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「赤字になる」「役員全員が反対」――宅急便を生んだイノベーションなどが学べる「クロネコヤマトミュージアム」探訪記 | 物流女子の旅

5 years 3ヶ月 ago
ヤマトグループ100年の歴史が学べる「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」が東京港区にオープン。パネル展示だけでなくミニシアターや体験コーナーがあり、家族で楽しみながらヤマトグループの歴史を無料で学べます【物流女子の旅④】

今や当たり前となった個人向け宅配。「赤字になる」「会社をつぶすことになる」と社内から猛反発の声があがった個人向け宅配市場を切り開き、「宅急便」を全国に浸透させたのがヤマト運輸2代目社長の小倉昌男氏。

小倉氏が切り開いた個人向け宅配市場など、ヤマトグループのイノベーションの歴史などが学べる「ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム」が2020年7月2日、東京都港区にオープンしました。

ヤマトグループ創業100周年を記念して設立されたミュージアムでは、創業から現在までの歴史を世の中の出来事とともにパネルやミニシアターなどを用いて展示しています。

クロネコのネコマークが誕生した秘話、ヤマトグループの歴史、お子さんも楽しめる体験コーナーなど、ミュージアムの様子をレポートします。

1910年代、創業時のトラック模型や制服、創業者の音声も聞ける

ヤマトグループ歴史館 館長の白鳥美紀氏とアテンドツアースタッフの下平氏の解説を聞きながら見学。ミュージアムは建物外周のスロープを活用したユニークな作りで、スロープを下っていくごとに見学対象となる資料などの年代が新しくなっていきます。

最初の展示は創業時(1919年)。制定された社訓や年表、創業者・小倉康臣(おぐらやすおみ)氏に関する展示が行われています。見どころは創業当初に使用していたトラックの模型と当時の制服レプリカの展示。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 初代トラック
当時使用していたトラックの模型。1台あたり現在の価格で750万円相当で購入したそう
クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 運転手の制服 レプリカ
運転手専用の制服のレプリカ。当時、運転手の制服は珍しかったそうです

ヤマトグループの歴史を人々の人生に重ねたストーリー

創業時代の展示の隣には、約14メートルの大型スクリーンを設置した円形シアターがあり、ヤマトグループとある家族4世代の100年間の物語を楽しめます。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 ミニシアター
近くの席で見ると迫力のある映像、遠くの席で見ると全体を見られる設計です。上映の合間には開始までの時刻とネコたちの映像が流れていました

1920年代、大和便と事業多角化の時代

シアターを抜けると、1920年代から1960年代までの資料などが展示されています。ヤマトグループがさまざまな事業に取り組んだ時代。日本初となる定期便の内容、ネコマークが生まれた背景について学べます。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 定期便 ヤマト便
1920年~1940年代についての展示箇所。日本初の定期便は1929年に東京~横浜間をスタートし、1935年に関東一円にネットワークを拡大しました

実はヤマトグループは3つの日本初を実施しています。それがトラックを使った運送会社、定期便、宅急便です。創業者も2代目の小倉昌男(おぐらまさお)もイノベーターとして新しい事業を創造するチャレンジ精神の持ち主で、今もその精神が受け継がれています。(ヤマトグループ歴史館 館長 白鳥氏)

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 定期便の案内パンフレット
定期便について書かれたパンフレットやチラシ。対象となるお客さまが今とは違いますが、この時代から電話をかけたら荷物を集荷してもらえる仕組みがあったそう

定期便だけではなく、引っ越しや美術品の輸送業務も行っていました。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 引っ越し マッカーサー
マッカーサー元帥の引っ越しを行ったのもヤマトグループ

有名なネコマークの原画が見られる!

歩みを進めると、有名なネコマークが誕生した経緯やネコマークに込められた思いを知ることができます。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 猫マーク誕生
誕生のきっかけになったアメリカのアライド・ヴァン・ラインズ社のネコマーク。小倉康臣氏が訪米した時にマークに込められた思いに共感、「マークを利用したい」とお願いし、日本ではヤマト運輸のみ使用許可をもらっているそう

親猫が子猫をくわえているマークには、「親猫が子猫を優しくくわえて運ぶように、お客様の荷物を丁寧に扱う」という思いが込められています。(アテンドツアースタッフ 下平氏)

貴重な絵の原画も展示されています。当時の広報担当者のお子さんが書いた絵がヒントになっているとのこと。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 ネコマーク 原画
ずっと右の絵が原画だとされてきましたが、2016年によりマークに近い左の絵が発見されました(左の絵はレプリカ)

絵を描いたご本人にお話をうかがいましたが、幼い頃だったので覚えていらっしゃらないとのこと。ただ「当時、黒猫と白猫を飼っていたのでその猫たちを書いたのかもしれない」と仰っていました。(白鳥氏)

1970年代、経営危機からの脱出

1970年代以降の展示では、2代目社長の小倉昌男氏が宅急便を開発した経緯や浸透までの軌跡、小倉昌男氏に関する資料などが展示されています。

高度経済成長期だった1960年代は、多くの運送会社が長距離輸送サービスを始めていた中、時代に乗り遅れたヤマトグループが経営危機に陥った時代です。

この時代が一番、危機に陥った時代で、100年間ずっと業績が伸びていたわけではなかったんです。(白鳥氏)

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年
両壁に1960年代に起きた主な出来事を、象徴的な内容がフロアに展示されています。これは「時代からこぼれ落ちたヤマトグループ」をイメージしているそう。
クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 宅急便の誕生
2代目社長の小倉昌男氏が経営を立て直すために参考にした企業のアイテムを展示。アイテムの下に生えている多くの芽は「宅急便の芽」を表しているそう
クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年
小倉昌男氏は宅急便を始めるために奔走しましたが、保守的な会社だったため役員から猛反対を受けたそう。飛び出た文字は猛反対を受けたイメージを表しています

個人間の荷物輸送を便利にした「宅急便」スタート

宅急便を開始した後の展示スペースでは、当時の宅急便のCMや取扱店の看板を展示しています。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 宅急便
当時流れていた宅急便のCMと懐かしの黒電話
クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 宅急便の看板
当時、宅急便取扱店に設置されていた看板。今でも取扱店をしているお店から寄贈されたとのこと

消費者の要望から生まれたサービス

今も活躍する「クール宅急便」や「スキー宅急便」などの展示もあります。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 スキー宅急便
「スキー宅急便」サービス開始時の様子や梱包について展示しています

お客さまの立場に立つ」という経営理念をきちんと反映した結果、いろいろな商品やサービスが生まれています。そのおかげで取扱量も右肩上がりにどんどん増えていきました。(白鳥氏)

宅急便を開発した小倉昌男氏とはどんな人物なのか?

宅急便を開発した2代目社長の小倉昌男氏の著書などから抜粋した主要な発言を、テーマごとに展示。貴重な当時の講演の映像を見ることもできます。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 小倉昌男
パネルには小倉昌男氏の主要な発言が表示されています。写真に写っているパネルとは別に、講演の内容を聞けるモニター展示があります

来場者に人気の宅急便体験コーナー

ミュージアム内で人気の体験コーナー。セールスドライバーの制服を着て撮影したり、配送に使用されている実物のウォークスルー車の内部を見学できたりします。

写真撮影はこの宅急便体験コーナーのみ可能です。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 セールスドライバー 制服
歴代のセールスドライバー制服も展示されています。子ども用の制服も用意されており、写真撮影OK!

ウォークスルー車のフロントガラスは視界を広くするために大きく。運転席側(右側)から降りると走行中の車と接触する可能性があるため、左側のスペースを広くして安全に降車しやすい設計になっています。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 ウォークスルー車
ナンバープレートは「96-25(クロネコ)」。ウォークスルー車の生産自体は終了してしまっているそう

そのほか、宅急便の「積みつけ体験コーナー」では、実際の2分の1サイズのボックスに、上手に荷物を積めるかチャレンジできます(残念ながら2020年8月時点では新型コロナウイルスの影響で中止になっています)。

未来へのチャレンジ

最後の展示スペースは2000年代以降の歴史や未来へ向けたヤマトグループの取り組みについて知ることができます。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年
社章にもなっている桜の木をモチーフとしたオブジェに、2000年代に取り組んだ施策を「実」と表現して展示。ここにもアイデアの芽が生えています

アテンドツアースタッフいちおしの「未来創造ラウンジ」

展示が終わると、来館者が「コメントシート」を書ける「未来創造ラウンジ」があります。ラウンジの壁面には、未来の街を創造したイラストが描かれています。

イラストには「これからもお客様と一緒に歩んで未来の街を創造したい」という気持ちが込められているそう。「コメントシート」には「こんな未来があったら良い」と思う内容を書き、壁面に貼り付けられるようになっています。

クロネコヤマトミュージアム ヤマトグループ歴史館 ヤマトグループ 歴史 100年 未来創造ラウンジ
貼る場所がないほどたくさんのコメントシート。アテンドツアースタッフの下平氏はこの壁面を見るのが本当に好きなようで、とびきりの笑顔で説明してくれました

新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底

クロネコヤマトミュージアムでは、博物館協会のガイドラインに従い新型コロナウイルス感染拡大防止策を講じています。

来館者向けにお願いしている内容や、ミュージアムスタッフが行っている主な対策は以下の通りです。

<来館者>

  1. 受付時に非接触型体温計を用いた検温と手指の消毒、マスク着用
  2. 受付時に氏名、連絡先の記入
  3. 館内の混雑状況により、入館時間の制限を行う場合がある
  4. 団体やアテンドツアーの案内人数を1グループ10名以下に制限

<ミュージアムスタッフ>

  1. 体温測定の義務化。体調のすぐれないスタッフは出勤停止
  2. マスクの着用、こまめな手洗い、うがい、消毒の実施
  3. 日常清掃、衛生対策を強化して、展示や手すりなど人の来館者が触れる箇所の消毒・除菌作業
  4. 館内の換気システムによる、常時換気の徹底
◇◇◇

貴重な創業者の肉声やミニシアターや展示など、100年という長い年月に起こったヤマトグループの歴史をじっくりと知ることができる大変興味深い施設です。展示方法もただパネルなどが展示されているだけではなく、文字をオブジェ化するなどユニークで視覚的にもとても楽しめる内容になっていました。

ヤマトグループの歴史に沿って時代の流れや出来事も記載されているので、物流を身近に感じられるかもしれません。

次回は「クロネコヤマトミュージアム」館長の白鳥氏が語る、設立の経緯やミュージアムに込められた思いについてお届けします。

ヤマトグループ歴史館 クロネコヤマトミュージアム

  • 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
  • 休館日:月曜日・年末年始 ※月曜日が祝日の場合は開館、翌営業日を休館。臨時休館日などあり
  • 所在地:〒108-0075 東京都港区港南2丁目13-26 ヤマト港南ビル6F
  • 電話番号:03-6756-7222
    ※入館無料で予約なしの自由見学。アテンドツアーを希望の場合や10名以上で来館の場合は事前予約が必要
藤田遥
藤田遥

「良いお買い物体験」につながる決済手段とは? SHOPLIST、サイクルスポット、ビタブリッドジャパンの鼎談【後編】

5 years 3ヶ月 ago
「良い買い物体験」につながる決済手段とは? 「SHOPLIST.com by CROOZ」のCROOZ SHOPLIST、自転車販売大手のサイクルスポット、スキンケア製品「ビタブリッドC」のビタブリッドジャパンの3社の責任者による鼎談【後編】
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前回の鼎談で、「良いお買い物体験」を提供するために必要な要素としてあげられた「決済」。多様なオンライン決済サービスが提供されるようになり、特定の決済手段がECサイトに導入されていなければ、そのサイトで購入しないといったユーザーも増えている。ファッションECサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」を運営するCROOZ SHOPLIST、自転車販売大手のサイクルスポット、スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパンの3社の責任者が考える「良いお買い物体験」に直結する「決済」とは――。

鼎談者

  • CROOZ SHOPLIST 開発部:稲垣剛之氏
  • サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー:小林礼武氏
  • ビタブリッドジャパン 執行役員:西守穣氏

「良いお買い物体験」を実現するための「決済」とは

稲垣:「SHOPLIST.com by CROOZ」は11種類の決済手段を提供していますが、2つの考えを持ってこれまで決済の拡充を進めてきました

「SHOPLIST.com by CROOZ」は、代金引換、クレジットカード決済、auかんたん決済、d払い、ソフトバンクまとめて支払い、楽天ペイ、LINE Pay、Paidy翌月払い(コンビニ/銀行)、超あと払い(3か月後払い)、Amazon Pay、メルペイに対応している
代金引換、クレジットカード決済、auかんたん決済、d払い、ソフトバンクまとめて支払い、楽天ペイ、LINE Pay、Paidy翌月払い(コンビニ/銀行)、超あと払い(3か月後払い)、Amazon Pay、メルペイに対応している

1つ目がインフラ作りです。「SHOPLIST.com by CROOZ」は「世の中のインフラをツクル」というコーポレートビジョンを掲げています。そのためには、皆さんが普段使用している決済手段をSHOPLISTでも当たり前のように使用できるような環境をつくることが責務となります

2つ目は事業拡大という観点です。新しい決済手段を導入すると、それをきっかけに「SHOPLIST.com by CROOZ」を知ってもらう機会が増えます。たとえば、「Amazon Pay」を導入した際は、「SHOPLIST.com by CROOZ」のことを知らなかった「Amazon Pay」を使うお客さまの新規利用が大幅に増えました

また、さまざまなユーザーのニーズに対応するという側面もあります。10代後半~30代女性が中心の「SHOPLIST.com by CROOZ」は、クレジットカードを保有していないユーザーもいます。いろいろな決済手段を提供することで、さまざまなユーザーニーズに対応できます。

CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏
CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏
CROOZ SHOPLISTはファッション通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」の企画・運営会社。サービス開始後8年目となる2020年3月期における「SHOPLIST」事業の売上高は約245億円

西守:ビタブリッドジャパンは、クレジットカード、代金引換、代金後払い、「Amazon Pay」の4種類を提供しています。40~60代がメイン顧客。若い世代をターゲットとしていないので、クレジットカードが使えないといったユーザー層はあまりいません。そのため、厳選した決済手段を導入しているというイメージになります。

この4種類に限っているのは、ビジネスモデルである定期購入の継続課金に対応できることを重要視しているからです。たとえば、昨今、流行しているQRコード系決済は定期継続課金に対応していないので導入していません都度課金ですと継続購入につながりにくいのです。また、LTV(顧客生涯価値)の低い決済や決済手数料に見合う効果のない決済はビジネスの観点から導入していないんです。こういった観点でビタブリッドジャパンでは4つの決済手段に絞っています。

ビタブリッドジャパンのEcサイトの入力フォーム
ビタブリッドジャパンは、クレジットカード、代金引換、代金後払い、「Amazon Pay」の4種類を決済手段として提供している。「Amazon Pay」はエントリーフォームに入る前の画面で案内。「Amazon Pay」は、購入者が初回の支払い手続き時に「以降の支払いをAmazon Payで行う」と設定することができる「Auto Pay」という定期課金機能を搭載。2回目以降は都度ECサイト上で支払いの手続きをすることなく継続して商品やサービスを注文できるようにする仕組みがあるため、ビタブリッドジャパンは重宝している

小林:僕は、規模感や業種業態で決済手段を使い分けるべきと考えています。サイクルスポットはこれから決済系を改善していくところですが、僕は「作業者の負担はどうなるのか?」という視点も重要視しています。特に代金引換。前職(セレクション・インターナショナル)の業務では、受け取り拒否などによる代金引換の手間がかかり過ぎていると感じ廃止しました。担当者はキャンセル処理、配送キャリアへの連絡などの手間が思った以上に負担になっていたんですよね。

現在、サイクルスポットのECサイトは、クレジットカード、銀行振込、楽天Payを提供していますが、決済手段の拡充の準備は進めています。その1つが「Amazon Pay」です。APIで決済を処理できますし、「Amazon Pay」の導入で現場に大きな負荷をかけることなく運用できると判断したからです。

サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏
サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏
関東で100店舗以上を展開するサイクルスポットのEC責任者

稲垣:ちなみに「SHOPLIST.com by CROOZ」で最も利用の多い決済手段はクレジットカード。代金引換、後払い、キャリア決済という順です。EC事業者側から見れば、クレジットカードか後払いで購入してもらった方がありがたいところです。後払い決済は比較的、購入単価が高くなる傾向があるからです。代金引換に関しては、ニーズが一定程度あることも事実。欠かせない手段となっているので代金引換は利用しています。

小林:サイクルスポットの決済手段はクレジットカードが6割以上。自社ECサイトだけで見ると、クレジットカード7割、銀行振込2割、楽天Payが1割といった状況です。

西守:政府のキャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス決済5%還元キャンペーン)のおかげで、クレジットカードの比率が一気に増えました。ビタブリッドジャパンでは比率の高い順に、クレジットカードが3割強、後払いが3割弱、「Amazon Pay」もまた3割弱、代金引換が残りです。LTV(顧客生涯価値)があままり高くない代金引換の比率は下げたいものの、育毛剤に代表されるようなお悩み商品は、購入時に個人情報をできるだけ残したくないといったユーザー心理があるためか、代金引換需要が高いですね。また、新規購入のお客さまに限って見てみると、Amazon Payとクレジットカードの利用率は共に約3割となっています。「Amazon Pay」を選ぶお客さまが増えてきているという印象がありますね。

ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパンは2014年に設立。2020年2月期のEC売上高は前期比31.0%増の85億3700万円

3者とも実感した「Amazon Pay」の効果

さまざまなオンライン決済サービスがリリースされ、EC事業者の導入選択肢は増えている。小売り・EC業界で知名度の高いこの3社が実感したオンライン決済サービスの効果とは?

