ネットショップ担当者フォーラム

グロース市場に上場するフードロス削減に取り組むEC企業「クラダシ」とは

3 years ago

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは5月26日、東京証券取引所から東証グロース市場への株式新規上場を承認されたと発表した。上場日は6月30日の予定。

クラダシのメイン事業はフードロスのECサイト「Kuradashi」の運営。「3分の1ルール」「規格外品」「季節品・終売品」などの理由で廃棄予定となった商品をサプライヤーから安価に仕入れ、ECサイトやアプリを通じて会員に販売している。累計会員数は3月末時点で46万2000人。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する フードロス問題
フードロスについて(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

取引形態は在庫型とマーケットプレイス型の2種類。在庫型はクラダシがパートナー企業から仕入れて「Kuradashi」で販売、商品は倉庫から会員へ配送する。マーケットプレイス型は先に「Kuradashi」で商品を掲載、受注分をクラダシからパートナー企業へ発注・仕入れをし、パートナー企業から会員へ直接配送する。

売上金の一部は社会貢献活動の支援金として、社会課題の解決に取り組む団体へ寄付。環境保護、災害対策、医療・福祉サービスの充実を寄付用途としている。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する
事業系統図(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

「Kuradashi」の認知拡大などを目的にオフライン店舗を展開する「Kuradashi Hub」事業、「Kuradashi」会員に向けてブランド認知などを支援するブランディング事業「Kuradashi Stores」も手がけている。

「Kuradashi Hub」は、「Kuradashi」事業の認知拡大、実店舗で集客した顧客を「Kuradashi」に誘導するのが目的。商業施設で期間限定のポップアップストア、「Kuradashi」特設ブースを設置した小売店への商品提供などを行う。

「Kuradashi Stores」は、「Kuradashi」で獲得したエシカル消費に感度の高い会員に向け、パートナー企業のブランディングを支援する。「Kuradashi」サイト上の「くらだしマガジン」ページに、パートナー企業のフードロスやSDGsに対する取り組みにフォーカスした記事の公開、メールマガジンの配信やキャンペーンなどを提供する。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する
今後の成長について(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

直近の2022年6月期業績は、売上高が前期比64.1%増の20億7368万円。営業損失は7471万円、経常損失は7446万円、当期純損失は8027万円だった。

フードロス削減のECサイト「Kuradashi」を運営するクラダシは東証グロース市場に株式を上場する 売上高推移
売上高の推移(画像は目論見書から編集部がキャプチャ)

 

石居 岳

ECへのAI活用、越境EC、GA4などテーマのオンラインセミナー「COLOR ME SHOP DAY 2023」【6/7+8オンライン開催】

3 years ago

GMOペパボは、ネットショップ運営者を対象にしたオンライン無料イベント「COLOR ME SHOP DAY 2023」を2023年6月7日(水)、8日(木)に開催する。

「COLOR ME SHOP DAY 2023」では、ECに関連する各分野の有識者を招き、AI活用、越境EC、地方ECマーケティング戦略、GA4などテーマにしたトークセッションを行う。参加費は無料で、現在参加申し込みを受け付けている。

EC業界のプロが語り合う!最新トレンドとAI活用の可能性

インプレス ネットショップ担当者フォーラム編集長 瀧川正実、GMOペパボ 執行役員 兼 EC事業部部長 寺井秀明氏(11:05~12:10)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

ECサイトが国内に登場して約25年。従来の小売市場はもちろん、消費者のライフスタイル・価値観まで大きく変化した。ここ数年の普及は特に顕著で、変化のスピードに戸惑う事業者も多く見られる。

セッションでは、国内・海外のECの市場の違いやトレンド、AI技術の参入状況などを解説。今後さらに加速していくEC市場の変化と未来について語る。主な内容は次の通り。

  • ECの現状の市場とトレンド
  • 海外ECの現状、国内・海外EC市場の違い
  • ファン獲得のためのコミュニケーション戦略、EC事業者が今取り組むべきこと
  • ECへのAI活用やAIが与えるECへの影響

越境EC成功の秘訣は?国境を超えた商品販売のための成功戦略

世界へボカン 代表取締役 徳田祐希氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ マネージャー 和田真人氏(12:20~13:15)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

インバウンド需要が回復傾向にある今、なぜ「越境EC」への注目は続いているのか。実際に海外向けの販売を行っている事業者のリアルな声や課題を取り上げながら、2023年現在の越境EC市場のトレンドや、今後予測される未来などについて専門家とともに考える。主な内容は次の通り。

  • 越境ECが注目されるようになった背景
  • コロナ収束後も続く越境ECへの需要
  • 事業者が抱える越境ECの課題
  • 2023年のトレンドと今後の変化予測

今更聞けない!小川卓氏に教わる GA4の基本とおすすめのEC分析方法

Faber Company 取締役 Chief Analytics Officer 小川卓氏、GMOペパボ EC事業部ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏(13:25~14:20)

GMOペパボ カラーミーショップ オンラインイベント COLOR ME SHOP DAY 2023
(​​​画像は「カラーミーショップ」のサイトからキャプチャ)

2023年7月の「ユニバーサル アナリティクス(UA)」サービス終了に伴う「Google Analytics 4(GA4)」への移行がネットショップ運営に与える影響とはどれほどのものなのか、今後どういったアクセス解析が必要となっていくのかを考える。主な内容は次の通り。

  • 「Google Analytics 4(GA4)」の概要とその重要性
  • GA4を活用したECサイトのおすすめ分析方法
  • これからのアクセス解析の重要性

「COLOR ME SHOP DAY 2023」について

藤田遥

バルクオム野口氏、I-ne伊藤氏、サティス製薬の山﨑氏が語るヒット商品を生む黄金法則【BULK HOMME、BOTANISTの成功秘話】 | 「D2Cの会」が解説、D2Cビジネス成功の秘訣

3 years ago
D2C商品のヒットでファンを増やし、市場でシェアを拡大し続けているバルクオムとI-neが、OEM企業のサティス製薬を交え、商品開発の秘訣やポイントなどを語る

バルクオムの野口卓也氏(代表取締役CEO)、I-neの伊藤翔哉氏(執行役員兼ダイレクトマーケティング本部本部長)、サティス製薬の山﨑智士氏(代表取締役CEO)が「D2Cの会」(売れるネット広告社主宰)に登壇し、「売り上げをアップする商品開発」をテーマにヒットを生み出す商品開発の黄金法則について語った。

【BULK HOMME】「ずばぬけた使用感」を重視

バルクオム 代表取締役CEO 野口卓也氏と、バルクオムの製品
バルクオム 代表取締役CEO 野口卓也氏とバルクオムの製品

「BULK HOMME(バルクオム)」は、2013年にデビューした男性向けスキンケアブランド。2019年には、イタリアで開催された世界的な化粧品展示会「Cosmoprof Awards 2019」のHair Product部門で「THE SHAMPOO」がナンバーワンのアワードを獲得するなど、数々の受賞歴を持つ。

野口氏は当初、化粧品の知識がゼロの状態で、次のようなプロセスで最初の商品開発に取り組んだ。

  1. 全国のOEM会社約100社に問い合わせ
  2. 各社の仮説を聞き、試作を依頼
  3. 「これまでになかった使用感」を重視
  4. 本番クオリティの試作品をブラインドテスト

その結果、サティス製薬へ商品製造を依頼した。商品開発で重視したのは、実際に使ったときの「ずば抜けている」感覚(これまでになかった使用感)だ。

ユーザーは、化粧品の処方や品質の確かさ以上に、使ったときの感覚で良し悪しを判断することが多いのが現実です。「品質と使用感の両立」をコンセプトに、できるだけ市場に存在しないテクスチャを表現したいと考えていました。

バルクオムならではの商品開発について話す野口氏
バルクオムならではの商品開発について話す野口氏

たとえば「BULK HOMME」の洗顔料は、従来の洗顔料のいいとこ取りをしたような生せっけんタイプ。初めて使ったときの印象が、“斬新で忘れられない”インパクトになるような設計にしている。今までにないテクスチャや使用感は受け入れにくさにもつながるが、「ギリギリを攻めた」と言う。

この点について、「BULK HOMME」の製品作りを担うサティス製薬 代表取締役CEOの山﨑氏は次のように語る。

新しいブランドが今までにないような使用感を提示すると、ユーザーの感情は「不安」の方が大きくなってしまいます。ユーステストで30%程度の人がその製品に対し好印象を持っていることが、不安に傾きすぎていない新鮮な体験のラインです。

もっと多くの人が満足している状態をゴールに設定してしまう企業が多いですが、70~80%の人が「良かった」と答えた場合、過去の体験に基づいた安心感がベースになっていることが多いので、過去の体験に勝てなくなってしまいます

つまり、下げすぎてもいけないし、上げすぎてもユニークさに欠ける商品になってしまうのです。

サティス製薬 代表取締役CEO 山﨑氏
サティス製薬 代表取締役CEO 山﨑氏

製品の品質よりも、ユーザーによる「知覚品質」を追求

発売前には、最終テスト版の製品を100個製造し、20~30代の男性100人に市販の上位5製品とともに中身が見えない状態のまま試してもらい、使用感と満足度のブラインドテストを実施。その結果、ナンバーワンを獲得できたので製品化に至った。

野口氏は「ユーザーが製品をどう評価するか」を重視する
野口氏は「ユーザーが製品をどう評価するか」を重視する

スキンケアだけでなくヘアケア製品も展開する現在、「BULK HOMME」の製品開発のポリシーは、高い「知覚品質」を追求することだ。

化粧品としての品質は信頼のおけるOEM会社に依頼することで担保しているものの、ユーザーがその製品をどう受けとめるか(どう評価するか)は、製品の品質と必ずしもイコールではない。だからこそ、バルクオムとしてはユーザーが受け止める「知覚品質」を厳しく見ているという。

商品開発の際にバルクオムが実施している項目
商品開発の際にバルクオムが実施している項目

定番製品については少なくとも3000件以上のブラインドテストを行い、「使用感」「満足度」「香り」の項目で1位にならなければ発売しない

さらに、ユーザーニーズを深堀りするための1on1のインタビューも実施しており、パッケージ、同梱物、クロスセルの方法など、自分たちのイマジネーションを刺激するヒントを得るために活用している。

【I-ne】ブランドは「アジャイル開発」。常に約1000個のアイデアを集める

I-ne 執行役員兼ダイレクトマーケティング本部本部長 伊藤翔哉氏
I-ne 執行役員兼ダイレクトマーケティング本部本部長 伊藤翔哉氏

I-neはヘアケア製品、化粧品、美容家電等の企画開発や販売を行う企業。「BOTANIST」「YOLU」「DROAS」の伸長で、ドラッグストア市場におけるヘアケアカテゴリーのカンパニーシェアは日本2位※。ミニマル美容家電の「SALONIA」は、ヘアアイロン市場で2年連続1位を獲得している。

※ドラッグストア市場におけるシャンプー・リンスカテゴリー販売金額より(自社調べ)

売上構成比では卸の割合が最も大きく、オンラインで認知を獲得して、オフラインでスケールさせるモデルを採用している。テストマーケティングを繰り返し、いわばブランドの「アジャイル開発」を行っている

テストマーケティングで活用しているのはI-neのブランドマネジメントシステム「IPTOS」という独自のフレームワークだ。

Ⅰ-neが推進する「IPTOS」の内容
Ⅰ-neが推進する「IPTOS」の内容

全社員からブランドのアイデアを募ったり、「トレンドハンターチーム」を結成して毎月何らかのアウトプットを出してもらったり、AIからキーワードのヒントを得たりして、常に1000個ほどのアイデアを集めている。その中から、実現可能性などを踏まえてアイデアを絞り込み、調査に入っていくという。

精度の高い“需要の予測”がヒットを支える

最終的にはオフラインでのスケールをめざしているため、オフラインの売上目標から逆算して、需要予測を行っている

商品開発に当たってヒットの予測精度が高いこともI-neの強み
商品開発に当たってヒットの予測精度が高いこともI-neの強み

ヒットの再現性の秘密に、この需要予測の精度があります2022年1~5月の予測精度は全ブランド平均で99.8%でした。以前の予測精度は50%程度でしたが、KPIと売上相関の明確化、数理モデルでの売上予測などによる新しい予測モデルの構築により、予測精度の向上を実現しました。

ヒットの再現性について仕組みを語る伊藤氏
ヒットの再現性について仕組みを語る伊藤氏

「20億円のブランドを作るためには、購入意向度が〇%以上でないといけない」といった明確な数字があるため、OEM会社の協力を得て、ゴールに向けて何度も改良を重ねている。

