靴のECサイトを運営する「Zappos」は、女性向けファッションブランドの「M.M.LaFleur」とパートナーシップを結びました。今後も主要アパレルブランドの販売を拡充していくことでしょう。Zapposがアパレル販売を拡充する戦略意図を探っていきます。
「Zappos.com」内でアパレルカテゴリーが成長
「M.M.LaFleur」はZapposでのデビューと同時に、コロナ禍の影響で仕事を離れている多くの女性のために、プロフェッショナルな女性の服装に焦点を当てた仕事復帰キャンペーンを開始しました。
「Zappos.com」内で販売している「M.M.LaFleur」の商品例(画像:「Zappos.com」から編集部がキャプチャ)
Zapposのクリスティ・ハウザー氏(オペレーションおよびブランドパートナーシップ担当ディレクター)は、「アパレルはZapposのMDの中で新たに成長しているカテゴリーで、全体の売り上げの中でアパレルが占める割合は、四半期ごとに大きくなっています」と言います。
ここ数年、Zapposは数百のアパレルブランドをサイトに追加していますが、「2021年にはアパレル商品を大幅に拡大する予定」とハウザー氏は言います。
Zapposは2016年、「New Balance」の衣類品からアパレル商材の販売をスタート。消費者の「『Zappos.com』でもっと衣料品を購入したい」という声を受け、アパレルへの本格的な進出を始めたのは、ここ数年のことです。
私たちは靴の販売で知られていますが、ここ数年、アパレルへの要望が増えています。我々はそんなお客さまの声をとても大切にしています。(ハウザー氏)
ロイヤルティの高い顧客層は、いろいろな商品をZapposで購入したいと考えています。彼らは、「Zappos.com」内で衣料品のショッピングが完結することを望んでいるのです。Zapposはここ数年、徐々に衣料品の取り扱いを拡大してきましたが、独自のアパレルブランドを立ち上げる予定はありません。(ハウザー氏)
収益は折半、「M.M.LaFleur」の取り扱い
「Zappos.com」で取り扱いが始まった最新のブランドの1つが、女性向けアパレルブランド「M.M.LaFleur」です。Zapposと「M.M.LaFleur」は2020年12月、パートナーシップを開始しました。ハウザー氏によると、両社の関係は卸売りに似た「収益折半モデル」。Zapposが「M.M.LaFleur」の商品を購入、倉庫に保管すると同時に、発送、返品、カスタマーサービスの問い合わせなどすべてに対応しています。
Zapposは2021年4月、数十種類の「M.M.LaFleur」商品の販売をスタートしました。この立ち上げは、コロナ禍の影響で仕事を離れているビジネスウーマンの仕事復帰に焦点を当てたキャンペーンと同時進行に行われました。
「M.M.LaFleur」が「Zappos.com」内で実施している仕事復帰キャンペーン(画像:Zapposのサイトから編集部がキャプチャ)
このキャンペーンは、「Zappos.com」内のブランドページで展開されています。そのページでは、コロナ禍後に再就職する女性のために、Zoomでの面接時におススメの服、職場復帰の初日、在宅勤務から職場に復帰する際におススメの服といった切り口で「M.M.LaFleur」の服を紹介。また、Zoomを使った就職面接のコツも解説しています。
Zapposと「M.M.LaFleur」は、コロナ禍で働く女性が直面する問題(自宅で子供の世話をするために、多くの女性が男性よりも職場を離れなければならないなど)に焦点を当てたキャンペーンを開始しました。同時にZapposは、非営利団体「Dress for Success Worldwide」に2万5,000ドルを寄付しています。
この寄付金は、恵まれない女性をサポートし職業訓練を提供する団体のプログラムのために活用されます。また、仕事用に新しいワードローブを必要としている身近な女性を消費者がZapposに推薦できるキャンペーンを行い、10人の女性に500ドルのギフトカードをプレゼントしました。
キャンペーンの効果測定は、エンゲージメントと商品へのフィードバックで
売上データは非公開ですが、「これまでのところ、このキャンペーンは順調に進んでおり、コロナ禍の問題に光を当てたことについて、顧客や顧客以外からも好意的なメッセージがZapposに寄せられている」とハウザー氏は語っています。「Zappos.com」内の「M.M.LaFleur」ブランドページへの顧客のエンゲージメントと、商品へのフィードバックをKPIにしてキャンペーンの成功を測定しています。
成功を測る方法はいくつかあります。「M.M.LaFleur」の服を着て、より快適に過ごしてもらうと同時に、職場復帰のストレスを解消するような課題に我々が取り組んでいることを、一般消費者とZapposの顧客の両方に認識してもらうことが大切です。(ハウザー氏)
全体的には、ハイヒールなどの仕事用アイテムやイベント用アパレルは、2020年の水準と比較して「上昇傾向」にあります。しかし、「決して急増しているわけではない」とハウザー氏は話します。「M.M.LaFleur」からはこの件についてコメントがもらえませんでした。
「M.M.LaFleur」の公式ECサイト。同ブランドは、2人の日本人女性がNYで立ち上げた(画像:「M.M.LaFleur」のサイトよりキャプチャ)
Zapposの顧客は、洋服も含め1つのサイト内での購入を求めている
「M.M.LaFleur」の商品は、ブランドサイトから直接購入することもできますが、多くの消費者はZapposでの購入を好む可能性がある、とハウザー氏は考えています。
消費者は、Zapposで靴を購入した後、「MMLaFleur.com」に移動して仕事用の服を購入するのではなく、カテゴリーを超えた複数のアイテムを一度にZapposで購入できる利便性を好むと考えられるからです。
さらに、Zapposのロイヤルティプログラムのメンバーは、寛大な返品ルール(365日以内返品可能)と送料無料の特典を利用したいと思うでしょう。「M.M.LaFleur」がまだ提供していない商品を、Zapposが先に提供する可能性もあります。
「M.M.LaFleur」の商品はZapposの一般的な価格帯よりも高いですが、ハウザー氏によると、Zapposの顧客が「M.M.LaFluer」の取り扱いを望んだそうです。Zapposは「北米EC事業 トップ1000社データベース 2021年版」1位のAmazon傘下で、「M.M.LaFleur」は同データベースの504位にランクインしています。
Zapposは今後も「M.M.LaFleur」の商品を拡売していく予定で、Zoomに適した面接のコツを紹介している専用ランディングページは、他の関連コンテンツに随時変更されることになっています。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:「熱狂的なファン」が集まるZapposがアパレルを拡充する理由。ロイヤル顧客の声に応えるザッポスの戦略意図とは? | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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