稲垣:「SHOPLIST.com by CROOZ」は11種類の決済手段を提供していますが、LTVが高いのは「Amazon Pay」ですね。「Amazon Pay」を使うAmazonのお客さまはネット通販でお買い物をすることに慣れていると思いますので、継続利用率が高いのでしょう。また、10代後半から30代女性がメインの「SHOPLIST.com by CROOZ」ですが、「Amazon Pay」の導入によってそれまで少なかった30~40代男性の利用率が増えていきました

小林:前職では「Amazon Pay」を導入していたので、売上向上などの効果は実感していました。そのため、今は急ピッチでECシステムの改修を進めており、「Amazon Pay」導入の準備を進めています。前職から感じていたことですが、ネット通販を頻繁に利用する顧客は、AmazonのボタンがECサイトにあると安心して、購入ボタンを押す傾向があるのではないでしょうか。

稲垣:「SHOPLIST.com by CROOZ」での「Amazon Pay」の導入は2015年12月、アプリへの導入は、2016年10月です。「Amazon Pay」でログインするとほとんどのEFO(エントリーフォーム最適化)の入力箇所に顧客情報が入力されるので手間がかからない。そのため、離脱率低下につながると思いました。そこはとても魅力的に感じましたし、結果的に想定した効果を得ることができました。顧客層の違いもとても魅力的。ちなみに、弊社の場合、「Amazon Pay」でお買い物をする顧客の割合は、他の決済と比べて男性ユーザーが多いです。それほど「Amazon Pay」は異なった顧客層の獲得につながっています

ちなみに、「SHOPLIST.com by CROOZ」では入会手段の1つとして「Amazon Pay」も利用できるようにしています。「Amazon Pay」で「SHOPILIST」に入会した顧客の90%は購入につながっています。つまり、入会時から「Amazon Pay」を使う顧客はすぐに購入につながるんです

「SHOPLIST.com by CROOZ」の入会画面
「SHOPLIST.com by CROOZ」の入会画面。「Amazon」アカウントでログインできるようにしている

西守単品系EC業界では近年、「Amazon Pay」を導入するECサイトが増えています。特に、消費行動の変化に対応するサブスクリプションECが増え、「Amazon Pay」を利用する消費者も増加しているんです「Amazon Pay」を導入していないと、ECで頻繁にお買い物するような知見の高いお客さまからは、「システム投資をしていない」「遅れている」といった印象を持たれる可能性があるんですよね。

「Amazon Pay」はもはや差別化するために導入する段階ではない。ビタブリッドジャパンは他社と「ネガティブな意味で差別化されない」ために導入したんです。ECサイトの運営を手がける各社が「Amazon Pay」を導入している現状に、“当社も遅れてはいけない”という危機感があったんです。そもそも「Amazon」は日本でもっとも利用者が多いECサイトだと思っています。お客さまはそのID・パスワードを使って自社ECサイトでお買い物ができるのですから、そのパワーを活用しないという選択肢はありませんでした。

「Amazon Pay」の特長としてはクレジットカードよりもLTVが高いという状況が続いています。クレジットカードの有効期限切れや種類などを変更する場合、消費者は利用しているECサイトで新しいクレジットカード情報を改めて設定する必要があります。「Amazon Pay」では日頃、「Amazon」でお買い物をする際に登録しているカード情報が使われるため、最新のカード情報に更新されているケースが圧倒的に多いでしょう。顧客としてはこうした利便性を享受できるメリットもありますよね。

稲垣:新しい決済手段を増やしていく際、コストという観点が気になるところでしょう。「SHOPLIST」は新しい決済方法を導入する際、「新規顧客を呼び込むプロモーションコスト」として見るようにしています。新しい決済手段を使っているお客さまがクレジットカードに移行すれば、その分、手数料が下がったりする。いろいろとバランスを見ながら決済手段を増やすようにしています。

「Amazon Pay」導入、売り上げはどう変わる? シミュレーションしてみよう

「Amazon Pay」が公開した「Amazon Pay売上シミュレーター」
「Amazon Pay」が公開した「Amazon Pay売上シミュレーター

今回の鼎談では、CROOZ SHOPLIST、ビタブリッドジャパンは「Amazon Pay」を導入済み。サイクルスポットは導入に向けて現在、開発を進めている。そこで、「Amazon Pay」が公開した「Amazon Pay売上シミュレーター」を使い、サイクルスポットがAmazon Payを導入した場合に、売上に対してどのようなインパクトが期待できるのかをシミュレーションしてもらった。

Amazon Pay売上シミュレーター」は、自社ECサイトの①売上件数(月間注文件数)②コンバージョン率③平均購入単価を入力するだけで、「Amazon Pay」導入後の売り上げの変化をシミュレーションすることができるシミュレーター。

「Amazon Pay売上シミュレーター」は約1分程度で結果を見ることができる
Amazon Pay売上シミュレーター」は約1分程度で結果を見ることができる

シミュレーターにあらかじめ入力されている「Amazon Pay」のカートシェア率(25%)は、EC事業者から導入事例として共有された「Amazon Pay」のカートシェアの平均値。「Amazon Pay」のコンバージョン率(40%)は、「Amazon Payを利用した場合の決済のコンバージョン率の上昇率」として期待する数値(アイピーロジックが2016年5月に調べた、Amazon Pay導入20社の導入前後3か月間を比較した数値)である。

サイクルスポットが自社ECサイトにおける注文件数、コンバージョン率、顧客単価(※いずれの数値も、記事用に入力してもらった仮の数値です。ただ、導入の検討材料になるように入力数値を設定してもらいました)を入力し、実際にシミュレーションを行った。その結果によると、1か月の売上高は13%アップ。コンバージョン率は0.5ポイント改善した。

サイクルスポットが入力した数値(実績に近い数値を入力)に基づいた「Amazon Pay売上シミュレーター」の結果
サイクルスポットが入力した数値に基づいた「Amazon Pay売上シミュレーター」の結果

サイクルスポットの小林氏は前職のセレクション・インターナショナルで「Amazon Pay」を導入していたため、「売り上げが伸びる」「全体のコンバージョン率が改善される」といった効果が期待できることは把握しており、「Amazon Pay」を導入すれば「Amazon Pay売上シミュレーター」が示したように売上アップ、コンバージョン率改善が見込めると期待している。

「Amazon Pay」を導入していない、また導入を検討している企業は、「Amazon Pay売上シミュレーター」をぜひ一度、使ってもらいたい。

◇◇◇

今回の鼎談で、「良いお買い物体験」に欠かせない決済方法として話題になったのが「Amazon Pay」。すでに1万社以上の販売事業者が自社ECサイトに導入している。

今回の鼎談でも「Amazon Pay」導入済みのCROOZ SHOPLIST、ビタブリッドジャパンはその効果を実感。これから導入予定のサイクルスポットも売り上げの増加などにつながると見ている。

これまで触れてきた効果以外にも「Amazon Pay」は大きな効果が期待されることを追記しておきたい。

「Amazon Pay」に期待される効果
  • 安心感や安全な決済環境を提供できる
    「Amazon Pay」で商品を購入すると、一部の商材を除き、Amazonマーケットプレイス保証の対象になる(Amazonマーケットプレイスでの購入に際して、万一、販売事業者と購入者の間でトラブルが発生した場合、配送料を含めた購入総額のうち、最高30万円までAmazonが保証する制度のことで、「Amazon Pay」を利用した場合にも、同等の保証対象になるというもの)
  • Amazon Payのお支払い方法としてAmazonギフト券が加わり、新規顧客の獲得が期待できる
    Amazon Payのお支払い方法は今まで、Amazonアカウントに登録されたクレジットカードに限られていたが、今年6月からAmazonギフト券によるお支払いにも対応を開始した。これにより、ECでクレジットカードの利用に抵抗のあったお客さまも、現金でAmazonギフト券を購入してAmazonアカウントに登録しておくことで、Amazon Payを使った簡単で便利なお買い物を楽しむことができるようになった。
  • 新規訪問顧客の購入を積極的にサポートできる「Web接客型Amazon Pay」
    顧客が支払い方法でAmazon Payを選択しなかった場合でも、入力フォームからの離脱や、入力ミスなどを察知して、Web接客のポップアップを用いて「Amazon Pay」での購入を提案する機能も利用できる。
  • 後払い決済などの代替決済になることの効果
    受注後のキャンセルが減少すれば、担当者の業務負荷の軽減につながる
  • 情報漏えいのリスクを回避できる
    EC事業者のECサイトにクレジットカード情報が保存されないため、事業者は情報漏えいの心配がない。Amazonの堅牢なセキュリティシステムによってカード情報が守られるため、ECサイトを初めて利用する消費者にとって安心感がある

などなど、「Amazon Pay」を導入すると、今回の鼎談ではあまり触れることがなかったさまざまな効果も期待できる。

今回の記事では「決済」にフォーカスしました。前半の記事では「良いお買い物体験」に必要なことなどについて鼎談しています。

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瀧川 正実
瀧川 正実

楽天が2020年下期に取り組むこと――「送料無料ライン」「RMS新機能 One Platform」「流通状況」【戦略まとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

5 years 3ヶ月 ago
店舗支援のための特集ページや企画、店舗向け相談窓口の設置、オンライン講座の実施、RMSへの新機能追加、「送料無料ライン」施策や「違反点数制度」導入の成果など、コロナ禍における「楽天市場」の取り組みをまとめました

楽天が2020年下期に「楽天市場」で取り組むことなどを公表した戦略共有会。執行役員の野原彰人氏はコロナ禍における「楽天市場」の流通状況、出店店舗への支援、送料無料ライン施策の効果などを説明した。2020年秋には店舗運営システム「RMS」に新機能「One Platform」を追加する。野原氏が語った戦略などをまとめた。

新規・復活購入者ともに拡大

コロナ禍の2020年4月~6月における「楽天市場」など物販に関するショッピングEコマースの流通総額は前年同期比48.1%増。購入者数も増加し、新規購入者は同63.1%、1年以上「楽天市場」で購入がなかったユーザー「復活購入者」は同80.9%増えたという。

楽天 楽天オンラインEXPO 新規購入者数 復活購入者数 コロナ禍 楽天市場
2020年4月~6月における新規購入者数、復活購入者数の増加率

出店店舗は約2,000店舗増加

2020年4月~6月で出店店舗数は約2,000店舗増加、2020年6月末までに初めて5万店を突破し、5万1153店となった。前年対比で30%増の伸び率で推移しているという。

新規出店企業の地域や業種に偏りはないが、今までモールに出店していなかったナショナルブランド企業の出店が増えたという。

たとえば、無印良品を展開する良品計画は6月、「楽天市場」に出店し、衣料品など約200品目の商品販売をスタート。呉服販売の京都きもの友禅は7月に出店した。

また、すかいらーくホールディングスは2020年内に「楽天市場」へ出店することを決定している。

コロナの影響を受けた店舗を支援

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた出店店舗を支援するため、企画ページの展開や情報提供、オンライン勉強会を実施した。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 店舗支援
店舗を応援する企画例

情報支援

2020年3月に店舗向け相談窓口を設置。商品の入荷や配送の遅延、ユーザーへの対応、運営資金繰りなど出店店舗から寄せられた問い合わせに対応。合わせて、行政からの情報提供ページを展開した。

学びの支援

「オンラインツールの導入で店舗とのコミュニケーションをより強化する」ことを目的に、2020年4月からオンライン形式の講座をスタート、出店店舗に学びと交流の場を提供した。店舗運営に悩む店舗への支援策として、2020年4月20日~4月30日には「楽天まなびウィーク」と題した日替わりの講座を実施した。

2020年8月19日時点で、オンライン講座に参加した店舗数は2,000店舗、参加人数7,000人を超えた。平均満足度も4.4/5.0点と高評価という。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 楽天学びウィーク オンライン講座
オンライン講座の様子

その理由について、野原氏は「リアルの場では質問しづらいが、チャット機能を使うことで店舗同士の相談やコミュニケーションがしやすく、活発に行われたため」と説明した。

以前から「オンライン形式の講座を実施したらどうか」という話は上がっていた。withコロナ時代で一気に広まった内容だと感じる。(野原氏)

成功店舗が売上増加を目指す店舗にコンサルを行う「楽天NATIONS(ネーションズ)」の実施、店舗とのさらなるコミュニケーション深化のために、2020年秋ごろに広報誌「Walk Together」を紙面とWeb版で年2回発行予定という。

新機能リリース

店舗がより効率的に運営を行えるよう、店舗運営システム「RMS」に新機能「One Platform」を2020年秋頃にリリースする。機能はメールや情報の集約化、カテゴリごとに情報の整理、情報の優先度付け、案件のToDo管理が行えるようにする。

楽天 楽天オンラインEXPO RMS 新機能 One Platform コロナ禍 楽天市場
2020年秋頃にリリース予定の新機能「One Platform」

「送料無料ライン」導入店舗は高い成長率

3,980円以上の購入でユーザーの送料負担が0円になる「送料無料ライン」は、2020年8月16日時点で8割以上の店舗が導入。導入店舗と未導入店舗の成長率を比較すると、導入店舗の方が約20ポイント成長率が高くなった。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 送料無料ライン 成長率 導入店舗と未導入店舗の比較
「送料込みライン」導入店舗と未導入店舗の成長率比較

導入店舗に対する今後のサポートとして、「後○円で送料無料」という表示、「楽天市場」内キャンペーンの継続、「送料込みライン」導入店舗ロゴの露出拡大などを行う。

2020年5月以降に「送料込みライン」を導入した店舗に対し、注文単価3,980円以上の送料無料注文を対象に宅配便は250円/1件、メール便は100円/1件支援する「安心サポートプログラム」を行う。第2弾の支援期間は2020年10月1日~12月31日まで。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 送料無料ライン 未導入店舗への施策 安心サポートプログラム
「安心サポートプログラム」第2弾を実施。2020年5月以降に「送料込みライン」を導入した店舗にサポートを行う

