オーディエンスデータは「マーケティングの通貨」たりえるか | 業界人間ベム

業界人間ベム - 2013年5月9日(木) 08:00
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 オーディエンスデータとは何か。基本的にネットユーザーである消費者ひとりひとりのWebの閲覧データをベースに、デモグラフィックデータ、ジオグラフィックデータなどの情報を紐付けておいて、それぞれがブランドにどう関わるかを分析できるようにしたデータ群と云える。

 ブランド側(企業側)は、自社メディアへの訪問を果たしているファーストパーティクッキーをベースに見込み客としてのターゲットセグメントを組成したい。しかし自社メディアのコンテンツだけでは、情報量が足りない。自社サイトのコンテンツだけでオーディエンスを評価するほどのコンテンツではない。
精緻な情報でしっかりしたターゲットセグメントを組成するには、同じクッキーが外部メディアでどんな閲覧行動をしているかというデータが有効である。

 メディアは、こうしたデータをブランド側に供給することでのビジネスを模索することになるだろう。実はこうしたデータ供給はメディアにとっても大きなメリットがある。メディアのオーディエンスはどんな購買行動をする人なのか、どういう事前行動があるのかを知ることはメディアにとっても果実である。
 オーディエンスデータはブランドとメディア間、あるいはブランドとブランド間でのデータエクスチェンジによって鍛えられる。

 もちろんそこにリアル購買行動データなどがマージできればさらに厚みのあるデータとなるだろう。どこまでをオーディエンスデータとして定義すればいいのかはこれからの課題だが、もちろんWebの閲覧や検索データだけでは、(特にリアルな販売チャネルを主力とする企業では)もの足りないはずだ。

 そしてこうしたデータは、ブランド側もメディア側もオーディエンスデータを鍛えることになるため、(データの価値を高めるため)流通するだろう。
 
 そして、オーディエンスデータというものの、こうしたデータはオーディエンスターゲティング(クッキーを特定するためだけ)に使われる訳ではない。自己関与の高い商品カテゴリーではオーディエンスターゲティングは機能するが、衝動的購買行動の商品カテゴリーでは、クッキーを追い回すだけより、タイミングや、掲載面のなどのコンテクストなどが寄与する。どんなタイミングで、どんな文脈に対してどんなメッセージが寄与したかも含めたデータとなるだろう。

 

私は、ブランドがDMPを構築して新たなターゲットセグメントをつくるということは、そのターゲットセグメントに「対」となる「メッセージ」が開発されるということだと思う。そして、私の感覚では、この「メッセージ」とはいわゆるクリエイティブではない。
 「メッセージ」とは「文脈」であり「キーワード」である。そしてそれをコンセプトとして開発すべきは「広告クリエイティブ」ではなく、「ブランド発のコンテンツ」である。

 要するに、ブランド側は基本こうしたコンテンツ開発を自社でやる(プロデュースする)能力を取り込む必要がある。データと向き合うデータサイエンティストとは、データから人間観察をし、響く文脈とタイミングの計り方を理解し、メッセージとコンテンツを発想できる人(あるいはチーム)である。(実際にアウトプットをつくるのは外部で良い。)

 今のところ広告代理店にはこうした知見はなく、ブランド企業側の方がはるかにこうした知見が育つチャンスが大きい。チャンスが自社にあるのに、面倒に思って代理店にアウトソースする企業は、おそらく自社でチャレンジする企業に、もう取り返しのつかない圧倒的なマーケティング力の差をつけられるであろう。

 私が完全クライアントレップとしてのコンサルティングファームを志向したのは、このマーケティングの大変革という状況で企業をサポートすることができるポジションだからである。

 ブランドがメディアとオーディエンスデータをエクスチェンジし、あるいは企業間でも流通させ、データの精度と知見を高めるマーケティングが台頭することで、オーディエンスデータは「マーケティングの通貨」足り得る。

 ただし、「枠」の流通にだけ介在する者を素通りする「通貨」であろう。

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