添えて投稿する日報、雑談もできるチャットなどを用いて、気軽に長く続けられるコミュニケーション方法を模索しているという。

    リモートワークを行う前と比べて、社員1人ひとりが「意識的にコミュニケーションを取ろう。情報をこまめに共有しよう」という意識が強くなったことは良かったと思います。また、そうした変化によって、仕事に対する意識も高まり、業務上の問題点や課題点を明確にし、「もっと取り組んでいかなければ」という前向きな姿勢が強まってきました。(内田氏)

    自由度が高くなった「フレックスタイム制」が好評

    Hameeは「フレックスタイム制」も導入している。以前は9時30分から18時30分までの定時制だったが、10時から16時までをコアタイムとした。リモートワーク時でも継続しているという。

    フレックスタイム制を導入したことで、業務の自由度が向上し「メリハリを付けて働けるようになった」と社員からは好評。また、残業時間の削減にもつながっているという。

    Hamee いざ!小田原 働き方改革 コミュニケーション活性化
    小田原付近(2市8町)に居住する社員に手当を支給する「小田原手当」のほか、コミュニケーション制度として、会社の補助で部署や役職を超えて食事に行くことができる制度「ファン★ごはん」などを行っている。現在はオンラインでも開催しているという(画像はHameeサイトから編集部がキャプチャ)

    オフィスをリニューアルし「出社して良かった」と思える環境作り

    高倉氏は「元々コミュニケーションを取ることが好きで、それがモチベーションになっている社員も多い。そうしたコミュニケーションの場を積極的に作っていきたい」と語る。

    Hameeは小田原オフィスを2021年にリニューアル予定。社員の働きやすさや多様性をきちんと確保しつつ、「出社して良かった」と思える環境作りを進めると言う。リニューアルの理由について、高倉氏は次のように説明した。

    リアルなコミュニケーションをずっと大切にしてきたし、これからも大切にしていきたい。そのためにも、今以上にワクワクするような仕掛けや働きやすい環境をつくることで、より満足度の高い出社体験ができるオフィスへと進化させていきたいと思っています。(高倉氏)

    藤田遥
    藤田遥

    新型コロナウイルス対応で加速する中国のデジタルイノベーション | 電通デジタル 特選コラム

    5 years 2ヶ月 ago
    中国の生活や企業活動はコロナによってどのような影響を受け、どう変化したのか。4年前から上海に駐在するビービットの酒巻厚志氏と電通デジタルの桑山晃一氏が、アリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)など中国大手プラットフォーマーの動きについて語り合う。
    新型コロナウイルス対応で加速する中国のデジタルイノベーション

    中国はここ数年、デジタル先進国として世界中から注目されています。今回、早い段階で新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が発生したことで、その対応に世界各国から関心が寄せられました。

    中国で暮らす人々の生活や企業活動は、コロナによってどのような影響を受けて、どのような対策を行い、変化したのでしょうか。

    本セッションでは、4年前から上海に駐在している株式会社ビービットの酒巻厚志氏に、生活者の目から見た中国の変化を伺い、私たちも含めて、日本で活動する企業の皆さんにとって学べるヒントがないかを探りました。

    中国国内のコロナ概況

    桑山2019年12月、湖北省武漢市(以下、武漢)でコロナが発生しました。その後の「都市封鎖」や、わずか10日の工期で稼働した「火神山医院」などの対応は、日本でも大々的に報道されました。

    しかし、3月ごろから日本でもコロナが広がったり、欧米がパンデミックになったりして、中国の状況はあまり報道されなくなりました。3月以降、中国では実際どういったことが起きていたのか、お話しいただけますか。

    酒巻下の図は、中国の死亡者数や感染者数の概観(2020年6月17日時点)です。当初、武漢と、武漢以外の湖北省の都市はかなり危機的な状況でした。一方で、他の都市ではすぐに強い措置をとり、発生件数を抑えることができました。東京と比べても、感染者数、死亡者数、ともに非常に少ない状況です。

    中国の状況概要

    全体的に、中央政府や地方政府の強いリードがあり、抑え込んできたという印象です。私が住んでいる上海は、「第2の武漢」にしないという強い意思で、1月末から以下のような強い対策をとったことで、発生数の抑え込みに成功しました。

    • 1/27~2/9まで企業活動を停止

    • 3/3~ 海外からの渡航者の2週間隔離

    • 3/28、中国人以外の海外からの入国を禁止(これは中国全体での措置)

    上海でのCase数位と打ってきた手

    4月以降はコントロールしながら少しずつ解除を進めています。都市間の移動は厳しく制限されていますが、上海市内はだいぶ自由で、4月くらいから人出はだんだん戻ってきたという状況でした。

    データとデジタルの活用

    中国では特に、データとデジタルが活用されています。もともとあったデータ管理の仕組みに、コロナ対応が追加されたかたちです。実例を2つ紹介します。

    1つ目は、個人の状態の管理を行う「随申コード(健康コード)」[注1]で、幅広く活用されています。赤(まだ隔離が必要)、黄(まだ少し危険)、緑(大丈夫)の3色で個人の健康状態を示し、通行証代わりに使われました。外国人もパスポート番号を入れて使います。

    データ×デジタルによるコロナ対策①~トラッキングによる通行許可証

    随申コードは、行政情報と個人情報を掛け合わせた統合インフラです。身分証明、移動情報、位置情報、感染者との接触情報、病院の診療情報などを判断して、QRコードを作成する仕組みとなっています。コアシステムの開発にはアリババも関わっているようです。

    随申コード(健康コード)の仕組み

    2つ目は、濃厚接触・感染発生場所の情報公開です。感染に関する情報や、自分が感染者と接触していないかを確認できる情報が、マクロ(国内外・省別の状況)とミクロ(市内の感染発生場所マップ、列車やフライト別の感染者発生状況)で一覧できます。

    データ×デジタルによるコロナ対策②~濃厚接触・感染発生場所の情報公開

    上海の街は、2月、3月はがらがらでした。4月はじめから徐々に人が出てきている印象です。マスクは路上ではしなくてよくなっていますが、まだしている人も多く見られます。全般的に中国では、ほぼ日常を取り戻しつつあるようです。

    がらがらな上海は4月は密に

    プラットフォーマーの対応と役割

    桑山中国では、こうした日常を取り戻すために、BAT(中国の大手IT系企業3社、バイドゥ〔百度〕、アリババ、テンセント)と呼ばれるプラットフォーマーがかなり重要な役割を担ったと聞いています。具体的にどういうことをやってきたのでしょうか?

    アリババ

    アリババの大きな3つの動き

    酒巻アリババは、もともと公共的なサービスもいろいろと手がけていました。先ほどお見せした随申コード(健康コード)もアリババが政府と協力して開発したインフラです。

    有料のリモートワークサービスを最初に無料開放したのもアリババです。もともとシェアナンバーワンだったDingTalkを無料にして、ビジネスユーザーが使えるようにしました。コロナの間にグローバルでも展開して、いま日本でも無料で使えるようになっています。

    あとは、マーチャント支援です。アリババグループが運営する中国最大のB2CオンラインショッピングモールであるTmall(天猫)の利用料引き下げ、関連金融機関の金利引き下げ、補助金提供、DX支援など、マーチャントを直接、間接の両方から支援しました。

    マーチャント支援

    バイドゥ、テンセント、ByteDance

    他社も、アリババと同じように、官と民に支援をしています。たとえば、コロナに関するマクロな感染状況がわかるプラットフォームは、テンセントとバイドゥが官からデータ提供を受けて開発しています。

    コロナに関する情報~マクロな情報提供

    また、テンセントは「噂のデマ診断サイト」を開設しました。コロナ関連のニュースを集めて、専門家や医者が真偽を判定するサイトです。

    コロナに関する情報~デマ診断サイト

    また、テンセントとByteDance(TikTok運営会社)は、リモートワーク系のサービスをアリババに続いて無料開放しました(テンセント:VooV Meeting、WeChat Work/ByteDance:Feishu, グローバルサービス名はLark)。いずれも2020年3~4月にグローバルで展開して、日本でも無償提供中です。FeishuはもともとByteDanceの社内ツール、VooVは中国国内だけのローカルツールだったのですが、アリババを追いかけ、このタイミングで迅速に展開した印象があります。

    テンセント・ByteDanceもリモートワーク系のサービスを無料開放

    最後の事例ですが、テンセントが、テンセントクラウド上で、コロナ対策に対応したクラウドサービスのパッケージを、市販で提供しています。ビジネス向け、医療機関向け、政府向けに分かれていますが、これらは、もともとあったパッケージをコロナ用に改良したものです。今後進むであろうオンライン医療の市場をにらんでいると思われます。

    テンセントの市販コロナ対策パッケージ

    桑山プラットフォーマーの事例を中心にご紹介いただきました。コロナの対応に関しても、各社が従来から持っていた特色、強みが色濃く反映されているように思います。

    アフターコロナにおけるアフターデジタル

    桑山中国は一足先にアフターコロナという状況を迎えつつあるようです。そうした中で、中国のアフターデジタル(リアルがデジタルに包み込まれた状況)は、今後どういう風に進んでいきそうでしょうか。

    酒巻すでにアフターデジタル化されていた社会が、コロナにより加速したというのが中国の現状かなと思っています。将来に向けてもこのまま加速して、関連する産業が重点産業として指定されていくのではないかと予想しています。ここでは注目すべき産業として、オンライン教育とオンライン医療を取り上げます。

    オンライン教育のアフターデジタル

    オンライン教育市場はもともと伸びていて、今後も伸びていくと思われます。今回のコロナをきっかけに、時限的ではありますが、オフィシャルに全国的に学校でオンライン教育が行われるようになりました。国による動画教育プラットフォームが開設され、国の3大通信キャリアにトラフィック確保が要請されました。けっこう大きなプロジェクトを短期間で立ち上げたなという印象です。