透明化法の中、安心・安全な運営を目指す

2020年7月に施行された「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」を受け、出店基準の開示や消費者向け補償制度など「楽天市場」の取り組みについて説明。野原氏は「インフラ整備やコンプライアンスの強化、サービスレベルの向上などを行ってきた。今度もいかに安心・安全な売り場作りを行うかが成長には不可欠だ」と述べた。

審査やルール作り

楽天は2001年より「楽天市場」への出店審査基準や規約をWeb上で開示。2020年7月末には広告審査の詳細ガイドラインを店舗に案内したという。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 出店審査基準 透明化法
Web上で開示されている「楽天市場」の出店審査基準

審査基準などの開示内容について「不足している」という声もいただいている。しかし、透明化しすぎると悪意を持つ人間が規定をかいくぐり、真面目に運営している店舗や消費者に悪影響を及ぼす可能性がある。

ブラックボックスにして儲けを独占しようとしているのではなく、真摯に運営に取り組む店舗や消費者を守るため、基準の開示によって双方がプラスになるよう進めて行く。線引きが非常に難しいが、しっかり対応していきたい。(野原氏)

安心ショッピングサービス

消費者に対する補償として、商品の未着や遅延、ブランド品が模倣品だった場合などに購入金額を補償する「安心ショッピングサービス」を提供している。

保障上現金額は30万円まで。補償は無料で受けることができ、楽天非会員もサービス対象になっている。

不適切な商品の通報機能

不適切な商品を排除するため、全商品ページに通報窓口を設置している。楽天で随時巡回を行っているが、目配せが届かないところに対して、ユーザーの声を積極的に採り入れることで品質の改善につなげているという。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 不適切商品の通報機能
全商品ページに実装されている「不適切な商品の通報機能」

ブランド品の偽造品・模造品排除に向け、楽天は1,573ブランドと提携している。商品パトロールや、商品の試し買いを行い提携ブランドと商品チェックを行っている。

違反点数制度

2016年より実施している「違反点数制度」は、規約・ガイドラインの違反行為を明文化し、違反レベルに応じた対応をルール化したもの。

制度開始以降、規約違反店舗は大幅に減少し、ユーザーのNPS(ネットプロモータースコア)はプラスになっているという。

楽天 楽天オンラインEXPO コロナ禍 楽天市場 違反点数制度 導入後の成果
「違反点数制度」導入の成果(画像は戦略共有会資料から編集部がキャプチャ)

サステナビリティへの意識が変わる

コロナ禍で一番変化したと感じる点は「サステナビリティ」の部分で、「環境に対する考え方が強くなったと感じる」と野原氏は述べた。

SDGsの環境、社会、経済の3つの側面に貢献する商品やサービスを紹介する「EARTH MALL with Rakuten」も急激に伸びており、売り上げは前年同期比50%増、サイトアクセス数は5.3倍になった。

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「サステナブルな買い物」に対する意識の変化の調査結果
(画像は戦略共有会資料から編集部がキャプチャ)

「自分のための消費」から「世界を変える消費」に変わってきている。「いかに環境に優しいことができるか」「個人ベースでも取り組みができる」という気づきがコロナを通じて促された結果だろう。(野原氏)

藤田遥
藤田遥

食品通販・EC市場は2020年度に4兆円突破の予測、2019年度は3.8兆円

5 years 3ヶ月 ago

矢野経済研究所が実施した国内食品通販市場調査によると、2019年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比3.2%増の3兆8086億円と見込んだ。

2020年度は4兆円を超える見通し。食品通販市場は、飲料水や米、酒類、健康食品など常備性・習慣性が高い、あるいは商品重量があるカテゴリーにおいて、潜在的ニーズが高い傾向にある。

矢野経済研究所が実施した国内食品通販市場調査によると、2019年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比3.2%増の3兆8086億円
国内食品通販市場規模の推移と予測

2019年度は、冷夏の影響で飲料水の需要が前年より落ち込んだこと、消費税増税に伴う支出抑制など、食品通販市場にとって厳しい市場環境だったとした。一方、自然災害の多発による備蓄意識が高まり、飲料水や保存性の高い食品の需要が増加、通販でまとめ買いするニーズが顕在化したものの、2019年度の食品通販市場は前年度並みの伸長率を見込んだ。

2019年度における食品通販市場のチャネル別比率は「ショッピングサイト」が39.4%、「生協」が38.4%、「自然波食品宅配」が2.2%、「ネットスーパー」が3.8%、「食品メーカーダイレクト販売(直販)」が16.1%。

矢野経済研究所が実施した国内食品通販市場調査によると、2019年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比3.2%増の3兆8086億円【チャネル別】
2019年度食品通販市場規模のチャネル別内訳

2020年度通販市場の見通し

2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、食品通販市場は拡大する見通し。日常使いの食料品に対する需要増加のほか、お取り寄せグルメ・スイーツに対する需要も拡大。通販で食品を取り寄せて、自宅で普段より高級な食事を楽しむという需要も増えた。

例年5月はゴールデンウィークで在宅率が低下するため、食品通販の需要は減退するが、2020年は緊急事態宣言下で在宅率が高かったことも、食品通販の需要を押し上げたとみられる。

6月以降、緊急事態宣言の解除に伴って食品特需は緩和したものの、食品通販に対する需要は引き続き高いと推測。コロナ禍をきっかけに、食品通販サービスを使用した人が、利便性、商品・サービスの品質の高さを実感して、一部定着する可能性もある。

なお、ECサイトやネットスーパー、食品メーカーダイレクト販売(直販)のように、スポットでの購入利用が中心の業態(チャネル)について、緊急事態宣言下の需要急増は一時的な影響にとどまると予測している。

調査概要

  • 調査期間:2020年4~7月
  • 調査対象:通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸など
  • 調査方法: 専門研究員によるアンケート調査、電話取材、文献調査併用
石居 岳
石居 岳

「置き配」の普及はECサイトの顧客単価や購入単価の向上につながる? 「OKIPPA」が「置き配」浸透に注力する理由

5 years 3ヶ月 ago
簡易宅配ボックス「OKIPPA」を提供するYperは、EC事業者と共同で、「OKIPPA」の利用による消費者行動変化の検証を続けている。OKIPPAを通じて「置き配」が普及することで、これまでECニーズの低かった日用品などの販売需要を喚起できるか、またEC未経験の新規顧客層を開拓できるかなどを調査している

簡易宅配ボックス「OKIPPA」を提供するYperは、「置き配」浸透によるEC利用者の消費行動の変化を検証し続けている。その理由は、「置き配」によって“受け取れない”を解消すれば、ECサイトの顧客単価の向上や購入頻度の増加につながると考えているためだ。「置き配」の課題ともいえる盗難対策やオートロックマンションへの対応なども含め、「OKIPPA」の現状、「置き配」を通じたEC事業者の支援策について、Yperの内山智晴代表取締役に話を聞いた。

「OKIPPA」で消費行動変化を検証

楽天は2020年4月、「Rakuten EXPRESS」(※編注:楽天が運営する配送サービス。「Rakuten24」などの直販店舗や「楽天市場」出店店舗の一部商品を対象に、34都道府県で「置き配」にも対応した配送サービスを行っている)内の置き配オプションとして、「OKIPPA便」(※編注:EC事業者がサイト上で配送先の選択肢として「OKIPPA」を指定できるというもの)を導入した。「置き配」「OKIPPA」の認知を広げるため、楽天ユーザーにオリジナルデザインの「OKIPPA」を1万個配布。「OKIPPA」を通じて、安全な置き配の導入、利用拡大をめざすという。

Yper OKIPPA 置き配 楽天 Rakuten EXPRESS 消費者行動の変化 オリジナルデザインのOKIPPA
「Rakuten EXPRESS」の置き配オプションとして「OKIPPA便」が採択された。取組開始時に、オリジナルデザインの「OKIPPA」を1万個配布(画像はYperプレスリリースより編集部がキャプチャ)

一方、「OKIPPA」を運営するYperは楽天との取り組みを通じて、「OKIPPA」の浸透が消費者行動にどのような変化を起こすか、長期的な検証を行っていく

Yperはこれまでに、複数の企業と共同で「実証実験」という形で同様の取り組みを行ってきた。しかし、「実験期間は1か月が限界。それ以上の消費行動は追い切れずにいた」と、Yperの内山智晴代表取締役は言う。

今回、楽天が「OKIPPA便」を正式採用したことで、消費者行動の分析に必要な中長期的な行動データを取得することが可能になった。

「OKIPPA」の普及で、潜在層を開拓できるか?

内山氏が楽天との取り組みを通じて期待するのは、「潜在層の開拓」だ。

日中働きに出ているなど、住宅環境に宅配ロッカーがないことでECの利用を諦めていた人でも、「OKIPPA」を利用すれば受け取りの心配が不要になり、ECの新規利用が見込める。

また日頃からECを利用している人でも、「在宅じゃなければ受け取れない」ことに不便さを感じていれば、近所で購入できる日用品などをわざわざECで買うというオプションはなかったはず。加えて「非接触」が求められる現在、「OKIPPA」を利用すれば、自宅にいても配達員と接触せずに商品を受け取れることから、外出頻度が減っているユーザーに対しても置き配ニーズは高まる。

内山氏は、「『OKIPPA』の配布により商品の受け取り環境が整うことで、『ECサイトでの購買頻度が上がる』『顧客単価の上昇により利益率改善』といった結果が出てくる可能性もある」とする。

EC事業者が無料で「OKIPPA」を配布するメリット

「OKIPPA」は主に、消費者個人が購入(税込3,980円)して利用する。将来的には、「Rakuten EXPRESS」が実施したように「EC事業者が『OKIPPA』を買い取り、顧客に無料配布してもらう利用法を提案していきたい」と内山氏は言う。

その際ポイントになるのが、「OKIPPA」を使い始めたことで、ユーザーの消費行動にどのような変化が起きるかだ。

もし、「OKIPPA」を使い始めたユーザーが、「置き配」というオプションができたことで購入頻度が上がり、さらに顧客単価が「OKIPPA」の仕入れ値を上回るようであれば、EC事業者は「OKIPPA」を無料で配布した方が、顧客1人あたりのLTV(顧客生涯価値)は向上すると仮説が立てられる。

内山氏は楽天との取り組みにより、こうした結果を得たい考えだ。

EC事業者やモールが「OKIPPA」を無料で配布し、ユーザーが「置き配」オプションを選択できるようになれば、EC利用者は受取環境を気にせず注文できる。それにより、購買頻度が増える可能性がある。購買頻度が上がればモール内の会員ランクなどが上がり、利用者の購買意欲が刺激される。「OKIPPA」を起点にポジティブな循環が働くようになるかもしれない。(内山氏)

Yper OKIPPA 置き配 代表取締役内山智晴氏
Yperの内山智晴代表取締役(画像はYper提供)

「置き配」のさらなる普及をめざすには?

オートロックマンションでも運用を開始

Yperは「OKIPPA」の普及に向け、「エントランスの外側に受取ボックスがない」「住人が不在の場合、オートロックを解錠できずエントランスを通過できない」などが課題となっているオートロックマンションへの対応を進めており、すでに実証実験を終えている。

2020年9月中には、都内のオートロックマンションで運用を開始する予定だ。2021年4月ごろの展開を予定していたが、需要の高まりを受け、スケジュールを前倒ししてのスタートとなる。

実際に利用するオートロック解錠は2つ方法がある。

1つ目は、外部のスマートロックサービスと「OKIPPA」が開発・提供する専用アプリを連携する方法。「OKIPPA」アプリは、「OKIPPA」のユーザーがキャリアメールと連携させると、ECサイトで注文した商品がいつ、どの配送番号で届くかが自動的にアプリに反映されるというもの。

オートロックマンションに住むユーザーがアプリを利用することで、例えば商品配達前に配送伝票番号と連動したワンタイムパスワードが発行されるなどの連携方法がある。これは、配達員がエントランスに設置されたスマートロック搭載の専用タブレットなどから配送番号を入力すると、API連携によりアプリ側で配送伝票番号を認証し、自動でマンションのオートロックが解錠されるという仕組みだ。

Yper OKIPPA 置き配 オートロックマンション 実証実験 スマートロック 解錠イメージ
スマートロックを利用したオートロックマンションでの解錠イメージ(画像はYper提供)

2つ目は配送会社所有の端末に専用アプリを導入し、スマートロックシステムとBluetooth通信させることで解錠する方法。配送対象の追跡番号が登録された専用端末を持ってマンションエントランスに到着すると、Bluetoothによりドアが解錠。ユーザーの「OKIPPA」アプリに通知が届く。

タワーマンションなどの大規模マンションでは、エントランス通過時から自宅に荷物が届くまで時間がかかることも多い。こうした場面でも、荷物が自宅に届くまでの時間を有効活用できる。

いずれの場合も、セキュリティ面は認証システムで担保を取る。前者はワンタイムパスワードを使用することで、一度使用するとキーが失効。そのため、何度もマンション内に入れない設計になっている。後者は、対象の追跡番号が登録された専用端末を持った配達員しかオートロックが解除できない。

盗難対策の強化で「OKIPPA」利用率向上につなげる

新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、荷物の非対面受取や「置き配」が増えているが、同時に盗難被害も深刻な問題として浮上している。

「OKIPPA」では、2018年7月から、30日100円の利用料を支払うと上限3万円までの補償が受けられる任意加入プランを展開。現在のところ盗難被害は確認されていないというが、ユーザーがより安心して使用できるよう、2020年7月、盗難補償サービスを拡充した。

新たに開始したのは、ユーザーから盗難被害の申請があれば、上限3000円(※編注:商品代金+送料+税金の合計金額)分のギフトカードを送る盗難補償サービス「盗難サポート」。利用料はかからない。「OKIPPA」アプリで配送状況が追跡できている荷物が補償の対象となる。

補償を受けるには、ユーザー自身で警察に盗難届を提出する必要があるほか、アプリから盗難届の写しの提出や盗難現場の画像提出、アプリと「OKIPPA」バッグの連動が必要となる。

Yper OKIPPA 置き配 盗難補償 盗難サポート OKIPPAアプリ
2020年7月からスタートした「OKIPPA」の盗難サポート(画像はYperのサイトより編集部がキャプチャ)

盗難サポートの拡充を通じて内山氏がめざすのは、Amazon並のスムーズな取引だという。

Amazonは荷物が届かなかった、届いた商品に不具合があったなどカスタマーサポートに連絡を入れた場合、すぐに代替品が送られてくる。こうしたスムーズな対応ができるのは、Amazonが「不正請求ではない」と判断できるだけの、膨大なデータを所有しているからだ。(内山氏)

ユーザーからの申請が「不正請求ではない」と確信を持つためには、「これは明らかな犯罪行為」と認めるためのデータが必要になる。

「盗難サポート」の提供を通じ、ユーザーから画像データを収集することで、万が一「OKIPPA」ユーザーが盗難被害にあった場合でもすぐに対処できるような仕組みを整えていく。

安心・安全性が担保されれば、顧客満足度が上がり、「OKIPPA」の利用率向上にもつながるからだ。

Yperが実施している消費者の安全性や利便性を高める姿勢が評価され、地方自治体との取り組みも進んでいる。2020年8月25日には、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を利用し、沖縄県北中城村の住民200世帯にOKIPPAが無償配布されることが決定した。同交付金がOKIPPAに活用されるのは全国初の事例となる。

その他現在「OKIPPA」では、ファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ」と共同で実証実験を行い、非対面での「集荷」にもサービス領域を広げる準備を進めている。本格的に「集荷」サービスをスタートする上でも、盗難対策がカギになりそうだ。

Yper OKIPPA 置き配 メチャカリ 集配 非対面の集荷
ファッションサブスク「メチャカリ」と行った非対面集荷の実証実験(画像はYperプレスリリースより編集部がキャプチャ)
公文 紫都
藤田遥
公文 紫都, 藤田遥

今年になって急成長! 月商600万円の個人も登場した「MOSH」は既存の仕組みと何が違う?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

5 years 3ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年8月24日〜30日のニュース
ネッ担まとめ

コロナ禍で全体的伸びたECですが、個人間のサービスも急成長しているようです。個人で月商600万とは驚きです。

専門性のある個人はどんどん稼げる時代です

認知度より「専門性」に課金される。月600万円を売り上げる個人も登場「MOSH」創業者が語る、マネタイズできる個人の条件 | アプリマーケティング研究所 | note
https://note.com/marketing/n/n8d00a2f9dea3

まとめると、

  • 「MOSH」はネットでオンラインレッスンなどを提供できるプラットフォームで、主に個人やスモールチームで使われている。登録事業者数は1万人。今年に入って予約取引件数が約10倍になっている
  • 認知度の高さよりも大事なのは「専門性」で、普通のフィットネスより「美尻の専門家」のようなより専門性の高い人が人気
  • 週1回のオンラインレッスンを提供しているボディワーカーは、月額13,000円のサービスに500名の会員がいる。オンラインレッスンのため海外や全国にサービス提供でき、月600万円の売上
「MOSH」の流通総額(2018年3月〜2020年5月)前月比で198%増
「MOSH」の流通総額
https://note.com/marketing/n/n8d00a2f9dea3より編集部でキャプチャ

「MOSH」が既存の仕組みと違うのは、予約管理とかZoom連携の機能が最初から提供されていて、サービスに特化している点です。そんな便利さから個人に人気がありユーザーが増えているようです。

事例にあるオンラインフィットネスは企業が提供するものだとどうしても一般的な内容になってしまいますが、個人であればどこかに特化したものを提供できますので隙間がありますよね。さらに個人であれば顧客数はそんなに多くなくてもいいので、営業費用も抑えられます。何かしら特技があればチャレンジしてみては?

