AmazonのAI活用法。最適な商品提案でアパレルのCVRアップ、返品率低下につなげる施策とは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2024年1月18日(木) 08:00
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Amazonがあげる、AIを活用して顧客の購買体験を向上させる4つの方法とは? それぞれを詳細に解説します

AmazonがAI(人工知能)を活用してアパレル商材のコンバージョン改善に取り組んでいます。取得した過去のデータを活用して顧客に適したサイズを適切にレコメンド、購入率の向上や返品率の低下につなげているようです。そして、Amazonマーケットプレイスで販売する小売事業者は、Amazonが提供するこれらの情報を利用し、アパレル商品の効率的な販売につなげています。

アパレル商品のコンバージョンをアップさせるAmazonのAI活用法

Amazonによると、特定のサイズを薦められた消費者はそのアパレル商材を購入する可能性が高くなり、返品率も低くなるということです。そのAmazonは、AIを使ってレコメンドし顧客の購買体験を向上させる4つの方法を紹介しています。

Amazonのファッション領域のコンピューター・ビジョン・機械学習担当ディレクターであるアプールヴ・チャウドリ氏は自社のコーポレートニュースのなかで、アパレル販売におけるAIの利用事例について詳しく説明。その事例では、AmazonをAIを活用した商品レコメンド、そして、どのデータポイントを使っているかを解説しています。

アプールヴ・チャウドリ氏はAIを活用したアパレル商品について事例を解説している(画像はAmazonのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)アプールヴ・チャウドリ氏はAIを活用したアパレル商品について事例を解説している(画像はAmazonのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
① 顧客にぴったりのサイズを薦めるレコメンド

AmazonはAIに内包される機械学習モデルを使い、消費者が過去に共有した他のデータから最もフィットしそうな衣料品のサイズをレコメンドします。

そのアルゴリズムは、似たようなサイズの服を購入し、服のフィット感について似たような好みを持つ消費者をグループ化するもの。特定アイテムの詳細、サイズ表、カスタマーレビューによる回収率、そのアイテムを購入した消費者に関するデータに基づいています。たとえば、オーバーサイズやスリムフィットなど、似たようなフィット感のアパレルアイテムもグループ化しています。

Amazonはそれらの情報を利用し、同じサイズの消費者が購入したデータに基づいてサイズに関するレコメンドを行います。このアルゴリズムは、サイズの変化にも適応することが可能。たとえば、子供服について、前の月に購入したサイズよりも大きいサイズをレコメンドするといったことなどです。

AmazonはAIを活用して子供の成長を予測したサイズ提案などを行っているAmazonはAIを活用して子供の成長を予測したサイズ提案などを行っている

Amazonのフィット・レコメンデーション・ツールは、毎日何百万ものデータポイントを分析し、毎月数十億ものサイズのレコメンデーションを生成。このレコメンデーションによって、コンバージョンが向上しているそうです。

②カスタマーレビューの活用

チャウドリ氏によると、Amazonのサイズレコメンデーションは、カスタマーレビューも活用しているそうです。

AIはレビューに共通するテーマに基づき、それぞれの顧客に特化したレビューハイライトを作成。その顧客にお薦めのサイズを購入した他の顧客の情報を取り込み、フィット感についてのコメントをアピールします。

次に、サイズの正確さや伸縮性、体の特定の部位へのフィット感を考慮するため、レビューに基づいてサイズアップまたはサイズダウンを推奨します。

③AIによるサイズ表標準化ツール

さらにAmazonは、AIを使ってサイズ表を標準化するツールを展開しています。

大規模言語モデル(LLM)は、より正確で一貫性のあるサイズ表を作成できます。これは、複数のソースからサイズデータを収集し、重複する情報を削除して、読みやすくすることで実現しているのです。(チャウドリ氏)

LLMは、不足した情報や誤った情報を修正することもできます。Amazonはサイズ表全体の代わりに推奨サイズ情報だけを表示するなど、さまざまな形式をテスト。「これによって、最も関連性の高い情報を見つけやすくしています」(チャウドリ氏)

④サードパーティーにも提供

Amazonは、これらのAIフィッティングツールで収集したデータから得られるメリットの一部を、サードパーティーの販売者に提供しています。

「Fit Insightsツール」(LLMモデルを使用して、フィット感、スタイル、生地に関する顧客のフィードバックを抽出し、集約するAmazonのファション事業者向けツール)は、フィット感、スタイル、生地などのアパレルの特徴に関する顧客の反応を集約。返品データやカスタマーレビュー、サイズ表の間違いなどをインプットします。

Amazonで販売する小売事業者は、この情報にアクセスすることが可能。潜在顧客にサイズやフィット感に関する情報をより適切に伝えたり、返品を減らす目的で商品デザインの改良につなげたりするために活用できます。

AIは小売事業者の「魔法の杖」。各社がAI活用に注力

AIがアパレルの購入プロセスを改善し、返品を減らす可能性を検討しているのは、大手テクノロジー企業やEC事業者だけではありません。

Googleは2023年、消費者がAIモデルを使ってバーチャルに試着できるツールを発表しました。

Googleの発表当時、デジタル戦略コンサルティング会社BDOのマネージング・ディレクター兼クライアント・エグゼクティブであるロバート・ブラウン氏は、生成AIは、顧客データという点で小売事業者に「魔法の杖」を与えたと話しました。

AIを使って、消費者がサイズや好みに基づいてどのように購入するかのデータを収集し、レコメンドを行うことができれば、小売事業者は1to1の顧客体験を提供することができます。(ブラウン氏)

ブラウン氏はまた、「AIは消費者の好みやニーズに関する『膨大な』データを生成し、小売事業者はそれを将来のコンバージョンにつなげることができる」と説明。AmazonはAI技術を使って、顧客データを活用し、多くのアパレル商品の販売促進に成功している一方で、返品率の低下にもつなげています。AI技術による精度の高いレコメンデーションが寄与しているのです。

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オリジナル記事:AmazonのAI活用法。最適な商品提案でアパレルのCVRアップ、返品率低下につなげる施策とは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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