    オンライン教育

    ここでもアリババが教育機関向けに、ビジネス向けに先駆けて、DingTalkの有料機能を無料開放しました。「宿題と回答データの保存期限がない」「メッセージの既読機能」など、教育現場にとって使いやすい機能があって、広く使われています。

    オンライン教育

    オンライン医療のアフターデジタル

    オンライン医療でも、やはり迅速に対応が進みました。もともと平安保険のアプリ「好医生(グッドドクター)」やアリペイ上でもオンライン問診がありましたが、アリババはAI問診も始めました。浙江省の行政アプリ上でリリースして、新型コロナに関する問診に絞っていますが、問題解決率は高いようです。あとはテンセントの「微医(ウィードクター)」も利用者が急増して、24時間体制で問診を受け入れられるようなサービスを開始しました。

    オンライン医療~リモート問診ユーザーの急増・コロナへの迅速対応

    コロナの影響で規制も緩和されてきており、一部の処方薬販売が可能に、
    また、遠隔での保健医療が一部の省でだんだん認められるようになってきた、というところです。

    今後の上海の重点領域

    デジタル化の加速については、政府としても投資方針を出しています。上海に関して、今年の4月に、「産業のハイテク化」「サービスのデジタル化」「人の非接触化」を加速させる産業構造を目指して、重点投資していくという宣言(オンライン・ニューエコノミーの発展促進のための上海市行動計画2020~2022年)を出しています[1]。「非接触化」はコロナの影響により、新しく出てきたキーワードかと思います。

    今後の上海の重点領域~コロナの影響も見受けられる向こう3年のニューエコノミー

    当面は内需拡大の方針

    経済にも大きな影響が出ているのは、ニュースでも報道されているとおりです。第一四半期のGDPが-6.8%と、1976年以来のマイナスとなりました。構造転換が必要ですが、当面は貿易が難しくなっているので、内需拡大を打ち出しています。

    象徴的だと思ったのが、自動車の購入制限から促進への方針切り替え。あと、サービス消費、新型消費、レジャー向け消費の促進を掲げています。そのほかにも、家具や家電の購入促進など、内需を促進する措置を検討しています。

    当面は内需要拡大の方針

    日本企業への示唆

    桑山コロナによって日本のDXのあり方はどう変わるべきか。国としての成り立ちや人口の多さ、そうした違いを超えて、日本企業が参考にできそうな点を2つ挙げます。1つ目は「アジャイルによる攻守転換」、2つ目は「データをユーザー体験や社会に還元」です。

    中国のコロナ対応に見る示唆

    アジャイルによる攻守転換

    アリババやテンセントなどのITメガプラットフォーマーは、そもそも社内のオペレーションがアジャイルです。

    アリババの健康コードのβ版は2月の初旬にリリースされました。武漢封鎖から1~2週間です。それから1週間で杭州市全体、さらに1ヵ月後に中国全土で使えるシステムに拡張されました。一連のスピーディな開発は、ローンチしてテストする中で、ユーザーのフィードバックを受けて改善していく、アジャイル型の開発プロセスを踏むことで実現されています。

    さらに、自国の市場でブラッシュアップされたコロナ対策サービスを海外に輸出する動きも、早くから出てきました。6月上旬、広州でコロナ対策製品の見本市(広州国際防疫物資展覧会)が開催されています。

    中国のコロナ対応に見る示唆

    コロナに対する守りとして開発したさまざまなサービスを、海外市場に対して攻める武器としても使う。そういったアジャイルによる攻守転換は、日本企業もぜひ参考にすべきです。

    データをユーザー体験や社会へ還元する

    もともと中国では、スマートフォンを通じて収集されたデータが、UXや生活を支える社会基盤として組み込まれ、さまざまなサービスに展開されていました。それがコロナを機に、社会インフラとしての重要度が増して、広範囲に適用されるようになりました。

    ②データをユーザー体験や社会へ還元

    健康コードのほかにも、デジタル消費券(電子クーポン)を、アリペイやウィーチャットプラットフォームでターゲティング配信しています。データをUXや社会に対してどう還元していくのかという視点でサービスを捉えて、進めた結果、人々の生活に欠かせないサービスになって、さらにデータが溜まっていくという好循環が生み出されているように思われます。

    このコロナを機に、日本でもさまざまな分野でDXがかなり進んできつつあります。本稿で酒巻さんがご紹介した事例には、日本でも実現できるようなものが多分に含まれています。コロナによる変化をイノベーションに転換して、DXやCXトランスフォーメーションを進めていくヒントにしていただけたらと思います。

    最後に:「AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™」について

    桑山アジャイルの話も出てきましたので、最後に少しだけ宣伝もさせていただきます。このたび電通デジタルでは、「AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™(アジャイルエクスペリエンスデザインラボ)」という、アジャイルとUXデザインのアプローチでクライアント企業の新サービスの立ち上げを支援するサービスのリリースを予定しています。

    AGILE EXPERIENCE DESIGN LAB™

    具体的には、顧客理解、体験設定、MVP(Minimum Viable Product:必要最低限の機能を有するプロダクト)開発といった、アジャイル型のデザインプロセスをクライアント企業の皆さまと共創型で実施して、ごく短期間でデジタルプロダクトの市場投入までこぎつけてしまおうというものです。さらに、そのプロセス自体をクライアントの皆さまと共有することで、われわれのアジャイルやUXデザインのスキルトランスファーを実現しようというサービスにもなっています。

    こういったサービスを通じて、企業の皆さまの新しい未来を切り開くお手伝いをしたいと思っています。興味を持っていただけるようであれば、ぜひお声がけください。

    ※本記事は、2020年6月18日、19日に開催された「CXトランスフォーメーションセミナー ~近未来思考で挑む顧客体験起点のDX~」のセッションで発表された内容を再構成したものです
    ※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです

    注釈
    1. ^ 中国では、都市ごとに健康コードの名称が異なり、上海市の健康コードを「随申コード」という。
    出典
    1. ^ "上海市がオンラインエコノミーの推進方案を発表 ".JETRO.(2020年4月17日)2020年7月29日閲覧。

    この記事のオリジナル版はこちら
    新型コロナウイルス対応で加速する中国のデジタルイノベーション

    電通デジタル
    電通デジタル

    メインで使うECモールは「楽天市場」で41%。コロナ禍で総合ECサイトの利用を始めたは4.8%、頻度が増えたユーザーは21%

    5 years 2ヶ月 ago

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」によると、消費者がメインで利用している総合ECサイトは「楽天市場」が41.4%で最多だった。「Amazon」は38.1%、「Yahoo!ショッピング」が13.0%で続いた。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 メイン利用の総合ECサイト
    メイン利用の総合ECサイト

    総合ECサイトの利用経験を聞いたところ(複数回答可)、90.1%が総合ECサイトを利用したことがあると回答。利用経験のある総合ECサイトは「Amazon」が69.7%で最も多く、次いで「楽天市場」が68.7%、「Yahoo!ショッピング」が46.9%だった。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 総合ECサイトの利用経験
    総合ECサイトの利用経験

    新型コロナ前後の総合ECサイト利用状況

    コロナウイルス流行前後での総合ECサイト利用状況を聞いたところ、「2020年4月以降、利用頻度が増えた」のは21.3%、「2020年4月以降、利用開始した」という消費者は4.8%。「2020年3月以前から利用しており頻度は変わらない」は73.8%となっている。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 コロナ流行前後での総合ECサイトユーザーの利用状況
    コロナ流行前後での総合ECサイトユーザーの利用状況

    コロナウイルス流行前後の総合ECサイト利用頻度を聞いたところ、2020年3月以前は「2か月に1回未満」が27.0%、2020年4月~5月は「月1回」が26.0%、2020年6月~7月は「月1回」が26.1%、2020年8月~10月は「月1回」が26.9%。

    2020年3月以前は「2か月に1回未満」が27.0%だったが、2020年4月~7月は「2か月に1回未満」の利用者はいなかった。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 コロナ流行前後での総合ECサイト利用頻度
    コロナ流行前後の総合ECサイト利用頻度
    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 コロナ流行前後の総合ECサイト利用頻度
    コロナ流行前後の総合ECサイト利用頻度(性年代別、3月以前と8~10月、1位のみ抜粋)

    新型コロナの影響でECを利用し始めた理由

    総合ECサイト利用者のうち、2020年4月以降に利用開始した435人に、総合ECサイトの利用を開始した理由を聞いた(複数回答可、「特に理由はない」除く)。

    Amazon利用者(n=226)は「品揃えが豊富だから」が最も多く36.3%。次いで「商品が探しやすいから」が27.4%、「商品が届くまでの期間が短いから」が25.7%となった。

    楽天市場利用者(n=187)は、「ポイントが貯まりやすいから」が最も多く40.1%。次いで「ポイントが使いやすいから」が36.9%、「品揃えが豊富だから」が35.8%。

    「Yahoo!ショッピング」利用者(n=148)は、「品揃えが豊富 だから」が最も多く29.7%。次いで「ポイントが使いやすいから」が27.7%、「ポイントが貯まりやすいから」25.0%。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 コロナ禍で総合ECサイトを利用開始した理由
    コロナ禍で総合ECサイトを利用開始した理由

    新型コロナで総合ECサイトの利用頻度が増えた理由

    総合ECサイト利用者のうち、2020年4月以降に利用頻度が増えたと回答した1923人に、総合ECサイトの利用頻度が増えた理由を聞いた(複数回答可、「特に理由はない」除く)。