関連記事

アマゾンフレッシュ=食品スーパー+アマゾン・ダッシュカート+荷物の受取&返品拠点

【アマゾン】、ついに食品スーパー「アマゾンフレッシュ(Amazon Fresh)」が一般公開! | 激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ
http://blog.livedoor.jp/usretail/archives/52099453.html

まとめると、

  • アマゾンはロサンゼルス郊外に食品スーパー「アマゾン・フレッシュ」をオープンした。一般的なレジもあるが、「アマゾン・ダッシュカート」(複数のカメラや重量センサー、タッチスクリーンなどを搭載したスマートショッピングカート)も導入されている
  • ダッシュカートとスマートフォンが同期することで、アレクサのショッピングリスト(買い物メモ)がスクリーンに映し出され、買い物に利用可能
  • アマゾンでの注文商品を店内の受付カウンターで受け取ることもできる。返品コーナーも兼ねており、ダンボールで梱包されていなくても返品可能
Amazon FreshのPR動画

日本ではあまり話題になっていないアマゾンフレッシュがすごいです。何がすごいかというと、①食品スーパーで、②レジもあってアマゾン・ダッシュカートもあり、③アマゾンで買ったものの受け取りと返品ができるということです。Amazonユーザーにとっては便利でしかないのでここで買うようになりますよね。食品以外でも日用品や衣料の店舗も出てくることも考えられるので、他のリアル店舗にとっては脅威です。

バナーはクリックしてもらうものではなくスムーズに進んでもらうための動線

大切なのは感情 “良い”広告クリエイティブから考える、デザイナーがマーケティングの感覚を掴む方法 | CreatorZine
https://creatorzine.jp/article/detail/1277

まとめると、

  • 制作工数を増やしてデザインの質を上げても売上が伸びるとは限らないので、目標値から逆算して必要な施策とそれに伴う制作物を提案するようにした
  • 「良い」バナーであればCTRも上がり、訴求したいターゲットに近い購入者が増える。「広告が嫌われている」というのは、CTRの低さを正当化するためであるケースが多い
  • 商品やサービスを長く使いたいと感じてもらう入り口として、バナーやLPが機能していなければ、売上を伸ばせたとしても、その後の利益につながらない

マーケティングにおける“良い”広告やバナーとはいったい何か。そんな疑問が浮かんだ人もいるかもしれない。川端さんはどう定義しているのか尋ねると、「買っていただいたお客さまに、思っていたとおりの商品だと思ってもらえる購入動線であること」と即座に答えが返ってきた。

良いバナーとなるとCTRが高いものと思いがちですが、お客さんがスムーズに進んでもらうための動線だということなんですね。どれだけクリックされても買ってもらえなければ意味がないですし、買ってもらえたとして満足してもらえなければ意味がないです。バナーという部分だけにフォーカスせず、全体の数字で見ていきたいですね。

EC全般

デジタル接客で「店舗とECの壁」は崩せるのか プロに聞く!販売員に活躍してもらうためのコツ | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/8120

「購入前提で設計し過ぎる」というのはグサッと来ました。確かに実店舗なら見に行くだけの時もありますよね。

Q. コロナ禍で日米のECビジネスの売上はどの程度押し上げられる?| Yahoo!ニュース(シバタナオキ)
https://news.yahoo.co.jp/byline/shibatanaoki/20200827-00195219/

「もうさばき切れない」アクセスが激増したECプラットフォームにおける負荷対策 | BASE開発チームブログ
https://devblog.thebase.in/entry/bsucon

BASEは200%近く伸びたがゆえにサーバーもきつくなりました。ASPのカートを選ぶときは負荷の面も考えないといけないです。

ヤフオクとPayPayフリマで「ネコポス」送料を全国一律170円に | ASCII.jp
https://ascii.jp/elem/000/004/024/4024207

非対面での受け取りが増えていることをうけて配送連携強化です。

アマゾン、メルカリ、ヤフー、楽天が立ち上げた「オンラインマーケットプレイス協議会」とは | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7948

行政が規制強化に向けて動いているので、それに対応したということでしょうか。

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https://netshop.impress.co.jp/node/7947

いつの間にか21拠点。FBAサービスの拡充も。

中国越境ECに夢を見るな ~解像度が高い現地事情理解と冷静な手段の検討が必要だ | Yahoo!ニュース(滝沢頼子)
https://news.yahoo.co.jp/byline/takizawayoriko/20200827-00195108/

「当局の認可を得て中国の国内ECで売る方法もある」。何も考えずに越境ECモールだけを考えてはいけないですね。

ウーバーイーツ、人気ナンバー1は「からあげクン」 なぜわざわざ頼む? | デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/08250557/

これはわかる! ちょっと食べたいものに商機があるかも?

XMLサイトマップでは正規URLだけを送信する | SEO検索エンジン最適化
https://www.searchengineoptimization.jp/xml-sitemap-files-must-only-include-canonical-urls

ネットショップはXMLサイトマップをコントロールしづらいのでの取り扱いは慎重に。

インスタグラム(Instagram)の新機能!「リール」を使った売上アップのコツとは | BASE U
https://baseu.jp/16046

リリースされたばかりのリール。今なら先行者利益がありそう。

スマホEC時代の新しいカゴ落ち対策。入力スピードや離脱軽減に役立つフォームの「1画面1質問」形式、知ってますか? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/7915

導入できるケースは限られそうですが試してみたい方法です。

今週の名言

小さな飲食店がLINEでつながり来店やリピートを促す事例があるように、初めの一歩でファンとつながる努力をすれば、少しずつ成果が付いてくるはず

西井さんと考える、スポーツチームのECが売上の壁を超える方法 | MarkeZine
https://markezine.jp/article/detail/33971

冒頭で取り上げたMOSHも、最初はInstagramでDMを送ってここまで拡大しています。いきなり急拡大を目指さないことですね。

森野 誠之
森野 誠之

「雇用調整助成金の特例措置」「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」などの対象期限を12月末まで延長

5 years 3ヶ月 ago

厚生労働省は8月28日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する「雇用調整助成金」(特例措置)などの対象期間を12月末まで延長すると発表した。

「緊急雇用安定助成金」「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」も終期を12月末まで延長する。従来は9月末までが対象期間だった。

なお、厚労省は「休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、雇用調整助成金の特例措置等は、段階的に縮減を行っていく」としている。

雇用調整助成金の特例措置

「雇用調整助成金」(特例措置)は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売量、売上高などの事業活動を示す指標「生産指標要件」が「1か月5%以上低下」した事業者が、休業手当を支給して従業員を休ませた場合、その費用の一部を助成する助成率を中小企業は80%(4/5)、大企業は約67%(2/3)としている。

解雇などをせずに雇用を維持している中小企業の休業および教育訓練に対する助成率は一律10/10、大企業は3/4。

1日1人あたりの上限は1万5000円。対象は2020年4月1日から9月30日の期間中に行った休業や教育訓練。

雇用調整助成金の特例措置の拡大
延長前の雇用調整助成金 特例措置(厚労省公表のパンフレットからキャプチャ)

緊急雇用安定助成金

雇用保険被保険者ではない従業員を休業させた場合の助成金。

2020年1月24日から判定基礎期間の末日まで解雇などを行っていない場合(解雇とみなされる有期契約労働者の雇い止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除などを含む)の助成率は10/10(100%)、雇用が維持されている場合(期間中の各月末日時点の従業員人数の平均と比べて、4/5以上の人数が維持されていること)は80%(4/5)を助成する。

申請する賃金締切期間は4月1日から9月30日までだったが、これを12月末まで延長する。

助成率について(厚労省が公表した資料からキャプチャ)

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度。

新型コロナウイルス感染症、そのまん延防止措置の影響で、勤務先の中小企業から休業させられ、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった労働者個人に対して、支援金・給付金を支給するもの。

新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者個人向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の概要

中小企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない企業から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、現金を申請できる仕組みで、中小企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%(1日上限1.1万円)を、国が休業実績に応じて支給する。

対象は2020年4月1日から9月30日までの間に、事業主の指示を受けて休業(休業手当の支払いなし)した中小企業の労働者。この期間を12月末まで延長する。雇用保険に加入していない学生アルバイト、日本国内で働く外国人の労働者、技能実習生なども対象。

申請の条件、申請方法などは以下の記事を参考にしてみてください
個人で申請書を郵送する場合は以下から資料をダウンロード、印刷してください(PDFが開きます)
瀧川 正実
瀧川 正実

eBayグループのECモール「Qoo10」の会員数が1600万人突破など最新情報まとめ【2020年7月時点】

5 years 3ヶ月 ago

ECモール「Qoo10(キューテン)」を運営するeBay Japanは8月28日、2020年1-7月の会員動向やトピックを公開した。

会員数は2020年7月に1600万人を突破。2010年のサイトオープン以降、順調に会員数を伸ばし、女性が75%、20~40代が7割以上という構成比に。デバイス比率ではモバイルが全体の92%を占めた。

今期は新型コロナの感染拡大で外出を控える消費者が増えたため、国内のEC需要が高まり、「Qoo10」会員数は7月時点ですでに前年実績を11%以上上回っているという。出店数も増加し、前年実績を20%以上上回り、1万2600店ものショップが販売している。

1-7月の出品数は、「レディースファッション」が1位で44%のシェアを占めた。2位は「ホーム・生活」、3位は「デジタル・家電」だった。取引件数では、「ビューティコスメ」が43%でトップ、2位が「レディースファッション」、3位は「食品・ベビー」。

ECモール「Qoo10(キューテン)」を運営するeBay Japanは会員数などの各種数値を公表 「Qoo10」の会員男女比、年齢層、デバイス比率
「Qoo10」の会員男女比、年齢層、デバイス比率

1-7月のトピックスとしては、「20%メガ割セール」を2020年3月と6月に実施。流通額の記録を更新し、6月のメガ割では前回3月に記録した過去最高額をさらに36%上回る結果となった。

商品購入時に利用できる決済サービスとして「LINE Pay」を2020年6月に追加。同決済サービスは、男女を問わず幅広い層に利用されており、利用金額などに応じたポイントサービスなどを提供している。

「eBay Direct Shop」を2020年4月にオープン。商品数は12億品以上で、世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス米国「eBay(イーベイ)」に出品されている固定価格商品を、「Qoo10」内で購入できるようにした。

「頑張れニッポン!キャンペーン」を開始し、ECを活用した新たな販路確保の応援を始めた。「Qoo10」の新規出店者を対象にした「販売手数料0%キャンペーン」を2020年5月から開始。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、厳しい経営環境に置かれている中小企業・個人事業者の、ECを活用した新しい販路確保を積極的に行っている。

石居 岳
石居 岳

楽天・三木谷社長が語った「モバイルとのシナジー」「コロナ禍の楽天市場」「物流への投資」【2020年夏の講演要旨】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

5 years 3ヶ月 ago
楽天の三木谷浩史会長兼社長が語った「楽天モバイルとのシナジー」「コロナ禍の楽天市場」「物流への投資」「サステナブル消費への対応」など、8月27日のオンラインカンファレンス「楽天オンラインEXPO」講演要旨

楽天の三木谷浩史会長兼社長が8月27日に開かれた「楽天市場」出店者向けのオンラインカンファレンス「楽天オンラインEXPO」で語ったのは、楽天モバイルとのシナジー、コロナ禍における「楽天市場」の流通、物流への投資など。三木谷社長が語った講演内容をまとめた。

楽天モバイルとのシナジー

楽天回線エリアではデータ通信が使い放題で月額2980円という圧倒的な価格力などを武器に、将来的には2000万人以上の楽天モバイル利用者を見込む三木谷社長。サービス開始から3か月で契約申し込み数が100万回線を超えており、利用者は順調に増えている。

将来的には1500万人、2000万人、2500万人というユーザーが楽天モバイル使い、そしてメインに「楽天市場」でショッピングをするということが実現できると思っている。(三木谷社長)

なお、楽天モバイルの通信基地局は整備の前倒しが進んでおり、6月末時点で5739局を設置。2021年3月までに人口カバー率70%を達成するだけでなく、当初は2026年末までとしていた人口カバー率96%以上の実現を5年前倒しするとした。

5Gの商用サービスに関しては、NECとコアネットワークの共同開発に合意済み、9月末までにサービスを開始する予定という。

また、三木谷社長は電話・メッセージ・SMSなどが利用できる楽天モバイルダイヤルアプリ「Rakuten Link」を軸に、さまざまな楽天グループのサービスを融合させていく方針を示した。

「Rakuten Link」を軸に楽天グループのサービスを融合させていくという
「Rakuten Link」を軸に楽天グループのサービスを融合させていくという

将来的には2000万人以上になる楽天モバイルユーザが「Rakuten Link」を使う。ショッピングなど楽天グループのさまざまなサービスが融合していく形になると考えていただきたい。(三木谷社長)

なお、7月末時点までの楽天モバイル契約者が7月に「楽天市場」で買い物した割合は47%に達した。「楽天モバイルと楽天ポイント、『楽天市場』のシナジーは極めて高いと思っている」(三木谷社長)

楽天モバイル契約者が7月に「楽天市場」で買い物した割合
楽天モバイル契約者が7月に「楽天市場」で買い物した割合
キャリア別のクロスユース状況
キャリア別のクロスユース状況

流通総額は「楽天市場」単体で3兆円へ

楽天の2020年1−6月期(第2四半期累計)における国内EC流通総額は、前年同期比12.5%増の1兆9580億円。

四半期ベースでの国内EC流通総額の推移
四半期ベースでの国内EC流通総額の推移(楽天が公表した決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

4−6月期(第2四半期)における物販のショッピングEコマース流通総額は前年同期比48.1%増。新型コロナウイルスの影響が直撃している「楽天トラベル」などを含めた4−6月期国内EC流通総額は、前年同期比15.2%増の1兆300億円だった。こうした状況を踏まえ、三木谷社長は2020年の見通しを次のように話した。

「楽天市場」単体で流通総額は3兆円を超えるレベルまで成長している。やはり世の中のデジタル化というのが一気に進んだということではないか。

楽天 第2四半期のショッピングEコマースの流通総額の伸び率
第2四半期のショッピングEコマースの流通総額の伸び率(楽天が公表した決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