ただ、購入意向調査では「なじみのあるもののほうが高い点数が出やすい」という事実があるため、一定以上の点数が出たものの中から、どのブランドを商品化するかを決める際には、定性的なマーケティングの視点も必要になってくる。

たとえば「YOLU」は購入意向調査やHUT調査では3位だったが、「夜間美容シャンプー」というコンセプトがキャッチーなので、“決め”で商品化に至ったという。

【サティス製薬】ユーザーに支持されるものづくりとは

サティス製薬 代表取締役CEO 山﨑智士氏
サティス製薬 代表取締役CEO 山﨑智士氏

サティス製薬は、D2Cをメインに800社以上のブランドの立ち上げを支援してきたOEM企業。100種類以上のオリジナル原料の開発に加え、100種類以上の項目で評価試験を行って品質を数値化することで、PDCAを回している。

サティス製薬に情報提供を行っているOEM企業30社が世に送り出した小売価格の総額は、1983~2010年の30年弱で上昇。小売価格の総額の上昇に比例するようにして、広告費も上がっている一方、原料費は下がってきている

広告費増加に相反して原料費は減少傾向にある
広告費増加に相反して原料費は減少傾向にある

化粧品業界では35万SKUもの商品が流通し、毎年製品数が増えているなかで、自社製品の存在を知ってもらうための広告にコストが費やされているのが近年の状況だ。

原材料にかけるコストが削減され、D2C製品の質が低下傾向にある中で、良いものを作れば製品インパクト・体験インパクトが出しやすいので、ある意味チャンスだといえる。

顧客満足度につながる要素について、山﨑氏は次のように語る。

同じブランドに複数の製品がある場合、ブランドにおける製品の戦略的意味付けが変わってきます

市場を開拓する役割を担うフロント製品には「なんか新しい」「期待していいかも」と、数日間のうちにワクワク感を高めることが求められます。この場合、短期間でどのような体験ができるかという意味での「機能性」の評価が大事になってきます。

一方、客単価を上げていく役割を持っているバックエンドの製品は、評価試験上で肌を変えるエネルギーよりもトラブルを起こさない安全性を重視して開発したほうが良いです。(サティス製薬 山﨑氏)

F2転換率と原価の商品別概念図
F2転換率と原価の商品別概念図

サティス製薬の取引先企業のデータ(データの公開に承諾している企業分のみ)をバブルチャートにすると、原価率が上がるとF2転換率が上がることは一目瞭然だ。このことから、原価をかければ、そのぶん使い続ける動機となる満足感につながるといえる。

ただ、商品によっても差があり、化粧水は原価率とリピート率の相関関係が低い傾向にある。一方で、「これを気に入ってもらえれば全アイテムに広がる」という一番のキーマンも化粧水だという。化粧水はCPAが高いが、ハマったときのインパクトは大きい

PMF(プロダクトマーケットフィット)においては、「共感」が最初のポイントになる。ユーザーが自分自身とブランドのメッセージ・パーソナリティを同質化できるか、その上で、ユーザーの課題を解決するために新しい提案ができるか、ということだ。

ここで「それなら綺麗になれそう」「今度こそやってくれそう」と期待をどこまで広げられるかがカギとなる。

山﨑氏は顧客からの「共感」が最初のポイントだと説明する
山﨑氏は顧客からの「共感」が最初のポイントだと説明する

商品の評価を“ユーザー任せにしない”ことが大切

具体的な「体験」の面では、ユーザーがその期待に対して確証を持てるように落とし込む必要がある。ブランドが大事にしている「らしさ」からぶれないことを前提に「インパクト」「一貫性」「ユニークさ」「コミュニケーション」が体験を構成する要素になる。

この「コミュニケーション」で気を付けるべきは、ユニークな体験、インパクトのある体験を打ち出したときに、それをどう知覚するのか、どう評価するのかをユーザー任せにしてしまっているブランドが多いことだ。

いかにユニークな演出をしても、体験の知覚や評価をユーザー任せにしていると気付いてもらえないことがある。

そのため、ユニークなモノ作りをしたときは、「どうしてそれがユニークなのか」という理由付けをした上で、ユニークな体験ができる正しい使い方や、使う際に意識するポイント、タイミングなどをしっかりと伝えることが大切だという。

次回の「D2Cの会 フォーラム」は、2023年6月15日の開催を予定している。

D2Cの会

「ChatGPT」などのAI(人工知能)はどんなもの? ECビジネスに役立ちますか? などの基礎情報を解説 | EC×AIの未来

3 years ago
ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」の公式Webメディア『よむよむカラーミー』編集部が"AIとEC"について、ECビジネスに役立つ情報をお届けします【連載1回目】

近年、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Bard」といったAI技術が注目を集めており、EC業界でもその活用が期待されています。「AIはどのようにECに活用されるのか」「どのような展望が待ち受けているのか」「私たちはどのようにAIを受け入れていくべきなのか」を、GMOペパボの栗林健太郎執行役員CTOに聞きました。

「ChatGPT」など生成AI(人工知能)はどのようなもの? どんな影響を与えるのか

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治(以下、花田):「ChatGPT」について教えて下さい。

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎(以下、栗林):「ChatGPT」は、2022年11月にアメリカのOpenAIがリリースした、AI(人工知能)チャットボットサービスです。

「ChatGPT」の「GPT」は「Generative Pre-trained Transformer」の略。「Transformer」というディープラーニング(深層学習)の手法を用いて事前学習済み(Pre-trained)の、テキスト生成型(Generative)言語モデルといった意味合いになります。「ChatGPT」は2021年9月までの膨大な量のデータでトレーニングされています。

AI 人工知能 AIチャットボット ChatGPT GMOペパボ カラーミーショップ
2022年11月にOpenAIがリリースした「ChatGPT」(画像はOpenAIのサイトから編集部がキャプチャ)

日本では2023年2~3月頃から「ChatGPT」について大きく報道されるようになりました。OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が来日して岸田総理大臣と面会したり、「使ってみた」という声がSNS上を賑わせたりと、研究や技術の領域を越えて盛り上がっています。

AI自体のブーム(第3次AIブーム)は2000年代から始まっていて、ディープラーニングによりAIが飛躍的に発展したことで「AIはすごい」「AIがいろいろなことを変えるぞ」と期待感が高まっていました。盛り上がりの下地があったとはいえ、「ChatGPT」という1つのツールがこれほど話題の起爆剤になるのは、ITの世界においても珍しい現象です。

話題になった理由は「対話型AI」であること

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:「ChatGPT」はリリースされてからわずか数日で100万人のユーザーを獲得したと聞きます。確かに既存のサービスやツールと比較しても非常に珍しいケース。なぜこんなに話題になっているのでしょうか?

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:話題を集めている理由は、「ChatGPT」は対話型AIで、人間同士の自然な会話に近いやり取りができるからでしょう。対話ができるというのは、人間にとってはやはり特別なことですね。人工知能の黎明(れいめい)期だった1960年代に、ごく素朴な対話ロジックを持つ「イライザ」というソフトウェアが注目を浴びたように、「おしゃべりできる」ということに人間は大きな価値を置くようです

AI 人工知能 AIチャットボット ChatGPT GMOペパボ カラーミーショップ CtatGPTとのやりとり例
「ChatGPT」とのやりとり例

また、少し前から話題となっていた画像生成AIの存在も、爆発的に注目が集まったことを後押ししているでしょう。2022年7月に「Midjourney(ミッドジャーニー)」がオープンベータ版に移行、同年8月に「Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)」がオープンソースとして公開されました。これら画像生成AIにテキスト(プロンプト)で的確な指示を出すと、いまや人間が描いたものとほとんど区別がつかないほど高精度のイラストを生成します。

このように、画像生成AIへの関心が高まっているところに「ChatGPT」が登場したわけです。日本語に対応しておらず英語で入力しなければならない場合も、「ChatGPT」を使えばプロンプト(テキスト)を作成してもらえますし、対話しながらプロンプト(応答を生成するための命令文)をより良いものに改善することもできます。

「ChatGPT」は、画像よりもさらに適用範囲の広いテキストを高いレベルで生成できる点でインパクトが大きく、社会に驚きをもって迎えられています。

従来のチャットボットとの違いは?

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:「『ChatGPT』は対話型AI」とのことですが、従来のチャットボットとAI(チャットボット)の違いはなんですか?

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:従来型のチャットボットとAIでは概念が異なります。

チャットボットのアルゴリズムにはいくつか種類がありますが、基本的には質問されたことに対してあらかじめ決められたルールやスクリプト(プログラム)に従い、データベースの中にあるより近い答えを抽出して提示します。チャットボットに汎用性はなく、突然「今日の晩御飯どうしたらいい?」と聞いても答えてくれません。

それに対して、「ChatGPT」のような生成AIは汎用性が高く、人間のように会話の文脈に応じてその都度最適な文章を生成することができます。ただし、必ずしも事実を提示するとは限らないんですよね。テンプレを適用していれば嘘をつきようがないですが、自分で文章を生成しているので間違えることもあります。

もし「ChatGPT」をECに導入したら、汎用性があることはネットショップ運営者にとってメリットが大きいですし、エンゲージメントの向上に寄与するだろうと思われます。一方で提示する内容のコントロールが難しいので、ブランディングを意識した対応ができない恐れもあります。「ChatGPT」の汎用性の高さにはメリット・デメリットがあることを理解しておくべきです。

GMOペパボ 執行役員CTOの栗林健太郎氏
GMOペパボ 執行役員CTOの栗林健太郎
東京都立大学卒業後、2002年に奄美市役所に入所。2008年ソフトウェアエンジニアに転じ、はてなにWebアプリケーションエンジニアとして入社。 その後、2012年5月にpaperboy&co.(現GMOペパボ)に技術基盤整備エンジニアとして入社。2014年以降はマネジメントを担い、技術責任者、執行役員CTOに就任。2017年3月には取締役CTOに就任する。

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:ちなみに「Alexa」や「Siri」とも違うものですか?

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:“AIアシスタント”と呼ばれる「Alexa」「Siri」「Googleアシスタント」などの内部的な仕組みはわかりませんが、「ChatGPT」の方が明らかに汎用性は高いように思われます。

一方で、スマートスピーカーとの組み合わせで、音声インターフェースを通して操作できるのは便利ですね。現状のAIアシスタントにも「ChatGPT」にはない良さがありますが、トヨタ社が「Alexa」に代わって「ChatGPT」の搭載を検討しているという報道があったように、AIアシスタントの裏側もより高性能で、自然な会話が可能なAIにアップデートされていくのだろうと考えています。

「ChatGPT」などの生成AI(人工知能)は人間の代わりになるのか?

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:「ChatGPT」が盛り上がる背景には、“人間にはできない何か”を創り出してくれそうな期待感もありそうですが、クリエイティブ制作やEC運営にも大いに活用できるのではないかと考えています。栗林さんはどうお考えですか。

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:「ChatGPT」がクリエイティブな面で真価を発揮するかどうかについては、慎重に考える必要があるでしょう。「ChatGPT」の回答に対して「すごい!」と思ったとしても、私たちの知らないことを教えてくれただけで、それがクリエイティブなことであるかどうかは別問題です。AIそのものにクリエイティビティがあるかどうかについては、あまり期待しすぎないほうがいいのではないでしょうか。

ECだけでなくどんな仕事でも同じですが、AI導入を検討する際には必ず「100万人連れてきたら効率化する業務か」と考えてみてください。在庫管理や商品発送に人手が足りないのであれば、まさに100万人いれば解決することなので、AIを導入したら効率化するかもしれません。

一方で、「今までにない発想で新ブランドを立ち上げたい」というのは、効率の問題ではないですよね。100万人に頼っても解決しないと思います。なぜならブランドの方針を決めるのはオーナーさんですし、自分のブランドを立ち上げるのに人任せにはできませんよね。結局、何がクリエイティブであるかを決めるのは人間なのですから。

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクターの花田靖治氏
GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクターの花田靖治
2019年GMOペパボ。ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」の公式Webメディア「よむよむカラーミー」の運営をはじめ、複数の自社オウンドメディアのコンテンツSEO改善に従事。入社3年で新規メディア立ち上げや複数の自社オウンドメディアの自然検索流入改善の実績を持つ。AIに非常に興味があり、メディア運営やコンテンツ作成へのAI活用にも積極的に取り組んでいる。

AIはコストを考え、ケースバイケースで使い分ける

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:AIに置き換わりそうな仕事はどんな職種が考えられますか?