    Amazon利用者(n=949)は「品揃えが豊富だから」が最も多く45.4%、次いで「商品が探しやすいから」が38.8%、「商品が届くまでの期間が短いから」が38.7%。

    楽天市場利用者(n=882)は「ポイントが貯まりやすいから」が最も多く56.3%、次いで「ポイントが使いやすいから」が51.2%、「品揃えが豊富だから」が37.9%。

    「Yahoo!ショッピング」利用者(n=391)は「ポイントが貯まりやすいから」が最も多く48.3%、「ポイントが使いやすいから」が44.0%、「品揃えが豊富だから」が28.4%で続いた。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 コロナ禍で総合ECサイトを利用頻度が増えた理由
    コロナ禍で総合ECサイトを利用頻度が増えた理由

    総合ECサイトの関連サービス利用状況

    総合ECサイトの利用上位3サイト「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」のメイン利用者各300人に、総合ECサイトの関連サービスを利用しているか聞いたところ、「Amazon」は75.3%、「楽天市場」は93.6%、「Yahoo!ショッピング」は93.0%が関連サービス利用者であることが分かった。

    利用中のサービスについて(複数回答可)は、「Amazon」利用者(n=226)は「Amazonギフト券」が最も多く60.2%、次いで「Amazonポイント」が55.8%、「Amazonプライム」が50.9%。

    「楽天市場」利用者(n=281)は「楽天ポイント」が74.0%、「楽天カード」が67.6%、「楽天銀行」が38.3%。

    「Yahoo!ショッピング」利用者(n=279)は「Tポイント」が77.4%、「PayPay」が52.3%、「Yahoo!プレミアム」が43.7%。

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「コロナ禍での総合ECサイトに関する調査」 メイン利用の総合ECサイトで利用中の関連サービス
    メイン利用の総合ECサイトで利用中の関連サービス

    調査概要

    • 調査期間:2020年10月31日~11月2日
    • 有効回答:予備調査1万人、本調査900人
    • 調査方法:インターネット調査
    • 調査対象:<予備調査>全国の15歳~69歳の男女 <本調査>Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの各メイン利用者
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    Amazonや楽天などブラックフライデーで快適に使えたECサイトは?+ユニクロ「+J」発売日のサイトダウン【スピード調査】 | 勝手にスピードテスト Powered by SpeedCurve

    5 years 2ヶ月 ago
    ブラックフライデー期間における「Amazon」「楽天市場」「トイザらス」「Google Strore」などのECサイトの表示速度を計測。米国ECサイトとのスピードの差も比較しました

    ECサイトを運営する上で、キャンペーンやバーゲンの初日など、急激にアクセスが増加するとシステムに負荷がかかり、「Webサイトが開けない」「表示スピードが遅くなる」といった事象が起こります。これらは多くのEC担当者、システム担当者にとって共通の悩みでしょう。

    今回は11月の「ブラックフライデー」と「サイバーマンデー」を中心としたセール期間にフォーカスを当て、サイトの表示スピードを調査しました。

    また、後半ではアクセスが殺到し「ECサイトが表示されない」「購入できない」というニュースで話題になった、「ユニクロ」と「ジル・サンダー」とのコラボ商品のECサイト発売日(11月13日)の状況もレポートします。(この記事はPCでの閲覧をおすすめいたします)

    ■今回の注目3ポイント

    1. ブラックフライデーセール開催。ECサイトの表示スピードランキングは?
    2. 日本、米国ECサイトの表示スピード差はどこまであるのか?
    3. 「ユニクロ」と「ジル・サンダー」コラボ商品発売日に「ECサイトが見れない」。その時Webサイトは!

    コロナ禍におけるブラックフライデーの状況は?

    ブラックフライデーとサイバーマンデーは米国のセールイベント。ここ数年で日本にも定着してきました。その年の年末商戦を予測する上で、例年この期間の売り上げが注目されています。

    2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、「実店舗での売り上げは減るが、Eコマースでのアクセスが例年以上に集中するだろう」と予測されていました。つまり「怒濤のアクセスが起こるのではないか」と。

    今回は、2020年11月20日~11月30日までのブラックフライデーセール対象ストアの「表示スピード」「ECサイトの表示快適性」を見ていきます。日本ではブラックフライデーとサイバーマンデーの垣根が曖昧ですが、「イオン」「洋服の青山」に加え、「Amazon」などの外資系ストアがセールを展開しました。これらの結果を、米国のECサイトとの比較も行っています。

    ブラックフライデーの大手EC表示スピード対決1位は「Amazon」

    「勝手にスピードテスト」では、ブラックフライデーを開催したECモール各社「Amazon」「楽天市場」「トイザらス」「Googleストア」、その他大手ECサイトの全14サイトをピックアップして表示スピードを計測。さまざまな角度で分析・考察しました。

    1位から5位のWebサイト表示スピード差はわずか0.6秒という激戦。「Amazon」は今回のブラックフライデーセール期間の前哨戦として、11月20日~11月27日まで「Holidayセール」を開催していましたが、SpeedIndex約1.5秒という、凄まじい表示スピードで1位、2位とフィニッシュを飾っています。

    ブラックフライデーセール開催中のECサイトの表示スピードランキング

    順位サイト名Speed
    Index
    (秒)①
    Back
    end
    (秒)②
    Start
    Render
    (秒)③
    Size
    (MB)④
    Request⑤
    1Amazon(ブラックフライデーセール)1.370.471.053.25181
    2Amazon(Holidayセール)1.530.551.21.49175
    3トイザらス1.780.351.01.63194
    4楽天市場1.790.581.31.25171
    5GoogleStore1.990.571.11.5266
    6Macys(米)2.020.751.42.47232
    7ディズニーストア2.510.671.75.21101
    8Qoo102.630.861.752.53161
    9Nordstrom(米)2.640.951.44.92602
    10イオン3.141.172.42.15166
    11洋服の青山3.161.082.152.56254
    12ウォルマート(米)3.920.881.653.42196
    13BananaRepublic4.851.072.23.67195
    14GAP5.890.812.052.14152
    ※(米)以外は日本のサイトです

    以下の動画で、ブラックフライデーセールにおいて「Gap」「Amazon」のECサイトが表示されるまでの状況、ページが表示されるまでの体感速度が大きく異なる様子が確認できます。

    ランキング14位「Gap」、ECサイトでTOPページを表示
    ランキング1位「Amazon」、ECサイトでTOPページを表示

    大手ECモールは表示スピードがついに1.3秒台、異次元の表示スピード高速化の戦いに突入

    今回の計測にあたり、当初の予測では「ブラックフライデーセールは、通常時期と比較してWebサイトの表示スピードが遅くなるのでは」と想像していました。しかし、結果は逆に。大手ECサイトが万全の備えをしてきたのでしょう、むしろ通常時よりも高速に表示させているという様子が計測データから見えてきます。

    前回の「EC売上 トップ200サイトの記事」と比較すると、その差は歴然です。1位の「セブンスター貿易」(SpeedIndex 1.69sec)と比較して、今回の「Amazon」のブラックフライデーセールの特集ページ(SpeedIndex 1.37sec)は、さらに上回っていました。

    何よりも驚いたのは、上位TOP5はすべて1秒台の表示スピードを達成しているという結果です。これはECの売り場担当者とマーケティング担当者、IT・ECシステム担当者のコミュニケーションレベルが高いことが前提で、同じ目線でECサービスを安定して提供していることを表しているのではないでしょうか

    筆者は自身の事業会社(ゴルフダイジェスト・オンライン)のプロダクト、サービスのエンジニアリング、マネージメント経験から、セール時期のECサイトのインフラ対策、トラフィック対策の難しさを痛感してきました。

    その理由として、「ECサイトのシステム構成が複雑になる」「運用保守の技術レベルが上がる」「インフラコストが増加する」ということだけでなく、さまざまな課題が潜んでいるからです。

    事業会社視点で、もう少し具体的なECサイトのアクセス増加、負荷対策の課題を見てみましょう。

    1.コスト増加の課題

    事業会社にとって、繁忙期、セール時期のインフラ、システムコストの増加は頭痛のタネです。事業部門はインフラ、システム運用コストを抑え、間接コストを下げたいと考える一方、システム部門は、Webサイトへのアクセスに対して、十分なキャパシティと余裕を持ったインフラ構成にしておきたいという意見の衝突が生じます

    2.ECサイトのシステム構成における技術的な課題

    ECサイトのフロントアクセスのトラフィック増加時、フロントエンドのアクセスをそのままバックエンドのシステムに流すようなシステム構成の場合、バックエンドのシステム処理能力を超えると処理不能になり、Webサイトが表示されなくなるようなケースは多く見られます。

    急激なWebサイトのアクセス増加に対応するには、フロントエンドでのCDN(コンテンツデリバリネットワーク)の活用のみならず、バックエンドシステムに処理が集中しないよう、システム構築、運用エンジニアに高い技術レベルが求められます

    3.EC事業部門とシステム部門のコミュニケーションスキル、人員リソースにおける課題

    ECおよびマーケティング的な数値と施策に理解があるシステム部門担当者が、対策を進める必要がありますが、技術レベルのみならず、社内事業部門との調整・コミュニケーション力や交渉力も不可欠のため、Webサイトのアクセス負荷対策をリードできるスキルを持つエンジニアは限られているという状況があります

    これらは、他人事でなく自分事としてECサイトの負荷対策を推進できる事業会社組織体制、エンジニアのマインドセットがないとクリアできない課題であり、この課題をクリアしないと、ECサイトやマーケティング効果を最大化させることはできないと筆者は強く感じています

    ブラックフライデーセールでは、日米のEC表示スピード差はさほどない!