なお、2019年度(2019年1~12月期)国内EC流通総額は前期比13.4%増の3兆8595億円。国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ファッション、ドリームビジネス、ラクー、ビューティ、マート、デリバリー、楽天ダイレクト、カーライフ、クーポン、ラクマ、楽天デリバリープレミアム、Rebates、Raxy、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

コロナ禍において「楽天市場」など物販系サービスの購入者は急増。2020年4-6月期(第2四半期)の新規購入者数は前年同期比63.1%増1年以上購入がなかったサービス利用の再開者数は同80.9%増と好調だ。

第2四半期のショッピングEコマースにおける購入者数について(楽天が公表した決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

出店者によると、「楽天スーパーSALE」の数値でもその勢いが示されているという。6月に行われた「楽天スーパーSALE」の期間流通総額は、2019年12月比で13.9%増だったという。

2000億円を投じる時前の物流網作り

物流拠点とラストワンマイルを拡大することで、独自の配送ネットワークを構築する「ワンデリバリー」構想では2000億円超の投資を計画する楽天。

楽天のEC需要拡大に向けた戦略
楽天のEC需要拡大に向けた戦略

6月には千葉県の習志野市に「楽天フルフィルメントセンター習志野(楽天FC習志野))」が本格稼働。2021年上期には神奈川県の「楽天フルフィルメントセンター中央林間(RFC中央林間)」が稼働する予定。

楽天は物流拠点を拡大している
物流拠点を拡大している(楽天が公表した決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

「ワンデリバリー」構想の中核を担う物流代行サービス「楽天スーパーロジスティクス」について、三木谷社長は「大赤字事業」と説明。続けて、「物流が増えればトントンまで持っていけると思っていますが、市場出店者のビジネスをサポートするための事業」と改めて趣旨を強調した。

楽天グループで生活用品や日用品を取り扱う「Rakuten24」などの直販店舗、「楽天ブックス」、ファッション通販サイト「Rakuten Fashion」、家電ECサイト「楽天ビック」の商品と、「楽天市場」出店店舗を対象とする物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」で受託する一部の荷物を自社配送している「Rakuten EXPRESS」の人口カバー率は2020年7月時点で、62.5%まで拡大。「最終的には80%、90%までカバーエリアを広げる。今後、楽天のロゴが付いた車で、ロゴの付いた箱がどんどん配送されていく」(三木谷社長)

楽天スーパーロジスティクスを利用する店舗は流通総額が拡大している
楽天スーパーロジスティクスを利用する店舗は流通総額が拡大している

購入者の送料負担を0円とするラインを3980円以上に設定した「送料無料ライン」について、8割以上の店舗が導入。「送料無料ライン」導入店舗と未導入店舗の成長率を比較すると、導入店舗は未導入店舗と比べて成長率は約20ポイント高くなっている(2020年4-6月の実績)。

楽天の「送料無料ライン」の導入店舗は、未導入店舗と比べて成長率が高くなっているという
「送料無料ライン」の導入店舗は、未導入店舗と比べて成長率が高くなっているという

「送料無料ライン」の導入などによって、競合であるAmazonの名前をあげて顧客ロイヤルティを測る指標であるNPS(ネットプロモータースコア)について言及。ヘビーユーザー、ライトユーザーともに競合と比較して大幅に向上したと説明した

楽天 競合と比較したNPSについて
競合と比較したNPSについて(楽天が公表した決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

サステナブル消費にも対応

サステナブル(持続可能)消費への対応にも力を入れていく。

「未来を変える買い物を。」というスローガンのもと、未来の環境、社会、経済に配慮して製造された「サステナブル(持続可能)」な商品を販売する「EARTH MALL with Rakuten」を立ち上げたのは2018年。

2019年4月-2020年3月の売り上げは前年同期比で50%増。サイトアクセス数は同5.3倍に増えたという。

楽天 「EARTH MALL」について
「EARTH MALL」について

「EARTH MALL」で扱うのは、MSC認証、ASC認証、FSC認証、国際フェアトレード認証、RSPO認証、GOTS認証といった国際的な機関からのお墨付きが付いた商品。「楽天市場」内で販売されている認証商品は「EARTH MALL」に自動的に掲載される仕組み。

国際認証済み商の品だけでなく、「地域に貢献する商品」「伝統文化を守っていく商品」「エネルギー消費がより少ない商品」など、さまざまな切り口でアドバイザーと共に商品を選定し、掲載。約7000点からのスタートで現在は約5万商品を販売している。

「EARTH MALL」が生まれた背景には、2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs」(エスディージーズ・Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)がある。

この中の「目標12・つくる責任つかう責任(持続可能な消費と生産のパターンを確保する)」への貢献をめざすために、サステナビリティ推進部(2018年1月、CSRグループから名称変更)の発案でスタートした。

三木谷社長は物流への投資も踏まえ、「CO2削減を踏まえたサステナブルな物流、消費を『楽天市場』など楽天グループで作っていく」と意気込みを語った。

瀧川 正実
瀧川 正実

イケアが原宿店専用アプリ、AR(拡張現実)で商品チェック→ECサイトで購入

5 years 3ヶ月 ago

イケア・ジャパンは、2020年6月にオープンしたIKEA原宿専用のアプリ「IKEA原宿アプリ」(対応OSはiOS 11.3以降)をリリースした。

起動したアプリを店舗内の家具商品にかざすと商品を自動判別、iPhoneの画面に、その商品の商品名を表示する。商品名をタップすると、商品情報(価格や色違いなどのバージョン)が簡単に確認でき、類似商品も閲覧できる。

イケア・ジャパンは、2020年6月にオープンしたIKEA原宿専用のアプリ「IKEA原宿アプリ」(対応OSはiOS 11.3以降)をリリース
IKEA原宿専用のアプリ「IKEA原宿アプリ」

商品情報内にあるブルーのAR(拡張現実)アイコンをタップし、何もない平坦な場所にiPhoneを向けると、家具を配置したときのシミュレーションが可能。表示した商品を、そのままECサイトで購入することもできる。

IKEA原宿ショップ内のルームセットに掲示されているARマークがついたポスターに、アプリを起動したiPhoneのカメラをかざすと、ルームセット内の商品情報をまとめて閲覧できる。

IKEA原宿専用のアプリ「IKEA原宿アプリ」
家具のAR表示で商品をチェック、ECサイトで購入可能

IKEA原宿ショップ内で販売する全商品のプライスタグにはQRコードがついており、iPhoneでスキャンすることで商品情報も閲覧できる。

IKEA原宿アプリでは、約1200種以上の家具商品と、その色のバリエーションをARで表示することができる。IKEA原宿アプリはAndroidでは利用できない。

イケア・ジャパンは4月、ネット通販用のアプリ「IKEAアプリ」の配信を開始。新しい「IKEAアプリ」は、イケアストアでショールームを見ているかのように買い物することが可能だ。

ネット通販を始めたのは2017年4月。Webサイトに掲載している商品をショッピングリストへ追加し、店舗受け取りもしくは自宅への配送(店舗から配送可能な地域が対象)を選んで、決済する仕組みを提供。店舗から商品を配送する流れで展開している。

石居 岳
石居 岳

アマゾンが物流拠点を4か所新設/マイナポイントに関する意識調査【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

5 years 3ヶ月 ago
2020年8月21日~27日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. Amazonが物流倉庫を拡充し2020年下期に4センターを新設。国内FCは計21拠点に

    Amazonが2020年下期に新設する物流センターは、「アマゾン久喜FC」「アマゾン府中FC」「アマゾン坂戸FC」「アマゾン上尾FC」

    2020/8/25
  2. マイナポイント内容把握は35.5%。利用意向は約30%で設定したいキャッシュレスは「PayPay」「楽天カード」「au PAY」

    MMD研究所はスマートフォンを所有する18歳~69歳の男女5,353人を対象に「マイナンバーカードとマイナポイントに関する調査 」を実施。「マイナポイントの内容を把握している」と回答した割合は35.5%で、マイナンバーカード所有率は27.7%。マイナポイント利用意向は29.9%で設定したいキャッシュレス決済上位は「PayPay」「楽天カード」「au PAY」

    2020/8/24
  3. イオンが倉庫型でネットスーパーを本格稼働へ、新会社「イオンネクスト」を設立

    イオンは英国のネットスーパー企業OcadoSolutionsと日本国内における独占パートナーシップ契約を2019年11月に締結し、同12月にイオンネクストを設立した

    2020/8/21
  4. スマホEC時代の新しいカゴ落ち対策。入力スピードや離脱軽減に役立つフォームの「1画面1質問」形式、知ってますか?

    フォームの入力支援だけでは不十分!? 多くのEC事業者が頭を悩ませる「カゴ落ち(カート離脱)」問題に新提案。

    2020/8/24
  5. ヤマト運輸が「荷物受け取り店」を募集中! 荷物を渡すだけで手数料収入。初期費用0円でクーポン配布も可能【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2020年8月17日〜23日のニュース

    2020/8/25
  6. 三木谷浩史社長らが戦略を共有する「楽天オンラインEXPO 2020」は8/27開催

    ゲスト講演として、メディアアーティストの落合陽一氏、社会学者の古市憲寿氏の講演も用意している

    2020/8/25
  7. メルカリの国内流通総額は27%増の6259億円。新型コロナで「エンタメ・ホビー」の需要が増加【2020年6月期】

    メルカリの2020年6月期連結業績における国内流通総額は前期比27.7%増の6259億円。米国事業の流通総額は736億円(期中平均為替レート1ドル=108.16円で換算)で、合算すると6995億円

    2020/8/26
  8. 200万円以下の無人店舗が登場! 最新テクノロジーで「店舗KPI」を見える化する「AI STORE LAB」探訪記

    企業向けのセキュリティソリューション「SECURE」を提供するセキュアは、アイスタイルグループとのコラボにより、次世代型無人店舗「AI STORE LAB」の実証実験を開始している。顔認証による入店、AIカメラによる来店客のデータ取得など、最新テクノロジーを活用しながらも、驚きの低価格を実現。その全容は?

    2020/8/24
  9. 通販・EC市場は8.8兆円で8.2%増(JADMA調査)【2019年度】

    マイナス成長を記録した1998年度以降、21年連続で増加傾向が続く。直近10年の平均成長率は7.5%。市場規模は10年で約2倍に拡大した

    2020/8/21
  10. アマゾン、メルカリ、ヤフー、楽天が立ち上げた「オンラインマーケットプレイス協議会」とは

    消費者に安心・安全な取引環境の構築に貢献し、オンラインマーケットプレイスの健全な発展を促すことを活動の目的としている

    2020/8/25

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    新型コロナでECビジネスを始める企業が急増。「楽天市場」は出店者数が5万店を突破

    5 years 3ヶ月 ago

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で新たにネット通販市場へビジネス領域を拡大する企業が増えている。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響が深刻化した4月以降、6月末までの3か月間で「楽天市場」出店者の純増数は1258店舗。出店者数は2020年6月末までに初めて5万店を突破し、5万1153店となった。

    2018年12月末時点の「楽天市場」出店者数は4万7007店舗。1年後の2019年12月末時点は4万9887店舗で、2020年3月末時点は4万9895店舗だった。

    これまで「楽天市場」に出店していなかった実店舗を持つ企業の参入も増えている。無印良品を展開する良品計画は6月、「楽天市場」に出店。衣料品など約200品目の商品販売をスタートした。

    呉服販売の京都きもの友禅は7月、「楽天市場」に出店しECビジネスをスタート。9000点超の在庫量、品質の良い振り袖を現金で大量買取して販売する価格力を武器に、ECユーザーや既存ユーザーのネット利用を開拓している。

    また、すかいらーくホールディングスは2020年内に「楽天市場」「Amazon.co.jp」へ出店することを決定。withコロナ時代への対応として、従来事業の枠を超えて新たな販売チャネルの拡大に取り組む必要があると判断した。

    すかいらーくホールディングスがECビジネスに参入することを決めた。2020年内に「楽天市場」「Amazon.co.jp」に出店。2021年にも自社ECサイトを立ち上げる
    すかいらーくホールディングスのECビジネスについて(画像は決算説明会資料から編集部がキャプチャ)

    低価格・無料のECプラットフォームで新規開設も増える

    低価格で利用できるECサイト構築・運営サービスでECビジネスを始めるケースも増えている。

    全国4万店以上が活用し月額利用料900円から利用できるEC作成のASPサービス「カラーミーショップ」(提供元はGMOペパボ)の新規契約者数は5月以降に急増。6月は前年同月比75.9%増で新規契約が増えた。

    提供元はGMOペパボでは5月から、「YouTube広告」を実施し新規獲得を進めている。

    「カラーミーショップ」の新規契約者数の推移(画像はGMOペパボの決算説明会資料からキャプチャ)
    「カラーミーショップ」の新規契約者数の推移(画像はGMOペパボの決算説明会資料からキャプチャ)

    初期費用・月額費用が無料のEコマースプラットフォーム「BASE」の2020年4-6月期(第2四半期)における、新規開設数は前年同期比229%増を記録。累計ショップ開設数は2020年5月に100万店、7月に110万店を突破したという。

    アパレルや食料品を販売する実店舗のオンラインシフト、物産展など催事中止の影響を受けた食品卸業者、営業自粛をした飲食店の開設が増加したとしている。

    「BASE」の流通総額(GMV)の推移。2020年開設店舗の流通総額も増えている
    「BASE」の流通総額(GMV)の推移。2020年開設店舗の流通総額も増えている(画像はBASEの決算説明会資料からキャプチャ)
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    オルビスが通販・EC出荷で物流ロボット導入。出荷能力は1.3倍、27%減の省人化、コストは18%減を実現

    5 years 3ヶ月 ago

    ポーラ・オルビスグループのオルビスは、通販・EC向け出荷作業の主要拠点「オルビス東日本流通センター」の通販用出荷ラインに自動搬送ロボットなどを導入、集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化する取り組みを始めた。

    新たに採用したのは小型AGV(自動搬送ロボット)を最大限活用した出荷システムで、名称は「T-Carry system」。1オーダーに対して1台のAGVを割り当て、集荷から検査梱包まで一連の流れをロボットが自動化する。

    オルビスは、通販・EC向け出荷作業の主要拠点「オルビス東日本流通センター」の通販用出荷ラインに自動搬送ロボットなどを導入、集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化する取り組みを始めた
    集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化する「T-Carry system」

    従来は手作業だった封函、方面別仕分けを、全配送箱サイズ9種を自動判別する日本最速クラスの自動封函機、自動方面別仕分け機で行う。合計330台のAGVが、AI(人工知能)技術を活用した制御システムから指示を受け、集荷から検査・梱包作業場所まで最適なルートで走行し、循環する。

    出荷能力は旧出荷ラインで1時間あたり1800件だったが、ロボット導入で従来比1.3倍の2400件に拡大。人員は89人から65人と27%削減、コストは18%削減(1件当たり出荷作業費)、消費電力は40%削減(年間15万7920KW相当)できるという。

    「T-Carry system」は、パートナーである椿本チエインと協働し、2018年から検討を重ねて開発した。AGVは制御技術に優れたZhejiang LiBiao Robot製。ロボットサービスプロバイダーであるプラスオートメーションから導入し、一部改良して採用した。

    オルビスが導入した小型AGV(自動搬送ロボット)
    導入した小型AGV

    グループのDECENCIA(ディセンシア)の通販商品の出荷作業も統合、「T-Carry system」からの出荷を9月14日に開始する。

    グループの中でもECを主軸に展開するオルビスとディセンシアの出荷作業を統合することで、近年ニーズが高まる物流のオートメーション化、スマート化のシナジー効果を発揮していく。

    新型コロナウイルスの影響でEC市場の伸長が加速する中、物流施設のオペレーションは複雑化、業界内の労働力不足は深刻さを増している。オルビスは最新テクノロジーの積極活用によって物流システムの自動化、省人化を促進し、環境負荷と物流現場の負担を軽減する。