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:人手があれば解決するような仕事、やり方が決まっているような仕事は、置き換わっていく可能性が高いと思います。ただし、AI技術はすべてが無料ではありません。「ChatGPT」も有料プランを利用するなら月額20ドルかかりますし、より踏み込んだ使い方をするにはシステム構築・運用も含めてそれなりにコストがかかります。また、場合によっては、AIに置き換えられる単純作業でも、人間を雇ったほうが安いということはあり得ます

AI 人工知能 AIチャットボット ChatGPT Plus 有料版は月額20ドルの利用料が発生 GMOペパボ カラーミーショップ
有料版の「ChatGPT Plus」は月額20ドルの費用が発生する(画像はOpenAIのサイトから編集部がキャプチャ)

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:コストパフォーマンスの面でAIと人間を比較するという考えはなかったです! いずれはそういうシチュエーションも生まれそうですね。

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:「ChatGPT」がいくら文章を生成できると言っても、人間も賢いので文章は書けます。とくに日本は義務教育のレベルが高いので、適切な知識があれば大抵の人は適切な文章を書くことができます。であれば、ケースバイケースで使い分けてもいいですよね。

GMOペパボ EC事業部 ECグループ プリンシパルディレクター 花田靖治氏花田:とはいえ、今までのお話を聞いていると、どんどんAIが人間の仕事を奪っていくようなイメージなのですが、栗林さんはいかがでしょう?

GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏栗林:「AIが仕事を奪う」みたいな話は昔からあって、コンピューターが登場したときも人間の仕事をどんどん奪っていくと言われていましたが、今の私たちの仕事はコンピューターやインターネットがないと回りませんよね。もちろんテクノロジーによってなくなる仕事もありますが、これまでの歴史を振り返ると、基本的には新しい仕事が誕生することのほうが多かったわけです。

イギリスの産業革命時に動力源として蒸気機関が登場した時も、「仕事が奪われる」と反対運動が起こりました。短期的にはコスト最適化で非効率な仕事は置き換えられてしまいましたが、長期的には鉄道が敷かれ、交通網が整備され、グローバルなネットワークができたことで、生産性が上がって社会が豊かになりました。AIでも同じことが言え、AIによって新しい仕事は山ほど生まれるので悲観することはないと思います。

◇◇◇

次回は、「AIがEC運営にどのような影響を与えるのか」などについて解説します!

よむよむカラーミー

日本郵便の「ゆうパック」値上げ、「改定率や実施時期は検討中」「法人向け単価は基本運賃を定めた後、交渉する」

3 years ago

2023年秋頃に「ゆうパック」の基本運賃引き上げると公表している日本郵便は、改定率や実施時期などの詳細について、他社動向を踏まえながら現在、社内で検討を進めていると明らかにした。

法人向け単価は、基本運賃を定めた後、取引先企業と個別に「交渉するものと考えている」(日本郵便)

「ゆうパック」の2023年3月期累計での荷物単価は、前年実績比マイナス10円の436円。単価の低い法人差出の取扱量が増加したことなどが影響したとしている。

ヤマト運輸は4月3日から、宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、国際宅急便の運賃値上げを実施。佐川急便は4月1日、「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を引き上げている。

日本郵便は3月31日、総務省から「令和5事業年度事業計画」の認可を受け、事業計画で「ゆうパック」運賃の改定に言及。燃料価格などの物価、人件費などのコスト上昇が経営にも大きな影響を与えており、「将来にわたって、安定的かつ高品質の物流サービスを展開するためには、ゆうパック運賃の改定が必要だと考えています」と記載していた。

瀧川 正実

ヤマト運輸、都内などの一部地域宛て荷物に遅延の可能性/千趣会の梶原社長が語る2023年度の戦略とは【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

3 years ago
2023年5月19日~2023年5月25日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. ヤマト運輸、都内・神奈川・千葉の一部地域宛ての荷物に遅延の可能性(5/27~6/10)

    首都高速1号羽田線高速大師橋の架け替え工事により、一部区間において終日通行止め規制が行われる。そのため、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測される

    2023/5/25
  2. 赤字に転落した千趣会、梶原社長が語るV字回復に向けた2023年度の戦略とは

    2022年12月期はシステムトラブルや物価高騰の影響で赤字に転落した千趣会。2023年度は顧客の定着化、デジタルシフトの加速、海外展開の強化などで巻き返しを図る

    2023/5/22
  3. 2023年の通販市場は15.6兆円、EC市場は13.8兆円に拡大する見込み

    すべての商品カテゴリーで市場は拡大。特に伸びているのはリピート需要の定着でネットスーパーが好調な食品・生鮮品、実店舗とECを一体化させたOMOの取り組み強化が進むアパレルという

    2023/5/22
  4. 「Amazonフレッシュ」の送料、購入金額1万円未満を値上げへ

    2024年4月から、トラックドライバーの「働き方改革」の法律が適用され、現状のままの運び方が難しくなる物流の「2024年問題」が、送料値上げに影響したと見られる

    2023/5/24
     
  5. アマゾンジャパン、「Amazonフレッシュ」の配送エリアを拡大

    新たに東京都府中市、千葉県千葉市美浜区、習志野市、船橋市、松戸市を対象エリアに加えた

    2023/5/24
     
  6. マーケターの感性を研ぎ澄ますためには、お客さまの生の声を聞くこと――「熊本馬刺しドットコム」売上アップの裏側【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年5月15日~5月21日のニュース

    2023/5/23
     
  7. 顧客のニーズを“決めつけない”ハルメクの通販戦略とは? シニアの心をつかむ誌面作り+商品開発のポイント

    シニア女性から支持を得ている通販「ハルメク」。顧客のニーズを満たす商品開発、離脱を防ぐ施策、今後に向けた通販事業の戦略などを責任者が語る

    2023/5/23
     
  8. 食品ECの購入で多いのは「海鮮」「冷凍食品」「レトルト・パウチ食品」。重視するのは「品ぞろえ」「土地ならではの商品」

    ネット通販で商品を選ぶ際に、「商品の詳細説明」「口コミ」を重要視している消費者が多い

    2023/5/19
     
  9. マツキヨココカラ&カンパニー、自社ECで最短当日配送の店舗デリバリーサービス「マツキヨココカラQ(キュー)」とは

    社会全体のデジタル化、ライフスタイルの変化などを踏まえ、マツキヨココカラ&カンパニーは消費者の利便性向上、便利で最も身近な存在となることが必要と考えデリバリーサービスを本格稼働した

    2023/5/19
     
  10. CRMのプロを自社で育成すべき理由とは? 消費行動や市場の変化、ロイヤルカスタマーの育成とCRM施策の基礎を解説

    EC通販事業で必要なことはCRMのプロ育成とロイヤルカスタマーの獲得。その重要性や成功のポイントについて解説します【連載1回目】

    2023/5/22
     

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    藤田遥

    EC構築プラットフォーム「ecbeing」の流通総額は9912億円で41%増【2022年実績】

    3 years ago

    ecbeing(イーシービーイング)は、EC構築プラットフォーム「ecbeing」の2022年における年間流通総額が、前年比41.3%増の9912億円だったと発表した。

    「ecbeing」の流通総額推移
    「ecbeing」の流通総額推移

    「ecbeing」導入企業の年間総受注件数は2019年が約4537万件、2020年は約6233万件、2021年は約6479万件、2022年は同19.3%増の約7377万件。4年連続で年間流通総額に比例して増加しているという。

    「ecbeing」の年間総受注件数
    「ecbeing」の年間総受注件数

    「ecbeing」を導入しているECサイトの総ページビュー(PV)数は2021年が約113億PVで、2022年は約143億PV。

    PV数向上の要因の1は、アクセス数の多い大手ECサイトへの導入、ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」、レビュー最適化ツール「ReviCo」、メディアコマースを構築する「UNITE」といったマイクロサービスの導入があげられる。顧客のファン化を強化するマーケティング戦略、ECサイトのメディア化、新規モール事業参入など新しい取り組みを推進する動きが増加したとしている。

    「ecbeing」のマイクロサービス
    「ecbeing」のマイクロサービス

    なお、2022年はメディアコマースを活用したメーカーEC、新規モールサイト、ネットスーパーなど、さまざまな業界・業態のECサイト構築を幅広く手がけてきたという。

    こうしたEC実施事業者側の動きに対し、ecbeingでは200人を超えるデジタルマーケティング人材によるマーケティング支援、約500人の開発人員、MA施策、CRMなどへの対応、レビュー、SNS連携、動画、店舗予約、アプリなどの最新トレンドに特化した「マイクロサービス」を提供。人とサービスの両軸で、導入企業のEC事業拡大をサポートしたとしている。

    「ecbeing」は国内ECサイト構築実績が1500サイトを超えており、富士キメラ総研が発行する『富士マーケティング・レポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査』で14年連続シェア1位を獲得している。

    石居 岳

    【消費者が企業に求める情報発信方法の調査】情報の受け取り方法は? アプリのDL・公式LINEを友だちに追加するきっかけは?

    3 years ago

    CRM支援のWOW WORLD(ワオワールド)は、「生活者が企業に求める情報発信方法」と題した調査結果を発表した。

    調査結果サマリー
    • 企業からの情報を受け取る手段は「公式Webサイト」(55%)、「メールマガジン」(49%)が多数。20代は「公式SNS」を積極的に活用
    • 企業からの重要な情報を受け取る手段は「メール」(55%)が最多
    • 公式アプリをダウンロードするきっかけは「会員登録するタイミングで」(39%)が最多
    • 公式LINEを友だち追加するきっかけは「割引クーポンがもらえるから」(31%)が最多
    • 同じ企業から複数の手段で情報を受け取っている人は33%
    • 企業から届く情報を煩わしいと思ったことがある人は57%。原因は「興味がない情報」(77%)、「頻度の多さ」(71%)
    • 位置情報を活用したマーケティングに好意的な人は58%
    • 気になっていた商品の値下げや再入荷の連絡が届いたら嬉しいと感じる人は66%
    • ポップアップ型のWeb接客によるクーポンの表示は嬉しいと感じる人が多い

    希望する情報の受け取り手段は「公式サイト」「メルマガ」「SNS」。重要な情報は「メール」

    ユーザーが企業(サービス・ブランドを含む)から求める情報の受け取り方法について聞いたところ、55%が「公式Webサイト(ホームページ)」と回答。「企業からのメールマガジン」が49%で続いた。「公式SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)」や「公式LINE」は20%未満。

    <図1>普段どのような手段(方法)で、企業(サービス・ブランドを含む)の情報を受け取りたいか ※複数回答可
    企業からの情報の受け取り手段について(複数回答可)

    年齢別で見ると、20代では「公式Webサイト(ホームページ)」「公式SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)」、30代以上は「公式Webサイト」「企業からのメールマガジン」が上位を占めた。

    <図2>【年齢別】普段どのような手段(方法)で、企業(サービス・ブランドを含む)の情報を受け取りたいか ※複数回答可
    年齢別の企業からの情報の受け取り手段について(複数回答可)

    企業からの重要な情報(ポイントの有効期限や、商品の配送状況の通知、支払い期日のお知らせなど)の受け取り手段では、「企業からのメール」(55%)が最多で、「公式Webサイト(ホームページ)」(43%)が続いた。

    <図3>企業(サービス・ブランドを含む)からの重要な情報(ポイントの有効期限や、商品の配送状況の通知、支払い期日のお知らせなど)をどのような手段(方法)で受け取りたいか ※複数回答可
    重要な情報の受け取り手段について(複数回答可)

    アプリのダウンロードは「会員登録のタイミング」

    公式アプリをダウンロードするきっかけは、39%が「会員登録するタイミングで」を選択。「商品を購入したタイミングで」「割引クーポンがもらえるから」が36%で続いた。

    <図4>企業(サービス・ブランドを含む)の公式アプリをダウンロードするきっかけは何か ※複数回答可
    公式アプリをダウンロードしたきっかけ(複数回答可)

    年齢別で見ると、20~50代は「割引クーポンがもらえるから」、60代以上は「会員登録するタイミングで」「商品を購入したタイミングで」が上位を占めた。「公式アプリをダウンロードしたことがない」を選択したのは50代以下で10%未満、60代以上は10%前後にとどまった。

    <図5>【年齢別】企業(サービス・ブランドを含む)の公式アプリをダウンロードするきっかけは何か ※複数回答可
    年齢別の公式アプリをダウンロードしたきっかけ(複数回答可)

    公式LINEを友だちに追加するきっかけは、「割引クーポンがもらえるから」が31%、「公式LINEを友だちに追加したことがない」は21%。

    <図6>企業(サービス・ブランドを含む)の公式LINEを友だち追加するきっかけは何か ※複数回答可
    公式LINEを友だちに追加するきっかけ(複数回答可)

