HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。
第8回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第2期卒業生で現在は小川卓と書籍出版のプロジェクトを共にする礒崎将一氏。全3回でお届けします。
※本対談は2021年4月上旬に行われました。
オーシャンズ株式会社 代表取締役 礒崎 将一 (いそざき まさかず)
愛媛県西予市出身。関西学院大学卒。大手広告代理店、インターネット広告会社の株式会社Shift取締役を経て、2021年2月にオーシャンズ株式会社を設立、顧客のビジネス全体を俯瞰した視点で最適な課題解決を提案するマーケティングコンサルティングを行う。
全3回の3回目となる今回は、2年半前まで講座の講師と生徒だった小川卓と礒崎氏が、今はひとつの書籍出版に向けて共に活躍する様子、そしてGoogle広告やDXの今後について伺いました。
Googleアナリティクス4の書籍出版
今回ウェブ解析士協会のメンバーで集まってGoogleアナリティクス4の本を出そうとなったわけですけど、礒崎さん的にはどういう感じでした?
初めての書籍でしたが、やはり学べるかと思って。ウェブ解析士マスターの時もそうでしたが、自分の中でストレスを抱えた時に一番学んできたなと思うので。
ちょっとドMな感じだね(笑)
一同:(笑)
声をかけていただいた時は、自分自身ではGoogleアナリティクス4の設定をしているけどあまりいじっていない時だったんですよね。だから、正直、経験がないところに飛び込むのは恐怖もあって、断るという選択肢もありました。
でもこの書籍を通じてGoogleアナリティクス4と向き合うことで、3か月後にはまた学べているなと予感できましたね。
私もウェブ解析士協会の会員なのでメールが届いたんですけど、「GA4研究会メンバー募集、執筆メンバーを募集」ときたあれですか?
そうですね。主要メンバーは先に決めておいて、執筆者を募集した感じですね。1月30日にメールを送って2月1日に説明会を開いたんですけど、感度の高い方がかなり沢山集まってくださった感じですね。
逆に集まりすぎてどうしようっていう感じだったよね。
30人くらいに書いてもらう内容を割り振りって、2回目の説明会でも一人二人きて追加した感じでしたね。
応募した人が全員執筆しているんですか?
皆さん何かしらに関与していただいていますね。
だからこそまとめる人は大変なんだよね。
まとめる人はもともと礒崎ということで決まっていたんですか?
私に声をかけてもらったのが12月くらいで、それより前に窪田さんや江尻さん、神谷さんが動いていらっしゃったようですね。
窪田望 (@cnxt_nozomu) | Twitter
江尻俊章(Ejiri Toshiaki)@ウェブ解析士協会代表理事 (@ejtter) | Twitter
神谷英男@ウェブ解析士マスター (@kamiyack) | Twitter
そうですね、実は私もそこに入っていたんですけど、その頃に本を出したいよねとなって、挿絵の方とか大枠が決まって、でも誰か責任者を立てないとできないよね、というところで、礒崎さんがいるなと。
ありがたく声をかけてもらって入らせていただいた感じですね。でもすごい大変なことも予感してて・・・
礒崎さんの役割は一番大変だよね(笑) 間に入っているからね。
どんな感じで間に入っているんですか?
企画のウェブ解析士協会、出版社の株式会社インプレスさんという大きな枠組みがあり、その間を取り持っているのが礒崎さんなんですよ。その陰に我々が隠れている感じですね。各章の責任者やライターさんがいて、私はその横に監修という形で美味しい役で参加させてもらっていて(笑) 編集部とのやりとりもライターさんとのやり取りも礒崎さんがされている感じですね。
文字通り間にはさまれていますね。
本の内容というより調整が大変です。
でも内容もわかっていないと調整できないわけですよね。
正直、難しいところもありますよ。7章とかは難しいですね。
(笑)
7章って何が書かれているんですか?