    主力のECチャネルの物流基盤を持続可能な形で強化し、生産性および顧客利便性のさらなる向上と、社会課題の解決に取り組んでいくとしている。

    石居 岳
    石居 岳

    ジャパネットたかたやランクアップのリモートワーク事例。成功のカギは「コミュニケーション」と「やる気喚起」 | 通販新聞ダイジェスト

    5 years 3ヶ月 ago
    リモートワークは、社員同士の信頼関係の構築やモチベーションの維持など課題も多い。「YouTube」を使った朝礼や料理教室、テーマ毎のオンライン飲み会、社員の「インスタグラマー」化など、ジャパネットやランクアップの取り組みを紹介

    新型コロナウイルスの感染拡大を機に変化を見せた働き方。緊急事態宣解除後もリモートワークを継続する通販実施企業も多い。様々な利点がある一方、事業を推進していく上で重要な社員同士の信頼関係が築きにくくなったり、働くモチベーションが低下するなどのデメリットもある。

    第2波到来が懸念される中で今後、ますます不可欠な働き方になりそうだが、十分に機能させるには社員間のコミュニケーション促進ややる気の喚起などがカギとなりそうだ。注目すべき各社の取り組みからそのポイントを見ていく。

    研修や飲み会もオンラインで実施

    ジャパネットホールディングスでは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月から従業員の半数以上がリモートワーク体制に移行。4月14日から5月29日までのリモートワーク下において、社員間のコミュニケーション促進やモチベーションの維持をサポートすべく、様々な取り組みを行った。

    YouTubeを利用した朝礼を実施

    その1つが”朝礼”だ。木曜を除く毎日、午前9時から30分間にわたって動画共有サイト「ユーチューブ」を活用して全社朝礼のライブ動画を配信した

    朝礼ではジャパネットグループ会社10社のそれぞれの部門ごとに役員や部門長が今、取り組んでいること。また、これから取り組もうとしていることなど現状や方向性などを報告したり、同社グループの産業医からコロナの感染予防のための情報提供などを行ない、毎回、朝礼終わりに俳優でフィットネスインストラクターとしても知られる美木良介さんによる5分ほどのトレーニング動画(録画)を配信するもの。

    朝礼は毎回、発表内容について髙田旭人社長とも検討しながら決定し、前日の夕方に翌日配信分のリハーサルを実施するなど力を入れており、従業員からも「各社が取り組んでいることがよく分かった」「会社の動きを知ることができた」「在宅だったが会社とのつながりを感じることができた」などの声が寄せられたという。

    料理研修などリモートワークを活かしたオンライン研修

    ”朝礼”に加え、リモートワーク中の従業員に向け、外部の専門家などを講師として招き、研修を実施。社員向けの研修はこれまでも毎週木曜日に実施してきたが、同期間はオンライン配信形式として、「最高品質のWEB会議術」などテーマに在宅勤務の環境下で有効となる研修を行った。

    特に「睡眠マネジメントで仕事力10倍!」をテーマとした睡眠研修などが従業員からは好評だったよう。同研修では実際に寝転がり、自分に合った枕の調整方法などをその場で実践するなど、在宅環境だからこそ実行できる内容だったことなどが受けたようだ

    また、外出自粛で増えた自炊をサポートすべく、実施した料理研修なども好評だったよう。同研修は料理研究家を招いて主菜の「ジンジャーチキン」のほか、副菜の「ベビー帆立とピーマンの和え物」、汁物「オクラとワカメのみそ汁」の3品の作り方を1時間の配信時間の間に東京・麻布の事務所で実際に料理をしながら紹介した。料理番組さながらの内容で社員からも反響が高かったようだ。

    通販新聞 リモートワーク オンライン料理教室 ジャパネットホールディングス ZOOM
    「ジャパネットホールディングス」が行ったZoomを利用した料理研修の様子

    「オンライン飲み会」はテーマ毎に開催

    仕事面でのモチベーションアップのための施策だけでなく、自由参加の「オンライン飲み会」も積極的に実施した。毎週月・水・金の週3回実施し、例えば「鉄道を愛する者~鉄オタの会~」や「日本酒好きの会」「英語を勉強したい人の会」など開催日ごとに2~3つのテーマを設定。テーマ別に興味のある従業員が入退室や飲食を自由な環境で集まり、2時間程度を目安に開催した。

    期間中は合計22回、全47テーマのオンライン飲み会が催された。オンライン飲み会の効果については「拠点やグループ会社、勤続年数などの垣根を超え、オンラインならではの交流ができ、また在宅業務でこもりがちになる環境へのリフレッシュとなった」(同社)とし、社員同士のコミュニケーションの促進に一定の効果があったという

    ジャパネットホールディングスでは6月から段階的にリモートワークを解消し、現時点では原則、出社勤務となっていることから現状、リモートワークは継続していないが、今回のコロナ禍におけるリモートワークに対応して実施した各種の施策によって「所属会社以外の動きなども知ることができ、全グループ会社それぞれで困難なことがありながらも、みんなでがんばろうという想いを共有できた」(同社)などと、その効果を感じているようだ。

    「オンライン部活」や「ランチ会」で社員の家族含め交流に広がり

    ランクアップは、会社が積極的にサポートすることで、テレワークで希薄になりがちな社員間のコミュニケーションの活性化を図る。

    社内ではこれまで、手芸部や英語部、頭脳ボードゲーム部、バレーボール部など多くの部活動が行われていた。活動費として1人2000円を補助。ランチ会は1人1000円を支給していた。

    新型コロナの感染拡大を受けた2月のテレワーク移行後は、「Zoom」を活用した「オンライン部活」、「オンラインランチ会」を開始。活動費の補助も継続し、オンライン部活では自宅から活動に参加することで、社員の子供や母親を交え交流が活性化するなど、広がりが出始めている。外出自粛の中、自宅で過ごす時間が充実したものになっているという。

    通販新聞 リモートワーク オンライン部活 オンラインランチ会 ランクアップ ZOOM コミュニケーション活性化
    「ランクアップ」が行った「オンライン部活」の様子

    朝5時~22時の間で小刻みに勤務できる「スーパーフレックス制度」も導入。子育てと仕事の両立を図りやすいようサポートする。

    通販新聞 リモートワーク ランクアップ スーパーフレックス制度 子育てと仕事の両立
    「ランクアップ」は「スーパーフレックス制度」を導入し、子育てと仕事の両立をサポート

    月1回、3時間ほど行っていた全体会議もオンライン開催に変更。会場の確保が不要になり、出退室を自由にした。こうした状況を受けて、開催回数を月2回に変更。より効率よく情報共有が進むなど、プラスの効果が得られている。毎朝行う朝礼もオンラインで開催。子育て中の社員が多いことから子供を交えて「オンラインラジオ体操」も行う。

    通販新聞 リモートワーク オンラインラジオ体操 ZOOM ランクアップ コミュニケーション活性化
    「ランクアップ」が行った「オンラインラジオ体操」や「オンラインランチ会」の様子

    社員が自社製品を紹介する「インスタグラマー」に

    一方、休止を余儀なくされたのが、「会える通販」の名称で行う顧客との交流イベントだ。18年9月に開始。愛用者のロイヤリティ向上を図り、全国で新製品お試し会や美容イベント、岩崎裕美子社長自ら参加する食事会を行ってきた。昨年は約1000人の顧客と交流を図り、直接、さまざまな要望を聞くことで製品開発に活かしてきた。

    こうした接点を持つことが難しくなる中、毎週金曜日に公式インスタグラムでライブ配信を開始。社員自ら製品紹介や使用方法の説明を行い、顧客の質問に答える双方向のコミュニケーションを図っている。4月には、岩崎社長自らが愛用製品や顧客の質問に答えるライブ配信も行った。「会える通販」もオンラインで開催することで、全国各地から参加が可能になるなど、より幅広い地域の顧客との接点が増えている

    外出自粛の影響を受けたSNS利用の時間増を追い風に、社員全員を「インフルエンサー」にするプロモーションも始めた

    社員全員がインスタグラムの企業用アカウントを開設。「インスタグラマー」として自社製品の紹介などを行う。

    通販新聞 リモートワーク 社員のインスタグラマー化 インフルエンサー ランクアップ
    「​​​​​ランクアップ」社員のInstagram画面

    投稿内容は自由だが、社員のプロフィールURLから製品購入に至った場合は、一定の成果報酬を付与する制度を導入。業務時間に運用に充てる時間を設けたり、インスタグラムと相性のよい写真素材を提供して、社員のモチベーションにつなげている。

    社員のフォロワー数は平均4600人、総フォロワー数は約25万人に達している。中には、3万人近いフォロワーを抱える社員もいる。製品を愛用する社員自ら使用方法のポイント等を発信することで、より親しみやすいプロモーションが実現できるとみる。顧客の声を直接聞けるコミュニケーションツールにもなっている

    化粧品ブランド「マナラ」の主要顧客層は40代以降の女性層。今後、インスタグラムなどSNSの活用を強化することで、20~30代の女性層など若年層へのアプローチも強化していく。

    ※記事内容は紙面掲載時の情報です。
    ※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
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    通販新聞

    スターバックス、ZARAのデジタル戦略などに学ぶWithコロナ時代を勝ち抜くための実店舗&モバイル戦略 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    5 years 3ヶ月 ago
    モバイル活用、優れた店舗戦略を組み合わせれば、小売事業者は競争激しい市場で成功し続けることができます。スターバックス、ZARAのモバイル戦略を踏まえ、実店舗が成功するモバイル活用法を解説します

    実店舗を持つ企業は、店舗でのカスタマーエクスペリエンス(CX)とデジタル上のカスタマーエクスペリエンスの統合を加速させています。そのカギを握るのがモバイルです。

    アメリカでは消費者のeコマースシフトが4~6年早まった

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で消費者の購買パターンが劇的に変わる中、実店舗を持つ多くの企業は、収益向上のためにモバイルへの切り替えを検討しています。

    アメリカの消費トレンドを調査したAdobe社のレポートによると、新型コロナウイルスの大流行によって、消費のeコマースシフトが4~6年早まったと推定されています。5月のオンライン購入の総額は、前年比77.0%増の825億ドルという驚異的な数字を記録しました。

    モバイルの成長は、EC全体を上回る

    eMarketer社の調査(2019年)を見ると、世の中の動向を追っている企業は、モバイルショッピングへ対応への移行を始めていたのがわかります。回答した消費者の50.0%以上が過去1か月以内にモバイルアプリを使って商品やサービスを購入したことがあることが判明。モバイルのコンバージョンがオンラインショッピング全体のコンバージョンよりも成長していることを示しています。

    1か月以内に米国のスマホ/タブレットユーザーが起こした行動について eMarketer社の調査
    1か月以内に米国のスマホ/タブレットユーザーが起こした行動について(eMarketerの「Smartphones Will Account for More than One-Third of Ecommerce Sales in 2019」より編集部が作成)

    最近までオンラインよりも実店舗に重点を置いてきた小売事業者にとって、モバイルへのシフトは難題となることも。ただ、多くの事業者にとって、実店舗はブランドのDNAと魅力を表現する大事な存在です。一般的に、オンラインが消費者が店舗や商品に接触する最初の場所がモバイルになっているため、モバイルが実店舗とデジタルの強力な架け橋になり得る可能性があるからです。

    物理的な体験とオンラインでの存在感を組み合わせることができる小売事業者は、Withコロナ時代を生き抜くための最高の武器を備えていると言えるでしょう。

    アプリ、オムニチャネル、再エンゲージメントでコロナ危機を乗り越える

    アプリEC市場は新型コロナウイルスに直面しても、概ね持ちこたえており、人々は自粛生活を送りながら、これまで以上にアプリを利用するようになりました。

    しかし、eコマースアプリは新型コロナウイルス拡大初期の数週間、嵐をうまく乗り切ることができませんでした。アプリのマーケティングを行うAdjust社が発表したアプリのトレンドレポートによると、2020年3月までのeコマースアプリのインストール数は前週比12%減。企業が広告を控えたため、3月から4月にかけて有料インストール数は35%減少しました。

    しかし、Adjust社の最新データによると、これらの数字が新型コロナウイルス以前の水準に近いところまで上昇しています。経済がより活発な活動に向けて準備を進める中、デジタル広告費が全体的に回復している証でしょう。また、新型コロナウイルス発生の初期段階に、業界に不安が蔓延する中でもマーケティング予算を安定的に確保していた企業の中には、インプレッションあたりのコスト減を成長の追い風にできた企業もありました。

    特にアメリカでは、大規模小売事業者はオムニチャネルを活用することで、競合他社よりもうまく困難を乗り切ってきました。その回復力は、新しい環境への適応に苦労している中小企業とは対照的です。これらの大手小売企業は、モバイル技術を利用してコンバージョンを促進しながら、大規模な倉庫や店舗の利点を活用することで、今後の成功を確実なものにしています。

    また、企業はユーザーの再エンゲージメントに焦点を当てることで、ビジネスを前進させています。Adjust社のデータでは、3月の最終週と7月の第1週を比較すると、お気に入りのECサイトに戻ってきた消費者は世界全体で27.5%の増加でした。広告が再開され、消費者の購買意欲も戻ってきた証拠でしょう。この数字は3月単体の再来訪率43%を下回っていますが、消費者が購買意欲を取り戻すために、リターゲティング広告が大きく寄与していると言えます

    アナリティクスを使用して顧客との関わりを深める

    データはデジタルが持つ最も大きなアドバンテージであり、データから得られるインサイトで、ビジネスの戦略全体を強化することができます。モバイルデータは今まで独立して取り扱われていましたが、現在ではモバイルが企業にとって消費者との最も近いタッチポイントであることが多くなってきています。アメリカの一般的な消費者は、毎日4時間モバイルデバイスを利用していますが、そのうち88%の時間がアプリに費やされています。この数字が、今後数年で急上昇することは間違いありません。

    2018-2022年に米国人が1日にアプリとブラウザで費やした/費やすであろう平均時間の比較 eMarketer調査
    2018-2022年に米国人が1日にアプリとブラウザで費やした/費やすであろう平均時間の比較(eMarketer「The Majority of Americans'Mobile Time Spent Takes Place in Apps」より編集部が作成)

    パーソナライズされたコンテンツに対する消費者の需要は常に高まっており、消費者の関心を引くモバイル広告を作成するためにも、データは不可欠です。モバイル広告は、人口統計学的データや心理学的データ、以前の行動(閲覧したアイテムなど)に基づいて作成したり、消費者がマーケティングファネル内のどこにいるかに合わせてカスタマイズしたりすることができます。

    また、ロックダウンと経済再開を経験し、消費者の行動は急速に進化しています。コンサルティング企業McKinsey社が行ったアメリカの消費者意識調査によると、新型コロナウイルス拡大期間中に61%のアメリカ人がオンラインで買い物をしたことがあり、その内の31%がオンラインショッピングを初めて利用しました。このような消費者は従来の買い物に慣れているため、継続的にエンゲージメントを促し、価値を示すことが非常に重要です。

    産業別に見た、デジタルアクセス数に対するユーザーのデジタル活用度合いについて
    産業別に見た、デジタルアクセス数に対するユーザーのデジタル活用度合いについて(McKinseyDigitalの「The COVID-19 recovery will be digital: A plan for the first 90 days」より編集部が作成)

    どんなクリエイティブな商品やメッセージが消費者の心に最も響くかを分析することで、ブランドはキャンペーンをさらに改良していくことができます。

    実店舗とデジタルの橋渡しに成功したブランドから学ぶ

    モバイル施策を始めたばかりの小売事業者にとって、モバイルマーケティングは困難に見えるかもしれません。しかし、かつては実店舗中心だったブランドがデジタルへの移行を成功させ、今ではモバイルがこの2つの世界の架け橋となり、店舗での物理的なカスタマーエクスペリエンスとデジタル上のカスタマーエクスペリエンスの統合を加速させている例は数多くあります。