    年齢別で見ると、20~50代では「割引クーポンがもらえるから」が上位に。60~80代以上は「公式LINEを友だちに追加したことがない」が多かった。

    <図7>【年齢別】企業(サービス・ブランドを含む)の公式LINEを友だち追加するきっかけは何か ※複数回答可
    年齢別の公式LINEを友だちに追加するきっかけ(複数回答可)

    同じ企業からの情報は半数超が「単一手段で受け取り」

    企業からの情報を複数の手段で受け取っているか聞いたところ、33%が複数の手段を活用していると回答した。

    <図8>同じ企業(サービス・ブランドを含む)からの情報を、複数の手段で受け取ることはあるか(Aという会社の情報を、メールとLINEとアプリで受け取るなど)
    企業からの情報を複数の手段で受け取っているか否か

    企業からの情報が「煩わしいと思ったことがあるか」という質問に対して、57%が「ある」と回答した。

    <図9>企業(サービス・ブランドを含む)から情報が届いて、煩わしいと思ったことはあるか
    企業からの情報についての所感

    煩わしいと感じたポイントについては、「興味がない情報だった」(77%)、「頻度が多い」(71%)が多かった。

    <図10>煩わしいと感じたポイント ※複数回答可
    煩わしいと感じたポイント(複数回答可)

    位置情報活用のマーケティングには半数超が好意的

    会員登録している店に着いた瞬間にスマートフォンへ割引クーポンが届いた場合、「嬉しい」「どちらかというと嬉しい」を選択したのは合計で58%。一方、「不快」「どちらかというと不快」を選択したのは7%にとどまった。

    <図11>会員登録をしているお店に着いた瞬間、スマートフォンに割引クーポンが届いたらどう思うか
    会員登録をしている店に着いた瞬間、スマートフォンへ割引クーポンが届いた時の所感

    値下げや再入荷の通知、66%が「嬉しい」

    商品の値下げや再入荷の連絡が届いた時の所感について、66%が「嬉しい」「どちらかというと嬉しい」と回答。「不快」または「どちらかというと不快」は5%。

    <図12>会員登録している企業(サービス・ブランドを含む)から、スマートフォンやパソコンに気になっていた商品の値下げや再入荷の連絡が届いたらどう思うか
    商品の値下げや再入荷の連絡が届いた時の所感

    ポップアップ型の接客に肯定的なイメージを抱くユーザーが多数

    見ている商品のクーポンがポップアップで表示された場合、63%が「嬉しい」または「どちらかというと嬉しい」と回答した。「不快」または「どちらかというと不快」を選択したのは5%。

    <図13>企業(サービス・ブランドを含む)の公式サイトや公式アプリを見ているとき、今見ている商品のクーポンが表示されたらどう思うか
    見ている商品のクーポンがポップアップで表示された場合の所感

    調査概要

    • 内容:生活者が企業に求める情報発信方法
    • 主体:WOW WORLD(ワオワールド)
    • 調査手法:ワオワールドが開発したアンケートシステム「WEBCAS formulator」を活用し、GMOリサーチ株式会社「JAPAN Cloud Panel」のモニターでインターネット調査を実施
    • 調査期間:2023年2月15日~2月17日の3日間
    • エリア:全国47都道府県
    • 有効回答数:2009人(年齢の均等割付で実施)
    高野 真維

    消費者に選ばれる通販のポイントは「送料の安さ」「価格」「品ぞろえ」【オンラインショッピング利用調査まとめ】

    3 years ago

    マイボイスコムが実施した「オンラインショッピングの利用」によると、携帯電話やスマホからECを利用する人は増加傾向にあり、店頭よりもECを利用するのは主な理由は「価格の安さ」だとわかった。

    調査結果の概要
    • 直近1年間に携帯電話・スマートフォンでオンラインショッピングを利用した人のうち、年間10回以上利用した人は4割で増加傾向。購入したものは「食料品・飲料・アルコール」「衣料品」がそれぞれ4割強、「生活用品」「衣類小物、装飾品」がそれぞれ3割弱
    • 店頭ではなくオンラインショッピングで購入する場面は、「価格が安い」が6割強、「ポイントで商品が買える」が4割強、「クーポンやキャンペーン」が3割強

    EC利用はPCが最多、重視点は「送料が安い・無料」

    通信販売利用経験者に、複数回答で直近1年間に利用した通信販売の申し込み手段を聞いたところ、「インターネット(パソコン)」が78.9%で最多。「インターネット(スマートフォン)」は44.0%だった。

    直近1年間にオンラインショッピングを利用したユーザーに、サイト利用時の重視点を聞いた質問では、「送料が安い・無料」「商品価格」「豊富な品揃え」が6~7割を占めた。

    EC利用の動機は「価格が安い」

    「店頭ではなくオンラインショッピングで購入する場面」を聞いたところ、「価格が安い」が62.6%、「たまったポイントで商品が買える」が43.4%。「クーポンやキャンペーンなどがある」が33.5%で続いた。

    店頭ではなくECを利用するときの理由
    店頭ではなくECを利用するときの理由

    PCでECを利用するユーザーは半数が「年間10回以上利用」

    直近1年間にパソコンでオンラインショッピングを利用したユーザーのうち、年間10回以上利用したユーザーは5割。購入したモノは「食料品、飲料、アルコール」(51.9%)、「衣料品」(43.2%)、「書籍・雑誌・コミック」(34.0%)など。

    携帯電話・スマホからのECアクセスは4割

    携帯電話・スマートフォンでオンラインショッピングを利用したユーザーのうち、年間10回以上利用した人は合計で約4割。マイボイスコムによると、特に30~40代の女性でこの傾向が高くなっているという。

    直近1年間に携帯やスマホでECを利用した回数(過去5年間の調査)
    直近1年間に携帯やスマホでECを利用した回数(過去5年間の調査)

    携帯電話・スマホからの購入は「食品」「衣料品」が目立つ

    携帯電話・スマートフォンでオンラインショッピングを利用したユーザーに、購入したモノを聞いたところ、「食料品・飲料・アルコール」「衣料品」がそれぞれ4割強、「生活用品」「靴・バックなど衣類小物、装飾品など」がそれぞれ3割弱となった。

    直近1年間に携帯やスマホからECを利用し、購入した商品の内容(過去5年間の調査)
    直近1年間に携帯やスマホからECを利用し、購入した商品の内容(過去5年間の調査)

    不満点は「在庫切れなのに商品が表示されている」「送料が不明」など

    回答者によるオンラインショッピングサイト利用時の不満点は次のようなものがあげられた。(一部抜粋)

    • 在庫切れの商品も表示されるので、ほしいと思っても在庫がない場合がある。(男性26歳)
    • 送料がどれくらいかかるかわからないときがある。(男性43歳)
    • 商品説明が雑で、知りたい事が書かれていないと、不満に思う事がある。(男性46歳)
    • 価格変動が激しいこと。(購入した)次の日には価格が安くなっていたなど。(女性33歳)

    調査概要

    • 調査方法:インターネット調査
    • 調査対象:マイボイスコムが運営するリサーチサイト「MyVoice」のアンケートモニター
    • 調査時期:2023年4月1日~4月5日
    • 回答者数:9704人
    高野 真維

    【中国EC】ポストコロナ時代の新たな消費動向と2023年「618商戦」対策 | 中国の最新買い物事情~トランスコスモスチャイナからの現地レポート~

    3 years ago
    2022年の「618商戦」分析から2023年の対策、最新の消費トレンドを通じて、ポストコロナ時代の新しい中国の消費行動をお伝えします

    コロナ禍を契機に、中国の消費者は合理的にオンラインとオフラインで買い物をするようになりました。ポストコロナ時代の新しい消費行動を理解し、中国での新たなビジネスチャンスをつかむために、2022年の「618商戦」(中国EC大手JD.comが毎年6月に行うセールで、他の企業も同時期に大規模セールを実施している)分析から、2023年の対策、最新の消費トレンドを考察します。

    「618商戦」から見えてきた個人消費の変化

    ビッグデータ分析などを手がけるSyntunの調査によると、2022年「618商戦」期間中のオンライン流通総額は6959億元(約14兆4063億円)で前年実績比8.2%増。

    その内訳は、JD.comやアリババといった「統合Eコーマス」の流通総額は5826億元(約12兆608億円)で同0.7%増、ライブコマースの流通総額は同124.1%増の1445億元(約2兆9914億円)でした。

    中国の主要Eコマースプラットフォーム
    中国の主要Eコマースプラットフォーム(画像:トランスコスモスチャイナが制作)
    中国の「618商戦」流通総額
    「618商戦」流通総額(出典:Syntun、画像:トランスコスモスチャイナ制作)

    プラットフォームの流通総額ランキングに変化はなく、トップ3はアリババ系、JD、Pinduoduoです。ただ、アリババ系の流通総額は2021年比で減少し、JDとPinduoduoはプラス成長を維持しています。

    2022年の「618商戦」全体では過去最高の流通総額を更新しましたが、成長率は鈍化。特に「統合Eコーマス」は0.7%増の成長にとどまっています。その背景には、個人消費が弱い動きになってきていることに加え、消費者がニーズに適したブランド・商品を長期的に利用するための買い物行動が浸透してきていることがあげられます。

    2023年はこの「618商戦」の消費動向を踏まえ、全体のサービス向上、顧客基盤の拡大、定期的な顧客データのメンテナンスに取り組み、大型プロモーションへの備えをする必要があるでしょう。

    プラットフォーム別消費動向

    「618商戦」における統合ECプラットフォームのカテゴリ別売上高と前年比、市場シェア
    「618商戦」における統合ECプラットフォームのカテゴリ別売上高と前年比、市場シェア(出典:Syntun Data、画像:トランスコスモスチャイナが制作)

    Tmallは「自宅時間を快適に過ごす商品」「ペット関連」が人気

    「Tmall」の「618商戦」には、26万を超えるブランドがキャンペーンに参加し、300のブランドが1億元以上の売り上げを記録。「618商戦」に出品された1200万点以上の商品のうち、25%が新商品。出店者が新商品を「618商戦」に合わせて投入し、集客に活用していました。

    顕著だったのが、コロナ禍によって「何でも自宅」「高品質で利便性の高い住まい」という消費動向。自宅で過ごす時間が増えたことで、自宅時間を快適に過ごすための家電に人気が集まり、2022年のTmallにおける「618商戦」の大きな大きな消費トレンドとなりました。

    Tmallの「618商戦」トレンド商品(出典:Tmall新生活研究所「2022年Tmall 618の新たな消費動向」、画像:トランスコスモスチャイナが制作)

    また、ペットカテゴリーの成長も大きな消費トレンドの1つ。先行販売では、ドッグフード、キャットフードのほか、ペット向けの掃除用品、玩具、医薬品、健康食品などの流通総額が前年比2倍以上で伸長。高品質な食品、インタラクティビティを重視したペット用スナック、こだわりのある清掃用具に人気が集まりました。

    JDは着実に成長し、即時配送に注力

    JDプラットフォームでの流通総額は、前年比10.33%増の3793億元(約7兆8521億円)に達しました。1100以上のブランドが前年比50%以上、780以上のブランドが前年比2倍以上の売上成長を記録しました。

    JDの発表によると、デジタル部門は爆発的な成長を記録しました。Xiaomi、Honor、Vivo、OPPOなど主要メーカーの携帯電話の売り上げはセール開始10分で前年比3倍以上を達成し、各携帯電話ブランドの売り上げは過去最高記録を更新しました。

    また、在宅時間の増加や快適な自宅時間を過ごしたいというニーズの増加により、エアフライヤーの流通総額は前年同期比300%増、自動掃除ロボットは同500%増、食器洗い乾燥機(食洗機)は同115%増を記録。キッチン家電や清掃家電の売り上げは拡大しました。

    また、健康志向関連の消費も伸びました。JDの健康飲料カテゴリーは流通総額が同12倍成長で、プロバイオティクスとルテインカテゴリーはいずれも同4倍以上の伸びを記録しました。

    2022年の「618商戦」では、物流の安定性を確保するために、全国15万以上の実店舗から商品を即時配送するサービスを開始、便利でスピーディな配送体験を提供しました。

    Pinduoduoは全カテゴリーが高成長

    Pinduoduoプラットフォームでは全カテゴリーが大きく成長しましたが、特に家電、家庭用化学製品、美容の流通総額が前年比2倍になりました。

    一級都市(上海市、北京市、広州市などの都市)での受注量は例年に比べて急増しました。これまでは下沈市場(中国の3級都市以下の都市および農村)を主なターゲットにしてきたPinduoduoプラットフォームでしたが、2022年の「618商戦」は一級都市の流通総額が同110%以上増加しました。

