ソーシャルメディア時代の新マーケティング手法 ~ゲーミフィケーション~

「ゲーミフィケーション」について、事例を交えてご紹介いたします。
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この記事はユーザー記事として投稿されたものですが、優れた内容ですので通常記事に格上げされました。

ソーシャルメディアの登場によって、企業のマーケティング活動は大きく変化しました。

効果指標は「インプレッション」から「エンゲージメント」へ移り変わりつつあり、ユーザーは企業側から一方的な情報配信を受けるだけでは満足しなくなっているので、企業はその点を留意し、ユーザーと真摯な対話を行うことでいかに参加してもらい、いかに継続的に来訪してもらうかを考えることが重要となっています。

今回は、このように刻々と移り変わるマーケティング活動の中で、新たに注目されている分野の一つ「ゲーミフィケーション」について、事例を交えてご紹介いたします。

ゲーミフィケーション概論

ゲーミフィケーションとは、ゲームが持つ要素をゲーム以外の領域に導入することでユーザーの活性化を図ることです。

元々は店舗で利用するポイントカードなどで昔から実施されていた手法になりますが、最近はソーシャルメディアが台頭した事によりコンテンツや情報の広がりが個人間を通じて容易になり、特にゲームなどの要素を持つ「面白く楽しいコンテンツ」が、情報拡散のキッカケになり易い事から新たなマーケティング手法として注目されるようになっています。

米ガートナー社が発表するHype Cycle(話題や評判が先行する新技術が実際に普及するまでの間、 その期待が時間経過とともに、どのように変化するかを示した図)の中でも、2011年の上昇ワードとして紹介されています。

ゲーミフィケーションを取り入れる際の重要ポイント

先にもご説明しましたが、ゲーミフィケーションとは、ゲームでよくある「レベル」、「ランキング」などの要素によって、「もっとランキングを上げたい」「友達に勝ちたい」などの心理を突いてユーザーの興味を引き付け、継続的に参加したいというモチベーションを引き出していく手法になります。ゲーミフィケーション施策における重要なポイントとして、弊社では以下のように定義しています。

  1. インセンティブの準備
    • スコア蓄積:ゲームをクリアしていくごとに加算されるスコアを導入する
    • レベルアップ:スコア数に応じてレベルを上げる
    • ゴール(報酬):スコアの蓄積やレベルに応じて、報酬(賞品、仮想通貨など)を用意する
  2. 他ユーザーとの競争心の向上
    他のユーザーとスコアを共有し、ランキングを表示することによって、ユーザー同士を競い合わせるルールの設計を行う
     
  3. 適度な難易度の設計
    簡単すぎず難しすぎず、適度にユーザーが「躍起になって」取り組める程度のお題を提示する

 
具体的には、事例を元にご紹介します。

事例の紹介

- 良品計画

良品計画は、お気に入りのアイテムを並べて自分だけの棚が作れるWEBサービス「MUJI LIFE」を公開しました。

サイトはFacebook、Twitter、mixiのアカウントを通じて利用すること可能で、棚には、1日3回段ボールが届き、人気のアイテムフィギュア、好きな本や音楽、映画を並べるチケット、MUJI COINが当たります。MUJICOINを利用すると、棚の増設や商品プレゼントへの応募をすることができます。飾ったアイテムのフィギュアを友人にプレゼントしたり、コメントを交換することもできます。さらに同社が運営するソーシャルコマースサイト「my MUJI」とも連動しており、そこでレビューを投稿するとMUJICOINを溜めることができます。また、今後アプリをリリースし、店舗にチェックインするとスペシャルフィギュアなどが貰えるキャンペーンを展開する予定とのことです。本サービスを、前述したゲーミフィケーションの3つのポイントに当てはめてご説明します。

  1. インセンティブの準備
    サイトへのアクセス、段ボールの開封などのアクションによりMUJICOINを溜めることができ、溜めたCOIN数によって、商品プレゼントなどのキャンペーンへ応募することができます。
    各アクションごとのMUJICOIN獲得数
    • サイトへアクセス:100MUJI COIN
    • 段ボール開封:最大1000MUJI COIN
    • MYMUJIへのレビュー投稿:1回100 MUJI COIN
  2. 競争させる
    自分の棚は友人と共有することができます。 今のところ、集めた数に応じてリーダーになるなどの機能はないようですが、棚に集めたアイテムは友人にも公開されるため、視覚的に競争させる効果が期待できます。
     
