前のページでは、点が反転円によってどこへ移動するのかという基本と、以下の4つのパターンについて話をしたが、ここでは実際に与えられた図形と与えられた反転円を使って、反形を作図して示していくことにする。
基本的には似た構造になるので、同じようなことをやっているに過ぎないのだが、実際アポロニウスの問題を解くのに使う場合は、様々な配置パターンによって使い分けが必要になるので、予め考えられる全てのパターンを列挙して準備しておく。
点(反転円の外部にある)の逆点の作図(10手順)
反転の中心を通る直線の反形の作図(0手順)
反転の中心を通らない直線(反転円と交わる)の反形の作図(9手順)
反転の中心を通らない直線(反転円と交わらない)の反形の作図(19手順)
反転の中心を通らない直線(反転円と接する)の反形の作図(5手順)
反転の中心を通る円(反転円と交わる)の反形の作図(1手順)
反転の中心を通る円(反転円と交わらない)の反形の作図(15手順)
反転の中心を通る円(反転円と接する)の反形の作図(5手順)
反転の中心を通らない円(反転円と交わる)の反形の作図(20手順)
反転の中心を通らない円(反転円の外側にある)の反形の作図(26手順)
反転の中心を通らない円(反転円に内包され、反転円の中心点の外側にある)の反形の作図(26手順)
・点(反転円の内部にある)の逆点の作図(10手順)
条件:反転円O(中心点O, 半径 r)が黒点円, 点 P(赤点)が与えられている
①Pから反転円へ接線を引き、接点をAとする(6手順)
②AからOPへ下ろした垂線の足が求める逆点 P'(青点)になる(4手順)
なぜなら△OPA∽△OAP' より、OP・OP’=OA^2= r^2
※Pから反転円へ2本の接線を引き、その2接点の中点を P'としてもよい
・点(反転円の外部にある)の逆点の作図(10手順)
条件:反転円O(中心点O, 半径 r)が黒点円, 点 P(赤点)が与えられている
方針:上のパターンの逆を辿ればよい
①Pを通りOPに垂直な線を引き、円Oとの交点の一つをAとする(4手順)
②Aにおける円Oの接線を引き、OPとの交点が逆点 P'(青点)になる(6手順)
・反転の中心を通る直線の反形の作図(0手順)反転の中心を通る直線(原点除く)は原点を通る同じ直線に移る(もちろん不動点は反転円上にある2点のみで、それ以外の点は同じ直線上の別の点へ移る)ので、何もする必要はない。
・反転の中心を通らない直線(反転円と交わる)の反形の作図(9手順)
条件:反転円O(中心点O, 半径 r)が黒点円, 反転の中心を通らない(反転円と交わる)直線 m(赤線)が与えられている
・反転の中心を通らない直線(反転円と交わらない)の反形の作図(19手順)
条件:反転円O(中心点O, 半径 r)が黒点円, 反転円と交わらない直線 m(赤線)が与えられている
①Oから直線 m に垂直二等分線 n を下ろし、交点をPとする(4手順)
②Pの逆点P’ を描く(上記既出の方法で)(10手順)
③OP' を直径とする円(青円)を描けば(OP' の垂直二等分線が引ければ(4手順)、それとOPとの交点を中心とした円を作図するので、5手順)、それが目的の円になる。簡略図は下のようになる。
・反転の中心を通らない直線(反転円と接する)の反形の作図(5手順)
条件:反転円O(中心点O, 半径 r)が黒点円, 反転円と接する直線 m(赤線)及び接点Pが与えられている
①反転円と接する点Pは不動点、一方上記二つのパターンから反形の円の中心はOP上にあることは明らかなので、OPを直径とする円を描けばよい
・反転の中心を通る円(反転円と交わる)の反形の作図(1手順)
ここからの3つは、上の3つの逆のパターンになる。
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円)は反転円Oと2点で交わり、Oを通る
①反転円Oと円Cの二つの交点を結べば、それが求める反形の直線 m (青線)である(1手順)
・反転の中心を通る円(反転円と交わらない)の反形の作図(15手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円)は反転円Oに内包され、Oを通る
①点Oを通る任意の直線 n を引き、円Cとの交点をPとする(1手順)
②Pの逆点P’ を描く(上記既出の方法で)(10手順)
③P' を通りOP' に垂直な直線 m を描けば、それが求める反形(4手順)