    ブランドの公式旗艦店の売り上げも大幅に増加。2021年の「618商戦」と比較すると124%増加し、売上高1億元以上のショップは3倍に増えました。

    Douyinのライブコマースが台頭

    「618商戦」でDouyinのECプラットフォームで販売された商品数は約2000万点、総売上高は9億9000万元(約124億円)を超えました。

    Douyinライブが好調で、合計4045万時間のライブ配信を行い、183のライブ配信から1000万元(約2億701万円)を超える売り上げを記録しました。

    なかでも、koolearn\(新東方オンライン)傘下の「東方甄選」ライブ配信は注目を集めました。英語の知識や文化の提供と物販を融合した生放送が、人々の共感を集めました。この取り組みは、ライブコマースの新たな道と言えそうです

    まとめ

    2022年の「618商戦」は過去最高を更新し、コロナ禍でもプラス成長を維持しましたが、成長率は鈍化しています。その背景には、消費環境の弱さのほか、消費者のニーズの変化があげられます

    「ニーズに合わせて適切な商品を購入する」「長期的に利用できる商品を購入する」――こういった消費行動が中国では台頭しています

    2022年の「618商戦」の購買動向を踏まると、販売事業者はこうした消費の変化に対応していくことが重要です。

    【越境EC・海外向けECに必見の一冊】世界30の国・地域のECデータを把握できる書籍『海外ECハンドブック2021』

    インプレスは、越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著者はトランスコスモス)を発刊。「世界のEC市場規模予測」「地域別EC市場データ」「越境EC市場規模およびEC利用者の推移」「EC市場データランキング」などを詳しくまとめています。

    『海外ECハンドブック2021』のお求めはAmazonかインプレスブックスで
    電子版のほか、AmazonではPOD(プリント・オン・デマンド)版をご注文いただけます。A4サイズの冊子でお届けします。
    越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著:トランスコスモス)
    2019年のグローバルB2C-EC市場について(画像は『海外ECハンドブック2021』から)
    越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2021』(著:トランスコスモス)
    地域別のEC市場規模(画像は『海外ECハンドブック2021』から)

    [主要30の国・地域のEC市場概況]

    • 世界のEC市場規模予測
    • 地域別EC市場データ
    • 30の国・地域のEC市場ポテンシャル
    • 越境EC市場規模およびEC利用者の推移
    • 越境ECの地域別利用状況
    • アジア10都市EC利用動向調査
    • EC市場データランキング(TOP10)
    • 各国のEC市場環境比較表2019年
      などを掲載。アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域について、各国のEC市場環境比較表などを掲載しています。
      https://www.amazon.co.jp/dp/B09MW2GF6D
    トランスコスモスチャイナ(transcosmos China)
    李立群(Richard Li)

    【世界のマーケットプレイスまとめ】流通総額1位はタオバオ、2位はTmall、3位はAmazon。流通総額は3.25兆ドル | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    3 years ago
    2022年の世界のオンライン市場は、前年よりも約3%増加しました。コロナ禍のロックダウンによる影響や、ウクライナ侵攻を背景とした国内資本へのシフトなど、各国でさまざまな変化が起きています

    米国のEC専門誌大手『Digital Commerce 360』の調査によると、世界のトップクラスのオンラインマーケットプレイスは2022年、3兆2500億ドル以上の流通総額を記録しました。そのほとんどは、“サードパーティーセラー”と呼ばれるモール出店者経由です。

    記事のポイント
    • 2022年の流通総額は3.25兆ドルに達し、2021年から2.9%増加した
    • ハイブリッド型のマーケットプレイスが従来型のマーケットプレイスを上回った
    • ウクライナ侵攻に伴う制裁の影響で、国内のみの販売に限定されたロシアのマーケットプレイスは成長した
    • 流通総額が減少する中、eBayはShopeeに抜かれ5位になった

    2022年の流通総額は2.9%増の3.25兆ドルに成長

    オンラインマーケットプレイスの上位企業は2022年、3兆2500億ドルの商品を販売しました。『Digital Commerce 360』が発行した「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」の上位100社のうち、Alibaba(アリババ)、Amazon、 eBay(イーベイ)などが運営するプラットフォーム上でのサードパーティーセラーによる販売は、総流通総額の77.5%を占めました。

    また、2022年は自社での商品販売とサードパーティーセラーが販売するハイブリッド型のマーケットプレイスの成長が目立ちました。

    マーケットプレイス全体の流通総額の成長率は2.9%でしたが、Amazon、Walmart(ウォルマート)、JD.com(ジンドン)などのハイブリッド型は7.2%と躍進。eBay、Wish.com(ウィッシュ)、Alibabaが運営する中国マーケットプレイス「Tmall(Tモール)」や「TaoBao」(タオバオ)といった従来型のマーケットプレイスの流通総額は0.9%減少しています。

    世界のオンラインマーケットプレイス上位100社の2022年における流通総額(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
    世界のオンラインマーケットプレイス上位100社の2022年における流通総額(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

    マーケットプレイスは、多くの商品を低価格で購入できることから、消費者に人気があります。AlibabaやAmazonが運営する世界最大手のマーケットプレイスがこの業界を席巻しています。

    しかし、特定のカテゴリーの商品を販売するマーケットプレイスも数多く存在し、その多くは堅調なペースで流通総額を伸ばしています。

    他国のオンラインマーケットプレイスの成長は?

    2022年の成長をけん引したのは、他国のオンラインマーケットプレイスでした。中国のオンラインモールがコロナ禍のロックダウンで苦戦。その一方、ブラジルやロシアなどの国のマーケットプレイスは、サプライチェーンの危機や国際紛争のなかで、販売事業者が国内マーケットでの販売という選択肢に目を向けたため、大きな成長を遂げました

    ロシアは“制裁”が国内事業者の成長につながる結果に

    ロシアの大手ネット通販事業者2社、Ozon(オゾン)とWildberries(ワイルドベリーズ)は、ウクライナ侵攻に対する制裁のなかで、国内の販売者がロシア資本のECサイトにシフトしたことが影響し、2022年に大きく成長した事業者の一例です。

    このほか、成長率トップ10には、ブラジルのネット通販大手MercadoLibre(メルカドリブレ)、Etsy(エッツィ)が運営する「Elo7」もランクインしています。

    流通総額上位のマーケットプレイスがある国と、地域ごとの上位のマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
    流通総額上位のマーケットプレイスがある国と、地域ごとの上位のマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

    これまでの成長に比べると減速したものの、Alibabaが運営する「TaoBao」と「Tmall」の流通総額は、競合他社のサードパーティーセラーの流通総額を大きく引き離しています。Amazonのサードパーティーセラーによる流通総額は3位。eBayの減速により、インドネシアのShoppee(ショッピー)がトップ5に入りました

    世界のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
    世界のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)。流通総額は、マーケットプレイスで販売されているすべての商品の流通額を指す。公式企業ランキングは、マーケットプレイスにおける自社商品の売り上げを除いた、自社サイトで販売するサードパーティ(仕入れ商品)の流通総額によって決定している

    新しいプレーヤーが続々登場

    過去10年間で、オンラインマーケットプレイス トップ100社のうち35社が、サードパーティーセラーによる販売をスタートしました。

    このなかには、スニーカー販売のStockX(ストックX)、食料品販売のMercato(メルカート)のような従来型のマーケットプレイスに加え、Sweetwater(スウィートウォーター)やZalando(ザランド)のような小売事業者がプラットフォームを提供するようになったケースもあります。

    開設年別のオンラインマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
    開設年別のオンラインマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

    米国企業の流通総額は横ばい

    2022年の米国オンラインマーケットプレイスの成長は横ばいで、サードパーティーセラーによる流通総額は1.0%減少しました。傾向は他国と同じで、ハイブリッド型が従来型のマーケットプレイスよりも良い結果を出しています。また、トップ100社のマーケットプレイスの半数が米国に拠点を置いています。

    米国のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
    米国のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

    米国のトップ企業の流通総額は8698億ドルに達し、トップ100位のマーケットプレイスの流通総額の4分の1以上を占めました。スニーカーのマーケットプレイスFlight Club(フライトクラブ)は、米国のマーケットプレイスのなかで最も大きく成長し、流通総額は前年比50%増でした。

    米国の上位49社のマーケットプレイスを対象とした、米国マーケットプレイスに関するデータ(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
    米国の上位49社のマーケットプレイスを対象とした、米国マーケットプレイスに関するデータ(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

    オンラインマーケットプレイスの最新動向

    ポイント

    • トップ100位のマーケットプレイスは、2022年の流通総額が3兆2500億ドルに成長
    • この流通総額は、世界のEC流通総額の55%以上に相当する

    主要なマーケットプレイスによる市場の席巻は世界的な現象です。トップ100位のマーケットプレイスは世界中に存在しています(以下は、各エリアのマーケットプレイスの数)。

    • 北米:51
    • 欧州:22
    • アジア:16
    • ラテンアメリカ:7
    • 中東・アフリカ:3

    世界のトップマーケットプレイス

    • 1位:Taobao
    • 2位:Tmall
    • 3位:Amazon
    • 4位:JD.com
    • 5位:Shopee

    米国のトップマーケットプレイス

    • 1位:Amazon
    • 2位:eBay
    • 3位:Walmart
    • 4位:OfferUp(フリーマーケットアプリ)
    • 5位:Houzz(インテリア通販)

    米国マーケットプレイスの概要

    • 2022年、米国のマーケットプレイスの流通総額は8698億ドル
    • 米国のマーケットプレイスの中央値では、モバイル機器からの売り上げが61.2%を占める
    • 2022年、米国で最も成長した事業者はFlight Clubで、流通総額は前年比50%増

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360

    ヤマト運輸、都内・神奈川・千葉の一部地域宛ての荷物に遅延の可能性(5/27~6/10)

    3 years ago

    ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表した。

    首都高速1号羽田線高速大師橋の架け替え工事により、一部区間において終日通行止め規制が行われるため。

    5月27日(土)~6月10日(土)までの15日間、全国から以下の対象地域宛ての荷物は「遅延了承」での預かりとする。

    • 東京都……大田区・渋谷区・世田谷区・目黒区
    • 神奈川県……川崎市川崎区・幸区
    • 千葉県……木更津市・君津市・富津市・館山市・南房総市・鴨川市・袖ケ浦市

    また、交通渋滞の状況などによって、対象地域の周辺、羽田空港を発着する荷物に遅延が発生する可能性があるという。そのため、ヤマト運輸は日数に余裕を持った発送を依頼している。

    また、羽田空港を経由する以下の区間の宅急便、クール宅急便、宅急便タイムサービスも「遅延了承」での預かり対象となる。

    ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表
    「遅延了承」での預かり対象となる宅急便・クール宅急便
    ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表
    「遅延了承」での預かり対象となる10時指定「宅急便タイムサービス」
    ヤマト運輸は5月27日から6月10日の期間、首都高速道路と周辺一般道において交通渋滞が予測されるため、一部地域への荷物の配送に遅れが生じる可能性があると発表
    「遅延了承」での預かり対象となる17時指定「宅急便タイムサービス」

     

    石居 岳

    環境負荷軽減や社会課題の解決に取り組む企業に「好感を抱く」は55.3%

    3 years ago

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「企業の環境・社会問題への取り組み及び端末の再生品・中古品に対する意識調査」によると、企業の環境への負荷軽減、社会課題に関する取り組みに「好感を抱く」と回答した割合は55.3%だった。調査対象は15歳~69歳の男女5000人。期間は2023年4月17日~4月19日。

    企業の環境への負荷軽減、社会問題への取り組みに「好感を抱く」は55.3%

    調査対象者に、環境への負荷軽減や社会課題の解決に取り組んでいる企業に好感を抱くか聞いたところ、「好感を抱く」(20.3%)と「やや好感を抱く」(35.0%)を合わせて55.3%が「好感を抱く」と回答した。

    MMD研究所 調査データ 企業の環境・社会問題への取り組み 好感を抱くか
    環境への負荷軽減や社会課題の解決に対して取り組んでいる企業に対する好感の有無
    (n=5000、出典:MMD研究所)

    環境への負荷軽減などの商品を購入したいと思えるのは「ポイントなどの特典」「価格」

    環境への負荷削減や社会課題の解決につながる商品やサービスを購入したいと思える形を聞いたところ、最多は「ポイントがもらえるなど特典がある」(45.6%)で、次いで「価格が通常の商品やサービスと大きく変わらない」(33.2%)「自分がよく行く場所で購入・利用できる」(32.2%)だった。

    MMD研究所 調査データ 企業の環境・社会問題の解決につながる商品・サービスを購入したいと思える形
    環境への負荷削減や社会課題の解決につながる商品やサービスを購入したいと思える形
    (n=5000/複数回答可、出典:MMD研究所)

