独立行政法人国民生活センターは3月26日、ECや通販で購入した商品の配送トラブルが増加しているとし、通販・EC業界、運送業界に改善要望をまとめた報告書を公表した。
国民生活センターの調査によると、PIO-NETT(全国消費生活情報ネットワーク・システム、消費者から消費生活センターなどに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報を収集するシステム)に寄せられた「宅配便サービス」に関する相談件数は、増加傾向にある。
2015年2月20日現在で寄せられた相談件数は260件(前年同月日は227件)。2013年度の相談件数は284件で、2014年度は前年度を上回るペースで相談が寄せられている。
宅配便サービスと、そのうち通信販売が関わる年度別相談件数
国民生活センターは通販・EC企業の業界団体である公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)と、公益社団法人全日本トラック協会に改善要望をまとめた。
その要望によると、通販・EC企業に対しては、配送方法の選択肢を複数手段から選べる、消費者側の受取条件などライフスタイルの多様化に対応できる態勢の構築を求めている。
国民生活センターに寄せられた主な相談事例
- 日時指定で注文した商品だったが、確認のために運送業者に問い合わせたところ「日時指定になっていない。夕方に配達予定」と返答。しかし、箱には指定日時が明記されていた。
- 「メール便」で配送をお願いしたところ、運送時のトラブルで商品が紛失。通販事業者が発送したのは確認できており、補償されないのは納得いかないというもの。
- 複数の書籍を「一定期間に入荷した分をまとめて発送するパターン」で注文したが、都度発送された。代引決済だったため、送料と手数料を余計に負担してしまった。
国民生活センターが事例からみた問題点
- 運送手段に関する情報が消費者に浸透していない
メール便は、カタログやチラシなど「信書でないもの、替えが効くもの」の送付を念頭としており、内容品に関する補償がないことや、到着日が確約されていないなどの条件が、消費者に浸透していないと思われる事例がある。実際には受け取れていないなどの事故が起きた場合、消費者の不満が高まって、苦情に至る事例がある。 - 購入者(消費者)は運送契約の当事者ではないことが認知されていない
宅配便の約款では、運送時の破損などに基づく補償を求める場合、原則的に荷送り人(通販事業者)が運送事業者に求める立場となる。そのため、消費者は運送事業者と契約していないので、直接的には補償などを求められる関係にはない。消費者から見ると、商品代金と送料を支払っている(負担している)が、この認識が浸透していない。 - 不適切な荷扱いに関するものが目立つ
荷物が手渡される段階の遅延・未着・紛失・破損に関する苦情も、配達先の環境や状況が各戸により千差万になっている。 - 配達日時に関する消費者のシビアな期待
運送スピードの向上や、消費者が配達状況を調べられるようになったため、ライフスタイルの変化と相まり、配達日時に大きな期待を寄せるようになっている。
業界への要望
公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)に対し
- 運送方法については、費用・簡便性・信頼性の観点から、消費者が複数の手段から選択できるような態勢の構築と、さらなる充実を求める
- 宅配ボックスやコンビニ・営業所留めなど、消費者側の受取条件や設備・手段の多様化に対応できるよう、今後も継続的な態勢整備を求める
- 配達日や時間帯を指定できる運送については、「適切な在庫管理と、連動した表示」「無理のない範囲で配達希望日や時間帯が選択できるような整備」など、通販事業者が行える範囲で、配達遅延のリスクを低減させる取り組みを求める
- 運送時の荷物破損などによる対応について、消費者からの申し出がスムーズに行えるよう、表示や案内について、さらなる改善と充実を求める
公益社団法人全日本トラック協会に対し
- 荷物の破損や遅延・不着等について、さらに低減するよう取り組みを求める
- 配達日時が指定された運送について、消費者の期待にさらに応えられるよう求める
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オリジナル記事:通販市場拡大で配送トラブルが増加、国センが業界団体通じ通販・EC企業に改善を要望 | ニュース | ネットショップ担当者フォーラム
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