  3. 適度な難易度の設計
    アクセスポイントは1日1回、段ボールは1日3回までなど、貰えるポイント]の上限が決まっており、棚のアイテムを揃えたりキャンペーンへ応募するには、何日もアクセスを続けていく必要があります。

MUJILIFEは良品計画の新たな施策として注目を集めており、良品計画からの発表によると、11/21時点で36ヶ国・12,000人のユーザーが集まっているとのことでしたが、内容としては、基本的にはコインを集めてプレゼントがもらえるというシンプルなものであり、商品のフィギュアを集めさせるなど商品のプロモーションと絡めながら商品プレゼントというインセンティブを用意することでサイトへの定期的来訪を図っている事例となります。リリース直後は、話題性やキャンペーンによってユーザーが集まるかと思いますが、今後どの程度のユーザーが定期的に来訪していくか、MUJILIFEだけでなく、MYMUJI、iPhoneアプリ、既存のSNSやコーポレートサイトなど、複数のサイトの今後の展開について注目したいところです。

また、今度はこのようなゲーミフィケーションを、コーポレートサイトに導入した事例をご紹介します。
 

- 米国サムスン電子

米サムスンは、コーポレートサイトにゲーミフィケーション要素を取り入れた企業サイト「Samsung Nation」をオープンしました。動画の閲覧、コンテンツの投稿など、サイト内のアクティビティに合わせてユーザーにポイントが付与され、ポイントが一定以上たまると、報酬としてサムスンの電子機器が当たるようになっています。本事例も、ゲーミフィケーションの3つのポイントに当てはめてご紹介します。

  1. インセンティブの準備
    コンテンツのアクティビティによってスコアを蓄積し、最終的にはサムスンの商品の抽選へ応募することができます。
    各アクションごとのポイント獲得数
    • 500ポイント:所有しているサムソン製品の登録
    • 300ポイント:製品レビューの投稿
    • 300ポイント:Q&Aフォーラムでの回答を投稿
    • 200ポイント:Facebookページに「いいね!」
    • 200ポイント:動画の閲覧
    • 100ポイント:Twitterなどで共有
    • 100ポイント:Q&Aフォーラムで質問を投稿

    本サイトを利用すればするほど、報酬を得やすくなるようになっているため、ユーザーは躍起になってサムスン製品の理解に努めることでしょう。

  2. 競争させる
    溜めたスコアは、他のユーザーへと公開され、ランキングされます。更に、もっともスコアが高いユーザーにはトロフィーがプレゼントされます。
     
  3. 適度な難易度の設計
    Twitterへのつぶやきは100ポイント、製品レビューは300、製品の登録には500ポイントと、アクティビティの負荷によってポイントを振り分けています。

このようにゲーミフィケーションの要素をコーポレートサイトの従来のコンテンツに導入することで、ゲームを楽しむことがそのままサムスンの製品やサービス理解に繋がっていく事例になります。

良品計画のように別のコンテンツを立ち上げるのも施策の一つとなりますが、サムスンの事例のように、既存のWEBサイトにゲーミフィケーション要素を導入する流れは海外では浸透してきており、以下のようなサービスが多く登場しています。

ゲーミフィケーションサービスツール

- Badgeville

Badgevilleは、Webサイトにバッジ機能を付けることができるツールです。Webサイトを訪問すればするほど位の高いバッジがもらえるというシンプルなサービスで、上記のSamsungを始め現在50程のサイトで横展開をしています。こちらは、FacebookやTwitterとの連携や、Webサイトの分析も行っているのが特徴です。
 

- BUNCHBALL

BUNCHBALLはNitroという名のWebサイトにゲーム要素を加えるサービスを展開しています。2007年にサービスを開始して以来NBCUniversalやUSA Network、Playboy(男性雑誌)、Bravo など様々なサービスへ導入し、4年間で1億2500万人に5億バッジを提供しています。最近はSalesforceと連携し、Salesforce Motivationというプログラムにて個人やチームの営業成績に応じた報酬付与、チームや会社内のコミュニケーションを活性化させています。

このように、サイトにゲームが持つ「ユーザーを夢中にさせる」要素を導入することによって、ユーザーが自発的に何度もサイトに来訪し活用してもらうようにする仕組みがゲーミフィケーションなのです。この新たな手法について、企業のマーケティング活動の一つの取り組みとしてご検討されてはいかがでしょうか。

 

■本コラムの元記事はこちら
ソーシャルメディア時代の新マーケティング手法
~ゲーミフィケーション~

 

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