    環境問題解決などにつながるWebサービス・アプリの利用意向、「賞味・消費期限が近くポイントが付与」

    環境問題解決や倫理的な消費につながるWebサービス・アプリの説明を行い、アプリ名を例にあげて使ってみたいサービスを聞いたところ、利用が最も高かったのは「スーパーで賞味・消費期限が近い商品を買うとポイントが付与されるサービス(例:ecobuyなど)」(40.2%)。次いで、「店頭で売り切れないパンやお惣菜、予約のキャンセルが出てしまった食事など、食品ロスになりそうな食事をアプリを通して安く購入し、店頭で受け取れるサービス(例:TABETE)」(34.4%)「食品ロス削減をめざし、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある商品を、おトクに購入でき配送してくれるサービス(例:Kuradashiなど)」(31.6%)だった。

    MMD研究所 調査データ 環境問題解決や倫理的な消費につながるWebサービス・アプリの利用意向
    使ってみたい環境問題解決や倫理的な消費につながるWebサービス・アプリ
    (n=5000/複数回答可、出典:MMD研究所)
    調査実施概要
    藤田遥

    「Amazonフレッシュ」の送料、購入金額1万円未満を値上げへ

    3 years ago

    アマゾンジャパンは6月1日、Amazonプライム会員向けの生鮮食品宅配サービス「Amazonフレッシュ」の配送料を値上げする。

    注文金額が1万円未満(税込)の場合、従来の390円から490円に値上げする。1万円以上の場合は、従来通りアマゾンジャパンが送料を負担する。

    また、1時間単位の時間帯指定について、購入金額1万円未満の場合の配送料を890円から990円へ変更する。1万円以上は従来通りの500円に据え置く。

    物流業界では、働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用されることで、運送会社では収入減少によるドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが危惧される「2024年問題」が課題となっている。

    「Amazonフレッシュ」の送料値上げは、「2024年問題」を見据えた措置と見られる。

    瀧川 正実

    アマゾンジャパン、「Amazonフレッシュ」の配送エリアを拡大

    3 years ago

    アマゾンジャパンは5月18日、Amazonプライム会員向けの生鮮食品宅配サービス「Amazonフレッシュ」の配送エリアを拡大した。

    東京都府中市、千葉県千葉市美浜区、習志野市、船橋市、松戸市を対象エリアに追加。5月18日時点で、東京都18区5市、神奈川県2市、千葉県6市で展開している。

    2017年4月にサービス提供を開始、東京、神奈川、千葉の一部エリアでサービスを提供してきた。2022年に「Amazonフレッシュ葛西フルフィルメントセンター(Amazonフレッシュ 葛西FC)」を東京・江戸川区に開設。商品保管・出荷能力の拡充を進めてきた。

    アマゾンジャパンはプライム会員向けサービスの「Amazonフレッシュ」に加え、ライフ、バロー、成城石井との協業にる「Amazonネットスーパー」をAmazon上で展開している。

    瀧川 正実

    年商10億円突破をめざすEC事業者必見! 売上アップのノウハウをキッズ・ラボラトリーと“これから”が語る【事例あり】 | 「ECタイムズ」ダイジェスト

    3 years ago
    ECのプロ3人が、集客施策、SNSの活用、組織形成など、ECの売上アップにつながるノウハウを解説する

    キッズ・ラボラトリー 代表取締役社長 青柳陽介氏と、これから マーケティング統括 志岐大地氏がディスカッションし、“年商10億円を突破するために必要なこと”を語ります。

    EC業界の最前線を走る事業者からプロが集まり「集客」「SNS」「組織形成」という3つの軸で成功事例を解説。年商10億円をめざしたいEC企業は必見です。最後までお楽しみください!

    キッズ・ラボラトリーやこれからが、年商10億円突破に必要な知見を語る
    キッズ・ラボラトリーやこれからが、年商10億円突破に必要な知見を語る

    売上アップのための広告運用ノウハウ‍とは

    人物紹介

    キッズ・ラボラトリーの青柳氏は、知育玩具のサブスクサービスを展開する同社を経営しながら、通信販売のコンサルティング業も手がけています。

    これからの志岐氏は、ECに特化したマーケティング支援を主な業務とする同社にて、のべ300社ほどの支援に携わっています。

    キッズ・ラボラトリー 代表取締役社長 青柳陽介氏
    キッズ・ラボラトリー 代表取締役社長 青柳陽介氏
    これから マーケティング統括 志岐大地氏
    これから マーケティング統括 志岐大地氏

    ――それでは、早速本編に入っていきます。まずは志岐さんから、「EC売上アップのための広告運用ノウハウ」について解説していただきます。よろしくお願いいたします。

    志岐:志岐と申します。本日はよろしくお願いします。

    まず、ECサイトの売り上げは結局、購入数と購入単価の掛け算でしかありません。そして購入件数を伸ばすためには流入数を伸ばし、そのなかでの転換率を上げるというふうに要素分解ができます。

    流入数の増加には広告運用系の施策を、転換率の向上にはカートへの遷移率を伸ばす施策に力を入れる必要があります。このように要素分解を行うことで今の課題を浮き彫りにすることができます。

    顧客の“購買モチベーション”別の配信を意識

    志岐:流入者をもう少し深堀していくと、「検索エンジン」「広告」「SNS」というチャンネルに大別できます。

    いずれも無料の手法がありますが、配信頻度などに制限があり、効果が出るまで時間がかかるため、有料の手法を適宜組み合わせることが重要です。どれか一つを利用するのではなく、優先順位をつける必要があります

    さまざまな媒体を使用した広告が存在していますが、一貫して意識していただきたいのは“ユーザーのどういう購買モチベーションの層に配信されている広告か”ということです。関心が高い層にはリスティング広告、低い層にはマス広告、関心が高くもなく低くもない中間層に対してはSNS広告が有効です。

    購買モチベーションが高い層ほど母数が小さくなる傾向があり、商品をすぐ見て購入する“指名層”を頂点、“無関心層”を底辺としたピラミッド型の構図となっています。

    顧客の購買モチベーションと、商品に対する関心度のピラミッド
    顧客の購買モチベーションと、商品に対する関心度のピラミッド

    志岐:母数の少ない“指名層”に対する広告は費用対効果が高い一方で、売り上げの絶対額が伸びづらい性質をもっています。それに対し、母数の多い“無関心層”に広告を投げれば、費用対効果は低くなる一方で、売り上げが大幅に伸びる可能性があります

    “無関心層”は、自社商品の紹介認知の前に、ジャンル全体への教育というステップが必要という特徴もあります。

    まずは、購買モチベーションの高い層から順に広告を打っていき、各層の母数を順に増やしていくことで費用対効果の向上を狙うことができます。費用対効果と売り上げのバランスを意識することが重要です。

    “広告運用力”の公式を理解できているか?

    志岐:また、同じ媒体で広告を運用をしているとしても、運用の仕方で売り上げに大きな差が出てきます。この能力を広告運用力と呼びますが、これはアカウント設計とアカウントメンテナンスに要素分解できます。

    広告運用力=アカウント設計×アカウントのメンテナンス

    アカウント設計とは、効果が最大化されるようなGoogle広告などのアカウントが作られているかを意味し、アカウントのメンテナンスとは、実際に広告を配信してみて悪かった点を解消して、次に何をすればよいか改善することを意味します。

    アカウント設計においては、ターゲット全てに届いているか、AIが効果的に学習できるキャンペーン構成になっているかどうかが評価軸になります。

    アカウントのメンテナンスにおいては、もっとも反応の良い訴求は何であったかというクリエイティブ検証、そしてターゲティング検証などが評価軸となります。

    動画クリエイティブは“感情”と“論理的”の両方に働きかけることがポイント

    志岐:TikTokなどの動画による訴求について紹介させていただきます。

    さまざまな動画広告が増えているなかで、適切な手順を踏むことで検証ができるようになり、再現性を高めることができます。最初の手順としてリサーチがあるのですが、ここでユーザーのニーズをどこまで捉えることができるかで最終的な効果が大きく異なります

    ユーザーの生の声を聞き、ペインや課題を見える化する取り組みが重要です。顧客インタビューや類似商材や競合商材のユーザーの声に注目するようにしましょう。

    その後に、競合のクリエイティブ調査、訴求軸の決定を行い、最後にリサーチをもとにして動画を実際に作成するという手順になります。

    動画の構成は感情に訴えかける右脳要素、理性・論理的思考に訴えかける左脳要素を交互に盛り込むと効果的です。

    制作にあたっては、使いやすい編集ツールを選び、完成後に細かい調整が可能なものをおすすめします。

    SNSでコンバージョンを増やす方法‍

    ――志岐さん、ありがとうございました! 事例をたっぷりご紹介いただいて、感謝です。 では次は青柳さんから、「SNSでコンバージョンを増やすノウハウ」についてお願いいたします!

    顧客との密な関係づくりに成功

    青柳:継続的にお客さまと関係構築に取り組んできた弊社は、公式SNSアカウントやランディングページにて一部のお客さまからいただいた動画を公開しております。

    これらの動画は、広告のためにこちらから報酬をお支払いするという形ではなく、お客さまご自身の意思で送っていただいたものになります。

    そのお礼におもちゃのギフティングをしたり、お歳暮、お中元を送ったりしています。SNSを通じてこのような密な関係を築いていくノウハウを今日はお届けしたいと思います。

    SNS上で集まる人のニーズを理解せよ!

    青柳:弊社は現在、KPIに半年残存率65%、年間残存率40%を設定しています。ペルソナは都心部で働くママとなっております。KPIの達成とペルソナに沿ったマーケティングのためにSNSを活用しております。

    まず大前提として、人が集まるSNSアカウントには「コンテンツ型」と「キャラクター型」がございます。

    「コンテンツ型」とは、興味や関心事が同じで集まっており、たとえば伊勢丹さんのInstagramアカウントには高級でエレガントな化粧品に興味がある人たちが集まっています。

    「キャラクター型」とは、体験・共感・コミュニケーションを目的に集まっており、たとえばディズニーのTwitterアカウントのフォロワーは“Dオタ(ディズニーオタク)”として積極的にディズニーに関する情報を発信しています。

    「キャラクター型」は、公式アカウントを中心に周りのフォロワーがSNS上で活動しているという構図があるものです。

    第一に、SNSユーザー個々人は自身の関心のある情報を求めて閲覧するだけであり、商品そのものを求めて閲覧することは極めて少ないということを認識することが重要です。

    フォロワーを増やすには「コンテンツ型」が適しており、少数のフォロワーと密な関係を作ることについては、「キャラクター型」が長けています

    「コンテンツ型」と「キャラクター型」の特徴
    「コンテンツ型」と「キャラクター型」の特徴

    「コンテンツ型」でフォロワーを増やす方法とは

    青柳:自社が届けるコンテンツに興味を持ってもらうために以下の項目を順番に意識していただきたいです。Instagramの運用を例に考えます。

    ‍① 1枚目の写真で内容まで呼んでもらえるかが決まる

    • ユーザーに「自分ことだ」と思わせる
    • 悩み、欲求に刺さるキーワードや具体性を入れる。(例)「誰でも簡単にできる」

    ② 投稿本文の作成は「#」から考えるとよい

    • →自社の商品のキーワードを「#○○」で検索し、ヒットした関連タグをもとにユーザーが知りたいネタを身の回りで探す。
    • 画像を作成し、投稿本文を考える。

    ③ リーチを基準に比較して考える

    • 「多くの人に見てもらうための内容」と「リーチは伸びなくてもフォロワーが求めていると内容」を分ける。
    • 後者はフォロワーにDMで聞く。どちらにも当てはまらない内容は投稿しない

    ④ 毎日2投稿を最初の目標に

    • インサイトの情報をもとにリーチが伸びる投稿、エンゲージメントが多い投稿を試行錯誤する。
    • 5000人までは頑張る。1年で1万人を目標に頑張る。

    ⑤ 仲間、応援してくれる人を作る

    • アクティブユーザーからアンバサダーを任命する
    • ギフティングや試供品の提供を行う。ユーザーのアカウントで自発的な投稿がされるようになる。

    このような手法からわかるのは、「どんなにテクノロジーが進んでいても、人がサービスや商品を使っていることに変わりはない」ということです。

    ◇◇◇

    みなさん、いかがでしたでしょうか? ECや通信販売ですぐに役立つノウハウばかりでしたね。

    この10年間で日本のEC市場は成長中です。SNSや動画配信サービス、検索エンジンを中心に多くのユーザーからの認知、そして果てにはリピーター獲得をめざして各社のマーケティング戦略が展開されるようになりました。