・反転の中心を通る円(反転円と接する)の反形の作図(5手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円)は反転円Oに内包されて点Pで接し、Oを通る
①OPを結ぶ直線 n を引く(1手順)
②点Pを通りOPに垂直な線 m を描けば、それが求める反形(4手順)
・反転の中心を通らない円(反転円と交わる)の反形の作図(20手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oと2点A,Bで交わり、Oを通らない
方針:反転円と交わる点は不動点なので、反形の円はその2交点を通る。あと通る1点をが分かればいいので、対象の円の分かりやすい点Pの逆点を求めよう
①OCを結び、円Cとの遠い交点をPとする(1手順)
②Pの逆点P’ を描く(上記既出の方法で)(10手順)
③A,B,P’ 3点を通る円C' を描く。それが求める反形の青円(9手順)
・反転の中心を通らない円(反転円の外側にある)の反形の作図(26手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oの外側にある
方針:上のような不動点はないので、円Cの直径を構成する2点のそれぞれの逆点を求めて、それを直径とする円を描くことにする
①OCを結び、円Cとの2交点をそれぞれ A,B とする(1手順)
②A,B のそれぞれの逆点A’,B’ を描く(上記既出の方法で)(20手順)
③A’B’を直径とする円を描く。それが求める反形の青円(5手順)
・反転の中心を通らない円(反転円に内包され、反転円の中心点の外側にある)の反形の作図(26手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oの内側にあり、反転円の中心点の外側にある
方針:一つ上の逆を行うことと同義である
①OCを結び、円Cとの2交点をそれぞれ A,B とする(1手順)
②A,B のそれぞれの逆点A’,B’ を描く(上記既出の方法で)(20手順)
③A’B’を直径とする円を描く。それが求める反形の青円(5手順)
・反転の中心を通らない円(反転円に内包され、反転円の中心点を内包する)の反形の作図(26手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oの内側にあり、反転円の中心点Oを内包する
方針:方法論は上の二つと同じ
①OCを結び、円Cとの2交点をそれぞれ A,B とする(1手順)
②A,B のそれぞれの逆点A’,B’ を描く(上記既出の方法で)(20手順)
③A’B’を直径とする円を描く。それが求める反形の青円(5手順)
・反転の中心を通らない円(反転円を内包する)の反形の作図(26手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oを内包する
方針:方法論は上の三つと同じ
①OCを結び、円Cとの2交点をそれぞれ A,B とする(1手順)
②A,B のそれぞれの逆点A’,B’ を描く(上記既出の方法で)(20手順)
③A’B’を直径とする円を描く。それが求める反形の青円(5手順)
・反転の中心を通らない円(反転円と外接する)の反形の作図(16手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oと外接する
方針:反転円と対象円の接点は不動点なので、上の方法論のひと手間が省けるだけの違い
①OCを結び、円Cとの2交点をそれぞれ A,B とする(Bが接点とする)(1手順)
②A の逆点A’ を描く(上記既出の方法で)(10手順)
③A’Bを直径とする円を描く。それが求める反形の青円(5手順)
・反転の中心を通らない円(反転円に内接する)の反形の作図(16手順)
条件:反転円O(中心点O)が黒点円, 反転の対象とする円C(赤円、中心点Cは分かっているものとする)は反転円Oと内接する
方針:上のパターンの逆を辿ればよい
①OCを結び、円Cとの2交点をそれぞれ A,B とする(Bが接点とする)(1手順)
②A の逆点A’ を描く(上記既出の方法で)(10手順)
③A’Bを直径とする円を描く。それが求める反形の青円(5手順)
・関連ページの読み進め方
下記リンクを上から順番に読んでいって欲しい。
・図形の反転先の作図パターン16種類(このページ自身)