    今回、ブラックフライデーセールを実施した米国のECサイト3社の状況を見てみると、ランキング6位のMacy's(デパート・EC)が2.02秒と最も速い表示を示したものの、TOP5の1秒台グループに入ることはできませんでした。

    米国のECサイトの計測は、US環境から計測を行っており、日本のインフラ事情が多少良いという点を差し引いても、日米の大手ECサイトの表示スピードにそこまで大きな差はないと言えそうです。

    気になったのはウォルマート(米)で、「Amazon」の約2倍以上、表示スピードが遅いという結果が出ました。この点は顧客の購買体験においてマイナスになる可能性があるのではないでしょうか。

    「ユニクロ」と「ジル・サンダー」コラボ商品発売日、Webサイトはどうなっていた?!

    2020年11月13日、「ユニクロ」のサイトがつながりにくくなりました。「ユニクロ」と「ジル・サンダー」の9年ぶりのコラボ商品「+J(プラスジェイ)」の復活コレクション発売日だったからです。SNSでは「会社を休んで買いに行きたい」といった期待の声があがっていました。

    勝手にスピードテスト ユニクロ ジル・サンダー コラボ商品 コラボ商品のページ
    「ユニクロ」と「ジル・サンダー」のコラボ商品「+J」のページ

    筆者もこの販売開始を楽しみにしていた1人で、発売日の朝10時ごろに「ユニクロ」のECサイトをPCとスマホの2つで開くも、まったくサイトの商品ページが見れない状態でした。この時「『ユニクロ』のECサイトの状態を測定しなければ!」という使命感もあり(笑)、急遽、計測ツール「SpeedCurve」をセットしてみました。

    当日は、10時00分~15時00分までECサイトの商品詳細ページは閲覧できませんでした。どういう状態だったのか計測データを確認したところ、グラフの表示スピードが速く見えますが、ほとんどが「エラーページ」の表示となっていました(グラフ赤枠部分)。

    勝手にスピードテスト ユニクロ ジル・サンダー コラボ商品 商品ページ計測データ
    11月13日の「ユニクロ」と「ジル・サンダー」コラボ商品詳細ページの状況
    勝手にスピードテスト ユニクロ ジル・サンダー コラボ商品 商品ページの状況
    ECサイトにつながらない状況で、スマホからコラボ商品の商品詳細ページを閲覧した状況
    勝手にスピードテスト ユニクロ ジル・サンダー コラボ商品 商品ページの状況
    ECサイトにつながらない状況。PCでも同様のエラー画面が表示されてしまう

    結局、「ユニクロ」のECサイトが安定して表示されるようになったのは、11月13日の15時過ぎ。

    「+J」の商品のみならず、通常商品の詳細ページやカートも閲覧できない状況が発生しており、およそ5時間前後の長い時間、ECサイトにおいて大きな機会損失が発生してしまった点は非常に気になる状況です。

    今回の「ユニクロ」と「ジル・サンダー」のコラボ商品販売によるECサイトのアクセス集中は、事前にある程度予想できたことです。売り場担当者やマーケティング担当者、IT・ECシステム担当者がコミュニケーションを図りつつ、事前のECサイトのトラフィック集中対策が不可欠であるということを再認識させられるとともに、人気商品販売の影響により、ECサイトで通常の商品購入がしにくい状況は、顧客満足度という観点でも今後しっかりと対策すべき、象徴的な出来事だと考えられます。

    この調査について

    従来の一般的な計測ではアイドルタイムと呼ばれる、購入客が少ない午後の時間に計測されることが多く、朝、昼、夜のピークタイムや、土日の計測がほとんどされていませんでした。例えば、メルマガやLINEなどでキャンペーン情報を送った時にサイトがどんな状態になるのかを、ほとんどのEC事業者が知らないのが現状です。

    今回の調査では売れている時間帯のコンディションを把握するために、12:30、18:30、22:30の1日3回、比較的高負荷の時間で実施しました。1サイトにつきトップページ、商品詳細ページの2つのURLを計測対象としました。

    表の見方

    ①「Speed Index」……Googleが発表したパフォーマンス指標。ブラウジング開始後、経過時間あたりのファーストビューが何秒で表示されるかを総合的に算出したもの。目標値 4.5秒

    ②「Backend」……サーバー、NW通信、DNS名前解決を含む、クライアントリクエストを処理するための時間。いわば反応スピード。目標値 1秒

    ③「Start Render」……空白ページからコンテンツが初めて表示されるまでの時間、ユーザが「Webサイト表示が速い」「遅い」と体感する指標。目標値 2秒

    ④「Size」……1ページに含まれるファイル(画像、動画、フォント、CSS、JavaScript、HTMLなど)の総量

    ⑤「Request」……1ページに含まれるファイル(画像、動画、フォント、CSS、JavaScript、HTMLなど)の読み込み個数

    誤差や数値の違いについて

    今回の計測は、12:30、18:30、22:30の1日3回という、ECサイトにおいて比較的高負荷とされている時間帯に行いました。従来の計測結果と乖離があるとすれば、この時間滞とアイドルタイムの違いが一番の違いとなります。

    調査概要

    調査期間:2020年11月20日~2020年11月30日までの10日間

    調査対象:弊社独自調査でブラックフライデーセール(11月20日~11月30日)を実施した、大手ECサイトを14サイトピックアップ、定点計測を実施しています。

    ※計測後に正常な値が取得できなかった場合は除外、もしくは24hの補正、追加  再計測を行っている。

    計測時間:12:30、18:30、22:30の1日3回

    測定プロファイル:iPhone X(4G)、GalaxyS8(4G)、Chrome(cable) ※このうち掲載したのは「iPhone X(4G LTE)」

    値の算出方法:期間内の計測結果から各指標の中央値を出し、各ページ(top、item)の平均値を反映。

    1回当たりの計測数:3 checks

    計測回数:28URL × 1日3回 × 3checks × 3デバイス × 10日間 = 7,560回の計測

    エミュレート回線品質(4G):ダウンロード 8.8Mbps/アップロード 8.8Mbps/レイテンシー 170ms

    計測ロケーション:日本向けECサイトは東京、US向けECサイトはUS WestCoastのクラウド環境から測定

    サイト調査実施:株式会社ドーモ  監修/占部雅一 文・レポート 種村和豊(株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン、スピード研究会)、計測データ集計:北澤佑馬

    種村 和豊
    種村 和豊

    2021年のEC業界を大予測! 「モバイル」「遠隔」「非接触」「サステナブル」「SNS」「D2C」がキーワード(のはず)【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    5 years 2ヶ月 ago
    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年12月7日〜13日のニュース
    ネッ担まとめ

    コロナに始まりコロナで終わりつつある2020年。ワクチンができたとはいえ、まだまだ影響が残りそうで、2021年の動きが見通せないという人も多いはずです。12月になって予測記事が出てきましたので、重要な点だけ関連記事を紹介しながら詳しく説明していきます。

    2021年に多分来る5つのトレンド

    トレンド① モバイルのさらなる台頭

    ECで売り上げを伸ばすために必要な7つの視点~グローバル最新トレンドから学ぶ次の“打ち手” | Web担当者Forum
    https://webtan.impress.co.jp/e/2020/12/10/38326

    「Web担当者Forum ミーティング 2020 秋」に登壇されたWovn Technologiesの小林弘佑氏の記事から順番に見ていきます。グローバルの視点ですがほぼ日本にも当てはまりますので。

    モバイルフレンドリーでない場合に、ユーザーが買い物の途中でカートを放棄してしまう可能性が高くなるということを紹介し、「自社のサイトがモバイルフレンドリーになっているかどうかをチェックしてほしい」と強く推奨した。

    また、その次に目を向けるべきは「モバイル体験の向上」だとして、新たなモバイルの手法である「AMP」と「PWA」の対応サービスが増加していることを紹介した
    https://webtan.impress.co.jp/e/2020/12/10/38326

    売上のほとんどがモバイル経由というショップも多いはずです。基本的な部分は対応されていると思いますが、引用文に書かれているAMPやここには書かれていない「Core Web Vitals(コア・ウェブ・バイタル)」はご存じでしょうか?

    AMPとは「Accelerated Mobile Pages (アクセラレイティッド・モバイル・ページ)」の略で、モバイル端末での表示を高速化するためのプロジェクトのことです。ページがものすごく速く表示されるものと思っていただいて構いません。ユーザーはせっかちなので、数秒で表示されないとどこかに行ってしまいます。AMPでECサイトを作るのは難しいですが、どこかのタイミングで主流になってくる可能性もあるので頭に入れておきましょう。

    「Core Web Vitals」はGoogleが発表したWebサイトUXの重要指標のことで、「LCP」「FID」「CLS」の3つです。その詳細はこちらの記事をご確認ください。

    【確定】コアウェブバイタルがGoogleランキング要因になるのはモバイル検索だけ | 海外SEO情報ブログ
    https://www.suzukikenichi.com/blog/core-web-virals-will-only-apply-to-mobile-search/

    モバイル検索だけのページ エクスペリエンス シグナル
    ・コア ウェブ バイタル ※2021年5月から
    ・モバイル フレンドリー
    ・煩わしいインタースティシャルがない
    https://www.suzukikenichi.com/blog/core-web-virals-will-only-apply-to-mobile-search/

    重要なのはこちらの記事。モバイル検索だけは「Core Web Vitals」がシグナルとして使われることになりそうなのです。モバイルに最適化して買いやすくするのは当然として、SEOで激戦のジャンルでは「Core Web Vitals」にも対応しないといけない可能性があります。具体的な改善記事も出ていますので参考にしてみてください。

    トレンド② AIとAR・VRが新たな顧客体験を生む

    ユーザー体験を向上!Yahoo!ニュースにおけるCore Web Vitals対応事例 | Yahoo! JAPAN Tech Blog
    https://techblog.yahoo.co.jp/entry/2020120330052925/