    また、Amazonや楽天などのECモールの普及や、BASE、Shopifyといったストアの開設・運営プラットフォームが登場したことで、ECを始めるハードルが下がりました。

    ECタイムズ

    アディダスが自社ECなどにショップスタッフのコーディネート投稿機能を実装、ZOZOの専用ツール「FAANS」を導入

    3 years ago

    アディダス ジャパンは、ZOZOが提供するショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」を導入し、ブランド自社ECサイトと連携した。

    アディダス ジャパンのスタッフは、「FAANS」を通じてブランド自社ECを含む複数チャネルにコーディネートを投稿することが可能。成果確認もできる。

    「FAANS」のコーディネート投稿機能は、「ブランド自社EC」のほか、「ZOZOTOWN」「ZOZOTOWN Yahoo!店」「WEAR」へコーディネートの同時投稿が可能という。

    アディダス ジャパンは、ZOZOが提供するショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」を導入し、ブランド自社ECサイトと連携
    コーディネート投稿のイメージ

    「成果確認機能」は、投稿コーディネート経由のEC売上やコーディネート閲覧数などの成果を可視化し、ショップスタッフのオンライン上での成果を適切な評価につなげることができる。

    アディダス ジャパンのサイモン・べルレ氏(Eコマース本部長)は次のようにコメントしている。

    オンラインビジネスに対する目標は、デジタルな接点を通じてアディダス製品に関するプレミアムな体験やストーリーを提供すること。「FAANS」は店舗のスタッフやブランドアンバサダーがこの目標を実現する手助けとなる。オンラインのお客さまにコーディネート、サイズやフィット感を具体的に伝えることができる。オンラインのお客さまと実際のアディダス店舗とのつながりを強化し、製品を試すために店舗を訪れ、店舗スタッフと交流することを促進することもできると考えている。

    「FAANS」は2021年11月に始動した「ZOZOTOWN」とブランド実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO」で展開するサービスの1つ。

    石居 岳

    スクロール360、倉庫管理システムの「L-Spark」と「ECコネクター」の標準連携を開始

    3 years ago

    スクロール360は、物流代行サービスで提供している倉庫管理システム「L-Spark」と、久のデータ連携クラウドサービス「ECコネクター」の標準連携を開始した。

    「L-Spark」は、スクロール360が提供する物流代行サービスで使用している自社倉庫管理システム(WMS)。在庫管理(入荷、検品、保管、ピッキング、出荷など)、 出荷指示データからの伝票類出力、出荷進捗管理、送り状のオンデマンド印刷機能、物流KPI分析機能、動画再生システムなどを搭載している。

    久の「ECコネクター」は、ECシステム、モール、基幹システム、WMS、デジタルマーケティングサービスといった異なるシステム間のデータの統合・変換・連携を実現するサービス。店舗・ブランド・チャネル(各モール・自社ECサイト)ごとに取得している情報から、基幹システム、倉庫管理システム(WMS)、マーケティングシステムなどに対するデータ変換・連携を行える。

    スクロール360 物流代行 L-Spark WMS 久 ECコネクター
    久が提供する「ECコネクター」(画像は「ECコネクター」のサイトからキャプチャ)

    連携で、カートシステムや受注管理システムの各種データを「ECコネクター」に取り込み、「L-Spark」に連携可能なデータ形式に変換、受注・商品・在庫データを連携することができる。

    これにより、「L-Spark」と標準連携していないシステムのデータ連携、「L-Spark」の標準機能で対応できない複雑なデータ連携などにも対応できるようになる(事前調査が必要)。「受注コネクター」「商品コネクター」「在庫コネクター」で利用可能。

    また、「L-Spark」でCSV連携している他システムやサービスも「ECコネクター」を利用することで、API連携、RPAを使用した自動化などを行えるという。

    藤田遥

    マーケターの感性を研ぎ澄ますためには、お客さまの生の声を聞くこと――「熊本馬刺しドットコム」売上アップの裏側【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    3 years ago
    ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年5月15日~5月21日のニュース

    「熊本馬刺しドットコム」が売り上げをどうやって伸ばしてきたのか、詳細に説明されています。かなりボリュームがある記事ですが、隅々まで読んで研究したいところです。

    商品、サービス、マーケ、すべてにこだわった結果です

    馬刺し通販売上No.1「熊本馬刺しドットコム」が自社ECを伸ばすために取り組んできたこと | E-Commerce Magazine by futureshop
    https://magazine.future-shop.jp/interview-kumamoto-basashi

    馬刺し・馬肉の通販売上No.1を獲得するまでに、手間を惜しまず取り組んできた、さまざまな施策をお伝えしています。ボリュームのある記事になっていますが、食品ECを手がけている事業者さまはもちろんのこと、自社ECサイトの売上を伸ばしたい事業者さまは、「熊本馬刺しドットコム」の取り組みをぜひ参考にしてください。

    ご存知の方も多いであろう「熊本馬刺しドットコム」。10年間で売り上げを数億円規模にまで伸ばしています。引用文に書いてある通り、ボリュームがある記事になっていますので、私が注目した点だけコメントしていきます。

    fs安原:顧客ニーズを反映して商品化した事例を、お聞かせいただけますか?

    田尻さん:例えば、馬刺しを50gに小分けにして真空パックにした商品は、お客様から寄せられた要望を反映して商品化しました。

    実は馬刺し業界では、かつては最低100g単位でのパッキングが主流でした。100g以下の真空パックは製造に手間がかかりますし、形をそろえるために端肉が出てしまいコストがかさむためです。

    ただ、100g単位では1度に食べきれないというお客様もいらっしゃったんです。

    せっかく新鮮な馬刺しをお届けしても、ご自宅で食べるときに鮮度が落ちてしまっては意味がありません。ですから、弊社は新鮮な馬刺しをお客様に食べていただくことを優先し、コストをかけてでも50gパックを商品化しました。

    社内の意見が強い会社では採用されないようなアイデアも、顧客ニーズを反映していく姿勢がある「熊本馬刺しドットコム」さんだからできた事例ですね。手間がかかって量が減るので売り上げにも影響がありそうですが、そんなことはなく、ニーズが合致していればヒット商品にもなりますし、リピートもしてくれますし、他の商品も買ってもらえます。“損して得取れ”ではないですが、近視的な思考だけではなくて大局的な考えも持ちたいですね。

    fs安原:顧客ニーズを把握するために、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

    田尻さん:さまざまな取り組みがありますが、一例を挙げると、コールセンターを内製化し、お客様から寄せられた問い合わせの内容から顧客ニーズを把握しています。

    ちなみに、食品通販事業部のマーケター全員が交代で、お客様からの電話に対応しています。マーケターの感性を研ぎ澄ますためには、お客様の生の声を聞くことが重要だと考えているためです。

    マーケターといわれる皆さん、コールセンターに入ったことはありますか? 顧客問い合わせ対応でも構いません。多くの人は経験がないか、あったとしてもやりとりの履歴を確認するくらいなんじゃないかと思います。コールセンターって苦情がどんどんくるイメージがありますが、そんなことはなくてよくある質問がたくさん来ますし、喜びの声も来ます。その声をコンテンツなり商品なりサービスに反映させることができれば、自然と売り上げも伸びるはずです。

    SNSやレビューの分析も重要ではあるものの、そこには臨場感も感情もありません。ECは買い物であり、買い物はコミュニケーションなのでどんどん現場に出ていってほしいと思います。

    今回は文末で紹介している名言の記事も読んでみてください。何をすればいいのかわかってくると思います。

    今週の要チェック記事

    楽天、1Qの国内EC流通総額は12.2%増の1.4兆円 三木谷社長「他社は苦戦、われわれは好調」 | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/8754?

    ECは好調です。10兆円は夢でもなさそう。

    楽天、コスメショップ「楽天24 コスメ館」開設 スキンケアやメイクアップなど3万点超を直販 | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/8766

    楽天、825億円の赤字ながら収益改善をアピール 「新ローミング契約は財務の安定性に貢献」 | ITmedia Mobile
    https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2305/13/news074.html

    上述の記事に関連して。ECはより拡大、モバイルは黒字化ができるかがポイント。

    訪問者数や転換率が一覧でわかる!レポート機能ができました | メルカリShopsマガジン
    https://shops.mercari.com/magazine/posts/40061

    HTMLタグ管理 | BASE Apps
    https://apps.thebase.com/detail/130

    メルカリShopsではレポート機能ができて、BASEはGAに対応しました。

    ヤマト運輸、宅配便の2023年度平均単価は4.7%上昇の見込み。「法人顧客に対しても、(値上げの)交渉を進めている」 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/10948

    2024年問題を目前に控えていますので、もうこれは避けようがないですね。

    EC事業者必見!ポストイン配達で再配達・対面不要!配送サービスを比較 | 富士ロジテックホールディングス
    https://fujilogi.net/blogs/column/fujilogi-columnt-120

    前述の記事に関連して。ポストに入るサイズの商品を開発すれば送料が安くなります。

    売上高1000億円めざすタンスのゲン。新社長の橋爪氏が語る成長戦略+家具ECトッププレーヤーの秘訣とは | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/10913

    売り上げが伸びる夜間に顧客対応をするのはいいアイデアですね。

    問題解決は組織論、売上アップはn=1 ECでよくある質問をコマースデザインの坂本悟史さんに聞いてみた | ECzine
    https://eczine.jp/article/detail/12614

    年商が10億を超えてくると、ECの問題ではなく組織の問題が大きくなってきます。

    売上が伸びない原因の見つけ方とは? アフターコロナのEC業界はどうなる? | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/10952

    状況ごとの打ち手と適正人材の図がとっても役立ちます。

    Shopify、世界経済に与えたインパクトをまとめた調査「Shopify Entrepreneurship Index」ベータ版を発表 | コマースピック
    https://www.commercepick.com/archives/35159

    日本の「Shopify」ユーザー(事業会社)は、87%が大都市以外に拠点を置いているとのこと。

    今週の名言

    紙ストローに負けるわけにはいかない…岡山の日本一のストロー会社が業績を急回復させられたワケ 「飲料用ストローがさっぱり売れない」でも大丈夫 | PRESIDENT Online
    https://president.jp/articles/-/69449

    こちらからアイデアを考えて売り込みに行くと、十中八九うまくいきません。断られると心が折れるんですよね

    お客さんアピールするのではなく、問い合わせが来るようにする。最初の記事を読むと納得の名言です。

    筆者出版情報

    「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める小さい会社のウェブマーケティング必勝法

    「未経験・低予算・独学」でホームページリニューアルから始める
    小さい会社のウェブマーケティング必勝法

    森野誠之 著
    翔泳社 刊
    発売日 2021年10月15日
    価格 2,200円+税

    この連載の筆者 森野誠之氏の著書が翔泳社から発売されました。小さな会社の“ひとり担当者”が、未経験、低予算、独学でホームページのリニューアルからウェブマーケティングまでを成功させるための指南書です。電子版、オンデマンド印刷版ともにAmazonで発売中です!