    Starbucksは、新型コロナウイルス流行の中でも売り上げを急増させるため、「ピックアップのみ」の店舗開設を急ぐ一方で、ドライブスルー、道端でのピックアップ、デリバリーなどのサービスを提供するため、400店舗を再構築しています。

    StarbucksのCEOケビン・ジョンソン氏と、ファイナンス担当のパトリック・グリスマー氏は次のように投資家たちに語りました。

    この戦略は、新型コロナウイルスの結果として加速しました。モバイル注文の利便性の向上、非接触型のピックアップ、店内混雑の緩和など、急速に進化する消費者の嗜好と一致しており、これらすべてが自然とソーシャルディスタンスを可能にしています。(StarbucksのCEOケビン・ジョンソン氏と、ファイナンス担当のパトリック・グリスマー氏)

    スペインのファッション大手ZARAも同様に、eコマース事業への投資を倍増させ、今後3年間でオンラインサービスに10億ドルを投入してデジタル販売を強化する予定です。1,200 店舗を閉鎖する計画と合わせて、ZARAは2022年までに全体の売り上げの25%をオンラインで生み出すことを目標としています。

    ZARAの親会社であるInditexe社のCEOパブロ・イスラ氏は、声明の中で次のように述べています。

    2022年までの最大の目標は、お客様がどこにいても、どんなデバイスを使っていても、どんな時間帯でも、スムーズなサービスが提供できる、完全に統合された店舗の実現を加速させることです。(Inditexe社のパブロ・イスラCEO)

    ◇   ◇   ◇

    モバイルは消費者にリーチし理解するための方法を、従来の実店舗型の小売事業者に提供しています。また、最も個人的で普遍的なチャネルであるモバイルは、カスタマージャーニー、好み、閲覧に関する重要なデータを提供してくれます。モバイルの活用と、優れた店舗戦略と組み合わせることで、小売事業者は競争の激しい市場で成功し続けることができるのです。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    メルカリの国内流通総額は27%増の6259億円。新型コロナで「エンタメ・ホビー」の需要が増加【2020年6月期】

    5 years 3ヶ月 ago

    メルカリが発表した2020年6月期連結業績によると、国内流通総額は前期比27.7%増の6259億円だった。

    MAU(マンスリーアクティブユーザー)は2019年6月期の1357万人から、2020年6月期は1745万人に増えた。

    メルカリが発表した2020年6月期連結業績によると、国内流通総額は前期比27.7%増の6259億円
    メルカリの国内流通総額(GMV)の推移

    米国事業の流通総額は736億円(期中平均為替レート1ドル=108.16円で換算)で、合算すると6995億円。2019年6月期比で流通総額は31.8%増えた。

    なお、連結の売上高は762億7500万円(前期比47.6%増)、営業損失が193億800万円(前期は121億4900万円の損失)、当期純損失は227億7200万円(前期は137億6400万円の損失)。

    商品カテゴリー別の構成比を見ると、構成比に変化が見られる。2019年6月期は「レディース」が最も高い構成比だったが、2020年1-3月期(第3四半期)と2020年4-6月期(第4四半期)では「エンタメ・ホビー」がトップ。「レディース」は2番目となっている。

    メルカリ国内流通総額の商品カテゴリー別の構成比
    3Qと4QのGMVにおける商品カテゴリー別の構成比

    メルカリは、新型コロナウイルス感染症拡大によるライフスタイルの変化で、カテゴリー構成がアウトドア向けからインドア向けにシフトしていると説明。「GMV(流通総額)のカテゴリー構成比がアウトドアからインドア向けに変化も、四半期後半にかけてレディースが復調傾向」(メルカリ)としている。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    リアル店ならではのサービスを――アダストリアが店舗で全ブランドを試着予約できる新サービス「.st CONCEPT」開始

    5 years 3ヶ月 ago

    「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などのアパレルブランドを展開するアダストリアは、アプリ上で全ブランドの試着予約とプライベートフィッティングサービスを特定店舗で受けることができる「.st CONCEPT(ドットエスティコンセプト)」を開始する。

    テスト展開として9月1日から、「GLOBAL WORK(グローバルワーク)イオンモール成田店」で開始し、順次全国に展開する。サービス開始に先駆け、公式専用アプリの配信を8月25日から開始した。

    「.st CONCEPT」は、約20ブランドの商品をアプリ上で試着予約し、予約した対象店舗で試着や相談ができるフィッティングサービス。ブランドの垣根を越え、予約対象店舗でさまざまなブランドのアイテム試着などをできるようにするのが特長だ。

    試着して気に入った商品はその場で購入することができ、スタッフによるスタイリングアドバイスを受けることができる。来店後にアプリからスタッフへ質問をすることも可能。

    アダストリアは、アプリ上で全ブランドの試着予約とプライベートフィッティングサービスを特定店舗で受けることができる「.st CONCEPT(ドットエスティコンセプト)」を開始
    コンセプトは「いろんなブランドのアイテムをアプリで選んで店舗で試着できる」(画像は「.st CONCEPT」のWebサイトからキャプチャ)

    全国にリアル店舗を展開しているアダストリアだが、地域によって展開するブランドが限られている。一方で、「いろいろなブランドを楽しみたい」「試着をせずにECで買うのは不安」という地方在住客は一定層、存在する。アダストリアはリアル店舗の在り方を見直し、マルチブランドを生かしながらリアルな場で顧客とのコミュニケーションを図るサービスとして「.st CONCEPT」を開発した。

    「.st CONCEPT」はリアル店舗の存在意義が問われる今だからこそ、リアル店舗ならではのサービスと、アダストリアの特長であるさまざまな顧客を主役としたマルチブランドを掛け合わせることで、都心だけではなく全国の顧客に寄り添ったコミュニケーションサービスの提供をめざす。(アダストリア)

    アダストリアは当初、2020年2月期の重点施策として、オムニチャネルサービスの導入を予定。ECで購入した商品の店舗受け取り、Web上での試着予約などを予定していた。

    しかし、ECサイト「.st(ドットエスティ」が2019年8月のリニューアルでシステムの不具合が発生。オムニチャネルサービスの導入時期の延期を余儀なくされた経緯がある。

    アパレルで進むEC商品のフィッティングサービス

    試着予約は、さまざまなアパレル企業がスタートしている。

    シップスは2019年11月、自社ECで気になった商品をリアル店舗で試着できる「店舗取り置き・試着サービス」を開始。実店舗の在庫状況を確認できる機能は以前からあったが、試着予約機能を実装することで顧客の利便性を高めた。

    AOKIは2020年7月、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取れる「店舗受け取りサービス」、店舗で取り置いて試着できる「取り置き予約サービス」の提供を、ビジネスカジュアルブランド「ORIHICA(オリヒカ)」の全店舗に導入した。

    石居 岳
    石居 岳

    物流ロボットが働く次世代物流センターの中はどんな様子? 省人化や生産性向上を実現する「Xフロンティア」【現場レポート】 | 物流女子の旅

    5 years 3ヶ月 ago
    SGHDの次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」では、自動棚搬送ロボット「EVE」や無人搬送ロボット「OTTO」、自動梱包機など最新技術が稼働。一般的に必要とされる人員の半分で物流業務を行っています【物流女子の旅:連載3回目】

    SGホールディングス(SGHD)の次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」5階にある中小EC事業者向け「シームレスECプラットフォーム」(SGHD傘下の佐川グローバルロジスティクスが運営、SGL)では、AI搭載の自動棚搬送ロボット「EVE」、無人搬送ロボット「OTTO」、商品サイズに合わせた箱を自動作成して梱包する自動梱包機など、最先端テクノロジーが稼働しています。

    約2万1156平方メートル(約6400坪)という広大なフロアで稼働するスタッフは、通常100人以上必要なところわずか約50人。省人化や生産性向上を実現している「シームレスECプラットフォーム」を見学してきました。

    ピッキングエリアまで商品棚を運ぶロボット「EVE」

    倉庫内で広いスペースを占めているのが自動棚搬送ロボット「EVE」の稼働エリアです。「シームレスECプラットフォーム」では、「EVE」本体を46台、専用の棚を1328棚導入し、最大70万点の商品を保管。出荷頻度が比較的高い商品のピッキングに使用しています。

    自動棚搬送ロボットEVE Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    自動棚搬送ロボット「EVE」(撮影:藤田遥)
    自動棚搬送ロボットEVE QRコード Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    「EVE」が移動時に読み取っているQRコード。床に一定間隔で貼ってあります(撮影:藤田遥)

    スタッフの経験値が問われず、ミスの防止にも

    「EVE」は床に貼り付けたバーコードを本体下部にあるセンサーで読み取り、導線に沿って移動する仕組み。センター内での主な役目は、商品が入った棚を「ステーション」と呼ばれるピッキング作業場まで運ぶこと。

    「EVE」が稼働しているようす

    「EVE」がステーションに到着すると、スタッフは商品のピッキング作業を行います。その際、ステーション内のモニターにどれが対象商品か表示されるので、スタッフはその指示に従って棚から商品をピッキング。それらの商品に貼り付けられているバーコードを専用機械で読み取り、カゴに入れていきます。

    自動棚搬送ロボットEVE ステーション Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    スタッフが商品のピッキングと、カゴへの移し替えを行う「ステーション」。カゴ下のランプが点灯するため、スタッフはどのカゴに商品を入れたら良いか一目で分かる(画像はSGL提供資料より編集部がキャプチャ)

    カゴを収納する棚にはランプが付いており、スタッフが一目でどのカゴにピッキングした商品を入れればいいのかがわかるようになっています。

    こうした自動化によるメリットを、SGLの堀尾大樹氏(EC Logi Tokyo 所長)は次のように言います。

    商品棚やカゴの位置をモニターやランプで表示することで、作業に慣れていないスタッフでも一定の品質で作業ができますし、商品の取り間違いや入れ間違いなどのヒューマンエラーも防止できます。(堀尾氏)

    自動棚搬送ロボットEVE 案内モニター ミス防止 Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    ステーション内のモニター。ピッキング対象商品の位置を表示する(撮影:藤田遥)

    「EVE」でスタッフの移動時間を大幅に減し業務を効率化

    堀尾所長によると、倉庫内作業の中で最も時間が割かれているのは、「倉庫内を人が移動する時間」。「EVE」の使用で、商品をピッキングするために倉庫内を歩き回る時間やスタッフの人数を削減でき、効率化・省人化につなげています。通常のオペレーションと比べて処理数は3~4倍になるとのことです。

    ピッキングした荷物の運搬は「OTTO」にお任せ

    ピッキングした商品は検品のために別エリアに運ぶ必要があります。そのときに活躍するのが自動搬送ロボット「OTTO」で、14台導入しています。

    自動搬送ロボットOTTO Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    自動搬送ロボット「OTTO」(撮影:藤田遥)

    エリア間の移動を効率化

    商品の入ったカゴを専用の台車にセットし、ステーション内にある専用パネルで「OTTO」を呼ぶと、ステーションまで台車を取りに来てくれます。

    台車を所定の位置に置いておくと「OTTO」が台車の下でスタンバイ。「OTTO」が来たことを確認し、パネルで指示を出すと検品作業エリアまで運びます。

    「OTTO」が稼働しているようす

    「OTTO」の最大走行速度は2.0m/s、平均走行速度は1.5m/s。約150mのエリア間搬送を行うため、人力より搬送能力が向上します。

    周囲に注意を促しつつ、自動でルートを決めて移動

    「EVE」は導線に沿って移動をしますが、「OTTO」は導線がなくても移動できます。「OTTO」内に組み込んだ倉庫マップや走行距離などから自動でルートを判断し、走行するのです。

    障害物などへの衝突を回避する機能が備わっており、走行ルート上に閉まっているシャッターなどがあれば、それを避けて別ルートで走行します。荷物の搬送時も、照明と音を発することで周囲の作業スタッフに注意喚起を行うなど、安全性を考慮した設計になっています。

    商品サイズを自動で判断! 自動梱包機

    検品作業後の梱包は、イタリア製の自動梱包機を使用します。自動梱包機は商品の3辺を自動で計測。サイズに合わせた段ボールを自動で作成・梱包。1時間で800ケースも作成できるそうです。

    自動梱包機稼働のようす

    サイズに合わせて適切なサイズの箱を作るため、緩衝材が不要になるそうです。緩衝材が削減されれば、環境問題への配慮や、商品を受け取った人が緩衝材を処分する手間の軽減にもつながります

    また、4種類までと数は限られていますが、納品書やチラシなども自動で投入できます。その他、配送伝票のバーコードを読み込むことで企業を判断し、外装に企業ロゴや文字などの印字も可能。

    自動梱包機 梱包後 Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    自動梱包機によって梱包された内部。少し隙間を持たせているのは、商品がぶつかってしまった際の衝撃が直接商品に伝わらないようにするため(撮影:藤田遥)

    全てロボットに頼らず、あえて“マンパワーによる余力”を残す

    商品棚やエリア間の配送、梱包までロボットで行っていますが、あえて人の手で行う場所も確保しています。

    「EVE」稼働エリア外に、人の手で商品をピッキングする商品の保管エリアを設置しています。季節要因などで、急に商品数が増えたときに備えて保管場所に余裕を持たせるためです。

    壊れ物などの緩衝材が必要な商品などに対しては、人手による作業場を設けています。またそれぞれの作業場所にはトラブル予防のためのカメラを設置。商品が入っていないなどのクレームが来た場合、撮影映像から検証を行います

    梱包所 手動  Xフロンティア ECプラットフォーム SGL
    手作業で梱包するエリア。専用の台を設けています(撮影:藤田遥)

    今後は自動倉庫「AUTOSTORE」も導入予定

    2021年3月ごろには、「AUTOSTORE」を導入予定です。

    「AUTOSTORE」とは、格子状に組まれた「グリッド」と呼ばれる支柱内に商品の入った専用のコンテナを収納し、その上を縦横無尽に動くロボットがコンテナをピッキングしてスタッフがいるワークスペースに運ぶシステムを導入した自動倉庫のこと。

    自動倉庫AUTOSTORE Xフロンティア ECプラットフォーム SGL 物流ロボット
    2021年3月ごろ導入予定の「AUTOSTORE」イメージ図(画像はSGL提供資料より編集部がキャプチャ)

    通常の棚はある程度高さが決まっているため、商品の保管数が制限されます。しかし「AUTOSTORE」は床から天井近くまで商品を収められるなど、高い収納力が特長です。

    保管効率が良いので、比較的保管期間の長い商品や出荷頻度が低い商品に使用予定です。

    ◇◇◇

    最先端のテクノロジーが導入された「シームレスECプラットフォーム」はまさに圧巻。技術の進歩によって、人手不足など物流の課題解決や資材削減による環境問題への配慮、作業効率化で商品の受注から発送までのリードタイムを短縮するなど、さまざまな面に恩恵をもたらす仕組みになっていることを感じました。

    藤田遥
    公文 紫都
    藤田遥, 公文 紫都

    リピート客やファンを生む「良いお買い物体験」とは? SHOPLIST、ビタブリッド、サイクルスポットの責任者が鼎談【前編】

    5 years 3ヶ月 ago
    「良いお買い物体験」とは? 「SHOPLIST.com by CROOZ」のCROOZ SHOPLIST、自転車販売大手のサイクルスポット、スキンケア製品「ビタブリッドC」のビタブリッドジャパンの3社の責任者による鼎談【前編】
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    ECサイトでの「顧客体験」「カスタマーエクスペリエンス」が継続客の創出、つまりリピート客や顧客のファン化につながると言われる昨今。小売・EC企業はどんなことに取り組めばいいのか? そもそも、「良いお買い物体験」とは何なのか? 今回、そんな解を求めて、ファッション通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」を運営するCROOZ SHOPLIST、自転車販売大手のサイクルスポット、スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパンの3社の責任者による鼎談が実現。コロナ禍の状況の中、リモートでの開催となった本鼎談、小売・EC企業に求められる「良いお買い物体験」について語り合ってもらった(この企画は「Amazon Pay」によるスポンサードの下、鼎談が実現しました)。