    コロナ禍により、実際に店舗に出向くことが難しくなった昨今、海外では、ARやVRを活用した「新しい顧客体験の創出」への取り組みが非常に盛り上がっている。

    例えば、オンライン試着サービスだ。ユーザーが自分の写真を撮ってネット上にアップすると、気になる洋服を試着させた画像が見られる。その際に、自分の体形を登録することで、体型にマッチした試着もできる。
    https://webtan.impress.co.jp/e/2020/12/10/38326

    海外ではなくて日本でも導入事例が出てきました。

    もうネットだと試着できないなんて悩まない!ヴァーチャル店舗で試着体験 | ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
    https://newswitch.jp/p/24932

    銀座に無人の靴屋オープン、機械で足形測定 ピッタリサイズで購入可能 | BCN+R
    https://www.bcnretail.com/market/detail/20201210_204097.html

    靴の事例はAIやARではないですが、人と接触しないのでコロナ対策といえます。コロナが落ち着いたとしても店舗に行かずに試着ができるのであればそちらを選ぶ人も増えそうですよね。費用面で導入できない場合はオンライン接客などを活用していきましょう。

    トレンド③ サステナブルな取り組みが評価される時代へ

    アパレル企業にとっては今までの大量生産・大量販売のスタイルが否定され、頭を悩まされるところだったが、サステナブルな取り組みに購入の判断を委ねる消費者も出てきている。企業としては取り組まなければいけない要素の一つとなってきている。
    https://webtan.impress.co.jp/e/2020/12/10/38326

    こちらに関してはまだまだピンと来ていない人も多いと思いますので、Shopifyの調査データを見てみましょう。

    コマースの未来:Shopifyの調査からわかったコロナ禍における日本の消費者の購買傾向 | Shopify
    https://www.shopify.jp/blog/future-of-commerce-2021

    26%の消費者が「サステナブルやグリーン商品に対して買い物するときに好意的にとらえる」という記述に同意しています。

    特に若年層(18~34歳)の消費者が同意する割合が高く(42%)、中年層(35?54歳)は24%、高年層(55歳以上)は19%となっています。
    https://www.shopify.jp/blog/future-of-commerce-2021

    海外と比較するとまだまだ気にしている人は少ないものの、日本でも若い人の環境意識が高まっているようです。世界的なブランドがサステナブルを考慮した取り組みをして、ユーザーの支持を得たとなれば日本企業も対応していきますよね。

    世界的な流れと若者が作る流れがユーザー全体の行動を変える可能性もあります。サステナブルに関しては一朝一夕にできるものではありませんので、ちょっと長い目で見て今のうちから何かしらの取り組みを始めておいた方が良さそうです。

    トレンド④ ソーシャルショッピングの準備

    もともとSNSの企業利用は、広報や宣伝などを行ってブランド認知を上げるためのものであった。その後は消費者をファン化させるツールとして使われるようになり、最近では、購買行動に直接つながるツールへとシフトし始めている。
    https://webtan.impress.co.jp/e/2020/12/10/38326

    Instagram、「リール」でショッピングが可能に | Impress Watch
    https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1294749.html

    先週紹介したBASE加盟店の調査では、88.0%がInstagramを積極的に活用していました。そして、そのInstagramはECを強化しています。検索、メルマガ、LINEなどから売れていたものがいつの間にかSNS経由になってからでは遅いので、フォロワー数が少なくてもいろいろチャレンジしてみないといけませんね。

    最後に、先ほどのShopifyの調査で日本が1位になった項目を紹介します。

    Shopifyの調査結果から編集部でキャプチャ

    SNSはECの主戦場になっていきそうです。日本の消費者はモール以外で買い物するときには独自性のある商品を求めています。どこでも買えるものはモールでお得に安く、オリジナリティのあるものは探してでも独自サイトで、という傾向ですね。

    ここに関してはD2Cの記事を読んでいただければどんな流れでそうなったのかがわかるはずです。

    「結局のところD2Cってなんなの?」という人のために、できるだけ簡単に説明します。【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8227

    社会が成熟していくごとに、人はどこでモノを選ぶか基準が変わっていくなという思いがあります。以前は商品を選ぶ決め手は「機能面」だったけれど、次第に情緒的な部分が重視されるようになり、最近は運営者の「動機」も見られるようになってきた。
    https://netshop.impress.co.jp/node/8128

    2021年は「モバイル」「遠隔」「非接触」「サステナブル」「SNS」「D2C」、この辺りのワードを意識しながらECサイトを運営していきましょう。

    EC全般

    地方の小売店が大手に勝つために知っておくべき「消費行動の変化」「ネット通販戦略」 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8261

    Shopifyの調査を裏付けるような記事。海外では地元のお店で買う傾向があります。

    「楽天市場」出店店舗が東西に分かれて競う「東西対抗ショップバトル2020」。最大500円オフクーポンも | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8256

    ヤフーの割引率5割超の商品などを販売する「トクプラ」&クロスセグメントECプラットフォーム構想とは | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8262

    モールでは「安くお得に」という流れは強まっていますね。

    メルカリが「あとよろメルカリ便」12/8開始 最大2ヵ月、商品の保管~梱包・発送をオープンロジが代行 | ECzine
    https://eczine.jp/news/detail/8637

    メルカリ、ブックオフやカジタクと「捨てない大掃除プラン」を提供 片付け代行と出品・買取をセットで | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/2534

    どんどん便利になっていくメルカリ。不用品は売る習慣になっていくのでしょうか?

    無料でEC商品を掲載できるGoogleショッピングタブ!より効果的に掲載するためには? | ASUE
    https://asue.jp/blog/?p=15740

    無料で掲載できるようになっても広告を使った方が効果が出そうです。

    国民の祝日について | 内閣府
    https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html

    令和3年(2021年)に限り、「海の日」は7月22日に、「スポーツの日」は7月23日に、「山の日」は8月8日になります。

    今週の名言

    コロナ禍において突きつけられたのが、街も「変わらないといけない」ことだと思うんです。ずっと変わらない伊勢神宮をいただきつつも、社会情勢や経済情勢にあわせて、街としては常に変化・進化するべきなんだと。

    伊勢市が宮本亞門さん、相川七瀬さんらクリエイター130名を招致できた理由 | 市原えつこ(メディアアーティスト)
    https://comemo.nikkei.com/n/n210caa8c6b5a

    コロナ禍で変わらないものと変わるものがあります。理念や伝統は変えずにユーザーとの接点を変えていきましょう。

    森野 誠之
    森野 誠之

    会員300万人を超えた三井ショッピングパークのECモール「&mall」のオムニチャネル戦略とICT活用施策とは

    5 years 2ヶ月 ago

    三井不動産と三井不動産商業マネジメントが運営する三井ショッピングパークの公式ECモール「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)」の会員数が2017年11月のオープンから、約3か月で会員数が300万人を突破。RFID(Radio Frequency Identification)を在庫管理、ライブコマースのスタートなど、機能拡充も進めている。

    「Mitsui Shopping Park &mall」の会員数推移
    「Mitsui Shopping Park &mall」の会員数推移

    「&mall」はサービス開始当初から、リアル店舗における欠品対策、ECサイトからリアル店舗への送客支援、店舗在庫のEC販売、店舗スタッフの情報発信によるリアル店舗活性化支援など、リアル施設との相互連携に力を入れてきた。出店者に新たな販売機会の創出を目指す「リアル施設共生型ECサイト」としての特長を持つ。

    三井不動産と三井不動産商業マネジメントが運営する三井ショッピングパークの公式ECモール「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)」に参加するブランド
    「&mall」に参加するブランドなど

    「&mall」はICT技術を活用したオムニチャネル施策の強化を進めている。

    ライブコマースもスタート

    三井ショッピングパーク初となる「ライブコマース」を、12月14日から計6施設・約25店舗で配信をスタート。「ライブコマース」動画内で“欲しい”と思った商品は、ライブ動画内のリンクから「&mall」にアクセスして購入できる。

    「&mall」を活用したリアル施設のオムニチャネル化の一環として、実際に商品を見てからECで買い物をしたいという顧客に向け、各施設でショールーミングの催しを実施。「&mall」ローンチ以降、約30回のショールーミングに関する催しを行っている。

    「&mall」で展開するライブコマース
    「&mall」で展開するライブコマースの仕組み

    店頭受け取りの強化

    全国の三井ショッピングパークのリアル施設で購入商品の受け取りができるサービス拠点「&mall DESK(アンドモールデスク)」を現在、計19拠点で展開している。基本的な機能は、「&mall」購入商品の受け取り(送料無料)、「&mall」購入商品のフィッテイングルームでの試着、「&mall購入商品の試着後の返品」(返品無料)。

    その場で試着できることなどが評価され、「&mall DESK」での受け取り比率も増加しており、「リアル施設共生型ECサイト」ならではの特長を生かしたサービスとなっているという。

    「&mall」で展開している店頭受け取りサービス
    「&mall」で展開している店頭受け取りサービス

    顧客対応にチャットボットを導入

    顧客からの問い合わせに対し、従来の電話、メール、FAQ掲載での対応に加え、新たに機械学習型AIエンジンを搭載したチャットボットを導入。顧客の疑問に24時間365日自動で対応している。

    顧客からの問い合わせメッセージに対し、その内容をシステム側で判別、チャットのやり取りのように自動返答するシステム。よくある質問やその返答パターンをAIが学習し、精度の高い顧客サポートの実現をめざしている。

