ユーザーの位置がわかるメリットは何? ~ インターネット上の位置情報の意外な利用法 ~

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~ インターネット上の位置情報の意外な利用法 ~

インターネットへの要望は、「便利に使いたい」から「安全に使いたい」というものに遷移しています。
これに伴いインターネット上の位置情報であるIP Geolocation*の利用法も、ユーザビリティ向上やマーケティングを目標とした利用法から、不正防止やセキュリティ関連の利用法へと広まりを見せています。
IP Geolocationは、DRM・コンテンツの地域配信・不正防止などに利用されています。海外では、日本よりもIP Geolocationが普及していることもあって、面白い利用法がされていたり、意外なサイトで使われていることがあります。

そこで今回は、めずらしい利用事例をいくつかご紹介します。

*IP Geolocationとは、IPアドレスとその利用地域やネットワーク接続環境などを関連付けたIPアドレスデータベースです。
ウェブサイトのユーザーが“どこからどうやって接続しているのか”という情報をご提供します。
IP Geolocationデータは、インターネットのユーザビリティ向上やマーケティングを目的としたコンテンツ/広告の地域配信、コンプライアンスを目的とした配信地域制限、不正防止を目的とした不正アクセスブロックや不正検出など、多様な分野で利用されています。

IP Geolocation技術はシステムの「裏方」として動くため、エンドユーザーからはその存在を意識されないという特徴を持っています。これは「ユーザビリティの低下を招かない」というIP Geolocation技術の長所を示しているのですが、それゆえこの技術が世界中の様々なビジネスで既に利用されていることはあまり知られていません。

1.不正防止関連

ウェブサイトユーザーについて、どこからどうやってウェブサイトに接続しているのかというデータを提供できるIP Geolocation技術は、インターネットの匿名性を利用したオンライン犯罪に立ち向かう強力な武器になります。国内でも徐々に広がりをみせ、ネットバンキングやオンライントレードでの不正アクセス/取引防止の利用ができることはご存知の方も多いでしょう。
海外ではさらにこんなところでも使われています。

1-1.犯罪捜査に一役:イギリス州警察

イギリスではオンライン犯罪の増加や国民の不安の高まりを受け、オンライン犯罪対策の強化が進んでいます。2001年に設立したDevon and Cornwall州警察のオンライン対策課では、より高度化するオンライン犯罪に対応するためIP Geolocationを導入しました。オンライン犯罪では、以下の3つの課題に直面していました。

    1. 児童性虐待(児童買春)トラッキング:インターネットでの児童買春の位置把握は潜在被害者の危険性判断の上で重要で、加害者との位置情報をもとに、迅速かつ効果的に被害者の危険度を判断する必要があります。
    2. インターネット不正:オンラインショップは、盗難クレジットカードやマネーロンダリング関連の不正に曝されています。正確にIPアドレスをトラッキングし、捜査を裏付ける為の位置情報を必要としています。
    3. リソースの配分:オンライン犯罪の位置を把握することによって、管轄地域外の犯罪を担当の地域に引き渡すことができ、捜査を効率化できます。

 Devon and Cornwall州警察ではIP Geolocationの導入でこれらの課題を解決することができたといいます。一般情報や調査情報などによって不正や虐待が報告されると、このIPアドレスをIP Geolocation情報データベースに問い合わせます。
位置情報に応じ、これに対処するか違う管轄区の州警察に仕事を投げるかを判断します。平均で週に20~30のIPアドレスを捜査し、この多くが調査中の事件解決や他の地域への迅速な伝達などに役立っているということです。

IP Geolocation導入後、州警察は調査成功率の増加とともに、管轄地域外での犯罪捜査に費やす時間を劇的に減らすことに成功し、リソース配分の迅速化と効率化、そしてコストの削減ができたということです。