BigQueryやSQLが入ってくるので技術的に難易度が上がるよね。
無料版ではGoogleアナリティクス4から入ってきたところですね。
そうなんですよ。
今回はみんなにとって新しいツールなので、その分余計に難しいよね。
ググっても何も出てこないですからね。
新しいからね。ヘルプもまだ実装されていないものが書かれていたこともあるし。
だからといって実装されている画面をキャプチャーして作業しているとその画面が新しくなることもあったりして。
そうなると、スクリーンショットを取り直しだーってなるよね。
想像しただけでぞっとします(笑)
それでもどこかで本を出さないといけないから、アップデートは今後も続くと思って動かないといけないですよね。
次はインプレスさんにPDFにしてもらうところまでいったら、皆さんもモチベーションが上がってくるなと。今はみんな書いてほっとしているので。
そうそう、まずは一回書いたぞというところですけど、ここからだぞという感じですよね。
また本の形にして読み直してもらうと、ああしたい、こうしたいと内容が高められていくのかなと。
本の完成が楽しみです!(2021年夏に出版予定)
Google広告の今
ところで、今の運用広告の状態ってどうなの?Googleに任せればいいとか。
4、5年くらい前まではキーワードを一つひとつ設定してインサイトごとに広告文を作っていくような感じだったんですけど、ここ数年は目標CPA(Cost per aquisition:アクションあたりの費用)を設定してGoogleに任せていくっていう状態になってきましたね。
Googleの自動化に対してどのように向き合うか、Googleの自動化にうまく載せていける人がよい運用者みたいに感じになってきましたね。
へ~!Googleがこういうことをしてくれているなというのを理解して進める感じ?
そうですね。これくらいCV(Conversion)が出たらこれくらいだよねとか、こういう設定にしたらこういうキーワードを拾ってくれるよねとかこういうグループにしたほうがいいよねとか。
以前のアカウント設計では細かくグループを設定して検索者のインサイトごとに広告文を作っていた感じだったんですけど、Googleが提唱するhagakureが浸透してからは、なるべく広告グループは統一することがセオリーになりました。
例えるなら、ひとつの箱にまとめて入れて置いたらGoogleが勝手にやってくれるよという感じになってきていますね。
変化が起きたというのはメリット・デメリットがあると思うんですけど、運用的には何が楽になって何が大変になったというのはあります?
昔に比べたら、入札やレポーティングは楽になりましたね。レポートは有償のツールなんかもでてきていますし、入札も自動入札になったので、今日はbitをこれくらい上げようという作業はしなくてよくなりましたね。昔に比べるとすごく楽になったと思います。
JADEの小西さんもおっしゃっていましたけど、広告運用が自動化されて、70点80点の運用なら誰でもできるようになってきたと。だからこそ、最初の設計のところでこのユーザーは何を求めているのか掘り下げて広告文を考えたり、広告の結果に対してCTAボタンにいったけどCV(コンバージョン)しなかった人とのマイクロコンバージョンを考えたりと、運用の前後ができないと勝負できなくなってきているんではないのかなと思いますね。
アクセス解析の5年10年先を行っている感じがするよね。アクセス解析ってまだ人が解析しているけど、5年10年すると分析が自動化される予感がしていて。その手前や後ろを人間がやらなければいけないことは変わらないから、どういう分析をする、何をKPIにする、分析結果を踏まえてどんな改善をするかは人間がするのかなと。
なるほど。
ウェブサイトの分析は広告の分析よりも難易度が高いと思うんだよね。サイトの種類も様々だし、色んな要素が入ってくるし。そういった意味で広告分析の自動化はもうすでにきているけど、サイト分析もいずれ追いついてくるかもね。 だから分析だけの人は求められなくなっていくかもしれないね。 礒崎さんの言うように運用だけできる人でなくてその前後ができる人が求められるようになってくるよね。サイトも今後その進みが早いんだろうな。
コロナ禍で加速したDX
コロナ禍でGoogle広告の変化ってありました?
まず予算を抑えられるっていうのはあると思いますけど。
ビジネスによるところはありますけど、元々集客ができない業種は広告のCVR(Conversion Rate:コンバージョンレート)が落ちますし、あとは検索ボリューム自体が落ちることもありますよね。
増えるものもあれば、減るものもありますよね。私も海外ウェディングのところは完全ストップでしたね。コンバージョンされても、困っちゃうよね。海外に行けないから。
一時期は飛行機も完全に止まっちゃっていましたよね。
民事再生を出した会社さんもありましたよね。
そうそう、そこの同業他社さんをサポートしていたんですけど。
色々ショックですね。
こればかりは仕方ないですよね。ウェブマーケティング界隈全体でいえばゼロというかプラスでしたよね。
去年はどこに行ってもDXって言ってましたよね。
リアルができないからこそ、ウェブに予算を寄せる動きがありましたよね。
とにかくウェブなんだみたいな風潮になっていて、業界的には追い風でしたよね。
電通が出している広告費レポートを見ても、ネット広告は予算は増えていたしね。全然お客さんによって違いましたね。逆に今の時期にウェブをしていない会社は本当にしないんだなっていう感じがするよね。
そういえば、うちの実家がようやくウェブサイトを作りました。ようやくです。
一同:(笑)
ご商売は?