    「&mall」 顧客対応にチャットボットを導入
    「&mall」でのチャット対応イメージ

    在庫管理にRFIDを活用

    RFID(Radio Frequency Identification)活用による店舗在庫商品の「&mall」でのオムニチャネル販売にも対応している。

    RFIDは読み取りアンテナから発する電波により、非接触でRFIDタグに入力されている情報を読み書きする技術。店舗内に設置した複数のRFID読み取りアンテナが、商品に取り付けられたRFIDタグの情報を自動読み取りし、店舗内の商品在庫情報を自動的にデータ化している。

    店舗内の商品在庫情報を自動的に「&mall」で表示、販売することで、顧客は店舗以外の場所でも店舗商品を閲覧、購入できる。店舗側も新しい販売チャネルが増えることにより、店舗の在庫商品をより効率的に販売することが可能になっている。

    「&mall」が在庫管理にRFIDを活用
    RFIDを活用した在庫管理の仕組み

    決済面の拡充

    リアル施設においてもICT活用による取り組みを進めている。2019年4月にららぽーと海老名でサービスを開始したフードコートモバイルオーダー機能「スマホde注文」を、2020年9月からラゾーナ川崎プラザとアーバンドックららぽーと豊洲の2施設にも拡大した。

    「スマホde注文」は、施設公式アプリ「三井ショッピングパークアプリ」の画面から、フードコートの商品を選択、注文、決済することが可能で、店に並ばなくても席から注文できるという決済手段。

    12月1日からは、三井ショッピングパークでの買い物の際に使用できるQRコード決済が新たに3サービス増え、計8決済サービスでの支払いを可能にした。全国のららぽーとや三井アウトレットパークなど約70の三井ショッピングパーク施設の全店舗で利用できる。

    ららぽーとなど、実店舗の決済手段について
    実店舗の決済手段について

     

    石居 岳
    石居 岳

    多くの店がなくなる時代、それでも生き残る店の条件とは? | 『2025年、人は「買い物」をしなくなる』ダイジェスト

    5 years 2ヶ月 ago
    『2025年、人は「買い物」をしなくなる 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃』(望月智之 著/クロスメディア・パブリッシング 刊)ダイジェスト(第4回)

    「新たな役割を見つけて生き残る店舗」は、いったいどのようなものなのか? それは、ひと言で言えば、「体験型の店舗」である。

    ECサイトがこれから先、どんなに進歩しても、なかなかできないことがある。それは「リアルの体験」である。

    ネット環境の向上、VR(バーチャル・リアリティ)の進歩により、近年はバーチャルながら「リアルに近い体験」を目指してさまざまな技術開発がなされている。しかし、現時点ではそれはあくまでリアルではない、バーチャルだ。

    「体験型」の店舗が生き残る時代へ

    たとえば、ネットで評判のカレー屋があるとする。しかし、実際にその店に行かないと、「食べるという体験」はできない。焼きたてのパンを食べられるのも、パン屋だけだ。ネットで注文できるカレーやパンは、レトルトのものや冷凍のものに限られる。いちばんおいしいできたてのものを食べることは、実際に行くことでしか体験できないのだ。

    同じ「店舗」でも、飲食店は、もともと「食べる」というリアルの体験が前提となっているので、小売店と比較すると今後も生き残りやすいだろう。

    もちろん、もともと競争の激しい業界なので、店舗ごとに見れば商売の厳しさは変わらないし、最近では、「お店で待ったり並んだりするのが面倒だ」というニーズもあり、実店舗や調理場から直接料理を届けてくれるUber Eatsなどのサービスも出てきている。加えて、日本を含めて先進国では人口も確実に減っていくため、実店舗の減少自体は避けられない。ただ、私たちが生きているうちに、世の中から飲食店が消えることは考えにくいだろう。

    サービス業も同様だ。美容室やマッサージ、スパ、エンターテインメント施設など、そこに行かなければサービスを受けられないものは、ネットでは代替が難しい

    今後、地方や郊外のショッピングモールで残っていくのは、こうした飲食業とサービス業だけかもしれないのである。

    今、岐路に立たされているのは、小売店である。小売りの店舗は、飲食・サービス業の店舗ほど、「リアルの体験」を求められていない。消費者からすればモノが届けばいいので、現状のECサイトで十分間に合う。

    こうした流れを早くに察知し、すでに店舗展開を大幅に変えている企業もある。世界的スポーツブランドのナイキだ。

    ナイキが2018年11月にニューヨーク5番街にオープンした「ナイキ ハウス オブ イノベーション000(NIKE House of Innovation 000)」は、その名の通り、革新的な店舗として話題を集めている。ここでは、ただスニーカーやウェアを販売するだけではない。そこに「体験」を取り入れているのだ。

    ナイキの店舗といえば、大量のスニーカーが箱に入れられた状態で陳列された店内風景を想像する人が多いだろう。だがこのニューヨーク5番街のナイキには、そのような売り場は存在しない。スニーカーは一つひとつが美術品のように並べられており、それを見ているだけでもナイキファンには楽しい店舗体験となる。

    言ってみればこの店舗は、「ショールーム」として機能しているのである。気になったスニーカーがあれば、スマートフォンアプリでバーコードやQRコードを読み取って情報を入手する。そこに店員がいなくても、アプリから試着用のスニーカーを取り寄せることもできる。

    ほかにも、スニーカーの部位ごとに色をカスタマイズしたり、専門のスタッフと一対一で相談したりと、個人に合わせた「体験型サービス」を備えている。それをデジタルと融合させた形で実現しているので、ショッピング体験そのものが、新しい体験といえるだろう。

    一方で、購入時の面倒なやり取りは省略されている。ナイキのアプリで決済するため、レジに並ぶ必要はないのだ。ナイキは、モノづくりだけではなく、ユーザー体験を高めるためにデジタル投資を積極的に進めるIT企業ともいえるだろう。

    このように、小売りでは今後、「体験」がキーワードとなる。

    「わざわざ行く価値がある」という店舗だけが生き残る時代になるのである。もちろん、このような動きに伴ってお店の形も変わっていく。商品を並べる場所がいらないので、店舗の広さが小型化することも想定される。

    そうした意味では、地方にも可能性が秘められている。これだけ物流の発達した時代でも、地方の港町に行けば、「この魚が生で食べられるのはここだけ」ということがある。その地方にしかない食材やイベントがあれば、物欲よりも“体験欲”が旺盛な消費者が、わざわざ足を運ぶことも増えていくかもしれない。たとえば、自分でつかまえた魚を料理して食べたり、伝統職人が手づくりでつくったものを何カ月も待って買ったりするといったことは一層増える。

    こうした動きは、ネット通販を手がける小さな小売りやメーカーにもチャンスだ。

    たとえば百貨店の催事コーナーでは、「北海道物産展」などは人気コンテンツのひとつだが、こうした物産展をはじめ、都市部に小さなスペースのリアル店舗を期間限定で出店する「ポップアップストア」を活用するのだ。単にネットで全国販売するだけではなく、ときにこうしたリアルの場を用意して、実際に手に取ったり、試食できたりといった「体験」を提供する。最近は、こうしたポップアップストアの場所を提供するIT企業もあり、中小規模の企業でも比較的手軽に出店できるようになっている。

    「選ぶのが面倒」な人たちはAIを信じ始めた

    先にも述べた通り、消費者は、たくさんの中から商品を選ぶのが面倒になってきている。しかし、選ぶのが面倒でも、最終的にはいずれかの商品を選ばないといけない。

    従来は、その判断基準が、テレビCMや新聞広告などだった。

    テレビCMでよく流れているから、これにしよう。

    新聞広告に載っている商品だから安心だ。

    そういった判断基準で、商品を選ぶ人はとても多かった。

    しかし昨今、従来型のマス広告が消費者に効かなくなっている。特に若い人たちは、広告を信用していない。何かを買うときに、無意識のうちにマス広告によって多少の影響を受けていることはあっても、昔ほど絶対的な価値基準となっていないのだ。

    では、すでに選ぶことをやめた人たちは、どんな情報を頼りに、買うか買わないかの判断をしているのだろうか?

    彼ら(もはや「私たち」と言ってもいいかもしれない)が信頼を寄せる情報源は2つある。“AI”と“口コミ”である。

    AI

    まずは、「選ぶことをやめた人たち」が、なぜ“AI”に信頼を寄せるのかから説明しよう。

    AI化が進んでも、「商品を選ぶ」というプロセスは人間に残るのではないか。そう思っている人は少なくないだろう。「機械が選ぶものは、ろくなもんじゃない」という声も依然としてあるはずだ。私たちはまだ、機械を全面的に信用しているわけではない。

    しかし、実際のところ、今の時点でも「商品を選ばなくなった」という人はとても増えているのだ。

    皆さんもネットで買い物をするときに、自分で検索をしたわけではないのに、「あなたにおすすめの商品」といった形で商品紹介をされたことがあるだろう。これはAIが、その人の検索履歴や閲覧履歴、購買履歴などから紐づけて、「あなたにマッチしているのはコレとコレとコレですよ」と、数多ある商品の中から絞ってレコメンド(推薦)しているわけだ。

    商品の推薦をAIで行うことを開発したのはAmazonであり、その背後には独自のアルゴリズムがある。このアルゴリズムを解読できれば、他社よりも優位にマーケティングができるので、世界中のマーケティング専門家が鎬(しのぎ)を削る世界となっている。

    私たちは膨大な商品ラインナップから選ぶ必要はない。機械が勝手に選んできたものを見て、「可否を判断する」だけの部分も大きいのである。これはわれわれ消費者にとっては利点が多いわけだが、販売する企業側では、AIが推薦することになると、資本力がある小売りであっても消費者に自由にマーケティングできなくなる。以前のように多額の広告費を使ってマーケティングできた時代ではなくなってきている