1-2.デバイス自体の危険性を調査:iovation

 数あるオンライン認証の中でもユニークな試みを行っているのが、アメリカのiovation社です。iovationが提供するイーコマースの不正防止ソリューションDevice Reputation Authorityには、IP Geolocationが組み込まれています。Device Reputationは、物理的デバイス(コンピュータ) とオンラインアカウントを紐付け、この情報が共有されます。

取引に使用されているコンピュータの過去のアクティビティ情報を提供し、オンライン取引を透明化するものです。つまり、ユーザーの代わりにデバイスのプロファイルを作成し、インターネット取引の匿名性を低下させます。複数のウェブサイトからコンピュータの履歴を収集するため、その特定のデバイスと取引すべきか否かのリアルタイム判断に、より多くの情報が得られます。IP Geolocationの導入によってDevice Reputationにデバイスの位置情報が追加され、不正防止ソリューションがさらに強化されました。

1-3. オンラインギャンブルサイトのアカウント管理:ClubUBT.com

日本では、オンラインゲームといえばロールプレイングゲームですが、アメリカではオンラインでのポーカーやブラックジャックなどお金を賭けるトランプゲームも人気があります。このようなオンラインギャンブルサイトでも不正と悪用防止の為にIP Geolocationソリューションを使っています。

ClubUBT.comでは、UIGEA法(インターネットギャンブル禁止法)と各州の賞金関連の規制を遵守してライブゲームを提供するため、ユーザーがいる州を厳密に管理しています。ビルトインのロジックルールで瞬時にユーザーの位置情報を識別し、場所に応じた合法なゲームやプロダクトをユーザーに提供しています。
また、IP Geolocationデータはユーザーの場所を確認するだけでなく、例えば接続方法(DSLやダイアルアップ、プロキシの利用有無)など、不正の指標となる重要情報も提供し、アカウントの不正防止にも役立っています。
さらに、マーケティングの上でもユーザーの位置を知ることは重要です。IP Geolocationの導入によってメディアプランやターゲットマーケティングも行った結果、カスタマーベースを35%以上拡大したということです。

2.認証

インターネット上では、ネットバンキングやネット証券、イーコマースなど様々な場所で個人認証が必要となります。これらの厳密な本人確認を要する認証以外にも、地域限定サービスの利用者の認証などがあります。

2-1.地方限定サービスの認証:州立図書館

 アメリカのニュージャージー州の図書館が運営しているサイトでは、ユーザビリティ向上の為、IP Geolocationを導入しました。このサイトでは、オンライン図書館司書とのチャットやブラウジングをリアルタイムで行え、質疑応答、図書館が出資しているデータベースを含むウェブ上の情報ガイドなどのサービスが受けられます。
このサービスはニュージャージー州民向けであるため、これまでは、図書カードに印刷されている番号の入力によって個人認証を行っていました。ところが、ユーザーの殆どが十代の若年層で、カードの管理をきちんとできる率が低かったそうです。

IP Geolocationの導入によって、アクセスユーザーの位置を判定できるため、認証に図書カードが不必要となりました。州の外部からのアクセス時にのみ、従来の図書カードによる認証が必要となります。IP Geolocation技術を導入してから利用率が跳ね上がり、導入前後の日曜日の利用者数の調査結果では、導入後が50%上昇したということです。長期の利用者数調査では、25%利用率が向上しました。
ニュージャージー州立図書館の他、コネチカット州でも同様の技術を導入し、州民の認証を行っています。IP Geolocationの導入により、サイトのユーザビリティが大きく向上した好例といえます。

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現在、日本国内でIP Geolocationデータを作成しているのは、サイバーエリアリサーチのみです。国内唯一のIP Geolocationプロバイダであるサイバーエリアリサーチでは、専任の調査員が日々データ精度向上に努めています。

サイバーエリアリサーチ株式会社http://www.arearesearch.co.jp?id=wbt
アクセスユーザーの地域認識技術であるIP Geolocationデータベース「SURFPOINT」を提供する、国内オンリーワン企業です。

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