解体業で、自動車の工場って生産ラインがあるじゃないですか。あの生産ラインって生産する自動車が新しくなると生産ラインも新しくするんですけど、元々ある生産ラインを解体してから新しくするんですよ。その解体の部分を仕事にしていますね。
ということは、ツテで仕事を受ける感じ?
大体のラインは決まっていますね。それに競合が少ないのでどちらかというと仕事よりも人が足りない状況なので、「ウェブサイトなんていらないよ」と言っていたんですが、ここにきてとうとうですね。サイトを作りました。
今は補助金が出ているからそれでつくりやすいというのはありますね。
それも大きいですね。
この状況でウェブを入れないということは、この先も入れないですね。きっと。
実際のところ、そういう会社さんって結構多くないですか?特に愛媛とか地方になると。
結構いますね。ある程度自分でチャレンジする人たちはすでに東京に行ってチャレンジしているし、地方に残っている人は比較的保守的な人が多いという印象です。もちろん、地方でもチャレンジングな人はいますが。
ツテで仕事が取れれば、それで商売はまわりますからね。
なんでもアクティブに「変わりましょう!」と言っても、難しいところはありますね。
礒崎さんがサイトとか分析とか底上げしていけるといいですね。
サイトのことなどを知った上で「やらない」という選択肢をとるならいいと思うんですけどね。
知らないと制作会社にいいようにされちゃうからね。
そうなんです!東京から営業電話がかかってくるんですよね。じゃんじゃんと。
私のところも一昨日きましたね。電話に出て、あまりに知らなすぎでしょって(笑)私もあえて言ったりはしませんけど(笑)
一同:(笑)
SEO会社にSEOしましょうとかね。変な話にだまされちゃうのとかが嫌じゃない?ちょこちょこっとWordPressで作っただけで200万円とかね。
ああいうのにひっかかるのは悲しいなって思いますね。
そのあたりは啓蒙できるといいですね。
そうですね。
そういうのってこの5年くらいで増えてます?減ってます?
私が関わっている企業さんは大体私に話をくれるので、費用対効果が見合わないといって申し込まないですね。逆に関わっていないところは知らないですしね。
知らないうちにされているとかね。
そういえば1件ありましたね。「サジェストワードの人工的な作成サービスを3か月だけやったんですけど、サーチコンソールを入れていなかったので、検証のしようがなかったんですけど、どうすればいいですか?」と聞かれて。 正直なところ「どうしようもないかな。むしろサジェストキーワードなんかを買わないでよ」と。
一同:(笑)
本当に大学とか商工会議所みたいなところで教えておいてほしいよね。サジェストもそうだけど、SEOとかアフィリエイトとかね。 解析はそういう人が少ないんですよね。だましだまされが少ないんですけど、SEOと制作は多いですよね。
私も独立した時にDMが届いて、月に2万円でサイト制作しますよってきたんですけど、年間で24万円かけるのかなと。知り合いに24万円払ったらそこそこいいものを作ってくれるなと思うんですけど、2万円だしと言って作っちゃう人がいるんだろうなと思いますね。
本当だよね。そのあたり、愛媛県は礒崎さんが良くしてくれると思うので、今後が楽しみですね!呼んでくださいよ!
是非! 今日はありがとうございました。
対談はおふたりの柔らかい笑顔とともに進み、あっという間の1時間でした。
礒崎さん、ありがとうございました!
礒崎さんが代表を務めるオーシャンズ株式会社のウェブサイトはこちら▽
oceans-web.co.jp
礒崎さんが受けた提案型ウェブアナリスト育成講座の紹介ページはこちら▽
happyanalytics.co.jp
対談の進行・編集はハッピーアナリティクス広報 兼 エスファクトリーウェブディレクターの井水朋子がつとめました。
Twitter@imizutomoko
最後までお読みいただきありがとうございました。