    機械の選別の精度に疑問を感じている人もいるかもしれないが、まともなサイトであれば、まったく興味のないものがおすすめ商品として上がってくることはあまりない。いつも同じ商品ばかりがおすすめされてうんざりしていたとしても、おすすめの情報はそのうち上書きされて「ちょうど欲しかったもの」に置き換わるだろう。

    テレビCMよりも口コミを信じる消費者たち

    そして、「選ぶことをやめた人たち」が信頼を寄せるもう一つの情報源が“口コミ”だ。それは自分の知り合いだったり、ネットで活躍するインフルエンサーだったりする。

    あの人がいいと言っているから、きっといい商品なんだろう。

    あの人が使っているものと同じものを使いたい。

    インフルエンサーマーケティングがどれだけ身近になっているか、その状況については、あとの章でも述べるが、マスメディアの広告よりも、信頼している人からの口コミを信じて商品を購入することが増えているのだ。

    たとえばシャンプーのテレビCMを見て、「この女優さんみたいな髪の毛になりたい!」と思って同じシャンプーを買う人は、以前ほど多くはないだろう。多くの視聴者は、その映像にCM上の演出効果がいくぶん含まれていることを最初から知っている。つまり、商品の認知にはつながっても、購買に直接的に結びついているかどうかは、なかなかわかりにくいのである。

    それよりも、同じ髪の毛の悩みを持ったインフルエンサーや友人などから、「このシャンプー、私たちみたいな髪質にすごく合うから試してみなよ」と言われたほうが、今の消費者にとっては購買に結びつきやすい

    近年、YouTuberやインスタグラマーを使ったインフルエンサーマーケティングが増えているのも、テレビCMよりも高い訴求効果に期待する企業が増えているからだと考えられる。

    さらに面白い動きとして、アメリカでは、ショップ店員の採用については、Instagramのフォロワーの数の多い人を採用する流れも出てきている。影響力のある店員は「プロ店員」としてますます市場価値が高まる。そして、すでにそうした店員の引き抜きも始まっている。店員は商品陳列やレジ係という時代は終わり、プロの販売を求められるのだ。

    また中国では、アパレル店舗の中に、ライブ配信するためのブースがあり、販売員ではなくインフルエンサー(KOL=Key Opinion Leader)がそこを使って自由にライブ配信できるという動きも始まっている。店舗は「ライブ配信場所」に変化していくのである。

    私たちがこのように、AIや口コミに頼り、自分で選ぶことをやめた理由の1つは、「面倒だから」であるが、それ以外にも理由はいくつかある。

    自分の感覚だけで選んで失敗したくない。

    選ぶ時間がもったいない。

    みんながいいと言っているものが欲しい。

    自分で選ぶことが必ずしもベストの選択ではないとわかっている人たちにとって、「自分で選ばない」ことは、もはや珍しいことではなくなっているのだ。自分が本当に好きなものや、商品知識が豊富なものに関しては、「自分で選びたい」という人でも、そこまでこだわりのない買い物であれば、手短に済ませたいだろう。

    この記事は『2025年、人は「買い物」をしなくなる 次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃』(望月智之 著/クロスメディア・パブリッシング 刊)の一部を特別に公開しているものです。

    2025年、人は「買い物」をしなくなる

    2025年、人は「買い物」をしなくなる
    次の10年を変えるデジタルシェルフの衝撃

    望月智之 著
    クロスメディア・パブリッシング 刊
    価格 1,480円+税

    デジタル先進国である米国、中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集している筆者が、近い未来の消費行動や求められるECのあり方を予測する。

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    望月 智之
    望月 智之

    オフラインマーケの経験を生かして「行動から顧客ニーズをあぶり出す」。120年の歴史を武器にECに挑戦する奥田製薬 | EC業界で活躍する女性の働き方に迫る“e-女”~Presented by売れるネット広告社~

    5 years 2ヶ月 ago
    売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏と、創業明治30年の老舗製薬会社・奥田製薬株式会社の石川砂織氏との対談

    売れるネット広告社の代表取締役社長CEOの加藤公一レオ氏がEC業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談する企画。10回目は奥田製薬株式会社の石川砂織さんの登場です。

    今回の“e-女”

    奥田製薬株式会社 石川砂織氏
    奥田製薬株式会社 石川砂織(いしかわ さおり)さん
    大阪府生まれ。広告代理店、製薬会社などで広告宣伝、販売促進、市場リサーチ設計、ブランディングなどマーケティング業務全般に携わる。製薬会社の通信販売部では新規顧客集客、会員向けプロモーションなど企画運用を責任者として担当。2016年に奥田製薬株式会社に入社。奥田製薬では製薬会社のマーケティング業務全体を担当し、また通信販売部のリーダーとしてプロモーション、商品開発、フルフィルメント全体を統括運用している。

    お客さまの行動からニーズをあぶり出す

    加藤公一レオ(以下、加藤):これまでのキャリアを教えてください。

    石川砂織(以下、石川):最初のキャリアは広告代理店でした。オフラインの広告代理店2社を経て、製薬会社の通販事業部に企画担当者として入りました。その後、もう1社を経て奥田製薬に入社しました。

    加藤:これまでは店販商品のマーケティングが中心だったんですね。店販マーケティングのテッパンのやり方というのはどんな感じですか?

    石川:消費者インサイトを拾うこと、体験・実感型のマーケティングを得意としています。「お客さまの行動パターンから底に沈んでいるニーズをあぶり出す」という手法です。

    例えばドラッグストアなどを見回るとき、「どんなポップを見ているのか、どんな商品をどんな順番で見ているのか、何を手に取っているのか、どんな動線をたどっているのか」など、怪しまれない程度にお客さまの行動を観察します。ネットで言うところの「かご落ち」を見るという感じです。

    加藤:面白いですね。万引きGメンだと思われるんじゃないですか?(笑)

    石川:警戒されないように気を付けています(笑)

    オンライン出身とオフライン出身のマーケターの違い

    加藤:御社の企業理念を教えてください。

    石川:明確な「企業理念」というのはありませんが、「創業は人助けから」という言葉がキーワードです。創業者自身、胃腸が弱く、「なにか良い薬はないだろうか」と自ら開発し、誕生したのが創業商品の「奥田胃腸薬」でした。その「奥田胃腸薬」を胃腸が弱くて困っている近所の人にたくさん配ったそうです。それから現在に至るまで、奥田製薬では「世のため人のために良い薬を作ってお届けする」ということを社会的な使命としています。

    奥田製薬のサイトより

    加藤:素晴らしいですね。いろいろな商品を出されていますが、奥田胃腸薬の他にどのような医薬品を出されているのですか?

    石川:胃腸薬や奥田脳神経薬のほかに、解熱鎮痛薬やアレルギー用薬、さまざまなカテゴリーの医薬品を販売しています。ほかに、大手ドラッグストアのプライベートブランド商品も多数手がけていますので、見かけられたことのある商品もあると思いますよ。

    加藤:御社は120年以上の歴史があるんですよね。

    石川:はい。明治30年創業で、今の社長は4代目になります。ずっと店頭販売の医薬品を中心に事業を展開してきましたが、約2年前に医薬品以外の商品を販売する通販事業を本格的にスタートしました。通販事業では化粧品の取り扱いも始めています。

    加藤:通販に参入してどうですか?

    石川:難しいですね。お客さまの注文もプロモーションもすべてオンライン、Webを通じての施策で、通信販売の経験があっても世の中の変化が激しすぎてお客さまの望みがどんどん変化していくので、私自身が持っている知識や情報はどうしても古く感じてしまいます。また、通販の経験者ということがあろ私が統括担当していますが、通販事業の専任というわけではないので、やりきれていないことが多く、まだまだこれからです。

    加藤:御社ならではの面白い取り組みや画期的な制度などはありますか。

    石川:「面白い取り組み」というのとは違いますが、当社は製薬が本業なので、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は100%守らなければなりません。製薬会社としての信用を落とすわけにはいかないので、商品の品質や広告表現はとても厳しく管理しています。

    お客さまに「本当にいいものを売っている」と思ってもらえるような商品づくりはもちろん、広告表現でも過度な売り文句は使わず、本当のことをきちんとお伝えできるような表現を選んでいます。また、何か企画を考えるときには私自身がオフライン通販の出身ですので、そのときに得た経験を、言い回しや運用に生かしているということも少し変わっているのかもしれません。

    加藤:これまで数多くのマーケターと会ってきましたが、実はネットのマーケティングに慣れてくるとオフライン出身のマーケターの方が優秀な場合が多いんですよね。なぜかというと、もともとネットから入ったマーケターの方はテクノロジーを過信する傾向があって、アナログ的な視点でお客さまのインサイトを探ろうという意識がないんです。

    その点、オフラインのダイレクトマーケティングには膨大なノウハウの蓄積があるので、オフライン出身のマーケターは、ネット出身のマーケターとは違う視点でマーケティングができるという強みがあります。

    石川:なるほど。オフライン経験者ならではのアイデアが出せるんですね。

    オフラインマーケティングのノウハウは宝の山

    加藤:ネット通販の面白さについて、何か感じていることはありますか?

