店舗や会社などに寄せられたクレームは、その対処によって口コミへの評価などにも関わってくるため、適切な対策が必要となります。
クレームが発生しても適切に対処できるよう、対処法を知り、日頃から現場・スタッフ内で周知しておくなど管理体制を整えておきましょう。
本記事では、クレーム対処でやってはいけないNG行為、クレームへ対処する手順、さらにクレームの原因ごとの対策をまとめます。
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クレームへの対処でやってはいけない3つのNG行為
クレーム対処中に誤った対応をしてしまうと、顧客にさらに不快な思いさせてしまいクレームが長期化してしまう恐れがあります。
ここでは、クレーム対処中にやってはいけないことについて解説します。
1. 顧客を否定する
クレームの内容を確認する際に「本当にそうだったんですかね?」など、顧客の言い分を真っ向から否定するような言葉づかいはしないようにします。
「私が嘘をついていると言うのか」と、顧客が気分を概して不愉快な思いし、さらなる怒りの感情につながってしまうことがあります。
あいづちも肯定的な言葉を選ぶよう心がけましょう。
<肯定的なあいづちの例>
2. 顧客の話をさえぎる
クレームを受けた際は、顧客の話をさえぎらずに一通り最後まで話を聞きましょう。
顧客の言い分に対して反論したいことがあったとしても、まずは顧客の不満や思いをすべて吐き出してもらい、怒りから落ち着きを取り戻してもらうことが大切です。
その吐き出す途中で反論をしてしまうと、さらに怒りをヒートアップさせることになります。
3. 顧客をたらい回しにする
「自分は担当ではないので、こちらに連絡してください」といった対応は、店舗や会社側の都合であり、誠意のある対応とはいえません。
顧客を待たせたりたらい回しにしたりする状況にならないよう、話をきちんとうかがってから対応担当や部署などにつなげる、または担当から顧客に連絡をさせるような対応をとります。
クレームへの対処法 5つの手順を解説
ここではクレームが発生した場合に、初めに対応したスタッフが取るべき対処の手順を項目に分けて解説します。
あわてず、手順に沿ってクレームへ対応しましょう。
1. クレームの内容を聞く
クレーム対応には迅速な対応が求められます。まずは、クレームを入れている顧客の話をよく聞くことが重要です。
その顧客が何に対して怒りを感じ不満に思っているのかを、メモを取りながら、さえぎらない程度に相槌を打ちつつ最後まで一通り話をうかがいます。
顧客の話が終わったら、「不快な思いをさせたこと」や「不便な思いをさせたこと」などについてお詫びをし、クレームを入れるに至った心情を理解し、寄り添う姿勢を示します。
ただし、この段階ではクレームの内容に対して事実確認ができていません。「改善します」など全面的に非を認めるような謝罪はしないようにしましょう。
2. クレームの内容について相手に確認する
顧客の主張を一通り聞き終えたら、クレームの内容について改めて確認します。
1の手順でメモを取った内容から、5W1Hに基づいて事実関係をまとめ、何が問題となっているのかを明確にしましょう。
適切な質問と内容の要約を重ねることで、きちんと話を聞いていたことが顧客にも伝わります。
自分のみで3〜5の手順を踏むのが難しい場合は、この段階で「社内で事実確認をし、折り返しお電話させていただきます」といった返答を行います。
3. 解決策を提示する
クレームの内容の確認が済んだら、対応策を検討して顧客に対してなるべく早く解決策を提示します。
顧客が求めている対応を正しく読み取り、顧客に信頼感を持ってもらえるよう対応します。
また、解決策を提案する際は、顧客の意向を聞く姿勢が大切です。「このようにさせていただきたいのですが、いかがでしょうか」というような話の進め方をしましょう。
4. 顧客に対するお詫びと感謝
解決策を提示して顧客にも納得していただけたら、再度丁寧に顧客に対してお詫びをしましょう。
また、クレームの中には、業務改善につながるヒントとなるような内容のものもあります。
わざわざ労力をかけて意見を申し出てくれたことに対して、「今後の店舗運営に活かせていただきます。貴重なご意見をありがとうございます」など感謝の言葉を顧客に伝えます。
クレームに至る過程で低下してしまった店舗への信頼を取り戻してもらうためにも、「しっかり対応してもらえた」と思っていただけるよう、心をこめて対応しましょう。
5. 組織内での情報共有・対応したスタッフのフォロー
クレームへの対応は担当者1人で抱えずに、店舗のスタッフ間で報告、連絡、相談をして情報共有しながら対応していきます。
混乱が生じないよう、結論から先に事実だけを報告するなど、日頃から報告の仕方を指導しておくことも有効です。
対応したクレームを情報として記録、共有することで、再発防止のリスク管理やサービス向上につながります。
ただし忘れがちなのが、クレームへの対応を周囲がフォローしていくことです。クレームを聞いたスタッフや、クレームの対象となってしまったスタッフは、精神的にダメージを負っていることも多くあります。
スタッフのミスが原因のクレームだったとしても一方的に責めることはせず、スタッフ側の意見も聞きながら丁寧に対応することが求められます。
クレームが発生する原因と対策方法
現場などでクレームに対する対策をする際には、クレームが発生する原因ごとに事前対策と対処法を決定しておくことが重要です。クレームが発生する原因と、対策方法を紹介します。
1. 商品の欠陥
商品の欠陥が原因となって発生するクレームは多くあります。
そういったクレームへの対処では、商品の不具合の状態を正確に把握することが大切です。
クレーム対応の事前準備として、商品の欠陥や故障が発生しやすい原因、返品、補償範囲などの対応方法をマニュアル化しておきます。
実際にクレームが発生したら、欠陥や不具合へお詫びをしつつ顧客の被害に共感する姿勢を示し、事前に決定していたマニュアルに沿って対応策を提案していくことができます。
2. 接客など顧客対応についての問題
接客に関するクレームは、期待していたサービスよりも実際のサービスが下回ったときに「自分が顧客として尊重されていない」という不満から発生します。
ここで不誠実だったり初期の対応を誤ったりすると二次クレームにつながり、問題が大きくなってしまうことがあります。商品の欠陥の場合と同様、マニュアル化しておくのがいいでしょう。
また、前もって問題となりやすいポイントを洗い出し、顧客対応に関するスタッフへの教育を行っておくことも必要です。
3. 顧客側の誤解
店舗やスタッフには落ち度がなくても、顧客側の勘違いや悪意でクレームが来てしまうこともあります。
勘違いによるクレームを防ぐには、これまで来たクレームなどからわかりにくい点や説明不足な点を事前に洗い出し、見直していくのが理想です。
実際にクレームが発生したら、誤った認識で主張を繰り返す相手に対しても、ひとまずは反論せずに相手の話を聞き入れます。
そして相手が要求したいこと、それに対する解決策を探りましょう。
なお、クレームがあまりに悪質な場合は警察に通報する、長期化しそうであれば弁護士に相談するなどの対応も考えられます。スタッフをそうした悪意から守ることも大切です。