    この本をAmazonで購入
    森野 誠之

    顧客のニーズを“決めつけない”ハルメクの通販戦略とは? シニアの心をつかむ誌面作り+商品開発のポイント | 通販新聞ダイジェスト

    3 years ago
    シニア女性から支持を得ている通販「ハルメク」。顧客のニーズを満たす商品開発、離脱を防ぐ施策、今後に向けた通販事業の戦略などを責任者が語る

    ハルメクの通販がシニア女性から支持されている。グループのシンクタンクやVOCなどさまざまな顧客接点をフル活用することで、シニアの実態とニーズに即した誌面作りと商品開発を続けている。試作モニターや販売後の満足度調査など各段階で顧客の声を吸い上げるほか、検品を含めた品質管理を徹底している。「品質向上がお客さまの離脱を防止する一番の方法」と語る金山博通販本部長に、通販事業の戦略などを聞いた。

    ハルメク 通販本部長 金山博氏
    ハルメク 通販本部長 金山博氏

    顧客理解のカギは“決めつけない”マーケティング

    ――通販媒体を制作する上で大事にしていることは。

    これはハルメクの「憲法」と言ってもいいと思うが、お客さまの実態とニーズを理解し、わかったふりをしない、思い込みで作らないということを徹底している。等身大のシニア女性に対する理解力が強みだと思う。

    当社にはお客さまを理解するためのツールがたくさんあり、それらをふんだんに利用することで理解に努めている。シニア女性の実態とニーズはどんどん変わる。私は“決めないマーケティング”と言っているが、とにかく聞くことを重視し、理解して深堀りする。

    読者理解を追求している(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
    読者理解を追求している(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

    「売って終わり」ではない

    ――グループにはシンクタンクもある。

    シンクタンクの「生きかた上手研究所」だけでなく、お客さまハガキやコールセンター、グループインタビューも実施して実態把握に努めている。コロナ禍のグループインタビューはオンラインで開催したが、オンライン会議の使い方もレクチャーした。

    また、お客さまの自宅に訪問して取材をさせてもらうこともある。VOCの面では、商品やサービスに関するお客さまのご意見は文章化して1件ずつチェックし、すべてに答えを出すことでスタッフのマインドがそろってくる。お客さまに対するそうした姿勢が当社のDNAになっている。

    ――各段階で顧客の声を聞いている。

    通販の商品開発や誌面作りの前に、お客さまに話を聞いて実態を理解してから企画を立てている。商品の発売前にも試作モニターを徹底して行う。コスメなどは100~200人規模で実施している。販売後も商品にハガキを入れて顧客満足度調査を実施し、ご意見を頂いたら品質改良する。売って終わりではないということを徹底している。

    必要なのは、顧客の機微を感じ取る理解力

    ――たとえば、コスメに関してはどんな要望があるのか。

    シニア女性は年齢を重ねてシワやシミができ、それを隠そうとして厚化粧になりがちだが、実際に話を聞くと「厚化粧は嫌い」だと言う。薄化粧が良くても、それではきれいにならず、どうすればいいかと悩んでいる。

    若返りたいわけではなく、若く見られたいと思っている。「若返りたい」と「若く見られたい」のニュアンスの差を見誤ると、「私たちのことをわかってないわね」と嫌われてしまう。そうした機微を感じとることが大切で、一歩突っ込んだ理解力が必要だ。

    ニーズを満たすにはシニア女性の機微を感じ取ることが大切になる(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
    ニーズを満たすにはシニア女性の機微を感じ取ることが大切になる(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

    「使ってみたい」と思わせる商品開発とは

    ――品ぞろえの方向性や通販誌の特徴は。

    大事にしているのは、品ぞろえで勝負するのではなく、提案する商品によってお客さまの暮らしがどう良くなるか、気持ちが前向きになるかなどを重視している。

    当社は雑誌「ハルメク」に同梱して通販誌を届けている。通販を利用されない方には、このまま通販誌を送るか聞いているが、通販を利用していなくても「そのまま送って」と答える方がけっこういる。通販誌であっても読み物として楽しみにしている方が多い

    ――シニア層に商品を買ってもらうのに不可欠な要素は。

    当社は一つのカテゴリーに編集と商品開発の担当者がそれぞれいて、常にコミュニケーションを取っている。お客さまが「使ってみたい」とか「試してみたい」という気持ちになるのは、背景を知った上での商品に対する納得性だと思う。

    「なぜこの商品なのか」ということがマッチしていないといけない。商品開発と編集者のコミュニケーションの深さと一体感で生み出す「商品×情報」が当社通販事業の強みになっている。

    品質管理の徹底で顧客の離脱を防ぐ

    ――顧客の定着化に向けた取り組みは。

    商品やサービスの品質はお客さまの離脱を防止する一番の方法だ。当社は品質管理に関しては毎週1回、「クレームゼロ」という会議を行っている。

    社長や全社の幹部が集まって、1週間で届いた商品やサービスに対するお叱りを1件ずつ協議する。どういう対応を取って、それが十分だったかを話し合う。この作業は各自のベクトルを合わせるのに役立つ。もちろん、会議の中身は幹部がそれぞれのスタッフと共有する。

    ――品質維持には検品作業も大事だ。

    当社では生産工場と指定検品所とで2回検品をしているが、工場の検品で出てきた不良の情報を必ず指定検品所に伝えるようにしている。

    そうすることで、この商品で起きやすい不良の部分が見えてくるので、通常の検品時よりも精度が上がる。そうした情報は当社にも共有してもらっている。

    クレームというのは必ず起きるが、大事なのは同じ轍(てつ)を踏まないことだ。

    顧客理解に基づく“ハルメク”流の販促

    カテゴリーをまたいだ提案が可能

    ――通販媒体の発刊頻度は。

    通販誌は年12回発刊している。新聞広告で新規獲得をする場合は、事前にトライアルをして成果が出れば本格展開という流れだが、通販誌の場合は頻度が高いので試し刷りをするのはなかなか難しく、外さないために何が大事かというと、やはり顧客理解ということになる。

    ――顧客理解に基づいたハルメクならではの企画などは。

    たとえば、「冷え」に関する企画はどこでも実施していると思うが、冷えると免疫力が落ちて病気になりやすくなるのが一番怖い。当社ではお客さまに話を聞きながら、単なる「冷え対策」で終わらせずに、不調を改善するための室内運動を推奨したりする。

    その際も「単純な運動は長続きしない」という意見があれば“ながら運動”の企画を立てたり、睡眠時に血液が体全体に回りやすくするための寝方を提案したりする。

    当社の通販事業は7つのカテゴリーがあるので、一つの企画であってもカテゴリーをまたいで、かけ算にしていけるのが強みだと思う。

    コスパよりも商品価値。顧客が求める"賢い消費"とは

    ――シニアはコスパを求めているのか。

    シニア女性に話を聞くと「コスパが良い商品、お得感のある商品が欲しい」と言うが、実売になるとそうではない。安いもので失敗するよりも、良い商品を長く使うという“賢い消費”にシニア層は移っていると感じる。

    ――消費者の生活防衛意識は高い。

    当社も今年1月に節約企画を展開したが、私は「値上げ=悪」という公式はやめたいと思っている。「価値=価格」だと信じているので、価値を磨き、お客さまのニーズにフィットするものを作って提案するという方向にシフトしている。価値づくりが大事だ。

    値上げは徐々に実施しているが単純な値上げではなく、「価値=価格」の観点から既存商品を作り変え、機能性などを高めて再提案している。

    ――カタログでの打ち出し方に変化は。

    カタログ誌面も価値提案の取り組みに合わせて、1月発売の2月号から、巻頭部分でハルメクが考える理想の暮らしとして「ものは少なく、暮らしは豊かに」というフレーズを掲げた。

    むやみにものを増やさず、少ないもので豊かに暮らせるように、当社が商品を厳選し、もっともいいものだけを提案することを伝えている。世の中にぴったりなものがなければ当社で作るというスタンスだ。

    アパレルはリアルな体型のサイズ感が好評

    ――PB商品が売り上げの7割を占める。

    ファッションでは、たとえば、お客さま130人以上の体型を3D機器で計測し、作成した50代以上のリアルな体型のトルソーでサイズを決定している。

    JIS規格に則ったサイズを基準にするのが一般的だが、当社ではシニア女性に合うサイズを設定している。そのトルソーで作ったコットンプルオーバーなどが定番服として人気だ。

    また、約200人の計測結果からO体型とA体型の体型別ストレッチパンツを開発して好評を得ている。

    リアルな体型に則した商品づくりをしている(画像は「ハルメク 通販サイト」から編集部がキャプチャ)
    リアルな体型に則した商品づくりをしている(画像は「ハルメク 通販サイト」から編集部がキャプチャ)

    ――コスメやファッションなどのPB比率が高い。

    昔着ていた服やつけていたコスメが似合わなくなったり、しっくりこなくなったりするのは、体型の変化や顔色の変化が影響している。いまの体型や顔の色味に合ったおしゃれを提案すれば似合うはずで、若い頃との変化をしっかり計測し分析することで、シニア女性に合った商品を開発している。

    今後は、「ものは少なく、暮らしは豊かに」を体現できるように、商品の販売だけでなく、サービスも開発していきたい。

    カタログ×Webを掛け合わせた新規開拓

    同梱とマス出稿の2本軸

    ――新規顧客を開拓する方法は。

    大きくは二つあって、一つは「ハルメク」の雑誌に通販カタログを同梱して雑誌読者に届けている。もう一つは、新聞広告などのマスメディアを活用している。

    お客さまの数はビジネスの根幹なので、新規は大事だ。雑誌の定期購読者数が伸びているので通販カタログの配布数も増えている。

    ――顧客層の違いなどは。

    雑誌の読者で通販を利用される方は「ハルメク」に対する信頼が高く、当社が選ぶものなら試してみたいという理由で購入されることが多い。

    新聞広告から来訪するお客さまはまず商品に興味があるので、一度購入して頂けると、次の商品でF2転換しやすいという面もある。

    「ハルメク」の読者は、F1が雑誌だとすると、通販商品の購入というF2転換にはもうワンステップ必要になる。

    現状は、これまでに新規のお客さまがどんな商品を買ったのか、なぜ買ったのかを分析して作った方式に沿って段階的におすすめしている。新規用の別冊カタログを届けたりもしている。

    ――新聞広告などで獲得した新規顧客に対しては。

    商品軸でF1からF2に転換する公式があるので、そういう商品を掲載した別冊を作ってリピーターに引き上げる取り組みを実施している。

    QRコードからの誘導も。Webを閲覧する顧客は増加傾向

    ――Web強化は。

    商品によってはカタログ誌面にQRコードを掲載してWebに誘導している。当社のお客さまがQRコードを使いこなせるか議論になり、最初の頃は冊子を作って(QRコードの)使い方を教えたので、いまはWebも見ているお客さまが増えた

    カタログで展開している商品だけでなく、Web上では別デザインの服や大きいサイズを掲載したり、誌面では紹介し切れないコーディネートを提案できたりと、視覚的な情報も増やせる。

    どういう内容を伝えればQRコードから遷移してチェックしてもらえるかを試している。

    Webの閲覧数も増加している(画像は「ハルメク 通販サイト」トップページから編集部がキャプチャ)
    Webの閲覧数も増加している(画像は「ハルメク 通販サイト」トップページから編集部がキャプチャ)

    「Webとのかけ算」。紙代の値上がりにはDX化で対抗

    ――紙代が値上がりしている。

    紙のコストアップは非常に大きな負担なので、さまざまな対応をしている。雑誌からカタログという新規の大きな入り口の部分をDX化し、デジタルに大胆に切り替えていく計画がある。サブスク型のオンラインメディア「ハルメク365」を運営していて、その中のコンテンツから通販サイトに送客する仕組みを積極的に広げようとしている。

    オンラインメディア「ハルメク365」(画像は「ハルメク365」から編集部がキャプチャ)
    オンラインメディア「ハルメク365」(画像は「ハルメク365」から編集部がキャプチャ)

    カタログの優位性は間違いなくあるので、紙媒体がなくなることはないが、Webとのかけ算で考える必要がある。

    お客さまの選択肢を増やすことも大事だし、お客さまがWebを選択したとしても適時、カタログを届けて誌面を楽しめるようなことも想定している。

    さまざまな観点から顧客のニーズに応える(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)
    さまざまな観点から顧客のニーズに応える(画像はハルメクHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

    ――そのほかのコストアップ対策は。

    雑誌の新規読者に同梱する通販カタログ「ハルメク おしゃれ」と「ハルメク 健康と暮らし」を1冊にした合体版を昨年の夏からテストで届け始め、今年1月から本格化している。

    合体版は、新規購入者をターゲットにした商品を選別して掲載することで購入率を高める狙いもある。

    事業強化の筆頭は「インナー」「靴」

    ――2024年3月期に優先的に取り組むことは。

    お客さまの数の拡大をめざす。販売チャネルとしてカタログと新聞広告、実店舗もあるが、その縦割りを崩して横の連携を強化する。

    また、お客さまの幅広いニーズに応えるためには、自社ですべて取り組むのではなくシニア女性のためのプラットフォームとして機能し、他社との連携やコラボ商品などを拡大していきたい。

    ――特に強化するカテゴリーは。

    7つあるカテゴリーのうち、まずはインナーと靴を優先的に伸ばす

    インナーは元々強く、靴は理学療法士の理論をもとに当社が開発した特徴的な靴を展開しているので、これを広めていきたい。靴は実店舗でも提案しているが、「履けばわかる」ではダメで、通販でも商品の良さが伝わって、通販で購入したお客さまに満足してもらうところにチャレンジする。

    また、会社としては決まっていないが、個人的な思いとして海外のアクティブシニアのニーズを拾って次の成長に向けた準備をしたい。1年以上前からマーケティング調査を行っている。

    事業拡大をめざす以上、市場を広げるという意識は忘れてはいけないと思っていて、その準備は進める。

    ※記事内容は紙面掲載時の情報です。
    ※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
    ※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

    「通販新聞」について

    「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

    このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

    → 年間購読を申し込む(通販新聞のサイト)
    通販新聞の過去記事を読む(通販新聞のサイト)
    → 通販新聞についてもっと詳しく知りたい

    通販新聞
    確認済み
    14 分 4 秒 ago
    ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

    人気記事トップ10

    人気記事ランキングをもっと見る