    石川:面白さは、「ネットの画面を見ただけで、人って商品を買うんだな」というのを実感していることです。ありとあらゆる商品がネットで買えるようになって、ネット上で比較検討を完結させているお客さまも多いです。

    加藤:ネット通販は24時間365日、リアルタイムで結果が数字で目に見えるという面白さもありますよね。

    石川:オフラインの場合は、コールセンターに張り付いて反響を見たり、トークスクリプトを作成して引き上げや離脱防止をしたりしますよね。ネットマーティングにも採り入れるべきことはありますが、やり方が全然違います。ただ、コールセンターでの引き留め施策など、ネットに転用できるオフラインのノウハウはたくさんありそうですね。

    加藤:オフラインのノウハウは宝の山なので、石川さんや御社がお持ちのオフラインのマーケティングの本質的なノウハウをデジタルに持っていけば、すごいことになると思いますよ。

    売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏

    お客さまのつぶやきが広告のヒントに

    加藤:ドラッグストアに行ってお客さまを観察するという取り組みは素晴らしいと思いますが、ネットでも類似の取り組みはできそうですか。

    石川:他社商品も含めて、Twitterの口コミやAmazonのレビューはすごく見ています

    加藤:なるほど、それは良いですね。自社商品の良い口コミを仕込む通販会社はありますが、純粋にお客さまの口コミやレビューをしっかり見ている通販会社はなかなかないと思います。

    石川:口コミは純粋に気になります。「人を見てインサイトをさぐる」という手法が染みついているので、お客さまの言葉や行動から何を読み取るのかが大事だと考えています。

    加藤:当社もA/Bテストの会社ですが、デジタルのマーケティングはプロセスや文脈を見るというよりは、A/Bテストをやって結論を出すという手法が主流です。ただ、そんな中でもなんとなく適当にやるのではなく、インサイトを読んで仮説を立てたうえでやるとA/Bテストの精度が上がります

    石川:そうですね。他社商品も含め、お客さまのつぶやきから広告表現のヒントを得ることもあります。

    加藤:逆にネット通販の難しさについて、何か感じていることはありますか。

    石川:当社の商品は品質にこだわった良い商品なのですが、薬機法の縛りが多く、言いたくても言えないことがあまりにも多いです。目に見える形になっているランディングページの場合、電話での会話以上に表現に対して神経を遣わなければなりません。薬機法に触れないよう真っ白な状態でやっていても、競合の中には薬機法ギリギリのグレーなところを攻めてくる通販会社もあります。商品が類似している場合、より強い言葉で訴求している他社よりも不利になってしまうのが悩ましいところです。

    加藤:そうですよね。だからこそ商品の良さを過剰に盛って伝える必要のないツーステップマーケティングをやって、お客さまに商品の良さを知ってもらうと良いでしょう。御社は現在、ワンステップマーケティングをされていますが、将来的にはツーステップマーケティングにチャレンジすることをおすすめします。というのも、ワンステップマーケティングというのは、合コンで出会っていきなり結婚を申し込むような手法で、ツーステップマーケティングはまずはデートに誘い、お互いを知ってから結婚を申込むという手法だからです。

    御社は絶対にそんなことはないと思いますが、いきなり本商品の定期コースをオファーするワンステップマーケティングをやっている通販会社は、商品を良く見せるために、薬機法すれすれまで過剰に商品の良さを盛って伝える傾向があります。恋愛と同じで、まずはデートに誘ってお互いを知った後で結婚を申込む(まずはモニター商品を試してもらってから本商品の定期コースをオファーする)方が自然だし本質的ですよね。ネット通販のマーケティングもそのように変わっていくべきだと考えています。

    奥田製薬株式会社 石川砂織氏

    石川:ツーステップマーケティングの方が継続率も高くなるんですよね。

    加藤:そうですね。当社でも何度もA/Bテストをしていますが、ワンステップマーケティングに比べ、ツーステップマーケティングの方が、LTVが平均で1.5倍、最大で2.0倍高くなることがわかっています。ツーステップマーケティングは、ロイヤルカスタマー化に有効な施策です。

    石川:いろいろな取り組みをした結果、「ツーステップマーケティングの方が良いのではないか」という結論が出て、ようやく立ち位置というか方向性が見えてきました。今後ツーステップマーケティングをやるべく準備を進めているところです。

    加藤:御社の創業者は、ツーステップマーケティングじゃないですけど「1度試してみませんか」と胃腸薬のモニター商品提供のようなことをされていたんでしょうか。

    石川:はい。お試しとはちょっと違いますが、胃病で困っている方に「良い薬だから使ってみて」と差し上げていたそうです。無料で差し上げていたらそれが評判になり、求めに応じる形で販売を開始したのが創業のきっかけだったそうです。

    加藤:なるほど。そのストーリーはランディングページでも使えそうですね。創業の歴史や理念を盛り込んだうえで、「私たちのことを知ってほしいから、いきなり本商品の定期コースではなく7日分のモニターを試してみませんか」という訴求ができそうです。

    石川:なるほど。検討します。

    製薬会社としての信用を生かしてサプリメントに挑戦したい

    加藤:今後チャレンジしたいことはありますか。

    石川:サプリメントや雑貨を出したいと考えています。製薬出身ですが、医薬品以外のお客さまの生活に役立つ良いものを提供していきたいです。特に体の中に入れるサプリメントは、製薬会社としての信用が生きてくると思います。

    加藤:確かに、サプリメントや健康食品に関しては、製薬会社や大手企業などバックボーンがしっかりしている会社の方がお客さまも信用します。味を楽しむものではないですし、薬と違って即効性があるわけではないので、サプリメントを飲むならお客さまは信用のある企業の商品を選びます。逆に、化粧品は肌につけた瞬間に違いがわかるので、化粧品は比較的中小のベンチャー企業でも勝てる分野です。

    石川:そうですね。当社の場合、業種的にサプリメントとの相性は良いので、「いかに良いものを作っていくか」という視点で成分などを研究しているところです。

    奥田製薬のサイトより

    「二重人格戦法」でブランド価値を高める

    石川:以前から疑問に思っていたのですが、おしゃれなブランドイメージを伝える美しいランディングページとチラシ風のランディングページでは、やはりチラシ風のランディングページの方がレスポンスが良いんですか。

    加藤:はい。何度もA/Bテストをしていますが、チラシっぽいコテコテのランディングページの方がコンバージョン率が高いです。ただ、ランディングページはコテコテのものを使いながらも高いブランドイメージを維持している通販会社もあります。

    まずは商品を試してもらうことが大事なので、新規顧客に対しては下品にならない程度にコテコテにしたランディングページでガツンと商品の良さを訴求します。一方で、ブランドの世界観を伝えるには、実は同梱ツールがすごく役立ちます。ランディングページはコテコテでも、パンフレットはものすごくキレイなデザインにするんです。

    石川:商品が送られてきたときのセットがキレイだったらブランド価値が上がるんですね。

    加藤:そうです。「二重人格戦法」と呼んでいるのですが、お客さまが「この商品、良いな」と思って初めてブランド体験ができるので、商品お届け時に世界観を伝えるパンフレットや手紙などの同梱ツールを入れます。読むだけで会社や商品のファンになるような中身の充実した同梱ツールを入れて、ブランド価値を高めることが重要です。

    石川:ツーステップマーケティングを開始するタイミングで同梱ツールのブラッシュアップも検討したいと思います。

    加藤:化粧品の単品通販の場合、モニター商品を入口としたツーステップマーケティングで、ちゃんとした同梱ツールを入れれば、平均継続回数は5回以上になります。

    石川:勉強になります。

    加藤:ぜひいろいろと実行してください。単品通販というのは、一度成功事例を作ると、どんどん横展開していけるモデルです。

    石川:来年にかけて全力で頑張ります。

    対談を終えて

    売れるネット広告社の代表取締役社長の加藤公一レオ氏と奥田製薬株式会社 石川砂織氏

    会社の歴史は120年以上と長いものの、通販事業は2年ほど前に始めたばかりの奥田製薬様。ECの世界ではある意味挑戦者の立場ですが、長い歴史と製薬会社の品質に裏打ちされた商品への誇りとこだわりがうかがえました。その商品力と石川さんのマーケティングの知見を掛け合わせ、新たな施策に取り組んでいくことで、さまざまなシナジーが生まれる予感がします。

    何よりも、「人助け」から始まった創業者の想いが今も受け継がれているのが素敵ですね。商品力はもちろんですが、創業の精神や商品開発への想いをお客さまにしっかりと伝えていくことがロイヤルカスタマー化につながるのではないかと感じました。

    ※「売れるネット広告つくーる」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第5921847号

    加藤公一レオからのお知らせ

    日本で唯一のネット広告/ランディングページ特化型のクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」は、登場した“e-女”が所属する企業さんも利用しています。

    【無料セミナーのご案内】

    売れるネット広告社は、「仮説ベース」ではなく「事実ベース」で、いかにクライアントの広告の費用対効果を上げていくか、いかに売り上げを上げていくかに特化し、“100%確実性”のある広告を追求してきました。無料セミナーでは、“最強の売れるノウハウ”、つまりは10社以上で広告の費用対効果が上がった成功の仕組みを大公開します。

    加藤 公一 レオ
    加藤 公一 レオ

    ハックルベリーがShopify向けアプリに「A8.net」連携実装機能を追加、自社ECの集客支援を強化

    5 years 3ヶ月 ago

    ハックルベリーとファンコミュニケーションズが連携し、ECプラットフォーム「Shopify」アプリ内から簡単に「A8.net」のASPを導入できる機能を開発した。

    ハックルベリーの「Shopify」向けアプリ「Affiliate Integrate(アフィリエイト インテグレート)」に、「A8.net」連携機能を実装。「Shopify」を利用している企業が、簡単に「A8.net」を導入できるようにした。

    ハックルベリーとファンコミュニケーションズが連携し、ECプラットフォーム「Shopify」アプリ内から簡単に「A8.net」のASPを導入できる機能を開発
    連携イメージ

    連携機能は、アプリをインストールするだけで「A8.net」のアフィリエイト集客プログラムに申請・参加することが可能になるもの。運営企業は準備作業、運用作業の時間といった手間を省くことができる。

    「Affiliate Integrate」はすでに多数の企業がインストールしているため、ファンコミュニケーションズはそのEC実施企業にアプローチできるようになる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実
    確認済み
    7 分 10 秒 ago
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