    CROOZ SHOPLISTから鼎談に参加したのは開発部の稲垣剛之氏。2011年7月にクルーズへ中途採用で入社。「CROOZblog」のメインエンジニア、ディレクターを経験し、「SHOPLIST.com by CROOZ」オープン直後から開発面の責任者を担当している。

    CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏
    CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏
    CROOZ SHOPLISTはファッション通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」の企画・運営会社。サービス開始後8年目となる2020年3月期における「SHOPLIST」事業の売上高は約245億円

    サイクルスポットは関東圏に実店舗を108店展開。近年ECに力を入れている。参加した販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏は、前職ではアメリカンスポーツの輸入販売を手がけるセレクションインターナショナルに従事。クリエイターからマーケターへ、そしてシステムの開発なども手がける。EC強化を進めるサイクルスポットへは2019年にEC責任者として入社した。

    サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏
    サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏
    関東で100店舗以上を展開するサイクルスポットのEC責任者

    スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパン。執行役員 西守穣氏は創業メンバーの1人で、主にフルフィルメントなどを管掌する。単品通販のEC専業企業として2014年に設立。2020年2月期のEC売上高は前期比31.0%増の85億3700万円と急成長している。

    ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
    ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
    スキンケア製品「ビタブリッドC」などで知られるビタブリッドジャパンは2014年に設立。2020年2月期のEC売上高は前期比31.0%増の85億3700万円

    取り扱う商品、ビジネスモデルも三者三様の3者による鼎談から、小売・EC企業に求められる「良いお買い物体験」の解を探っていく。

    稲垣剛之氏(以下、稲垣):「SHOPLIST.com by CROOZ」はレディースからメンズ・キッズに至るまで10~40代をターゲットにさまざまなファッションブランドを購入できる通販サイト。現在950ブランド超を扱っています。ビジネスモデルはファッションブランドから商品を仕入れて、集客から決済、カスタマーサポート、物流業務を当社が担う直販モデルを採用しています。私はECサイトのプロダクト開発を担う部署を管掌しています。

    小林礼武氏(以下、小林):「サイクルスポット」は関東圏に実店舗を108店展開している自転車屋が運営するECサイトで、私はその責任者をしています。他のECサイトとは大きく異なり、店頭受け取りが9割以上を占めるようなECビジネスを展開しており、個人宅に“発送しない”ケースが圧倒的に多いんです。

    西守穣氏(以下、西守):スキンケア製品「ビタブリッドC」を中心に、単品通販というビジネスモデルで化粧品・サプリメントのECを展開しています。自社ECサイトで販売する割合は99.9%。一般的な総合ECモールでの売り上げはほぼゼロに等しい状況です。ビタブリッドジャパンのビジネスは単品通販なのでリピート購入が前提。ECサイトは回遊するような設計にはなっていないため、リピート顧客は「マイページ」で継続購入するユーザーがほぼ9割。私はシステムから物流フルフィルメント、お客さまセンター、CRMを管掌しています。

    「良いお買い物」体験とは何ですか?

    ECサイトにおけるお買い物の時短ニーズの増加、スマホシフト、ECと実店舗の買い物の横断など消費者のニーズが多様化している中、リピート購入やファン化につながる「良いお買い物体験」とはどんなことを指すのか? ECビジネスの責任者として考える「良いお買い物体験」とは――。

    CROOZ SHOPLIST 開発部 稲垣剛之氏 サイクルスポット 販促部 マーケティンググループ グループリーダー 小林礼武氏 ビタブリッドジャパン 執行役員 西守穣氏
    鼎談はオンラインで実施した

    小林:「良いお買い物体験」をめざす方向として“感動体験”の提供があげられますが、それは「違う」と思っていますストレスフリーなお買い物の提供が、「良いお買い物体験」の実現をめざす時にやるべき最初のステップなのではないかと考えているんです。ただ、ストレスフリーなお買い物体験というワードが指す範囲は広い。「納得できる価格」「商品が探しにくくない」「自分で支払いたい手段で決済できた」「問い合わせしたらすぐに返答があった」――などなど、僕はお客さまがまったく嫌な思いをせずに商品を購入できるようにすることが、「良いお買い物体験」を実現するためのやるべき第1フェーズだと考えています

    そして、第2フェーズの中にファン化ということが入ってくる。ファン化を促進するための取り組みとして、「同梱物の梱包」「お客さまに喜ばれるカスタマーチームの構築」などがあげられるでしょう。サイクルスポットは今、第1フェーズに取り組んでいる途中。「良いお買い物体験」を提供するための基礎、つまりストレスフリーなお買い物環境をまずは構築し、お客さまにストレスなくお買い物いただける環境を用意すること。それが「良いお買い物体験」を提供するためのベースになると思っているんです。

    僕の私見ですが、お買い物体験に感動して商品を継続して購入するユーザーは1割も満たない9割以上のお客さまは、ストレスフリーな“普通の買い物”ができることを望んでいると思っているんです。その仮説に基づき、いまは土台作りを進めています。

    小林氏が責任者を務めるサイクルスポットのECサイト
    小林氏が責任者を務めるサイクルスポットのECサイト

    稲垣:「SHOPLIST.com by CROOZ」が最初に力を入れたのは「商品力」「アイテム数」。お客さまがECサイトに訪問した際に、求めていた商品がなければそこで離脱してしまいます。感動体験も重要ですが、なによりも重要なのは、お客さまは「商品を買いに来ている」ので、商品ラインナップをまずは拡充すること。その課題を解決するにはどうすればいいか。「SHOPLIST.com by CROOZ」はたくさんのブランドに出店していただき、しっかり在庫を確保していくことに注力しました。第1フェーズとしてしっかりやらなければならないことでしたね。

    第2フェーズは配送です。注文後、数時間後に手元に届くのが理想ではありますが、お客さまがほしいと思った時に適切なタイミングで商品を届けることが重要だと考えています。たとえば、注文から3日以内にはお手元に商品が届くような状態にするなど、お客さまのもとへ商品が届くまでの配送日数を社内でも重要指標として置いています

    ストレスフリーという観点で言えば、ECサイトもアプリも利用者の方、全員が「使いやすい」と思う設計にするのは難しいと考えていますので、「使いやすい」ではなく、「ストレスがない」「使いにくくない」という点に重点を置いています。ECサイトが重くてお買い物に時間がかかることは致命傷ですし、アプリで言えば“落ちない”というのが「良いお買い物体験」の基盤として重要になります。

    こうしたことに力を入れていった上で、ECの課題としてあげられている「商品の実物に触れることができない」を解決するための商品情報提供(クチコミやコーディネート情報など)、サイト内検索、レコメンド、決済などの充実が「良いお買い物体験」につながるのではないかなと思っています

    稲垣氏が開発を担当している「SHOPLIST.com by CROOZ」
    稲垣氏が開発を担当している「SHOPLIST.com by CROOZ」

    西守:小林さん、稲垣さんがおっしゃっていることと、ビタブリッドジャパンが考えている根っこは一緒です。ただし、単品通販のモデルは基本的にサイトの使い勝手それ自体は「良いお買い物体験」に直接はつながっていないな、と感じています「良いお買い物体験」は“商品の良さ”が前提だと思います。単品通販の定期購入モデルでは、お客さまと長くお付き合いした結果であるLTV(顧客生涯価値)を最重要視していますが、残念ながらお客さまとの接点が失われる理由の99%が「解約」によるものです。では、なぜ解約するのか? WebサイトやCRM、顧客対応、梱包などがどんなに素晴らしくても、商品が良くなければ継続いただけません。効果を実感できなければ継続していただけません。「良いお買い物体験」と「商品の良さ」は切っても切り離せない関係だと思っています。逆を言えば、当社が成長できているのも「商品が良い」と思ってくださる方が、解約される方を上回っているからだと思います。

    一般的な話として、私個人で「良いお買い物体験」って何だろうと考えましたが、2つの方向性があるのではないかと思いました。1つ目が、「買いやすい価格」「検索したときにほしい商品が上位に出る」「使っている決済手段がある」などのストレスなくお買い物できる環境を作ること。2つ目が、バルミューダ、バーミキュラなどに代表される、コアなファンが定着するような突き抜けた商品力を追求する方向性です。

    どちらの方向性も「良いお買い物体験」を提供できることは間違いないです。ただ、バルミューダ、バーミキュラのような尖った商品を企画・開発することはなかなか難しい。ビタブリッドジャパンはストレスフリーで「良いお買い物体験」を実現していく方が現実的と思っています

    また、売り上げが伸びると顧客数が増加、マイページへのログインリクエストが増えてECサイトのスピードが遅くなる時期がありました。私は、サイトのスピードが遅くなるのは、野球で言えば簡単なフライを取れないような、絶対にやってはいけないミスと同じことだと思っています

    西守氏が執行役員を務めるビタブリッドジャパンのECサイト
    西守氏が執行役員を務めるビタブリッドジャパンのECサイト

    小林:いろんな業種によって、必要なファクターは異なるでしょう。共通しているのはファクターとなる基礎をいかに作っていくか。これが重要になると思いますね。

    西守:商品という切り口で気になるのが「ライブコマース」。皆さんはどう思いますか? 「ライブコマース」は私たちが普段提供しているものと違う世界観があると感じていまして、中国では成長チャネルと言われていますが、日本ではあまり浸透していない。お買い物をエンターテイメントにしている新しい「良いお買い物体験」とは言われているものの、私はまだ着手する気持ちになれていないんです。

    小林:個人的な意見ですが、日本人は衝動的に商品を買わない傾向が強いと感じています。また、「ライブコマース」に適したジャンル、適さないジャンルがはっきりわかれているのではないでしょうか

    稲垣:プロモーション手法としては良いと思います。ただ、商品の魅力をきちんと伝えられるテレビショッピングのようなコンテンツ配信ができれば、継続的にお買い物をするサイクルができあがるのではないでしょうか。現在のところ、ライブコマースは瞬間的にユーザーを集めて購入してもらうといった手法になっているため、継続的な購入につながるかが疑問です。ですが、ブランドから商品を仕入れ、販売するというビジネスモデルのSHOPLISTでも、「ライブコマース」を利用し商品の魅力を伝えることは可能であると考えます。さらに、PB(プライベートブランド)のような、オリジナル商品であればその商品の製造から完成に至るまでの、より細部の魅力もお客さまに伝えることが可能になると思います

    西守:新しい「良いお買い物体験」として位置付けられるほど成熟した販売手法として成り立っていないというイメージですよね、残念ながら今のところ。

    「良いお買い物体験」を提供するために実践してきたこと

    買い物カゴの改善、決済の拡充など、ECサイトを運営している企業は「良いお買い物体験」を提供するため、さまざまな改善に取り組んでいる。CROOZ SHOPLIST、サイクルスポット、ビタブリッドジャパンはどのようなことに注力してきたのか――。

    小林:サイクルスポットは仕入れ商品を販売していますが、その取扱商品の質は間違いなく良い。事業規模は小さくないので価格競争には負けない体力があります。ただ、競合の大手流通傘下の自転車販売店などとの競争は避けられない部分がありますので、物流がカギを握っていると考えています。つまり、納期のスピード化が目先の改善点です。「SHOPLIST.com by CROOZ」さんでは注文から3日以内に商品を届けるとお話をしていましたが、自転車のリードタイムは約2週間。お客さまからのお問い合わせも「いつ手に入りますか?」というものが50%以上なんです。

    ほかにも改善点はあります。UI(ユーザーインターフェイス)やサーバーも僕が着任するまでボロボロでした。顧客データの活用もそうですね。年間10万人のお客さまが店舗を利用していますが、その大半のデータを紙で管理している状態。これまで顧客DBをネットに活用したことがないんです。それをオンライン、オフラインでのマーケティングに生かしていかないといけないですね。

    サイクルスポットでは在庫がある場合でも、商品の配送に10日前後を要している
    サイクルスポットでは在庫がある場合でも、商品の配送に10日前後を要している

    西守:ビタブリッドジャパンはまず商品ですね。サプリ商材で言えば、消費者への浸透度が高まってきている機能性表示食品への対応は喫緊の課題です。認証を取得しなければ勝負の土俵にあがれません。商品力を磨き、他社よりも優れているモノを提供できるようにすることが大きな課題です。

    次にあげるのはマイページの改善です。最もアクセス数が多い「マイページ」の使いやすさは最重要事項なので、サイトスピードを含め日々改善を進めています。単品通販のビジネスモデルでは、LP(ランディングページ)を除くと「マイページ」が最もアクセスされるページなんです。むしろ、最初の1回以外、回遊してくれない方がほどんど! だからこそ、「マイページ」の使い勝手やクロスセル提案力を改善していくことが特に重要なのです。

    また、改善というつながりで、エントリーフォームの最適化(EFO)の話を。EFOは、「良いお買い物体験」というよりも、「良いコンバージョン体験」のために日々の改善は避けられないところ。私は「効率の良いコンバージョン体験=良いお買い物体験」と捉えています。そのため、頻繁に他社のEFOはチェックするようにしています。まだ表には出せていませんが、新しい仕組みもいろいろと仕込んでいます。

    「効率の良いコンバージョン体験=良いお買い物体験」と考えるビタブリッドジャパン。いかに効率的にお買い物できるか――という観点で、EFOに取り組んでいる
    「効率の良いコンバージョン体験=良いお買い物体験」と考えるビタブリッドジャパン。いかに効率的にお買い物できるか――という観点で、EFOに取り組んでいる

    ビタブリッドジャパンのビジネスモデルは単品通販の定期購入ですので、お客さまから「外箱の大きさに対して商品が小さいのでもっと箱を小さくしてほしい」「段ボールなどはゴミになるのでどうにかしてほしい」といったクレームが届きます。こうした要望にお応えするのも「良いお買い物体験」につながるところですね。

    稲垣:商品の品ぞろえなどECビジネスを展開する上で当たり前のところに加え、「サイト内検索の精度」「レコメンド」「アイテム情報の提供」の3点は重点的に取り組んでいかなければならないポイントです。

    「SHOPLIST.com by CROOZ」は80万点超の商品を扱っているので、消費者が探した商品をピンポイントで提案できるようにするサイト内検索の精度向上はとても重要になります。また、目的買いではなく、“なんとなく商品を探している”お客さまに対しては、膨大な商品点数の中から興味・関心の高そうな商品を提案し回遊性を高めるレコメンドの重要度も増しています。

    また、「SHOPLIST.com by CROOZ」で扱っている商品は、他のファッションECサイトでも販売されているケースが多い。そのためには、「SHOPLIST.com by CROOZ」へ訪問、そして購入する意味を提供していかなければなりません。そのため、その商品がどんなモノなのか、どんな価値があるのかという情報提供はとても重要になってきます。一般的にファッションECで購入につながらないネガティブ要因は商品を手に取ることができないことです。サイズ、コーディネートなどの情報をしっかりと提供することにより、お客さまの不安を解消したいと思っています。

    アパレルでは、週の着用回数が顧客満足度に直結します。「サイト内検索の精度」「レコメンド」「アイテム情報の提供」は強化しなければならないところ。リアルのお買い物体験にどれだけ近づけることができるか――テクノロジー、利便性の高い決済手段の拡充などがカギになってきます。

    「SHOPLIST.com by CROOZ」では、人工知能(AI)技術を活用した画像解析レコメンド機能を導入している
    「SHOPLIST.com by CROOZ」では、人工知能(AI)技術を活用した画像解析レコメンド機能を導入している
    ◇◇◇

    今回の記事では「良いお買い物体験」に必要なことなどについて鼎談しました。後編は9月2日(水)公開予定です。次回もお楽しみに。

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    瀧川 正実
    瀧川 正実

    三木谷浩史社長らが戦略を共有する「楽天オンラインEXPO 2020」は8/27開催 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

    5 years 3ヶ月 ago
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    瀧川 正実
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    確認済み
    1 時間 11 分 ago
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